北朝鮮の指示でミャンマーに大量破壊兵器関連物資を密輸:朝日新聞は故意に矮小化するのか?~6月30日各紙朝刊
北朝鮮をいかに封じ込めるか、その実効性が問われている、というのが今の日本の常識だろう。そんな空気の中、神奈川県警が6月29日、北朝鮮の指示を受けて長距離弾道ミサイルの開発に必要な機器をミャンマーに不正輸出しようとした北朝鮮系貿易商社社長らを逮捕した。神奈川県警のお手柄である。
ところが、6月30日朝刊各紙を比べてみると、紙面扱いがバラバラで、読売新聞は事態の重要性を見極めたのか1面トップ、地図付きで扱い、毎日新聞も社会面トップだったのに、朝日新聞は社会面2段記事。東京新聞の社会面ベタ見出しは論外としても、ここでも朝日新聞の北朝鮮寄り姿勢がはしなくも露呈された結果となった。
どんな事例だったのか、読売新聞を読んでみよう。見出しは<北、ミャンマーに技術移転か/ミサイル機器輸出図る/北系商社社長ら逮捕/外為法違反容疑>だ。
<長距離弾道ミサイルの開発に必要とされる磁気測定装置を、北朝鮮の指示を受けてミャンマーへ不正輸出しようとしたとして、神奈川県警は29日、北朝鮮系貿易商社の社長ら3人を外国為替及び外国貿易法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕した。当初、ミャンマーは、北朝鮮への迂回輸出の経由地とみられていた。同社は、ほかにもミサイル関連機器をミャンマーに輸出していた疑いが持たれており、県警は、北朝鮮がミャンマーへ「テポドン」などミサイルの技術移転を進めようとしたとみて全容解明を行う。>
という前文。にわかには信じられない内容だが、軍事政権で西側世界から経済制裁を受けている国に「ミサイル技術を安く売ってあげるから」と功名に近づき、商売をしている北朝鮮の「死の商人」の姿を想像すると、いかにもあり得るケースに思えてくる。
磁気測定装置については[キーワード]がついていた。
<磁気測定装置 内臓のセンサーで、地球の磁場や機械から漏れる磁気などを測定する。弾道ミサイルでは、本体に搭載されるセンサーの設計・開発過程で使われ、飛行精度を向上させるのに不可欠という。>
やはり、ICBMに不可欠な部品なのだ。
<発表によると逮捕されたのは貿易商社「東興貿易」社長で朝鮮籍の東京都板橋区板橋、李慶鎬(41)、装置製造会社社長の世田谷区玉堤、香月巳昭(75)、輸出代理店社長の練馬区石神井台、武藤裕彦(57)の3容疑者。3人は共謀して2009年1月、大量破壊兵器などに転用可能として輸出禁止対象になっている磁気測定装置1台を、経済産業省の許可を受けずに約700万円でマレーシアを介してミャンマーへ輸出しようとした疑い。2008年9月にも、同装置1台をミャンマーの「第2工業省」へ輸出しようとしたとされるが、いずれも荷出し直前、経産省から輸出申請の手続きが必要だと通告され、輸出できなかった。>
常習犯なのだ。
<捜査関係者によると県警は2月に同社などを捜索して押収した資料などを分析。ミャンマーへの不正輸出は朝鮮労働党で軍需部門を統括する「第2経済委員会」の傘下にあるとされる「東新国際貿易有限公司」(本社・香港)の北京事務所が2008年春頃に出した指示だったことが判明したという。東新の平壌事務所は「大量破壊兵器の開発に関与している」として経産省が公表している要注意企業リストに掲載されている。>
なるほど、県警は警察庁の協力を得て、警察組織あげて取り組んでいるのだろう。
<東興貿易は以前にもミサイルなどに転用可能な測定機器をミャンマーに不正輸出しようとして、経産省から通告を受けたことがあるという。>
昨年春に北朝鮮から指示を受けて昨年9月には真っ直ぐミャンマーに輸出しようとして失敗。今回はマレーシア経由でミャンマー行きを狙ったというのだ。どうしてもミャンマーに持っていく必要があったのだろう。北朝鮮とミャンマーといえば、全斗煥元大統領一行の暗殺を狙ったアウンサン廟爆破事件があった。あの頃から、北朝鮮とミャンマーでは、裏の関係ができていたのだろうか?
