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2009年6月

2009年6月30日 (火)

北朝鮮の指示でミャンマーに大量破壊兵器関連物資を密輸:朝日新聞は故意に矮小化するのか?~6月30日各紙朝刊

 北朝鮮をいかに封じ込めるか、その実効性が問われている、というのが今の日本の常識だろう。そんな空気の中、神奈川県警が6月29日、北朝鮮の指示を受けて長距離弾道ミサイルの開発に必要な機器をミャンマーに不正輸出しようとした北朝鮮系貿易商社社長らを逮捕した。神奈川県警のお手柄である。
 ところが、6月30日朝刊各紙を比べてみると、紙面扱いがバラバラで、読売新聞は事態の重要性を見極めたのか1面トップ、地図付きで扱い、毎日新聞も社会面トップだったのに、朝日新聞は社会面2段記事。東京新聞の社会面ベタ見出しは論外としても、ここでも朝日新聞の北朝鮮寄り姿勢がはしなくも露呈された結果となった。
 どんな事例だったのか、読売新聞を読んでみよう。見出しは<北、ミャンマーに技術移転か/ミサイル機器輸出図る/北系商社社長ら逮捕/外為法違反容疑>だ。
 <長距離弾道ミサイルの開発に必要とされる磁気測定装置を、北朝鮮の指示を受けてミャンマーへ不正輸出しようとしたとして、神奈川県警は29日、北朝鮮系貿易商社の社長ら3人を外国為替及び外国貿易法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕した。当初、ミャンマーは、北朝鮮への迂回輸出の経由地とみられていた。同社は、ほかにもミサイル関連機器をミャンマーに輸出していた疑いが持たれており、県警は、北朝鮮がミャンマーへ「テポドン」などミサイルの技術移転を進めようとしたとみて全容解明を行う。>
 という前文。にわかには信じられない内容だが、軍事政権で西側世界から経済制裁を受けている国に「ミサイル技術を安く売ってあげるから」と功名に近づき、商売をしている北朝鮮の「死の商人」の姿を想像すると、いかにもあり得るケースに思えてくる。
 磁気測定装置については[キーワード]がついていた。
 <磁気測定装置 内臓のセンサーで、地球の磁場や機械から漏れる磁気などを測定する。弾道ミサイルでは、本体に搭載されるセンサーの設計・開発過程で使われ、飛行精度を向上させるのに不可欠という。>
 やはり、ICBMに不可欠な部品なのだ。
 <発表によると逮捕されたのは貿易商社「東興貿易」社長で朝鮮籍の東京都板橋区板橋、李慶鎬(41)、装置製造会社社長の世田谷区玉堤、香月巳昭(75)、輸出代理店社長の練馬区石神井台、武藤裕彦(57)の3容疑者。3人は共謀して2009年1月、大量破壊兵器などに転用可能として輸出禁止対象になっている磁気測定装置1台を、経済産業省の許可を受けずに約700万円でマレーシアを介してミャンマーへ輸出しようとした疑い。2008年9月にも、同装置1台をミャンマーの「第2工業省」へ輸出しようとしたとされるが、いずれも荷出し直前、経産省から輸出申請の手続きが必要だと通告され、輸出できなかった。>
 常習犯なのだ。
 <捜査関係者によると県警は2月に同社などを捜索して押収した資料などを分析。ミャンマーへの不正輸出は朝鮮労働党で軍需部門を統括する「第2経済委員会」の傘下にあるとされる「東新国際貿易有限公司」(本社・香港)の北京事務所が2008年春頃に出した指示だったことが判明したという。東新の平壌事務所は「大量破壊兵器の開発に関与している」として経産省が公表している要注意企業リストに掲載されている。>
 なるほど、県警は警察庁の協力を得て、警察組織あげて取り組んでいるのだろう。
 <東興貿易は以前にもミサイルなどに転用可能な測定機器をミャンマーに不正輸出しようとして、経産省から通告を受けたことがあるという。>
 昨年春に北朝鮮から指示を受けて昨年9月には真っ直ぐミャンマーに輸出しようとして失敗。今回はマレーシア経由でミャンマー行きを狙ったというのだ。どうしてもミャンマーに持っていく必要があったのだろう。北朝鮮とミャンマーといえば、全斗煥元大統領一行の暗殺を狙ったアウンサン廟爆破事件があった。あの頃から、北朝鮮とミャンマーでは、裏の関係ができていたのだろうか?
 と思ったら、早速、読売新聞では同じ問題意識で1面に[北朝鮮とミャンマー]というミニ解説が掲載されていた。
 <1983年、韓国閣僚らが北朝鮮工作員に爆殺されたラングーン(現ヤンゴン)爆弾テロ事件を機に両国は断交したが、2007年に国交を回復。ミャンマーはそれ以前から武器を大量購入し、北朝鮮は見返りにコメなどを手に入れたとみられる。米政府高官は2004年、北朝鮮が地対地ミサイル売却をミャンマーに持ちかけた、と証言している。現在、大量破壊兵器の関連物資を積んだ疑いがあるとして米軍が追跡中の北朝鮮貨物船カンナムについても米韓メディアはミャンマーが目的地と報道。ただ、ミャンマー国営紙は報道を否定している。>
 というものだ。
 まさしく、今回の国連安保理制裁決議の実行そのものなのだ。
 これが正しいのだろう、と思う。
 しかし、朝日新聞社会面の地味な記事は様々な点で読売新聞と事実関係で齟齬をきたしていた。<核開発に転用可能装置/不正輸出未遂の疑い/北朝鮮系の社長ら逮捕>という地味な見出しだ。
 <核開発などに転用可能な磁気測定装置を無許可でマレーシアを経由してミャンマー(ビルマ)に輸出しようとしたとして、神奈川県警外事課は29日、外為法違反(無許可輸出未遂)の疑いで、東京都新宿区の北朝鮮系商社「東興貿易」社長、李慶鎬(41)=東京都板橋区=ら3容疑者を逮捕した。県警は、ミャンマーを経由して、北朝鮮に送ろうとした疑いがあるとみている。>
 ここから違う。ミャンマーを通じて北朝鮮に送るのか、ミャンマーに北朝鮮が売るのか、だ。
 <同課によると、李容疑者らは2009年1月、経済産業相の許可がないまま磁気測定装置をマレーシア向けと偽ってミャンマーに輸出しようとした疑いがある。同装置はウラン濃縮を行う遠心分離器の調整などに使えることから、大量破壊兵器(WMD)開発につながる輸出を規制する「キャッチオール規制」の対象となる。>
 ここが大きく違う。ウラン濃縮の遠心分離機用なのか、読売新聞の書いたようにICBM用なのか? どっちが本当なのだろう。
 <李容疑者は1998年から主に北朝鮮との貿易を行っているという。また、経産省の「外国ユーザーリスト」に載る北朝鮮系企業と同名企業の北京支社から発注を受けていたという。ミャンマーは北朝鮮と国交を回復させ、軍事技術などの結びつきを強めているとされる。防衛省も5月に出した報告書で、北朝鮮のミサイル開発の進展に「外部からの資材・技術の流入の可能性がある」と初めて指摘した。>
 何か漠然としすぎていて、訳が分からない記事だ。
 わざと訳を分からなくしているのだろうか? 北朝鮮の意図をそのまま日本人に知らせたらまずい、と思っているのか? 朝日新聞は北朝鮮に気を遣いすぎだ、と思う。
 毎日新聞は朝日新聞と似たような書き方だった。見出しは<ミャンマーへ密輸図る/兵器転用可能装置/北朝鮮系会社の指示/3容疑者逮捕>だった。
 <核兵器など大量破壊兵器の開発に転用可能な「磁気測定装置」をミャンマーに輸出しようとしたとして、神奈川県警外事課と戸部署は29日、貿易会社「東興貿易」(東京都新宿区)社長で、朝鮮籍の李慶鎬容疑者(41)ら3人を外為法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕した。県警は、北朝鮮は既に同装置を所有しているとみており、協力関係が強いとされるミャンマーへの軍事技術拡散を図ったとの疑いを強め背景を調べる。>
 戸部署か。
 <他に逮捕されたのは貿易会社「大協産業」(渋谷区)社長の武藤裕彦(57)と装置メーカー「理研電子」(目黒区)社長の香月巳昭(75)の2容疑者。逮捕容疑は今年1月、大量破壊兵器に転用のおそれがある貨物の輸出を規制する経済産業省の「キャッチオール規制」対象品、磁気測定装置を横浜港からマレーシア経由でミャンマーに輸出しようとしたとしている。3人とも大筋で容疑を認めているという。>
 武藤とか香月とか日本人の名前だが、帰化した朝鮮人なのだろうか?
 <外事課によると理研電子の代理店だった大協産業の武藤容疑者が昨年9月、李容疑者の指示を受けて横浜税関にミャンマー向け輸出を申告。経産省から「輸出許可が必要」との通知を受け断念したが、今年1月に名義を理研電子に変更し、東京税関に再申告したため悪質と判断した。>
 悪質に決まっている。
 <県警によると李容疑者は北京にある北朝鮮系貿易会社「東新国際貿易有限公司」から指示を受けていたという。同社平壌事務所は大量破壊兵器開発に関与の可能性があるとして経産省がホームページで公開している。>
 ここを追加取材して、読売新聞は「北朝鮮の指示」ンいまで踏み込んだわけだ。
 <大協産業関係者は「武藤社長は日本に誇りを持っている。北朝鮮に加担するなんて考えられない」と話した。>
 どういう意味だ? 武藤は日本人だというのか? スパイじゃないか。
 <装置はミサイルの制御装置やウラン濃縮の遠心分離機に使われる永久磁石の製造に必要という。規制対象品を米国など「ホワイト国」と呼ばれる26カ国以外に輸出する際には許可が必要。>
 ホワイト国なんてあるんだね。
 <ミャンマーはかつて、ロシアと低濃縮ウランを使う核実験炉を建設する合意に達したとされ2007年5月には米国務省報道官が不拡散と安全性への懸念から強く非難した。その後、実際の建設は確認されていない。ミャンマーは核拡散防止条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)に加盟している。>
 北朝鮮が罰を受けなければ、真似をする破綻国家がどんどん現れるだろう。いつか、ソマリアだって……。
 問題の重要性を考えたのか、日経新聞も社会面4段記事<貿易会社社長ら逮捕/兵器関連装置/不正輸出は買った疑い/ミャンマー経由 北朝鮮の可能性>の見出しだった。
 感度が悪いので驚いたのが産経新聞だった。社会面4段<ミャンマーに不正輸出未遂容疑/貿易会社幹部ら逮捕>の見出し。やる気のないことこの上ない。産経新聞は警視庁の事件でないと食い込めないのか? これは社の体力の問題もあるから、致し方ないのだろう。
 やはり問題は朝日新聞だ。
 読売新聞、毎日新聞が1面、社会面のトップ記事で報じているのに、意図的に矮小化を試みている。こんな姿勢で北朝鮮に擦り寄って、また、金正雲絡みのガセネタでももらう気なのだろうか? それとも、まだあの記事は真実だということなんだろうか?

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2009年6月29日 (月)

天下の読売新聞に[アラ還]の大見出しが…~読売新聞6月29日朝刊

 読売新聞6月29日朝刊[くらし]面の料理をテーマにした人間ドラマもの[お品書き]は秋元順子さんの<カレイの煮付け>。見出し<アラ還の星 輝きの源>が大きな文字で目に飛び込んできた。

 <大人の恋をテーマにした歌謡曲「愛のままで…」で、61歳にして昨年末の紅白歌合戦に出場を果たした。紅白初出場歌手としては史上最年長。>

 という書き出しで、

 <「愛のままで…」は70万枚を超えるヒットになり、今や「アラ還の星」といわれる。「アラ還」とはアラウンド還暦(60歳前後)の意。>

 と、大見出しの説明がある。「アラ還」も大新聞が大見出しにするくらいに一般的になったようだ。最近、新聞コラムなどでたまに目にすることもある。

 随分前のことだが、朝日新聞夕刊2面(今は紙面改革で2面ではなくなっているが)の[窓 論説委員室から]という小さなコラムで女性記者が[アラ還]を取り上げ、「ネットのグーグルなどでアラ還で検索すると面白いよ」と読者に教えていたのが、大新聞でまともに「アラ還」を取り上げていた最初だったかもしれない。

 まあ、私は自分が60歳直前とあって「アラウンドフォーティー」=「アラフォー」からの連想で「アラ還」として、漢字が入ると面倒だから、「アラかん」という名前にしたのだが、この名前も独占していては申し訳ない感じになってきた。何かの機会にもう少し違った名前にしてみようか。

 読売新聞を見た感想である。

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村田元外務事務次官の「密約」暴露発言~6月29日毎日新聞朝刊など

 毎日新聞が6月29日朝刊1面<米核持ち込み/密約文書引き継ぐ/村田元次官「外相に説明」>の特ダネ記事を掲載していた。ライシャワー証言以来毎日新聞が追いかけている核密約である。今回は元外務事務次官が思い口を開いたということでインパクトは大きいだろう。

 朝日弘行記者の記事だ。読んでみよう。

 <1960年の日米安全保障条約改定時に核兵器搭載艦船の寄港などを日本側が認めた密約について、1987年7月に外務事務次官に就いた村田良平氏(79)=京都市在住=が前任次官から文書で引き継ぎを受けていたことを明らかにした。村田氏は28日夜、毎日新聞の取材に「密約があるらしいということは耳に入っていたが、日本側の紙を見たのは事務次官になった時が初めて」と証言した。日本政府は密約の存在を否定しており、歴代外務次官の間で引き継がれてきたことを認める証言は初めて。>

 なぜ今、村田氏が認めたのか? ボケたのか?

 <村田良平氏は1929(昭和4)年生まれ。京大法学部卒。1952年外務省入省。外務事務次官、駐米大使、駐独大使などを歴任した。>

 昭和4年の人なのだ。気骨があるはずだ。

 <村田氏によると密約は「普通の事務用紙」1枚に書かれ、封筒に入っていた。前任者から「この内容は大臣に説明してくれよ」と渡され、1989年8月まで約2年間の在任中、当時の倉成正、宇野宗佑両外相(いずれも故人)に説明。後任次官にも引き継いだという。>

 宇野宗佑氏も倉成正氏も知っていたのか。

 <1960年の安保改定時、日米両政府は在日米軍基地の運用をめぐり、米軍が装備の重要な変更などを行う際は事前に協議することを確認したが、核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海通過、米軍機の飛来は事前協議の対象としないことを密約。1981年5月、毎日新聞がライシャワー元駐日大使の「核持ち込み」証言を報じて発覚したが、日本政府は「米側から事前協議がない以上、核持ち込みはなかったと考え、改めて照会はしない」と密約の存在を否定し続けている。>

 米側文書ではっきり出ているのに日本政府が否定する、という構図が28年間も続いているのだ。

 <村田氏はこうした日本政府の対応について「詭弁だ。いつまで続けるのか、憮然とした気持ちだ」と批判。密約に関しては「冷戦時代だし、日米それぞれの都合もあれば、機密もあっての話だから、咎め立てする話でもない」と存在を認めるよう求めた。さらに、非核三原則で禁じた「持ち込み」の中に核搭載艦船の寄港や領海通過を含めたことは「ナンセンスだ」として見直しを主張している。>

 そうか。冷戦崩壊を機に日本は認める方向に舵を切るベきだった、という考えだったのか。ボケていなかった。

 <また、1977年制定の領海法で宗谷、津軽、対馬など5海峡の領海の幅を3カイリと規定したことについて、村田氏は「(国連海洋法条約で認められている)12カイリまで広げればいいものを広げていない。おかしいと思っていたけど、直接関係していなかったから黙っていた」と指摘。米艦船が5海峡を通過しても「核持ち込み」とならないよう、あえて領海の幅を狭める意図が外務省にあったことを明らかにした。>

 姑息だなぁ、そんなことをして、自分で自国の領海を狭くした国益侵害をどう弁明するのだろうか? 次に[ことば]が掲載されていた。

 <日米の密約 核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海通過を認める密約のほか1969年の沖縄返還交渉で「有事の核持ち込み」を認めた▽1971年の沖縄返還協定で米国が払うべき「400万㌦」を日本側が肩代わりした――などの密約も発覚。いずれの密約の存在も日本政府は否定し続けているが、関係者の証言や米側の公文書などで裏付けられ「公然のうそ」との見方が定着している。>

 公然の嘘などをマスメディアは許しておくのか? まあ、毎日新聞の追及姿勢は素晴らしいが。

◆6月30日毎日新聞社説

 毎日新聞は6月30日の社説で早速、密約問題を取り上げた。<核持ち込み密約/詭弁はもう通用しない>である。読んでみよう。

 <1960年の日米安全保障条約改定時の核持ち込み密約について、村田良平・元外務事務次官が毎日新聞の取材に対しその存在を認めた。密約が外務省内で文書によって引き継がれてきたことを事務次官経験者が証言したのは初めてだ。外交を預かる外務省の事務方トップが自らの体験を踏まえて証言したことは重い意味を持つ。政府は速やかに密約の存在を認め、事実関係を国民に明らかにすべきである。>

 「政府は」という主語で書いているが、だれが政府なのか?

 <村田氏が認めた密約は、安保条約改定に際し1960年1月に東京で行われた当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使の会談記録などだ。日米両政府は在日米軍基地の運用に関し米軍が装備の重要な変更をする場合は事前協議を行うことにしていたが、核兵器搭載の米艦船の寄港や領海通過、米軍機の飛来については事前協議の対象外とすることを確認したものだ。>

 岸内閣の安保改定に先んずること数カ月のことだ。

 <これについて村田氏は1987年7月の次官就任時に前任次官から文書で引き継ぎを受け、2年間の在任中に当時の外相に説明し後任次官にも引き継いだという。外務省が組織的に密約を管理していたことを意味する重大な証言である。核持ち込み密約は1981年に毎日新聞が報じたライシャワー元駐日大使証言で発覚し、その後米側の公文書でも裏付けられている。しかし、日本政府は一貫して密約を認めていない。今回も「密約は存在しない」「事前協議がない以上、核持ち込みはなかったということに全く疑いの余地を持っていない」(河村建夫官房長官)と否定している。>

 政府とは官房長官だったのか。

 <それにしても不思議なのは、内外の証言や公文書でこれだけ明らかになっている事実をいまもって日本政府が認めないことである。外交や安全保障政策では国益や相手国への配慮から、すべてをオープンにできない場合があることは理解できる。しかし、核持ち込みに関しては安保条約改定から半世紀近く、ライシャワー証言からも30年近くがたっている。米側がすでに公表し、日本政府の元高官も証言していることをなぜ認められないのか理解に苦しむ。>

 そうなのだ。

 <日米間ではこのほか沖縄返還にかかわる密約の存在もわかっている。民主党の岡田克也幹事長は「沖縄密約に限らず、政権交代をしたら情報公開を徹底する」と明言している。日本の安全保障政策の根幹にかかわる問題をいつまでも隠し続けているのは外交に対する国民の信頼を得るうえで大きなマイナスである。>

 民主党政権になると出てくるのだろうか?

 <「事前協議がない以上、核持ち込みはなかった」という詭弁はもう通用しないことを、安保条約改定後ほぼ一貫して政権を担ってきた自民党も深く認識すべきである。>

 記事にあったのに、社説になかったもの。それは、「冷戦時代なら仕方ないが、冷戦は終わったのだから、隠しておく必要がないだろう」という時代の認識だった。この認識は社説にも書いておいてほしかった。

◆読売新聞と東京新聞(共同通信)は夕刊で追いかけた

 読売新聞は6月29日夕刊1面2番手<米軍核持ち込み密約・元次官 存在認める/官房長官は否定>で追いかけた。また、東京新聞は夕刊2面4段記事<日米核密約/証言者の一人は村田氏/元次官、参考人招致に含み>で先に共同通信がスクープした外務省高官の証言者の一人が村田氏だったことを書いていた。これは共同通信が配信した記事なのだろう。

 この記事もコピペしておこう。

 <1987年から89年まで、外務事務次官を務めた村田良平氏(79)は29日、日本への米軍核搭載艦船の立ち寄りを日米安全保障条約上の「事前協議」の対象外とした核持ち込みの密約に関して、外務省内に文書があり歴代次官が引き継いできたと共同通信に証言した複数の元次官の一人であることを公表することに同意した。共同通信の電話取材に答えた。>

 やっぱり共同通信の配信だった。

 <村田氏はまた、密約問題をめぐり衆院外務委員会が検討する参考人招致について「外務省には今も好意を抱いている。(招致が強制的でなければ)断りたい」とする一方、招致される事態となれば、真相を証言する意向を強く示唆し、国会証言の可能性に含みを持たせた。>

 証人喚問などを受ければ出て行って正直にしゃべるよ、、ということか。政府にとっては「事件」じゃないか。

 <村田氏は今年3月18日、京都市内でインタビューに応じ、匿名を条件に歴代次官による密約の引き継ぎに関する詳細を証言していた。しかし、西日本新聞などが今月28日以降、村田氏の証言を実名で報道したことから、それまでの匿名を実名に切り替えることに同意した。>

 そういう経緯だったのか。西日本新聞が先だったとは。毎日新聞の記事は追いかけだったのか。

 <村田氏は3月、密約の内容を記した文書が外務省内にあることを明らかにし「次官引き継ぎ時に『核に関しては日米間で(非公開の)了解がある』と前任者から聞いて、次の次官に引き継いでいた。これは大秘密だった。日本政府は国民に嘘をついてきた」などと証言していた。また29日の電話取材で自身が次官として仕えた倉成正、宇野宗佑両外相(当時)には密約のことを伝達したが、首相には自らが伝えることはなかったと話した。>

 首相とは竹下登のことだ。村田氏は日米摩擦で小沢一郎官房副長官に怒鳴られっぱなしで、官邸にはいい印象を持っていなかったから、官邸には知らせなかったのだろうか?

 <村田氏は昨年出版した回顧録でも密約の存在を明記していたが、省内での引き継ぎの実態など詳しいことは今年3月まで明らかにせず、匿名で証言内容を報じることで了承していた。>

 そうか。回顧録では書いていたのか。鋭敏な記者がそれを読み、インタビューしたのだろう。

◆日経新聞は6月30日朝刊で特集を組んでいた

 日経新聞は6月30日朝刊1面ハコ<60年日米安保で密約/「有事の国内核配備も対象」/村田元外務次官が証言/「歴代次官が引き継ぎ」>でニュース仕立てで書き、特集面の4面を全部使って<日米密約 残る謎/政府、問われる説明責任>の本記と、政治部・中山真記者の<安保、歴史の評価受ける時>の解説記事、それに村田氏の一問一答と識者談話3人分を掲載していた。

 一問一答は毎日新聞も6月30日朝刊政治面で掲載していた。

◆朝日新聞の社説

 朝日新聞は6月30日朝刊1面3段<米軍の核兵器持ち込み/元次官「密約文書あった」>で追いかけ、社説<日米密約/また崩れた政府の「うそ」>もつけていた。

 朝日新聞の社説も読んでみよう。

 <日米間に核兵器の持ち込みに関する密約など存在しない。そう言い続けている日本政府の「うそ」を突き崩す新証言が、日本のかつての外交責任者の口から語られた。1987年から89年まで外務省の事務次官をつとめた村田良平氏(79)がこの密約の存在を認め、文書の形で歴代事務次官や外相が引き継いできたと明かしたのだ。これまでこの密約は、米政府側の公文書公開などで具体的に裏づけられながら、日本政府は一貫して存在そのものを否定してきた。今回の証言についても河村官房長官は「密約は存在しない」と述べた。だが、外務官僚のトップ経験者が認めたのである。政府はもはや「うそ」の上塗りをやめ、歴史の事実を国民の前に明らかにしてほしい。>

 毎日新聞の社説より弱いが、同じ趣旨である。

 <村田氏が証言した密約は1960年の日米安保条約改定の際に核兵器を積んだ米艦船が日本領海を通過したり寄港したりすることなどを日本側が認めると約束していたというものだ。村田氏は「前任次官から引き継ぎ、在任中に2人の外相に説明したほか、後任の次官に同じように引き継いだ」「密約は普通の事務用紙1枚に書かれて封筒に入っていた」などと極めて具体的に語った。>

 これも説明。

 <日米間の密約はこれ以外にもある。朝鮮半島有事の際には事前協議なしに在日米軍が日本の基地から出撃できるとしたものや、極東有事の際に沖縄への核再持ち込みを認めると約束したことなどがある。いずれも1960年代に交わされ、米国務省の公文書やライシャワー元駐日米大使の証言などで、繰り返し明らかにされている。>

 そういうことだ。

 <外交交渉の中には、すべてを国民に明らかにできないこともあるだろう。とりわけ冷戦まっただなかの60年代、米国に安全保障を依存した日本にとって、米国の戦争に巻き込まれることへの懸念を抱く国内世論と、米国の要請を両立させるのは並大抵のことではなかったに違いない。しかし、密約を交わしてから長い年月が経過しただけではない。冷戦はとうに終わり、米国の核戦略や日米同盟の役割もかつてとは様変わりしつつある。さらに、一方の当事者である米国が事実を公開している。もはや隠し続ける意味があろうはずがない。政府は密約を認め、国家的なうそをつき続けたことへの批判に向き合うべきだ。それがないままだと、日米間の今後の安保協力にも国民の素直な理解を得られまい。外交政策について、たとえ事後であっても公開し、説明を尽くす。これが民主主義を成り立たせるための政府の重い責任のはずだ。国民に信頼される外交を育むためにも、もうほおかむりは許されない。>

 こっちは、ちゃんと冷戦崩壊による国際環境の変化について書き込んでいた。毎日新聞も社説なのだから、このくらいは書いてほしかった。

◆メモ扱いだった産経新聞

 産経新聞は6月30日朝刊政治面メモ記事。これは哲学を感じるなぁ。でも、読者には不親切だとは思うが。

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「韓国も核保有を」60.5%、「朝鮮半島の戦争に参戦する」63.0%:韓国リサーチ世論調査~中央日報6月29日

