2009年11月 2日 (月)

普天間問題の09年10月23日から11月2日までの毎日新聞の記事スクラップ

■毎日新聞10月23日朝刊

 毎日新聞09年10月23日朝刊3面[クローズアップ2009]は<米国防長官、東アジア歴訪/温度差、顕著に>というゲーツ長官の東アジア歴訪を総括する記事だった。
 <「核の傘」確約/韓国と同盟強化>、<「普天間」対立/日本にいらだち>の見出しの記事は米国防長官専用機上・古本陽荘、ソウル西脇真一のクレジットがついていた。専用機の上から原稿が送れるんだね。無線ランなのか?
 本文を読んでみよう。
 <ゲーツ米国防長官は22日、東アジアの同盟国である日本、韓国歴訪を終えた。韓国とは手を携えての同盟関係強化を確認したが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でなかなか結論を出さない日本にはいらだちを隠さず、対照的な対応となった。来月12日のオバマ米大統領訪日までに結論を出すよう求められ、日米同盟重視の「真剣度」を試される格好となった鳩山政権だが、あくまでも民意を見極める姿勢は崩していない。>
 という前文。各紙とも同じようなとらえ方だ。
 <「韓国がアフガニスタンやイラクに多くの支援をしたことに、とても感謝している。その犠牲も良く認識している」。22日、韓国国防省で開かれた米韓安全保障協議会(SCM)後の共同記者会見で、ゲーツ長官は謝意を示した。韓国は過去にイラクとアフガンへ大勢の兵員を派兵し、同盟国として「汗と血」を流してきた。共同声明では米国が、北朝鮮の脅威に対し「核の傘」を確約する同盟関係強化の方針も打ち出した。>
 湾岸戦争を思い出すね。あの時はアーミテージ氏から「血を流せ」と言われたんだったなぁ。欧米人の目には日本はシャイロックのように映っているのかもしれない、と思った。今回のゲーツ氏の「犠牲認識」発言、重いんじゃないか。
 <アフガニスタン情勢を巡って国際的な協力が不可欠となる中で行われた長官の歴訪は、アジアの同盟国とのきずなを再確認し足元を固める狙いがあった。だが20、21両日の岡田克也外相、鳩山由紀夫首相との会談では、普天間移設問題で対立し、ぎくしゃくした日米関係が表面化した。>
 まあね。
 <「政治的に可能で、運用に支障がない他の選択はない」。ゲーツ長官は東京に向かう政府専用機内で毎日新聞など同行記者団に今回の訪日の主な目的が普天間移設問題の協議であり、日米合意通りの計画履行を求める姿勢を明らかにしていた。>
 そうでしょう。
 <鳩山政権にはアフガン支援策を検討すれば、普天間移設の決断は先延ばしできると解釈していた節があった。現在の米政府にとり外交・安全保障上の最大の課題はアフガン支援だからだ。だが、ゲーツ長官はあえてアフガン支援ではなく、普天間移設で早期決断を迫ることを優先させた。日米合意が覆れば沖縄から離れることに抵抗した海兵隊をねじ伏せてまで合意を実現させた経緯がふいになる。また、将来的に総額200億~300億㌦とされるグアム移転費の承認を取り付けようとしている議会での努力も無駄になる。国内の批判が高まり、アジアでの米軍再編自体が頓挫する恐れもある。ゲーツ長官は普天間問題を「リトマス試験紙」ととらえ、鳩山政権の「日米同盟を重視する」との言葉が本物かどうか、姿勢を問いただす狙いがあったとも考えられる。>
 これは分かりやすいね。そういう背景があっての発言だった、と。
 <鳩山政権発足以来、両政府高官の間で「日米同盟は両国にとって外交の礎(コーナーストーン)」が合言葉となったが、その具体策についての議論は何も進んでいない。9月23日に行われた日米首脳会談でも同盟関係を一層強化する「理念」は確認したが、具体的問題は先送りされたままだ。22日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、国務省高官の話として、安定し不変の関係だった日本が「今や、中国より厄介な存在になっている」と報じた。>
 ここが見出しになっているのか。
 そして、後半の記事は<「政権公約」首相こだわる>の見出し。西田進一郎、仙石恭両記者の署名があった。
 本文を読む。
 <鳩山首相は米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)移設で、計画通りの実施と11月のオバマ大統領来日までの結論を求めたゲーツ長官に、現行計画以外を模索する方針と「来年1月の名護市長選後の結論」の考えを示した。衆院選マニフェスト(政権公約)にこだわり、あくまで沖縄県民の意思を見極める姿勢だ。>
 マニフェストがあるだけでなく、社民党じゃないの?
 <「選挙で公約したさまざまなメッセージがあり、沖縄県民の皆さんの総意もしっかりとうかがっていかなければならない」。22日夕、首相官邸で鳩山首相はゲーツ長官との21日の会談の発言内容を披露し、衆院選中に「最低でも県外移設」と訴えてきたことを踏まえる必要があると強調した。「アフガニスタン・パキスタン支援の方が、オバマ大統領には、はるかに大きなテーマであり、我々がすぐやるべき仕事だ」とも繰り返した。>
 「最低でも県外移転」というのは無理だ。そこをどう見るか、は個人個人違うだろう。「公約違反だ」と息巻く人もいるだろうし、「野党だったんだし、仕方ないさ」と言う人も多いと思う。ただ、言えることは整合性にこだわるばかりに日米関係を拗らせてしまってはいけない、ということだ。方針転換はどんどんやっていい。ただ、その場合には堂々とやればいい。
 <鳩山首相は、早期解決に応じる姿勢を見せる岡田外相、北沢俊美防衛相とは好対照だ。「沖縄県民の負担軽減の観点から米軍再編に見直しの方向で臨む」と明記した連立合意の堅持を迫る社民党への配慮に加え、普天間問題の経緯をよく知る外務、防衛官僚の情報にとらわれずマニフェストへのこだわりを貫けることがある。>
 とらわれず、とはいうものの、無責任なマスターベションでは困る。
 <この問題で政府は96年の返還合意以来検討されてきた他の案も検証し、新たな選択肢を見いだしたいと考えている。浮上しているのは米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)や隣接する米軍嘉手納弾薬庫地区などにヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を新設して統合する案。騒音訴訟などを抱え地元自治体が強く反対した。空軍機と海兵隊のヘリコプターの共同使用は運用上問題があると米軍も強く反発し頓挫した。ただ、時間や費用が新基地の建設よりかからない。民主党の中堅議員は「最終的には嘉手納統合しかない」と指摘する。防衛省も今月17~18日、沖縄県に井上源三・地方協力局長を派遣、嘉手納弾薬庫地区に加え、過去に統合・移設案が浮上した伊江島補助飛行場(同県伊江村)や下地島空港(同県宮古島市)などを視察した。だが、計画変更に米国が簡単に応じる見通しはないのが現状だ。>
 何か迷走している、という感じだな。

■10月25日付毎日新聞朝刊
 毎日新聞09年10月25日朝刊3面[クローズアップ2009]は<アジア重視、鳩山外交/にじむ米への配慮>で、フアヒン(タイ中部)西尾英之、西田進一郎両記者の署名記事だ。
 本文を読む。
 <鳩山由紀夫首相は24、25両日の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合への出席で、9月の米ニューヨークでの国連総会出席、米中露との首脳会談、10月の日中韓首脳会談と続いた主な外交を一通り終える。そこから浮かび上がるのは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を巡ってぎくしゃくする対米関係など現実的な問題に直面し、マニフェスト(政権公約)に掲げた「対等な日米関係」と「アジア重視」の実現に腐心する姿だ。>
 という前文。
 <「日本の新しい政権の外交政策として、日米同盟を外交の基軸と位置付けている」。鳩山首相は24日のASEAN関連の首脳会議で、東アジア共同体構想への支持を呼びかける前提として、あえて「日米同盟が基軸」と言及した。米国の参加までは主張しなかったが、首相は会談後の同日夜、記者団に「(共同体構想から)米国を排除するつもりはない」と強調。米国と東アジアの「一方に偏らないようにしているのは事実」とも述べた。>
 アジアにも寄らず、アメリカにも寄らず、と言っているうちにアジアもアメリカも周囲からいなくなっていた、というブラックジョークなど世界中で漫画になりそうだな。
 <同行筋は「ずっと言っている」と、特別ではないと強調したが、米国が不在のこの会議で述べた点に、共同体構想で「外される」ことを懸念する米国への配慮がにじんだ。>
 外す、外される、か。昔だったら記者懇談も外す、外されるの恐怖で大変だっただろうけどね。
 <9月のオバマ米大統領との会談で「日米同盟を基軸にアジア諸国との信頼関係を強化したい」と語った首相だが、1カ月もたたない今月10日には、北京での日中韓首脳会談で「日本はややもすると米国に依存しすぎていた」と発言。就任前に首相が発表した寄稿文が、米国主導の経済体制を批判したと受け取られたことに共同体構想が結びつき、「米国離れ」との懸念を生んでいた。>
 あっちに言ってはAと言い、こっちではBと言う。普通はコウモリと言われる。そんな風な書き方をしている風に見えるのだが。
 <アフガニスタンへの支援問題や米軍再編問題など、日米間には安全保障分野を中心に難題が横たわる。普天間飛行場移設問題では、来日したゲーツ米国防長官が早期解決を強く迫った。首相は23日、結論を出す時期について「(来年1月の)沖縄県名護市長選後でなければいけないと言ったつもりもない」と語り、国内をにらみつつ米国へも配慮した。この日の「基軸」発言も同じ流れの上にある。>
 発言修正ですか。対米配慮ですか? というか、こういう問題で気をつけなくてはいけないのは、新聞記者が勘違いして解釈して書いた場合、本当は政治家はブレていないのに、結果的にブレた、と書かれてしまうことだ。新聞など何てことないけど、やっぱり無謬性の神話があるんじゃないか、と思っている。中国共産党ほどじゃないだろうけど。
 <首相は一連の会議で共同体構想を「長期的なビジョン」として具体的に説明せず、域外国の参加を認める姿勢をうかがわせつつ、枠組みは示さなかった。米国の警戒感を招きたくない一方で、特定の域外国(米国)の関与で主導権が縛られるのを嫌って「ASEANプラス3」の枠組みを主張する中国をけん制する意味がある。>
 こういうステレオタイプな見方でいいのだろうか?
 <ASEAN側から歓迎された構想だが、イメージが先行する。首相は貿易や金融、環境、防災など具体的な分野での地域協力の実績を積み上げて関係を強化し、そこから具体的な枠組みや協力の形を浮かび上がらせていく考えだが、具体的なステップは今回の会議で議論されなかった。「日米同盟」と「アジア重視」のはざまに立つ鳩山政権としては、構想の位置付けを早々には決められないのが現状だ。>
 まあ、東アジア共同体構想って言葉先行だからね。
◆記事の後半
 記事の後半は<東アジア構想、ASEANは歓迎/地域協力リードを自負>の見出しだ。
 <「長期的な目標として取り組んでいきたい」。ASEAN各国首脳は日本との首脳会談で、鳩山首相の東アジア共同体構想を歓迎する姿勢を示した。だが、ASEANにとっては「地域協力や統合へ向けた動きの核はASEANでなければならない」(タイ外務省高官)のが本音だ。鳩山構想には「いくつかある地域統合構想の一つ」と、突き放した見方が出ている。>
 何を書いているのか、分かりにくい。
 <北東アジアの日中韓3カ国が、歴史問題のしこりで欧州のような協力関係を築けないなかで、ASEANは3カ国を巻き込んだ「プラス3」会議を開催するなど、東アジア全体の地域協力をリードしてきた自負がある。鳩山構想で日本が地域協力の主導権を握るようなことがあれば、ASEANにとっては自身の存在感を薄めかねない脅威となる。>
 まあね。
 <実際、ASEANが日本に求めているのは政治的なリーダーシップより、投資や開発援助といった経済的な協力だ。日・ASEAN関係に詳しいタイの研究者は「アジアに豊富な資金をつぎ込んで影響力を強めている中国に対抗するためには、日本はまず国内経済を十分回復させなければならない」と話す。ASEAN側にこうした考えが広まっているのは、日本が自民党政権下で続けてきた米国重視の外交の結果、アジアに政治的リーダーシップを発揮する機会がなかったためでもある。>
 もっと投資せよ、もっとODAを寄こせ、政治には口出しするな、か。これもステレオタイプだと思うのだが。表面的に聞けばそう言うさ。だけど、本音は違うと思う。現実はもっと切羽詰っているんじゃないか。中国の海洋進出問題とかがあるしね。
 <「アジア重視」を打ち出した鳩山政権は、アジアでの米中の存在感と均衡を取りつつ、経済関係にとどまらないアジアとの関係をどのように築いていこうとするのか。ASEAN諸国は鳩山外交の方向性を注視している。>
 まあ、そういうことだ。
 ◆外交に関する鳩山由紀夫首相の主な発言◆
・「(米紙掲載論文は)反米的な考え方を示したものではない。東アジア共同体構想は米国を排除する発想は全く持っていない」(8月31日、記者団に)
・「日中が互いの違いを認めながら信頼関係を構築し、それを軸に東アジア全体の共同体を構想」(9月21日、日中首脳会談)
・「日米同盟を日本外交の基軸として重視」(同月23日、日米首脳会談)
・「協力を積み重ねる延長線上に東アジア共同体が姿を現すことを期待」(同月24日、国連総会演説)
・「2国が東アジア共同体構想の核となり、アジアの国々と協力を深め実現に向けて一歩踏み出そう」(10月9日、日韓首脳会談)
・「今まで、ややもすると米国に依存しすぎていた。日米同盟は重要だが、アジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」(同月10日、日中韓首脳会談)
・「日米同盟を日本の外交の基軸と位置付けている」(同月24日、日ASEAN首脳会議)
 という横組み表もついていた。こういうところ、親切なのがいい、毎日新聞は。

■毎日新聞10月29日朝刊、米中国防相会談
 毎日新聞10月29日付朝刊なのだろう<米国防長官「中国の軍事力に透明性」/協力促進狙い評価>という、いかにもそうだろうと思わせる記事が載っていた。ワシントン支局の古本陽荘特派員の署名記事だ。
 <米国防総省で27日に行われたゲーツ米国防長官と中国中央軍事委員会の徐才厚・副主席との会談で、ゲーツ長官が中国の軍事力の透明性の進展を評価する発言をしていたことが28日、分かった。国防総省筋が明らかにした。米国は中国に対し、誤解の原因になるとして軍事力の透明性の確保を強く求めてきた。これまでの強硬一辺倒の姿勢を転換し、一定の評価を与えることで両国の軍事協力を促進させる狙いがあるものとみられる。>
 ほらね。ドルをたくさん持っている中国に強いことがいえない米国かな。日本と中国の違いは日本はナショナル・セキュリティーでフリーライドしている(日本語で言うのも嫌だから英語にした)からだ、というのだ。まあね。
 <「透明性の進展」が何を指しているかは定かではない。だが、今年1月の国防白書で、中国が軍の近代化や脱政治の過程を詳述したり2008年予算で20年連続2ケタの伸びとなった国防費について、将兵の待遇改善や物価上昇などを理由に挙げ、増額の必要性を説明したことを念頭に置いている可能性がある。>
 まあね。
 <一方で、国防総省が3月に発表した中国の軍事力に関する年次報告書では「中国の軍や安全保障に関する不透明性は安定への危険要因」と明記しており、米国が中国に対し透明性をさらに求めていく姿勢に変化はないものとみられる。国防総省筋も「米中両国がお互いの意図を理解し、危険な誤解や誤算を防げるようになるにはまだ相当な作業が必要だ」と語っている。>
 口先のリップサービスだ、というのだ。
 <今回の会談では、海上における捜索・救助の共同訓練の実施や疫病対策での軍医の相互訪問など軍事交流を促進することで合意。アフガニスタン復興支援やイラン、北朝鮮の核開発問題でも協力していく方針で一致した。>
 本来的にはこっちのほうが大きなニュースだろう。だが、前打ち記事が出ていたんだろうね。
 <ゲーツ長官が中国軍の透明性の進展を評価する発言をした背景には、来月予定されるオバマ大統領の訪中を前に、米中関係全般を進展させる意図もあったようだ。>
 オバマ訪中。お土産。オバマ訪日。日本から差し出す貢物。差が大きすぎないか。

■10月30日毎日新聞朝刊
 毎日新聞10月30日朝刊だろうと思う。ネットで見たので、はっきりしない。見出しは<普天間移設/岡田外相と北沢防衛相、ライス司令官らと会談>だ。野口武則記者の署名入りだ。
 <米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への移設問題で、岡田克也外相と北沢俊美防衛相は29日、外務省でライス在日米軍司令官らと会談した。外相は、自ら提案する米軍嘉手納飛行場(同県嘉手納町など)への統合案について米軍側から説明を受けた。司令官らは運用上の問題などから困難との、従来通りの見解を伝えた。会談は11月のオバマ米大統領の来日を前に嘉手納案の実現可能性を判断するため、現行計画に決まった経緯を含め米軍側から直接聞く目的で開かれた。ゲーツ米国防長官は既に嘉手納案を否定しており、外相は早急に嘉手納案の成否の判断を迫られる。これに先立ち、北沢防衛相は国会内で沖縄県の仲井真弘多知事と会談した。普天間問題で鳩山由紀夫首相と外相、防衛相の立場が異なることについて知事は「閣僚が違う案を出し、分かりにくい」と指摘。防衛相は「外務省、防衛省として首相が判断する材料を持ちよっている」と理解を求めた。>
 知事の言うとおりだね。

■毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]
 毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]は<普天間移設「閣内不一致」/従属脱皮へ首相達観>だった。
 <日米合意に沿い米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を急ぐ北沢俊美防衛相、米軍嘉手納基地統合案へとかじを切る岡田克也外相、「最後は私が決める」と達観する鳩山由紀夫首相。米軍普天間飛行場返還合意から13年。政権交代を経て再び迷走し始めた沖縄の米軍基地再編問題の背景に渦巻く鳩山政権内の思惑を探る。>
 が前文。
 <「岡田君、北沢さんが一生懸命やっていますから、私は見守りたい。君も見守ってください」。10月23日夜、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議出席のためタイに向かう政府専用機中にいた鳩山首相は、東京に残る平野博文官房長官の携帯電話を鳴らして、こう伝えた。出発前、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、岡田外相はキャンプ・シュワブ(沖縄県名護市辺野古)沿岸部にV字滑走路を新設する2006年の日米合意を覆し、日米間で検討され、消えたはずの嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)への統合案を提起。現行案踏襲を主張する北沢防衛相との対立が鮮明になり、「閣内不一致」批判が高まっていた。>
 <普天間問題が火を噴く発端となったのは10月20日に来日したゲーツ米国防長官が現行合意の履行を迫り11月12日のオバマ米大統領来日までに結論を出すよう突き付けたこと。民主党は衆院選で県外移設の検討を表明し、慌てた鳩山政権が「公約」との整合性をどうつけるかで対応がバラバラになったという経緯だ。だが、米国の「圧力」、閣内の騒動にも首相は泰然と構える。判断時期もオバマ大統領来日までに方向付けしたい北沢氏、年内決着をめどとする岡田氏に対し2010年1月の名護市長選後に先送りする姿勢を崩さない。>
 <「政治主導」を盾に閣僚の発言を封印せず、「最終的に決めるのは私だ」と強い姿勢を貫く首相の心中を周辺はこう語る。「米国の言いなりになれば、自民党政権の『対米追随路線』に追随することになる」。「米国に従属的な外交」(10月30日、参院本会議)からの「脱皮」の試金石とする思惑が透けて見える。>
 3面分が以下の記事だ。見出しは<外相、現行計画に不信>、<普天間移設「なぜ埋め立てか」>。
 <米国相手にかたくなな姿勢をとる鳩山由紀夫首相。だが、混迷は自身の言動が誘発した面もある。>
 <「どういうつもりですか」。衆院が解散された7月21日、国会内で民主党の前原誠司氏(現国土交通相)、長島昭久氏(現防衛政務官)が鳩山氏を呼び止めた。鳩山氏は2日前、沖縄市で「最低でも県外移設に向けて積極的に行動を起こす」と表明。米国に太いパイプを持つ両氏が懸念を深めたためだ。>
 <「県外移設」は2008年7月にまとめた党沖縄ビジョンにある。同年6月、策定責任者の武正公一氏(現副外相)と訪米した前原氏は、普天間返還合意の当事者で、後にキャンプ・シュワブ案の変更を唱えたキャンベル元米国防次官補代理(現国務次官補)らと会談。「オバマ政権になれば普天間問題は白紙から議論できる」との確信を持ったことが伏線にあった。>
 <しかし、1月のオバマ政権発足後、米国防総省は現行計画の推進を確認。前原氏らの読みは外れ、マニフェスト(政権公約)では「在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む」と抽象的な表現に後退した。だが、鳩山発言は今も沖縄では「公約」と受け止められており、沖縄の期待を安易に裏切れない立場にある。>
  ◇  ◇
 <県外移設を断念する一方で、沖縄の負担軽減とのバランスをとろうとするのが、岡田克也外相の嘉手納統合案だ。>
 <「日本は政権交代した。『約束通り』と言われても困る」。岡田氏は10月29日夕、外務省でライス在日米軍司令官やルース駐日大使らと会談した際、こう強調した。しかし、米側は岡田氏が主張する嘉手納統合案には①有事の即応態勢に支障が出る②空軍の戦闘機が常駐し、ヘリコプター主体の海兵隊が混在すれば機能低下を招く――などの理由から「統合は不可能」と繰り返した。>
 <嘉手納統合案は過去2回検討された。1回目は96年、沖縄の米軍施設縮小案を日米特別行動委員会(SACO)で議論したが、却下され、撤去可能な代替施設を海上に建設することで合意。しかし、2002年に決定された基本計画は滑走路2000㍍の軍民共用空港を建設する巨大公共事業に姿を変えていた。>
 <計画はその後、こう着状態に陥り、2003年からの在日米軍再編協議で米側が嘉手納統合を含む複数の見直し案を提示。当時の防衛庁は嘉手納弾薬庫地区などにヘリポートを建設する案を検討したが、外務省は辺野古沖の埋め立て計画の縮小案(名護ライト)を米側と進め、再び消えた。最後は防衛庁が妥協案として示したキャンプ・シュワブ沿岸案で押し切ったが、2006年5月の日米合意では、滑走路2本を建設するという巨大公共事業に再び変ぼうしていた。それを自民党が主導した経緯を知る長島氏らが民主党内で勉強会を開き、衆院選前の7月、党幹事長だった岡田氏に提言したのが嘉手納統合案だ。既存の基地を活用することで普天間返還にかかるコストや期間を抑えられる「現実的な案」と岡田氏は受け止めた。>
 <「4000億円(の建設費)をかけてあの海を埋め立てるのは、どう考えてもピンとこない」。岡田氏は外相就任後、現行計画への不信感を外務省幹部に伝え、経緯を検証するよう指示した。>
◆防衛相、沖縄の疑心代弁
 <北沢俊美防衛相の軸足も首相と同じく沖縄にあるが、沖縄の窓口となる防衛省は別の苦しみがある。「鳩山首相は『選挙の結果を見て決める』というようなことをおっしゃっているが、県民世論を二分するような決め方だけはしないでいただきたい」。10月28日、首相官邸。名護市の周辺自治体の首長として長く普天間移設問題にかかわってきた儀武剛・金武町長が平野博文官房長官に迫った。「苦渋の決断」として県内移設の方針を受け入れてきた沖縄県など地元自治体側には、政府の迷走ははしごを外す行為と映る。特に首相が「沖縄県民の皆さんの意思」として2010年1月の名護市長選の結果を見極める発言をしたことは「また責任を押し付けるのか」との疑心暗鬼も生んでいる。地元との交渉の矢面に立ってきた防衛省内には「政治家としてのセンスを疑う」(幹部)など首相への反発も広がった。>
 そういうことだね。
 <北沢氏の現行の辺野古移設決着案は、そうした雰囲気を代弁している。10月17日には過去に県内移設先として浮上したことのある嘉手納弾薬庫や下地島空港などに井上源三地方協力局長を派遣し、代替案を検討する姿勢も見せた。いずれも結論は「難しい」。嘉手納統合案にこだわる岡田氏を説得する狙いだったとの見方もある。>
 <「民意を軽視する政治は必ず民意から反撃を受ける」。北沢氏は30日の参院本会議でこう答弁した。それぞれ「沖縄の負担軽減」を重視するとしながら、県外移設の可能性を否定しない鳩山氏▽嘉手納統合での決着を図る岡田氏▽辺野古移設を容認する北沢氏――。民意のとらえ方も三者三様だ。これに対し儀武氏は「時間をかけて検討はするが、最終的には現計画容認という腹か」といらだちを募らせる。県外移設への期待を高めた上で裏切る形になれば、批判の矛先は鳩山政権へ向かう。>
 <オバマ大統領来日まであと10日だが、首相は「来日まで結論を出す必要はない」と繰り返す。自公政権からの転換、「緊密で対等な日米同盟」の構築、沖縄への思い――。複雑に絡み合う立場と思惑をどう一つにまとめ上げるのか。待ちの構えをとる首相の指導力が問われる場面が続く。>
 以上が本文で、以下は横組み表だ。
◇米軍普天間飛行場移設問題をめぐる首相・閣僚の主な発言◇
◆鳩山首相
「県外移設に向けて行動を起こす」(7月19日)
「基本的な私たちのベースの考え方を変えるつもりはない」(9月24日)
「(選挙公約が)時間というファクター(要因)で変化する可能性は否定しない」(10月7日)
「来年の名護市長選と沖縄県知事選の中間ぐらいで結論が必要になってくる」(同16日)
「政治主導だから閣僚が自分の思いを述べることはあってもいいが、最後は私が決める」(同24日)
「県外、海外と訴えてきた。さまざまな選択肢を検討しそれなりの時間をかけて結論を出したい」(同27日)
◆岡田外相
「沖縄には基地が集中しており、負担を減らしたい。日米同盟を長く深くするには必要だ」(10月7日)
「県外は事実上、選択肢として考えられない。嘉手納基地への統合だと思っている」(同23日)
「今具体的に県外で可能性がある所はない。白紙で議論するのは時間がかかる。嘉手納になると思う」(同27日)
◆北沢防衛相
「事業が進む中で新しい道を模索するのは厳しい。県外・国外は時間がかかる」(9月26日)
「日米合意には県外、国外がある。選挙公約を全く満たしていないと認識するのは間違いだ」(10月27日)
◇米軍普天間飛行場返還・移設の経過◇
1996年 4月 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が全面返還発表。5~7年で返還
     12月 日米特別行動委員会(SACO)最終合意。海上施設を沖縄本島東海岸沖に建設
  99年12月 名護市が辺野古地区受け入れ表明
2006年 5月 在日米軍再編最終合意。14年までに代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部(辺野古)に移設、在沖縄海兵隊8000人をグアムに移転
  08年 7月 民主党が沖縄政策で県外・国外移設明記
 以上である。

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2009年10月31日 (土)

言葉の力  (20091031)

言葉の力

 議論を呼んでいたバラク・オバマ米大統領へのノーベル平和賞授賞について、ノーベル賞委員会(ノルウェー)のヤーグラン委員長が「授賞を2、3年後に延ばせば手遅れになる。オバマ氏一人ですべての事ができるわけではない。世界のすべての人が助けなければならない」などと語っていた。朝日新聞10月31日朝刊のインタビュー記事だ。

 「米国大統領を選べば論争になると分かっていた。しかし、オバマ氏は世界の問題の解決に新しい道筋を示した。それを支持したかった」という。核なき平和への希求である。先進各国の人々に共通した願いなのkもしれない。

 アメリカの現職大統領にノーベル平和賞を与えるということ。

 委員会決定に際しての障害はどんなものだったのか、にも触れていた。

 ①いろいろな議論があり、最後は全会一致で決めた。つまり、相当な反対論があった、ということだろう。

 ②アフガン問題は全委員が懸念し「アフガンは米国だけの問題だ」という委員もいたが、アフガンは全世界で解決すべき問題という認識になった、という

 ③現職の米大統領に与えること自体への懸念も出た。だが、論争にならない人にばかり授与すれば賞の価値は減じる。過去、最も賛否が分かれた授賞が最も成功している。ソ連のゴルバチョフ大統領への授与の時は「委員会は狂った」と非難されたが、われわれは正しかった

 ――というような内容である。

 ヤーグラン氏の「『オバマ氏は言葉だけだ』と言う人もいるが、言葉を過小評価してはいけない。言葉は時に危険だが、時に人に希望を与え、その希望が物事を良い方向に変える」という言葉が面白くて、久しぶりにパソコンに書き込んでおこうか、と思ったのだが、なかなか書くべき言葉が見つからない。

 もしかするとオバマ大統領は高い塀の上を歩いていて、失敗して内側に落ちると「あいつは口先だけの政治家だよ」非難され、と軽蔑される政治家だと思う。日本ではもっと露骨に「巧言令色 少なし仁」という言葉で雄弁の徒を斬り捨ててきた。だが、今の時代は「不言実行」ではだめなんだ、あくまで世論政治だから世論にアピールしなけりゃいけないんだ、ということか。

 10月25日の読売新聞[地球を読む]で英国の歴史家、ポール・ケネディ氏が平和賞について「業績より約束を重視したのか」としながら、ノーベル委員会の迷走に焦点を当てているのは、現実主義者の一般的な受け止め方の典型例だと思う。

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2009年10月29日 (木)

普天間:渡辺利夫・拓大学長の[正論]~09年10月29日、産経新聞

 産経新聞09年10月29日[正論]は渡辺利夫・拓殖大学学長の<国益を見据え「普天間」決断の秋>。コピペしておく。
 小見出しはそのまま置いておく。
≪問題解決の条件がそろう≫
 <「知恵の輪」という遊びがある。二つの金属の輪をあれやこれやといじくりまわしているのだが、どうしても抜けない。これがあっと思うほどすんなりと抜ける痛快な瞬間がある。なんだこんなことかともう一度やってみても、果たしてこれがどうにもうまくいかないのである。外交にだってそんな偶然のような好条件が生まれて、難題中の難題がすんなりと解決するといったことがあるような気がする。沖縄問題の解決にとって現在ほどいい条件が整った時期はかつてなかったのではないか。10月の中旬、沖縄で日本青年会議所主催のシンポジウムにパネリストの一人として招かれた私は、仲井真弘多知事としばらく歓談する機会に恵まれた。氏は“沖縄の意向はもう決まっているのだから、政府が方針をいちはやく決めてくれなければ、沖縄は動くに動けない”といった趣旨の困惑を吐露していた。困惑ではあるが、開けっぴろげな仲井真さんらしい率直な語りに私の方も“本当にそうですよねえ”と深くうなずいていた。沖縄県も名護市も沖合移動という条件は付しながらも現行の日米合意の基本計画を支持するにいたった。米海兵隊普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設は在沖縄米海兵隊8000人とその家族のグアム移転、空母艦載機の厚木から岩国への移駐、沖縄本島南部の6施設の全面返還などを含む「パッケージ」として2006年5月に日米両国政府によって合意された。日本は合意実現のために最大28億㌦の負担を米国に約している。>
≪複雑な沖縄世論にも悪影響≫
 <沖縄の世論が複雑をきわめていることを私とて知らないはずもない。しかし沖縄県と名護市の世論が沖縄の負担の大幅軽減を求めて日米合意の方向に現在ほど大きく傾いた時期はない。北朝鮮の2度にわたる地下核実験や大規模な軍拡により中国の東シナ海制海権の掌握が現実味を増している状況下で、これ以上問題をこじらせては日本の安全保障が危ういとする意識が沖縄県民の中にも高まってきたことの反映であろう。>
 <訪日したゲーツ国防長官は鳩山新政権の要人との会談において普天間の代替施設のキャンプ・シュワブ沿岸への移設が実現しなければ海兵隊のグアム移転はなく、それなくして人口の密集する沖縄南部6施設の全面返還も不可能だという主張を繰り返した。ゲーツ氏は極東での軍事力抑止と沖縄の負担軽減の二つを両立させようという戦略をもって日本の新政権に臨んだのである。>
 <沖縄と米国の「合意」を阻止しているのが日本の新政権である。これほどの皮肉もあるまい。11月のオバマ大統領の訪日の条件整備のためにやってきたゲーツ氏の訪日に際してもなお、首相は“来年の名護市長選、沖縄知事選などの様子をみて県民の総意を確かめたい”といい、外相は“日米合意の正当性を検証してからだ”といった趣旨のことを述べ、片や防衛相は“そんなに時間を浪費するいとまはない”といったりで、新政権の本意がどこにあるのかまるで不鮮明である。>
 <複雑な世論の沖縄である。市長選や知事選で県内移転派が勝利する保証はない。敗北ともなれば沖縄問題解決の「千載一遇」は消え去る。日米合意の検証といったところで、合意はその時々の政治的ベクトルの合成の帰結であって、条件の異なる現時点で正当性など検証できるものか。検証にどれほどの意味があるのか。仮に日米合意が不合理だとの結論が導かれたとて、米側がその結論をよしとして受け入れるとは思われない。>
≪信頼なくせば同盟も空洞化≫
 <外相のいう普天間基地の嘉手納基地への統合もすでに検証ずみのものだというのが米側の見解である。キャンプ・シュワブ基地の沖合移動は“県と政府の問題だ”との含みをもたせたゲーツ発言にさえ無反応であってみれば、待っているのは日米同盟「空洞化」の危機である。米国が信頼に値するアジアのパートナーとして選ぶのは、ひょっとして日本ではなく中国となる可能性がある。民主党のブレーン、ブレジンスキー氏などに根強い米中2極体制(G2)もあながち空想ともいえなくなる。集団的自衛権行使に踏み切れない片務的な日米同盟は、このポスト冷戦期にあってはそもそもが脆弱な存在なのである。>
 <脆弱な日米同盟をさらに脆弱なものにしようというのが民主党の本意ではあるまい。日米同盟は現在では日本と米国の2国関係を律する同盟というにとどまらない。北朝鮮問題、台湾海峡問題、何より中国の外洋進出を牽制して極東アジア全域の安定性を確保するための唯一の同盟なのである。日米同盟が崩れれば「極東のドミノ現象」が起こる危険性がある。>
 <どうしても抜けなかった「知恵の輪」が、あれと思うほど簡単に抜けてしまう希有な条件が整備されているのが現在である。民主党の諸兄よ、国益を見据えよ。ここは決断の秋である。>
 渡辺氏は沖縄が決断しているのだから、民主党も決断しろ、と言っている。

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2009年10月23日 (金)

外国人参政権の最近の動向と論拠をうまくまとめてある:産経新聞[正論]百地章氏~09年10月23日

 産経新聞09年10月23日[正論]は百地章・日本大学教授の<外国人参政権で危惧されること>。小見出しはそのまま置いておいて、コピペしておこう。
≪マニフェスト原理主義か≫
 <民主党政権が誕生して1カ月が過ぎたが相変わらずマニフェスト狂想曲が続いている。鳩山由紀夫首相は党のマニフェストに書かれた「2020年までに温暖化ガスを25%削減する」との政権公約をもとに、国内的合意ができていないにもかかわらず、早々と国連で宣言をしてしまった。前原誠司国土交通相は、地元住民や流域諸県の知事らが強く反対しているのを尻目に、マニフェストを根拠として八ツ場ダムの工事中止を断言し、てこでも動きそうにない。しかし民主党があくまでマニフェスト原理主義を貫こうとするのであれば、敢えて問いたい。「マニフェスト」に載っていない、というよりも同党の政策集「INDEX2009」に掲載されていながら選挙対策用に意図的にマニフェストから除外したとしか思えぬ「外国人参政権」。これを積極的に推進しようとするのは、国民に対する背信行為であり「マニフェスト違反」ではないのか。>
≪国家意識の希薄な政権幹部≫
 <民主党では結党時の「基本政策」の中に「定住外国人の地方参政権などの早期実現」を明記しており、何度も法案を提出してきた。しかも鳩山代表や小沢一郎幹事長をはじめ、菅直人副総理、岡田克也外相、前原氏ら幹部はいずれも積極的な推進論者である。小沢氏は代表時代の昨年夏、若手議員に「民主党が政権を取ったら、しっかり対応する」と語っており(読売新聞、昨年8月10日)、幹事長当時の岡田氏も「幹部の間では意思統一ができている」といってはばからない(日経ネット、7月20日)。さらに、鳩山代表はインターネット上で「日本列島は日本人だけの所有物ではない」「定住外国人の参政権ぐらい当然付与されるべきだ」「外国人参政権は愛のテーマだ」(産経新聞、4月25日)と言い出す始末である。これでは、民主党幹部らの国家意識を疑いたくもなる。>
 <国家とは政治的な運命共同体である。それ故、わが国の運命に責任を持たない外国人に対しては、たとえ地方選挙権であっても認めることはできない。国政と地方政治は密接で不可分の関係にあるからである。それに、もしも外国人に選挙権を付与した場合、さまざまな事態が危惧される。例えば、地方選挙権を手にした定住外国人が大挙して国境の島、対馬(市)で住民登録を行い、市長選や市議選においてキャスチングボートを握るようになったら、どうなるだろうか。すでに韓国資本による土地の買い占めが進行しているという対馬の現状に鑑みれば、これは決して杞憂とは思われない。>
 やっぱり対馬か。
 <日本国憲法は選挙権が「国民固有の権利」(15条1項)であることを明記している。これについて最高裁は、「憲法15条1項の規定は権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右権利の保障はわが国に在留する外国人には及ばない」とした。また「国」と「地方」は不可分一体であるとの認識のもとに地方自治体の選挙について定めた憲法93条2項の「住民」も「日本国民」を意味しており、外国人に選挙権を保障したものではない、としている(最高裁平成7年2月28日)。それゆえ外国人に参政権を付与することは、たとえ地方政治であっても許されない。推進論者が引き合いに出す、「地方選挙権の付与は禁止されない(許容)」とした部分はあくまで「傍論」に過ぎず、しかもその内容は「本論」と矛盾しており、まったく意味をなさない。それどころか、むしろ有害といえよう。>
≪在日韓国人に二重の選挙権≫
 <ところが、在日韓国人組織の「民団」は外国人参政権の実現に全力を挙げており、昨年暮れには、総選挙で推進派の民主党と公明党を支援することを決定し(朝日新聞、昨年12月12日)、全国で候補者のポスター張りなどの支援活動を活発に行ってきた(民団新聞、8月26日)。選挙権を有しない外国人がわが国の選挙活動にかかわるのは公職選挙法違反である。それに、外国人には「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす」政治活動の自由は認められていない(マクリーン事件、最高裁昭和53年10月4日大法廷判決)。それゆえ民団による組織的な選挙支援活動は明らかに内政干渉であって、憲法違反の疑いさえある。にもかかわらず、民主党は民団に選挙の応援を求め、政権奪取と外国人参政権の実現を目指してきた。>
 <在日韓国人の人々は本国で国会議員となる資格(被選挙権)を有する上に、今年から選挙権まで認められるようになった。それも国政選挙だけでなく、居所登録さえすれば韓国での地方選挙さえ可能である。その彼らがもし日本でも選挙権を行使することになれば、本国とで二重選挙権が認められてしまうことになるが、これも極めて問題であろう。従って、民主党政権が次期通常国会で通そうとしている外国人参政権は、何としても許すべきではない。>
 ふーん。

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2009年10月22日 (木)

国会代表質問の自民党の経済観を先取りしたのかな?:大田弘子さんの[正論]~09年10月22日産経新聞

 産経新聞09年10月22日[正論]は大田弘子・政策研究大学院大学副学長の<「外需」抜きの成長戦略はない>だった。小見出しはそのままにしておく。コピペする。
≪「分配」ばかりが目立つ≫
 <国政における与党と野党の最大の違いは、さまざまな政策を「予算」という最終形に落とし込む責任があるかないかである。予算は政策のすべてを反映する。予算にする段階で財源を工面せねばならないし、あれかこれかの選択を迫られる。予算を策定しなくていいのなら、あれをやれ、これもやれ、と批判するだけでいい。これまで批判する立場だった民主党がいよいよ本格的な来年度の予算づくりに入った。麻生内閣が短期間で積み上げた補正予算を斬ることと違って、新政権の真価を問う第一ステップになる。>
 そういうことだ。
 <長年続いた自民党政権では至るところに“鉄の三角形”、すなわち政治家と業界と官僚の三者がもたれ合う強固な既得権集団がつくられ小さな改革でも岩盤にぶちあたった。本格的な政権交代でこの岩盤が崩されるのは喜ばしいことである(もっとも、郵政という最強の岩盤は逆に復元されそうだから、簡単に喜ぶわけにはいかない)。既得権から自由という利点の一方で、民主党の政策で決定的に欠けているのは成長への危機感である。経済政策には成長のための政策と分配のための政策がある。どちらも重要だが、民主党が重視するのはもっぱら分配政策である。最低賃金の1000円への引き上げ、製造業への労働者派遣の禁止、温暖化ガス25%削減……これだけでは、あたかも製造業は生産拠点を海外に移せばいい、と言っているようである。分配の源となる付加価値は一体誰が生み出すのか、民主党の政策からは見えないのである。>
 相当に怒っているのか? あまりに冷静な筆致なので分からないが。
≪子ども手当は内需拡大策か≫
 <月額2万6000円の子ども手当が、内需拡大策として掲げられ、国際会議でも表明された。個人消費の増加は人口が減少する日本にとってきわめて重要な課題である。このことに異論はない。しかし、子ども手当は、ほんとうに内需拡大策なのだろうか。少子化対策ではあっても、内需拡大策とは言えないのではないか。消費を増やすために二つの手法がある。第1は政策によって直接家計を潤し消費を増加させる政策だ。定額給付金や所得減税や手当の増額がこれに当たる。第2は転業・廃業の支援やグローバル化の加速などで企業の側の体質強化を促し、賃金を上げられるようにすること、また規制改革などで消費者ニーズを満たす新サービスが生まれるようにすることである。>
 規制緩和ですか。小泉=竹中路線のPRですね。
 <第1の手法で政策的に家計に行くお金を増やせば、当然、家計の消費は増える。しかし将来世代に依存する赤字国債で賄うのでない限り、その費用は同世代の誰かが負担するだけであって、消費の拡大効果がそう期待できるわけではない。もちろん行政のムダを省くとか、子育て世帯を支援するとか、その趣旨自体はいいにせよ、これを持続的な内需拡大策として位置づけるには無理がある。むしろ子ども手当は明確に少子化対策として位置づけ、豊かな層も含めるのか、託児所などの育児サービス充実とどちらがいいか、を議論すべきではないか。>
 何か分かりにくい。
 <日本経済の根本問題は製造業以外の産業の生産性の低さとグローバル化の遅れである。GDP(国内総生産)の7割を占める非製造業が体質強化しない限り、雇用機会は増えず、賃金も上がらない。したがって第2の手法での改革を行わない限り、内需は強化されないと私は考える。>
≪アジアの中間層に着目を≫
 <また、これからの日本の活路は、アジアである。アジアで増えつつある巨大な中間層(一定以上の所得を持つ層)にアピールする製品や農産物をどれだけ生み出せるか、観光等のサービスを提供できるか。この点に、日本経済の将来がかかっていると言ってもいい。中国だけで人口13億人、仮にこの1割が富裕層になるとしても、日本の人口を上回る。鳩山首相は「経済を内需中心に転換させる」と主張するが、人口が減る日本にとって外需はきわめて重要である。国内での消費を増やすことと、外需を増やすこと、この両方はどちらも同じくらい重要であり、両方ともに、企業の体質強化とグローバル化がカギである。>
 麻生首相時代に非常にいいなあ、と思ったのは東アジアの需要まで内需ととらえる、という政策だった。この見方で言えば、鳩山内閣の政策も外需であり、内需なのではないか。
 <政策の人気度で言えば、財政で家計を直接潤す第1の手法は、歓迎される。他方、供給側に改革を促す第2の手法は一部の人の痛みを伴うから人気がない。規制改革にも農業改革にも抵抗が強い。しかし第2の手法なしに日本経済の将来展望は開けない。非製造業の生産性向上とグローバル化を柱に据えた成長戦略は福田内閣でも策定し実行段階に入りつつあった。政権交代だからといってすべてを反故にするのではなく、逆に補強して加速させてほしい。既得権から自由な民主党だからこそ取り組める構造改革があるはずだ。国土交通省、経済産業省はそれぞれ成長戦略会議を設立するという。成長できる経済への政策が来年度予算にどう組み込まれるか、その点を私は最も注目している。>
 総論賛成だね、大田さんの言うことには。各論はいろいろある。

