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2008年11月14日 (金)

一票の格差を是正するな、という玉村豊男氏の提言の面白さ~日経新聞11月3日朝刊から

 ちょっと古いけれども面白い記事を見つけたのでメモしておく。

 日経新聞11月3日朝刊オピニオン面[インタビュー領空侵犯]のエッセイスト、玉村豊男さんの<一票の格差、是正は不要/弱った地方に配慮を>である。温厚な老人、という感じの玉村さんのポーズ写真付き。

 玉村さんは1945年東京生まれ。東大仏文科卒業。在学中にパリに留学。通訳、翻訳業を経て文筆業に。旅、食文化、田舎暮らしなどをテーマに執筆。1983年長野県軽井沢町、91年同東部町(現東御市)に移住、04年農園内にワイナリー開設、とあった。団塊の世代から見ると理想的な生活を実践している方のようだ。

 言っていることが面白い。「一票の格差」という日本人としての権利の中で最も尊重すべき選挙権を不平等にすべきだ、と言っている。

 これがどこかの馬の骨がブツブツ言っているだけならば無視すべきなのだろうが、パリにも住み、文化的・知的生活を送っている、それも温厚そうな人物が言っているのは何なのか、と読んでみたら、面白かったのだ。

 記者の「一票の格差」は憲法が定める法の下の平等に反するのではないか、との質問に玉村さんは、

 <心身に障害のある人と健常者に同じ条件を課して、社会活動をさせるのは平等とは言わないでしょう。ハンディのある人を皆で支え合うのが現代の平等だと思います。弱肉強食ではなく弱い者を思いやることで、初めて平等になります。都会に若者を送り続けてきた地方は今、ハンディを抱えているのです。>

 と話す。

 無理な論理であることは当人も重々承知しているだろう。でも、そう言わなければならないほど、今地方が疲弊しているのではないか。

 身障者の例を引いているが、これも賛否が分かれる場面であり、身障者が住みやすい社会、ユニバーサル社会という理想と現実との大きなギャップを乗り越えていくための運動論としては成り立つが、思想としては弱い。

 何が平等なのか、は「結果の平等」と「機会の平等」があって…、という原則論を十分理解したうえで、1970年前後の学生運動の闘士たちの言い分をいい大人が「そうだね、そうだね」と余裕を持って聞く対応をしないと、腹が立つ人もでてくるだろうが、あまりゴチゴチに考えずに、落語だと思えば、滋味が心に染み通る。

 「都会に若者を供給し続けてきた地方」をこのまま疲弊させ続けてもいいのか、という視点である。

 疲弊させないために玉村さんが考えていることは、

①小回りが利く小さな流通=地産地消

②農家への所得補償

③都会から地方へ人々が移住するよな政策の実行

 である。ただ、これらを声高に主張しても、誰も真面目に聞いてくれないから、過激に「一票の格差を残せ」と提案しているのだ、と私は理解した。

 私だって、地産地消とか移住インセンティブ政策などという活字があっても目を止めなかっただろう。その意味では読者1人の目を止めさせただけでも玉村さんの作戦は成功だったのではないか、と思う。

 地産地消についての玉村さんの発言をメモしておこう。

 <農協系流通に農家が依存していると、東御市でも高知のピーマンはAコープで買えても、地元産の野菜は買えないという奇妙なことが起きます。小回りのきく小さな流通=地産地消を後押しする必要があります。高齢者がせっかく作った作物も、軽トラックを持っていないので出荷できない。こうしたところの支援も必要です。欧州で実施されている農家への所得補償も役立つと思います。>

 その通りだ。

 すべての悪の元凶は農協だ、と思う。

 農協に限らず、農水省官僚と結びついている中間業者もそうなのだが、いろいろと目に見えない規制をかけ、互助とは名ばかりの集票マシーンになっており、その見返りに様々な名目の補助金や補助金もどきを手にしている。

 つまり、農家にとっても消費者にとっても、この中間部分がいろいろな改革の邪魔をしている「太い奴」なのだ。

 玉村さんのいう<農協に依存しない流通>はどうすれば広がるのか?

 最終的に農業への株式会社参入を認めないといけないのか? 私には分からないが、今のままでいいわけはない。

 円安を武器に海外でドルを稼いでいる輸出産業に依存して経済成長をする、という20世紀モデルは崩壊しつつある。

 円高を覚悟しなければいけない時代だ。

 円高時代の成長は内需に期待せざるを得ない。

 内需改革の最大の課題は農業ではないか。日本の農業は国際的に見れば、相当に進んいるのではないか。

 無農薬野菜を食べたい中国の大金持ちはわざわざ日本の野菜を空輸させて食べている、という。

 農業はカネになるし、輸出もできる。つまり、国富を生む可能性がある。

 それが農協などという前世紀の遺物がのさばっているので、農家が自由な農業を展開できず、足りない資本金を広く募ろうにも、株式会社との連携には法的規制がある。

 ここを改革しなければ、大袈裟に言えば21世紀の日本の存亡の危機になる、と思うのだ。

 そんな気持ちで玉村さんの話を読むと、いちいちうなずける。

 農家への所得補償だって、ある時期までの時限立法ならばいいのではないか、と思うのだが、農協を残したままでやったら一部の農協官僚と本物の農水官僚の利権を膨らませるだけに終わるだろう。

 移住のすすめも考えさせられた。団塊の世代→陶芸→南海の無人島で暮らす、などというイメージがあるかもしれないが、そんなことを実行するのはほんの一握りの人たちで、定年退職しても、東京にあるマイホームのローンをコツコツ払い続ける人がほとんどだろう。マイホームを買っていればまだいい方で、一生賃貸マンションの人だって少なくない。

 しかし、それでも、こういう人たちが本気で「地方に引っ越そう」と決心するには、相当のインセンティブがなければならないだろう。

 そのインセンティブが「一票の格差」であってはならない、とは思うのだが、消費税に差を付ける、とか、政治家が思いもしないような柔軟な発想は、さすが文筆業だ。固定観念を一度取り払ってものごとを基礎から考え直すkとは、頭のいい刺激になる。

 以上、ただの感想文である。

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コメント

地方は税金を食ってます。
現金収入が少なく、土地も安いので、所得税も相続税もあまり払いません。

そのくせ、都会から交付された税金で家の前まで立派な道路をつくれと要求します。

都会は重い税を払わされています。
所得が多い代わりに物価も高いので、税が重く、生活は楽ではありません。そして、家の前まで道路をつくってもらうどころか、相続税で家ごと取られます。

都会のほうこそ政府の最大の権力である徴税権力の前で弱者です。

一票の格差を是正しない限り、税をむしりとる地方ばかりが大きな顔をして、都会人は虐待され続けます。

昨年、参院選でばら撒き政党である日本版民主党が勝ったのも、一票の格差のせいですよ。これで日本がおかしな方向(社民主義の方向)に暴走し始めました。

直ちに一票の格差を是正して、税金にたかるばかりの地方を懲らしめるべきです。

投稿: mirai | 2008年12月 2日 (火) 23時31分

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