汚染米拡大、民主党は参院閉会中審査で農水省の責任追及を+9月6日からの事故米報道の各紙比較
9月11日朝刊各紙を見ると、大阪市の三笠フーズだけでなく、名古屋市の接着剤製造会社「浅井」と愛知県小坂井町の肥料製造販売会社「太田産業」も政府の契約で定められた用途以外に事故米を転売していたことが明るみに出た。農水省が10日、発表した。食品衛生法の残留基準を超える農薬メタミドホスに汚染された中国産のもち米も含まれている。
テレビ、新聞とも、この「汚染米」に関するニュースは中途半端だ。これは、自民党総裁選でニュースの時間が取られ、汚染米を報じるニュースの枠が減っているということもあるだろうが、もっと構造的な問題は、三笠フーズの本社が大阪市で、各社は大阪社会部記者が中心となって取材しているはずだ。トラブルを引き起こした工場は福岡市にあり、立ち入り調査をしていたのも農水省とはいうものの、九州農政局福岡事務所で、この取材は西部本社か福岡総局になる。10日明らかになった名古屋など愛知県の2件は各社、名古屋本社が取材するだろう。そして、ウルグアイ・ラウンドの特例で日本が海外の米を輸入せざるを得なくなった経緯とその仕組みの取材は東京本社の経済部や政治経済部が中心となる。
つまり、テレビも新聞も取材現場とその統括部署がバラバラだから、この事案をトータルに捉えて、問題点を指摘するのに時間がかかる。その証拠に、10日朝刊まで、各紙ともまだ農水省の責任問題を正面から取り上げていない。
今、必死に取材している最中だろうから、数日中には構造的問題点が紙面化されてくるだろうが、国民としてはそんなに待てない。
ことは一人一人の健康問題、有毒物質を意識しないで食べさせられているかどうか、の問題なのだ。
親しい友人と話していても「なぜ有毒物質が入っている米をわざわざ輸入して、それを流通させるのだろう」「有毒物質が入っていると分かった時点で、輸出した国に返却できなかったのか」「それができなければ廃棄処分すべきではないか」「そもそも、農水省は検査を繰り返していてなぜ分からなかったのか」という疑問が次々提起される。
政治や経済に関心のない人でも自分の健康に直結する問題では怒りを押さえ切れない様子だ。当然だと思う。
福田康夫首相は消費者中心行政を実現するために野田聖子消費者行政担当相を置いたが、今回の問題でも農水省は野田大臣にきちんと報告していないらしい。
いくら投げ出し総理とはいえ、福田康夫氏はまだ総理大臣なのである。国民の口に有毒物質が入らないようにする責任があるのではないか。
その責任まで放棄して、口をつぐみ、麻生太郎氏ら5人の演説だけ国民に聞かせようとしているのかもしれないが、国民が知りたいのは、有毒物質の混じった食品はこれ以上ないのかどうか、どうしてこんなことが起きたか、である。遠大な政権構想ではない。
民主党や社民党、共産党は総選挙準備に忙しくとも、早急に参院の閉会中審査を行い、農水省の役人を呼び出して、事実関係を追及すべきだ。テレビも総裁選報道もいいが、そうした国民の本当に知りたい国会審議を同時中継して国民に見せるべきだ。
ウルグアイ・ラウンド受諾に際しての農水省の甘い見通し、見通し外れの困惑と隠蔽のための事故米こっそり売却、米流通部門の温存とそれに関与した農水省役人、天下り問題など、様々な構造的問題が明るみに出るだろう。
そうすれば、今までとかっかりがなく、責任追及に及び腰だった報道機関も腰をすえて報道するようになると思う。
政局より政策、明日の政策も大事だが、今の健康被害を防ぐ緊急政策はもっと大事である。民主党に行動を求めたい。