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2009年10月12日 (月)

北朝鮮での権力のあり方=白頭山の山脈>漢拏山の山脈>富士山の山脈:鳴り物入りで歓迎された在日帰国者は貧乏になったら鼻も引っかけられないのか! これが北朝鮮の実態だ~朝鮮日報09年10月12日

 朝鮮日報09年10月12日朝刊の<離散家族/再会事業が変えた北朝鮮住民の境遇>は当たり前のことを書いているのだが、最近、日本の新聞が当たり前のことを書こうとしないので、参考になるのだ。カン・チョルファン記者の署名記事。読んでみよう。
 <北朝鮮では、南北離散家族再会事業(9月26日-10月1日)に参加するのは大変な恩典だ。だが、韓国の家族と接触することは後々の体制変化の原因となりかねないため、北朝鮮の体制が信用していない階層は、再会事業の対象から除外される。対南工作機関出身のある脱北者は「離散家族再会事業は労働党統一戦線部の管轄だ」と語った。統一戦線部は再会申請を受け付けた後、国家保衛部と人民保安省(警察)を通じ身元調査を実施する。選定の基準は「政治性」と「宣伝性」だ。国軍捕虜や拉北者(韓国人拉致被害者)の場合、政治的価値が認められる。これらの人物を含めると韓国側で提起する国軍捕虜・拉北者の送還問題をなだめることができると考えている。「宣伝性」とは、北朝鮮で出世したり、金正日政権から何の危害も加えられていない家族のことを指す。これらの人物なら韓国側の家族と会った際、金正日総書記の偉大さを心から宣伝できるというわけだ。>
 ということ。当たり前でしょ? でも、あまり知らない人もいるのだ。
 <再会対象者に選ばれると、1-3カ月間にわたり統一戦線部で教育を受ける。北朝鮮は初期のころは衣類などあらゆる費用を負担していたが、現在は個人が負担する。再会後にプレゼントを受け取ることはできるが、現金は銀行に入金し、1カ月に100㌦(約9000円)までしか使えないようになっている。>
 <北朝鮮にいる離散家族の中で一番の悩みは、戦争で離れ離れになった家族を「戦死者」と偽る階層だ。北朝鮮で戦死者の家族は出世の道が開けるが、突然再会申請が出されると、「履歴欺瞞罪」が適用されることになる。この場合、幹部職から追いやられるのはもちろん、再会も不可能になる。北朝鮮サッカー代表の監督を務めたユン・ミョンチャン氏もこうした理由で韓国に亡命したケースだ。ユン氏は韓国に渡った父親について、戦争のとき爆撃で死亡したと申告していた。>
 <ところが父親が韓国で生存していることが判明し、「履歴欺瞞罪」に問われることになった。結局、北朝鮮を脱出するよりほかにない境遇となったわけだ。北朝鮮で履歴欺瞞罪は、収容所送りになりかねない重罪に当たる。>
 まあ、。知っていてそういう処置をしたのならば、バレるまではいい思いをしたのだから、仕方ないだろうね。
 <離散家族再会事業によって、北朝鮮では「漢拏山の山脈(越南者)」という新造語が生まれた。北朝鮮の中核を占めるのは「白頭山の山脈(抗日パルチザンおよび戦争参加者)」で、「富士山の山脈(在日朝鮮人の家族)」は、日本からの送金があるお陰で裕福な階層のことを指す。越南者の家族は、北朝鮮では賤民のように扱われていたが、離散家族再会が行われるようになったことで、再評価されている。日本による北朝鮮制裁が長期化する中、「富士山の山脈」はほとんどが没落したが、その一方で、韓国に親戚がいる越南者の家族が新たに浮上した。>
 富士山の山脈は没落してしまったのか。まあ、没落しても繁栄しても私には関係ない人だから、気にならないが。かえってバイアスのかかった北朝鮮政策に引っ張られなくてよかったのかもしれないが。
 <しかし、韓国側の家族と再会した人たちは、その瞬間から地域保衛部の監視対象となる。中国などを通じた密会を監視するためだ。北朝鮮の敵対階級が韓国から金を受け取り裕福になることを、体制存亡の問題と見ているわけだ。とはいえ、貧しい保衛部の要員は韓国から流入するドルの方により大きな関心を寄せ、違法な接触が行われても金さえ出せば目をつぶり「持ちつ持たれつ」の関係となっている。>
 金がすべての世の中かぁ、理想の社会、北朝鮮を褒めそやかした進歩的文化人よ、責任を取らないままに棺桶に入った人が何と多いことか。

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日中韓首脳会談、韓国メディアの報じ方~09年10月10日、12日の中央日報、朝鮮日報

 韓国の新聞はどう報じたのか。中島哲男・毎日新聞論説委員の[社説ウオッチング]ではないが、この東アジア首脳会談の内容を見れば気になるところだ。
 韓国の中央日報は09年10月12日付<姿勢変えたような北朝鮮/喜ぶ中国、慎重な韓日>という見出しでまとめ記事を書いていた。
 <10日に北京で開かれた韓中日首脳会談に出席した中国の温家宝首相の発言に国際社会の耳目が集まった。5日前に平壌で北朝鮮の金正日・国防委員長と会談してきた当事者だった。温首相は記者会見で「金委員長と(3日間に)10時間会った」と紹介した上で「北朝鮮が(米国はもちろん)韓国・日本との関係改善を望んでいる」と伝えた。「今回の訪朝で得た最も大きな手応えだ」と強調した。対話をしようという金委員長の攻勢が全方位にわたっていることが改めて確認された。これはそれだけ現在の「対峙」局面を「対話」局面に転換させようという北朝鮮の意志が強いことを示す。核実験と再処理施設稼働などで核抑止力を誇示したが、いまでは交渉を通じて得られるものは得ようという判断をした可能性もある。国際社会の制裁を回避しようという意図もあるだろう。>
 ここまでは、まだ事実経過の紹介だ。
  <韓国・日本にまで対話の意向を明らかにしたのは、米朝対話を控えた布石の意味がある。融和ムードを作り直接対話に反対する米国内の一部世論をなだめ、オバマ政権の負担も減らせるためだ。「機会をしっかり握れなければ消える可能性もある」とした温首相の発言からは単純な伝達以上の中国側のメッセージが込められている。温首相は「6カ国協議と2国間対話が矛盾だとは思わない」とも話している。活発な二国間対話を通じて早い時期に北朝鮮の核交渉を再開させようという中国の意中が読み取れる。>
 まあ、何も言っていないに等しいのではないか、この文章では。
 <一方、李明博大統領は慎重な姿勢を見せた。李大統領は「常に開かれた心でいる。北朝鮮にグランドバーゲン(一括妥結)を説明したい」と述べた。しかし「会うことの目標は核を放棄すること。北朝鮮が核を放棄する準備ができたときに北朝鮮が望む協力ができる」との言葉も忘れなかった。「対話のための対話」はしないというこれまでの立場を再確認したものだ。>
 李明博大統領がブレていないことが確認できただけでも大きい。この長い記事の中の唯一の救いなのかも。
 <米国は長考を繰り返している。米朝会談の準備ができていると明らかにしているが、実際に対話に乗り出す代表団の地位と議題の水準については方針を確定できずにいる。6カ国協議が最終解決の場になるべきだ、という関連国の認識が一致しながらも、その中間段階での二国間会談を行うことには微妙な溝があることが現れた。関連国間の微妙な立場の違いが見られる「グランドバーゲン」についても同様だった。温首相は会談で「韓半島の非核化のため韓国の努力を評価する。開放的態度で積極協議していきたい」と述べた。中国当局者はグランドバーゲンを「大交易」と呼び関心を表明してきたという。これはより明確な語調で積極的同意を示した日本の鳩山由紀夫首相の発言とは画然とした温度差が感じられる。>
 李明博大統領が提案したグランドバーゲン。鳩山首相が同意した、と。まあ、そういうことなんだけど、本来は日本が口火を切っていた「包括協議」を李明博大統領に言っていただいた、という面があるのではないか? だから、日本は李明博大統領を大事にしないと罰が当たる、というのだが。
 <鳩山首相は一歩踏み込んだ。日本人拉致問題が包括的交渉案に含まれるべきということを改めてクギを刺したものだ。韓国政府もこれに対し了解を示した。これとは別に米国は人権問題を包括的交渉案に含めるべきとの考えを持っていると外交当局者は伝えている。しかし、核交渉だけでも難題が山積みなのに、解決策を引き出すのが困難な拉致・人権問題まで同じテーブルに上げるならば交渉はより難しくなるという指摘も出ている。これについて韓国政府当局者は「グランドバーゲンの基本哲学がすべての懸案を一度に妥結しようというもので、北朝鮮の核問題の終着地は米朝・日朝関係の正常化が含まれる。大変であってもこうした問題も交渉しないわけにはいかない」と述べた。>
 あまり李明博大統領を追い詰めるような、危険ば場所に行かせるようなことをしないで、日韓が仲良く進んでいきたいものだ。
 中央日報は10月10日の社説<新韓日関係/手につかめる結実が重要>でも歴史問題などには触らず、前向きな課題で終始し、いい感じだった。
 社説を読んでみる。
 <鳩山由紀夫日本首相が昨日、青瓦台(大統領府)で李明博大統領と首脳会談を行った。新しい日本の首相が就任3週目に、2国間レベルの最初の訪問国に韓国を選んだのだ。今日北京で開催される韓日中3カ国首脳会談の場を借りて韓国首脳と会談できるにもかかわらず、敢えてソウルを訪れたのは、未来志向的な‘新韓日関係’に対する鳩山首相の強い意志の傍証だと考えられる。韓国と中国を含むアジアとの関係を重視する鳩山外交が昨日の訪韓で本格的に始まったのだ。>
 歴史的な意味に触れながら喜んでいる。良かった。
 <首脳会談後に開かれた記者会見で、鳩山首相は「前向きに歴史を直視する勇気を持つべき」と述べながらも、過去の歴史に関する具体的な懸案については慎重な立場を見せた。1995年8月15日の終戦記念日を契機に出てきた、いわゆる「村山談話」を超える水準の謝罪の表示があるかもしれないという期待があったが、「村山談話の意味を政府と国民一人ひとりが重要な考えだと理解することが大切」と述べるにとどまった。李大統領が提案した天皇の訪韓や在日同胞の地方参政権問題についても国内事情に触れながら具体的な答弁を留保した。鳩山首相が置かれた国内政治的な状況を勘案しても、歴史を直視する心とその心を行動に移すことは別の問題ということを、われわれは改めて感じざるを得なかった。「韓日関係は近くて近い関係になるべき」という鳩山首相の認識が近い将来、具体的な結実につながることを期待する。>
 文句を言っているようにも見えるかもしれないが、これは昔を知ってる人間から見ればいいほうなのだ。
 <当面の懸案である北朝鮮の核問題に対して両国首脳は同じ声を出した。 李大統領が提案した北朝鮮核問題の一括妥結案、すなわち「グランドバーゲン」構想に対し、鳩山首相は「正確で正しい案」と強力な支持を表明した。 しかし「(李大統領は)拉致問題が包括的解決パッケージに当然含まれていると述べた」と明らかにし、拉致問題とグランドバーゲン構想への支持を交換するようなニュアンスを漂わせた。 日本の立場を理解できないわけではないが、北朝鮮がこれを受け入れるかどうかは疑問だ。>
 これも修辞法の範囲だね。
 <すでに明らかにしたように、韓国は鳩山首相の東アジア共同体構想を歓迎する。昨日の首脳会談でもこの問題が論議され、今日の韓日中首脳会談でも主要議題の一つになるという。 鳩山首相は東アジアの範囲にASEAN(東南アジア諸国連合)とインド・オーストラリア・ニュージーランドが含まれると説明しているが、当然その中心は北東アジア3カ国でなければならない。鳩山首相は東アジア共同体構想が机上空論でないと話すが、まだロードマップも出ていない。今回の韓日中首脳会談ではこれに関してより進展した構想が出てこなければならない。すぐに実現するものではないだけに、小さなことから一つずつ築いていく姿勢で、具体的にどの分野から協力していくのかについての説明が出てくることを期待したい。>
 まあ、きついことを言っているようにみせて、内実はベタ褒め、という時によく使う修辞法だと思う。
 ついでに10月10日の【グローバルアイ】も見ておこうか。金東鎬(キム・ドンホ)東京特派員のコラムである。見出しは< 米国の「本音」と「建前」>だ。
 <日本人は表と裏が違うことで有名だ。 地下鉄で足を踏まれてもむしろ「すみません」と反応する。腰まで大きく曲げたりもする。内心はよい気持ちであるはずがない。それでも表面上はぐっとこらえる。不必要な衝突を避けるためだ。逆にうれしいことがあれば「表情管理」をする。内心が露出しないようにだ。>
 <日本の新政権に対する最近の米国の対処戦略がちょうどこれと似ている。日本で長く続いた自民党政権が代わると、米国は‘おおげさ’なジェスチャーを見せてきた。まず鳩山由紀夫首相の論文「私の政治哲学」から始まった。鳩山首相は「世界は米国の一極支配時代から抜け出している」と主張した。これはすぐに「反米政権が誕生したのではないか」というざわめきとして日本に伝わった。>
 <鳩山首相はさらに「対等な日米外交」を宣言した。一方、米国が警戒中の中国に対しては「東アジア共同体」を構築しようと提案した。岡田克也外相は「共同体は韓日中とインド・オーストラリアなどを含む」と米国排除の立場を表した。韓日中間でも‘同床異夢’で解釈されているこの構想は、きょう北京で開かれる3カ国首脳会談でさらに具体化される。>
 東アジア共同体でどこが注目されるか、と言えばやはり「米国抜き」ということだろうね。諸外国はそこしか見ていないのだろうね。
  <日本のこうした「脱米入亜」を一部の人々は日米間の葛藤要素と見なしている。しかし「本音」と「建前」は日本の専有物ではなく、強大国がよく使う外交戦略であることは、数多くの歴史的事実を通してずっと以前から立証されている。米国の本音はまず、日本の政権交代を大きく歓迎しているということだ。協力会社の経営陣がずさんならパートナー会社が負うリスクと負担は高まる。解決策は内部改革を通して生まれ変わることだが、自民党は期待を裏切った。そういう時に現れた民主党政権は米国にとってはむしろ新たな希望だ。米国としては強いパートナーが必要だ。中国に続きロシアも資本主義を加味し、ユーラシアの軍事大国として復活中だ。米国だけでは手に負えなくなっている。最も信頼できた協力者は侵略戦争という原罪のため露骨な軍備増強が難しい。米国の核の傘を使う代わりに資金係の役割をよく果たしてきたが、バブル経済後は自国のことで精一杯になっている。>
 この見方が外国人の日本観なのだろうね。
 <鳩山政権はアジア重視を主張しているが、最大の同盟が米国という立場は揺るがない。鳩山首相は本音を徐々に表している。鳩山首相は8日、自民党政権当時に決まった沖縄・普天間基地の外部移設合意を容認することを示唆した。公約を覆す発言だ。来月12日のオバマ米大統領の訪日に合わせて、緩んだ日米関係の強化に動き始めたとみられる。>
 冷静だね。
 <日本人の中には原爆投下と敗亡のため根深い反米意識がある。鳩山首相はこれを勘案して、米国の思い通りには動かないという勇気を見せているだけだ。日本の内心を読むのも難しいが、いまや米国の内心も慎重に読み取らなければならないようだ。本音と建前は日本だけの専有物ということはできない。>
 韓国では日本への過度の恐れがあるのだろう。だから、日本の「本音」と「建前」などというのだろう。本音と建前というのは、日本以上に儒教国家である韓国や北朝鮮、中国や台湾にこそあると思うのだが。でも、それが今の韓国人の常識なのだ、ということも、これは冷厳な事実である。
■朝鮮日報10月12日社説
 朝鮮日報は10月12日付社説が<温首相が伝えた金総書記の対話提案>だった。読んでみよう。
 <李明博大統領と中国の温家宝首相、日本の鳩山由紀夫首相は10日、北京で韓中日首脳会談を開いた後の記者会見で、北朝鮮と積極的に対話する必要があるという共通認識を示した。韓中日の首脳による定例首脳会談は今年で10年目となる。国際社会は今回の首脳会談で、北東アジアの主要3カ国が域内最大の懸案である北朝鮮問題にどのような解決法を示すのかに注目した。>
 <温首相は今月4日から6日まで行った訪朝の結果を説明し、「金正日総書記と数回会い合計で10時間一緒にいた。最も長い会談は4時間だった。北朝鮮は6カ国協議に柔軟な姿勢を見せ、米国との関係改善を望んだだけでなく、韓日との関係も改善したいと語った。今が北朝鮮と対話すべき機会だ」と述べた。しかし、温首相は北朝鮮が、2国間、6カ国による協議で核兵器を放棄するという戦略的決定を下したかについては言及しなかった。>
 <北朝鮮の国営メディアは今月5日、金総書記が温首相と会い「われわれ(北朝鮮)は朝米会談の結果を見て(6カ国協議を含む)多国間会談を進める用意を表明した」と報じた。中国から建設費が2000億ウォン(約150億円)を超える鴨緑江大橋の建設など大規模な支援を引き出した北朝鮮が中国の体面を意識したように6カ国協議への復帰可能性を示唆したが、それが実現するかどうかは「米朝会談の結果」にかかっているという姿勢だった。>
 <中国の北朝鮮に対する影響力を考えれば、中国は北朝鮮を核問題をめぐる交渉のテーブルに引っ張りだす仲介役としての役割を超え、北朝鮮が核を完全放棄するように積極的な役割を果たさなければならない。中国が仲介した北朝鮮との対話が今回も成果なく終わり、結局北朝鮮が核を保有する状況で緊迫すれば、北東アジアは恐怖の核競争に陥る可能性があり、これは中国にとっても最悪の状況だ。李大統領は「北朝鮮の核放棄を前提として、常にオープンな心で対話する用意がある」と述べ、鳩山首相も「金総書記の言葉を信頼したい」と指摘した。>
 <重要なことは北朝鮮との対話そのものではなく、対話を通じて北朝鮮に核を放棄させ、共に繁栄する北東アジアの一員として参加させることではないか。李大統領が北朝鮮の核問題と対北朝鮮支援を一括した交換条件とする「グランドバーゲン」を提案したのに対し、温首相は「開かれた態度で協議していく」と述べ、鳩山首相も「方向に共感を覚える」と述べた。グランドバーゲンの具体的内容は、韓中日3カ国が議論すべき部分が多く残されているという。米国も似たような態度を示している。6カ国協議の参加国は北朝鮮との個別対話に先立ち、北朝鮮の核問題に実質的に終止符を打つ共同プランを作ることが急務だ。北朝鮮核問題を解決できるかは、韓中日と米国が言葉だけでなく、共に行動に移すことができる解決法を提示できるかにかかっている。>
 交渉のための交渉はもういい。問題解決のための交渉をしようよ、と。この声が必要だね、この問題では。

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2009年10月11日 (日)