 韓国紙・中央日報日本語版6月29日にアップされた記事<「韓国も核兵器を保有すべき」国民60.5%が同意>には驚いた。核兵器への抵抗感がない国民なのだなか、という驚きと、隣国が核を持とうとしたら、まずは自分も持ってから交渉だ、という気骨あふれる態度のほうが人間的で、常識的じゃないか、日本だけは異常なのではないか、という驚きだった。
 <国民の10人に6人が「韓国も核兵器を保有すべき」という主張に同意していることが分かった。 また国民の3人に2人は「韓半島で戦争が起きた場合、参戦する用意がある」と答えた。これは中央SUNDAYと東アジア研究院(EAI)が韓国リサーチに依頼し、20日に全国満18歳以上の800人を対象に「安保問題と国内政治に関する懸案世論調査」を実施した結果だ。>
 とショッキングな数字が並ぶ。
  <調査の結果、最近の安保状況に対する国民の不安感が次第に高まっていることが分かった。 回答者の59.2%は「非常に不安」または「やや不安」と答えた。 今年3月の調査(29.5%)に比べて2倍以上に増えている。 「不安だ」という回答は、4月の北朝鮮の長距離ロケット発射後に32.8%に、6月初めの2度目の核実験後に48.4%に高まった。>
 不安の割合が30→33→48→59%と徐々に上がっている。
 <「韓国の核兵器保有」についても60.5%が同意した。2004年(50.7%)に比べて10㌽ほど増えた。「同意しない」という回答は37.2%だった。 また63.0%は韓半島で戦争が起きた場合は「参戦する」と答えた。「参戦しない」という回答は33.3%だった。>
 こういう質問を見ると、解釈が難しい。「参戦する」とは何だろう、「参戦しない」とは何なのか? 分からないなぁ。
  <半面、2012年の戦時作戦権転換については「予定通り転換すべき」という意見(55.3%)が「時期を遅らせるか白紙に戻すべき」という主張(37.5%)を上回った。 北朝鮮の核実験問題解決方法も「6カ国協議が望ましい」という回答が多数(77.2%)を占めた中、北朝鮮を除いた「5カ国協議」に対しては「望ましくない」(51.9%)が「望ましい」(42.5%)を上回った。>
 これも、どうしてそういう選択をしたのか、が分からない。米韓でも日韓でも李明博大統領が要求したのが「5カ国協議」だったのではないか?
  <李明博大統領の国政運営に対しては34.8%が「非常に、または、かなりよくやっている」と答え、盧武鉉前大統領の逝去当時(5月23日、32.4%)の水準に回復した。政党支持率も「ハンナラ党」が29.0%となり、「民主党」(23.9%)を抜いた。しかし、李明博政権の国政基調と統治方式については「変えるべきだ」という意見が多かった。 回答者の41.1%が「国政基調と統治方式をともに変えるべきだ」と答えた。また、28.0%は「国政基調は維持するものの、統治方式を変えるべきだ」、13.9%は「統治方式は維持するものの、国政基調を変えるべきだ」と回答した。「ともに維持すべき」は9.6%にすぎなかった。>
 まあ、3分の1以上が支持しているということだろう。今、民主主義国ではどこもかしこも支持率が下がっている。李明博大統領だけじゃないから。
  <自分の理念性向については30.0%が「進歩」、35.1%が「中道」、28.2%が「保守」と答えた。今回の調査は電話調査(CATI)方式で行われ、最大標本誤差は95%信頼水準で±3.5㌽。>
 これも変化の中で数字を見ないと理解できない。
 他の数字はいいとして、韓国民は案外簡単に核兵器を持ちたがってる。これが正常だと思う。敵が持っている武器を自国も持とうとするのは当然の思いだ。日本だけは被爆国という特殊事情を理由にして、反核勢力が幅を利かせ、核保有については新聞紙上で論理すさせないように仕組んでいるが。
 この数字を虚心坦懐に見る限り、韓国の人々は国家の危機には敵と戦おう、という気概をまだ持っているようだ。日本だったら「外交で解決せよ」という選択肢を入れて、それが一番票数を取って、分析はそれでおしまい、となるのだろう。

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2009年6月28日 (日)

日経新聞は醇風美俗は捨て去って少子化対策のために結婚制度を変えろ、と主張する。根拠は国際標準だそうだ:経団連新聞が何を言う”!~6月28日日経社説

 日経新聞が社説の中で行っている[チェンジ!少子化]キャンペーンの一環として6月28日に<日本の「結婚」は今のままでいいのか>を掲載していた。まあ、少子化問題を論じればここまで行くかなぁ、とは思っていたが、家庭の中にいきなり手を突っ込んでくる感じの見出しだったので、少し驚きながら読んでみた。
 <法的に結婚していない両親から生まれる「婚外子」の割合が欧米諸国で増え続けている。フランスでは、昨年生まれた赤ちゃんの53%が婚外子だった。2007年の統計をみても、スウェーデン55%、米国40%、ドイツ30%などとなっている。これに対し日本は2%と格段に低い。なぜか。少子化対策を考える時、婚外子やその背景にある結婚の多様化の問題を避けては通れない。>
 なるほど、結婚の形としての婚外子問題を論じるのか。
◆婚外子の相続差別放置
 <日本に婚外子が少ない一因は「非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の2分の1とする」という民法の規定にある。法務省によると、相続で婚外子が法的に差別されているのは日本とフィリピンぐらいという。この規定はかねて「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反すると批判されてきた。法制審議会も1996年に規定を撤廃するよう答申を出している。しかし、最高裁大法廷が1995年に合憲の判断を下したこともあって、答申は13年間たなざらしになったままだ。政治の怠慢であり、異常なことである。>
 そういう経緯があったのか。
 <最高裁決定を読むと、非嫡出子を基本的に「既婚者が配偶者とは別の相手との間につくった子ども」ととらえている。法改正に自民党が動かないのも、家族の外にできた子と家族内の子には相続で差があって当然との意見が根強いからだ。>
 まあ、そうだと思うが。
 <しかし、大法廷の決定の時点ですでに15人の裁判官のうち5人が「違憲」だと厳しい意見を述べている。婚内子と婚外子で異なっていた戸籍や住民票への記載方法は改められ、記述上の区別はなくなった。婚外子の相続差別には、国連の規約人権委員会、子どもの権利委員会も撤廃を求める勧告を出している。>
 日本の醇風美俗を「国際標準に合致していない」という刀で切り捨てる論法はどうも好きになれないのだが。
 <そもそも、結婚していない両親の子どもを指す「非嫡出子」にあたる言葉は、差別的な意味があるとして国際的には死語になりつつある。民法の規定は、婚外子が社会的に差別される原因にもなっている。まず民法を改正する必要がある。>
 すべて国際標準ですか。
 <欧米で婚外子が増えているのは、法的な差別がなくなったから、だけではない。結婚とは別の形のカップルを法的に認める仕組みが生まれ、婚外子の概念そのものが変わったことが大きい。>
 結婚という形が古臭くなったと?
 <例えばスウェーデンにはサンボ(同せいの意)、フランスにはPACS(連帯市民協約)という仕組みがある。いずれも、結婚より緩やかな結びつきをカップルに認め、生まれた子どもには相続も含め婚内子とまったく同じ権利を与えている。男性が父親になるためには認知が必要だが、法の枠組みにしたがった同居という意味では結婚に近い。>
 まあ、よく調べていること。
 <スウェーデンではサンボがカップル全体の3分の1を占め、0~17歳の子どもの親の3割はサンボのカップルだ。スウェーデンでも晩婚化が進んでいるにもかかわらず出生率が上昇しているのは、サンボの間に出産するケースが多いためだ。フランスでは昨年、結婚が26万7000組、PACSが13万7000組だった。サルトルとボーボワールのように、かつて未婚のカップルは社会規範への異議、反抗ととらえられていた。もうそうした意識はない。>
 サルトルを出してくれば年寄りが納得すると思ったら大間違いなのだが。
 <こうした仕組みには、互いに相性を判断する「試行結婚」の意味合いがある。法律婚に比べ解消が簡単だからだ。婚外子の割合が増えたからといって、出生率が高まるとは必ずしも言えない。ただ、フランスの昨年の出生率は2.02、スウェーデンも1.91と先進国の中で高い。>
 出生率問題と事実婚問題は直接の関係化はないと思う。あくまで女性が出産しても安心して働ける環境を国と地方と企業が整備できるかどうか、が問題なのだ。そこに手をつけずに、民法をいじろうとする敗北主義は、いずれ、非正規動労者が全体の3分の1になったように、家というものを無力化し、子供の教育を無責任なものにするのではないか?
◆今も影落とす「家」制度
 <日本では婚外子の相続差別撤廃とセットで法制審が答申した選択的夫婦別姓制度の導入も実現していない。夫婦で別姓を名乗ると家族のきずなが弱まるという意見があるためだ。「家」を基本にした戦前の家族制度が今も影を落としている。>
 法制審議会がおかしいのだ。欧米かぶれの学者だけ集めても、日本の古層は分からないだろう。
 <2006年の内閣府の世論調査では、58%が婚外子を法律上不利に扱うことに反対しながら、民法の相続規定に対しては41%が「変えない方がよい」と答え、「相続額を同じにすべきだ」の25%を上回った。これも日本人の家族観、結婚観の表れである。>
 分かっているじゃないか。
 <結婚の形は国の文化や伝統、国民の価値観にかかわる問題だ。しかし、日本の国際結婚は1970年の5500組から2007年には4万組に増えた。日本人の価値観だけで結婚を考えることは、もう実情に合わない。>
 国際化が進んだのだから、慣習を変えろ、と。ちょんまげを落として、散切り頭にするのとはちょっと訳が違うのだが。
 <日本・東京商工会議所は少子化問題に対する提言の中で「伝統的な法律婚以外に事実婚や婚外子が受け入れられる社会のあり方について検討すべきだ」と訴えている。>
 企業の論理だろう。儲けに血眼になっている守銭奴らの言うことだけを聞けと言うのか?
 <日本の結婚のあり方が少子化の一因となり出生率上昇の妨げになっているとすれば、障害を取り除く必要がある。それは、婚外子の相続差別をなくさねば始まらない。>
 違うだろう。どうして国、企業の責任を書かないのだ。日経新聞は経団連新聞だから企業の代弁をしているのだろうが、ここまでいくと見苦しいぞ。

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2009年6月27日 (土)

超法規的措置、人命は地球より重いと言っていた34年前の福田赳夫首相:日本は国家ではない~産経新聞6月27日[昭和正論座]香山健一氏

 産経新聞6月27日の[昭和正論座]は昔読んだことがあったような記憶がある学習院大教授・香山健一の昭和50(1975)年8月13日掲載の<脅迫に屈服する日本>だった。テロリストの言うがままに刑務所の罪人を釈放し、身代金を支払い、「人命は地球より重い」とか言って超法規的措置を正当化していた福田赳夫首相時代の論である。
 (石)氏が[視点]で解説しているように、進歩的文化人が論壇を席巻していた当時、命より国家が重い、というには勇気がいったはずだ。今だって、「脳死が人の死」という生命倫理の最も大切な定義変更について「助かる命をまず助けるのが先」とかの情緒的非論理で攻めてくる国会議員たちに多くのマスメディアはやられてしまっている。この産経新聞など、なぜか「人道的理由」に最初にやられいてしまった新聞になり下がっている。
 34年前の産経新聞はそうではなかった。(石)氏は「当時、多くの正論メンバーがこの超法規的措置を批判した。香山氏は『政府によって犯された、許すことのできない重大な違法行為』だとし『法律は人命より優先する』と明言した。氏自身、自由のため『(全体主義との)生命を賭けた闘いと名誉ある死を躊躇なく選びたい』とも書いた。『人命は地球より重い』といわれた時代、ここまで言った人は少ない」と書いている。(石)氏のような記者が多ければ、今の臓器移植に関する産経新聞の論調もまともになったのに、と残念でならない。
 それはそうと、香山氏の論を読む前に、(石)氏の注釈を見ておこう。
 <1975年8月、クアラルンプールの米・スウェーデン両大使館を占拠した日本赤軍は外交官らを人質に浅間山荘事件などで逮捕された連合赤軍幹部らの釈放を要求した。日本政府は人命尊重のための「超法規的措置」として要求を受け入れ5人を釈放した。>
 という事実関係である。もう昔のことだから、忘れてしまった人もいるだろう。日本赤軍という組織があったのだ。
 香山氏の論の小見出しは≪「超法規」は質の悪い詭弁≫、≪生命を賭して守るべき法≫、≪自己犠牲求む永遠の価値≫、≪社会を侵す「精神の腐敗」≫の四つだった。
 <クアラルンプールで発生した米、スウェーデン両大使館占拠事件で、殺人犯ら五人を釈放し、日航特別機を仕立てて犯罪者集団を目的地リビアまで護送した今回の政府の措置は、「人命尊重」を最優先した「超法規的な行政措置」だったと説明されている。マスコミの論調も大体においてこの「超法規的な措置」を肯定し、「人命尊重のために止むを得なかった」とか、「止むを得ないというより当然の措置」、「民主主義国家にとっては人命尊重が最優先」などと述べている。しかし、私は今回の政府の措置は法治国家にあるまじき違法な反社会的行為として、これを絶対に許容できないし、それ以上に、この措置を肯定する態度の根底にひそむ精神の底知れぬ腐敗を断じて許す訳にはいかない。>
 堂々としている。
 <第一に、「超法規的な措置」という説明は、質の悪い詭弁に過ぎないものである。問題の本質は、遂に政府までもが、ゲリラの脅迫に屈服してみずから法律を破ったということに他ならない。今回の「超法規的な措置」と称せられるものは、政府によって犯された、許すことのできない重大な違法行為であり、全体主義的犯罪者集団への屈辱的な屈服である。妥協や取引きにも限度というものがある。この政府による違法行為の責任は今後徹底的に追及されなければならない、と私は思う。>
 詭弁だ、と。僕もそう思う。日本は国家ではないのだから。
 <第二に、「民主主義国家にとっては人命尊重が最優先」などという考え方は根本的に間違っている。「生命さえ助けてくれるならどんな言い分にも従います。どんな脅迫にも屈します」というほど、民主主義国家というものは卑屈で、無原則、無節操なものだとでもいうのだろうか。それがたとえ奴隷のような境遇の生命だったとしても、生命さえあればよい、生命だけは助けてくれというほど、民主主義国家は道義もなく、守るべき何の価値も持たないものだとでもいうのだろうか。私は誤解を恐れずに敢えて言うが、民主主義国家にとっては、人命尊重よりも、国民が自らの自由な意思で定めた法律と秩序の方が優先するのである。もしもそうでなければ、一体国民のだれが自らの個人の生命を賭け、生命を投げ出してまで、犯罪者と闘い、反社会的行為と闘い、法秩序を守り、この美しい国を存続させるために努力するであろうか。>
 そうだ。
 <法律は、もちろん人間が作るものであり、人間が自らに課したものである以上、時代とともに変わっていってしかるべきものである。しかし、それが法である限り、われわれは生命を賭してもそれを守るべきであり、法を犯すものとは生命を賭して闘うべきであろう。法律は人命よりも優先する-この基本認識なくして自由な法治国家は成り立たないのである。このような断固たる遵法精神を持たない政府は、民主主義国家の政府たるの資格を決して持ち得ないであろう。>
 そうだ。
 <第三に、確かに人命は尊重すべきものである。しかし、同時に人間が忘れてならないことは、個人の生命よりも尊い価値というものが、その価値のために自分一個の生命をさえ捧げるに価する価値というものが人間社会には存在しているということである。人間の一生は限られたものであり、悠久の人間生命の流れ、歴史の流れからみるならば、かげろうの如きつかの間の生命に過ぎない。この短い、有限な生を生きながら、なおかつ人間がその生に永遠の価値を与えることができるためには、人間は自分の一生を越えて、それに殉ずることのできる価値を持たなければならない。生命さえ助けてくれるなら、どんな脅迫にも屈するという生き方は、誇りも理想も人道も忘れた奴隷の生き方ではあっても、決して自由な、誇り高き人間の生きるべき生き方ではあり得ない。悲しいことではあるが、それ以外に仕方がないのなら私は愛する両親や妻や子供たちのために、自由と、日本の美しい伝統と、この民族の未来のために、自分の生命を投げ打つであろう。脅迫に屈し、誇りも理想も捨てて、奴隷の如く生ける屍の如く、全体主義の圧制のもとに生き続けるぐらいなら、私はこれとの生命を賭けた闘いと名誉ある死を躊躇することなく選びたいと思う。たとえこの身が滅んでも、必ずや子供たちが、そして生き残ったひとびとが、若い世代が私の殉じた自由の価値を守り続けてくれることであろう。そして、現に浅間山荘その他で、数多くの警察官諸君は、自由で平和な社会秩序を維持するために、日本の明日を憂いながら、黙々と自分の生命を投げ出していったのではなかったか。「超法規的な措置」などと詭弁を弄するひとびとは、これらの警察官諸君とその家族の崇高な自己犠牲の精神が一体なにによって支えられているのかをほんとうに知っているのだろうか。>
 重い言葉だ。
 <殉ずることのできる価値を見失い、自己犠牲の精神を忘れた国はいつか滅ぶであろう。敗戦後三十年のあいだに、日本人の心は腐り切ってきたとしか私には思えない。日本人は「人命尊重」とか「平和共存」とかと結構な言い訳をしながら、次第にどんな理不尽な脅迫にも易々諾々と屈服するような国柄になってしまった。「生命さえ助けてくれるなら」、「平和さえ続くのなら」どんな内外の脅迫にも屈服するのが賢明と、いつしか多くの人が思い込むようになってしまった。実は、今回の「超法規的措置」にわれわれは別に驚くまでもないのであって、このような精神の腐敗と堕落は、すでに日本社会の深部を侵してしまっているのである。>
 唯々諾々だ。
 <例えば、国労、動労の無法者たちに、ストの度に列車をハイジャックされ、乗客を人質に脅迫されている政府、国鉄は、「スト権さえよこせばストはしないでやる」という恐喝に屈して、違法行為の処分もきちんとせず、かれらの言いなりにスト権を差し出そうとしているではないか。その卑屈な思考パターンは、今回の「超法規的措置」と全くうり二つといわなければならない。過激派の脅迫に屈した大学人たちは際限のない妥協の果てに、大学を「無法とテロの街」と化し、特派員を認めてやる代わりに、中国に都合の悪いことを書くなという北京政府の全体主義権力の脅迫に屈して、多くの日本の新聞社は毛沢東礼讃記事しか載せようとしない。>
 そういえるだろう。
 <ハト派と称する政治家たちは、共産主義国家の言いなりになり、かれらに対して微笑してさえいれば、かれらが「平和」を与えてくれるものと信じて、屈辱的な妥協を繰り返し、日本の安全保障の基礎を掘り崩している。街頭で無法者に暴行されている善良な市民を見かけても、だれもが自分の「生命」と「平和」の方が大事とばかり見て見ぬふりをし、犯人たちのなすがままになっている。自由と人間の尊厳のために、生命を賭し、職を賭してまで闘う、気骨のある日本人はなんと少なくなってしまったことだろう。一体、この精神の腐敗はいつになったら止むのであろうか。>
 精神の腐敗の止む時が近づいている予感がするのだが。

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韓国軍が「5029」を概念計画から作戦計画に格上げ~朝鮮日報、中央日報6月27日

 韓国の中央日報日本語版6月27日に<国防部「北核・ミサイル発射直前に打撃」>という記事があった。キム・ミンソク軍事専門記者、イ・ヨンジョン記者の署名記事だ。読んでみる。
  <国防部は有事時、北朝鮮が核や弾道ミサイルなどの大量破壊兵器を発射する際、その前に打撃できる能力を備えられるよう能力を高める計画を発表した。国防部は26日に発表した「国防改革2020調整案」で「核、弾道ミサイルなど北朝鮮の非対称的脅威を敵(北朝鮮)地域で最大限遮断・除去するために精密な打撃・迎撃能力を拡充する計画だ」と明らかにした。調整案は2005年に作られた「国防改革2020」を最近、北朝鮮の核・ミサイル脅威の高潮と経済状況などにより新たに構成した。国防改革予算は2005年に立案された621兆3000億ウォンから22兆ウォン減った599兆3000億ウォンに調整された。>
 と、ここまでが前文だろう。
  <調整案によると北朝鮮が核または弾道ミサイルで韓国を攻撃する兆しが見えれば▽多目的実用衛星、偵察機、無人偵察機、弾道弾早期警報レーダーなどで監視偵察▽F-15Kと合同遠距離攻撃弾などで(先に)精密打撃▽それでも韓国に飛んできた北朝鮮のミサイルは海上迎撃誘導弾と地上パトリオットミサイルで迎撃する――という概念を盛り込んだ。またミサイルが韓国地域に落ちた場合に備え、個人及び部隊別に防護体系を強化するなど、4段階で対応する。防護体系には核爆発時に出る強い電磁気波(EMP)に対する対備策も含まれている。>
 敵基地先制攻撃のための軍備増強である。日本の論議に具体的に役立ちそうだ。
  <こうした対応に向け、国防部は現在、北朝鮮の平壌-元山以南までである韓国軍の精密打撃能力を2020年まで北朝鮮全地域に拡大する計画だ。海上迎撃誘導弾では米国が開発中のSM-6または海上用PAC-3の導入を検討中だ。北朝鮮特殊戦部隊に対しては無人地上監視体系(UGS)と多機能観測鏡などで探知した後、遠隔運営統制弾と昼夜間の照準鏡が結合された武器で浸透を阻止することにした。北朝鮮の西海(黄海)側侵犯に備えて2018年までペンリョン島など西海5度に配置した4000人を削減することにした基調を修正し、2020年まで3200人のみ減らすことにした。国際平和維持活動のために3000人規模の海外派兵常備部隊も置くことにした。海外派兵常備部隊はそれぞれ1000人で、常備部隊と交代用である予備部隊、別途指定部隊で構成されている。調整案には再び急増するサイバー脅威に備え、情報保護司令部も来年初めに創設することにしたほか、各指揮官と将兵たちの安保意識向上を担当する精神全力開発院が早ければ来月、国防大学に新設される。>
 相当な増強なのだろうが年月がかかりすぎていないか? その前に北朝鮮が攻撃してきたらどうするのだろう?
 <李明博大統領はこの日午後、青瓦台で李相熹国防部長官から国防改革計画の報告を受けた後「国防部で立てた計画は非常に適切だ」と評価した。李大統領は「戦闘部隊は戦闘任務に専念するように精鋭化された人員と先端武器体系を揃え、常時能力を発揮できるようにしなければならない」とし「非戦闘分野も韓半島内で戦争を想定したとき、民間資源を最大限活用するようにしなければならない」と述べた。特に予備軍の常駐軍水準精鋭化方針に対し「動員体制も常備体制と類似の動員能力を揃え、有事時に戦争継続能力を発揮できるようにすることが重要だ」と強調した。>
 李明博大統領が評価しているのならば、そうなのだろう。
◆朝鮮日報の同様の記事
 6月27日の朝鮮日報日本語版も<韓国軍/北の事態急変に備え装備導入を推進>で同様のことを書いていた。
 <政権崩壊など北朝鮮をめぐる事態が急変した場合の北朝鮮内部の安定化(治安維持)などに備え、各種装備の導入が進められる。導入される装備は、地雷および即席爆発物(IED)防護車両、装輪装甲車など。韓国軍が北朝鮮の事態急変に備えた武器システムの導入を本格的に進めるのは今回が初めてだ。北朝鮮の事態急変に備えた「概念計画5029(CONPLAN5029)」を具体的な作戦計画レベルで裏付ける、という点に意味がある。また北朝鮮の核および弾道ミサイルの脅威に備え、2020年までにイージス艦搭載のSM6迎撃ミサイル、パトリオットPAC3級以上の地上配備迎撃ミサイルなど迎撃用兵器と、北朝鮮全域を攻撃できる精密打撃兵器も導入される予定だ。>
 こっちは「5029」を概念計画から作戦計画にする、という軍事的な意味合いを解説していた。
 <李相熹国防長官と金泰栄合同参謀本部議長は26日、こうした内容を骨子とする「国防改革基本計画(国防改革2020)」修正案について李明博大統領の裁可を得た上で、公式に発表した。同案は、盧武鉉政権時代の2005年に作られた「国防改革基本計画」を、最近の北朝鮮による核・ミサイルでの威嚇など、安全保障上の状況変化と困難な経済状況に伴う予算圧迫などを考慮して内容を修正したもの。修正案は、有事の際に北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルが発射される兆候を捕捉した場合には、発射基地を精密攻撃し可能な限り北朝鮮地域内で無力化する、という積極防御の概念を含んでいる。また、韓国軍の国際的役割の拡大のため、陸軍特殊戦司令部の隷下に約3000人規模の海外派兵常備部隊を編成するとしている。また、国家安全保障上の危機要素として急浮上したサイバー攻撃に対応するため、来年中にサイバー戦司令部としての役割を担う「情報保護司令部」も創設する。>
 盧武鉉の時に作った計画など、危なくてやっていられないだろう。ようやく改定ができたわけだ。
 <2020年までの国防費は、総額621兆ウォン(現在のレートで約46兆円、以下同)から599兆ウォン(約44兆円)へと22兆ウォン(1兆6000億円)減額され、国防費の増加率は年平均8%から7.6%水準に下がった。>
 まあ、減額は仕方ないだろう。

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韓国MBCテレビの偏向報道が統計で明らかになった~朝鮮日報6月27日

