« <フォークソングの時代>っていうと何か感じが違うんだけど…~毎日新聞11月5日朝刊文化面[40年前 <政治の季節>を再考する]+日経新聞[春秋] | トップページ | ”Yes, we can !” オバマ氏のアメリカはどう変わるのか?~11月6日朝刊各紙寄稿、座談会、社説などから »

2008年11月 5日 (水)

「新銀行東京排除するな」と民主案に反対な岩田規久男氏+えっ、ジャパン・プレミアム??~日経新聞11月5日朝刊

 日経新聞11月5日朝刊[経済教室 金融危機と世界~政策、次の一手㊤]で岩田規久男・学習院大学教授が<日銀はさらなる緩和を/時価評価で「併記制」も/規模に応じた規制が必要>の見出しでまとまった考え方を書いていた。

 前文のような[ポイント]では、

・実体経済見据え、日本はさらなる緩和必要

・0.2%利下げでは経済・金融危機には不十分

・金融規制は自己資本比率、流動性比率軸に

 をあげていた。これがポイントなんだろうが、このままでは、用語が難しくて何が何だか分からないので、自分なりに分かった部分だけ書き出しておく。

▽日銀はフォワード・ルッキング(先読み的)な金融政策をしているはずなのだが、物価や景気の安定効果という点で「too little too late」だ。9月の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同期比で2.3%上昇だが、酒類を除く食料とエネルギーを省くと、総合の上昇幅は同0.2%に過ぎず、原油価格の大幅下落や景気悪化を考えれば、思い切った金融緩和策をとらないとデフレに逆戻りするリスクが高い。デフレが明らかになってからゼロ金利や量的緩和に戻るのでは効果が遅すぎる。→もっと金融緩和せよ!

▽利下げは金融危機緩和の効果はあるが、基本的には物価や雇用といったマクロ経済変数に影響を与える政策。金融危機に対しては金融市場の参加者を直接の対象とする資本注入や自己資本比率規制見直しなどのミクロの金融政策が不可欠だ。

▽民主党は金融機能強化法改正案に対し①農林中央金庫への注入は国会承認を条件②新銀行東京を除外――と主張しているが、資本注入の是非は金融安定化の立場から判断すべきで、政治的判断は排除すべきだ。特定の金融機関を事前に排除すべきではない。

▽時価会計は景気のいいときは評価益が出るので金融機関は資産保有に積極的になり、景気拡大と資産価値の一層の上昇がもたらされ、それが評価益をさらに膨らませるという景気拡大促進効果が生まれる。一方、今回の金融危機のように資産価格下落で評価損が出ると、外部資金調達が困難になるため、資産を売って資金を確保しなければならない。金融機関が一斉に資産売却に走ると資産価格は暴落し、評価損がさらに膨らむ。銀行は自己資本比率を維持しようと貸し出しを抑制し、その結果、金融危機はさらに深まり、景気の悪化が進む。

▽つまり、資産の時価評価による資産保有額の変動は景気循環促進的だ。

▽日本の「時価」に相当するのは国債会計基準では「公正価格」であり「秩序だった取引における価格」だ。今回のような世界的金融危機における取引価格は公正価格とはいえない。「事情が変わったからといって評価基準を変更するのは勝手すぎる」の反論があるが、時価(公正価格)会計の一時凍結が企業・金融機関の財務状況を不透明にし、さらに金融危機を深めるおそれがあるのならば、評価の柔軟性を認め、「公正価格らしいもの」で評価した時の評価額を併記すればいい。(緊急措置として)

▽金融危機が起きるのは、ビジネス環境が良好な時に借金をし過ぎて資産を買う(これをレバレッジを高める、という)からだ。これが数年かかり資産価格をバブルと言われる水準まで引き上げる。バブルの破裂は一瞬にして資産の価値を引き下げ、金融機関の投資家に調整する猶予を与えない。金融規制はこの資産価格の高騰と暴落に要する時間の非対称性に着目して設計されるベきだ。

▽大きな金融機関の経営破綻が金融危機を作り出し、金融危機では大きな金融機関を「大き過ぎて潰せない」ため、公的資金で助けなければならない。また金融機関の破綻はレバレッジが高すぎるために起きる。これらに留意すれば、「大き過ぎて潰せない」金融機関に対しては自己資本比率規制と流動性規制を課すべきだ。

 以上が要点ではないか、と思う。

 バブル発生の原因から日銀のすべきことから、時価評価の意味合いから、素人に分かりやすく書いてあった。こういう[経済教室]は大歓迎だ。

 同じ日経新聞11月5日朝刊経済面に<欧州銀、対日融資見直し/外資の「貸し渋り」新局面に/有力企業の海外調達に影>の囲み記事が掲載されていた。

 欧州の銀行が融資の見直しを始め、日本向け融資に縮小圧力がかかりつつある、ということのようだ。国内の不動産向けで見られた外資金融機関による貸し渋りが有力企業の海外調達に広がる恐れが出てきた、というのだが、たしかにあり得る話だ。

 国際市場での日本の融資や起債による資金調達額は1兆㌦を超え、在日外銀による国内融資額の4倍を超え、さらに欧州の銀行の日本向け債権は米銀の約6倍だ、と。金融危機が欧州に広がったことで、日本企業が巻き込まれる可能性が飛躍的に高まった、という。

 というのは公的資金を投入された欧州の銀行は公的資金自体、欧州の人々の税金なので、税金とは関係ない外国企業向けの融資に回しにくいからだそうだ。なるほど、である。

 だから、欧州の銀行の資金繰りが逼迫の度を深める年末に向け、日本企業は国際市場での資金繰り対策の強化を迫られる、という内容。そのくせ、EUはウクライナやアイスランドなどの周辺国には金融支援する、というのだが(日経11月5日国際面)。

 記事には1行も「ジャパン・プレミアム」なんて書いていないのだが、何かそんな予感もして、嫌な感じだ。

|

« <フォークソングの時代>っていうと何か感じが違うんだけど…~毎日新聞11月5日朝刊文化面[40年前 <政治の季節>を再考する]+日経新聞[春秋] | トップページ | ”Yes, we can !” オバマ氏のアメリカはどう変わるのか?~11月6日朝刊各紙寄稿、座談会、社説などから »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1078516/25052399

この記事へのトラックバック一覧です: 「新銀行東京排除するな」と民主案に反対な岩田規久男氏+えっ、ジャパン・プレミアム??~日経新聞11月5日朝刊:

« <フォークソングの時代>っていうと何か感じが違うんだけど…~毎日新聞11月5日朝刊文化面[40年前 <政治の季節>を再考する]+日経新聞[春秋] | トップページ | ”Yes, we can !” オバマ氏のアメリカはどう変わるのか?~11月6日朝刊各紙寄稿、座談会、社説などから »