と思ったら、早速、読売新聞では同じ問題意識で1面に[北朝鮮とミャンマー]というミニ解説が掲載されていた。
<1983年、韓国閣僚らが北朝鮮工作員に爆殺されたラングーン(現ヤンゴン)爆弾テロ事件を機に両国は断交したが、2007年に国交を回復。ミャンマーはそれ以前から武器を大量購入し、北朝鮮は見返りにコメなどを手に入れたとみられる。米政府高官は2004年、北朝鮮が地対地ミサイル売却をミャンマーに持ちかけた、と証言している。現在、大量破壊兵器の関連物資を積んだ疑いがあるとして米軍が追跡中の北朝鮮貨物船カンナムについても米韓メディアはミャンマーが目的地と報道。ただ、ミャンマー国営紙は報道を否定している。>
というものだ。
まさしく、今回の国連安保理制裁決議の実行そのものなのだ。
これが正しいのだろう、と思う。
しかし、朝日新聞社会面の地味な記事は様々な点で読売新聞と事実関係で齟齬をきたしていた。<核開発に転用可能装置/不正輸出未遂の疑い/北朝鮮系の社長ら逮捕>という地味な見出しだ。
<核開発などに転用可能な磁気測定装置を無許可でマレーシアを経由してミャンマー(ビルマ)に輸出しようとしたとして、神奈川県警外事課は29日、外為法違反(無許可輸出未遂)の疑いで、東京都新宿区の北朝鮮系商社「東興貿易」社長、李慶鎬(41)=東京都板橋区=ら3容疑者を逮捕した。県警は、ミャンマーを経由して、北朝鮮に送ろうとした疑いがあるとみている。>
ここから違う。ミャンマーを通じて北朝鮮に送るのか、ミャンマーに北朝鮮が売るのか、だ。
<同課によると、李容疑者らは2009年1月、経済産業相の許可がないまま磁気測定装置をマレーシア向けと偽ってミャンマーに輸出しようとした疑いがある。同装置はウラン濃縮を行う遠心分離器の調整などに使えることから、大量破壊兵器(WMD)開発につながる輸出を規制する「キャッチオール規制」の対象となる。>
ここが大きく違う。ウラン濃縮の遠心分離機用なのか、読売新聞の書いたようにICBM用なのか? どっちが本当なのだろう。
<李容疑者は1998年から主に北朝鮮との貿易を行っているという。また、経産省の「外国ユーザーリスト」に載る北朝鮮系企業と同名企業の北京支社から発注を受けていたという。ミャンマーは北朝鮮と国交を回復させ、軍事技術などの結びつきを強めているとされる。防衛省も5月に出した報告書で、北朝鮮のミサイル開発の進展に「外部からの資材・技術の流入の可能性がある」と初めて指摘した。>
何か漠然としすぎていて、訳が分からない記事だ。
わざと訳を分からなくしているのだろうか? 北朝鮮の意図をそのまま日本人に知らせたらまずい、と思っているのか? 朝日新聞は北朝鮮に気を遣いすぎだ、と思う。
毎日新聞は朝日新聞と似たような書き方だった。見出しは<ミャンマーへ密輸図る/兵器転用可能装置/北朝鮮系会社の指示/3容疑者逮捕>だった。
<核兵器など大量破壊兵器の開発に転用可能な「磁気測定装置」をミャンマーに輸出しようとしたとして、神奈川県警外事課と戸部署は29日、貿易会社「東興貿易」(東京都新宿区)社長で、朝鮮籍の李慶鎬容疑者(41)ら3人を外為法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕した。県警は、北朝鮮は既に同装置を所有しているとみており、協力関係が強いとされるミャンマーへの軍事技術拡散を図ったとの疑いを強め背景を調べる。>
戸部署か。
<他に逮捕されたのは貿易会社「大協産業」(渋谷区)社長の武藤裕彦(57)と装置メーカー「理研電子」(目黒区)社長の香月巳昭(75)の2容疑者。逮捕容疑は今年1月、大量破壊兵器に転用のおそれがある貨物の輸出を規制する経済産業省の「キャッチオール規制」対象品、磁気測定装置を横浜港からマレーシア経由でミャンマーに輸出しようとしたとしている。3人とも大筋で容疑を認めているという。>
武藤とか香月とか日本人の名前だが、帰化した朝鮮人なのだろうか?