 韓国テレビ局が金大中、盧武鉉一派の左傾集団に乗っ取られている問題で、ようやく保守系の団体が動きだした。朝鮮日報の日本語版ネット6月27日にアップされた<盧前大統領死去/MBCによる回顧報道、SBSの7倍/韓国言論財団が分析>が報じていた。
 見出しの通りだが、それがどういう意味を持っているか、というと、ソウル市民たちをデモに走らせ、広場で「李明博政権打倒」を叫ばせたテレビ局がMBCだったからだ。
 といっても分かりにくかったら、終戦直後に組合管理で新聞を出した一時期の読売新聞を思い出せばいいかもしれない。あの時は労組だったが、やはり、裏には共産党とソ連指導部の支配があったようだ。韓国のテレビの場合は裏に北朝鮮の指令があることが大きな違いだ。
 朝鮮日報の申東薫記者の記事を読んでみよう。
 <盧武鉉前大統領が死去してからのいわゆる「弔問政局」で、地上波3社によるニュースを分析したところ、MBCが盧前大統領を回顧する内容をKBSの3倍、SBSの7倍以上も多く流していたことが分かった。盧前大統領に対するキャスターの発言についても、MBCは盧前大統領の生前には「敵対的・批判的」(8件)発言が比較的多かったが、死去後には「同調的・友好的」発言(128件)が急激に増えた。>
 よく分析したものだ。
 <延世大学メディア広報映像学部の尹永哲教授は26日、韓国言論財団(理事長・高学用)が「弔問政局とメディア報道」をテーマに開催したセミナーに出席し、「盧前大統領関連の報道が行われた回数は、MBC(320件)がKBS(178件)に比べて1.8倍ほど多く、SBSはKBSよりも38件多かった。しかし、MBCにははるかに及ばなかった」と語った。尹教授は先月5月10日から今月10日までの1カ月間、地上波放送3社の夜のニュースを時期ごとに分析した。盧前大統領に対する弔問期間、MBCは盧前大統領に対する回顧番組を47回放送し、同期間にKBSは15回、SBSは7回放送したという。>
 面白い分析だ。
 <盧前大統領の生前、KBSとSBSは盧前大統領の汚職疑惑について「権力型の汚職」という観点からアプローチしていた。しかし、MBSは「政治的報復」と「権力型汚職」の比率が5対3の割合で、他社との違いを示していた。しかし、盧前大統領死去後は各社とも「政治的報復」の観点へと見方を変えたことが分かった。尹教授は「このような報道姿勢の変化は、とりわけMBCとSBSで明確となっている。SBSは進歩性向の強い団体に対して最も積極的に取材を行った」と説明した。推測による発言が含まれた記事はMBCが98件と最も多かった。>
 韓国のテレビ報道は権力の捜査する道具と化しているようだ。
 <言論財団客員研究員のキム・ソンヘ氏はこのセミナーで、「ハンギョレ新聞と京郷新聞が盧前大統領に対する“同情的”な記事をそれぞれ210件、183件ずつ掲載し、それ以外の新聞に比べてかなり多かった。両紙とも盧前大統領を回顧する記事も多く、MBCと同じような傾向を示した」と述べた。>
 産経新聞の黒田特派員の記事の通りだな。
 <キム氏はさらに「マスコミによる報道が過度なまでに政治的に流れ、双方とも自らにとって有利な見方で相手を評価している。保守と進歩の双方の間に倫理的なコミュニケーションが必要だ」と指摘した。>
◆現政権での政府広告受注額、地上波1位はMBC
 朝鮮日報は6月27日の日本語版に<現政権での政府広告受注額、地上波1位はMBC>という記事も出していた。これも申東薫記者が執筆している。
 <李明博政権発足後、MBCが地上波放送3社の中で最も多くの政府広告を受注していることが分かった。これは一部メディアが「李明博政権発足後は政府機関の一部で意図的にMBCへの広告依頼を避け、MBCを差別している」と報じたのとは正反対の状況だ。>
 進歩派の物言いはいつもそうなのだ。あまりに政治的なのだ。信用できない。
 <26日にハンナラ党の鄭柄国議員の事務所が入手した韓国放送広告公社(KOBACO)の「言論財団代行広告主信託現況」によると、MBCは李明博政権が発足した昨年からこれまで、政府や政府関係機関から総額204億6100万ウォン(約15億2000万円)の広告を受注し、放送3社の中では政府関連の広告を最も多く受注していたことが確認された。>
 政権交代があっても、初期はまだ前政権の惰性で受注するから。
 <MBCは盧武鉉前政権最後の年、2007年にも121億2400万ウォン(約9億円)を受注し、KBSの87億4400万ウォン(約6億5000万円)やSBSの65億8700万ウォン(約4億9000万円)よりもはるかに多くの実績を残している。今年に入ってからもMBCは今月25日までの時点で61億8700万ウォン(約4億6000万円)の政府広告を受注しており、上半期の広告受注額でも3社の中で最も多かった。>
 盧武鉉の仲間がうようよしているからだ。
 <金泳三元政権や金大中元政権ではKBSが最も多くの政府広告を受注するのが慣例となっていたが、盧武鉉前政権時代の2004年からはこの傾向に変化が現れ、MBCによる政府広告の受注がKBSを上回るようになったという。>
 それが何を示しているか、はっきりしているだろう。
 <言論財団の関係者は「最近は特定の政府機関がMBCへの広告依頼を意図的に避けているという主張が取り沙汰されているが、これは一部の事実だけを大きく取り上げたものに過ぎない」と述べた。>
 面白いねえ、こういう調査をどんどんすべきだ。
 李明博政権は少しずつ政治の雰囲気を整えつつある。次の記事など、吉田茂政権か中曽根康弘政権を想起させるようなニュースだ。
◆教科部、全教組指導部88人を解雇・停職処分
 これも6月27日の朝鮮日報日本語版の記事。チェ・スヒョン記者、オ・ヒョンソク記者が連名で出ているが、なぜ漢字ではないのだろう。
 <今月18日に「時局宣言」を行った全国教職員労働組合(全教組)指導部88人に対し、教育科学技術部(教科部)が解任または停職の措置を下し、検察に告発するという強硬な対応に乗り出した。チョン・ジンフ委員長をはじめとする全教組中央執行部役員10人が教員職をはく奪され、全教組本部の専従員や市・道の支部長や専従員78人は停職処分となった。これは1999年に全教組が合法団体として認められて以来、最大規模の懲戒処分となる。教科部はさらに「時局宣言」に署名した1万7082人の単純参加教師らに対しても、全員に注意・警告などの処分を下すと発表した。>
 ここまで読んでもよく分からないだろう。学校の先生がストをしたから、と88人も首になるというニュースとしか見えないから、韓国の先生は相当に激しいんだな、と思うくらいだろう。
 <これについて全教組側は「40万人の教師が賛同して“第2次時局宣言”に取り掛かる」と対抗措置を表明し、双方の対立がさらに深刻化している。>
 これなど、一昔前の日本の自治労、総評を思い出させるコメントである。
 <教科部は全教組執行部による時局宣言について▲公務とは関係のない集団行動を禁じた国家公務員法第66条違反▲教員としての基本的な責務を誠実に履行しておらず第56条(誠実義務)違反▲政治活動の性格を持つ時局宣言に賛同してはならないという職務上の命令に違反したことで第57条(服従義務)違反▲教員の労働条件とは関係のない政治活動の性格があるため教員労働組合法第3条(政治活動禁止)違反――などの問題があると指摘している。>
 ここまでくると、なるほど、と思うに違いない。これが北朝鮮の思想闘争指令に従ったスパイどもによる李明博政権転覆計画の一環だったということだ。
 <教科部企画調整室の張基元室長は「神聖な教育現場を政治イデオロギーで荒廃させる行為は決して許すことはできない」と述べた。しかし、教科部による懲戒で教師職から解雇されたとしても、全教組委員長をはじめとする幹部らは、全教組の職責に関してはそのまま維持することができる。>
 この辺は何だか分からない。日本ならば日教組の委員長にとどまれる、ということだろうか? それはまあ当然だと思うのだが。
 <全教組は今月18日に国政の刷新、言論・集会・良心の自由の保障などを要求する時局宣言文を発表し、22日にはこれに署名した教師のリストを機関誌の『教育希望』で公開した。>
 北朝鮮のミサイル打ち上げ、核実験と合わせて韓国内での非武装蜂起だったのだろうと想像するが、失敗したわけだ。
 <教科部は一般の教師1万7000人に対しても、市・道の教育庁が確認作業を行った上で、全員に対して注意・警告処分を下すとしている。しかし、確認が可能かどうかは未知数だ。全教組が公開したリストには名前が羅列されているだけで、所属地域や学校などが記載されていないからだ。>
 まあ、この辺は李明博政権の姿勢を示しているのだろう。
 <教科部教員団体協力チームの関係者は「1万7000人もの一般教師を識別する方法については、わが部としても市・道の教育庁に具体的に提示できていないのが現在の状況だ。管轄地域内で全教組の組合員となっている教師のリストと署名人のリストを照らし合わせるなど、市・道教育庁が自ら方法を見出し、8月末までに措置を完了するよう指示した」と語った。>
 そうだ、その方法で北朝鮮のスパイをあぶりだしてほしい。そうしないと落ち着いて飯も食えない。
 <全教組は教科部によるこれらの措置に対して、「総力闘争」で対抗すると表明した。全教組は緊急の会見を開き、「今回の措置は政治的な意図をもって行われており、根拠も名分もないことから完全に無効であることを宣言する。今後は40万人の教師が参加する“第2次時局宣言”を行い、教科部の安秉万長官と全国16の市・道教育監(教育長に相当)に対して職権乱用容疑で検察に告発する」と主張した。>
 金正日総書記の指示でもっともっと暴れるのだろう。
 でも、李明博政権にとって順風なのは、韓国経済が先進国の中では相当に早いペースで回復に向かっていることだ。次の記事のように、大卒就職率をよく見せるための工作とかいろいろあるあろうが。
◆若者失業が深刻な中、「驚異的」な大卒就職率
 朝鮮日報日本語版6月26日には<若者失業が深刻な中、「驚異的」な大卒就職率/政府の補助金と新入生の誘致目的/日雇いやアルバイトで水増し>と題する記事が掲載されていた。経済のまとめ記事だ。(◎は小見出し)
 <今年2月、京畿道のA専門大学(2008年の就職率70%台)を卒業したシンさん(25)は、数日前に母校の学部の教務課から「耳を疑うような」内容の電話を受けた。「全学部のうち当学部の就職率が最も低いため、もし学校から問い合わせの電話が来たら○○会社に就職したと答えてほしい」というものだった。シンさんは面倒なので「わかった」と答えた。数日後、学校から就職したかを尋ねる電話が来たため、シンさんは「就職した」と答えた。卒業後、アルバイトさえ一度もしたことのないシンさんは一本の電話で突然「就業者」となった。若者が就職難にあえぐ中、一部の大学による「就職率の水増し」が深刻になっている。各大学が国の補助金と新入生誘致のために卒業生の就職率を水増ししているのだ。教育科学技術部は昨年12月からホームページで(www.academyinfo.go.kr)大学情報を公開している。各大学が入力した内容をもとに資料を公開している。昨年初めて公開して以降、「でたらめな就職率が多い」と批判されたため、今年から政府は就職率の数字を徹底的に検証した上で公開するとした。しかし、一部の大学では政府に隠れて相変わらず様々な「就職率の水増し」が行われている。>
 何か姑息なのだが、こういうことも韓国らしいね。
◎失業者泣かせの「母校からの電話」
 
 <仁川のB専門大学(2008年の就職率90%台)を卒業したユさん(25)は現在、就職活動中だ。卒業後、あるインテリア会社に非正規職として就職したが、月給70万ウォン(約5万5000円)という安い賃金と医療保険加入のメリットさえないことに失望して、入社一週間で退職した。ところが先月末、母校から就職したかを尋ねる電話がかかってきた。「会社を辞めた」と答えると、その助教授は「今も就職していることにするため、在職証明書を作って送ってほしい」と言った。在職証明書を添付して就職率を上げようという魂胆だ。それ以来2週間、ユさんは母校からの電話に悩まされた。ユさんは「ただでさえ再就職できずに困っているのに、思い出したくもない会社の在職証明書を出せというのは理解できない」と語る。>
 おかしな話だ。
 <4年制大学の卒業生も例外ではない。昨年2月に地方のC大学(昨年の就職率70%台)を卒業した後、公務員試験に向けて準備しているキムさん(女性 24)も最近、母校からの電話を受けた。学科の助教授が「わが校の就職率が余りにも低いため、あなたを就業者としてもいいか」と尋ねてきたという。キムさんは、「就職できない周囲の友人たちにも母校から同じような内容の電話がかかってきた」と話す。>
 いろいうろなところでやっているみたいだ。
◎組織的に行われる「就職率の水増し」
 <京畿道のD専門大学のチョ助教授によると「就職率の水増し」は実際、学校ぐるみで組織的に行われているという。チョ助教授によると「学校が各学科の就職率のノルマを80%とすると統計の基準日となる4月1日までに日雇いやアルバイトを勧めるなどして就職率を上げている」という。また、教授が自身の人脈を活用して知り合いの企業に卒業生名義の在職証明書を発行するよう求め、その学生と教授、助教授が口裏を合わせて書類上の就業者を「量産」しているという。さらに校内の起業教育センターを活用するケースもある。忠清南道のE大学(4年制)では、卒業生を校内の起業教育センターに入っている企業に「偽装就職」させて就職率を伸ばしている。同大学のソ助教授は「他校もこうした方法で就職率を上げている。就職者全体の5%ほどはこうした方法で就業者となっている」と語る。>
 でも、中国に比べればまだ統計の信用度は韓国の方が上だろうとは思う。目くそ鼻くそかもしれないが。さっきのような教職員組合がこういうことをやっている実戦部隊なのだ。李明博大統領も大変だな。
◎背景に政府の補助金獲得
 <このように各大学が就職率を水増ししているのは「カネ」のためだ。年間5000億ウォン(約393億円)が投じられる教育科学技術部の「大学、専門大学の教育力強化事業」で多くの補助金交付を受けるためには、卒業生の就職率を上げねばならない。評価対象となる項目のうち就職率が25%にもなるためだ。>
 なるほど、そういうことか。
 <もう一つの理由としては新入生の誘致が挙げられる。在校生が定員の半分にも満たない大学が続出している中で、「就職率○○%」とのセールスポイントは新入生を引き付けるのに貢献するという。>
 それが大きいだろう。韓国も日本と同じような少子化社会なのだから。
 <各大学は就職率を水増しするために就職率の算出方式の盲点を突いている。教育科学技術部は毎年、全国400余りの専門大学を含めた大学の卒業者を正規職就業者、非正規職就業者、自営業者、進学者などに分類して公開してきた。この分類で就業者は「週18時間働き、一定の報酬を得ている者」とし、調査基準日を4月1日としている。このため、各大学は4月1日が含まれる週に、週18時間働いて一定の報酬を得ている卒業生をできるだけ多く生み出せるような「手段と方法」を総動員する。この期間中に卒業生にアルバイトさせたり、教授が知り合いの会社に偽装就職させて在職証明書を発行させているという。>
 就職率を算出する方法の盲点か。日本の大学だってやっているんじゃないか。
◎「サンプル電話でチェックする」
 <昨年末に公開された大学就職率統計の信頼性が問題となると、今年から政府は国民健康保険公団のデータベースを利用して、各大学の卒業生が正規職に就いているかを検証すると発表した。しかし、健保公団で把握していない企業で働く正規職や非正規職の卒業生については就職の事実を確認することはできない。教育科学技術部の関係者によると、「就業者と会社を対象に電話による(就職についての)サンプル調査を実施する予定」という。しかし、こうした検証方法によっても、大学による就職率の水増しを根絶することは難しいというのが、各大学と教育科学技術部の一致した見方だ。なお、今年の大学別就職率は9月に公開される。>
 まあ、みみっちい記事だったが、こういう記事が一番世相を映している。
◆双竜自スト:深まる労使対立、流血の事態に(上)
 これが今の韓国の一面だ。朝鮮日報日本語版6月27日で、平沢の崔源錫記者とソウルのキム・ウソン記者だ。見出しは<双竜自スト/深まる労使対立、流血の事態に/双竜自>だ。
 <工場を閉鎖してストに突入してから37日が過ぎた双竜自動車平沢工場。作業への復帰を求める役員や社員らが工場内に進入したことから組合員らともみ合いになり、流血の騒ぎにまで発展した。状況が深刻化したことを受け、双方の衝突を防ぐために機動隊までが投入された。機動隊が現場に投入されるのは、同社の経営不安が表面化して以来初めてのことだ。>
 <同社の法定管理人である李裕一氏とパク・ヨンテ氏は26日午前11時から平沢工場正門前の駐車場で会見を開いた。両氏は「整理解雇の対象者976人については、工場組立ラインの一部分離による分社化と営業職への転換により、320人はそちらに移ってもらい雇用を維持する。残りの対象者のうち450人には早期退職のチャンスをもう一度与える。また2012年までに200人を上限として、無給の休職期間を経た後、優先的に再雇用の対象とする」と述べ、今後の方針について説明した。一方、リストラを行った後に残った役員や一般社員についても、基本給の3年間凍結、2年でボーナスを250%返納、3年間の福利厚生返納など、苦痛を分け合うための対策を強力に推進すると表明した。>
 まあ、仕方ない条件じゃないかな、と普通は思うだろう。
 <会社側がこれらの内容を発表した直後、今度は組合側が声明を発表し「会社側の最終交渉案は、要するにこれまでの整理解雇の方針を強行するという意味だ」として会社側の提案を拒絶した。組合側のイ・チャングン企画部長は「政府が直接問題の解決に乗り出すことを要求する」と訴えた。組合側が最終交渉案を拒絶したことから、同社役員や一般社員3000人はこの日の午後2時ごろ、正門前の駐車場で労働組合を糾弾するための抗議集会を開き、鉄製のフェンスを乗り越えて工場の中に入った。>
 これも面白い。「団結頑張ろう!」をやっているのが管理職だなんて。そして、
 <解雇対象ではない社員らが互いに腕を組んで非暴力を叫びながら強行突破を試みると、組合員らは鉄パイプを振り回し、生ごみを混ぜた汚水をまくなどして激しく抵抗した。この騒ぎで10人以上が鉄パイプに殴られて頭を負傷したり、骨折などで病院に搬送された。社員らは2時間かけて本館の建物前にたどり着き、「非暴力」「スト中断」などを叫びながら座り込みを行った。また、フォークリフトを利用して組合側が工場正門に設置したコンテナ四つを上に重ね、バリケードを取り払った。さらに午後5時ごろには社員らが外部から雇った300人と共に本館への進入を試みたが、組合員らが屋上から投石機でボルトやレンガなどを投げつけて激しく抵抗した。この時点で警察や機動隊は工場の外に21個中隊2000人以上を配置し、放送用機材やヘリコプターなどを利用して暴力を自制するよう訴えていたが、状況が深刻になると、双方の衝突を防ぐために工場内に3個中隊300人を投入した。組合員らは社員の本館進入を阻止することが難しいと判断すると、シンナーなどの引火性物質が保管されている塗装工場に立てこもった。900人以上の組合員らは塗装工場に鉄製の構造物を設置してバリケードを築き、社員が進入してきた場合にはシンナーに火を付けると脅迫した。塗装工場の中には6万リットル以上の引火物質が保管されているという。このため、役員や社員らは「組合員たちには28日まで考える時間を与える」として、塗装工場への立ち入りは当分見合わせることにした。>
 この状況描写は一気に読みたい。面白いなぁ、韓国って。首にならなかった社員と首になった社員で戦争ごっこをさせるんだ!
 <双竜自は組合員がストに突入した先月21日以降、工場の稼働が完全にストップして生産が途絶えている。そのため今月末の時点で1990億ウォン(約148億円)の損失が予想されており、販売代理店や部品を製造する下請け業者の多くが深刻な資金難に陥り、倒産の危機に直面している。>
 まあ、作っても売れないから、こんなことをして、生産ラインを止めていた方が利口かもしれない。

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2009年6月26日 (金)

「台湾統治証言の歪曲番組で精神的苦痛」:NHKを8400人が集団提訴~産経新聞6月26日朝刊

 産経新聞6月26日朝刊1面トップは<NHKを8400人集団提訴/「番組で台湾統治証言 歪曲」精神的苦痛/責務見失う公共放送>だった。提訴記事と関連記事を一緒にした見出しのようだ。

 まず、本記部分を見てみよう。

 <NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」に出演した台湾人や日台友好団体などから番組内容に偏向・歪曲があったと批判が相次いでいる問題で、視聴者約8400人が25日、放送法などに反した番組を見たことで精神的苦痛を受けたとして、NHKに計約8400万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。>

 <問題の番組は日本の台湾統治時代を取り上げたもので、4月5日に放送された。放送直後から「日本の台湾統治を批判するため、証言をねじ曲げている」などの批判が相次いだ。>

 <原告は訴状で番組について「取材に応じた台湾人の話を、一方的に都合良く編集して使っている」などと指摘。具体的には①台湾統治下の暴動を「日台戦争」と表現②「日英博覧会」でパイワン族の生活状況を実演紹介した企画を「人間動物園」と表現などを挙げ、番組にはやらせや事実の歪曲・捏造があり、放送法に違反する番組だった――などと主張している。原告には約150人の台湾人も含まれている。原告側は今後、出演した台湾人や友好団体の関係者の証人申請や出演者らがNHKに出した抗議文などの提出も検討している。また、東京、大阪、名古屋では放送に反発する地方議員や有識者ら有志が抗議デモを行った。>

 <NHK広報局は「訴状を受け取っていないのでコメントできない。番組の内容には問題がなかったと考えている」としている。>

 以下は[キーワード]的な言葉説明だ。

◆<「シリーズ・JAPANデビュー」=NHKによると、近代国家を目指し世界にデビューした日本がなぜ国際社会で孤立し敗戦を迎えたのかを考え、未来へのヒントを探るのが企画の狙い。テーマは「アジア」「天皇と憲法」「貿易」「軍事」の4つで、うち「アジアの“一等国”」は、その第1回。近代日本とアジアの原点を台湾統治に探る内容としている。>

 関連記事も多い。

 まずは同じ日の3面トップ<NHK集団提訴/「日台戦争」「人間動物園」負の側面強調/造語・異説 軸に構成>である。

 <集団訴訟が提起されたNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」。NHKはこれまで放送内容には問題はなく、偏向もしていないと強調している。しかし、8千人を超える原告の数は今も増え続けており、第2次提訴も検討されている。一体、番組のどこの部分が問題とされているのか。>

 という前文で、新聞には◆の小見出しは入っておらず、ネットだけに入っていた。

◆日台戦争

 <《日本軍に対し、台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に広がり、のちに「日台戦争」と呼ばれる規模へと拡大していきます》>
 <台湾と日本の間に戦争の過去はない。出演した台湾人からも「先住民族の抵抗なら治安の悪化だ」「戦争は言い過ぎ。NHKの誤り」などと抗議があがっている。>
 <NHKは「日台戦争」という言葉について、日本の大学教授らが使っていると根拠を挙げた。しかし、「平成に入って用いられた造語。確かに『日台戦争』という言葉を一部の大学教授が使っているが原典は戦争の定義もしておらず、治安回復のための掃討戦に過ぎない」(日本李登輝友の会関係者)という。>

◆人間動物園

 <《イギリスやフランスは博覧会などで植民地の人々を盛んに見せ物にしていました。人を展示する「人間動物園」と呼ばれました》>

 <NHKは、1910年の日英博覧会のパイワン族の写真に、「人間動物園」の文字をかぶせた。フランスの学者、ブランシャール氏の共著「人間動物園」などを参考にしたという。>
 <しかし、当時イギリスやフランスでそうした言葉が使われていたのかどうかは明らかにしていない。また日英博覧会には、パイワン族だけでなく、日本の村やアイヌの村、力士も参加していた。>

 <これを今も栄誉としている村もあり、「日本政府がパイワン族の実演を『人間動物園』と呼んだことはない」(訴状)、「パイワン族に対する人権問題」(出演者)と訂正を求める声が出ている。>

 <番組放映放映直後から、「日本の台湾統治の悪い面ばかりを強調している」「明らかに制作者側の悪意が感じられる」などの声が続出。「後藤新平を弾圧差別の首謀者として描くなど総じて台湾統治の負の側面をことさらに強調しており、わが国を不当に貶めた番組」だという怒りも。>

◆経営委員からの疑義

 <NHKは膨大な資料と関係者への取材を踏まえた番組で事実に基づき、問題はないとホームページで説明している。しかし、5月26日のNHK経営委員会では小林英明委員(弁護士)が「日本と台湾の間に戦争がなければ、そのような内容を放送することは放送法に違反する」「学会で多数説でなく、少数説や異説なら、そう説明するのが正しい放送では?」と問う場面があった。>

 <日向英実放送総局長は「一説とは考えていない」と答え、多数説なのかは、次回へ持ち越されることになった。経営委員会内部では個別の番組の是非を論じるのを差し控える空気もあるようで、小林委員の意見に他委員が「そういう意見が経営とどう関係しているのですか」とクギを刺す一幕もあったという。>

 このほか、同じ3面には<パイワン族 質問状提出へ>の2段記事と<台湾民間団体がNHKに抗議書>のベタ記事がついていた。ベタ記事だけネットにあったのでコピペしておく。

 <【台北=山本勲】台湾の民間団体「友愛グループ(台北市、陳絢暉会長)」は22日、NHKのドキュメンタリー番組「アジアの“一等国”」(4月5日放映)がグループ関係者の発言を偏向報道したとして抗議と訂正を求める文書を福地茂雄会長あてに郵送した。友愛グループは戦前の台湾で日本語教育を受けた世代を中心に「美しく正しい日本語を台湾に残そう」との趣旨で1990年代初めに発足、勉強会などの活動を続けてきた。>

 <同グループによると、NHKはインタビューした元メンバーの柯徳三さんら友愛会関係者の発言中、日本を批判した部分だけを放映し台湾の人の心と日台関係を傷つけたという。>

 このほか、1面に安藤慶太記者の解説が掲載されていたが、ネットでみつからなかったので、書かない。

 大きな問題になってきたようだ。

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ソマリア沖の海賊に企業6社が身代金支払い~朝日新聞6月26日朝刊

 ソマリア沖、アデン湾の海賊問題で、日本企業が海賊に身代金を支払っていたことが分かった、というニュースを朝日新聞6月26日朝刊1面トップで扱っていた。藤えりか記者の署名記事。えりかというから女性記者なのだろう。

 見出しは<日本企業 海賊に身代金/船長が電話「殺される」/会社「命に代えられぬ」/ソマリア沖で6件 当事者が証言>だった。

 [日本企業が関係する船がソマリア周辺海域で乗っ取られた例]の一覧表と地図がついていた。

 本文を見てみよう。

 <海賊事件が相次ぐアフリカ東部ソマリア海域で、日本企業の関係する商船の乗っ取り被害の実態が明らかになった。2007年秋から約1年で6件発生。うち1件の当事者が社名や日時、身代金額などを伏せることを条件に、報告書や実際の交渉を基に詳細を語った。>

 という前文。秘密のベールに包まれていた海賊との取引を暴いたところがニュースなのだろう。前々から身代金を払っていることは内々の秘密だったらしい。政府も承知しているのだが、これが表に出ると、他国からの批判にさらされたり、海賊の身代金要求をさらに増長させるのではないか、という配慮から伏せられてきた、というのが実情らしいのだが、あえて内情を暴露した企業が出てきた、というのである。

 <北アフリカの都市、人々が行き交う昼間の雑踏。アタッシェケースを携えた外国人男性が何げない様子で辺りを見回した。別の外国人男性が近づき、すれ違いざまにケースが渡された。中身は米ドルの現金。日本の海運会社が工面した身代金だ。貨物船を海賊に乗っ取られた代償だった。>

 迫真の場面なのか。

 <「そちらの船から救難信号を受信した」。この海運会社に北欧の救難部隊から連絡があったのはその何十日も前の午後だった。貨物船は東南アジアから欧州へ向かう途中、ソマリア沖を進んでいた。乗組員はアジア国籍などの数十人。役員らは船に電話したが通じない。「やられたな」。弁護士や危機管理コンサルタントと対策を練り始めた。>

 「やられたな」という反応だろう。今までは国民を守るべき日本政府は重要な輸送路を行き来する船の安全保障を企業に丸投げしてきた。というよりも、国は知らんふりをして、被害に遭おうが、見て見ぬふりを繰り返してきた。しかし、ここにきて、ようやく海賊退治のための法律ができた。

 <米海軍からも連絡があった。貨物船の後ろに小型船2隻がつながれていたのを見つけ、「攻撃していいか」。海運会社役員の声はうわずった。「やめてくれ。危険物を積んでいるから危ない」>

 そうなのだ。LPガスや化学薬品を積んだ船がスエズ運河を通って欧州と日本を行き来する。そのルートを海賊が襲うのである。

 <海賊は船をソマリアの首都モガディシオ付近に停泊させ、「ものすごい金額」(役員)を要求してきた。通信手段はすべて壊され、海賊は持ち込んだ衛星電話を使った。「銃を突きつけられている。早くしないと殺される」。電話の先で船長がうめいた。>

 昔、モガディシオ戦線という団体が暴れまわったことがあったことを思い出した。

 <後で聞いた話では、船の後ろにはしごをかけられ、銃などを携えた海賊8人ほどが乗り込んできた。乗組員は1カ所に集められて監視された。>

 まるで、カリブの海賊たちだ。

 <身代金の額をめぐり、海賊との綱引きが続いた。だが次第に貨物船の燃料が少なくなり、生活電源も乏しくなってきたことに我慢できなくなった海賊が金額を減らし、折れた。「お金で本当に解決するのか悩んだが、命には代えられないと思った」と役員。間もなく乗組員は解放された。>

 悩むだろうが、日本政府の方針が戦いではない以上、カネで解決するしかない。このリスク負担はすべて企業が被る。保険に入っているとはいえ、このリスク負担は物価に上乗せされ、日本の消費者が最終的に負担することになるのだろう。

 <国交省の統計では、ソマリア周辺海域で「日本関係船舶」が乗っ取られた例は1件。しかし、日本船主協会によると6件になる。国交省の統計が日本企業が直接所有あるいは運航する船に限るためで、実態は、税制面で有利なパナマなどの子会社を通じて船を所有するか、運航会社が日本企業でないことも多い。>

 便宜置船といわれるものだ。日本の船なのだが、税の優遇措置を受けるためにパナマ船籍にする。日本の大会社が本社をタックスヘイブンの国に置き、日本の税金を免れているのと同じ構造だ。