●●事故米食用転売報道の経緯~東京本社発行の最終版の各紙比較●●
★[9月6日(土)朝刊]~各紙の事件初報
1面トップにしたのは朝日新聞<有害米 食用と偽る/大阪の業者/転売、菓子・焼酎に>、毎日新聞<事故米 食用に転売/メタミドホス残留/大阪の卸業者/03年度以降300㌧/農水省、流通状況を調査>、東京新聞<汚染米300㌧を食用転売/農薬やカビ毒残留/大阪の業者/農水省 回収指示、告発へ>。
朝日新聞の前文は「農林水産省が5日、米販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が工業用に限った用途で仕入れた「事故米」を食用と偽って転売していたと発表した、という内容。事故米からは中国製冷凍餃子による中毒事件でも問題になった有機リン系の農薬成分メタミドホスや、カビから発生し発がん性が指摘されている毒素のアフラトキシンB1が検出されている。同社の工場のある福岡県は食品衛生法(有害食品などの販売)に基づき回収命令を出した」という内容。
◆農水省の責任問題
朝日新聞1面によると、「この問題は8月22日と27日に農水省の食品表示110番に『工業用米を食用に横流ししている』との通報があり、立ち入り調査で発覚した。三笠フーズの冬木三男社長が4日夜に食用として流通させていたことを認めたため、公表に踏み切った」とあった。
◆事故米 「ウルグアイ・ラウンド合意で日本が輸入を義務付けられた米の一部で、検査などで食用に適さないと判断された分。年間2000㌧程度あり、最近は17社が購入している。工業用のりの原料のほか、灰にして建設資材に使うこともある。1㌧当たり平均で6000円程度。輸入米は全体で現在、年間77万㌧にのぼる。国内の主要食の米価に影響しないよう倉庫に保管し、2~3年後に販売。みそ、焼酎、せんべいへの加工用が最も多く1㌧8万円程度で年間20~30万㌧が売却される。飼料用、外食用としても売られ、海外への援助用にも使われる」(朝日新聞1面<キーワード>から)。
毎日新聞1面<ことば>では、「事故米とは、国が買い取って保管、販売する政府米(外国産を含む)のうち、水に濡れたりカビや基準値を超える残留農薬が検出されて食用に回せない米。工業用のりなど用途を限定して販売される。農水省によると03年度~08年7月に計約7400㌧を販売し、三笠フーズを含む計17社が購入した。価格は1㌔当たり10円前後で、せんべいや酒の原料として売られる食品加工用米の5分の1ほど」。
朝日新聞よりも少し広く分類、国内産米まで含めている。
今までの「事故米」の定義は毎日新聞が正しいのだろうが、今回問題になる「事故米」は朝日が書くウルグアイ・ラウンド米に限る、ということか。
◆メタミドホス 「殺虫剤などに使われ、摂取すると、神経に作用し下痢や嘔吐、寒気などを伴う急性中毒症状が出る。体重1㌔当たり約0.01㍉㌘で中毒を発症する。日本では使用が認められていない。昨年12月~今年1月にかけて、メタミドホスが混入した中国製冷凍餃子を食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が一時重体になるなどの中毒を起こした」(毎日新聞社会面)。
産経新聞社会面は「野菜などでアブラムシなどの駆除に使われる有機リン系の殺虫剤。中国でも残留物による中毒被害が相次いだことから2007年から国内での使用、生産が禁止された。致死量は体重50㌔の成人で1.5㌘程度とされる」とあった。