韓国の若者が北朝鮮の人権にショックを受けているそうだ:良かった~朝鮮日報09年10月11日

 朝鮮日報09年10月11日に<「韓国の大学生よ、北の人権問題を無視するのか」/スーザン・ショルティー代表インタビュー/「若者が北の実情に無関心、外国人として衝撃」/「皆さんが沈黙すれば、北の住民は死に続ける」>という記事が出ていた。そのものズバリである。韓国語の「運動圏」の学生たちは北朝鮮に甘い。そこで、米国人のおばさんに怒ってもらった、という趣旨の記事である。大変ですね、韓国の大人も、言うことを聞かない若者を抱えて。だけど、団塊世代のころの日本よりは扱いやすいでしょう。
 読んでみよう。
 <北朝鮮の人権問題をめぐり運動を繰り広げてきた米国ディフェンス・フォーラムのスーザン・ショルティー代表は、今年初めに延世大学アンダーウッド国際大学(UIC)のイ・ジョンフン学長から1通のメールを受け取った。>
 <「韓国の大学生は過去10年間、北朝鮮の人権についてまともに見たり聞いたりすることができなかった。韓国には脱北者のほかに、北朝鮮の人権に精通した人も、若者にこの問題を教え伝えようと取り組む人も少ないのが実情だ。恥ずかしいことだが、あなたに第3者の立場から“事実(fact)”を伝えていただきたい」。ショルティー代表は1996年から脱北者を手助けしてきた功績が認められ、昨年「ソウル平和賞」を受賞した人権運動家だ。同氏は8日、本紙との単独インタビューで、「2005年2月に韓国を訪問した際、“韓国人、特に若い世代は北朝鮮の実情を知らなすぎる”と思った。当時の経験を思い返し、今回の依頼を受け入れた」と語った。>
 <当時、ショルティー代表は西江大学で北朝鮮人権市民連合主催で行われた「第6回北朝鮮人権・難民問題国際会議」に出席していた。韓国やオーストラリア、米国、ノルウェーなど9カ国から人権運動家や学者550人が参加した。>
 <「会議を目前に控え、西江大学のキャンパスには韓総連(韓国大学総学生会連合)のメンバーなど、一部大学生が反対デモをしていた。“行き過ぎた反北は南北和解に逆効果”という内容のプラカードを掲げていたのが衝撃的だった」。ショルティー代表は「隣人が苦難を味わっているのに、知らないふりをするのか」と問いかけた。「直接助けられなくても、気の毒に思うのが人情の常ではないか。飢え死にする北朝鮮の住民を助けようというのに、ほかでもない韓国の若者が反対するなんて。それだけ北朝鮮の実情を知らないということだろう。北朝鮮の住民に自由な世界を伝えること以上に、韓国人に対し北朝鮮の実情を伝えるのが切実だと感じた」>
 <ショルティー代表は今月3日に韓国を訪問、5日から9日まで1日2時間、延世大で特別講義を行った。同氏は昨年本紙が制作し、海外で数々の賞を受けたドキュメンタリー『天国の国境を越える』を学生に紹介した。また、毎日脱北者2、3人を招き、生々しい証言も聞かせた。>
 <正式に単位を取得できる科目だが、学生に広く伝わっておらず、最初は受講生が20人にすぎなかった。ところが日を追うごとに、がらんとしていた講義室は、1日でびっしり埋まるようになった。口コミで広がり、受講生が押し寄せたためだ。>
 <リュ・ヒョンジェさん(21)=延世大1年=は、「父親と同じ世代の50代の脱北者が、わたしの目の前で唇を震わせながら“北朝鮮では日々延命するのも大変だった”と話すのを聞いて驚いた。『天国の国境を越える』を見るまでは、脱北の過程がそんなに過酷だとは思わなかった」と話した。>
 <7日午後、正規の講義とは別に行われた公開講演には、学生120人余りが集まった。この席でショルティー代表は、「1日に何百人もの人々が飢え死にする国が、長続きするはずがない」と語った。>
 <同氏は、今月1日に北朝鮮住民11人が漁船に乗って韓国入りしたニュースを知っていた。北朝鮮の強制収容所が経済犯であふれているとの本紙報道については、「厳しい食糧難を考えれば当然の結果」と述べた。>
 <「配給体制が崩れている。北朝鮮住民の60%以上がブラックマーケット(闇市)で米を買っている。いくら悪名高い北朝鮮の強制収容所でも、闇市で取引する人たち全員を収容することはできないだろう。残酷だった日帝植民地時代のように、北朝鮮政権もいつかは終わりを遂げる」>
 <ショルティー代表は「北朝鮮の核問題よりも、“北朝鮮の人権”に主眼点を置くべきだ」と主張した。核兵器は北朝鮮政権の唯一の命綱だが、これを自ら進んで放棄するわけがないという。同氏は「北朝鮮の人権問題を北朝鮮内外で公にしなければならない。近いうちに、北朝鮮で“下からの革命”が可能になると信じている」と語った。>
 <「1日に数十人、北朝鮮の女性が中国の闇市場で人身売買されている。自分の妻、娘、母親がそのような境遇にあったら耐えられるか。韓国人の沈黙は北朝鮮住民の死を意味する。北朝鮮の実情を肌で感じた人ならば、誰もが行動せずにはいられないはずだ」>
 <ショルティー代表は「北朝鮮に放送を流し、ビラを飛ばし、中国をさまよう脱北者を救出する事業への支援が必要だ」と話した。同氏は脱北者救出プロジェクトに、「ソウル平和賞」の賞金20万㌦(現在のレートで約1800万円)の大半を寄付した。>
 <7日の公開講演で同氏は、「北朝鮮の人権を改善するためには、韓国の大学生の力が必要だ」と訴えた。「韓国の大学生は1980年代、民主化の主役だった。21世紀においても北朝鮮の民主化のために、韓国の大学生の努力と関与が必要だ。小さな努力から始めてほしい」>
 <ある学生が手を挙げ、「実際に何をすればいいのか」と尋ねたのに対し、ショルティー代表は「あなたができることなら何でも」と答えた。ショルティー代表は12日、米国に帰国予定だ。同氏は毎年4月に米ワシントンで開催している「北朝鮮自由週間」のイベントを、来年にはソウルで行うことを決めた。韓国の若者たちの身近で北朝鮮の人権問題をアピールするためだ。>
 そういうことだろうね。でも、まだ救いはある。韓国の若者がショルティーさんの話を聞いて、「北朝鮮はそんなにひどいのか」とショックを受けた、というからだ。
 日本もそうだが、韓国はそういっては悪いが、日本以上に単純な若者が多い。韓国の大学って日本の高校のような大学が多いのだ。そういう大学でこうして真実を教えれば「運動圏」も少しは変わってくるんじゃないかね?

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中島哲夫氏の社説ウオッチング北朝鮮核問題、しっかりした分析だった~毎日新聞09年10月11日朝刊

 毎日新聞09年10月11日朝刊[社説ウオッチング]は<北朝鮮核問題/6カ国協議巡り懸念/米中に注文・疑問――毎日・読売・日経・東京/世論の分裂を反映――韓国紙>。中島哲夫・論説委員による分析だった。
 <オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞が決まった。核兵器のない世界を目指す姿勢が特に高く評価されたものだ。しかし、オバマ氏が9月、国連安保理の首脳会合で自ら議長を務めて採択した「核なき世界」の決議を、北朝鮮外務省は「核大国の一方的要求だけが列挙されている」などと非難し「少しも拘束されないだろう」と冷笑した。この国の核問題はいったいどうしたら解決に向かうのか。>
 という書き出しで、オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞という最近のトピックスに絡めて、北朝鮮の核問題から入っている。
 <当面の焦点は、金正日・総書記が温家宝中国首相と5日に行った会談で6カ国協議復帰の可能性に言及したのを受けた展開だ。日韓の主要紙の大半が、この会談について7日付で社説を掲載した。その論調を比較する。ただし朝日は8日付。産経は事前に「中朝接近」を警戒する社説を掲載したにとどまった。なお、6カ国協議の表記は統一されていない。>
 ということで、この分析の対象が明示される。
 <金総書記の発言の核心部分は「米国との会談結果を見た上で多国間協議を進める用意がある。多国間協議には6カ国協議も含まれる」という内容だ。その前段には「朝米会談を通じて、朝米間の敵対関係は必ず平和的関係に転換されねばならない」とある。これらは北朝鮮の公式報道による。米国との会談とは、米政府が検討中で遠からず実現する見通しの米朝2国間対話を指す。「あくまでも対米交渉に主眼を置く構え」(読売)、「6カ国協議復帰の是非は、米朝直接協議で何を得られるかにかかっているという趣旨」(日経)といった解釈で足並みがそろったのは当然だろう。毎日も同様の見方だが、特に北朝鮮の思惑を具体的に説明した。米朝対話の席で国交樹立や平和協定締結を求め、成果を得てから多国間協議に応じる。それもすぐに6カ国ではなく、「米中朝」や「米中朝韓」を優先するとの情報が流れており、日本が参加できるか楽観できないという分析だ。>
 裏ではそういう動きになっていたのか。このところ、細かく読まなかったから知らなかった。
◇「日韓の排除許さない」
 <こんな展開を阻止すべきなのは言うまでもない。各紙は米国に注文を付けた。毎日が求めたのは核放棄の見返りの交渉に踏み込まない「細心の注意」と日韓の排除を許さない「緊密な連携」だ。日経は「米国には北朝鮮の核問題に確たる進展がないまま、テロ支援国家指定を解除した前科がある」と指摘し「安易な譲歩を繰り返してはならない」と警告した。朝日の「ブッシュ政権末期には日中韓などとの十分な調整もなく北朝鮮との妥協に走った。その愚を繰り返してはならない」という主張も似た趣旨であろう。読売も「日中韓露」との十分な調整を求め、東京は「北朝鮮のペースに乗るべきではない」と注文した。>
 米国は前科者なのか。ブッシュ政権の末期のいろいろな動き、いまだになぜああいうことになったのか、意味が分からないのだが、はっきりと論理的に説明してくれる論者が出てきていないようなのだ。
◇朝日は中国に触れず
 <一方、中国への注文や疑問も相次いだ。毎日は「中国は北朝鮮の命綱を握っているも同然だ」と指摘し、北朝鮮への影響力行使を求めた。読売は、核開発を続ける北朝鮮への制裁実施に中国が「慎重な姿勢を示してきた」ことが「今日の事態を招く一因になったとも言える」と不満を表明。安保理の制裁決議の厳格な履行を求め、「(北朝鮮の)貿易量の過半を握る中国の責任は重い。経済的テコは存分に活用すべきだ」と主張した。日経は、温首相訪朝の際に「北朝鮮との間で経済・貿易、教育分野などの協力文書に調印した」ことに疑問を呈した。「国交樹立60周年の記念訪問とはいえ、6カ国協議復帰の言質を取る見返りに、北朝鮮への経済支援を拡大した印象はぬぐえない」という「疑念」である。東京も中朝協定調印に触れ、中国の支援約束が「制裁決議の効力を弱めるという矛盾にもなりかねない」と指摘した。朝日には中国への注文がない。この問題を論じる上で適切な姿勢だろうか。>
 朝日新聞が中国への批判を手控えていることを厳しく指摘している。よく分からないが、朝日新聞にはそういう癖があるんじゃないか?
 <この中国への疑問という点では韓国紙の方が表現が直接的だ。保守系大手紙のうち朝鮮日報は、制裁が実施されている状況での経済支援を含む協定調印を「過去の対処の過ちを繰り返すものだ。このようなアプローチは対北制裁の国際協力体制を崩し、6者会談参加国の対北交渉力を大きく下げる憂慮が大きい」と批判した。また東亜日報は「中国が対北影響力を維持するために国連が禁止した支援を約束したのなら安保理常任理事国の資格はない」と論じた。韓国政府は中国の支援について、無償援助などを行わないよう要請している安保理決議の除外規定の範囲内だと説明したが、一般的には疑問が残るところだろう。もっとも、中国が目立たない形とはいえ北朝鮮への物流を絞るなど制裁決議に協力してきたことも事実のようだ。いわばやんわり首を絞めた後でアメを口に入れてやるようなものだから、金総書記もうれしいばかりではあるまい。>
 中国が北朝鮮を生かすか殺すかの生殺与奪の権限を握っていることは誰が見ても間違いないのだろうが、では、そんな中国に注文をするかどうか、で朝日新聞だけが注文していない、ということなのか?
◇政策転換の要求も
 <一方、韓国の過去2代の政権の対北融和政策を支持してきた新聞「ハンギョレ」は、むしろ「中国が大規模援助と経済協力を約束した状況で、制裁を通じて北朝鮮を圧迫しようというのは言葉の遊びに過ぎない」と断じ、核放棄を約束しないと大規模支援しない方針の現政権に政策転換を求めた。韓国内部の鋭い左右対立を背景とする世論分裂を示している。>
 この左派新聞に同調している勢力がいまだに無視できない数を保っているのが韓国の特徴なのだ。
 日本だったら日本社会党は衆院の3分の1以上だが、決して2分の1には至らない数を占め、自民党永久政権を裏から支えてきた。日本社会党の主張は自民党のちょうど180度逆の主張だったから、自民党・政府は対外的に「社会党がうるさくて」「これ以上、国民に負担をかけると社会党が天下を取るが、それでいいのか」と脅しの材料に使ってきた。ところが韓国は1980年代の民主化闘争が弾けて、軍事政権への憎しみが異常に強まり、金大中・盧武鉉政権ができた。同じ人間がやることだから、金大中だって盧武鉉だって飯は食うし、糞はするし、親戚の中には賄賂をもらう人だっているだろうし、そうは変わらないはずなのに、「軍事政権はゼロかマイナス、民主政権は100点」という教条的な主張が罷り通り、そういう勢力がいまだに韓国有権者の約半数から支持を得ている、というのが日本と違う韓国の空気なのである。
 ハンギョレ新だけではない。KBS、CBSテレビという日本のNHK、TBSに当たるテレビの経営陣が盧武鉉派に牛耳られているのが現状である。ハンギョレ新聞の跳ね上がり的な主張を無視できない所以だ。
 <さて、今後はどうなるか。米国では「今月中の早い時期」に第三国で実務レベルの米朝接触が行われる可能性が高いという研究者の見方が報じられている。これは米朝交渉でよく使われる方式だ。この接触で「落としどころ」を探った上で、米代表団が平壌に乗り込むのではないか。また北朝鮮の術中にはまり、絶対禁物の甘い合意に持ち込まれねばよいがと、祈るような思いである。>
 日本の良質なコリアウォッチャーの一人がそう言うのならば間違いないだろう。米国はまた日本を裏切るのだろうが、そうと分かっているのならば、逆に日本は先に対応すればいいんじゃないのか?
 中島氏の分析は日中韓3カ国首脳会議に触れていなかったが、この温家宝首相、李明博大統領と鳩山由紀夫首相の丁々発止のやるとりの中にこそ、今後の行動のヒントがあると思うのだが。

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2009年10月10日 (土)

いかにも朝日新聞らしい社説だった:朝鮮半島の歴史直視と村山談話~09年10月10日

 朝日新聞09年10月10日社説だ。<日本と韓国/歴史を直視して、前へ>。今までだったら読む気にもならなかっただろう。冷静に読んでみよう。

 <近隣外交の上々の滑り出しである。鳩山由紀夫首相がアジアで最初の訪問先に韓国を選び、きのう李明博大統領とソウルで会談した。「新政権はまっすぐに歴史を正しく見つめる勇気を持っている」。首相は会談や記者会見でそう語った。李大統領は「真心と開かれた心で韓日関係を未来志向的に発展させる立場だと高く評価する」と応じ、日韓の協力強化をともに確認し合った。鳩山首相が強調したのが、戦後50年にあたる1995年に出した「村山談話」だ。「談話を(日本の)政府・国民がたいへん重要だと理解することがまず非常に重要だ」とした。談話重視は当然のことだし、それを隣国で発したことを評価したい。この談話で、日本はアジアで行った植民地支配や侵略への深い反省を表明した。社会党の村山富市首相の名を冠してはいるが、当時の連立政権には自民党も加わっていた。閣議決定を経た政府の公式見解だ。>

 <なのに、自民党やその後の歴代政権の中には談話をうとましく思い、否定しようとする人々がいて、アジアの国々からの不信を招いてきた。米国もそうした動きに眉をひそめてきた。戦後60年の05年には小泉純一郎首相も村山談話を踏襲する「小泉談話」を出した。だが、靖国神社参拝にこだわり近隣外交を台無しにしてしまった。>

 <政権交代を果たした鳩山内閣として、そうした自民党流のアジア外交の曲折を抜本的に清算したい。そう意気込んでいるに違いない。「靖国に参拝しない」と言うだけでは足りない。この地域の近現代の歴史をどう見るのか、戦後の日本は何を反省し、教訓としているのか。鳩山首相には常にそこを意識し、一貫した発信に心がけてもらいたい。国家の指導者として歴史をかえりみることは、過去にとらわれた行動ではない。歴史を直視し、それを踏まえて節度と良識ある態度で臨む。それでこそ、隣国とのわだかまりを解き、互いに信頼を深めていくことができる。それは、近隣諸国と手を携えて未来を切り開いていく土台であり、日本にとっての外交戦略でもあるのだ。来年は日本が朝鮮半島を植民地として併合してから100年である。歴史を踏まえつつ、関係を前に進めよう。韓国にも同じ姿勢を期待したい。そうした態度は、日本と韓国の間の懸案を解決するのに必要なだけではない。地球温暖化対策やアフガニスタンの民生支援といった国際舞台での日韓協力でも、北朝鮮の核放棄を進展させるためにも求められる。きょう、北京で日中韓首脳会議が開かれる。下旬には東南アジアを舞台に一連の国際会議もある。歴史の直視はここでも大切な視点となる。 >

 まあね。

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外国人参政権の読売新聞社説~09年10月10日

 読売新聞09年10月10日社説は<外国人参政権/地方に限っても禍根を残す>だった。読んでみる。

 <地方選挙に限るとしても、外国人に参政権を認めることは、憲法の規定や国のあり方という観点から、問題が大きい。鳩山首相が、ソウルでの日韓首脳共同会見で、永住外国人への地方選挙権付与について、「私個人の意見としては、前向きに結論を出したい」と述べた。韓国側の記者の質問に答えたもので、首相は「国民感情は必ずしも統一されていない」とも付け加えた。日本国内の議論が割れていることを意識したのだろう。>

 <民主党は1998年の結党時の基本政策に、永住外国人への地方選挙権付与の実現を掲げた。首相のほか、小沢幹事長や岡田外相など推進派が少なくない。選挙権付与に積極的な論者が根拠とするのは、在日韓国人が地方選挙権を求めた訴訟での95年最高裁判決だ。傍論部分で、憲法上は禁止されておらず、国の立法政策にかかわる問題としている。だが、判決の本論は、国民主権の原理に立って、憲法15条の公務員を選定・罷免する権利は、日本国籍を持つ「日本国民」にあると明示した。93条の地方自治体の首長・議員を選出する「住民」も日本国民を指すとしている。法的拘束力のない傍論だけを根拠にするのは強引過ぎる。>

 <外国人に地方選挙権を与えて、地域住民への公共サービスに外国人の意見を反映できるようにしてよいのではないか、という主張にも無理がある。地方自治体は、国の基本政策に関する問題にも密接にかかわるからだ。武力攻撃事態法や国民保護法は有事における国と自治体の協力を定めている。日本に敵対する国の国籍を持つ永住外国人が選挙を通じて、自治体の国への協力を妨げることもありえよう。>

 <韓国は2005年に在韓永住外国人に地方選挙権を付与した。だが、在韓日本人で選挙権を付与されたのはごくわずかだ。日本の永住外国人は約42万人に上る。韓国が認めたのだから、という議論は成り立たない。韓国は今年2月、在外韓国人に国政選挙権を与えた。日本が地方選挙権を認めれば、在日韓国人は、韓国で大統領や国会議員に投票できるうえ、日本でも知事や市町村長、地方議員に投票できるようになる。そのような二重選挙権を認めてよいのか、という議論も出てくるだろう。外国人が参政権を望むなら、やはり、日本国籍を取得するのが筋だ。拙速な判断で、将来に禍根を残してはならない。>

 少し前までは素直にこの主張に「そうだ、そうだ」と思っていたのだが、今はもう一度基本から考え直してみよう、と思っている。

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2009年10月 8日 (木)