 <しかも当事者は「支払いが明らかになれば狙われやすくなる」と口をつぐむ。海賊の狙いはもっぱら身代金。6件とも人質は解放されており、「身代金の支払いを意味する」(大手海運会社幹部)。>

 そうなんだろうなぁ。身代金を支払ったから解放されたので、支払わずに解決できた例などないのだろう。

 <身代金の相場は100万~200万米㌦(約9600万円~約1億9000万円)とされる。誘拐犯との交渉や人質救出で企業に助言をする英国系危機管理会社の元日本法人社長、山崎正晴氏によると、2000年ごろ多発したマラッカ海峡の海賊の約10倍。2500万米㌦(約24億円)を要求された例や、支払額が300万米㌦(約2億9000万円)に上った例も報道される。>

 マラッカ海峡の時代から10倍になった、と。ぼろもうけだ。

 <身代金の高額化でかさばるため持ち運びが難しくなり、最近の受け渡しは空輸が主流だ。海難時の緊急物資運搬用のパラシュートに米ドル現金入りケースをくくりつけ、ヘリから船に落とす。ある海運関係者は「交渉費用なども含め、被害に遭えば10億円近くが吹っ飛ぶ」と話す。>

 こういう負担をしながら、無資源・貿易立国ニッポンは生きているのです。内需を振興して、農業製品をアジアやヨーロッパに輸出できるようにしたいものだ。

 朝日新聞はこの記事の隣に<被害急増、今年125件>というまとめ記事を掲載していた。

 国際海事局(本部・ロンドン)によると、ソマリア沖海域での2008年の海賊被害は未遂を含め111件で、うち乗っ取られたの船は42隻。今年は6月1日までに被害が125件、乗っ取られた船は25隻を数え、増加傾向にある。しかも、海自の護衛艦は2隻で、貨物線の航行日程と合わない場合も目立つ。「護衛対象が広がれば、肝心の日本の船が漏れてしまうのでは」(海運関係者)との懸念も広がる、とある。

 <そこで、日本の海運会社の一部が利用するのが、英国の危機管理コンサルタント会社のサービスだ。貨物船がソマリア周辺を通る時だけ英軍特殊部隊の出身者らを乗せる。海賊の監視や緊急対応が主な役割だが、「万一乗っ取られたら人質になるため、英海軍が救出に動いてくれる」(海運会社役員)との期待がある。>

 この英国の会社について、独協大学の竹田いさみ教授は「海賊とグルになっている可能性もある」と見ている。社団法人アジア調査会のアジア研究委員会で研究報告した内容を掲載した月刊誌アジア時報2009年6月号の「ソマリア海賊の現状と課題」 に詳しいが、英国にしてもフランスにしても、国際紛争慣れしているから、何でも商売にする根性があるようだ。

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鷲田清一氏の臓器移植問題の見解、勉強になった~「あらたにす」09年6月26日

 臓器移植問題は難しい。先に毎日新聞6月21日朝刊の[社説ウオッチング]で各社の社説を比較していたことを取り上げたが、その中で地方紙の社説が中央紙に比べて「脳死は人の死」という新しい「死の定義」を「時期尚早」とする論が多い、とあったことが印象に残っていた。

http://mainichi.jp/select/opinion/watching/news/20090621ddm004070026000c.html

 [社説ウオッチング]では、ニューヨークやワシントンD.Cのような開明派の都市と中部地区の保守の岩盤で大きく民意が違っているように、日本でも都市住民のテレビなどのマスメディアに影響されやすい、つまり、地域の絆から発想する地に足の着いていない国民と、いまだに地域的なコミュニティーが残る地域の国民との間に差があるのではないか、という仮説を提起していたのが面白かったのだが、朝日新聞、日経新聞、読売新聞3紙が共同運営するサイト[あらたにす]の<新聞案内人>は6月26日、哲学者で大阪大学総長の鷲田清一氏による<臓器移植法『改正』をめぐって>というコラムを掲載、考えさえる内容だった。

 鷲田氏らしく、死生観の問題正面から対峙し、法案の遅れは国会の責任だけでなく、国民の責任だが、時間を区切って拙速で決める問題ではない、と結論付けていた。正しい結論だと思う。

http://allatanys.jp/B001/UGC020005320090626COK00327.html

 鷲田論文を読んでみよう。

 <臓器移植法の改正が、衆議院で採決された。委員会での議論は9時間にも満たないものだったと聞く。あまりにも大きな問題がここには含まれており、ここで許される紙幅ではその全体について一つ一つ論じることはできないが、現時点でとにかく確認しておかねばならないと思われる点についてのみ記しておきたい。>

 そういうことだと思う。

 <今回改正されたのは、11年半前に採択された臓器移植法である。これはその3年後に「見直し」をするとしていたが、じつはその後現在までたなざらしにされてきたものである。その問題性については最後に書く。>

 そういうことだ。

 <今回の改正点でもっとも重要なことは、まず、「死の定義」が変更されたことである。現行法では、本人と家族の両方の同意があるときにかぎり、脳死となった人を死者とみなし、臓器を摘出できるとしている。これはつまり、移植を前提としたときのみ脳死は人の死とされるとするものである。しかも15歳未満の子どもからは臓器摘出できない。今回それが「改正」された。一律に「脳死を人の死とみなす」とされたのである。>

 今回の騒ぎのポイントである。

 <こうした「改正」を待望する背景には、移植待機患者をどのようにしたら解消できるかという問題がある。小児の場合には、現在のところ海外での渡航移植しか手がないということもその背後にある。臓器提供の条件の緩和ということが、現行法改正の主眼点になっているのには、こうした差し迫った事情がある。>

 客観的事情だ。

 <これに対して「改正」に慎重である人たち、あるいは反対する人たちが深く危惧するのは、技術的な問題と「そもそも」の問題とである。>

 二つの大きな問題があるのだ、と。

 <技術的な問題というのは、小児にはしばしば長期脳死というケースも見受けられ、実際の脳死判定が極めて難しいということである。これに論理的な問題をも付け加えるならば、仮にもし小児についても精確な脳死判定の方法が確立したとしても、それはあくまで「脳死状態」の確定にすぎず、それで「死」であるかどうかは別の問題である。>

 そういうことなのだ。判定だって人間がやること。一定の基準を作って、それに合致するかどうかを判定するのだが、あくまで今段階の科学技術をもとにやるのだから、10年後だったら「死」と判定されないものが「死」の判定を受けることだってある。

 <さらにここからは、技術的な問題を超えて次のような問題も出てくる。昨日まで元気だった小児が、事故や病気で突然、脳死状態になった場合に、果たして、その家族に冷静で沈着な判断ができるのかという、これまた大きな問題である。>

 ここである。新聞の社説や雑誌の論文でもあまり出てこなかった問題だが、もしかすると、最も大きな問題なのかもしれない、と思っている。

 <「そもそも」の問題というのは、他の患者からの臓器提供を期待する、つまりは他者の「死」を前提とするような医療が、そもそも医療として適切なものかどうかという問題である。実際、わが国の難病、心臓病、人工透析患者を救うには、それに見合う怖ろしい数の脳死者が必要となる。が、本当は交通事故の防止対策と、より充実した救急医療体制の確立によって、そうした脳死者の増加を(待望するのではなく)防ぐのも、わたしたちの社会に迫られたもう一つの課題であるはずである。>

 そうなのだ。人の「善」はその方向で進むべきである。

 <このように、一方には、何としてもこの人、この子の命を救いたいという、待ったなしの切なる要請がある。他方には、何としてもこの人、この子の死を、十分納得したうえで認めたいという思いがある。あるいは、納得できないまま、長期脳死状態にいる人の傍らで懸命に生きている家族の姿がある。臓器移植が医療の課題であるとしたら、それは、そもそもこうした二律背反に引き裂かれざるをえないものである。>

 臓器移植というのが適切な医療法なのか、とは書いていないが、その問題を突きつけているのだと思う。私は他人の死を待ち焦がれるような医療は人間性に反する欲望ギラギラの医療であり、それはもはや医療の名に値しないと思っているのだが。

 <言い換えると、それらは両立しがたい要請である。それはまず「時間がない」と「時間が要る」との背反だからである。それはまた、単なる臓器の問題ではなく、いずれも互いの要請に反する形で「だれ」という名を持ったかけがえのない存在を(それぞれ反対方向から)護ろうとしているからである。>

 脳死者だってかけがえのない存在なのだ、と。鷲田氏はそうはっきりとは書いていないが、視点は脳死者ではなく、その脳死者を慈しみ、思いやる他者に向かっている。脳死者の「死」がその他社をいかに悲しませるか、喪失がどのような思いを生むか、を考えているように思えるのだ。

 <臓器移植という先端医療は、このように二つの生命のどちらかを二者択一しなければならない状況を生み出している。あるいは「人としての幸福」への希求と「人としての尊厳」という倫理的要請とがここでは二者択一という対立関係に入っている、と言い換えてもよい。>

 そういうことなのだ。

 <臓器移植法改正の前と後にある二つの重大な問題を、次に指摘しておきたい。>

 として、

 <まず事後の問題として危ぶまれるのは、これにより脳死が一律に人の死とみなされることによって、今後、移植を前提にしない治療でも脳死判定し、死亡宣告できるという事態が起こりうるということである。人の死が法律によって規定されることによって、本来、こうした医療従事者のうちにあるはずのジレンマが解消されてしまわないかということを、わたしは怖れる。>

 これは大きな問題なのだ。

 <つまり、「このことで、失われゆくひとつの命が救われるのだからやむをえず」という、脳死者の臓器を待望してしまうまさにその苦渋がしだいに薄まり、「法律に則っているのだから問題はない」というふうに、その苦渋が免除され、「人としての尊厳」に無感覚になってしまいかねない、ということである。法律化されることによって、もやもやした倫理的な責めの意識が医療従事者からすっきり免除されることの方を、私は怖れる。>

 そこが問題なのだが、新聞記者には書けないことだったのだろう。ここまで踏み込んで書いていた社説はなかった。「死」が定義された瞬間から「死」は自分のものではなく、いわば国家に管理されたものになってしまう。

 <次に事前の問題としてわたしが指摘しておきたいのは、今回の衆議院での議論においては、現行法が制定されるまでの賛否両論の長い困難な議論が、十分に検証もしくは参照されなかったことである。これまで10年近く、現行法の「見直し」は放置されてきた。これが決定的な問題であろうと思う。>

 臓器移植法ができた時の苦渋。あれを思い出せ、と。[社説ウオッチング]にあったように、あの時から民意は大きくは動いていないのだ。

 <この議論には、そもそも先に触れたような二律背反が含まれている限り、全員が同意できる「正解」はあり得ない。あり得るとしたら、それは「納得」と言うしかないものである。>

 なるほど、「正解」ではなく「納得」しかないのか。そういう問題はあるだろう。離婚の例が出る。

 <例としては適切ではないかもしれないが、家裁の調停員をかつてやっていた知人の経験によれば、たとえば離婚の調停において、双方がそれぞれの言い分をとことんぶつけあって、「もう万策尽きた」「もうあきらめた」と観念したとき、まさにその時にかろうじて話し合いの道が開けるのだという。訴えあいのプロセス、議論のプロセスが尽くされて初め開けて来る道がある、と。「正解」がここに下りてくるというのではない。「理解できないけれど納得はできる」「解決にはならないけれど納得はできる」という事態が生まれるということである。>

 この辺、さすが哲学者だと思う。新聞記者にはこのような突き詰めたワーディングの追求はできなかっただろう。

 <「納得」ということは、果てしのない議論からどちらも最後まで降りなかった、逃げなかったということの確認の後にしか、生まれてこない。長くて苦しい議論、譲れない主張の応酬の果てに、そんな苦しい中で双方が最後まで議論の土俵から下りなかったことにふと思いが及ぶ瞬間に、初めて相手に歩み寄り、相手の内なる疼きを本当に聴くことができるようになる。>

 泥仕合をしないと、お互いを傷つけあい、罵り合って、自分の主張を泣き叫びながら声にしないと、納得は出てこないのだろう。

 <そういう「納得」をもたらすはずの時間、あるいはもたらすことに通じる時間を削除してきた。これがこのたびの「改正」に到るまでの、衆議院議員のみならず、わたしたち全員の、ほんとうの怠慢であったのではないだろうか。>

 さすがに哲学者という人種は考えが深いと思う。

 まずは参院で徹底審議をして、民主党や社民党の有志が主張するように脳死臨調を設ける、という方法が今のところ、無理のない道なのかもしれない。衆院解散で廃案になるのもやむを得ない。

 それにしても、[社説ウオッチング]にあったが、河野太郎氏らの多数派工作には驚いた。やるべきでないことをやった感じがしてならない。衆院議員一人一人が自分自身、深く考え、決断すべき問題に自民党総裁選並みの◎×方式で多数派工作していた、というのだから呆れてしまう。

 河野洋平衆院議長の花道として改正案を成立させたかった、という記事も散見された。「そんな問題じゃないだろう!」と思うのだが。

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2009年6月25日 (木)

岡崎久彦氏の戦略論は中央公論が分かりやすい~産経新聞6月25日[正論]+中央公論09年7月号

 岡崎久彦元駐タイ大使が産経新聞6月25日朝刊[正論]に<米知日派を再び挫折させるな>のタイトルで寄稿していた。小見出しは≪キャンベル氏らの友好姿勢≫≪日本は同盟寄与を考えよ≫≪集団的自衛権決着を期待≫である。

 この問題は中央公論09年7月号の特集[日はまた沈むのか――米中「同盟」の狭間に消える日本]で気鋭の論者がじっくり論じており、岡崎氏も孫崎享元防衛大学校教授との対談<漂流前夜/日米同盟の命運を徹底検証する>で面白い討議をしていたのを思い出す。

 まず産経新聞の岡崎氏コラムを読んでみよう。

 <オバマ政権は、日本に極めて好意的姿勢を示してくれている。それはクリントン国務長官指名の上院証言に既に見られたが、彼女が真っ先に訪問した国は日本、オバマ大統領が就任後初めて迎えた外国首脳は麻生総理であった。これは日米関係にとって画期的な出来事であり、日米双方の外交の成功だった。現にスタインバーグ国務副長官、キャンベル東アジア太平洋次官補はともにこれをオバマ政権の日本重視の証左として強調する発言を行っている。>

 オバマ政権の日本重視姿勢である。岡崎氏にすれば、カート・キャンベル氏らの言葉を額面通り受け止めたいのだろう。

 <しかし、当時の日本のマスコミはG20における中川財務相の挙措の粗相の方を大きく取り上げ、せっかくの米国の好意のゼスチュアを国民によく伝えなかった。これは日本のマスコミの品位を貶めるものであったと思う。1998年のクリントン大統領の訪中は、大統領のセックス・スキャンダル事件の裁判と日程を重ねて国民の関心をそらす意図が見え見えであり、またその趣旨の報道もあったが、それでもクリントン訪中の方が大々的に報道されていた。それが国家の利益、国家の威信に重きを置くマスコミとして当然の姿勢である。>

 クリントン大統領のセックス・スキャンダルが米国で燃え盛ったのがクリントン訪中時期だったのか。忘れてしまっていた。

 <それはともかく、オバマ政権の日本に対する好意的配慮は単にゼスチュアだけではなく、米国の今後の政策に重大な意味を持つ、東アジア担当の高官の人事に端的に表れている。米国人は欧米のことは分かってもアジアのことを分かる人は少ない。どうしても政策は東アジア担当の専門家の知識に頼ることになる。クリントン時代の前半、日米経済摩擦がひどかった時期、ホワイトハウス、国務省、国防総省の東アジア担当には中国専門家は居ても、知日派はただ一人も居ず、日本は取りつく島もなかった。しかし、今回は国防総省の東アジア担当は沖縄の海兵師団長を務め、日本を知っているグレグソン次官補であり、国務省の東アジア太平洋次官補には日米同盟重視のカート・キャンベル氏が新たに就任した。>

 昔のことを忘れるので、今の米政権内の人数だけで数える習性がついている。そうなると、中国派が多い、という話になる。

 <日本にとって結構な話である。そこで、今度はその代わりに日本に何ができるかということである。実は昨年、パシフィック・フォーラムなど4団体は50名以上のアジア専門家の参加するセミナーを4回共催して、その結果をオバマ政権の新アジア政策提案として、今年2月に公表した。キャンベル氏はその報告書作成に指導力を発揮したと伝えられる。その中で、enough!(もう沢山だ。聞き飽きた)と言っている個所がある。アメリカは日米同盟にコミットしているのだから、何時までもジャパン・パッシングなどと、うじうじ言っていないで、日本が同盟に寄与ができる方策を、日本の方から考えるべきだ、と言っているのである。実は、キャンベル氏は民主党系では数少ない知日派の一人として、クリントン末期以来日本の政財界挙げてのキャンベル詣での煩雑さには辟易したといわれる。しかし、今回の彼の上院での質疑応答では、そんな些細なことは気にかけるふうもなく、米国のアジア政策の中心は日米同盟にあり、そのことを日本の友人たちに保証すべきだ、と断言している。>

 キャンベルは信頼できるのだ、と。

 <ブッシュ政権発足直後、アーミテージ国務副長官日米同盟強化のために次官級の戦略対話を提唱したが、当時の日本側の外務省はそれに効果的に対応できず、氏は失意のうちに去った。それに反して後任のゼーリック氏は米中次官対話を始め、それは初回から大成功を収め、たちまちに中国はステイク・ホルダー(責任分担者)の地位を獲得した。>

 <今回も、キャンベル、グレグソン両氏の在任中に何とか日米関係を前進させようとする動きが先方からあると期待される。日本の政情では麻生内閣の後どうなるかは全く先が見えていない。それでもキャンベル氏が初訪日するころはまだ麻生内閣であろう。その短い期間であっても、オバマ大統領の新体制と有意義な意見交換をして、今後の日米同盟強化の路線を、一部なりとも、敷いて残してほしい。さもないと折角のキャンベル、グレグソン、更には、ジョーンズ、クリントン、ゲーツ各氏のチームが対日関係について早々に挫折感を持つ結果となることを恐れる。日本がしなければならないことの焦点も定まってきた。>

 キャンベルの来日まで、がひとつの目標なのだろう。

 <最近の米国の知日派の発言を見ると前は遠慮していた集団的自衛権の問題解決への期待をはっきり言うようになってきた。次は日米同盟の抑止力維持のための日本の防衛力強化である。日米間の当面の懸案は基地再編であるが、これは沖縄の現地事情が複雑に絡まる問題であり、中央政府の施策でどうにもならない面もあり、見通しは不透明である。その解決のために努力をすることは当然であるが、そのために、より基本的な集団的自衛権や防衛費増額の問題を後回しにすべきではない。>

 集団的自衛権問題は簡単なのだと思うのだが、どうして皆そう難しく考えるのだろう? 内閣法制局の人事権は今度は大きな意味では官邸が持つことになるのではないか。そうすれば、集団的自衛権を認めるべきだ、という考えの優秀な官僚を担当部長や次長、長官に据えればいいのではないか。

 何か、神学論争のようにマスメディアや学者たちが勝手に仕立て上げている感じを受けるのだ。

◆中央公論の孫崎享×岡崎久彦対談

 中央公論の対談は面白かった。この二人は上司と部下の関係にあった。考え方は逆である。岡崎氏は保守親米派。孫崎氏はどちらかといえばリベラルで自主独立・多国間協調主義者のように見える。

 孫崎氏の近著「日米同盟の正体――迷走する安全保障」(講談社現代新書、2009年3月20日刊、798円)の「おわりに」で孫崎氏は、

 <筆者は外務省で分析課長と国際情報局長の二つの任についた。岡崎久彦氏と筆者の二人がこの二つの任についた。かつ筆者は岡崎久彦氏の局長時代の分析課長である。あるインターネットのサイトに孫崎は岡崎氏の子分であると書かれていた。人的繋がりではそうである。しかし本書を読んでいただいた読者には十分におわかりの通り、二人の主張点は両極にある。じつはこの傾向は岡崎久彦氏の局長、筆者の分析課長のときにすでに存在していた。当時、筆者は分析課長としてはまずまずの仕事をしていたと思う。ある時岡崎氏が私を呼んで、次のように述べた、「じつはある人間が『岡崎局長、あなたは、孫崎はちゃんとした仕事をすると言っておられますが、彼はとんでもないハトですよ。タカ派で鳴らすあなたの懐にハトが隠れているのです』と言いに来た。それで自分は言っておいた。ハトでもタカでもいい。何かの見解を持つのに十分な勉強をし、しっかりした論拠を探す努力をしているならそれでいい。皆、その努力をしていますか」>

 というエピソードを紹介していた。お二人はそういう関係なのだ。

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書) 日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)

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 それを前提にして、中央公論の対談を読むと、岡崎氏の駄々っ子のような「それでも正しいことは正しいんだ」という主張をいなしながら、考えに考えた孫崎氏がポツリポツリとしゃべる言葉の重さが伝わってくるのだ。

 つまり、岡崎氏の戦略論は非常に単純なのだ。つづめて言えば次のようになる。

 <僕の戦略の目的は単純だ。日本の国民の安全と繁栄だ。どんなことであろうとも、日本の国民の安全と繁栄を犠牲にはできない。政治家や国際政治学者である以上は、国民の安全と繁栄が損なわれてもいいという理論は成立しようがない。安全の中には自由と独立が入る。といっても、ちょっとアメリカに肩を張って独立だなどという甘っちょろい話ではない。たとえば、冷戦時代、ソ連に占領されたら自由も独立も何もない。そういう国家の根源的安全が守られなければならない。そのための戦略は何か。七つの海を支配しているアングロ・アメリカン世界との協調、明示開国以来これ以外に絶対ない。日英同盟とその前後の30年間、それから日米同盟の半世紀以上、これが日本が全く安全で繁栄した時代だった。約400年間も世界の海洋を支配しているアングロ・アメリカン世界と同盟しない限り日本の生命はない。僕の戦略はそれだけ。だから、僕のコメントは、すべてこの基準から出てくる。>

 そういう基本路線をふまえて、この対談で岡崎氏は①防衛費を増やす②集団的自衛権を認める――とする。孫崎氏がオバマ政権の言う通り、アフガンに派兵すると世論が反対すると言うと、

 <世論が全員一致して真珠湾攻撃を成功と考えた時期がある。その場合でも攻撃は失敗だった。僕は真珠湾は明治以来の大戦略に反するから反対なんだ。1588年以来のアングロ・アメリカンが覇権を握った世界と、それから1853年にペリーが来て以来の日本とから導き出される大戦略に対しては、それぞれの時点でもって世論がどうのこうのなど関係ない。>

 と意気軒昂なのである。

 細かい点を詰めようとする孫崎氏に対し、最後に岡崎氏は、

 <あまりローカルな問題は考えなくていい。大原則を考えればいいんだよ。大原則は日本国民の安全と繁栄なんだ。そのためには日米同盟堅持なんだ。その胆さえ維持できれば、何言ったっていいんだ。つまり日米同盟をあなたが言うみたいにアジアだけに止めておいて、中東へ行くのは反対だと。それでも日米同盟が大事っていうことさえわかっていれば、それでいいんだ。それがわかっていれば、必要によっては中東行きも支持する。どうしても必要なら。そうでしょう。そこまで国民は反対しない。要は戦略の基本に一本筋が通っているかどうかなんだ。

 と言い放って、対談は終わる。

 岡崎氏の戦略論の原点を見るようで目から鱗が落ちる。

 この対談を読み、その後、岡崎氏の様々な新聞、雑誌の論文を読むと、どういうコンテキストで発言しているのかが見えやすい。

 岡崎氏の論は日本人の対米ナショナリズムという重要な問題を避けて通っている感じもするのだが、戦略論とすれば基本的に「一本筋が通っている」というか、筋が通り過ぎている感じがする。

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早野透氏の[吉田茂の流儀]コラム、吉田を書かずに小沢を書いたのか?~朝日新聞6月25日朝刊

 朝日新聞6月25日朝刊オピニオン面[ザ・コラム ポリティカにっぽん]で早野透・本社コラムニストが<吉田茂の流儀/まねていいこと、悪いこと>のタイトルで論を展開していた。書き出しから、

 <戦後日本の屈指の政治家といえば、だれしもまず、吉田茂をあげるだろう。麻生太郎首相の祖父である。この10カ月の麻生政権をながめながら、とつおいつ吉田茂の流儀を考えてきた。>

 とあるように、政治評論家や政治ジャーナリストは麻生政権誕生で吉田茂を否応なく想起し、今の日本の状況を横目で眺めながら吉田を考えている、というのが、保守の論壇状況なのだろう。いくら年配の早野氏にしても、直接取材した経験はないのだろう、書く材料は家族や知り合いの思い出話を記した本などである。手にする本は「回想十年」が多いようだ。早野氏も「回想十年」からの引用を掲載している。また、政治記者、戸川猪佐武の「小説吉田学校」とその映画化されたDVDも今の時代にはすでに当時を想起させる資料になっていることが早野氏の文章で分かって面白い。戸川氏の小説には当時は①どこまで事実に沿っているか②見方が適切か――などの問題が提起されていた。小説が出た時代は進歩的文化人が論壇を席巻している時代だったから、「まとも」な政治研究者からは相手にされなかった、というのが当時の時代風潮だったように思う。早野氏の書き方を見ると、時代の大きな変化も分かる。

 早野氏の論のポイントは①吉田・鳩山が争った時代と今の日本政治の状況が少し似てきたのではないか②吉田の孫と鳩山の孫が総理大臣の椅子を争う状況で、2大政党とはいっても、戦争直後のあの時代のように、政界の流動化がありうるかもしれない③では民主党に政権が行くとどう変わるのか? 無駄遣いをなくす、くらいしか見えない④自民、民主は保守2党または保守とリベラルくらいの違いしかなく、政党の違いが見えにくい⑤吉田の汚点は指揮権発動をしたことで、その時の弁明と今回の秘書逮捕の際の小沢一郎氏の弁明と比べるとよく似ている(真似て悪いこと)⑥民主党の第三者委員会は指揮権発動という選択肢もありえた、と書いたが、吉田の指揮権発動は政権末期の破れかぶれで、これから政権を作ろうという民主党からこのような議論が罷り通っていいはずがない――というようなものだ。

 吉田にひきつけて吉田を語るのではなく、民主党の、というか小沢一郎氏の批判をしているだけに見える。

 このコラムを書くに当たって早野氏は井上寿一・学習院大学教授の「吉田茂と昭和史」(講談社現代新書、2009年6月20日刊、798円)を読んだとは思うのだが、井上教授がじっくりと分析した吉田政治の現代性についてほとんど触れていなかったのがその証左だ。

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 井上氏は吉田があの時代状況の中、「日本の独立」という至高の目的のためにしたくなかった米軍の長期駐留を受け入れ、農地改革にも応じ、天皇の地位の変更も受け入れたことを書いていた。国家目的を達成するために手段を選ばない政治家であればこそ、現代に意味を持つ、と言っているようにもみえた。特に、吉田の書簡集にある肉声をフルに使っていたのが印象的だった。

 それに比べて、このコラムは吉田を書いたのか、小沢を書いたのか? 早野氏に聞いてみたい。

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ユギオ59周年の6.25:李明博と言う人はすごい=緊張感がある韓国になった~6月25日の韓国各紙から

 日本の新聞は外国の報道については、日本人が関心を示すこと、つまり、ある程度大きな動きが起きないと報道しない癖がついているようだ。それに比べて韓国の新聞は朝鮮半島に関しては細かいことでもフォローする伝統がある。世界の動きに敏感なのだ。それを改めて感じたのが朝鮮日報6月25日日本語版ネットのホームページにアップされた<米上院議員「北朝鮮のテロ支援国家再指定を」/キャンベル国務次官補の指名承認に反対して要求>の記事だった。

 細かい話である。キャンベルの承認問題で上院の1議員が反対したというだけの事実関係なのだが、その背景などを考える際になくてはならない記事でもある。

 そもそもカート・キャンベルという政権内の知日派ナンバーワンの動向である。日本の新聞がもう少し興味を示してもいいのではないか、と思うのだが。

 ワシントン支局の李河遠特派員の記事を見てみよう。

 <米上院のブラウンバック共和党議員などが北朝鮮をテロ支援国家に再指定することを要求、キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)の指名承認に反対していることが分かった。これにより、キャンベル氏がいつ上院の承認を受けられるか不透明になり、北朝鮮の挑発行為に対する米国の政策樹立にも影響を与えるものと予想される。>

まあ、大袈裟だとは思うが、上院の中の雰囲気を表すエピソードでもある。ワシントンに駐在している特派員の中では常識かもしれないが、日本にいて朝鮮半島に興味を持ち、なおかつ日本の新聞から情報を得ようとしてる読者にとっては、こういう情報があるかないかで天と地の差が出てくる違いがあるから怖い。

 <ワシントンの外交消息筋によると、ブラウンバック議員らは最近相次いでミサイルを発射したほか、核実験も行った北朝鮮に対し、テロ支援国家再指定などの強硬措置を要求、キャンベル氏の上院での指名承認に反対の立場を示している。>

 キャンベル氏の人事を「人質」にとって、オバマ政権に北朝鮮への強硬策を迫っている、というのだ。

 <ある消息筋は「ブラウンバック議員は、クリストファー・ヒル前国務次官補(東アジア・太平洋担当)兼6カ国協議首席代表の融和的政策が北朝鮮問題をさらに悪化させたとみている。ブラウンバック議員はキャンベル氏と国務省から確固たる対北政策の約束を得られなければ、引き続き承認に反対する立場だ」と述べた。>

 これを見る限り、ブラウンバック議員という人はまともな人らしい。

 <キャンベル氏指名に対する反対を主張しているブラウンバック議員は、昨年4月にも米国務省が北朝鮮の人権問題について微温的だとして、キャスリーン・スティーブンス駐韓米国大使の承認に2カ月余りにわたって反対した。>

 2か月もかかったのか。

 <米国務省は来週から米上院が2週間夏の休会に入ることから、北朝鮮問題と関連した東アジア政策の円滑な推進のため、今週中に承認されることを望んでいる。米国務省と民主党上院指導部は、水面下で北朝鮮問題に対する象徴的な決議案の採択などの妥協案を示し、ブラウンバック議員を説得していることが分かった。米上院は、一部議員が特定指名者について承認に反対した場合、すぐに表決せず承認を先延ばしして、満場一致で通過させることを慣例としている。>

 大使や大使に準じる地位は日本だったら天皇が認証する国家の代表者であるから、米国でも「全会一致」というセレモニー的な形式をとっているのだろう。

 それにしても、こういう共和党議員の主張が共鳴されているのかどうか。議会の中の広がりがあるのかどうか。もっと詳しい事情を知りたくなる。

 でも、それにしても、オバマ政権の北朝鮮政策はなかなか固まらないだろう、と思う。あっちに行ってこっちに行って、結局は融和策になる、という感じを受けているのだが、どうだろうか?