一方、朝日新聞社会面は「神経が異常に興奮状態となり、吐き気や発汗、瞳孔の縮小などの症状が現れる。ひどい時には呼吸障害から昏睡、死亡に至る。内閣府の食品安全委員会は体重50㌔の人の場合、0.15㍉㌘を一度に摂取すると健康被害が及ぶレベル(急性毒性)との見解を示している。ただ、揮発性が高いことや、今回は残留濃度が基準値の5倍程度と比較的低いことなどから、農水省は『健康被害はないと考える』としている」とすっかり国の言い分を信用した書き方だった。
◆アフラトキシン 「コウジカビから生まれるカビ毒の一種で、熱帯地域の土壌に普通に存在する。豆やトウモロコシなどの穀物に発生し、天然物として最も強力な発がん物質といわれ、長期間にわたって大量に摂取すると、肝臓がんになりやすいとsれる。日本では02年にイラン産ピスタチオナッツから繰り返し検出され、厚生労働省はイラン大使に改善を要請した」(毎日新聞社会面)。
産経新聞社会面は「B1など複数の種類がある。1960年に英国で10万羽以上の七面鳥が死亡した事件をきっかけに発見された。70年代にインドで100人以上が肝炎のために死亡した事件や、ケニアでの急性中毒事件などがある。加熱処理しても毒性は消えない」とあった。
一方、朝日新聞社会面は食品衛生の専門家の話として「DNAに直接作用し、主に肝細胞がんを引き起こす。多くの国で規制値が定められている。アフラトキシンB1を生むカビは熱帯地方や亜熱帯地方に生息する。主にナッツ類に発生するが、コメにはえる事例もあり、貯蔵条件が悪いと多発する」と書いたうえで「ただ、焼酎製造の専門家は『細菌や毒素が酒に混入する可能性は低いと思う』と指摘。焼酎づくりの過程でコメを洗い、蒸し、蒸留することによって化学物質や細菌、カビが出す毒素は揮発したり、洗い流されたりするためだという」と平静な対応を呼びかける内容となっている。
朝日新聞社会面の大トッパンも<「カビ除けば安全」>。一報段階で朝日新聞がいかに腰が引けていたか、を象徴する記事だった。
★[9月6日(土)夕刊]~三笠フーズ社長が記者会見
三笠フーズの冬木三男社長が6日午前、大阪市内で記者会見し、事故米を食用米と偽って転売していた問題で「私が転売を指示した。すべて私の責任」と不正への関与を認めた。転用は5~6年前から始め、事故米による健康被害の危険性を認識しながらも、安価な事故米を悪用して利ざや稼ぎを続けていたことを明かした。この中で10年ほど前、経営の苦しい九州の業者を買収してから事故米の取り扱いを開始。その後、経営が苦しくなったために「九州の工場の部下から食用への転用を提案された」「1㌔十数円で仕入れた事故米を30~50円で販売した。米粉にすると、さらに15円ほど高く売れた」と話し、不正発覚を防ぐため二重帳簿や記録の偽造も「私の指示」と語った、という(読売9月6日夕刊1面)。
問題が発覚した5日には会社側は「(製造工場の責任者だった)前九州事務所長が独断でやった」と説明していたが、一転して本社が関与した組織ぐるみの不正だったことを明らかにした(日経新聞6日夕刊1面)。
日経新聞社会面は「三笠フーズが2004年にアフラトキシンが検出されたベトナム産うるち米(約3.3㌧)を農水省から1万円で購入していたことが6日、分かった。……事故米の平均単価は1㌧あたり約6000円で、通常の輸入米の15分の1ほど。三笠フーズが購入したうるち米は1㌧あたり3000円で、事故米の中でも安い部類に入る」と書いた。
★[9月7日(日)朝刊]~農水省の検査の甘さが明るみに出た