<外事課によると理研電子の代理店だった大協産業の武藤容疑者が昨年9月、李容疑者の指示を受けて横浜税関にミャンマー向け輸出を申告。経産省から「輸出許可が必要」との通知を受け断念したが、今年1月に名義を理研電子に変更し、東京税関に再申告したため悪質と判断した。>
悪質に決まっている。
<県警によると李容疑者は北京にある北朝鮮系貿易会社「東新国際貿易有限公司」から指示を受けていたという。同社平壌事務所は大量破壊兵器開発に関与の可能性があるとして経産省がホームページで公開している。>
ここを追加取材して、読売新聞は「北朝鮮の指示」ンいまで踏み込んだわけだ。
<大協産業関係者は「武藤社長は日本に誇りを持っている。北朝鮮に加担するなんて考えられない」と話した。>
どういう意味だ? 武藤は日本人だというのか? スパイじゃないか。
<装置はミサイルの制御装置やウラン濃縮の遠心分離機に使われる永久磁石の製造に必要という。規制対象品を米国など「ホワイト国」と呼ばれる26カ国以外に輸出する際には許可が必要。>
ホワイト国なんてあるんだね。
<ミャンマーはかつて、ロシアと低濃縮ウランを使う核実験炉を建設する合意に達したとされ2007年5月には米国務省報道官が不拡散と安全性への懸念から強く非難した。その後、実際の建設は確認されていない。ミャンマーは核拡散防止条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)に加盟している。>
北朝鮮が罰を受けなければ、真似をする破綻国家がどんどん現れるだろう。いつか、ソマリアだって……。
問題の重要性を考えたのか、日経新聞も社会面4段記事<貿易会社社長ら逮捕/兵器関連装置/不正輸出は買った疑い/ミャンマー経由 北朝鮮の可能性>の見出しだった。
感度が悪いので驚いたのが産経新聞だった。社会面4段<ミャンマーに不正輸出未遂容疑/貿易会社幹部ら逮捕>の見出し。やる気のないことこの上ない。産経新聞は警視庁の事件でないと食い込めないのか? これは社の体力の問題もあるから、致し方ないのだろう。
やはり問題は朝日新聞だ。
読売新聞、毎日新聞が1面、社会面のトップ記事で報じているのに、意図的に矮小化を試みている。こんな姿勢で北朝鮮に擦り寄って、また、金正雲絡みのガセネタでももらう気なのだろうか? それとも、まだあの記事は真実だということなんだろうか?
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コメント
逮捕はやりすぎだと思います。
磁気測定装置のミャンマー向け輸出を横浜税関に申告し、経産省から「輸出許可が必要」との通知を受け、名義を変更して東京税関に再申告しただけのことで、いきなり外為法違反(無許可輸出未遂)容疑!
経済産業省は大量破壊兵器に転用のおそれがあるキャッチオール規制対象品としますが、あの程度の磁気測定装置で、大量破壊兵器に転用と騒がれても?
税関がしっかりしていたので、輸出させなかったという見解ではなく、今話題の北朝鮮だという事で神経質になる大多数がアイランド精神で英語も話せないでいる日本て変だ?
ミャンマーへの軍事技術拡散を図ったとの疑いとか、北京の北朝鮮系貿易会社「東新国際貿易有限公司」から指示を受けていたとか、装置は大量破壊兵器の開発に転用可能なミサイルの制御装置やウラン濃縮の遠心分離機に使われる永久磁石の製造に必要とか理由をつけていますが、北朝鮮はすでに同装置を有していますから直接関係はないのです。
これでは怖くて商売も出来ません。
正直、専門的な見解を出せないまま、知らない事を勝手に報道してしまっている日本の状況を見ると痛いなーと思います。
好き勝手に、発言するのは自由だが、もし事実が違う場合どう対処するのでしょうか?
警察の発表だとはいえ、専門家の意見が記事に載っていない以上、分からない事が多いのでは?
調べたら、装置製造会社は業界でトップレベルだそうだし、輸出代理店社長は、貿易のエキスパートだそうだ!
彼らが可哀想なのが、日本の警察のレベルや報道のレベルの問題で、こんな学校などで実験に用いられる事の多い、低レベルな測定器700万円相当で、今までの実績にキズを付けたという点である。
こんな物まで大騒ぎをするなら、何でも危険物に見えてきそうだ!
いい加減、スピードより事実をハッキリ検証し、発表してほしいものである。
でも、私どもの会社が騙されなくてよかった!
投稿: 正直者 貿易関係者より | 2009年7月 1日 (水) 10時23分