◆北朝鮮と韓国の戦力比較……朝鮮戦争59年の記念日に寄せて:中央日報

 中央日報6月25日の日本語版ネットに<韓国海軍・空軍の戦闘力、北朝鮮より圧倒的優位>という記事が掲載されていた。何といっても6月25日は朝鮮戦争開戦の記念日である。その関連記事として、担当記者がまとめたものらしい。読んでみよう。

 <1950年6月25日、北朝鮮軍はT-34戦車を前面に立て、38度線を越えてきた。北朝鮮人民軍を阻止するための鉄柵も、木柵も、塹壕も打ち破って潮のごとく攻めてきた。しかし、韓国軍が保有した兵器のうち北朝鮮軍の戦車を壊せるものは何もなかった。唯一の方法は戦車の上に飛び上がって、ハッチを開け戦車の中に手投げ弾や火を付けたガソリンの瓶を投げ込むことだけだった。>

 日本に高度経済成長をもたらした朝鮮戦争だ。

 <韓国戦争(1950~53年)の勃発から59年を迎えた。戦争が勃発する前に韓国軍はほぼ素手も同然だった。韓国戦争当時に韓国軍は総兵力10万3827人と8師団の陸軍を保有していた。海軍と空軍は航空機32機と戦闘艦1隻がすべてだった。これに比べ北朝鮮軍は総兵力20万1050人と重武装した10師団で韓国を攻撃してきた。また野砲600門、航空機196機、哨戒艇16隻と魚雷艇を保有していた。>

 韓国は貧しかっただけでなく、統治のあいまいさが米国をはじめとする西側社会で正統性を勝ち得ておらず、李承晩政権は漂流状態だった。

 <韓国軍と北朝鮮軍の師団を比較してみると、韓国軍がどれだけ貧弱だったかがよく分かる。双方の師団数はそれほど変わらなかったが、戦闘力は韓国の師団が絶対的に劣勢であった。韓国軍師団の主要火力は81㍉の迫撃砲36門、60㍉の迫撃砲81門、105㍉の曲射砲15門程度だった。これに比べ、北朝鮮軍師団は120㍉の迫撃砲が18門、同82㍉81門、同60㍉108門と、野砲は122㍉の曲射砲が12門、76㍉の平射砲と曲射砲が48門などだった。しかも、北朝鮮軍の野砲は射程が11~13㌔だが、韓国軍の野砲の射距はわずか6.5㌔にすぎなかった。>

 密かにソ連、中国を訪問して「統一戦争」へのお墨付きを得た「輝ける金日成」の鍛錬のたまものだったのだろう。

 <専門家は「当時、北朝鮮軍の師団が韓国軍より10倍の戦闘力を持っていた」と評価した。ここに北朝鮮軍はT34などで武装した独立機甲連帯と機甲旅団の支援を受けた。これに基づき、北朝鮮軍はわずか3日でソウルを陥落させ、洛東江まで占領した。>

 洛東江は釜山の北西を流れる川だ。

 <米軍を中心にした国連軍の介入がなかったならば、洛東江戦線すら構築できず、韓国は韓半島から消えたかもしれない。>

 マッカーサーの仁川上陸作戦が成功しなかったら、今は統一朝鮮が日本の隣に鎮座ましましていたことだろう。

 <しかし、59年が過ぎた現在、韓国軍は完全に変わった。2008年ベースで韓国軍の兵力は65万人で、北朝鮮の119万人を大きく下回るものの、戦闘力では劣らない、という評価だ。海軍と空軍は韓国軍が北朝鮮より圧倒的だ。イージス艦など韓国型の駆逐艦は受動システムの北朝鮮艦艇を先に発見し、正確に撃沈させることができる。1999年の第1延坪海戦当時に、海軍が圧勝、戦闘力が立証付けられた。戦闘機F-15KとKF-16などは北朝鮮の戦闘機よりはるかに強力だ。>

 海軍と空軍が優位にある、圧倒的優位にある、ということは、制空権を握れて、制海権も握れることだ。

 <延世大学の文正仁教授(政治外交学)は24日、空軍会館(ソウル大方洞)で開かれた第12回航空宇宙力国際学術会議で「北朝鮮の長距離弾道ミサイルが問題ではあるものの、核兵器さえ使わなければ通常戦争では韓国軍が勝利する」という見方を表した。韓国軍の名声は国際社会でも立証されている。イラクのザイトゥーン部隊とアフガンの茶山、東医両部隊が外国軍よりはるかに優秀な実績を見せ、模範となっている。>

 「核兵器さえ使わなければ」なのである。そして、韓国の人の大多数は北朝鮮が韓国に核兵器を使いっこないと思っている。

 私もそうだと思う。北朝鮮が核ノドンを発射する先は日本しかないのだ。

◆朝鮮半島59年の人間賛歌のお話~親子二代のお話:中央日報

 中央日報の次の記事は日本人読者にどういう思いを抱かせるのだろう? 6月25日のネット日本語版の<米将兵「父が守った韓国、代を継いで私が守る」>である。

< ソウル竜山の米第8軍司令部に勤務中のジェラディン・ボワーズ准尉(54、女性)の父は韓国戦争(1950-53)参戦勇士だ。 戦時中の1952年末、ヘリコプター整備兵として韓国に来た父のバーナード・シジェルさん(79)の後を継いで同じヘリコプター整備担当として服務している。1986年にチームスピリット訓練に参加し、韓国と縁を結んだボワーズ准尉は87年と2003~05年に在韓米軍で服務、2月からまた韓国に来ている。>

 <ボワーズ准尉は5段階に区分される准尉等級のうち最高のCW5。 米8軍操縦整備将校のうちCW5は彼女が唯一で、米軍全体でも女性のCW5は12人にすぎない。1977年に兵士として入隊し、81年に将校に任官した彼女は33年間にわたり操縦整備分野に身を置いた。 輸送ヘリコプターのUH-1Hをはじめ7機種に精通したベテランだ。在韓米軍で勤務しながらテコンドー2段、剣道1段を取得し、韓国の学生に英語とテコンドーを教えている。 今年テコンドー3段に挑戦する彼女は最近、韓国の児童に対するテコンドー指導の功労が認められ、議政府テコンドー協会から感謝牌を受けた。>

 <ボワーズ准尉は「韓国にはいい人たちがいるし、特に父が参戦した国なので、大きな愛情を抱いている」とし「2011年まで韓国勤務を延長した」と話した。ボワーズ准尉は「父は韓国戦争参戦を誇りに思っているが、娘の韓国勤務をもっと誇らしく感じている」と語った。韓米連合司令部によると、ボワーズ准尉のように韓国戦争に参戦した父や祖父を継いで韓国で勤務中の米軍将兵は70人にのぼる。>

 <シャープ在韓米軍司令官の父も1952年4月から1年間参戦している。 京畿道烏山の米第7空軍には35人(女性5人含む)が勤務中だ。第8飛行団支援大隊に勤務中のアラン・エニタ下士官(女性)と同じ部隊法務室のヒブラー・アマナ兵長、607航空通信大隊のダベンフォー・クリスタル兵長は祖父が参戦したケースだ。第7空軍303情報大隊のセンテノ・サンドラ上等兵は叔父が韓国戦争に参加したという。>

 <韓米連合司令部のキム・ジェウル公報室長は24日「祖父や父など代を継いで韓国に勤める米軍将兵は、部隊の同僚よりも強い責任感を持って任務完遂に最善を尽くしている」とし「韓国軍も、彼らのためにさまざまな文化体験の機会を用意している」と説明した。>

◆東亜日報はいい記事を載せていた:拉致被害者んほ救出にかかわる韓国での新聞広告

 東亜日報は6月25日の日本語ネット版に少しユニークな<「韓日が手を取り合い、北朝鮮を変えよう」 日本民間グループが韓国紙に広告>という記事を掲載していた。

 <数人の日本人が北朝鮮の日本人拉致と北朝鮮人権問題解決を呼びかける全面意見広告を25日付の東亜日報と朝鮮日報、中央日報に掲載した。ジャーナリストや学者、音楽評論家ら7人で構成された「意見広告7人の会」による同広告は、韓国の国民に送る手紙形式で「平和で繁栄した東アジアの実現と拉致問題の解決を同時に進めたい。韓日の両国民が手を取り合い北朝鮮を真の民主主義国家に変えるために立ち上がろう」と呼びかけた。>

 <「7人の会」は1977年に13歳で拉致された横田めぐみさん、その翌年に拉致された田口八重子(北朝鮮名=李恩恵)さんの家族写真もともに掲載し「強制的に拘束し、愛する人と引き離し、悪事への加担を強要する拉致は、最も悲惨な人権侵害だ」とし「拉致被害者を一人残らず救出し、故郷で待つ家族と再会させなければならない」と主張した。>

 <「7人の会」は今年4月、米ニューヨーク・タイムズ紙に「北朝鮮という名の地獄をそのままにしておくのか」というタイトルで全面広告を出し「私たちは、バラク・オバマ大統領が北朝鮮の人権弾圧への解決に乗り出すことを要請する」と訴えた。>

 <広告費は寄付によるものだ。2月末に広告費のための募金を始めてからわずか10日で目標金額が集まり、関係者たちも驚いたという。ニューヨーク・タイムズ紙の意見広告が国際的な反響を呼ぶと、韓国の有力紙にも広告を出すことを決め、さらに寄付を募った。これまで約1700人から集めた約1720万円が広告を掲載する資金になった。>

 <「7人の会」のメンバーでジャーナリストの有田芳生氏は24日「特に今年、日本政府が景気回復のため、国民に支給した1万2000円の定額給付金が大きな力になった」と話した。そして「北朝鮮の日本人拉致と人権問題解決に向け日本人として行動せざるをえなかった。日本だけでなく韓国の問題でもある」として韓国の国民の賛同を呼びかけた。>
 <「7人の会」は、02年9月の小泉純一郎首相(当時)の平壌(ピョンヤン)訪問直後、5人の拉致被害者が日本に帰国したことを機に、同年11月に活動を始め、12月にはニューヨーク・タイムズ紙に拉致関連の初の意見広告を出した。今回の東亜日報の意見広告では、自らを「北朝鮮によって拉致された日本人の早期救出を目標とする民間グループ」だと明らかにした。>

 <「7人の会」は意見広告を通じ△国連をはじめとする国際機関や国際機構へ北朝鮮人権問題を訴える△北朝鮮への人道的支援などが人権改善に貢献するよう努力する△韓日両国が拉致と人権情報を共有する△拉致被害者と北朝鮮政治犯収容所の実態調査を実施する――ことを提案した。「7人の会」は、拉致問題解決に向けた国際世論の喚起のために、次はル・モンドなどの欧州国家の有力紙にも意見広告を出す案を検討中だ。>

 こういう記事もきちんと読みたい。日本の新聞で。

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2009年6月24日 (水)

ハル・ノートを唯唯諾諾受けて戦わず、今以上の経済敗戦を経験するより、戦って負けて良かった、と総括した江藤淳氏が没後10年だそうだ~SAPIO7月8日号特集から

 小学館の雑誌「SAPIO」の7月8日号の第2特集[歴史を振り返れば現代が見える]は<没後10年いま蘇る 江藤淳の「遺言」>。いろいろな人が書いていた。文芸評論家の富岡幸一郎氏の<もしも江藤淳が健在であれば現在の日本をどう批評しただろうか>にあるように江藤は平成11年(1999年)7月21日自殺した。没後10年だ。時代の精神も体現せず、個としての三島由紀夫は将来忘れられるだろうと思う。大江健三郎も逆の意味で、後世の人々に忘れられるだろう。しかし、江藤淳はアラウンド還暦の私が死んだ後も輝きを増すだろうと思う。なぜならば、本当の意味でのナショナリズムを自らの生き方で体現した男だからだ。

 そのナショナリズム、上質の、本物のナショナリズムは時代に受け入れられず、保守の論客と珍重されながらも、晩年は自らの主張とは全く逆の世相が深まり、日本のどうしようもなさを嘆きながら病魔に苦しみながら、自殺したのだろう。

 富岡の原稿には江藤の言葉が引用されていた。書き写そう。

 <人が死ぬ如く国も滅ぶのであり、何時でもそれは起こりうる。

 <人間は、言語以外によって、世界を把握することはできない。映像に意味を与えているのも言語であり、すべての現象を、我々は言語で区切って認識している。だから、言語、特に母国語の教育は重要なのだ。どういう言語の枠組みで何を見るかということがはっきり把握できていないと、初めから終わりまで二次元的な、ミミズがはっているような認識しかできない。だが、少なくとも三次元、時には四次元的な把握をしなければ、国家社会、あるいは国際社会のすべてをひっくるめた人類の将来など考えられない。

 <日米戦争を”世界最終戦”と規定したのが、稀代の戦略家石原莞爾のおかした最大の誤りだったと、私はこのごろ考えるようになった。それは”最終戦”ではなく、”持久戦”(中略)であり、消耗戦である。つまり、じつはそれは”終わりなき戦い”なのである。>

 遠藤浩一・拓殖大学教授の<「親米」に溺れず「反米」を煽らず江藤が説いた「他者としてのアメリカ」>には、1996年に橋本竜太郎首相とクリントン大統領による「日米安全保障共同宣言」が取り交わされた。冷戦終結を受けて、対ソ軍事同盟という意味合いが強かった日米安保をアジア・太平洋地区の脅威に対処する条約にする、という実質的な条約改定だった、として江藤が、

 <世界の中でもっともパワーバランスが流動化しているアジア・太平洋地域において、その流動的な情勢にクサビを撃ち込んだところに、この再認識の重要性がある。>

 としたうえで、しかし、それは、

 <北朝鮮からミサイルが飛んでこようが、中国が新たに開発したミサイルを能登沖に落とそうが、こうした核の脅威に対しては米軍が対応するということである。それは、いいかえれば、日本は今回の再認識において日本の安全をアメリカの核能力に託し続けるという選択をしたことになる。

 と13年前に早くも日本の安全保障の致命的欠点をぐさりと指摘していた、とある。今書かれたと言われたら信じてしまいそうだ。

 杉原志啓・学習院女子大学講師の<無謀と知りつつ起たねばならぬ「戦」があるー―西郷隆盛を通して訴えた立国の源泉たる「精神気魄」>も面白い論考だったが、この中でも江藤の言葉が出てくる。

 <ハル・ノートを、あのまま受け入れていれば戦争をしなくてすんだでしょう。しかし、受け入れていても、戦争をして全部敗けたと同じ結果になるだけです。戦争をしておいたために、まだ日本はもっているのです。そのことを絶対忘れてはいけない。

 敗戦必至の戦いに突き進んだ西郷について、

 <人間には、最初から「無謀」とわかっていても、やはりやらなければならぬことがあるからである。>

 そして、江藤は今や日本は内側から崩れていくようだ、として、

 <(その)崩壊と頽落を、死を賭してそれを防ごうとした者どもがいたという事実そのものによって、国の崩壊を喰い止めなければならない。何故なら、このようにして死んでいった人々の記憶は、かならず後世に残るからである。死者たちの記憶を留めた後世が、何らの記憶すら持たぬ後世とは違うことはいうまでもない。ならば後世の記憶となるために死のう。

 江藤は西郷が「今、国を守らなければ必ず国は滅びる」という精神気魄ゆえに戦に踏み切った、と書いている、というのが杉原氏の解釈である。江藤は大東亜戦争でまたまた爆発したこの「曲譜」を今の日本人が忘れ去っていること、いやむしろ、必死に忘れたがり、目をそむけようとしていることに怒る

 <国民の気概、国、国民は一体何を求めて生きるのか――という根本的な問いを忘れて久しい。経済は悪いが、国民みんなが小金持ちになり、全部寄せると千兆以上の資産がある。だが、精神はゼロ以下になった。これが国なのか、という根本的問題に直面している。

 つまり、ひたすら無事安寧を希う「精神はゼロ以下」の日本。「戦」の文字すら恐れ、忌避する日本。国がらみの人さらいにあってさえ、手も足も出さぬ、の日本。亡き坂本多加雄氏も「遺憾ながらこの人間の世には暴力をもってしか解決できない事柄がある。ところが戦後の日本人は、そうした『』非常の変』=『戦』への構えからして『ゼロ』なのだ」というのだ。

 そして、江藤が昭和53年(1988年)から文芸時評をやめ、占領軍による言論弾圧の研究に入る。これが江藤の歴史に残る仕事なのだと思う。巧妙に仕組まれたGHQの検閲。検閲されていたことすら知らずに、僕らは少年時代を過ごしたのだ。富岡氏が引き続き書いている。長いタイトルは<言語を奪い、文化を殲滅し、歴史を改竄した占領期の「閉ざされた言語空間」が今もこの国を支配している>である。

 富岡氏は「江藤淳が挑んだのは米国の占領政策の実態を改めて白日のもとに晒すことで戦後史を民主化の歴史として見るようなイデオロギーが徹底して偽物であり、日本人の自己欺瞞であることを暴き出すことであった」として、江藤氏の、

 <なぜ”戦後史”は”敗戦史”であってはいけないのか? そしてそれが敗戦史であれば、この歴史は、獲得したものの歴史というよりはむしろ喪失の歴史であり、建設の歴史というよりはむしろ崩壊の歴史としてとらえたほうが、一層正確な実像を表すのではないだろうか。

 戦後史を「喪失の歴史」「崩壊の歴史」として捉え直す時、初めて見えてくるものがある、それは戦後史がタブーとしてきた現実を明らかにすることだった、と富岡氏は書く。

 江藤氏の言葉のデフォルメだろうか。富岡氏は、

 「この『喪失の歴史』を日本人は直視せずに「『民主主義』と『自由』と『平和』という空虚な観念によってごまかし続けてきた。経済的繁栄という物質の虚構によって自らを欺き『戦後』体制によって利益を得てきた国内の様々な勢力は、このタブーをタブーとして意識化し自覚することを、あらゆる手段を講じて阻止してきた。政治・教育・文化等のあらゆる分野にわたる”戦後利得者”たちは『日本』が『日本でない国』となろうが一向に構わない。そして、その『利得の構造』は米ソ対立という冷戦構造によって支えられていた

 と書いている。江藤氏の著作に入れてもおかしくない文章だろう。

 この続きのように江藤は言う。

 <今日の日本に、あるいは”平和”もあり、”民主主義”も”国民主権”もあるといっていいのかも知れない。しあし、今日の日本に”自由”は依然としてない。言語をして、国語をして、ただ自然の儘にあらしめ、息づかしめよ。このことが実現できない言語空間に”自由”はあり得ないからである。

 <日本の読者に対して私が望みたいことは、次の一事を措いてほかにない。即ち人が言葉によって考えるほかない以上、人は自らの思惟を拘束し、条件づけている言語空間の真の性質を知ることなしには、到底自由にものを考えることができない、という、至極簡明な原則がそれである。

 これらの言葉は「閉ざされた言語空間」の中の言葉だ。

 「閉ざされた言語空間」は1989年文芸春秋刊。文春文庫になったが、品切れ中らしい。ちくま学芸文庫の「江藤淳コレクション1」には全文ではなく、抄録が載っているそうだ。

 昔の昔「1946年憲法ー―その拘束」は読んだと思うのだが、覚えていない。1980年文芸春秋刊だが、私は文春文庫版で読んだ。当時はあまり、そういう問題意識がなく、面白くなかったことを覚えている。

 江藤淳しの言葉は過激に聞こえても、それがナショナリズムだ。ナショナリズムを怖がりすぎるため、ナショナリズムを押さえつけすぎると、噴火した際のマグマはものすごく大きくなるのではないか。江藤の言う通り、日本は年々悪くなっていくようだ。末法の世の中がやってきたのか。

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西岡省二特派員の「北朝鮮と政府間交渉をせよ」は間違いだ~毎日新聞6月24日朝刊[記者の目]

 毎日新聞6月24日朝刊は3面[クローズアップ]とオピニオン面[記者の目]で中国総局の西岡省二特派員が大活躍、長い記事を書いていた。3面の記事は今までの事象のまとめと予測なので、こんなものなのかなぁ、と思うのだが、違和感があったのが[記者の目]だった。西岡特派員は「何しろ北朝鮮と政府交渉するのが第一だ」と言っているようにみえるのだが、今、日本が何の準備もせずに北朝鮮と政府間交渉をして、得るものがあるのだろうか? 私は外交交渉には確固とした軍事力の裏付けがあってはじめて相手を圧倒できると思っている。別に日本自体でものすごい軍備を整えろ、というのではなく、在日米軍を含めた日本の防衛力が日本政府の意思で動かせる、という「怖さ」を北朝鮮に味わわせないと、現実主義者の北朝鮮指導者は動かないと思う。それに、前回の小泉訪朝のドタバタ劇については当然相当に取材しているだろうから、言わずもがなだが、米国への通告遅れ、なおかつ通告後に米国からウラン濃縮を行っている疑惑がある、という極秘情報を受け取ったにもかかわらず、訪朝を強行し、拉致被害者数人は帰ったものの、その後の日朝の不信の原因を作ってしまった苦い経験がある。

 もしも、今度日本が政府として動くときには米国に韓国を加えた同盟国と細密に打ち合わせを行い、できれば極東に配備している米国の核兵器の発射ボタンの共同管理権を手にするくらいのドスを胸にして訪朝するのでなければ、効果はないだろう。

 つまり、滅多矢鱈に訪朝すればいい、というものではないし、こういう時こそ冷静に韓国と協議し、李明博大統領を立てて交渉させるとかの裏の手をつかうとか、日本による航空母艦、爆撃機保有を米国に認めさせるとかの思い切った方針転換で北朝鮮を驚かせてから出ないと意味がない以上に、お土産だけ要求されることになると思う。

 まあ、文句はこのくらいにして、西岡氏の[記者の目]を読んでみよう。見出しは<指導者に対北朝鮮積極外交を望む/平壌で新たな共同宣言を/世論の一致団結も必要>である。

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20090624k0000m070141000c.html

 <「北朝鮮」と聞いて、我々は核兵器開発の軍拡路線、日本人拉致などの国家犯罪を思い浮かべる。憶測が飛び交う中、国営放送が攻撃的な調子で日本をののしる。人々は「不気味な独裁国家の暴走」に強い不安と嫌悪を抱く。最後は「ならず者国家にカネを払い国交を結んで何が国益か」との結論に傾く。原因の大半は、危機感を高めて隣国を揺さぶる北朝鮮側にある。だが我々の側も、憶測に引きずられ、過剰な警戒心を抱いていないか。>

 と、書き出しから喧嘩両成敗論である。

 <最高指導者・金正日総書記の後継者は三男正雲氏でほぼ固まったようだ。ただ後継問題も含め北朝鮮の核心に迫る情報は限られ、そこにたどり着くのは容易ではない。金総書記の重病説が急浮上した昨年9月、韓国の報道機関が政府高官発言を伝えた。「自力で歯を磨ける健康状態」。この発言をどう受け止めるべきか、随分悩んだ。「総書記は驚異の回復をみせている」「情報は真実で、平壌の韓国側協力者は既に消された」「単なる推測」。専門家が読み解いてみせたが、真相は今もって不明だ。北京で北朝鮮取材を担当して4年が過ぎた。中国入りする北朝鮮の政府関係者や経済人らから情報収集する。北朝鮮の官製報道を読み込み、他国の見方と突き合わせる。時に、信頼できる二つの取材源から正反対の情報が出る。>

 北京で北朝鮮情報を取る、という作業の難しさは想像を絶するのだろう。

 <閉鎖国家・北朝鮮の核心情報は外交活動上の要請で伏せられる。核・ミサイル・拉致・麻薬・偽札絡みの未確認情報が錯綜するが、日本政府は真偽の判断を明かせない。そして憶測が独り歩きする。>

 日本の情報判別能力が弱いから、日本政府はオロオロするだけで、何もできていないじゃないか、という憤りが感じられる。

 <改めて、北朝鮮情勢をどう理解するか考えてみたい。北朝鮮にも家族だんらんがある。おやつをめぐる兄弟げんかもある。北東アジアの地図を逆さにして「わが国を左側から圧迫する日本こそ脅威だ」と訴える人もいる。すべてが脅威なのではない。>

 「脅威」をどうとらえるか、だろうが、少なくとも、こういう情緒的なものの見方は誤りだ。これは韓国の金大中元大統領一派の言い分だ。つまり、太陽政策=北朝鮮宥和派の言い分と同じになる。

 <異なるのは国の仕組みと価値観なのだ。金総書記に権力が集中し、高級幹部さえ自由に意見を言えない。人々は「総書記への忠誠の証しとなるか」を尺度に行動する。違法行為も、国を守ることを理由に正当化されると聞く。つまり、個人の感情は理解できても国の意思が読めない。そこに憶測が入り込み、疑心暗鬼になる。私もそうだ。すべては北朝鮮の実像に迫ることから始まると思う。>

 国の意思が読めないのは米国も中国も同じだろうが、日本が1回訪朝したからって、中国以上に北朝鮮権力層の意思が分かるわけがない、と思う。情報収集にもカネをかけず、スパイ防止法もなく、今や朝鮮総連に入り込んでいる政府のスパイからの情報だって、朝鮮総連自体が北朝鮮から軽んじられているので、やせ細っているはずだ。

 <そこで、日本の指導者にお願いしたい。蛮勇をふるって再び平壌に行ってほしい。金総書記に会い、核開発や拉致問題の真意をただしてほしい。総書記の動作や肉声がありのまま伝えられれば、重病説や暴走論の検証もできる。その際に日朝平壌宣言を補完する新たな共同宣言を目指すのはどうか。交渉を仕切り直し、日朝間に漂う重苦しくよどんだ空気を入れ替える必要がある。「対話と圧力」でも、圧力先行型の外交一辺倒では展望を見いだせない。>

 「何を理想論を」と言われることは覚悟して書いているのだろうし、そうは言わない。だが、問題は錯綜しているのだ。

 <確かに道のりは険しい。北朝鮮側が途方もない見返りを要求するだろう。多くの政治家は日朝交渉の壮絶な歴史の前に足踏みするだろう。だからこそ、一致団結した世論の後押しが必要だ。国民が「外交で世界に貢献する日本」という理想をはっきり描いて政治を動かし、過酷な水面下の折衝に臨む外交官に力を与えるのだ。拉致問題の解決にとっても不可欠だと思う。>

 具体性のない、展望の描けない提言を書いたからには、記事にしなかった部分を相当に持っているのかもしれない。中国の要人が日本政府の行動を期待しているのだろうか? それはない、と思う。

 問題は日本の安全保障なのだから。中国にしても米国にしても、なおかつ付け加えれば韓国にしても北朝鮮の核武装はそんなに怖くはない。核弾頭の照準はきっと日本に向いている、と思っているからだ。日本はそうはいかない。北朝鮮が核ノドンを持つ前に何とかしないと、将来、日本は金大中政権、盧武鉉政権時の韓国同様、北朝鮮の将軍様の鼻息を覗って暮らすような植民地国家になってしまう恐れがあるのだ。その危機感が国民に共有されていないことが問題なので、あと何を共有しろと言うのだろうか?