ファーイースタン・エコノミック・レビューへの挽歌、葬送行進曲、弔電~産経新聞09年10月8日

 産経新聞09年10月8日国際面に大きく<アジア高級誌 寂しい退場/ファーイースタン・エコノミック・レビュー廃刊>と載っていた。おっと、あの有名な雑誌もいよいよ廃刊か! びっくりして読んでみた。ネットで調べたら、も何度も出ているニュースらしい。これはニュースとしてではなく、事情に詳しい人による解説記事のようなものらしい。読んでみた。
 <アジアの実相を伝える必読誌として名をはせたファーイースタン・エコノミック・レビュー(FEER)が12月で廃刊になる。権力に敢然と立ち向かうその姿勢はジャーナリズムの鑑とされた。しかし、ダウ・ジョーンズ(DJ)が経営権を握って以来、編集方針の変更などから輝きを失っていた。巨大メディアの資本の論理に翻弄された末の寂しい退場である。>
 経営が替わると仕方ないのかね。
 <「数度にわたり活性化を試みたが、広告収入と読者の減少が続き、もはや持ちこたえられない」。DJは先月「熟慮の末の困難な決断」としてFEERの廃刊を宣言した。これを伝えた英エコノミスト誌は「記者の能力や政治・経済の分析ゆえに、とりわけ独裁者や大物経済人を立腹させることで畏敬された」と回顧した。FEERの発刊は1946年にさかのぼる。創業者はオーストリア出身の亡命ユダヤ人で、週刊のFEERを香港で旗揚げした。誌名に「エコノミック」とあるが、政治報道にも強かった。ベトナム戦争や中国の文化大革命では事実に基づく批判的な報道を展開し、誌価を高めた。第4代編集長のフィリップ・バウリング氏は「65年からの25年間が黄金期だった」と振り返る。>
 天安門事件ではすごかったのか?
 <FEERの強みは自前の強力な特派員網にあった。90年代初めまでにはアジア各国や米国などに20人以上の特派員を配置、通信社を除けば最強のアジア報道体制を擁した。シンガポールなどの強権国家とも切り結ぶその姿勢から、訴訟や発禁処分、記者の投獄など向こう傷も絶えなかった。「とてもわくわくさせるような職場」(バウリング氏)は多くの人材を輩出した。日米関係などに健筆を振るった粟野原奨氏はその一人だ。インド出身のナヤン・チャンダ氏も花形記者の一人だった。ベトナム戦争から中越戦争までインドシナ情勢を一貫して追い続け、その蓄積はインドシナ現代史のバイブルともいうべき名著「ブラザー・エネミー」となって結実した。>
 人材を育てたのだね。
 <FEERの隆盛は第3代編集長のデレク・デイビス氏の存在なしには語れない。64年から25年にわたり采配を振るい、高級総合雑誌としての名声と経営基盤を確立した。もともとは英国の外交官だったデイビス氏は任地のウィーンでピアノを学んでいた日本人女性と知り合い、結婚を決意する。しかし当時、英国の外交官は日本人との結婚を禁止されていた。このため氏は外務省を退職、FEERに加わった。後に妻となるこの女性との出合いがなければ、FEERの黄金期もなかったかもしれない。>
 面白いね。日本人女性が世界を変えたのか。
 <97年にはFEERは世界的な特報をものにした。ネイト・セイヤー記者によるポル・ポト氏の「発見」と単独会見である。カンボジアでの大虐殺の張本人とされるポト氏はそれまで20年近く生死さえ不明だった。しかし今にして思えば、これはFEERの最後の輝きだった。>
 すごいスクープだったね。
 <87年に経営権を完全に握ったDJの下で、ビジネス報道を重視し、読者に迎合するような内容へと変質、持ち前の牙が失われた。10年近く前に筆者がナヤン・チャンダ氏に会った際、「深掘りの政治記事を書くスペースが大幅に減ってしまった」と嘆いていたのを思いだす。経済報道主体への転換はアジア経済危機とITバブル崩壊の直撃を受けることになった。広告収入の落ち込みに伴い、DJは2001年にFEERと傘下のエイシアン・ウォールストリート・ジャーナル(AWJ)の編集部を統合、FEERの人員は大幅に縮小された。04年にDJはもっと大胆な合理化を断行する。FEERを月刊にし、学者や政治家などの外部寄稿家による論文集へと雑誌の性格をがらりと変えたのだ。FEERの名前こそ残ったが、この時点でFEERは死んだも同然だった。>
 そうだったのか、忙しくてきちっとフォローしていなかったが、そういう事情だったのか。2004年にねえ。
 <DJは先月のFEER廃刊の発表に際し、AWJなど傘下の他の媒体に経営資源を集中するための措置だと強調した。DJは現在はメディア界の帝王、ルパート・マードック氏率いるニューズ・コーポレーションの支配下にある。かつての名雑誌も巨大メディア帝国にとっては経営上の単なる捨て駒でしかなかった。>
 在バンコク・ジャーナリストの鈴木真氏による文章である。
 メディア・コングロマリットが世界の言論を牛耳るとどういうことが起きるのか、想像するだに怖くなるね。

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柳井正氏のインタビュー:まあまあだが……~産経新聞09年10月6、7、8日

 産経新聞09年10月6、7、8日の【話の肖像画】に<5兆円に挑む ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正>が連載されていた。ユニクロの立志伝中の社長である。面白そうだから、コピペする。
 柳井正(やない・ただし)氏 昭和24(1949)年2月7日、山口県宇部市生まれ。60歳。46年、早稲田大学政治経済学部卒業。同5月、ジャスコ(現イオンリテール)入社。47年8月、小郡商事(現ファーストリテイリング=FR)入社。59年6月、広島市内に「ユニクロ」1号店。同9月に同社社長に就任。平成3年、社名をFRに変更。17年9月から現職。著書に「一勝九敗」(新潮社)。ユニクロは「Unique CLOTHING Warehouse(ユニーク・クロージング・ウエアハウス)」の略、とあった。小川真由美記者の署名記事。何か、有名な女優を思い出す名前だね。
■上
 まずは<上>だ。<流行以外の要素大切>の見出しだ。
 <11年後に売上高5兆円、世界一の衣料メーカーになる――。先月、ユニクロなどを持つファーストリテイリング(FR)の柳井正会長兼社長(60)がこうぶち上げ、世間をあっと言わせた。今秋には20世紀を代表するデザイナーのジル・サンダー氏と提携し、靴事業にも本格的に参入した。欧米企業が席巻するファッション業界。巨人がいよいよ“天下取り”に挑む。>
 という前文だ。以下はインタビューのQ&Aだ。
 <―― 平成32年8月期時点でFRグループ全体の売上高5兆円を目指すと宣言されました。新日本製鉄の4兆7700億円(21年3月期)やイオンの5兆2300億円(同2月期)に匹敵する規模で、世界トップのカジュアル衣料ブランドのGAPやH&Mの1兆3千億~1兆4千億円をはるかにしのぐスケールとなります。>
 <柳井氏 僕が社外取締役を務めるソフトバンクの携帯電話は、国内の契約台数は累計で約2千万台。一方、中国とインドは1年間の純増数が1億台。この数は驚異的です。われわれはこれまで大半を国内だけでやって売上高は6820億円。世界に占めるGDPの割合が日本はかつて約10%だったのが今は5%くらいに半減していることを考えれば今の20倍、約14兆円の市場がある。5兆円は確かに大きな数字だけど、根拠は結構単純な計算なんです(笑)。服だって携帯電話と同じくらいは売れるでしょう。>
 <―― アジアにはすでにH&MやZARAなどの欧米の人気ブランドが進出しています。中国・香港だけで継続して年100店舗出店が可能ですか?>
 <柳井氏 アジアの人はパリやニューヨークと同等かそれ以上に東京の若い人のファッションが好きですよ。だから、中国で1兆円かそれ以上の売り上げをとれることは百パーセント確信している。>
 <―― 現在のベーシックな服だけで売上高5兆円は難しそうですが?>
 <柳井氏 先月から始めたオリジナルの靴「ユニクロシューズ」のほか、今後はバッグやアクセサリーも充実させます。ノウハウを勉強するために会社を買ったり優秀な人材を採用したりしながら、靴同様、4~5年かけてオリジナル商品を手がけたい。服も着る人がわくわくするような、大きなトレンドを反映したデザインも、徐々に売り場面積を増やしながらやるつもりです。ただ、ファッションではなく、あくまで本当に良い服を売ることを目指しています。>
 <―― 良い服とは?>
 <柳井氏 服にはさまざまな要素があってファッションはその中の一つにすぎない。大半のメーカーはファッションがすべてだと考えているが、そういうことに興味のある人はごく一部の人にすぎない。大半の人は服に興味もないし、忙しくて時間もない。だから、着心地とか品質とか、流行以外の要素もとても大事です。>
 <―― 以前から「服は部品」だと言っていますね?>
 <柳井氏 服装と服は違う。服は服装の部品であって、どういうふうに服を合わせるかが着る人の個性なんです。多くのデザイナーは人間の個性より服の個性を大事だと考えるが、先進国になればなるほど、服そのものより、服を着こなすことの重要性が大きくなる。服に興味がない人も、ストレスなしに服を選べて楽しめるのは本当に良い服だと思う。われわれの服はすべての人に向けて売るので、あらゆる人が理解できるファッションでないといけないと考えている。だから基本はベーシックでカジュアル、これは今後も変わりません。>
 <―― FRの服はファッションというより工業製品のようです?>
 <柳井氏 われわれの主力商品は服だが、目指しているのはコム・デ・ギャルソンやシャネルではなく、ソニーやホンダに近いかもしれない。平成10年にフリースがブレークしたとき、「ユニクロはあらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする新しい日本の企業です」というメッセージを作り、その通りに商売をしてきた。今後世界中に出ていっても、本当に良い服であれば国境や地域や民族を超えて支持されると思うし、成功する自信もあります。>
 <―― 農業への再挑戦は?>
 <柳井氏 農業は二度としない(笑)。住宅とか異分野もやりません。ユニクロが野菜をつくっても評価してもらえないでしょ(笑)。われわれの能力は服づくりにあるので、企業がどんなに成長してもそれを生かす経営をしないといけないと思っている。>
■中
 10月7日の<中>は<“常識”を打破したかった>の見出し。
 <―― 20世紀を代表する「ジル・サンダー」ブランドの創業者、ジル・サンダーさんと組んだ服「+J(プラスジェイ)」(今月2日から展開中)は大きな話題になりました。>
 <柳井氏 本当のラグジュアリーとはシンプリシティー(簡素化)だと思う。彼女が生んだ「ジル・サンダー」は高級ブランドで、1着20万円とか一部の人のための服。一方、われわれは低価格のカジュアルブランド。業界は違っていたが、共通するのがデザインがベーシックな点。両者が組めば本当にラグジュアリーな服を世界中の人に提供できると思いました。>
 <―― 色は黒、紺、白が大半で装飾もほとんどない。シンプルすぎて着こなすのが難しそうです。>
 <柳井氏 スマートな人がスマートに見えるのは普通だが、僕みたいに背が低くてもスマートに見える(笑)。本当に良い服の典型。体形に自信がない人こそぜひ着てみてほしい。完成品のシャツ、ジャケット、コート、そしてトータルルックでも、彼女は世界最高のデザイナーだが、その才能が発揮された仕上がりになっています。>
 <―― 「ジル・サンダー」の商標権は昨年10月にジルサンダー社を買収したオンワードホールディングスが所有し、デザイナーの名前が一切表示できない。>
 <柳井氏 「ジル・サンダー」の名前を使いたいわけではなく、彼女が作った服を一緒に売りたかった。ブランドが欲しいのではない。自分が納得できるまで一切の妥協をしない彼女の服作りへの情熱も会社が得た貴重な財産。何より、本当に良い服、ラグジュアリーな服はお金を出さないと着られないとか、手ごろな値段の服はデザインや品質で妥協しないとできないという“常識”を打破したかった。彼女と目指したのは「Open the Future」。ファッションの未来をわれわれの服を着てくれるみんなで開きたいのです。>
■下
 10月8日の<下>は<モットーは全員経営>という見出しだった。
 <―― 不況でモノが売れないといわれています。>
 <柳井氏 消費者の要望が聞けていないからです。不況でもすべての商品が売れていないわけではない。大半の人の収入は月給制で毎月の支出はそう変わらない。衣料品の低迷は、他の商品に比べて、より魅力がないからです。>
 <―― “独り勝ち”の理由は?>
 <柳井氏 やはり全部自分でやっているから。顧客ニーズがどこにあり、どういう商品を企画し、どのように売るか。販売後にお客さんがどんな感想を持ち、どこを改善してほしいと感じているかを常に把握する。このサイクルがきちんと回っています。>
 <―― 優秀な店長は年収1000万円超だそうですね?>
 <柳井氏 これは単なる人事制度ではなく企業哲学で、うちのモットーは全員経営。特に小売りは、お客さんと接する現場で正しい判断や行動が必要です。今日採用されたアルバイトでも、正しい判断をするには経営者感覚が必要になります。>
 <―― ご自身の体験から?>
 <柳井氏 昭和47年に父親の紳士服店に入社したさい、僕は2代目で生意気だったので1人を残して全員辞めてしまい、全部1人でやるはめになった。このとき商売は1人では何もできないと痛感した。また、山口県の零細企業からここまで大きくなったのも私の力だけではない。だから、特に社員がどれだけ力になってくれるかが経営を左右する。特にわれわれの場合は売り場の責任者である店長が一番のパートナーです。>
 <―― 経営幹部を養成する人材育成機関を新設しました。>
 <柳井氏 人間は必ず老化するし、トップが老化したら企業もダメになる。だから、65歳までに日常業務は他の人に任せたい。2人の息子には経営は他人に譲ることを伝えている。ただ、僕は創業者で大株主なので会社と完全に無関係になるのは難しいから、人材育成に専念できればと作りました。>
 <―― 後継者の条件は?>
 <柳井氏 お客さまの満足のために仕事ができて、もうけられる人。もうけの話をすると、「ユニクロは関西商法ですか」と言われるけれど(笑)、もうけないと会社の将来はないのだから当然です。収益を確保しながら常に新しいことに挑戦していかなければ、今後のグローバル経済の中で企業は生き残れない。今後も攻めの姿勢を忘れずに世界一を目指したいですね。>
 柳井氏の苦労話が書いてあるかと思ったら、これじゃあね。また、どこかで探そう。

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鳩山政権、海外の受け止め方~09年10月8日産経新聞[正論]岡崎久彦氏論文+8日毎日新聞夕刊+9日「あらたにす」伊藤論文

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 鳩山首相の「友愛」かぁ、鳩山一郎に遡るんだってね、何か古い話だなあ、と思うかもしれないが、毎日新聞09年10月8日夕刊4面[特集ワイド ’09天下の秋]で<友愛 世界はどう見た>の特集をしていたので、読んでみた。筆者は日本記者クラブ賞受賞者の國枝すみれ記者である。

 <鳩山由紀夫首相は先月下旬、国連総会で「友愛精神に基づき、世界の懸け橋になる」と演説した。日本人の私でもよく分からなかった鳩山さんの友愛、外国人に理解されたのだろうか。心配になり、外国紙の特派員や研究者を訪ねて歩いた。>

 という前文だ。

 <■韓国 韓国では友愛という言葉は兄弟や同性の友人同士の関係で使われるという。朝鮮日報の辛貞録特派員は「政治理念としてはナイーブすぎる。国際関係を左右するのは、国益、国力、金融などです。中国の国力が増し、勢力バランスが崩れることが分かっている今の時代に、友愛という言葉で何ができるのか、分からない」。韓国経済新聞の車炳鋳特派員によれば、米国からの自立を打ち出した鳩山首相は、今年5月に自殺した盧武鉉前大統領と似ている。盧氏は一方的に日米の味方になるのではなくロシア、中国、北朝鮮との橋渡しをしたいと考えて「北東アジアのバランサーになる」と宣言したが、対米関係は冷え切った。鳩山氏の持論である東アジア共同体構想は、「悪くない」と車氏。だが、思い出すのは1997年のアジア通貨危機の際に日本が提唱し、米国の反対でつぶれたアジア通貨基金(AMF)構想だという。「ゴールを一方的に宣言することは米国の反発を呼ぶだけ。テーブルの下で静かに進めるべきだ」>

 <■中国 中国では友も愛も人気の言葉だが、友愛となるとあまり使われない。子供同士が「仲良くしてね」という感じだそうだ。鳩山首相は国連演説後に中国の胡錦濤国家主席と会談し、ガス田問題を抱える東シナ海を「友愛の海にすべきだ」と呼びかけたそうだが、真意は伝わったのだろうか。日本で2万5000部を発行する中国経済新聞の徐静波編集長に聞いてみた。「中国は民主党政権ができて万歳している。鳩山首相をはじめ、民主党幹部は何度も訪中しており、彼らの考え方はよく分かっている。胡主席がガス田問題で『事務レベルで話し合いを始めましょう』と答えたのは、鳩山友愛外交に得点をさせてやりたいという気持ちがあるから」。統一通貨や東アジア共同体の実現はかなり難しいとみる。「日本人はすぐに仲間を作りたがるが、中国人は米国人と同じで個人主義で英雄主義、主導権を取りたがる」。中国は協力すると言うが本気にはならない、というのだ。「日米同盟があるかぎり、日中が共同体を作ることはあり得ない。中国と恋愛関係になりたいなら、米国と離婚してくれ、ということです」。そんな無理難題を、と思うこちらの心情を読み取ったのか、徐編集長が重ねる。「だって、米国は北朝鮮が敵と言っているけど、本当の敵は中国じゃないですか」。一方、みずほ総合研究所の細川美穂子研究員は「中国は、鳩山外交の本質はあくまで国益の追求とみている」と話す。数年後、中国の国内総生産(GDP)は日本を抜き、米国につぎ世界第2位となる。経済の中心が移った東アジアで地域的枠組みづくりをリードしようとする日本の姿に「日本は攻めの時代に入った、と警戒している」というのだ。細川氏はいう。「中国人は友人となるととことん面倒を見るが、友人でない人はどうでもいい。誰とでも仲良くしたいという日本の友愛のイメージを中国人は理解できないのではないか」>

 <■米国 米国の保守系経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」は8月30日、「起業家精神の必要性を理解していない」と友愛思想を酷評する社説を掲載した。鳩山氏が月刊誌「VOICE」9月号に「友愛はグローバル化する現代資本主義の行き過ぎを正す理念」などと寄稿、論文が米主要紙に一部転載された後だった。住友商事総合研究所の足立正彦氏は「友愛という概念のあいまいさが米国の猜疑心をあおっている。普天間基地の移設や米軍再編問題など、日米関係は縮小方向で、関係強化のベクトルがない。米国は日本が日中関係に軸足を移し、中国に引き込まれることを懸念している」と分析した。ニューヨーク・タイムズ紙のマーティン・ファクラー東京支局長は「友愛の海って何? レトリックではなく実際の行動が重要だ」という。一方で米政府の民主党政権への懸念は弱まったという。「結局、日本が米国から離れるには二つの選択肢しかない。核を持つか、中国と一緒になるか。多くの日本人はどちらも日米同盟より悪いと思うだろう」。極めて冷静だ。>

 <■欧州 友愛思想の源流はフランス革命の「自由、平等、博愛」の博愛にあたるフラテルニテ。「だから、ユーロクラッツと呼ばれるEU(欧州連合)官僚たちの関心は高い」と話すのは英紙フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキ東京支局長。同紙電子版はVOICEの論文の解説記事や抄訳を掲載し、鳩山氏のホームページにリンクをはって全英訳も読めるようにした。ディッキ氏は、日本が米国べったりの外交から多極化を目指すことはフランスやドイツで評価されるという。東アジア共同体や統一通貨構想は「すぐには実現しそうもないアイデア」だが、「希望を持つのは悪くない。日本には大きな理想を語る政治家はあまりいなかったのだから」。英誌エコノミストのヘンリー・トリックス東京支局長は、国際社会は当初、友愛という言葉に「インパクトを感じなかった」が、次第に「日本は基本的な国際関係を修正する可能性もある」と受け止められるようになったという。「でも日本が変わると判断するのは早すぎる。鳩山氏が本気で変えたいと思っていたとしても、財政赤字、高齢化、租税徴収率の低さなど、日本が抱える問題は大きすぎる」。自由、平等、博愛を国是とするフランスはどうか。中央大の三浦信孝教授(仏文化史)は、経済、軍事では超大国といえないフランスが国際外交の場で政治大国としてふるまうことができるのは“言語力”のおかげと説明する。「外交で自国の優先は当たり前。それをエゴと見せずに他国を説得する力、すなわち言語力が外交力の核心なのだ」。例えば、フランスは「英語を使うな」ではなく「多言語主義」といい、一極支配でなく「多極的世界の構築、多国間の協調」を提唱する。「友愛を国際秩序を作るキーワードにできるのか? 首相には仏並みの言語力が必要とされる」(三浦教授)。鳩山首相は「立場の違いを乗り越えるのが友愛外交」と胸をはる。厳しい国際社会ではたして友愛は生き残れるのだろうか。>

 参考資料として

◎友愛3原則=相互尊重、相互理解、相互扶助

◎国連演説で宣言した友愛精神に基づく五つの挑戦=世界危機への対応、温室効果ガスを25%削減、核軍縮・不拡散、ミレニアム開発目標の達成などを通じた平和構築、東アジア共同体の構築

 の二つが載っていた。

■伊藤氏の[あらたにす]

 この問題で面白かったのが「あらたにす」の「情報バイアスに陥らないために」と題した伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授の論文だった。外国での受け止め方が冷静なのに、日本の新聞は「こう報じた」「ああ報じた」といかにも1面トップで報じているかのような錯覚を起こさせている、というのだ。

 これって経験したことがあるが、問題だと思うね。コピペしておく。◆はもともとの小見出しだ。

 <テレビなどのニュースや番組を見て海外の現状を判断するときは、気をつけなくてはいけない。一部だけを針小棒大にしたイメージを植え付けられる可能性があるからだ。
 昨年のリーマンショックからしばらくして、世界経済危機を議論するため、中東のドバイに行った。「バブルの塔」とでも言うような高層ビルが次々に建設されていたドバイは金融危機でさぞかし大変な状況にあるだろうと予想して出かけていった。しかし、予想に反して、旅行者の私の目に映ったのは人であふれるレストランや高級車が多く走っている近代都市であり、どこに金融危機の傷跡があるのか分からなかった。>

 つまり、新聞やテレビはインチキだった、と。伊藤さんは12チャンネルに出ていたんじゃないかな? 自分を批判していることにならないかね?