朝日新聞社会面<農水省を批判/野田担当相>は6日、神戸市で記者会見した野田聖子消費者行政担当相が事故米を偽って販売していたことについて「(農水省のチェックが)甘かったと思う。(食用に)使ってはならないとくくられているものなので、細心の注意を払うべきだった」と語った、という。
読売新聞1面<農水省 検査日程、事前連絡>は「各地の農政事務所が管轄地域の購入業者から加工計画書の提出を受け、加工作業に立ち会って点検するほか、在庫量と加工数量、販売状況などを帳簿で確認する。しかし、抜き打ち検査や販売先の調査は規定になく、検査は事前に連絡された後行われていた。農水省は『抜き打ち検査をするなど厳しくしたい』と検査方法の見直しに着手した」という内容。この規定は「内規」だという。
また、ここで、「農水省によると事故米とは」として、毎日新聞が書いたように、国内産米も含めて事故米だ、という定義を書いていた。
読売新聞対社面<利ざや1500万円前後>は三笠フーズについて「転用が確実だと見られる約298㌧分の取引だけで、1500万円前後の差益を得ていた可能性があることが6日、分かった」と書いていた。この記事は事故米のレベルによって価格が違っている様子など詳しく分析してある。
日経新聞社会面<社長ら幹部のみ把握>、<事故米購入16社緊急点検へ、農水省>は見出し通りの記事。産経新聞1面<汚染米/混入1割に抑制/三笠フーズ/発覚恐れ量調整>も隠蔽工作の手口だ。対社面<三笠フーズ汚染米/不正転売は430㌧/135㌧在庫/伝票上だけ業者経由>は複雑な流通経路について、実際に米が運ばれたのではなく、伝票上だけ売り買いされた形であった可能性に触れている。
★[9月8日(月)朝刊]~昨年1月にも内部告発があったが、見過ごしていた
毎日新聞だけが<汚染米/関西の菓子会社にも/農水省が伝票把握>と1面トップ扱いだった。他紙の1面トップは<臨時国会冒頭解散へ>(朝日新聞)、米財務省のファニーメイなど2社救済(読売、日経)、産経は新たな北朝鮮による拉致疑惑浮上、東京は<大分県教委、6人採用取り消し>。各紙バラバラの1面だったが、この日は毎日新聞の奮闘ぶりが光った。
毎日1面の内容は「三笠フーズから仲介業者、米穀店に転売された事故米が関西地区の米華メーカーや和菓子メーカーにも渡っている可能性が高いことが農水省の調べで分かった。これまで焼酎メーカーへの販売が分かっていたが、新たに菓子への使用の恐れが強まった。一方、粉処理をしていないもち米約135㌧が米穀店などに食用として残っていたことも判明。転売量は少なくとも約433㌧に上る」という内容だった。
毎日新聞は3面[クローズアップ]もよくまとめてあった。
<三笠フーズ事故米転売「やめられず」/「国策」の4分の1悪用し暴利/利ざや1㌧で7万9000円/輸入義務枠 加工用に流通/見逃した農水/事前に通告 ずさん検査>の見出しで、農水省のアホのような見逃しぶりを書いていた。ただ、内容を精査すると、ほぼ、今までに出てきたもののまとめ的な記事だともいえそうだ。
[クローズアップ]で新しかったのは輸入規制強化部分だろう。
「国は06年5月、残留農薬規制を強化した『ポジティブリスト制度』を導入。メタミドホスの基準値は0.01ppmで、それを超えると輸入できなくなった。今回、流通したメタミドホスに汚染された米は、規制前の03年度に輸入された。同制度が導入されてからは、事故米として扱われた」とあった。
2006年度からは残留農薬の入った米は輸入できなくなった、という内容である。ミニマム・アクセス米でもこれは適用されるののだろうか?