 <1997年春、拉致被害者家族会の発足前に、横田めぐみさんの父滋さん(76)からこんな言葉を幾度も聞いた。「子を救うのは親の義務で、費用も当然親が負担する」。滋さんは自力で北朝鮮に立ち向かおうとしていた。しかし、この話を伝えたある外務省関係者は「国際情勢が動いてこそ解決に乗り出せる」と言い、思考を止めた。この無責任な論理は今も時々耳にする。国際社会の目は非常に厳しい。北朝鮮の核問題を協議する6カ国協議参加国の外交官の多くが口癖のように話す。「日本はカネやモノの力で北朝鮮を取り込み、それを影響力に変えるべきだ。米国や中国、韓国に対する発言力も相対的に高められる」。拉致問題で進展がないのを理由に北朝鮮支援に応じない日本への不満が背景にある。無論、日本の資金力だけをあてにしたご都合主義には賛同できない。だが、隣国をめぐる危機なのに、主体的に動けない日本の現状を憂える声は重く受け止めるべきだ。>

 主体的に動くな、というのではない。動く時には動くなりの準備が必要だ、ということだ。北朝鮮と交渉するということは、談判決裂で戦争も辞せず、という強い決意が必要なのだ。そういう決意をするかしないか、で実際に戦争になることはほぼないにしても、外交交渉は大きく変わる。相手が日本に一目置くようになるのだ。

 <オバマ米政権が北朝鮮に対するテロ支援国家再指定を示唆する一方、北朝鮮は米国人記者2人に労働教化12年の判決を下した。6カ国協議がこう着する中、核・ミサイル実験を続ける北朝鮮の扱いに世界が苦慮している。北朝鮮を遠巻きにして「中国に期待」と繰り返すようでは、国際社会での日本の存在感はどんどん薄れてしまう。今こそ、日本は積極外交に乗り出し、北朝鮮を国際社会に引っ張り出すべきだ。>

 「中国に期待」といい続けるべきだと思う。ただ、いい続けながら、日本が独自行動を起こせるような基礎を着々と築いていくべきなのだ。それは米オバマ政権と「日本が核兵器を持つことも許容してほしい」という交渉(そう言ったからといって、実際に核武装するかどうかは後の判断だ)、韓国が整備しようとしているミサイル発射基地攻撃用のバンカーバスター弾購入と配備(憲法で許されている敵基地攻撃の具体化として、まず予算をつけることから始めないといけない)、韓国との安全保障上の共同訓練実施のための法整備(内閣法制局が集団的自衛権は認めない、とするなかでどのように違憲問題をクリアするかの論理構築)、日本海にイージス護衛艦だけでなく、艦上戦闘機、攻撃機を積める航空母艦の建造、配備などである。

 こうした「普通の国」、「馬鹿にされない国」の基礎を作りながら、北朝鮮との交渉の時期を探り、いざとなれば、事前にじっくりと米韓両国と首脳レベルで打ち合わせをして、不測の事態が発生した場合の対処法を決めて、それからようやく日朝交渉に赴く、という手順だろう。

 ただ、「政府が行けばいい」という軽い気持ちでの訪朝ほど危険なものはない。西岡氏の猛省を促したい。

 また、西岡氏は言外に北朝鮮王朝が当主交代のざわめきを鎮め、国内対策で核を持とうとしている、と取られかねない記事を書いているが、それも間違いだと思う。米研究者らの最近の分析のように、北朝鮮は一貫して核保有国を目指してきた。三男が即位しようが長男だろうが、核ノドンを持った暴虐国家北朝鮮が日本の隣に現れるのは間違いなく、それは時間の問題なのだ。

 あまり三男に期待しないほうがいい。

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韓国軍が核爆弾の際の電磁パルス防御装置とバンカーバスターを備える!:北朝鮮の核攻撃に備え~朝鮮日報6月24日

 朝鮮日報は6月24日の日本語版ネットHPに<韓国軍、北朝鮮の核攻撃に備え戦力強化>という崔慶韻記者の記事を掲載した。内容は以下の通り。

 <韓国軍当局は北朝鮮の核攻撃に備え、核爆発時に発生する「電磁パルス」の防護システムを来年から主要国家戦略施設に導入する方針だということが23日分かった。>

 日本はこのくらいはやっているのかなぁ? やってないだろうな。やっていれば、予算編成の際に重箱の隅をつつく記者が大きい見出しで批判的に書いているだろうから。

 <軍当局はまた、北朝鮮の核の挑発行為を事前に感知できる偵察戦力を強化するため、グローバルホークなど長距離高高度無人偵察航空機(UAV)を日程を早め来年から導入する。また、白頭(通信傍受)偵察機導入事業にも100億ウォン(約7億3800万円)余りを追加投入するなど、核対応戦力レベルを一層高める方針だ。地中30㍍まで貫通し、北朝鮮の地下核施設や指揮施設を攻撃するのに威力を発揮する地下施設破壊爆弾GBU-28(別名バンカーバスター)事業にも640億ウォン(約47億2000万円)を投入、当初2014年までに導入する予定だったものを4年前倒しして、来年までに導入を終えることにした。>

 何? 韓国軍もバンカーバスターを配備するのか!

 <国防部は同日、ハンナラ党「北朝鮮核・挑発対策特別委員会」の第4回会議でこのような内容の北朝鮮核対応戦力強化策を報告した、と複数の特別委関係者が語った。国防部は同会議で、北朝鮮による2回目の核実験やミサイル発射など、核の挑発水位が高まった最近の危機状況を考慮して、大統領府など主要国家戦略施設に電磁パルス被害を防ぐための防護施設を設置することに決め、施設設置予算60億ウォン(約4億4200万円)を来年度予算に反映させる方針だと報告した。電磁パルスは核爆発時に発生し、マイクロチップや半導体、回路網などあらゆる電子機器を破壊し、戦力を無力化させる。>

 どう見ても必要な機器だろう。日本は中央指揮所だけは核攻撃に耐えうるというのだが、中央指揮所だけ残っても仕方ないだろう。

 <国防部はまた、当初2011年から導入する予定だったグローバルホークなど高高度UAV導入事業も来年から着手することに決め、来年度予算に80億ウォン(約5億9000万円)を割り当てる方針だという。国防部は現在導入されている金剛(映像)・白頭偵察機の運用について、来年度予算に100億ウォン余りを追加で投入、白頭山圏域まで音声信号を傍受できる白頭偵察機の装備を補強する方針だろいうことが分かった。>

 このくらいのカネで買えるのか、知らなかった。戦闘機などに比べれば安いものだ。

 <さらに、弾道誘導弾早期警報レーダー事業に2695億ウォン(約199億円)、衛星利用測位システム(GPS)誘導爆弾(JDAM)事業に841億ウォン(約62億円)、レーザー誘導爆弾(GBU-24)事業に712億ウォン(約52億円)をそれぞれ投入する計画だという。>

 この危機で韓国の防空能力は格段の充実が期待できそうだ。

 <ハンナラ党特別委員会の関係者は「核挑発に関連した兵器体系まで含めれば、韓国軍当局の北朝鮮核対応戦力強化予算は総額2兆ウォン(約1470億円)規模になる見込みだ。監視・偵察能力や防護施設拡充のほかにも中距離弾道ミサイルの導入規模を拡大、時期を早めるなど、打撃能力強化も軍当局が推進している」と述べた。>

 1500億円でできる、というのだ。日本の効き目のないMDよりかずっと効果的なのではないか? こういう議論を国会でもどんどんやるべきだと思うのだが、なぜできないのだろう?

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2009年6月22日 (月)

伊藤元重氏の「農業と環境を分けて考えろ」は間違いだと思う~産経新聞6月22日[正論]

 政府の諮問機関などで活躍する経済学者が日本の農業の未来をどう考えているのか、かねて興味があったのだが、産経新聞6月22日朝刊[正論]で東京大学大学院教授・伊藤元重氏が<歪んだ農業政策を軌道に戻せ>のタイトルで農業問題を論じていたので、読んでみた。小見出しは≪食糧不足と矛盾する減反≫、≪すべての政策で目的が曖昧≫、≪「環境」を言い訳にするな≫だった。

 <日本の食料政策の現状を見ると、何を目標として政策を行っているか分からなくなるものが少なくない。たとえば、減反政策などその典型的なものだろう。減反政策をやめれば米の生産が増えてしまう。それでは米の価格が大幅に下がり、米農家の収入が大打撃を受ける。だから、減反や転作を奨励して、米の生産を抑制するという。しかし、日本の食料自給率は下がり続けている。世界的にも人口増加などによって食料供給の不安がある。なぜ無理やり米の生産を制限しなければいけないのか。減反政策は食糧不足とはまったく矛盾する政策であるのだ。>

 全くそうだ。そこが最大の矛盾だと思う。

 <減反政策を行っている本当の理由は、米を生産している農家を保護するためだと考える方が自然だ。しかし、なぜ米の生産者だけ、特別に保護しなくてはいけないのだろうか。日本の文化にもかかわる食の中心にあるのが米だからだろうか。それとも、兼業農家の片手間にできるという意味で米は作業が簡単な作物であり、兼業農家の票を確保するための政治的な意図があるのか。いずれにしろ、食料の自給率とはあまり関係がなさそうだ。米の生産で自給率を少しでも上げようというのであれば、減反政策をやめて米の生産を拡大させればよい。米の価格が下がることで、規模の大きな米農家に生産を集中させる方が、国内生産強化にはよっぽど効果的であるように思える。>

 大規模化ですか。農水省のこれまでの方針通りですね。

 どうも、ここだけ読むと伊藤氏の論理は粗雑に見えるのだが、どうだろうか。というのは、兼業農家問題ではなく、食管法が廃止された後も存在意義をなくしたはずの農協が跋扈しているのが最大の問題で、兼業農家は時間がなく、農協に全面依存するのが問題なので、農協が農機具のローン販売などの商売のいいお得意さんにしているのも兼業農家なので、農協をなくせば、兼業農家は困って、農業をやめる可能性は十分ある、と思うのだが。

 <問題は、かなり多くの国民が、何となく減反政策が米農家を守り、それが長期的には日本の食料の自給率を上げることにつながると勘違いしていることである。日本の食料自給率が下がっていることが国民の食糧問題への関心を高めている。それは結構なことだ。しかし、そこからいきなり現在の米政策を正当化することにはつながらないはずだ。>

 減反政策の検証がされていないことが問題だ、と。それは正しいと思う。

 <畜産政策にも似たようなところがある。いくら日本で牛や豚を育てても、その餌がすべてトウモロコシなどの輸入飼料であれば、カロリー自給率はゼロである。輸入の餌で育った牛や豚は国内のカロリー自給に貢献していないからだ。カロリー自給率を上げるためには、国内の畜産を保護するより、まず国内での穀物生産を高めることから始めなくてはいけない。>

 ここで話は飛び、カロリー自給率などという言葉が出てくるのだが、飼料問題では穀物自給率こそ問題にすべきではないか。カロリーベースの食糧自給率が40%なのに、穀物自給率は28%だそうだ。

 <通商政策の世界に、「関税傾斜(タリフ・エスカレーション)」という用語がある。穀物のような原料や飼料の関税は低くし、肉や乳製品のような下流の産物への関税を高くすることを指している。木材の関税率を低くし、合板や家具の関税率を高くするのも関税傾斜である。こうした関税傾斜が行われているのは、下流にある畜産業や木材加工業者を保護するためである。飼料穀物が安く入ってきて、肉や乳製品の輸入に高い関税がかかっていれば、国内生産者は助かる。しかし、こうした政策はカロリーベースの自給率を大幅に下げる結果につながっているのだ。木材のケースでも、加工業者を保護する関税傾斜が、結果的に日本の森林や山を荒れさせる結果になっている。何のための関税政策であるのかもう一度よく考えてみる必要がある。>

 今度は山林ですか。経済学者は一般化が好きだから、このように話が飛んでしまって、分かりにくい。

 <食料政策だけではなく、すべての政策がそうであるが、そもそも政策の目的は何であるのか明確にしなくてはいけない。政策の目的がいくつもあるのなら、優先順位をつける必要がある。日本の食料政策についても、目的とその優先順位の明確化が必要だ。>

 日本の農業政策の目的がはっきりしていないことは事実だと思う。

 <食料政策のもっとも重要な目的は、国民の食料を確保すること以外には考えられない。農業者の保護なども食料政策の目的の中に入れてもよいが、食料確保の方がはるかに重要な政策目標であるはずだ。上で米の減反や畜産関税の例で述べたように、食料確保を政策の最重要課題としておけば、日本の食料・農業政策は現在の政策とは大きく違ってくるのではないだろうか。ちなみに、国民一人あたりの耕地面積の大きさを考えれば、日本の食料をすべて国内生産で賄うことは難しい。海外との貿易関係を円滑に進め、海外の生産を支援することも、食料確保の重要な手段であるのだ。>

 それはそうだが。そのような一転突破全面展開主義では解決しないと思う。農業はよく言われるように国土保全機能も持ち、農家政策も大事だし、もちろん食糧自給問題はなおざりにできない。

 <農業政策でよく出てくる重要な政策目標に環境保全がある。これは重要な政策目標であるが、今の日本の農業政策が有効に機能しているかどうかも精査する必要がある。ちなみに経済学に重要な定理がある。ある政策目標を実現するために、複数の手段があったら、どの政策手段を採用すべきか、という点に関するものだ。その答えは簡単で、政策目標にもっとも直接的に働きかける政策手法を用いるべきであるというものだ。>

 ほらね、竹中平蔵氏のような論理展開が始まる。狐につままれないように読んでいこう。

 <森林整備や水管理など、環境維持は重要な政策目標である。だからこそ、その実現のためには、農業政策という間接的な政策手段に過度に頼るのではなく、より直接的な環境保全政策を活用した方が、政策コストが少なくて済む、というのが経済学の教科書で教える原理である。環境問題対応を、歪んだ農業政策の言い訳にしてはいけない。>

 環境は環境、農業は農業、分けて考えろ、というらしい。しかし、それは違う。山は木がなければ水を吸い込まない。山の地下を通った水はミネラルを含み、わき水として農地に引き入れられ、農業用水になり、米の味を調える。雨水をためたため池の水で作った米が美味しくないのはミネラルが不十分だから、ということらしい。

 水田の環境問題というよりか、国土保全機能を分けて考えるのではなく、トータルに政策をつくることが要求されていると思う。

 伊藤氏の考え方は間違いだと思う。

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2009年6月21日 (日)