◆目で見たドバイとテレビとの違い

 <帰国してしばらくして見たテレビ番組では、金融危機で揺れるドバイの風景が放映されていた。失業者が多くいる街角や、建設の止まった高層ビルなどが映像で描き出されていた。正直言って、私が見てきたドバイの風景とあまりにも違うのに驚いた。もちろん、私もドバイの一部しか見ていないのだから、どこを見るのかでその印象が違って見えるのだろう。しかし、自分の目で見た風景とテレビに映し出される風景があまりにも違うので、テレビの映像もあまり単純に信用しない方がよいと感じた。>

 そういうことだろうね。相当に強い印象を持ったのだろう。

 <テレビの番組を観ていると、同じ風景が何度も何度も出てくる。政治家などが一度失言すると、その同じ失言が毎日のように放映される。観ている側は、あの政治家はあの失言だけをしているような錯覚にさえ陥る。テレビが映し出すイメージは恐ろしい。>

 この繰り返し放映というのを禁止するわけにはいかないんだろうなぁ。宮沢喜一氏が衆院総選挙で負けて細川政権ができたもともとの原因は田原総一郎氏の番組で「やります」と言ったのにできなかたt、失言だ、責任を取れ、というキャンペーンのような子供じみた言葉遊びのような他愛ないことだった。田原氏の番組など出なければいいのに、出たのがまず失敗だった。その無理やり言わされた発言を前後の文脈にお構いなくニュース番組と特集番組のたびに流されるから、いかにも宮沢首相は嘘つきのように感じてしまう。そのイメージで自民党が負けたのがあのときの選挙だったのだ。

 <先日、学生と話していたら、「米国の産業は大変ですね」と言っていた。どうしてそう思うのか尋ねてみると、GMやクライスラーなどの自動車メーカーの惨状が毎日のようにテレビに出てくるので、それが米国の産業全体の状況であると勘違いしたようだ。 >

◆「自動車」の苦境が米産業界の全体像ではない

 <しかし、考えてみれば、自動車産業はどちらかと言えば米国の中では古い産業である。米国の強みは幅広い産業で国際的な競争力を持っている企業が多く存在することだ。グーグルやアップルに代表されるIT分野、日本の企業の何倍もの規模の企業がひしめく医薬品産業、ウォルマートなどの大型小売業群、マクドナルド、コカコーラ、P&Gなどの世界的な消費財企業、エクソンモービルなどの石油メジャー、穀物商社、ハリウッドなど、実に多様な産業で世界有数の企業がひしめいている。米国の産業のどこが衰退しているというのか。それでもテレビで苦境に陥っている自動車メーカーの映像を繰り返し見させられると、それが米国の製造業の代表的な姿であると勘違いしてしまうのだ。>

 テレビの画面は一度に全部を映すわけにいかない。ごくわずかの一点に集中し、そこで全体を代表させる。その選び方を間違えると、視聴者をミスリードする。

 <もっとも、テレビが陥りやすい「針小棒大」の報道は、新聞でも起こりうる問題なのかもしれない。少し前に2週間ほど米国に出張に行っていたある財界人が言っていた。「たまたま日本語の新聞やテレビに接することなく現地の新聞やテレビで生活していたら、鳩山首相の国連演説の記事などたいして大きく取り上げられていなかった。現地の日本に対する関心はそれほど弱いのかと思った。それが日本に戻ってきたら、国連で大変な演説をしたというような記事がどの新聞にも大々的に出ている。日本の新聞だけを読んでいたら、まるで海外でも鳩山発言が大きく注目されているように錯覚してしまうが、現地にいた感覚とは大きなギャップがある」。日本の新聞だけを読んでいると、日本独特の情報バイアスに陥ってしまって、海外の人の認識と大きくかけ離れてしまう危険を感じているのは私だけではないだろう。>

 これが怖いんだ。この情報バイアス、経験した人でないと分からないかもしれないが、外国で暮らしていて、日本の新聞を毎日読める環境があると、余計にひどくなる。日本の新聞の記事の内容に違和感を感じ始めるのだ。「なんて筋違いのことしか書かないんだ」「おかしいなぁ、なぜこんなことを大きく扱うのだろう」「パレスチナ問題はどこにあるのか」などなど。

 <無理をしてでも、なるべく海外のニュースメディアにも接する努力をする必要があると考えている。>

 という伊藤氏の努力はきっと日本の言論人が意識的にしなければならない必須事項なのだと思うのだが。

■岡崎氏の[正論]

 産経新聞09年10月8日[政論]には岡崎久彦元註タイ大使の<「冷めた政変」に戸惑う海外論評>が掲載されていた。これも広い意味では「友愛」の受け止め方かもしれないね。コピペしておこう。小見出しは ≪「反基地」の思想に懸念も≫ ≪中国拡大への対応に疑問符≫ ≪日本人の気質に希望見る≫である。

 <民主党新政権の下でこれから日本はどうなるのであろうか。誰もはっきりとした見通しを持っていない。毎日懸案を次々に片付けなければならない民主党指導者にも分からないのだろうと思う。ここで将来を占う一つのヒントとして政権の誕生前後を通じての、外国の観察を総合して分析してみたい。通常外国の日本政治論は日本人なら分かり切っていることの解説の域を出ないものが多いが、これだけ先行きの見えない時期においては、あるいは岡目八目ということもあるかもしれない。>

 ということで海外論調に注目した、というのだ。

 <もちろん、外国が注目しているのは、マニフェストや3党合意の中の外交安保政策と、国際的にも影響のある経済政策であり、それを確認する首脳の発言である。実は民主党の外交安保政策はマニフェストの主文では何も言っていない。「緊密で対等な日米関係」だけでは何のことか分からない。ただ、基地や地位協定の見直しの部分に、反基地運動の思想が混入しているので、日米関係の将来に国際的な懸念を招いている。といっても、さすがに、盧武鉉時代の韓国のようになるとは誰も心配していないが、今までのドイツやトルコの対米関係ぐらい難しくなる(アジア専門家ブルーメンソール氏)と危惧されている。>

 やはり出てくるのは盧武鉉だね。

 <また、北朝鮮が核武装し、中国の軍備が急速に増大する現実にどう対処するかが全く触れられていないことについての懸念も表明され、日本は軍備増強が必要なのに、その前提となる経済成長戦略が全く欠如していることも指摘されている(ウォールストリート・ジャーナル。成長戦略不在についてはNYタイムズも同じ)。東アジア共同体構想については、東アジアにおける日中共同の指導力などは、中国がそれを受け付けまい(英アジア専門家バウリング氏)と初めから問題にされていない。そして、日本は米中の狭間にあるという、日米同盟中心思想でない表現が総理によって使われたことに危惧も表明されている(アジア専門家クリングナー氏)。そしてそれならば、今後の日米同盟の強化は期待できず、現状より悪くならなければそれがベストだ(日本専門家オースリン氏)という醒めた見方となる。>

 何か、詳しいね。段々と気味が悪くなってきた。

 <どうしてこうなったのだろうかということについては、エコノミストなどが分析している。日本は、政府と経済界が一体となり高度成長を遂げ、国民は等しくその恩恵にあずかって来たが、バブル崩壊後その形が崩れ、気がつくと少子高齢化によって将来が不安になって来る一方、財政赤字は増大し、事態に対応する資金も苦しい。そこに年金問題など政府の失態も明らかになった。つまり、このままではどうにもならなくなっていた、ということである。しかし、それが政変とどうつながるかというと、国民は民主党がそれを解決できるとは思っていない。他の国ならば、野党がこれほど劇的に勝てば、支持者が、広場で自動車の警笛を鳴らしたり、噴水に飛び込んだりして、祝賀するのであるが、そんな雰囲気は全く無かったと、日本人の冷たい反応を奇異の目で観察している(フィナンシャル・タイムズ)。>

 民主党への期待ではなく、自民党へのお灸なのだ、と。ここの段階まで来ても、やはりこの言説は説得力があるんだね。

 <また、民主党の勝利を単なるリベラルなポピュリズムへの揺れと見る見方もある。今のオバマ米政権が、ことごとくブッシュ批判だけの政権であるように、民主党政権は自民党の親米、改革路線批判だけの政権であると、ブッシュ・小泉時代を懐かしむ論説もある(ウォールストリート・ジャーナル論説のキッセル氏)。また、この世界的なリベラル傾斜は、オバマ政権出現の余波であり、ギリシャの選挙でも同じこととなろうと言って、去りゆく自民党系の人士に対しては、20世紀の成功を共にになった米国の友人たちとして、今後とも温かく接するべきだ(評論家ホーグランド氏)という論説もある。>

 米国共和党支持者たちが生真面目に言ってくれているのだが、共和党だって最後の最後に北朝鮮と変な形で妥協しようとしたじゃないか、という思いが消えないのだが。

 <ただ、混迷して先行きの見えない日本の将来はどうなるかについて、知日派は希望を捨てていない。エコノミストは、治安は良く、貯蓄率も高く、ハイテク産業も進んでいる国なので、いつかはその潜在能力が噴出する時もあろう、と遠い将来に期待している。そして、オースリン氏は4月の議会証言で、今でも日本は一体性のある犯罪の少ない、安定した社会であり、教育水準も高い国であること、さらに、国民は政治経済の停滞に不満ではあるが、ロシア人のように飲んだくれているわけでもなく、中国人のように時々暴動に訴えているわけでもない、と言っている。>

 まあ、中国人、ロシア人と比べるとなると、日本人はよく見えるだろうね。どうしてこういう比較になるか、という点が問題なので、結局、非アングロサクソン、非欧州人ということなんだろうね。日本人への視線が結局そういうものであるならば、日本はアジアの中で多くの後背地を持って国際的に構えないと存在自体が無視されてしまうんじゃないか。まあ、いまさら言っても仕方ないか。中国が許してくれないらしいから。

 <確かに、この正直、勤勉、相互信頼と規律を守る国民性は、日本人が長い歴史の中で培ってきたものであり、戦後民主主義教育、日教組教育の中でも失われなかった民族の伝統であり、今後も政権は代わっても変わることはないのであろう。これが失われないかぎり希望はあるという外国の観察は正しいのではないかと思う。>

 日本人の良さを再確認する必要があると思う。特に開米潤氏の「松本重治―最後のリベラリスト」(藤原書店、09年9月30日初版第1刷発行、3990円)にもあるように内村鑑三、朝河貫一という巨人たちも日本の良さをきちんと言葉で外国に紹介できていた。しかし、その「武士道」や「大化の改新の研究」では今の欧米に今の日本を説明できないだろう。きっちりと説明できる能力のある人がいないのか?

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2009年10月 7日 (水)

鄭夢準はハンナラ党代表をしていても北朝鮮好きなのだ~毎日新聞09年10月7日

 毎日新聞09年10月7日朝刊国際面ハコ記事<北朝鮮への食糧支援、韓国与党と政府対立/党代表「人道上必要なら実施」/外相「関係部署で協議」と慎重>という長ったらしい見出しの記事は案外、今後問題になりそうである。ソウル支局長の大澤文護特派員が書いている。
 <韓国与党・ハンナラ党代表の鄭夢準・国会議員は6日、ソウル市内で講演し、北朝鮮に対する食糧支援について「(今年韓国は)豊年であり、人道的支援は実施しなければならない」と述べた。韓国政府はこれまで、食糧支援に慎重な姿勢を見せてきただけに、政府と与党議員の間に意見の食い違いがあることが浮き彫りになった。韓国では、金大中、盧武鉉両政権の10年間にわたる対北支援が核・ミサイル開発を進めたとの批判の声が根強くある。これに対し鄭議員は「北朝鮮の核開発は20年にわたって進められてきたもので、すべてが(韓国の)前・元政権の責任であるとの主張は正しくない」と述べた。また「食糧支援が北朝鮮軍部の食糧として転用されるのでは」との質問に対して「それ(軍食糧への転用)を甘受しても、人道的支援は必要と判断されれば、しなければならない」と述べ、早急な支援開始の重要性を強調した。>
 <一方、柳明桓・外交通商相は6日、ソウル市内で講演し、北朝鮮に対する支援問題に言及。「コメなどの食糧を人道的に支援することができるかどうかは、政府の関係部署と協議する」と語り、政府の立場としての慎重姿勢を強調した。>
 という記事。外相はこう言うだろうなぁ、李明博大統領の方針なのだから。
 問題は鄭夢準氏である。例の日本との合同主催のワールドカップを実現したFIFA役員と言ったほうが通りが良いのか、それとも、そんな昔のことはもう誰も覚えていないので、盧武鉉大統領が誕生した大統領選挙で最後の最後までグズグズして、最悪のタイミングで降りたために、保守の一部が分裂して盧武鉉に回ってしまった、つまり李会昌氏が負けた最大の戦犯だったことを思い出す人もいるだろう。
 ただ、今回の発言で思い出してほしいのは彼が現代財閥の御曹司である、という事実である。
 牛を引っ張って板門店を通って北朝鮮に食料や戦略物資をたくさん持ち込んだ鄭氏の子供なのだ。
 このDNAを北朝鮮に利用されているのだろう。
 それにしても、あの裏切り者の鄭夢準氏がハンナラ党のトップを務めているとは!!本当に驚いた。
 韓国人は裏切りとかには寛容なのかね?

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2009年10月 6日 (火)

嫌な記事だけど本当なんだろうね:日本政府が外貨準備で米金融機関救済検討~毎日新聞09年10月6日朝刊

 毎日新聞09年10月6日朝刊1面<日本政府が米2社救済案/昨年8月、外貨準備から数兆円/財務相の慎重論で頓挫>には驚いた。日本に金融主権がないのだろう、とは薄々想像していたが、もはや米国の財布以下、キャッシュディスペンサーに成り下がっていたのだ。斉藤望記者の特報である。読んでみよう。
 <米政府系住宅金融機関2社が経営危機を迎えていた2008年8月下旬、日本政府が外貨準備を使って両社の支援を検討していたことが5日、関係者への取材で分かった。入札不調に終わる懸念があった2社の社債数兆円を、日本政府が買い支える計画だった。世界的金融危機に陥る瀬戸際とはいえ、公的資金で外国の金融機関を救おうとしたことは極めて異例で、日米関係の特殊性を明らかにする事実といえる。>
 という前文だ。「日本が米国の植民地であることを如実に示す事実だ」と書かないのは見識なのか、品位を保つためか、読者をだますためか?
 <金融機関2社は、社債で調達した資金で金融機関から住宅ローンを買い取り、証券化商品に組み替えて投資家に販売しているフレディマックとファニーメイ。両社が発行した住宅ローン担保証券の残高は約6兆ドル(約540兆円)と米国の住宅ローン残高の半分を占め、世界の金融機関も広く保有していた。両社が経営破綻すれば、世界の金融システムに深刻な影響を与えることは確実だった。両社の経営危機は08年7月に表面化。米政府は7月中旬に最大4000億㌦(36兆円)規模の出資枠の設定などを発表したが、市場は沈静化しなかった。両社は9月上旬に合計で200億㌦(約1.8兆円)規模の社債借り換えを控えていたが、社債の買い手が現れない可能性が高く、資金繰り破綻の懸念があった。>
 という客観的状況があって、
 <日本政府では、限られた財務省幹部が米財務省と緊密な連携をとりながら、外貨準備から数兆円を拠出して両社の社債を購入する「レスキュー・オペレーション(救済作戦)」という名の計画を立案。通常は非公表の外貨準備の運用内容をあえて公表し、日本の支援姿勢を打ち出して両社に対する不安をぬぐい去ることも検討した。しかし、当時の伊吹文明財務相が慎重論を主張し、9月1日の福田康夫内閣の退陣表明で政府が機能不全に陥ったため、実現しなかったという。米政府は9月7日、公的資金を投入して両社を国有化し救済したが、同月15日には米リーマン・ブラザーズが破綻した。伊吹元財務相は毎日新聞の取材に「大臣決裁の段階にはなかった。しかし、米国の経済危機が迫る中、日本の外貨準備で損失が出かねない資産を購入すべきでないという当たり前の判断だ」と述べた。>
 伊吹氏はよく取材に応じたものだ。野党になった効果かもしれない。政権与党だったら答えなかっただろう。
 <外貨準備 為替介入に備えて通貨当局が保有する外貨や金。資金は国債の一種「政府短期証券」を発行して調達しているため、運用損や為替差損が出れば税金で穴埋めする必要がある。日本の外貨準備残高は8月末で1兆423億㌦(約93.5兆円)で、円高により6月末時点で20兆円規模の為替差損がある。日本は1987年に西ドイツ(当時)を抜いて世界一になったが、2006年に中国に抜かれた。>
 という注釈がついていた。
 4面の経済面には解説記事が掲載されていた。こっちも斉藤記者の記事だ。<日本政府が米金融機関救済検討/究極の貿易黒字還元/「危機回避」を見据え/米は運命共同体>という見出しで、キャンペーン的な[世の中ナビ NEWS NAVIGATOR]という帯がついている。コピペする。
 <日本政府が外貨準備を使った米金融機関の救済を極秘裏に検討していた事実が明るみに出て、改めて米国の利害が日本経済に直結する構造が浮き彫りになった。米国が日本製品を輸入し、それで生じた米国の赤字を日本が埋め合わせる。その構図で両国経済は繁栄してきた。だからこそ、金融危機の直撃を受けた米国経済のため、日本側が異例の手段まで使おうとしていた。だが、金融危機と中国の台頭などで世界経済の枠組みは激変した。日本は今後、対米中心の経済構造を見直す議論が求められる。>
 <「米国債の入札前には、どの種類の米国債をいくら購入するか、米財務省と綿密に打ち合わせてきた」。1兆㌦(90兆円)の外貨準備の運用を取り仕切る財務省の関係者はこう証言する。外貨準備の運用内容は非公表だが、大半が米国債に投資され、米国の貿易赤字の穴埋めに使われてきたのは、周知の事実だ。今回の米金融機関の救済計画は、いわばその究極の姿と言える。これまで外貨準備で米国の赤字を穴埋めするのは、日本の国益にもなってきた。米国の消費者が借金を気にせずに日本製の自動車や電気製品を買い、日本経済は輸出主導の経済成長を遂げた。近年は中国が日本を上回る規模で米国債を購入しつつ、対米輸出を増やし、日本と同じ成長モデルで高度成長を続けている。>
 <しかし、日本や中国が米国の赤字を穴埋めする構図は、米国に際限なく資金が流入することで住宅バブルを招き、金融危機につながったとされる。米ピッツバーグで9月に開かれたG20(主要20カ国・地域)金融サミットでは、こうした黒字国・赤字国の世界不均衡の是正がうたわれた。日本が巨額の貿易黒字を稼いでも、資金は米国債の購入により米国に流出し、米国経済が空前の繁栄を続ける一方、日本の個人消費は細ったとの指摘もある。輸出主導の成長モデルは曲がり角を迎えている。ただ対米中心の経済構造からの脱却は困難も伴う。「防衛を米国に依存している日本は米国の意向を無視できない」(外務省幹部)。1997年6月、「米国債を売りたい誘惑にかられる」と発言した橋本龍太郎首相は米国の不興を買い、政権失速を招いた。日本が外貨準備で保有する米国債を売ればドル暴落につながる可能性がある。日本の海外資産は大幅に目減りし、円高で輸出産業も打撃を受ける。このまま対米中心の経済を続けるか、輸出先の多様化や内需の拡大などで経済構造を変えていくか。日本はどのような成長モデルを採るのか、長期的戦略の議論と選択が突きつけられる。>
 本当に橋本政権の失墜が米国の差し金だったのかどうか。こういうのも陰謀史観というのではないか?