毎日新聞社会面<不正告発昨年も/農水省/調査で確認できず>は昨年1月に三笠フーズの不正を告発する複数の情報が農水省に寄せらてていたことが分かった、と特ダネ。これは夕刊で読売新聞が追いかけていた。
「同省の対応を巡っては、今年8月中旬の検査でも不正を確認できなかったことが判明している」と書いた。
「情報提供があったのは06年11月に東京農政事務所から購入した500㌧(550万円)に関する不正。『工業用のりに加工する名目だったが、食用に流通している』という趣旨の情報が2度にわたって同事務所に寄せられたという。農水省から連絡を受けた福岡、佐賀両農政事務所は1月31日~2月5日に調査を実施したが、同社の福岡と佐賀の倉庫に、落札した汚染米が保管されていたため、担当者は『転売はされていない』と判断した。同社に対し『食用に流用すると食品衛生法に罰則規定がある』と説明しただけで引き揚げた」という内容である。
記事は続けて「結局、同社はこの後も汚染米転売を続行。農水省は今年8月中旬にも、福岡県筑前町の同社工場を検査しているが、この時も不正を見抜くことができなかった。同社は、のり用の加工作業を装うことで発覚を逃れていた」と書いていた。
他紙は大体が、三笠フーズが中国産米のほぼ全量を食用転売していた、という問題に集中して書いていた。
★[9月8日(月)夕刊]~商社ルートで新たに740㌧判明+焼酎メーカー5社の名前
<商社からも汚染米/三笠フーズ740㌧購入>(読売新聞1面)が新たに明らかになった。農水省が8日、発表したらしい。読売新聞1めんによると、「新たに判明したうち約6000㌧は、ネオニコチノイド系の殺虫剤「アセタミプリド」が基準値を超えて残留していたベトナム産米で「双日」が輸入し、九州の米穀卸会社を通じて三笠フーズに売却された。約140㌧は2005年度に輸入されたタイ米にカビが発生したため、住友商事が国から買い戻し、三笠フーズに売却された。これらの一部は、福岡、鹿児島、熊本県の焼酎メーカーに販売されたとみられる」と書いた。
読売新聞対社面<汚染米転用 告発2回>は朝刊で毎日新聞が特ダネで書いた昨年の内部告発に関する記事。<農水省、見抜けず>の見出しが効いている。
毎日新聞1面は<事故米購入16社転売有無を点検>は16社の社名をすべて書いていた。また、<転売先5社を公表>で、この5社の名前も書いていた。東京1面<焼酎5社公表>も業者名を書いていた。
★[9月9日(火)朝刊]~ウルグアイ・ラウンドの問題少しずつ報道始まる
この日、最も読みたかった記事は東京新聞経済面トップのワッペン[ニュースQ&Å]<事故米流通チェック体制は/事前通告で見抜けず/農水省、今後は抜き打ち検討>だった。「政府が管理する米には2種類あり、一つは備蓄米で、これは主食用の国産銘柄米をJA経済連などから毎年30万㌧前後買っている。もう一つは世界貿易機関(WTO)の合意に基づいて輸入するミニマムアクセス(最低輸入量=MA)米。商社に買い入れを委託し、タイや中国、米国などから2007年度は約70万トンを輸入した。こちらは米華や米粉などの加工用がほとんどだ」とある。
「政府は備蓄米もMA米も数年たった古い物から順に販売している。備蓄米の入札は年に数回、MA米は毎月1回行われる。入札できるのは処理能力や資本金などの基準を満たした登録業者だけだ」
「事故米とは保管中にカビが生えたり、輸入時に残留基準を超える農薬が検出されたりした米のことだ。食用に使えないので、合板の接着剤など工業原料用や肥料用として売られる。運搬中に袋が破れた程度の『事故』なら加工用や飼料用に回るケースもあるが、まれだ」とあった。
「Q:農薬に汚染された米なんて買わなければいいのに」という問いに「今回食用に転売された米の中に、残留基準を超えるメタミドホスが検出された輸入米があったけど、輸入当時はその基準がなかった。一昨年の制度改正で基準ができ、改めて検査したら基準値以上だったので事故米になったんだ」とあった。