民主党の外交、やっぱり危ないのかなぁ?~産経新聞6月21日までの連載[危うい「友愛」外交]を読んで

 産経新聞の大型1面企画[危うい「友愛」外交]の連載が6月21日、第6回で終わった。この機会に過去の記事も読みながら、感想を述べてみたい。1回目の最後に前文、「友愛を掲げる鳩山由紀夫代表率いる民主党の外交安保政策を検証する」が付いていた。本文は敬称略で、連載担当者は有元隆志、高畑昭男、湯浅博、中静敬一郎、石井聡、内藤泰朗の各記者だそうだ。
■第1回 <米大物が警告した民主の「反米3点セット」>
 <「民主党が掲げる政策を一度にぶつけたら、米議会や政府は反米とみなすかもしれない。皆さんは注意されたほうがいい」。静かな室内に「反米」という言葉が非常ベルのように響きわたった。昨年12月19日朝、東京都心の帝国ホテルの一室で開かれた民主党幹部と米知日派の国防・安全保障専門家の懇談でのことだ。民主党側の出席者は鳩山由紀夫幹事長(当時、以下同)、菅直人代表代行に岡田克也、前原誠司両副代表を加えた4人。米側は民主党系のジョセフ・ナイ元国防次官補、ジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所長(元国防副長官)の大物2人に、ブッシュ前共和党政権で対日政策を担当したマイケル・グリーン前国家安全保障会議アジア上級部長、ジム・ケリー元国務次官補も加わった。>
 衝撃的な場面から始まるのは最近の新聞連載の手である。
◆見えない将来像
 <鳩山、菅らの顔をみすえるように、「反米警告」の口火を切ったナイは、イエローカードの代わりに三つの具体的問題を挙げた。①海上自衛隊のインド洋給油支援活動の即時停止②日米地位協定の見直し③沖縄海兵隊グアム移転と普天間飛行場移設を柱とする在日米軍再編計画の白紙撤回――。いずれも民主党が最新政策集「政策INDEX2008」などを通じて政権公約に掲げてきたものだ。「反米とみなされないためには日米協力の全体像(トータル・パッケージ)を描いた上で個別の問題を論じたほうがよい」。出席者によるとナイはそう強調した。口調は穏やかでも、反米警告に込められた疑問は明白だった。それは民主党政権になった場合の日米同盟の将来像がさっぱり見えないということだ。菅らは「民主党政権になっても日本の外交安保政策の基軸は、日米関係だ」と説明し、約45分間の懇談は終わった。>
 昨年12月段階で米側が民主党に警告したのに、動きが鈍い、と。
◆傘からはみ出す
 <だが、それから半年たった今も、米側出席者の一人はこう語る。「民主党が日本の政権に就いて本当に大丈夫か」。この人はその後も鳩山、岡田らと会うたびに、オバマ政権が重視するアフガニスタン問題などで「日本はどんな貢献ができるのか」と水を向けた。だが、鳩山らの答えは「抽象的発言が多く、具体的に何をするかが見えてこなかった」という。同盟の将来が見えないばかりではない。民主党の政策構想には、同盟の土台を根底から崩しかねない危険すら見え隠れする。>
 段々と核心に迫る。
 <岡田は雑誌「世界」7月号で「米国の核の傘から半分はみ出す」と語り①米国に核先制不使用を宣言させる②非核国への核使用を違法とする合意形成③東北アジア非核地帯構想――を日本の主張とするように訴えている。>
 岡田氏のこの論文はまだ読んでいないのだが、読む必要がありそうだ。
 <日本は国家の安全と存立を保障する究極の抑止力について第二次大戦後、一貫して米国が提供する拡大抑止(核の傘)に依存してきた。これを政治、外交、軍事安全保障面でトータルに包み込んだものが日米安保条約体制(日米同盟)にほかならない。だが、北朝鮮の度重なる核実験によって北朝鮮や中国の核の脅威は確実に高まっている。北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返すたびに、クリントン国務長官らが「日本の安全は保障する」と強調するのも、核の傘の信頼を担保するためだ。日韓への核の傘の補強が求められているというのに、逆にその外へ向かうとは一体どういうことなのか。>
 本当ならば、よほど世間に疎いのか?
◆日米同盟崩壊も
 <「拡大抑止そのものが日米安保の軸だ。賛成なら日米安保を認めることになるが、反対なら独自に核武装するか、非武装中立の道しかない」。防衛専門家はこう指摘し、日米安保体制の土台が揺らぐと警告する。インド洋の給油活動を停止し、米軍再編を白紙撤回させ、地位協定も改訂した上に、核の傘から出ていこうとすれば、その先に何があるか。言えるのは日米同盟が確実に崩壊することだ。ナイが警告した「反米3点セット」を断行する本物の反米政権が生まれる日が近づいてきている。>
 産経新聞に脅されると逆らえない気がするから不思議だ。
◆都合いい「甘えの構造」
 <米側の心配は鳩山新政権が「村山富市モデル」となるのか、もしくは「盧武鉉モデル」なのかが見極められないことだ。社会党委員長だった村山富市は首相就任後の国会で、自衛隊を合憲と認め、日米安保体制を堅持すると表明した。これまでの自衛隊違憲や日米安保反対の立場を一転させ、日米同盟を日本外交の基軸とすることを受け入れた。一方、故盧武鉉韓国大統領は就任後、大衆迎合型の反米左派色を徐々に強めた。危機感を抱いた米国は在韓米軍再編などを通じ、米韓同盟挫折という事態にも備えて米軍戦略や部隊配置を微妙にシフトさせた。>
 盧武鉉モデルか。うふふ……。
◆見えぬ全体像
 <「反米」転換か、強化かが判然としない大きな理由は、民主党の外交・安保政策が「人の数ほど政策がばらばらで、どれが実行されるのかがわからない状態」(プリスタップ米国防大学上級研究員)にあるためだ。民主党の外交安保通の一人である前原誠司も「米国から見て、前原はわかる、長島(昭久)もわかる。岡田も知っている。だが、民主党が分からない」と全体像がみえにくい事情を認める。>
 前原氏もだらしないのだ。松下政経塾出身者が今、くすんでいるのが問題なのではないか。
 <その前原や長島は、米次期国務次官補に指名されたカート・キャンベルら同盟重視の知日派と親しい。彼らの描く同盟像は、鳩山や菅らの唱える日米安保論とは微妙に異なる。核の傘の意味も理解しており、岡田の「非核地帯構想」とは一線を画す。その前原、長島と岡田との違いに加えて、鳩山、菅の政策もまた違ってみえる。>
 キャンベルと親しい、グリーンと親しい、でやってきた日米外交のツケが今きているのではないか?
 <鳩山はかつて「常駐なき安保」を唱え、在日米軍の大半を日本国外に移駐させて、有事の時だけ来援させる構想を掲げた。菅も沖縄米軍基地の「国外への移転」を主張したことがある。外交評論家の岡本行夫はこうした考えに手厳しい。「お前の顔をみたくない、と奥さんを家から追い出して、『病気になったら看病に来い』と命じるようなものです」。そんな「いいとこ取りをしたら、日米間の信頼が失われてしまう」と強く警鐘を鳴らす。その一方、鳩山首相が誕生した場合のケーススタディーが民主党内でこう論議されている。「公約に従って、第一声はインド洋給油支援を即時停止する。続いて普天間移転を含む米軍再編計画を白紙撤回する」。次の内閣・防衛担当の浅尾慶一郎は5月末のテレビ番組で民主党政権での給油支援対応を問われ、即座に「退きます」と断言した。>
 着々と進むのはいいけれども、日本の安全保障をどう考えているのだろうか、民主党は。
 <米戦略国際問題研究所のニコラス・セーチェーニ日本部副部長は鳩山政権が給油支援停止と米軍再編の白紙撤回を表明した場合「日米は非常に不幸なことになる」と予言する。>
 不幸なこと、の意味だ。問題は。
◆日本見限る?
 <さらには日米地位協定や思いやり予算の問題もある。岡田は今月12日の記者会見で「戦後体制を引きずった基地の配置だけでなく、日米地位協定見直し、思いやり予算などさまざまな課題が日米間にある」と語った。地位協定や思いやり予算の抜本的見直しは民主党の重要公約の一つだ。だが、地位協定や思いやり予算の運用には長い歴史的経緯がある。北大西洋条約機構(NATO)や韓国などの同盟国とのかかわりもあるため、米当局者やマイケル・グリーンらの懸念は深刻だ。>
 そうだろう。
 <いくらマニフェストで「真の日米同盟」を訴えても、こうした文脈を考えれば米国側の反応がどうなるかは想像に難くない。ナイが指摘した給油支援、地位協定、米軍再編の「反米3点セット」は、日米同盟に対する民主党の真意を測る核心といっていい。米国のシンクタンクから日米関係を見ている辰巳由紀は、日本が民主党政権になった場合に最も心配なことは「米国からの自立を目指すという選択をすることが、何を意味するかを真剣に考えていないのではないか」と指摘する。>
 そうなのだ。深く考えていないことが問題なのだ。国会議員の人気取りの浅知恵でやっていいここと悪いことがある。
 <米国にはアジア太平洋を見渡して韓国、豪州、シンガポール、インドなど戦略的に提携を深めている国々が日本以外にもある。米国が日本を見限って他の同盟・協力国との関係強化で代替する可能性は確かに低いものの、だからといって「日米同盟がなくなるはずがない」とタカをくくって考えていたら、日本を見限って米中G2体制が浮上しかねない。辰巳の指摘は米国に対する「甘えの構造」そのものである。民主党の甘えとひとりよがりの安全保障政策によって、同盟が日本側から瓦解する恐れはかつてなく高い。>
◆民主党政策INDEX2008 外交防衛政策の抜粋(2008年10月)
 <[新時代の日米同盟の確立]▽日米両国の対等な相互信頼関係を築き、新時代の日米同盟を確立します。国際社会において、米国と役割を分担しながら、その責任を積極的に果たしていきます。▽日米地位協定の抜本的な改定に着手するとともに、米軍再編にかかる経費負担のあり方、思いやり予算など米軍関連予算の執行について不断の検証を行います。
 [新テロ特措法延長への対応]多国籍軍に対して海上自衛隊が行っている給油活動に関する総括やテロ対策の効果の検証もなく、説明責任を果たさないまま政府が制定を強行した新テロ特措法の延長に反対します。>
 以上が1回目だ。面白い導入部だった。これで材料を使い果たしていなければいいが。では第2回を見てみよう。
■第2回<「親米」笑顔 行動は逆さま>
 <2月17日夜、在日米大使館の隣にあるホテルオークラ内の会議室。来日したクリントン国務長官と会談した小沢一郎民主党代表(当時)は「親米」の笑顔を強調してみせた。「私は日米同盟が大事だと唱えてきた」と語り「同盟には対等なパートナーシップが必要だ」とも訴えた。この夜、米側は「小沢がプッツンしないか」とヒヤヒヤだった。クリントン長官は直前の麻生太郎首相との晩餐会が遅れて小沢に30分近く待ちぼうけを食わせたからだ。長官と差し向かいのテーブルには茶菓もなく、ペットボトルの水がそっけなく置かれていた。それでも小沢は「長官も選挙経験がおありだ。選挙のことはよくご存じでしょう」と大物政治家として持ち上げ、長官も「ええ、もちろんわかりますよ」とにこやかに応じた。同席した鳩山由紀夫も終わり際に「私はスタンフォード大学で学びました。同窓のチェルシーさん(長官の一人娘)によろしく」と英語で自己紹介して愛嬌をふりまいた。わずか30分とはいえ、小沢らと国務長官の初顔合わせは笑顔で終始した。しかし、その裏には実現までに数週間の「暗闘」が隠されていた。>
 ドラマがあったのか。まあ、あるだろうなぁ。
◆実現までに暗闘も
 <会談は当初、米側が打診した。初の外遊先に日本を選び「同盟重視」を打ち出したクリントン長官側は「参院第一党の指導部とも会いたい」といってきたのだ。しかし、事情通によると、小沢事務所の対応は「臨時代理大使名で要請書を書いて持参せよ」と外交儀礼上、あり得ないような回答だったという。長官の滞在は3日間しかなく、米側はいったん調整を断念した。ところが、これを知った鳩山や山岡賢次国対委員長らがあわてて「会談を受けたい」と逆に要請した。米側は「それなら要請を書面にしてください」としっぺ返しをした上で、やっと会談が実現したのだった。>
 小沢一郎氏らしいというか、何を考えているのだろう?
 <会談の雰囲気は確かに良好だった。にもかかわらず「親米」「同盟重視」の言葉とはうらはらに米側には大きな疑問が残った。長官側が探りたかった米軍再編や思いやり予算、地位協定問題、アフガニスタン支援など日米の具体的懸案には小沢をはじめとして誰ひとり答えようとしなかったからである。>
 面白い。
 <小沢が代表を退き、鳩山代表になっても民主党への疑問は解けていない。むしろ国会での同党の投票行動を見る限りは、小沢の言う「同盟が大事」とは明らかに逆方向を向いている。インド洋給油支援延長に反対、米軍再編に反対、普天間は県外移設を求め、海兵隊のグアム移転経費分担や思いやり予算も反対――。日本政府がこれまで積み重ねてきた同盟協力について、そのほとんどを否定する行動ばかりなのだ。>
 そうかぁ、民主党の投票行動をこう並べられると、何か幕末維新の攘夷派のようだな。
 <日米関係筋は「鳩山さんの友愛外交の中身がわからない」と首をかしげる。鳩山は2月、都内での講演で「日米同盟をよりよく機能させるために国連をうまく使う視点が大事だ」と語っている。>
 何かピントがずれている。
◆自衛隊縮小を寄稿
 <しかし、国連安保理の北朝鮮制裁決議の例をみてもわかるように、日米連携があって初めて国連の機能が強化されるようになったのが現実だ。国連を使えば日米同盟が機能するという順序では決してない。鳩山の論理は逆立ちしているといっていい。>
 そう思うよなぁ。
 <「米軍の存在は第7艦隊で十分」と語って論議となった小沢発言についても「第7艦隊の守備範囲は広く、年の半分は日本周辺にはいない状態だ。それでどうやって日本の安全を守れるのか」と不思議でならないという。「日本が米軍の代わりを務めるというなら歓迎だが、それにしては防衛力増強にも反対しているので、わけがわからない」(同筋)というのだ。小沢は10年前、文芸春秋に「自衛隊は歴史的使命を終えて、これから縮小することになる」との一文を寄稿している。>
 10年前の文藝春秋も必読文献に加えるか。
 <7月にはオバマ政権と中国が、安全保障と経済の2本立てで仕切り直した戦略対話を本格的にスタートさせる。北朝鮮、イランの核問題も緊張を高めている。内外の安全保障環境がこれまでと大きく変わる中、日米は来年、日米安保条約体制発足50年を迎える。日本は米軍再編やミサイル防衛協力など同盟の維持管理をしっかりと進めながら、同時に高いレベルで日米の世界戦略を練り直していかなければならない時だ。そうした節目に、曖昧模糊とした「友愛外交」で米国や世界に対する日本の責務を果たしていけるのか。民主党に対して、米側にも「政権をとれば多少は現実的政策に変質するのではないか」というかすかな願望がなくはない。だが、ある日米関係筋は「願望は政策になり得ない。それだけは確かだ」とぴしゃりと言った。>
 ぴしゃりですか。
◆外交・安保政策への民主党の投票行動
 <2009年4月 海賊対処法案の衆院通過に反対。7人が欠席か棄権
     4月 米海兵隊グアム移転の日米協定衆院承認に反対。参院否決
  2008年12月 新テロ対策特措法案を否決(参院)。衆院再可決反対
     4月 在日米軍駐留経費特別協定の衆院承認に反対。
          小沢一郎ら12人欠席。参院否決>
 以上が第2回だ。まだ面白い。
■第3回<消えぬ「有事駐留」幻想>
 <民主党の鳩山由紀夫代表が「友愛外交」を口にするたびに、堅くなった羊羹を出された気分になる(毎日3日付夕刊)という人がいた。友愛が祖父、鳩山一郎首相のキャッチコピーだったからだ。日ソ交渉や改憲論で知られる一郎はかつて、重光葵外相を通じ在日米軍の全面撤退を米国に打診したことがある。孫である由紀夫の持論は「常時駐留なき安保」で、かつ改憲論であるから一郎の主張と形の上ではそっくりだ。違いは同じ米軍撤退でも、一郎が独立志向の再軍備であるのに対して、由紀夫の外交姿勢は時に応じてぶれることだろう。>
 鳩山一郎と要求は同じでもその目指すところは全く逆だと。
 <鳩山は『文芸春秋』1996年11月号の論文「民主党 私の政権構想」で、虫の良い「常時駐留なき安保」を打ち出している。とたんに、米国のキャンベル国防次官補代理が飛んできて民主党本部で鳩山らに会い「紛争が起きた時の対応は二次的要素で、プレゼンスそのものが抑止になっている」と正面から批判した。>
 カート・キャンベル氏も忙しいなぁ、こんな連中と付き合うのだから。
◆姿消す戦闘部隊
 <仮に鳩山のいう「常時駐留なき安保」になると、駐留米軍の戦闘部隊が段階的にいなくなるから、対北朝鮮の抑止力はキャンベルの指摘のように消えうせる。北の弾道ミサイルを追跡する青森・車力の高性能レーダーが撤去され、ミサイルを迎撃する横須賀・第7艦隊のイージス艦8隻がハワイに撤退する。空軍は対北攻撃が可能な青森・三沢基地のF16戦闘機が米本土に戻る。中国軍をもにらむ沖縄・嘉手納基地のF22ステルス戦闘機も、普天間基地の海兵隊も何もかもがなくなる――。>
 どうするんだろう?
 <抑止力が外れると偶発戦争を引き起こしやすい。まして基地を失った米軍が、有事にだけ都合よく駆けつけて日本のために血を流してくれるのか。鳩山は1997年9月に訪米して理解を求めたが、米から「意味不明」と一蹴された。実際に、米軍がハワイや米本土から緊急に展開しても、ある防衛当局者は「現在の防衛体制では、米軍が駆けつける前に日本は壊滅する」と断言する。>
 お陀仏なのか。
 <当時の民主党は、検討の末にやむなく「常時駐留なき安保」を党の安全保障基本計画から削除した。しかし、鳩山はその後も「言葉は消えても、考え方は生きている」とぼかしている。いままた、「友愛外交」を具体的には語らずにあいまいなままだ。小沢一郎前代表も米軍駐留を「第7艦隊だけで十分だ」と、中国と北朝鮮が喜びそうなことを言った。岡田克也幹事長に至っては「まずアジア、次に日米同盟という順番だ」と明言する。これでは米国に疑心暗鬼が広がるのも無理はない。>
 何か、詳しいことを知らなかったが、産経新聞が書いている通りだったら、相当にやばいんじゃないか。
 <「同盟」とは国と国が力を補完しあって立場を強化する関係をいうから、岡田の「まずアジア」は本末転倒だろう。同盟よりもアジアの多国間機構を優先している。キッシンジャー元国務長官の言葉を借りれば、多国間機構の重視は2国間同盟の軽視につながる。>
 日米同盟を否定するには今の10倍以上の軍事費が必要になるんだが。
◆軍事大国の野望
 <鳩山や岡田が共感するアジアの隣人たちは概して腹黒いから、友愛外交なら御しやすいと判断するに違いない。最近の中国と台湾の関係の変化は、そうした友愛政治への警鐘である。米国防総省の2009年版「中国の軍事力」は馬英九政権の登場によって両岸関係の緊張が大幅に改善されたにもかかわらず、実は軍事力の増強が続いていることを指摘する。台湾正面では短距離ミサイルが年間100基以上のペースで増強され、すでに1000基が向けられている。いくら馬総統が中台の“友愛”を語っても、イザに備える軍事は別なのだ。>
 そういうことだ。国際的な常識が日本の常識になってない。
 <かつて前原誠司代表が訪中したさいにも、中国指導部は「靖国問題が最大の障害」といいながら「首相の靖国神社参拝反対」を明確にする前原を冷たくあしらった。前原が「中国脅威」の事実を主張していたからだ。それが、近年は胡錦涛主席のいう「平和的台頭」すら棚上げ状態である。東海艦隊の徐洪猛司令官は「中国は空母を必要としており、まもなく空母を保有することになる」(7日付AP)と軍事大国への野望を隠さない。>
 中国共産党は軍の台頭を押さえられないのだ。胡錦濤氏が引退後に軍で実権を握り続けたいから、強いことを言えないのだ。そこが最大の問題なのだ。
 <いま必要なのは日米同盟の立て直しである。日本が北のミサイル破壊命令を出した2日後、ゲーツ国防長官は「米国を標的にしない限り、迎撃する計画はない」と述べた。続いて、クリントン国務長官が「日本には領土を守るあらゆる権利がある」と突き放す。これらの発言は、日本が軍事的な脅威にさらされても米国は動かぬ場合があるということだ。日本は集団的自衛権を行使できず、米国に向かう北のミサイルを迎撃できないから文句もいえない。>
 クリントン長官の発言はそう解釈するのか?
 <この日米同盟の破れを放置する麻生政権もひどいが、鳩山、岡田ら民主党幹部もまた有事駐留論の幻想から完全に抜け出していない。かつて、日米安保反対を撤回した「村山富市モデル」に従って、ほどよく変節することを願う。>
 なるほど、ほどよく変節、という手があるのか? 何かスコラ派の議論を聞いているようだなぁ。
■第4回<現実的対応ができない>
 <3月14日、広島県の海上自衛隊呉基地には、アフリカ・ソマリア沖の海賊対処に向けて出港する護衛艦「さざなみ」「さみだれ」の2隻が陽光を浴び、きらきらと輝いていた。見送りに駆けつけた民主党衆院議員の長島昭久にとって、その光景はいささかまぶしかった。長島は欧州とアジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の安全確保が日本にとって死活的に重要であり、そのためには海自艦艇のエスコートが効果ありと訴えていた。しかし、その思いは民主党とは共有されていなかった。>
 民主党でも意見は様々だから。
 <自衛隊法82条の海上警備行動による出港に対し、当時幹事長の鳩山由紀夫は前日の記者会見で「なぜ今、新法のない状態で見切り出航するのか」と語った。政調会長の直嶋正行も「国民の審判を経た新しい政権下で法整備するのが筋」との談話を発表した。反対とは言わなかったものの、容認とは一線を画していた。たった1人の見送りを覚悟していた長島だったが、行事には比例中国選出の衆院議員、三谷光男と参院議員、藤谷光信の2人の民主党議員も姿を見せた。>
 何か変だなぁ。もしかすると死亡するかもしれない危険地帯に行く人たちをなぜ送らないのだろう?
 <麻生太郎首相があいさつに立ち「海賊行為は人類共通の敵」などと述べた。昨年10月の衆院テロ防止特別委員会で海賊対処をただし、首相の「検討」表明を引き出したのは長島だった。それから約5カ月。麻生の決意を聞きながら長島は「首相はどうしても実現したかったのだろうな」と思った。その反面、民主党の海賊対応は依然定まっていなかった。>
 麻生首相の決意を引き出したのが長島議員だったのか。
 <出港時の「帽振れ」に合わせ、民主党議員も手を振った。党内を代表したものであったならば、どれほど乗組員への励ましになっただろう。長島は重い足取りで帰途についた。結論がよくみえない。時間がかかる。現実的といえない。これが民主党の外交・安保政策の意思決定メカニズムの問題点といってよい。海賊問題でも浮き彫りになった。要因は左右両派からの「寄せ集め」部隊といえる生い立ちにある。国家観や憲法観が水と油のように違っているので、合意作りが困難なのだ。>
 水と油だ。
 <長島が海自派遣の必要性を訴えても、自衛隊の海外派遣そのものを認めたくない旧社会党出身者などは耳を貸そうとしない。「ソマリア沖の自衛隊派遣に反対です。法律を作ってもダメです」。1月の民主党大会で来賓の社民党党首の福島瑞穂がこうぶった。野党連立政権樹立を想定する民主党が連立相手の社民党などの意向を無視できないことを見透かしての発言だった。>
 福島氏がゴリゴリの反対派だとは分かっているのだが、それに同調する民主党は理解できない。
 <民主党は参院で過半数に達していない。国民新党や社民党と連携して初めて、院の意志を示せる。結局、党内の合意をとりつけ、野党と共闘するためには、政府・与党案に反対することが無難という構図が出来上がったのである。海賊対処の遅れも、政府・与党の対応待ちだったからだ。>
 参院のねじれだが、それは今の話。総選挙後に再編すればいいじゃないか、と思うのだが。
 <問題を複雑にしているのは前代表の小沢一郎だ。現場レベルで政策を決めても、鶴の一声でひっくり返されることがままあるからだ。小沢は一昨年、テロ対策特別措置法による海上自衛隊の給油支援を「憲法違反」と断じた。しかし、民主党からはそれまでそんな指摘はなかった。>
 何を考えているのか、よく分からないのだが、小沢氏がトップにいれば、すぐさま局面を転換して、米国ともうまくやっていけそうでもあるのだが、鳩山氏にはそれが期待できないところが痛い。
 <8年前の鳩山代表時代、民主党はテロ特措法での自衛隊派遣の事前承認が受け入れられなかったため、反対はしたが、自衛隊の活動に関する承認案件には賛成した経緯がある。突然の違憲論に対し、少なからぬ議員が耳を疑ったが、小沢本人にこれを明確にただすことはなかった。腫れ物に触るような扱いがいまも続いている。>
 腫れ物、吹き出物、ニキビ……。産経新聞もあんまりじゃないかな。
 <政権を担うとは、日本の国益や国民益を実現するために現実的な政策選択を迅速に行うことだ。さすがに、その能力は大丈夫なのかという危機感が党内に出てきている。>
 まあ、そうなのだが、問題はメディアなんだけど。
 <副代表の前原誠司は1月27日の常任幹事会で海賊対応に触れ「民主党として主体的な考えをまず決定すべきだ」と語った。超党派議連の会合でも、海自派遣の必要性に言及した。国民新党幹部は「海賊は本来、海上保安庁の仕事だ」と前原に抗議の電話を入れてきた。「海保の実態を勉強してほしい。海保自身が対応できないといっている」と突っぱねたものの、民主党が4月にまとめた海賊対処法案修正案は海賊対策の主体を海上保安庁としていた。>
 いろいろなところに顔を立てながら政策を作っているのか、民主党は。
 <内閣府が1月に行った全国世論調査では、全体の6割超がソマリア沖での海賊対策に前向きに取り組むべきだと回答した。海賊への現実的な対応を国民は求めているといえるが、民主党はそのメッセージの重大さに気付いていない。>
 民主党だけでなく、多くのマスメディアもまだ気付いていないのではないかな?
■第5回<説明なき「対等な日米」
 <「どういう人から話を聞けばよいか、具体名を挙げてください。ぜひ、その人から話を聞きたい」。5月16日、民主党代表に選ばれ新たな布陣をしいた鳩山由紀夫は副代表の前原誠司に会ってこう頼み込んだ。鳩山と前原の交流は民主党の源流といえるさきがけ、日本新党時代から始まり、15年になる。前原が民主党代表の時には鳩山は幹事長を務めた。前原は何人かを推薦した。「どうするかは代表が判断したでしょう」。前原はこう語り、鳩山が水面下でブレーンとともに政権移行の準備作業を進めていることに期待を寄せる。>
 鳩山氏と前原氏の距離はどの程度なのか?
 <鳩山から意見を求められている一人にジャーナリストの高野孟がいる。戦後、総評を結成し、事務局長として軍事基地反対や再軍備反対路線をとった故高野実の長男である。高野は13年前、鳩山由紀夫、菅直人らが結成した旧民主党の綱領にあたる「民主党の基本理念」という文書の筆をとった。それは「社会の根底に据えたい」ものとして「友愛」精神を説いていた。だが、旧新進党勢力との合流により新民主党が結成されてからは、理念よりも規模拡大が優先されたと感じ、距離を置いた。「自分はかつてのブレーン」という高野だが、鳩山からは昨年末、ソマリア沖の海賊への対応を求められた。高野は「海上保安庁を中心とした活動とすべきだ」と進言した。今年4月にまとまった民主党修正案はそれに沿っていた。>
 高野孟とは恐れ入った。反米人脈じゃないか。
 <高野は「政権交代」後の対応には柔軟さが必要と考えている。来年1月に期限が切れる新テロ対策特措法に基づく海上自衛隊による給油支援を重視すべきだという。「インド洋から直ちに退くのは難しい。もし退くなら、それに代わるどんな提案をするかだ」「日米同盟重視でも米国の言いなりにはならない。そこは民主党政権が絶対貫くべき姿勢だ」。「対等な関係」が「鳩山政権」の生命線になると認識している。>
 「言いなりにならない」と表で言うんじゃないよ、米国に聞かれちゃうだろ。そんなことより、もっとじっくりと自主防衛への転換を考えろ!
◆正三角形論に疑問
 <高野が「鳩山の有力ブレーン」に挙げる多摩大学学長、寺島実郎は「宇宙開発戦略本部」の専門委員会座長など政府の役職もこなしている。鳩山とは会食を兼ねた勉強会を重ねてきたという。寺島は自衛隊のイラク派遣を批判し、3年前の「世界」8月号に「米国の抑止力だけを頼りに中国、アジアと向き合うという認識は大きく時代潮流を踏み外しているといわざるをえない」と寄稿した。平成10年2月には参院国際問題調査会の参考人として出席し「日米中トライアングル論」などの持論を展開した。中国と米国にそれぞれ一定の距離をとるという論は、いわゆる日米中正三角形論に通ずる。>
 寺島実郎氏は尊敬する人物だが……。理想主義者過ぎるよ。
 <この正三角形論は自民党の加藤紘一が幹事長時代に「3国が友好関係にないとアジアは安定しない」趣旨で発言した。小沢一郎も3年前の民主党代表当時「日米中の関係は正三角形にすべきだ」と語った。しかし、日米関係にくわしい外交評論家は「日本のために血を流すことを法律で義務付けられている米国を、中国と同列に置くことができるのか」と正三角形論には強い疑問を投げかける。>
 当たり前だと思う。
◆あいまいな共同体
 <問題は鳩山が日米同盟を維持するというものの、日米の「対等な関係」の中味をあいまいにしたまま、中国などとの関係強化と多国間安保の枠組みを模索していることだ。この理念は鳩山ブレーンらも共有している。>
 曖昧さは戦術なのか、本当に今の段階では中身がないのか?
 <日米関係筋は「対等な関係というなら、空母の建造費や運営費を半分払ってくれるのか」と反問し「どういう風に対等にするのかを聞いたことがない」と首を傾げる。>
 米国にすれば首を傾げざるを得ないかもしれない。
 <今月5日、訪韓した鳩山は李明博大統領との会談で「日本は対外的に米国ばかりを向いている」としたうえで、東アジア共同体構想をぶちあげた。「必要なら米国まで視野に入れる」と付け加えたものの、大統領は直接答えなかった。鳩山は会談終了後の記者会見で「アジア太平洋共同体というほうがふさわしい」と言い換えたが、全体像が詰まっていないことをみせつけた。>
 李明博大統領は利口だから。
 <鳩山はかつてまとめた憲法改正試案に「主権の移譲」を明記した。自衛隊の指揮権を国際機構に委ねようという構想だ。13年前には文芸春秋に「友愛の精神」として「私は『地球市民としての自立と共生』にその答えを見いだしたいと思う」と著した。意味不明であいまいな部分は今もあまり変わっていないようにみえる。対等な日米関係で日本の安全がどう保たれるのか。具体的な説明がなければ、国民は安心できない。>
 米国が絶対しないことは自国の軍隊を他国の指揮官の下に入れることだ、という原則を覚えておいたほうがいい。
■第6回<ブレ目立つ「北方領土」>
 <東京都文京区音羽の一角に「音羽御殿」と呼ばれる故鳩山一郎元首相の瀟洒な洋館がある。その中庭に、一体の銅像が西の空を仰いで立っている。ロシアが贈った一郎の銅像である。2006年10月、モスクワで開かれた日ソ共同宣言50周年記念シンポジウムに出席した孫、由紀夫に対し議長のルシコフ・モスクワ市長は「日露関係を発展させた」として一郎の銅像寄贈を伝えた。当時、民主党幹事長の由紀夫は笑顔で「祖父の遺志を継いで、日露関係の発展に寄与したい。像は祖父邸において大事にしたい」と謝辞を述べた。作者は、柔道着姿のプーチン首相の銅像も手がけたロシア美術アカデミー総裁でもある彫刻家のズラブ・ツェリテリだ。終戦以来、断絶していた日本と旧ソ連の国交を回復する日ソ共同宣言に1956年調印した一郎に対するロシアの思い入れは強い。>
 銅像の話、知らなかった。
 <今年3月、政府系のロシア新聞がモスクワで開いた円卓会議で、ロシア21世紀委員会のイーゴリ・チトフ委員長はこう称賛した。「鳩山一郎は自由党、民主党の党首を務め、現与党の自民党の最初の総裁に就任したという世界でもおそらく類をみない驚くべき政治家だ」「彼は病身にもかかわらず、タイ、フィリピン、スイス経由で5日間もかけてモスクワに赴き、日露の国交回復に尽力した。彼が調印した日ソ共同宣言はいま、日露関係を発展させる原点となっている」。>
 ロシアが前向き、という話と「そうではない」という両方の話があって分からない。
◆鳩山一族への思い
 <森喜朗元首相とともに日露賢人会議の共同議長を務めたルシコフ市長の補佐官でもあるチトフは市長とともに「千島症候群」を著し、北方領土問題を2島返還で決着させると提言していた。そのチトフは発言をこう結んだ。「鳩山一族は、日露関係発展の象徴的な存在となった」。一郎は日ソ協会創設者の一人となり、最後まで代表を務めた。由紀夫はその後継である日露文化交流団体、日ロ協会会長だ。由紀夫の長男も国立モスクワ大でロシア語を学びながら教壇に立っているという。一郎から一族へ、ロシアが熱い視線を向ける背景には、2島返還が見え隠れしている。>
 そうなのかぁ、まあ、そうなのか。
 <プーチン首相をはじめとする露指導部は、平和条約締結後の歯舞、色丹の2島引き渡しを明記している日ソ共同宣言を日露間の領土問題を解決するための「唯一の合意文書だ」としている。4島返還ではなく2島で北方領土問題を決着させるためにも、共同宣言の立役者である一郎とその一族を評価したがっているようなのである。>
 ふーん。
◆相手が納得の返還
 <不安視されるのは北方領土問題への由紀夫の対応である。2007年2月、一郎の銅像の除幕式が来日中のフラトコフ露首相(当時)らを前に行われた。由紀夫は「われわれ孫たちが真剣に北方領土問題の解決に向け、もう一度踏んばらないといけない。4島一括返還では一千年たっても還らない」と語ったと伝えられた。由紀夫は自らのメールマガジンでこの式典に触れた。その少し前、麻生太郎外相(当時)が衆院外務委員会で4島を面積で折半する等分論を打ち出していた。由紀夫はこれに触れ「麻生外相が柔軟な発言をされたことがあります。柔軟なことを言うとすぐに売国奴扱いされるのが領土問題です」としたうえで「返還を実現するには相手が納得しなければならない」と訴えた。>
 売国奴という言葉は随分ときついなぁ。
 <その4カ月前の前述のモスクワ・シンポでは記者団に対し「北方四島は日本の固有の領土であり、この問題を解決してから平和条約を締結することが重要だと考える」と答えていた。4島返還の立場をしばらくして否定したわけだが、それがまた変わる。>
 産経新聞はゴリゴリの4島返還論だからなぁ。
 <谷内正太郎前外務次官が毎日新聞とのインタビューで「3.5島」返還論を語ったとされる問題で、由紀夫は4月、メールマガジンに「4島の主権を放棄して解決してはならないと主張してきた」「日本側が最初から譲歩する姿を見せてしまえば、交渉はますます不利になるばかりです」などと論じた。>
 ふーん。
 <由紀夫は5月、民主党代表選への出馬表明で「できれば北方領土問題を解決したい」と意欲を示した。ジャーナリストの櫻井よしこは正論7月号で「信念や国家観において、ブレるようなことがあれば、政敵や外国政府につけ入られてしまいます」と警鐘を鳴らした。こうした由紀夫はロシアから「御しやすい相手」(消息筋)とみられているようだ。持論の「友愛」外交が、その危うさを克服し、国益を実現できるかどうかが試されようとしている。>
 御しやすいのか。
 これで連載は終わりだそうだ。まあ、読みではあった。
 でも、結論は「ようわからん」だな、これは。

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臓器移植法案衆院可決の地方紙を含めた各紙社説まとめ~毎日新聞6月21日朝刊