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2009年9月29日 (火)

[還暦迎えた中国 一党支配の試練]という産経新聞の続き物~09年9月25→29日

 産経新聞が09年9月25日から国際面の新企画[還暦迎えた中国 一党支配の試練]をスタートした。

 1回目の最後に前文があった。最近の流行の組み方だが、見にくいのだ、実際は。前文は、

 <1949年10月1日、毛沢東が北京の天安門楼上から中華人民共和国の成立を宣言してから60年かつての「東洋の弱夫」は経済・軍事大国に変貌し、国際社会での存在感を増す。共産党独裁下での市場経済化=改革・開放の成果にほかならないが、一方で格差の拡大、官僚の腐敗など矛盾が激化し、暴動や紛争が頻発、党は多元化した社会の挑戦を受ける。繁栄の陰で進む体制の危機と問題点を探った。>

 というもの。25日の第1回は<矛盾生んだ「権貴体制」>で、伊藤正・中国総局長の署名記事だ。

■第1回

 読んでみよう。

 <北京中心部で建国60周年パレードの予行演習が行われた今月18日、中国共産党の中央委員会総会(17期四中総会)が閉幕した。総会コミュニケは、創立88年になった共産党が60年間の執政で、今日の発展を築いたと誇りつつ、現状への強い危機感を表した。コミュニケは憂患意識」「憂党の心」「危機意識」を繰り返し、「党と人民の血肉の関係」「大衆との密接な関係」を訴え、人民本位の執政を呼びかける。「胡錦濤総書記(国家主席)の思想が色濃い」(中国筋)内容だ。>

 そうかぁ中華人民共和国建国60年だが、中国は悠久の歴史、5000年の歴史がある、とか考えていたのだが、たしかに党は88年なのだね。末広がりでお目出度いね。

 <胡氏カラーが前面に出た5年前の16期四中総会も、党の執政能力を高め、党員の自覚を促して、国民の党不信の原因である腐敗や官僚主義などの克服を呼びかけ、改善努力もしてきた。が、経済の高成長の半面で、格差は拡大、官僚の腐敗も大型化の一方だ。いま中国社会は、不公平感に覆われ、ささいなきっかけで党批判が起こり、官民の衝突事件が頻発、胡氏の掲げる和諧社会は幻想になりつつある。その原因について元新華社記者の楊継縄氏は「権力市場経済」体制にあるとする。>

 権力市場経済体制というのは中国ならではの体制だね。

 <社会主義政治体制下での市場経済化は、中国経済を飛躍させたが、許認可権を一手にする権力者が、その一族や友人、企業家らに国有土地はじめ国の資源利用に便宜を図り、巨大な経済利益を上げる体制を指し、「権貴体制」とも呼ばれる。その体制下では、労働力の搾取も政策になった。例えば、中国産業の成長や外資導入を促した農民工は、農村戸籍のため出稼ぎ先での社会保障や子女教育にしばられて都市住民と差別されたまま低賃金労働を余儀なくされた。>

 権貴体制か。

 <改革・開放の「総設計師」鄧小平氏は、経済建設を急ぎ、条件のある地方、人が先に豊かになる「先富論」を提唱、格差を是認した。引退後の1993年には格差の拡大を懸念したが、90年代後半から顕著になった富の極端な集中と特権階層の肥大までは想定外だったろう。今日の中国が直面している体制矛盾は、80年代後半に顕在化し、政治体制の改革が議論され、87年の第13回党大会では、党と行政、政府と企業の分離などの対応策が打ち出された。しかし、89年の天安門事件後、政治改革は封印され、監視機関として事件前には検討された報道や司法の独立もタブーになったままだ。>

 天安門事件、正確に言うと第2次天安門事件の影響は大きいね。

 <共産党にとって危機的なのは情報伝達手段の発達によって、国民が多くの事実を知り、党の宣伝が信用を失ったことにある。89年の民主化運動では共産党政権の合法性が問われたが、市場経済と国際化がもたらした個人の知識と権利意識の高まりによる。毛沢東が「政権は銃口から生まれる」と喝破したように、60年前、革命と戦争を指導した共産党が新中国を築いた。その指導部は最高権力者の意思で決められ、しばしば激しい権力闘争を伴った。>

 1989年という20年前の出来事は今でも目に鮮やかにこびりついているようだ。

 <昨年秋、初の黒人大統領を生んだ米大統領選は中国国民に刺激を与えたが、この夏には日本の政権交代が追い打ちをかけた。政権は銃口ではなく民意がつくるシステムは、旧ソ連・東欧の社会主義国にも広がった。しかし、四中総会コミュニケは「いささかも動揺せず中国共産党の指導を堅持しなければならない」と悲壮感ただよう訴えをした。一党独裁は正念場を迎えつつある。>

 正念場を迎えた一党独裁体制か。何か日本のちょっと前のようだね。

■第2回

 9月26日の第2回は中国総局の野口東秀特派員の署名記事。<変革迫る民衆のうねり>という見出しだ。

 <8月18日早朝、広西チワン族自治区南寧市の一角。鉄パイプなどを手にした数百人の男が、住民に襲いかかった。男たちは、補償額の増額を求め住宅からの立ち退きを拒否する住民を追い出すために、開発業者に雇われた。住民約10人が重軽傷を負った。>

 ひどい話が出てくる。

 <こうした光景は1990年代後半に開発ブームが始まって以来、全国の至る所で見られる。開発業者は地元政府と結託し国有の土地の使用権を買い取り、再開発で莫大な利益を上げる住民の立ち退きに手間取ると暴力に打って出るが、当局は黙認することが少なくなく、住民側の怒りの矛先は政府に向く。>

 このパターンだよね。

 <昨年、土地、家屋の強制収用や労働争議など、経済的な要因による集団抗議と衝突事件は8万件を超え1993年の10倍になった。「実態はその数倍。今年上半期も増加傾向にある」(民主派学者)との説もある。経済的な要因以外でも住民が地元当局と衝突する事件が頻発しだした。>

 暴動である。

 <貴州省甕安県では昨年6月、少女暴行殺人事件の隠蔽疑惑を引き金に、3万人規模の暴動が起こった。政府庁舎、公安局が民衆に襲撃され放火されたこの暴動は、政府、警察に対する潜んでいた不信感と怒りが爆発した典型的な例だ。当局への不満を解決するよう求める「直訴」(陳情)はどうか。司法当局あての陳情だけでも昨年までの5年間で2千件に上る。しかし、解決されるのは、ほんの一部だ。地方から北京への陳情を繰り返す「上訪大衆」は後を絶たない。その背景には、経済発展の中で高まった国民の権利意識がある。環境を破壊している企業とその活動に対する抗議デモなど、以前にはなかった現象も起こっている。ウイグル、チベット族など少数民族による暴動と騒乱にも、経済政策や資源問題がからむ。>

 情報だね、誰もが真実に近い「事実」を知るようになってしまったから、ごまかせないのだろう。インターネットは怖い。

 <著名な反体制作家でジャーナリストの余傑氏は、中国社会の行方について「貧富の格差拡大など社会矛盾はますます激化し、官民対立は先鋭化するだろう。経済成長が止まれば、大規模な社会動乱が起きる可能性もある」と話す。>

 失業率が上がると大変、といわれていたが。

 <国営新華社通信の週刊誌「瞭望」も「旧ソ連の失敗は共産党が大衆の支持を失い、党の基盤が揺らいだことだ」と警告している。中国の現状は「ソ連の末期、あるいは清朝の末期と同じだ」ともささやかれている。ソ連も清朝も腐敗と官僚主義にまみれ、国民に見放されたというのである。だが、異なるのは、今の中国は国家経済が成長を続けていることだ。その“果実”をより合理的、公平に分配するシステムは共産党内でも検討されてきた。例えば、今年8月、党中央学校機関紙「学習時報」の副編集長、鄧聿文氏は「党内民主」を主張する論文を発表した。この中で鄧氏は、「競争に基づく選挙制度」と第三者による「監督機能」の必要性を提起し、党内の決定権、執行権、監督権の三権すべてを党委員会書記に集中している制度を改革するよう提言した。むろん、これは体制内改革にすぎず、昨年12月に反体制理論家の劉暁波氏らが起草し、インターネット上で発表した「08憲章」とは相いれない。憲章は欧米の民主主義制度の導入など、政治改革を提唱したのだ。>

 旧ソ連の末期や清朝末期との比較がでているの? それはあんまりじゃないの?

 <党内民主のみによって腐敗や格差問題などは改善されるのか。余傑氏は次のように指摘する。「党はすでに利益共同体と化しており、自分たちの利益を損なう民主化や政治改革などやれるはずがない。期待するのは、ネット世論など政府に圧力をかける民衆の力だ。民衆の声がうねりとなって党に変革を迫ると信じたい」>

 そういうことなんだろうね。共産党の人だけが儲けて、党員以外は貧乏なんだから。

■第3回

 9月27日の第3回は上海支局の河崎真澄特派員の署名記事。見出しは<急成長 格差も拡大>だった。

 <中国国家統計局が今月9日に発表した報告「経済社会発展の成果と回顧」によると、新中国成立直後の1952年から2008年までの間に、中国の経済成長率は年率平均で8.1%に達し、国家の経済規模は実に77倍にも膨れあがった。国内総生産(GDP)規模で2007年にドイツを抜いて世界3位に、今年は2位の日本を抜く可能性もある。金融危機で軒並み疲弊した先進国に比べ13億人の巨大な国内市場を武器に大胆な内需拡大策で成長を保った中国に、世界は景気回復へ熱い視線を注ぐ。>

 そりゃそうだ。

 <上海・復旦大学経済学部の陸銘教授は、金融危機から最速で脱出した中国経済を「85点から90点」と評価、政府目標の8%成長も「当分は持続可能」とみる。その上で社会主義市場経済という中国独特のモデルが「次世代の世界標準になる可能性もある」と話す。>

 中国人、自信たっぷりだね。

 <ここに至る道は平坦ではなかった。1949年の建国からほぼ30年間は毛沢東が発動した大躍進や文化大革命などの政治運動に翻弄され、経済の「足踏み」状態が続いた経済建設が本格化したのは、鄧小平氏の主導で1978年に改革・開放政策に転じてからだった。>

 この区分は分かりやすいだが。

 <しかし、陸教授は「毛沢東時代があってこそ現在の経済発展がある」と断言する。新中国成立後、社会主義化を急速に進めて共産党の指導権を確立したのも、旧ソ連型の計画経済を導入、経済の基礎を築いたのも毛沢東時代だった。毛沢東の晩年、生産より革命を重視する極左思想の影響で経済は停滞、国民生活は著しい貧困に陥ったが、それは文革の失脚から復活した鄧小平氏が改革・開放へ転換するのを容易にした。ただし鄧氏は、毛が築いた一党独裁の政治体制は引き継ぎ、市場経済化を図る独自の道を選んだ。それは経済発展と同時に矛盾激化の原因にもなった。>

 独自の道だけがほめられるんだね。

 <中国は1997年のアジア通貨危機も今回の世界金融危機も影響を最小限にとどめ、むしろ発展へのテコにした。国家の強いコントロール機能が経済全般に発揮された結果だった。ただし、私有企業の発達が経済を活性化した一方で、基幹産業は依然、国有のままだ。土地の国有制は交通などのインフラ整備や都市再開発に生かされ、産業発展と外資導入を可能にした出稼ぎ農民の低賃金労働も、毛沢東時代につくられた都市と農村の二重戸籍制のおかげだ。石油や銀行など国有企業が政治の保護の下で基幹部門を独占、巨額の利益を上げていることについて、陸教授は「民衆の利益を置き去りにすれば矛盾や衝突を生む」と懸念を示した。成長が貧富の格差拡大などの矛盾を生む体制をどう変えるかは結論が出ていない。>

 二重戸籍が毛沢東時代からの手段だったという事実、知らなかった。

 <しかし成長が止まれば失業の増大など社会不安を激化させかねない。政府が8%成長の目標を掲げ、4兆元(約56兆円)の景気刺激策を打ち出したのも、1%成長で100万人前後の新規雇用が生まれるとの経験則から出た政治的目標だ。社会主義市場経済が中国に経済規模の拡大をもたらし、社会生活の西側化も進んだが、民主主義や人権といった普遍的価値観の普及には至っていない。上海社会科学院の楊宇立教授は「文化や思想面で日米より30年は遅れている中国社会の複雑さを理解すべきだ」として、現行体制で経済発展をさせることが最優先との考えを示した。中国の繁栄はいつまで続くかは、社会の安定にかかっているが、不安定要素は年々増えている事実も見逃してはならないだろう。>

 まだ続くのだろうが、今までの紙面をとりあえずコピペしておく。

■第4回

 09年9月28日の第4回は<実利狙い全方位外交>。中国総局の矢板明夫特派員の記事だった。

 読んでみよう。

 <「中国の発展は世界にチャンスを与えている。われわれは平和発展と互恵協力の開放政策を維持し、すべての国と友好関係を発展させていく」。各国の首脳らが所信表明する国連総会一般討論で中国の胡錦濤国家主席は23日、昨秋の金融危機以来、世界で高まる中国経済への期待をバックに自信に満ちた演説を行った。>

 <1978年末、経済建設のため鄧小平氏の主導で始まった改革・開放は、中国の対外政策を一変させた。イデオロギー重視の革命外交から、あらゆる国と平和共存し経済協力する全方位外交への転換で、79年初めの中越戦争の教訓を経て確固とした方針になった。>

 <楊潔篪外相は今年8月末、国営中央テレビ(CCTV)の番組で、中国と国交を持つ国の数が49年の建国当時の18から171になったとし、「米国や旧ソ連などかつて敵対した国とも親密な関係になるとだれが想像したろうか」と述べた。>

 <西側外交筋は、中国外交には、「経済建設支援」という顕著な特徴があると指摘する。旧ソ連やインド、ベトナムなど周辺国との関係を修復したのも、国内の建設、つまり経済発展に有利な国際環境づくりが目的だった。欧米諸国や日本との関係発展には資本、技術の獲得や貿易振興が密接に絡む。>

 <その実利目的の外交は、中朝関係に摩擦を生んだ。80年代に中国が韓国に急接近、北朝鮮の「反対」を押し切り、92年に国交を樹立したためだ。朝鮮戦争以来の「血で結ばれた兄弟」関係は崩れ、北朝鮮が核開発に走る一因になったといわれる。>

 本当にそうなのか? 血で結ばれた兄弟関係を切るという。

 <鄧小平氏は第一線にいた90年代初めまで、外交部門の幹部に繰り返しある言葉を伝えていた。「韜光養晦」。謙虚にし能力をひけらかさず、という意味で、「力もないのに格好をつけても得るものはないとの教え」(黄華・元外相の回顧録など)だったという。>

 <その教えは対米関係にしばしば反映された。両国は台湾問題、人権問題や通商摩擦などで度々対立したが、中国は表面上の強硬姿勢とは裏腹に実利を優先して譲歩、協調関係を保った。しかし、中国が経済発展を続け、軍事力も強大になるにつれ、外交姿勢にも変化が生じてきた。外貨準備高世界一の中国の主要な外貨獲得市場は米日欧であり、中国が西側との協調維持に力を入れているのは変わりない。その半面、近年の激しい資源獲得競争で、西側との利害が衝突する場面が増えた。>

 <中国の場合、石油・天然ガスはじめ主要な資源関連企業は国有であり、企業と国家が一体になって資源獲得のための対外進出を進める。それを支援するのが外交の使命だ。アフリカ、中南米、中央アジアなど資源ある所に中国外交あり、と評されるゆえんだ。>

 <中国企業の進出先には人権抑圧を理由に欧米が経済制裁を科しているスーダンやジンバブエなども含まれるが、中国は「内政不干渉」を名目に批判をはねつけて交易を継続しており、核開発疑惑で国際社会の批判を受けているイランからも大量の原油を輸入し続けている。>

 <中国は大国化に伴い、他国の批判に耳を貸さなくなった。昨年春のチベット騒乱で中国批判をしたフランスは、厳しい報復を受け、関係修復に苦労した。中国の人権抑圧に対する米国の批判も声が小さくなった。
 かつて外国の投資と援助を求めていた中国は、巨大な経済力と市場を武器に強力な外交力を持った。増強した軍事力と併せ、それが周辺国との外交にどう影響するか、見守らねばならないだろう。>

■第5回(最終回)

 9月29日の最終回(第5回)は<台湾へ微笑…摩擦も>。台北支局の山本勲記者の署名があった。

 <昨年5月の馬英九・中国国民党政権発足以来、急拡大を続けてきた中台関係が一つの“踊り場”を迎えている。きっかけは8月末のダライ・ラマ14世訪台と、「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長の招請をめぐる軋轢だ。民主体制の台湾と共産党独裁の中国では、人々の意識や政策決定システムがまるで違う。台湾住民がダライ・ラマやラビア・カーディル氏を罵倒する中国に違和感を強める一方、中国は世論に敏感な馬英九政権に懐疑心を抱き始めたようだ。交流の拡大、深化につれこうした矛盾、摩擦が強まることも予想される。>

 <この1年半の中台急接近ぶりは目を見張らせる馬政権発足の1週間後に国民党の呉伯雄主席と胡錦濤国家主席兼党総書記が北京で国共の党首会談を行い、中台間の対話再開と交流拡大で合意した。>

 <それから半年で長年の懸案だった三通(中台間の直接の通商、通航、通信)が実現週に270の航空直行便が台湾海峡を往来するようになった。中国人旅行客は今年1~8月で約38万3千人と、昨年通年(5万4千人)の7倍に増えた。>
 <定義の違いこそあれ「一つの中国」原則を受け入れて親中姿勢を鮮明にする馬政権を中国は大歓迎世界金融危機で苦境の同政権支援のために春から大型買い付け団を続々台湾に派遣し、「購入額は100億ドルを突破した」(国務院台湾弁公室)。>

 <さらに中国人観光客の急増や中国資本の台湾投資解禁などを好感して株価(加権指数)も昨秋の底値(4089・93)から現在は7000台まで戻した。>

 <発足半年弱で20%台に半減した馬政権支持率(地元テレビ局、TVBS調査)は、中国の“てこ入れ”もあって就任1周年時に50%前後に回復した。ここまでは中国と馬政権の蜜月が続いた。>

 視聴率政治をお隣も見てるのか。

 <ところが8月の台風8号の台湾上陸を機に“すきま風”が吹き始める。救援・復興の不手際で支持率が再び20%以下に急落。この機を狙ったかのように独立派野党、民進党に所属する陳菊・高雄市長がダライ・ラマ招請に動いた。>

 <馬政権が700人にのぼる犠牲者の供養や被災者を見舞う目的でのダライ・ラマ訪台を拒めば、支持率はさらに落ち込んだ可能性が大きい。>

 <「2012年総統選での再選を最優先」(国民党筋)する馬総統はここで中国の反発覚悟で訪台を受け入れた。中国は非難の矛先を陳菊市長ら民進党の一部に絞ることで、馬政権との関係悪化を避けた。>

 <しかし9月22日には、高雄市主催の国際映画祭が亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長のドキュメンタリー映画を上映、さらに中国の神経を逆なでした。>

 <馬政権は中国がダライ・ラマ以上に警戒する同議長の訪台を拒むことで、ひとまずこれ以上の摩擦拡大を防いだ。だが中国の内心は穏やかではないはずだ。>

 <中台統一へのまたとないパートナーと期待した馬英九総統の支持基盤は弱く、馬総統は世論の動向によっては中国との合意や約束を実行できない心配がでてきたからだ。>

 <中台は自由貿易を協定化するための「経済協力枠組み協議(ECFA)」の早期締結をめざして今秋から交渉を加速する予定だった。しかし中国の王毅・台湾弁公室主任がここへきて「両岸(中台)双方の準備が十分整ったうえで話し合うべき」と、姿勢を後退させつつある。>

 <台湾住民の対中イメージにも陰りがうかがえる。中国がダライ・ラマやラビア・カーディル議長の訪台阻止のため、さまざまな圧力をかけたことへの反感や違和感が強まっている。>

 <このところ胡錦濤政権の微笑攻勢に慣らされていた台湾住民は、共産党体制の強面ぶりを再認識させられた。中台関係の前途にはやはり多くの曲折がありそうだ。>

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2009年9月28日 (月)

反小沢勢力のポチになるなよ!産経新聞!!~09年9月28日朝刊の不思議

 産経新聞09年9月28日朝刊総合面(5面)は奇妙な誌面だった。トップ記事は<視線の先は参院選/小沢氏、本格始動へ>。そして、2番手が<小沢氏帰国/?だらけ英国訪問/報道陣シャットアウト>。小沢一郎氏の「二重権力構図」という錆付いた古証文を取り出してきて、鳩山政権に打撃を与えたい気持ちは分からないではないが、何も政府の一員でもない幹事長がイギリスに行こうがフランスに行こうがいいじゃないか、と思うのだが。何か産経新聞、鳩山政権誕生でどこか歯車が狂ったとしか思えない紙面が出始めているのが気になる。もっと鷹揚に構えて、是々非々で臨めばいいと思うのだが。
 まずはトップ記事から。ネットでは<民主の小沢幹事長が本格始動へ 参院選に向けパワー全開>の見出しだった。坂井広志、山本雄史両記者の署名があった。
 <民主党の小沢一郎幹事長が10月から本格始動する。10月25日投開票の参院神奈川、静岡両補選への対応のほか、自民党との最終決戦となる来夏の参院選に向けて、同月下旬には地方行脚を開始する。一方、民主党内では、「政府」は鳩山由紀夫首相、「党」は小沢氏が担当するというすみ分けが出来上がっているが、小沢氏は国会対策を通じて政府へもにらみを利かせる仕組みも整えており、秋の臨時国会以降、小沢氏が陰になり日なたになり本来のパワーを全開させる局面がやってきそうだ。>
◇選挙対策に本腰
 <参院選まで残り約9カ月。民主党関係者によると、「小沢氏の頭の中は、すでに参院選のことでいっぱいだ」という。民主党の桜井充参院議員は鳩山政権発足翌日の17日、党本部を訪ね、小沢氏と面会した。「来年の参院選比例代表で出馬したいと言っている医療関係者がいます」。「本気ならおれが直接会うぞ」。民主党選対は10月に候補者の擁立方針を打ち出す予定で小沢氏も人材発掘を急いでいるのだ。小沢氏は10月中旬に自身が主宰する「小沢一郎政治塾」を開く。同塾は政治家の養成を直接の目的とはしていないが、すでに衆参で塾出身の国会議員は10人に上り、「政治家養成機関」になりつつある。小沢氏は、鳩山政権に対する有権者の最初の審判となる10月25日の参院補選も重視している。小沢氏は周辺に、「(新聞の)見出しは、勝っても小さいが、負けたら大きくなるぞ」と気合を入れている。>
◇国対掌握で発言力
 <16日の民主党本部8階の役員室――。側近議員が「政権交代してホッとしちゃいましたね」と思わず本音を漏らすと、小沢氏は「おーそうだな」と満足げな表情を浮かべた。上機嫌な小沢氏は、着々と17人の国会対策副委員長の人事を内定していった。内山晃氏、松木謙公氏、小宮山泰子氏、石関貴史氏…。小沢氏を支持する「一新会」の面々がズラリと並んだ。小沢氏側近の山岡賢次国対委員長の下で、国対副委員長たちは衆院の各常任委員会の筆頭理事を兼ねる。>
 <小沢氏は、政権発足当日の16日、首相官邸で開かれた与党3党首会談に同席した以外は、官邸に足を向けていない。政府を鳩山首相に任せきっているように見えるが、各委員会での法案審議の生殺与奪の権を持つ国対を通じ、小沢氏は政府にいつでも影響力を行使できる立場にいる。国対は新人教育にも当たる。10月下旬ごろから新人議員を10班以上に分けて、国対副委員長が講師となって国会や選挙のあり方などを指導し、「小沢イズム」をたたき込む構えだ。>
◇「小沢氏らしさ」
 <小沢氏は幹事長就任後、報道各社の要請にもかかわらず、記者会見に一度も応じていない。小沢氏が記者への応対を避ける傾向にあることは、これまでも指摘されており、ある意味では「小沢氏らしさ」が顔をのぞかせているとも言える。ただ、野党時代とは異なり、衆参合わせて400人以上の巨大与党を率いる幹事長だけに、説明責任の履行が求められそうだ。>
 <小沢氏は今後、参院民主党が研修会(10月6、7日)で参院幹事長などの人事を決めるのを受けて、幹事長代理などの党役員人事を発表する見通し。初会見は、その後になるとの見方がもっぱらだ。>
 以上がトップ記事である。まあ、小沢番記者による太鼓持ち記事なのか、裏に何らかの意図があるのか?
 そして、2番手の記事はネットでは<民主・小沢幹事長の英国訪問に乱れ飛ぶ憶測 真相は……>の見出し。
 <民主党の小沢一郎幹事長は27日、英国視察を終えて帰国した。ただ、小沢氏が訪問先で、具体的にどのような行動をしたのかは公表されていない。当初20日から6日間の日程だったのが「個人的に立ち寄るところがある」として2日間延期されたこともあって、謎に包まれた外遊となっている。>
 <帰国した小沢氏は27日、成田空港で記者団から声をかけられたが、無言で少しほほえんだだけだった。>
 <小沢氏の今回の英国訪問の目的は、党役員室によると「実務調査」。調査項目は①国会審議の方法と議会運営の在り方②選挙運動の規制と自由化③企業団体献金の禁止と個人献金の在り方④公務員制度改革に向けた環境整備――の4点で、面談対象は、労働党や保守党の事務局幹部、司法省など関係省庁の幹部らとしていた。側近の樋高剛衆院議員、党事務局員らが同行した。民主党は、報道各社には「純然たる実務調査であり、要人とは一切会談しないので、同行は募集しないし、現地での対応もいたしません」と、事実上の報道陣シャットアウトを「宣告」していた。>
 <小沢氏は英国訪問が多いことで知られる。平成5年から5年連続で訪英したほか、少なくとも11、12、16年にも訪問している。ただ、民主党では菅直人副総理・国家戦略担当相が6月に同じような目的で訪英しただけに、小沢氏がわざわざ出かけたことに首をかしげる向きも多い。帰国を2日遅らせた立ち寄り先も公表されていない。>
 <そこで政界でささやかれたのが、3年6月に狭心症で入院した小沢氏が「持病の狭心症の検査を兼ねて訪英したのだろう」(自民党閣僚経験者)という説。だが、具体的な証拠はない。このほか「羽を伸ばしに行った」(民主党中堅)との見方まで……。謎が謎を呼び、噂(うわさ)が独り歩きしている。>
 ここでようやく記事の意図が明白になる。狭心症、心筋梗塞の発作の可能性および治療の話である。
 小沢氏が代表だったころには「あの健康状態で総理大臣になれるのか」という自民党からのカウンター情報が永田町を駆け巡った。新聞記事にもなり、みな関心を持ったのだが、ちょうどうまい具合に秘書の逮捕があり、代表を降り、鳩山由紀夫新代表が総理大臣になったのだから、小沢氏にしてみれば万々歳だろう。少しくらい書かれても平気だとは思うのだが、こういう持って回った書き方しかできない日本の新聞はダメだな、と思った。
 反小沢勢力に尻尾を振っているだけじゃないか。
 しっかりせえ、産経新聞!!