「Q:それで事故米はどうやって売るの」の質問に対しては「米を保管している農政局、農政事務所ごとに、事故米が発生したときだけ販売するんだ。1回の販売予定価格が50万円未満なら、業者から見積書を出してもらった上で随時契約できる。50万円以上は指名競争入札となる。MA米の落札価格が1㌔当たり80~100円程度なのに対し事故米はその10分の1程度だから、ほとんど随意契約だとみていい」とあった。
「Q:三笠フーズは積極的に事故米を買っていたが?」に対し「過去5年間で発生した事故米計約7400㌧のうち、1779㌧を買ってトップだ。北海道から沖縄まで25都道府県で事故米を買い付けており、受け取りは運送会社に頼むなどしていたらしい」とあった。
「Q:農水省はちゃんと定められた用途に使われているか、チェックできなかったのか」の質問に対しては「加工の現場に立ち会ったり、台帳を点検したりして流用がないか、確認している。三笠フーズにもこの5年で96回出向いた。ただ、事前に通告した上での調査なので、悪質な業者ならいくらでもごまかせる。今後は検査を抜き打ちで行うなど、監視体制を見直す方針だ」とあった。
この<Q&A方式>は今まで読み飛ばした記事をまとめて読めるし、分かりやすいので、いい企画だと思う。
読売新聞対社面<汚染米取引85社関与/千葉・茨城・静岡の業者も>が最もショッキングな内容だ。農水省調査で8日分かった、という形式の記事だ。東日本の米穀店などにも事故米が渡っていた、とあった。東京新聞対社面<汚染米流通/13府県、86業者に拡大/三笠フーズ/商社からも743㌧購入>もほぼ、同じ内容だった。
毎日新聞社会面は<転売数回で「精米」>と何度もロンダリングする中で、事故米が精米に化けるシステムを追及したが、記事が浅かった。
朝日新聞は対社面<事故米売却の制度見直しへ>のベタ記事だけ。政府が保管する事故米の全量売却も視野に入れている、と。
日経社会面<転売情報昨年に把握/農水省、事実確認できず>も毎日新聞7日朝刊社会面の特ダネの後追い。
産経新聞対社面<農水省「監視不十分だった」>は白須敏朗農水事務次官が「確実に(事故米を工業用に)加工する業者を探せないなら(事故米の)廃棄も検討する」と述べたことを書いていた。朝日新聞が匿名で書いていた記事内容と同じなので、朝日新聞は事務次官会見で記事化したと分かる。なぜ産経新聞のように書けないのか。朝日新聞はおかしい。
★[9月9日(火)夕刊]~時間経過でメタミドホスは毒性が薄れるのか?
毎日新聞社会面は<事故米、検査時に工程偽装/三笠フーズ/のり用粉加工に>と<「美少年酒造」にも>。
これまであまりいいところのなかった朝日新聞は社会面トップ<有害米 焼酎ブームに冷水/怒るメーカー・販売店>焼酎業者の怒りの声を特集。<九州の菓子メーカー納入>では中国のメタミドホス入りもち米が宮崎、熊本、鹿児島3県の菓子メーカーに納入されたことを特ダネ風に書いていた。<農水省、三笠フーズに違約金請求へ>も各紙書いていた。金を取ればいい、というものではないだろうが。
読売新聞1面<汚染米、日本酒にも混入か/熊本のメーカー、出荷自粛>で「美少年酒造」では日本酒を造っており、その原料米に混入した疑いがある、という部分を見出しにしていた。日本酒は紙パックの日本酒「美少女」(1.8㍑)などだ、という。
日経新聞は社会面<保管続け農薬薄める?/事故米、倉庫に1年以上>で「毒物に詳しい常石敬一・神奈川大教授は『メタミドホスは日光を浴びたり、空気に触れたりすると分解される性質がある。保管状況によるが、倉庫が密封されてなければ1年から1年半で人体に無害な水準まで濃度は薄まるのではないか』と話している」と書いていた。
★[9月10日朝刊]~佐賀の会社はダミーだった:三笠フーズの様々な手口
毎日新聞が好調だ。殺虫剤メタミドホスの汚染米をすべて受け入れていたとされる佐賀県内の仲介業者が「工業用のり加工会社」を装ったダミー会社であることが分かった、という特ダネを社会面トップで扱った。三笠フーズは「のり原料」をこの仲介業者に出荷したとする書類を作成していたが、実際はのり加工は行われておらず、仲介業者に出荷したとする書類を作成していたが、実際にはのり加工は行われておらず、仲介業者の社長は毎日新聞の取材に「頼まれてやった」と偽装協力を認めた、という内容である。事故米取引であることを偽装するためにこの業者を利用したわけだ。
各社、三笠フーズが全従業員100人を解雇したことを報じた。社員とパートを含む約100人だ。汚染米を出荷していた九州工場(福岡県筑前町)と炊飯工場の豊中ライスセンター(大阪府豊中市)の操業も停止した、と。
朝日新聞は社会面トップ<農水省甘すぎた調査/事故米/96回偽装帳簿疑わず>で農水省の無策ぶり、無責任ぶりを突いた。ここで、毎日新聞の特ダネの昨年1月の内部告発に触れて、立ち入り調査したものの、二重帳簿になっていて不正を見抜けなかった、と書いている。
面白かったのは朝日新聞社会面関連記事<三笠フーズ「共存共栄だった」>である。
「三笠フーズは農水省にとって便利な存在だった。『農水省とは共存共栄でやってきた。向こうが困った時には少量でもすすんで買ってきた。買いませんか、と営業もしてくる』。三笠フーズのある社員はそう証言する」というのだ。
「同社は過去5年間だけでも53回にわたって事故米を買い付けた。政府の販売全量の4分の1に達する。ほかに引き取り手のない事故米60㌔を極端に安い260円や300円で仕入れることもあった」。
この差額が三笠フーズの稼ぎになっている。従業員を解雇して、退職金を今のうちに支払うことは従業員の生活保障のために許されるのだろうが、同様の小ずるい考えで、社長ら経営者の財産隠匿を許してはならないだろう。
「なぜ農水省は食用にならない不良品を売りたがるのか。同省の担当者は『事故米といえども国費で購入した国の財産。価値のあるものは少額でも売らなければ無駄と指摘されかねない』と説明する」
ウルグアイ・ラウンド合意の行政的手続きがどうなっているのか? 各社、もう少し経済部記者の取材が必要だろう。ほとんど実態が出てこない中で、この記事などは貴重な証言ではあるのだが。
「事故米は、もともと政府のウルグアイ・ラウンドによって政府が輸入を義務付けられたミニマムアクセス(MA)米だ。保管料だけで年1㌧1万円っかるが、焼却するにしても焼却費1㌧1万円に加え運搬費がかかる」
この数字は初耳。こういう数字が必要なのだ。
「事故米の購入業者は全国で17社。北海道や中国地方には1社もない。ある農政事務所の職員は『どう考えても業者にとって損をする入札。来てください、とお願いしても三笠フーズしか来なかったこともある』と証言する」
そういうことなのだろう。だから、農政局職員が偽装の事情を知っていながら、目をつぶっていた可能性は十分あるのだ。農水職員は要注意だ。
読売新聞社会面は<三笠フーズ、検査前 汚染隠し/従業員証言/毎月、別の倉庫に/「混入担当1人だけ」>。第1倉庫、第2倉庫、第3倉庫があった、と。こんな大掛かりな偽装を許しておいた農水省の責任だよ、問題にすべきだ。
日経新聞社会面は<事故米混入「国産」と偽装/三笠フーズ/酒造会社に販売>。ひどいねえ。
産経新聞対社面は<仕入れ3円、販売70円/「三笠フーズ」汚染米商法/巨額の利ざや稼ぐ>でカネの話。東京新聞は1面トップで<汚染米、製菓36社に流通/農水省発表/一部すでに消費か>。社会面トップは<汚染米禍首都圏にも/焼酎人気に水差す/関係業者商品/相次ぐ撤去・回収>。
★[9月10日(水)夕刊]~転売は帳簿取引だけだった可能性も
各紙とも1面トップは自民総裁選告示、5氏出馬。史上最多、麻生氏優位になどの見出しが乱舞する派手な扱いだった。
朝日新聞は社会面トップ<事故米「国が購入促す」/複数業者/17社は転用否定>で、農水省側が業者に事故米を買うように持ち掛けていた、という業者の証言を掲載。奈良県の工業用のり製造販売業者、山形県内のコメ油製造業者、富山県内の中国製もち米で工業用のりをつくる業者、秋田県内の運送会社、松山市の肥料製造卸会社、新潟県の工業用のり製造販売会社が出てくる。よく取材した記事。農水省の責任問題に波及することを考えた記事だ。