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2009年9月27日 (日)

中国人が<「日本の成り上がり→米に怒られプラザ合意→失われた20年」>をうまくまとめていた~人民網09年9月27日

 中国の人民日報ネット版のことなのか「人民網」の日本語版09年9月27日号が配信されてきて(無料のメール新聞を購読しているので)、その中に<日本の過去から見つめる中国の未来>という面白そうな論文が出ていた。
 米プルデンシャル保険金融グループ国際投資部投資アナリスト、上海復聚卿雲投資管理有限公司董事長が作者だ、と書いてあるのだが、名前が出ていないようだ。ここまで書けば、名前を隠しても隠さなくても同じだと思うのだが。
 読んでみよう。
 <1970年代、増大した日本の貿易黒字と外貨準備は、米国が日本を非難する種となっていた。日本円は当時、過小評価されているとの指摘を受け、継続的な値上げ圧力を受けていた。1975年、日本のGDPは米国の30%に達した。世界経済は70年代の中後期、石油ショックの影響で衰退に陥り、長い低迷期に入った。米国は一連のG7サミットで、日本に対し、責任ある大国として誠意を持って経済を引っ張る役割を果たし、世界経済の回復を助けるように求めた。田中首相を継いだ三木政権と福田政権は、田中時代の過度の支出による後遺症を脱却するために財政支出を減らす方針だったが、米国の圧力を受け、一連の巨額の財政刺激策を出すことを迫られた。「国際金融報」が伝えた。>
 <その後のことは読者が知る通りである。日本円は値上がりしたが、日本の輸出は産業のグレードアップを実現し、対米貿易黒字の増加は止まらなかった。日本の自動車と電気機器は米国市場に広まり、老舗の自動車メーカーであるクライスラーは日本車のせいで破産寸前に陥った。>
 <日本は80年代初頭、資本取引の自由化を始め、日本経済は、一連の財政刺激策と継続的な貿易黒字によって急速な成長を続けていた。>
 <これに豪を煮やした米国は1985年にプラザ合意を取り付け、日本円のさらなる値上がりを迫った。資本取引の自由化と円高見込みによって、日本にはホットマネーが大量に流れ込んだ。日経平均株価は数年の間に1万円から4万円近くまで上昇し、商業区の地価は何倍にもふくれあがった。この頃は、株価と地価は右肩上がりを続けるものだという神話が信じられていた。この神話は、1989年末に最高潮に達した。銀座の地価は米カリフォルニア州全体を買える値段に匹敵し、東京の地価は米国全体を買える値段に匹敵すると言われた。東京の住宅価格は年収の10倍に達し、100年という長期の住宅ローンも生まれた。株式市場の株価収益率は80倍に達し、大蔵省の日経株価予測は6万円から8万円に達した。日本が「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」ともてはやされ、「『NO』と言える日本」といった本が出版されたのもこの時代だ。>
 <だがその後、バブル崩壊によって、株価と不動産価格は20年にわたる下落を始めることとなった。80年代末から90年代初めにかけては、リクルートと佐川急便の汚職事件も明らかとなり、自民党の威信が大きく損なわれた。自民党の元田中派は分裂し、羽田孜氏や小沢一郎氏が自民党を離党し、1993年には非自民政権が成立した。政局の不安定は政府の政策の揺れにつながった。日本には少子化という問題もある。日本の一人当たりのGDP成長率は過去30年を見ても過去10年を見ても米国に劣ってはいないが、人口の減少傾向は日本のGDP成長率を先進国の最低レベルに押し下げている。財団や銀行と長期的に深い関係を持つ自民党政権は、銀行システムの根本的な整理に踏み込まず、得意の財政刺激策を続けるだけだった。だが10年余りにわたる財政刺激策は日本経済の回復にはつながらず、財政収入の伸び悩みは逆に、GDPに占める政府借入金の比率を数十%から前代未聞の180%にまでふくらませてしまった。>
 <日本の新政権の政策と動きはまだはっきりしていない。ただ明らかなのは、以前の急速成長はもう戻って来ず、日本が米国に代わって世界一となるという夢は現実にはならないだろうということだ。>
 <中国は現在、当時の日本と同様、歴史の十字路に立っている。左に向かうのか、それとも右に向かうのか。中国の総人口も10年後には減少に転換する。中国経済が急速成長を続けるということも、過小評価された人民元が値上がりを続けるということも、投資界によって共有された認識だ。資本項目の自由化や人民元の自由両替も時間の問題だ。中国には、当時の日本がバブル経済に陥った条件がそろっている。中国は今後、日本と同じ失敗を繰り返すのか。それとも新たな道を踏み出すのだろうか。(編集MA)>

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G20閉幕でいろいろな面から解説していた~毎日新聞09年9月27日朝刊

 毎日新聞でG20会合の続きをフォローしよう。まずは09年9月26日夕刊1面トップ<G20金融サミット/経済政策を相互監視/民間主導で内需拡大/閉幕>だ。ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)から斉藤信宏、清水憲司両特派員が書いている。
 <日米欧と中国など新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会議)は25日午後(日本時間26日午前)、持続的な経済成長に向けて各国が協調し、経常黒字国が民間主導の内需拡大に取り組むことなどを盛り込んだ首脳声明を採択し、閉幕した。各国首脳は、金融・経済危機を招いた世界経済の不均衡是正に向け、各国の政策を相互監視する枠組みを新設することでも合意。同サミットを「国際経済を議論する最も重要な会議」と位置づけ、来年以降も定期開催していく方針を改めて表明した。>
 <首脳声明は、世界経済が最悪期を脱したことを確認すると同時に「経済の回復はいまだに不十分で、雇用も多くの国で深刻な状態が続いている」と指摘。回復が軌道に乗るまで景気刺激策を継続することを確認した。危機対応の財政、金融政策を平時に戻す「出口戦略」については「回復が十分確保された時点で実施」との方針を示した。>
 <また、金融規制改革では、景気の順調な回復を前提に金融機関の自己資本規制の強化を2012年末までを目標に実施することを明記。過剰なリスクの伴う投資を助長したと批判されてきた高額報酬を抑制するための規制強化についても合意した。>
 <世界経済の不均衡是正に取り組むのは、米国の過剰消費が住宅バブルを招き、危機の引き金になったため。米国など経常赤字国が貯蓄率向上に努力し、中国や日本など経常黒字国が内需拡大に努めることで合意した。国際通貨基金(IMF)に助言を要請し、各国の取り組みを相互監視する枠組みを構築する。また、IMFへの新興国の出資比率を少なくとも5%引き上げる方針も決めた。出資が増えることで、今後、IMFなど国際金融機関への新興国の発言力が強まる。次回のG20金融サミットは、来年6月に主要8カ国(G8)首脳会議の議長国カナダで開かれ、同11月にも韓国で開催される。2011年からは年1回の開催とし、2011年にはフランスで開くことが決まった。>
 というもので、
 [G20首脳声明の骨子]として、次の項目が載っていた。
<・経済刺激策の実施を継続。例外的な政策を元に戻す「出口戦略」は回復が十分確保された時点で実施されるべきだ
・世界経済の均衡ある成長への移行のため協力。各国の政策を相互監視する枠組みを11月までに開始
・銀行資本の質と量を改善し、国際的に合意されたルールを2010年末までに策定し、2012年末までを目標に実施
・金融機関に対し、報酬体系開示などの即時実施を要請
・国際通貨基金(IMF)の出資比率配分について少なくとも5%を新興国・途上国に配分
・G20は国際経済協力についての第一の会合。今後は毎年G20サミットを開催>
 以上である。
 そして、同じ毎日新聞9月27日朝刊の解説が詳しかった。まずは3面の[クローズアップ2009]。<G20閉幕/内需拡大、足並み乱れ/環境軸に成長目指す>の見出しだ。ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)斉藤信宏、清水憲司とあった。
 読んでみる。
 <3回目の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)は25日(日本時間26日午前)、世界経済が持続的な成長を続けるには、不均衡の是正と、環境技術の革新による「グリーン・リカバリー」が重要とする首脳声明を採択し、閉幕した。鳩山由紀夫首相の進める「子ども手当」などの内需振興策や、環境対策は成果を上げられるのか。>
という前文だ。
 <「多くの国は、不均衡を軽減する必要がある」。G20の首脳声明は名指しこそ避けたが、米国の過剰消費に支えられてきた中国、日本、ドイツなどの輸出国に内需拡大を求めた。オバマ米大統領は25日の会見で「持続的な成長に向けた新たな枠組みを前進させた」と、不均衡是正の意義を語った。対応を迫られた中国の胡錦濤国家主席は「しっかりした景気刺激策と内需拡大を進めることが重要」としながらも「中国は今年上半期、外需の大きな落ち込みにもかかわらず7%成長を実現した」と大規模な財政出動の成果を強調。米国債保有残高が世界一であることを踏まえ22日の米中首脳会談では逆に「米は財政赤字削減を」と要求した。内需拡大よりも「金融規制が最優先」と主張してきたメルケル独首相は声明に銀行の高額報酬制限が盛り込まれたことでようやく「満足して帰国できる」とコメントした。>
 <輸出国と米国の足並みの乱れも見られる中、鳩山首相は閉幕後の会見で「外需依存で景気をリードしていくことができなくなった。内需振興に思い切って経済を転換させる」との考えを示した。民主党は政権公約で▽月額2万6000円の子ども手当(2010年度は半額)▽高速道路の無料化▽ガソリンなどにかかる暫定税率の廃止――などの内需拡大策を掲げている。声明は、民主党の政策にぴったり一致しているというわけだ。>
 <だが、日本は1980年代以降、米国側の圧力で内需拡大を掲げてきたが、外需依存体質は変わっていない。鳩山首相は自民党政権との違いをアピールしているものの「子ども手当の多くは貯蓄に回る」などの指摘も根強く、内需主導型経済に転換できる保証はない。>
 何か後ろ向きの見方だが。
 <「石油に依存しないエネルギーを日本が世界に先駆けてリード役を務める」。鳩山首相はサミット後の記者会見で、環境技術への意気込みを語った。>
 <首脳声明は「クリーンで再生可能なエネルギーの増加」の必要性を訴えた。石油などの化石燃料に過度に依存した経済は、温室効果ガス排出に伴う地球温暖化を進行させる。地球環境が破壊されれば、経済成長もあり得ない。欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は「気候変動に対する取り組みなしに、全面的で持続可能な回復はあり得ない」と強調した。>
 <太陽光発電や風力などのクリーンエネルギーの拡大は環境対策にとどまらず、省エネによって企業のコスト負担を下げるほか、新たな産業の育成にもつながる。オバマ米大統領は、クリーンエネルギーの開発に10年間で1500億㌦(約13兆5000億円)を投資し500万人の雇用を創出する方針を表明。温室効果ガスの削減目標を「1990年比25%削減」へと大幅に引き上げた鳩山政権も「削減するほど経済にマイナスになるという(自民党政権時代の)発想はもうやめよう。経済と環境両方が良くなるようにする」(直嶋正行経済産業相)と米国同様、環境対策を成長戦略の柱に位置付けている。>
 <だが、クリーンエネルギーへの転換には巨額の投資が必要となり、短期的には企業、国民にとって負担増は避けられない。このため中国やインドなどの新興国は「削減は先進国の責任」との姿勢を崩しておらず、温暖化対策の新たな国際的枠組みを決める国連交渉がまとまるめども立っていない。十分な資金や技術支援を先進国側が示し、新興国と一体となって温暖化対策を進められるかが、今後のG20の課題になる。>
 というものだ。
 世界経済の不均衡ということばの解説もあった。
 <世界経済の不均衡 モノを大量に輸入する米国が経常赤字を拡大させるのに対し、中国や日本などが米国向け輸出で経常黒字を積み上げる構図。黒字国が米国債などを購入し、資金を還流したため、経常赤字下でも米国の大量消費、大量輸入が続いた。だが、金融危機以降、米国の消費が急減、黒字国の輸出も落ち込み、世界同時不況につながった。G20は「不均衡経済は持続不能」として、米国に対し貯蓄率を上げて「借金で消費する体質」からの脱却を、黒字国には内需拡大による米国頼みでない成長戦略作りを求めた。>
 である。
 そして、関連記事として竹森俊平・慶大教授のインタビューがついていた。見出しは<「相互監視」決め手にならない>だった。これも読んでみよう。聞き手は小倉祥徳記者である。
 <今回の金融サミットについて、竹森俊平・慶大教授(国際経済学)に聞いた。
 ―― G20の定例化で、日本の発言力は低下しませんか。
 ◆現状のままでは埋没する。だが課題に応じ、ある時は米国と、ある時は中国と連携すれば、外交交渉を有利に進められる可能性がある。日本が中国と組んで米国の財政赤字抑制を求めるとか、日本が得意な環境問題では、米国と組んで中国に実行を迫ることもできるはずだ。
 ―― 不均衡是正に向け協調することで一致しました。
 ◆首脳声明は、不均衡是正のため、政策の相互監視を始めることをうたった。だが、不均衡の最大要因である米・中が外圧で自国の経済体制を大きく変えるのか疑問だ。政策監視は今でも国際通貨基金(IMF)が実施しており、決め手となる取り組みとは思えない。
 ―― 民主党政権が訴える内需主導の回復は可能ですか。
 ◆藤井裕久財務相がガイトナー米財務長官との会談で為替不介入の姿勢を示し、急速な円高を招いた。円高とともに、民主党の公約である雇用規制の強化が進めば、輸出企業の海外逃避が起き、日本の景気回復は遅れるだろう。一方、環境重視の考え方は、環境技術に強い日本にとって重要な成長戦略になる。>
 そして、4面の[エコナビ2009]は<G20/金融規制日程明示/邦銀、資本増強急務に>の見出しだ。井出晋平、小倉祥徳両記者の署名があった。
 読んでみる。
 <主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)の首脳声明は、銀行の自己資本の規制強化を導入する目標時期を「2012年末まで」と明記し、金融危機の再発防止に向けた動きを加速させた。国際通貨基金(IMF)への新興国の出資比率拡大も盛り込み、G20サミットの定例化と併せ、危機を契機に新興国が発言力を強める流れも鮮明になった。>
 という前文で、
 <「ごく少数の無謀な企てで世界の金融システムがリスクにさらされる事態を二度と起こしてはならない」。オバマ米大統領はサミット閉幕後の会見で、野放図な投資で巨額損失を抱え、相次いで資本不足に陥った金融機関を批判し、規制強化の必要性を強調した。首脳声明は、自己資本の増強を促す規制強化について「景気回復が確実になった時点」と条件をつけながらも、導入の目標時期を初めて示した。サミット議長国の米国の強い意向が反映されたものだが、慎重な対応を求めていた邦銀には不利な形勢が一段と強まった。規制の具体的な基準は、各国の金融当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が2010年末までに作成するが、普通株を主体とした「狭義の中核的自己資本」の増強を求める方向で協議が進んでいる。普通株は無配や減配で損失が吸収でき、高配当の優先株などに比べ、「資本の質が高い」とみなされているためだ。だが、日本のメガバンクは自己資本に占める普通株の比率が米欧より低い。邦銀は「米欧は公的資金で普通株がかさ上げされており、単純比較はおかしい」と反発してきたが、導入目標時期の設定で、普通株増資などの対応が迫られそうだ。>
 というのだ。専門的過ぎるかな、この記事は。もう少し分かりやすく書いてほしかった。
 <株価下落の懸念もある普通株増資の代わりに、融資を絞り込んでも自己資本比率を引き上げられる。だが、景気回復に水を差す恐れがあるうえ、亀井静香金融・郵政担当相が「貸し渋り」批判を強めていて、立場は苦しくなっている。また、首脳声明は金融機関の報酬規制も打ち出した。各国当局で組織する「金融安定化理事会(FSB)」が指針を公表し、最高幹部の業績連動報酬の60%以上は支払いを3年以上遅らせることなどを例示した。短期の巨額報酬を追い求め、高リスクの投資にのめり込むのを防ぐため、中期的な業績を見極めて報酬を払う仕組みだ。ただ、報酬自体の上限は盛り込まれず、報酬制限に積極的なドイツやフランスと、ウォール街を抱えて慎重な米国が折り合った格好。日本の金融機関は米欧よりも報酬がはるかに低く、規制の影響は限られそうだ。>
◇IMF、力強まる新興国
 <今回のG20金融サミットでは、IMFへの出資比率について、先進国から新興・途上国に5%以上を移すことが首脳声明に明記された。出資比率はIMFの投票権に連動するため、高成長を続ける中国など新興国の発言力が高まり、相対的に先進国の地位が低下することになる。首脳声明は、「新興国・途上国の力強い成長」を考慮して、経済規模などに比べ出資比率が過大な先進国から、新興・途上国への移転が必要とした。IMFは2008年4月に出資比率を見直しており、1位の米国は17.67%、日本が6.56%、ドイツが6.11%と続く。新興国を代表する中国は4.0%と6位に位置するが、次の見直しで出資比率が増えた後は日本やドイツに肩を並べる可能性が出てきた。>
 まあ、そうだろうね。仕方ないよ。
 <今回の措置は、世界経済で新興国の存在感が強まっていることの反映と言える。昨秋のリーマン・ショック後の経済危機からなかなか立ち直れない先進国とは対照的に、中国などの新興国はいち早く回復。融資枠拡大などのIMFの危機対応策にも、財源強化のための債券引き受けなどで積極的に協力した。このため、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国は、経済力に見合った地位を要求。IMFの出資比率は「正当性をひどく損なっている」と、先進国の7%を新興国に移転するよう主張していた。>
 <欧州などには、発言力低下の懸念から新興国への出資比率移転に抵抗感は根強い。しかし、G20サミットの定例化も決まり、国際社会の中で新興国の発言権が強まる流れはもはやとめようもない。>
 この項目は平地修記者だそうだ。
 <[IMFへの出資比率(%)]一覧表がついていた。(2008年4月時点)
米国      17.67
日本       6.56
ドイツ      6.11
英国       4.51
フランス     4.51
中国       4.00
イタリア     3.31
サウジアラビア  2.93
カナダ      2.67
ロシア      2.50>

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«韓国紙の社説で外国人留学生が嫌韓になることを憂えているが、日本への留学生のほうが反日になるんじゃないか、と怖い~中央日報09年9月27日