読売新聞も社会面トップで<汚染米取引帳簿だけ/佐賀の仲介業者/「三笠に頼まれた」>と、業界の負の部分を取り上げた。
一方、毎日新聞は社会面トップは<新たな「顔」誰に>とご祝儀新聞。そこまで付き合わなくてもいいのに、とも思うが、いろいろ編集方針があるのだろうから。
それに押されたのか、汚染米報道は社会面3段で<事故米販売/契約結ぶ時間を調整/北海道農政事務所/三笠に配慮>。お得意先の三笠フーズの都合に合わせて倉庫の在庫が都合いいときに契約を結んでいた、という話。そこまで配慮していた、つまり一体だった、ということだな。日経新聞、東京新聞も社会面トップで、自民党のお祭を一緒にはしゃいでいた。
★[9月11日(木)朝刊]~愛知の2社も不正転売していたことが分かった
毎日新聞は1面トップで<事故米/愛知2社も転売判明/二重帳簿で検査逃れ>とベタ記事<農水省調査も不正見抜けず>。社会面トップ<転売 やはり他にも/事故米/浅井「経営厳しく」/「食用」目的は否定>と関連記事の4段見出し<「通帳」問い詰め白状/農政局「信用しすぎた」>。東京新聞も1面トップと社会面トップ。
朝日新聞は社会面トップ<事故米転用 新たに2社/愛知/食用?米穀業者に/「会社苦しく」「不正認識」>で派手にやっていたが、1面トップは自民党総裁選。
読売新聞が1面3段で本記を入れて、社会面と対社面の見開き展開したのに比べると、自民党批判をしていた朝日新聞が実は自民党を一番大切にしていることが透けて見えるようだ。というより、事故米問題の重要性を認識していないようだなあ、一連の報道を見た限りでは。
日経新聞は社会面トップ扱い。驚くべきは産経新聞で、対社面のベタ扱い。<愛知の2社も/事故米販売>。いくらなんでも、これはないでしょう、産経さん。
★[9月11日(木)夕刊]~アサヒ芋焼酎に汚染米混入判明
毎日新聞1面4段<アサヒ芋焼酎に汚染米/「かのか」など/9商品を自主回収>は三笠フーズからの不正転売の汚染米が鹿児島県の西酒造の焼酎の原酒用に使った米の中に入っていた、という話。。朝日新聞は対社面2段<焼酎65万本回収/アサヒビール/「かのか」など9種>と影響の多きさを見出しにした。くっつけてあるベタ記事<事故米の転売利ざや5倍超/三重業者連絡つかず>は浅井の話だ。
読売も1面3段<アサヒ焼酎に汚染米/「かのか」など65万本回収>で、カラー写真付き。社会面トップ<汚染米問題/焼酎撤去「またか」/コンビニ、居酒屋困惑>で庶民目線で受け記事を書いていた。
日経新聞は1面3段で本記。社会面3段<架空取引繰り返す>は例の佐賀の業者の話の追いかけだった。東京新聞は1面3段で本記を入れただけだった。
★[9月12日(金)朝刊]~汚染米が119施設の給食に使われていた
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- 日経新聞は醇風美俗は捨て去って少子化対策のために結婚制度を変えろ、と主張する。根拠は国際標準だそうだ:経団連新聞が何を言う”!~6月28日日経社説(2009.06.28)
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- 鷲田清一氏の臓器移植問題の見解、勉強になった~「あらたにす」09年6月26日(2009.06.26)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
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- 都議選投票率の歴史~7月13日未明の朝日新聞、読売新聞HPから(2009.07.13)
- ポール・ケネディ氏の「国家の復権」論はその通りだが、ウエストファリア体制の再現ではないはずだ~7月12日読売新聞朝刊[地球を読む]から(2009.07.12)


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