 臓器移植法案が衆院本会議を通過した。毎日新聞が6月21日朝刊の大型コラム[社説ウオッチング]で<臓器移植法改正/毎日・朝日「参院で審議尽くせ」/読売・日経・産経はA案可決を積極評価>の見出しでまとめていた。小見出しは<多数派工作も>、<多くの地方紙は懐疑的>、<死生観、変化せず?>の三つだった。コピペしておく。

http://mainichi.jp/select/opinion/watching/news/20090621ddm004070026000c.html

 <臓器移植法改正4法案をめぐる採決が18日、衆院本会議で行われ、最初に採決された「A案」が可決された。現行法で禁止している15歳未満の子どもの臓器提供に道を開き、大人の場合も含めて家族の承諾があれば提供を可能にする内容で、脳死を人の死としとした。A案可決により、死の定義は変えずに、臓器提供可能な年齢を下げるB、D案や現行法の脳死判定条件を厳格化するC案は採決されなかった。棄権を決めた共産党以外は党議拘束を外し、麻生太郎首相、鳩山由紀夫・民主党代表が反対。小泉純一郎元首相や小沢一郎・民主党代表代行は賛成するなど判断が割れ、430人が投票した結果、賛成263、反対167(棄権・欠席47)だった。>

 ここまでは経過説明。

 <議員一人一人が信念で投票する、との建前だったが、A案提出者の河野太郎・自民党衆院議員が18日付のメールマガジンで「A案は、採決日が決まったときには、二百二十一までは本人確認がきちんとできていて、共産党が棄権するならば、あと何票必要というところまで落とし込んでいた。テレビや新聞が、連日のように四案とも過半数取れる見込みはないなどといっていたが、そんなことは最初から全くなかった」と勝利宣言したように、A案支持議員らの自民党総裁選並みの多数派工作の影響も少なくなかったようだ。>

 この多数派工作については各紙触れていたが、産経新聞と毎日新聞が詳しかった。

 <19日社説は「死生観を問われる難しい問題だが、これ以上、結論を先送りすることはできない」とする読売と日経、産経が積極評価派、「各案が十分に検討されたとはいえず、議員や国民の間に理解が行き渡っているとは思えない」とした毎日と朝日が慎重審議派と、一応は分類できる。しかし、各社とも本文は一本調子ではなく、衆院議員同様、死生観や幼い子の命の重さに悩んだ跡が見える。>

 一応は二分類できる、と。見出しだけ見ればそうだ。

 <積極評価派は①脳死を「人の死」とするのは世界保健機関(WHO)の指針や主要各国の臓器移植法とほぼ同じ②現行法が規定する臓器提供の条件が世界の中で突出して厳しいため法律施行約12年で脳死移植は81例にとどまり、毎年数千例の米国、数百例の欧州主要国と比べあまりにも少ない③多くの子どもが海外で移植を受けてきたが、外国頼みに国際的な批判も強く、WHOも渡航移植自粛を求める新指針を決めようとしている④3年後としていた現行法の見直し時期が過ぎて10年近く、これ以上の放置は許されない――などを理由にA案を評価した。>

 この「積極評価派」という言葉が適切かどうかも議論のあるところだろうが、一応は見出しで分けているのだろう。

 <慎重審議派は①本人同意を条件から外しても提供が確実に増えるとは限らない②子どもは脳死判定が難しい③親の虐待による脳死を見逃さないようにする課題が残る④親族に優先的に臓器提供できる規定は公平性の点で問題がある⑤医学の進歩で生まれた新しい死である脳死を法律で人の死と定めることの影響は多方面に及び、まだ国民的合意ができていない――などをあげ、参院でより良い法案に修正することを期待している。>

 この「慎重審議派」はまさしく参院で時間をかけて、ということ。衆院が解散された瞬間に廃案になるので、慎重審議派はもしかすると「廃案派」かもしれないが。

 <地方紙にはA案に懐疑的な社説が目立った。インターネットの各紙ホームページで見ると、<参院でこそ徹底論議を>(北海道新聞)、<国民合意へもっと議論を>(東奥日報)、<禍根残さぬ議論不可欠>(秋田魁)、<参院でさらに議論深めよ>(北日本新聞)、<参院はしっかり審議を>(岐阜新聞)、<議論は十分尽くされたか>(山陽新聞)、<まだ議論の余地がある>(中国新聞)、<国民の合意得る努力を>(南日本新聞)、<国民的なコンセンサスを>(琉球新報)などの見出しが並ぶ。>

 ここが今までの社説ウオッチングと比べてユニークなところだ。これも見出しをもとに区分しているのは在京紙の場合と同じなのだろう。

 <<ともかく一歩踏み出した>(西日本新聞)、<15歳未満に光は見えたが>(神戸新聞)との積極評価派もあるが、逆に<成立を急いでは禍根残す>の新潟日報は、わずか9時間という拙速の委員会審議は現行法を根幹から変えるのに不十分とし「国民合意のないまま、国会の多数決で死の定義を決めることには疑問がある」、「疑問を残したまま法が成立すれば大きな禍根を残す。参院ではゼロから徹底審議すべきだ」と結んでいた。<あまりに乱暴な改正だ>の信濃毎日新聞は「『脳死は人の死か』という命にかかわる重い問いを、あまりに乱暴に決めてしまった。とても納得できない」、「参院は法案の問題点を細部まで詰めて、修正を図るべきだ」と主張した。>

 怒っているような論調は何なのだろう? 生命についての議論が地方からでは見えにくい、ということもあるのか?

 <地方紙の分布を見る限り、保守性の強い旧来の地域コミュニティーが残る地域の新聞ほどA案への違和感が強いようにも見える。「海外依存からの脱却」などを前面に、積極推進派の日経など都会派新聞や都市部にターゲットを絞った新聞が「クリアできる」と判断した「国民合意」の一点について、地方紙が疑問を呈していると言えるかもしれない。18年前に出た岩波新書「医療の倫理」の中で京都大学医学部教授・倫理委員会初代委員長を歴任した星野一正氏は「人の死として社会が容認する死の定義は、国や社会によって異なってしかるべき」としたうえで、医学・医療技術の進歩で日本の社会的死生観、生命観が将来、急速に大きく変化する可能性を指摘。「それゆえ、死の現象などについての法制化は好ましくないと考える」と書いた。その後、臓器移植法が成立したものの、日本人の死生観はそれほど変化しなかったことを今回の法案採択への反応が示したのかもしれない。グローバル化した世界の中で生命倫理問題をどう考え、対処するか――。参院が大きな責任を負っていることは間違いない。>

 つまり、筆者は毎日新聞記者だから、やはり「慎重審議派」だ、ということなのか。

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2009年6月20日 (土)

米国が韓国大統領を破格の厚遇だって、良かった良かった~朝鮮日報6月20日

 また韓国の新聞である。6月20日の朝鮮日報日本語版にアップされたコラム<核挑発のおかげで生じた出来事>が面白かった。日本の新聞があまり書かなかった米韓首脳会談の模様、雰囲気が手に取るように分かる。米国が韓国に気を遣ったのだが、それでは足りずに、今度は「あの」ワシントン・ポスト様が韓国をもっと優遇せよ、という社説を書いた、という内容である。ワシントン支局の李河遠特派員の記事である。

 読んでみよう。

 <米紙ワシントン・ポストは16日付で注目すべき社説を掲載した。見出しは「現場の芸術」。この社説は北朝鮮による挑発的な行動に韓国と米国が断固として対応するには、両国を仲違いさせる問題を改めて見つめ直す必要があると主張している。さらに現在、オバマ政権が実現をためらっている韓米自由貿易協定(FTA)を早急に発効させるべき、との主張も展開した。北朝鮮による核の挑発に厳格に対応するには、米国としては同盟国との対立の種となる問題を1日も早く解決すべき、という趣旨だ。北朝鮮による核の挑発がなければ、米国の大手新聞が社説でこのような主張を展開することはなかっただろう。>

 まあ、半分以上は冗談で「北朝鮮のおかげ」と書いているわけだとは思うのだが、米国の手の平を返したような厚遇ぶりは面白い。

 <今年初めから続いている北朝鮮による相次ぐ挑発の影響で、韓米両国の間で以前は目にすることのなかった現象が、ワシントンで起こるようになった。李明博大統領によるワシントン訪問に関しては、「これ以上望むことはない」と韓国政府の関係者が口にするほど、米国側が大きく配慮した。オバマ大統領は今年2月に日本の麻生首相が米国を訪問した際には、共に食事をすることなく会談を行うだけだった。しかし李大統領に対しては、「単独会談→拡大会談→ローズガーデンでの共同記者会見→昼食会での会談」というまさにフルコースの待遇を準備した。>

 たしかに麻生首相とは一緒に食事もしなかった。そのかわりに、たしか上申院内総務たちとの食事会かなんかに出かけてしまった、と記憶しているのだが。

 <韓国政府が「韓米共同ビジョン」に含めることを希望した内容は「核の傘による拡張抑止力」をはじめすべて含まれることになり、首脳会談で発表された。さらに「自由民主主義と市場経済に立脚した平和統一」と「北朝鮮住民の基本的人権の尊重と増進」も今回の首脳会談をきっかけに明文化されたが、これも大きな意味を持つとされる。>

 韓国の言うとおりに文書化されたのか。それは良かった。

 <また米国連邦下院も李大統領に対して特別の待遇を施した。連邦下院は首脳会談前日の15日「北朝鮮による対南敵対行為の中断および北朝鮮による核開発の放棄を要求する」との決議案を採択し、李大統領を後押しした。先月28日には盧武鉉前大統領の焼香所が設けられた駐米大使館にクリントン国務長官とジョーンズ国家安保補佐官が訪れ、故人の冥福を祈った。これは盧前大統領を追悼すると同時に、韓米同盟がしっかりと機能していることを示すという意味合いもあった。>

 そりゃそうでしょう。誰だって盧武鉉が嫌いなのだから、盧武鉉だけのために行くことなどありえるはずがない。韓国の李明博大統領のために決まっている。

 <北朝鮮による相次ぐ挑発のおかげで、金大中・盧武鉉両政権の10年にわたってぎくしゃくしていた韓米関係は急速に改善されつつあるようだ。この流れが続けば、2012年に予定されている戦時作戦統制権の移管も延期される可能性が高い。この点については、今年1月までホワイトハウスに勤務していたワイルダー前NSC局長も言及している。>

 そうでしょう。戦時作戦統制権の移管問題は米政権が盧武鉉大統領時代の反米主義を見て、もしもの場合を考えて38度線から米国人兵士を引き離し、なおかつ、なるべく在韓米軍基地の機能を日本に移そうとした計画だったのだから、親米、親日の李明博政権が続くという保障があれば、あんなカネのかかる構想はおじゃんにするでしょう。

 <これとは反対に、米国国内で北朝鮮よりも韓国政府を批判してきた勢力は最近、沈黙を守っている。北朝鮮は韓国に対して軍事力を行使することはない、という彼らの妄想は、北朝鮮による「停戦協定を破棄する」という脅迫や「戦争も辞さない」という発言などで意味を失いつつある。>

 やっぱりそういう勢力が跋扈していたのか。韓国の反政府勢=北朝鮮と気脈を通じる一派だな。誰と誰が中心なのか? 知りたいものだ。

 <北朝鮮の金正日総書記が国際社会からの警告を無視して今後も挑発を続けた場合、北朝鮮は核兵器をさらにいくつ保有するようになるか分からない。また、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の飛距離を伸ばす技術を開発することも考えられる。しかしそうなったとしても、米国に匹敵するほどの「強盛大国」になり得るだろうか。歴史の中に消えたソ連のケースを見ても、レーニンの銅像が破壊されたのは核兵器がなかったのが原因ではない。>

 そりゃそうだ。いい事を言うなぁ。

 <北朝鮮が強硬な姿勢を強めるのに比例して、韓米の同盟関係は強化されつつある。これを目にした金総書記が自らの過ちを悟ることも考えられるだろう。今は北朝鮮の核による挑発が、逆に韓米両国にとっては危機をチャンスに変えるきっかけになるかもしれない。この点は金総書記に対してもしっかりと理解させなければならないだろう。>

 何かちょっとお話にしすぎて、楽観的に見えるところに難があるが、よくできた記事だと思う。米国の雰囲気が出ている。

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韓国保守新聞を脅かす左派勢力の脅しは金正日の陰謀だ~産経新聞6月20日朝刊

 少し前から韓国紙が狂ったようにキャンペーンを始めたテーマを産経新聞6月20日朝刊国際面が<韓国の“新聞戦争”再燃/左派系の市民団体が広告企業に圧力>の見出しのハコ記事でまとめていた。度し難い国民がいる国である。何が起こるか分からない。日本は終始一貫ぶれずに李明博政権を支持することが大切だろう。ソウル支局の黒田勝弘特派員の記事だ。読んでみよう。

 <韓国で左派・右派の“新聞戦争”が再燃している。左派系の市民団体が企業に対し製品の「不買運動」を武器に、右派系の大手紙への広告は中断し左派系の新聞に広告を出すよう“圧力”をかけているためだ。>

 日本では訳の分からない連中が毎日新聞攻撃をしていたが、韓国の方がもっと悪質みたいだ。

 <背景には近年、韓国社会で目立つ左右両陣営の根深い政治的対立がある。左派勢力は盧武鉉前大統領の自殺事件をきっかけに盛り上がった李明博政権に対する反政府ムードに便乗し、あらためて右派・保守系の大手紙たたきと左派新聞の支援に乗り出している。>

 盧武鉉支持勢力だろう、犯人は。

 <韓国の新聞界は保守系の朝鮮日報、中央日報、東亜日報の大手3紙が全体部数の70%以上を占めるなど圧倒的に強い。一方、左派系のハンギョレ新聞や京郷新聞などは劣勢で、旧政権や左派・野党勢力はことあるごとに大手3紙を非難、攻撃し逆に左派系紙を応援してきた。>

 京郷新聞が左派系とはこの前初めて知ったのだが、産経新聞と提携しているのが京郷新聞というのも随分と皮肉なことだ。

 <広告企業への圧力運動を主導しているのは左派系の「言論消費者主権国民キャンペーン」なる団体。まず広告量の多い大手製薬会社を相手に、不買運動を圧力材料に左派紙にも広告を出すよう要求し実現させた。>

 悪い奴らだ。

 <第2弾として韓国最大の企業グループである「サムスン」を標的に「大手3紙への広告中断まで不買運動をやる」という。これに対し大手3紙は「市場経済と言論自由への侵害」「不法な企業脅迫」と猛反発しているが、運動団体や左派系紙は「合法的で正当な消費者運動」と譲らず、紙面でも激しい非難合戦を繰り広げている。>

 韓国の不幸は国論の統一がなかなかできないことだ。これは天皇制がないことが大きいのではないか、とも思うのだが、もういちど日本領にするわけにもいかないし。

 <左派勢力の“広告圧力”は昨年、米国産牛肉輸入反対で反米・反政府運動が盛り上がった時にもあった。この時は企業への電話攻勢など脅迫や営業妨害を伴う圧力は違法との判決が出ている。>

 圧力は違法だろう。威力業務妨害罪などが適用されるはずだ。

 <運動サイドは不買署名運動や企業デモなどを計画しているが、論調が気に入らないといって新聞不買ではなく広告企業に圧力をかけることが「まともな消費者運動」かどうか、あらためて議論を呼んでいる。>

 韓国だからそうなるのだ。怖い国だ。

 <韓国のマスコミ界はテレビには依然、左派勢力の影響が残りインターネットも左派系が優勢だ。故盧武鉉氏に対する評価が疑惑から一転して“英雄”に変わったのも、テレビやネットでの追悼・称賛キャンペーンの影響が大きい。>

 テレビが左派に牛耳られていることは大きい。李明博政権は早く強権発動をして、テレビ権力を奪還すべきだ。

 <大手3紙への左派勢力の執拗な攻撃には北朝鮮問題が微妙にからんでいる。親北・左派勢力にとって、社会的に対北融和ムードが広がる中で北の独裁体制や人権問題を厳しく取り上げる朝鮮日報など保守・右派系新聞は、最大の“敵”になっている。>

 金正日総書記の仲間がやっていることなのだ。それを韓国の国民はなぜ分からないのだろうか?

 <企業広告をめぐる“新聞戦争”は、ただでさえ広告減で苦しい新聞界にとっては「自殺行為」との批判も聞かれるが、北朝鮮もからんだ左右対立という政治構造が根底にあるため簡単には収まりそうにない。>

 あとは軍が最大限、李明博大統領をバックアップして、強権発動をすることだ、と言いたいが、そうするとまた「民主化勢力」とかいう北朝鮮もどきがワーワー言うから楽じゃない。

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北朝鮮が言う「米国の追従勢力」は中国のことだって、知らなかった!~産経新聞6月20日朝刊伊藤正氏コラムから

 産経新聞6月20日朝刊国際面コラム[緯度経度]で北京支局の伊藤正特派員が<朝日新聞に汚名そそぐ責任>というタイトルで書いていた。

 <朝鮮問題の権威である中国共産党中央学校の張レン瑰教授(66)とは5年前に知り合った。中朝国境に近い吉林省延辺で開かれたシンポジウムで同席したことによる。そのシンポでもその後の接触でも、教授は一貫して、北朝鮮の核保有への決意は変わらず、核を放棄させるのに話し合いは無益との認識を示した。これは6カ国協議で核問題を解決しようとの中国政府の基本路線に反するものだった。ところが意外なことに、教授は平和解決路線を推進する中国外務省主管の国際情報誌『世界知識』(隔週刊)の常連寄稿者であり、今月中旬刊行の最新号にも2003年の6カ国協議開始後、23本目に当たる核問題関連論文が掲載されている。>

 「へぇー」という話。中国の北朝鮮専門家がこう見ている、ということを日本の外務省は知っているのか? たしか、韓国の新聞で見たなぁ。

 <この最新論文は7ページに及び、6カ国協議が破綻した必然性として北の核開発への真意と決意を読み違えた点などを指摘。さらに2006年10月の核実験に対する国連安保理の制裁決議が形骸化した背景を説明した上で、武力制裁条項を含む決議でなければ北は重視しないと主張している。>

 そうでしょう。中国の専門家までそう言っているのだ。

 <この論文に先立ち、張氏は韓国紙の取材に6カ国協議は北朝鮮が核開発の時間と物資を獲得するペテンだったと断言。北に核を放棄させるには対話ではなく、国際的な圧力が不可欠と述べていた。教授の持論だが、重要なことは、それが今、中国政府の共通認識になった点だ。>

 やっぱりそうだった。韓国の新聞のインタビュー記事で読んだ内容だった。韓国の新聞はこういう問題になるとポイントを絞ったいい取材をするものだなぁ。

 <北朝鮮は、中国の自制要求を無視しミサイル発射(4月5日)に続き2回目の核実験(5月25日)を強行、それに対し中国は国連安保理の議長声明、制裁決議にそれぞれ賛成した。これは事実上、6カ国協議を放棄したに等しい。>

 中国による6カ国協議放棄である。持つ意味は大きい。

 <北朝鮮はこれに反発、6カ国協議からの離脱や核全面開発を宣言、中国を「米国の追従勢力」と呼ぶなど中朝関係は険悪化した。ある中国当局者は「事態打開に中国側からは動かない」とし、仮に北側が妥協を求めて来た場合も「核開発の停止」が条件と話した。>

 私は勘違いしていたようだ。「米国の追従勢力」というのは日本のことだと思って読んでいたが、中国のことだったのだいう。これは大変なことだ。

 <過去、中朝間には何度も危機があったが、今回ほど深刻ではなかった。それは北が核をバックに中国の国益や安全を脅かし、政治的要求を拡大していることによる。張教授はかつて「北の脅威は、独裁者の一存や狂気で核使用も辞さないからだ」と話した。>

 気違いに刃物である。この「気違いに刃物」はパソコンで変換出来ない言葉だ。差別用語だというので、辞書から排除されているようだ。GHQ時代から続く言葉狩りは今も続いているのだ。

 <北朝鮮が対決姿勢を強める中で、朝日新聞の16日付朝刊1面トップ記事には目を見張った。北の金正日総書記の後継者とされる三男、金正雲氏が10日前後に総書記の特使として訪中し、胡錦濤国家主席と会談したというのだ。>

 その問題は今、大変な騒ぎになっている。

 <その日の中国外務省定例会見で秦剛報道官は「その件は承知していない」と間接的に否定した。中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」英文ネット版は北京の北朝鮮大使館が「報道は事実無根」と述べたと伝えた。>

 そういう事実関係だった。

 <これに対抗するように朝日は18日付朝刊で、1面と国際面に続報を掲載、胡主席との会談には金正日氏長男の正男氏も同席したことや、正雲氏が訪問したとされる広東省や大連市での行動を詳しく報道した。>

 これがあったので、私は朝日新聞の方が正しいと思っているのだ。

 <秦剛報道官が同日の会見で、朝日報道を明確に否定し、「007の小説のようだ」と皮肉ったのは朝日を除く各紙が報道した通りだ。中国側はこの種の記事については事前に関係部門に確認作業をするのが常で、報道官の言明は政府を代表する重さがある。>

 そうなのだろうなぁ。

 <要は事実関係の有無にあり、いずれ白黒ははっきりする。一連の記事は「両国を往来する金総書記に近い筋」などが情報源とされる。朝日新聞が中国側の否定を無視、自信を示しているのは、情報源を信用してのことだろうが、このような極秘情報に落とし穴は付きものだ。>

 なるほど、ここからが面白そうだ。

 <19日付の「環球時報」は「007式物語が朝鮮を取り囲む」との見出しで、日韓の報道を批判した。報道を「007」と侮辱されて黙っている手はない。朝日新聞は、世界中に流れた虚報の汚名をそそぐ責任があると思うが。>

 朝日新聞をけしかけている。天下の伊藤記者に言われたのだから、朝日新聞は返事をすべきだろう。

 僕はいまだに、北朝鮮とべったりの朝日新聞が誤報を書いたことを疑っている。仲間の朝日新聞の影響力が弱まれば困るのは金正日総書記なのだから、北朝鮮は朝日新聞には最大の便宜を図っているだろうし、ガセネタをつかませるような意地悪はしないだろう、と思っているのだが。

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岸信介の「棺を蓋いて事定まる」と国家安全保障の大切さ:マスメディアの責任は大きい~産経新聞6月20日朝刊[土曜日に書く]皿木論説委員コラム

 産経新聞6月20日朝刊コラム[土曜日に書く]で皿木喜久論説委員が<今も晴れぬ岸信介の「憂鬱」>のタイトルで国の大本である安全保障問題について書いていた。読んでみよう。小見出しは≪棺を蓋いて事定まる≫、≪安全保障への思考停止≫、≪盛り上がらぬ対北論議≫。危機が過ぎるとケロリとして、安全保障問題を考えようともしない国民、特にメディアを痛烈に批判する論考だった。

 <49年前の昭和35年6月19日午前零時、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」つまり新日米安保条約が国会で自然承認された。新条約は1カ月前の5月20日未明、自民党単独により衆院で承認された。しかし、この「強行採決」は最大野党の社会党を中心とする「アンポ反対」運動を一層燃え上がらせた。連日、労組や全学連のデモ隊が国会や首相官邸を包囲し、政治が機能しなくなった。批准書交換のため、6月に予定されたアイゼンハワー米大統領の来日も中止に追い込まれた。このため岸信介内閣も自民党も参院での承認をあきらめ、憲法61条の規定による30日後の自然承認を選んだ。前夜の18日は土曜日だったが、官邸周辺はデモ隊で埋まり、岸首相は一歩も外に出られない。官邸の一室で午前零時を待ち、そのままソファに横になって一夜を過ごした。つき合ったのは実弟の佐藤栄作蔵相や椎名悦三郎官房長官、福田赳夫農相らだった。6月の「短夜」が明けると、さすがのデモ隊も三々五々散ってゆく。>

 来年は安保改定50年なのか、よくも長く続いているものだ。

 <岸は午前6時過ぎ、自宅へ引き揚げた。そのさい周囲に「棺を蓋いて事定まる」と言い残したとされる。人の評価は死後に初めて定まる、という中国の晋書にある言葉である。凡人が自分のことをこう言ったら、鼻持ちならなく聞こえる。だがこの時点の岸の心境には、ピッタリだった気がする。>

 岸の言葉は反対運動に囲まれながら、やるべきことをやり遂げた男の、血を絞り取るような言葉だったのだろうか?

 <岸は元来、憲法改正による自主防衛論者だった。しかし、左右社会党の統一などで改憲が難しくなったこともあり、安保条約の改定に踏み切る。それまでの条約は、占領終了後も日本に米軍を残すためという意味合いが強かった。新条約は、その米軍に日本を防衛する義務を課すというところに力点が置かれていた。ところが35年1月、自ら渡米して新条約に調印し帰国すると、想像以上の反対論に出くわす。それも「安保を改定すると、日本は戦争に巻き込まれる」といった、その意味をまるで理解しないものだった。当時デモに参加した人の多くも「安保の意味などわかっていなかった」と認める。>

 吉田の安保は基地提供条約だった。それを恥じた吉田は若い政治家たちには安保条約に署名させず、後世に恥を残す証拠には自分の署名だけをとどめた。日本再独立のためにはいろいろな犠牲を払っても仕方ない、と割り切って早期講和を選択した吉田も偉かった。自主憲法を考えながら、客観情勢利あらずとして、安保改定に踏み切った岸も偉かった。なにか、社会党と進歩的文化人たちのアホさ加減だけが浮かび上がる、という書き方だ。

 <マスコミも同様だった。特に衆院で承認された後は安保改定の是非ではなく、岸政権の政治手法に批判の矛先が集まった。5月28日の岸の記者会見でも「首相のやり方は力に対して力で報いるようなものではないか」と攻めた。岸は「今(デモ隊に)屈したら日本は危機に陥る。私は声なき声に耳を傾けねばならないと思う」という「声なき声」論で、真っ向から反論する。安全保障に対する無理解への岸のイラダチのようなものを示していた。>

 安全保障に無理解なマスメディアという事実は今も同じだ。

 <むろん岸や政府の説明不足もあった。しかし、当時の厳しい東西対立の中で、自国の置かれた立場すら考えようとしない。経済優先で外交・安保問題に正面から向き合おうともしない。そんな戦後政治の「思考停止」状況が根底にあったと言っていい。>

 「戦後政治の思考停止」という言葉は格好はいいが、これもワンパターンだ。思考はしているのだが、真に迫った思考ができなかったのではないか。

 <不幸にしてこの潮流は今にいたるまで続いている。安保改定が終わると、自民党はヤレヤレとばかり経済成長政策に邁進する。憲法改正はもとより、集団的自衛権の見直しなど、国の安全を守るための前向きの努力を放棄してしまった感がある。>

 経済成長は悪くはない。しかし、池田の高度成長後、佐藤が沖縄返還を勝ち取り、その後が問題だったのではないか。つまり、田中角栄政権以降の日本政治のあり方をもう一度検証しなおす必要があるのではないか。

 <当時の社会党をはじめとする反自民勢力も、湾岸戦争やイラク戦争が起きるたびに「米国追随」と批判するが、それに代わる安全保障や国際協調の方策を何一つ示さずにいる。マスコミも同様だ。遅くとも3カ月以内には総選挙が行われるという時期にあっても事態は変わらない。>

 社会党は消滅した。後継である社民党はミニ政党になった。民主党は保守的な政党になりつつある。

 <北朝鮮は日本人拉致をはじめ、核実験にミサイル発射と、いよいよ危険な隣国となりつつある。中国は軍備拡張で日本への圧力を強める。他にもソマリア沖での海賊の横行や対馬への韓国資本の流入と、今や日本は四方八方から安全や主権を脅かされている。>

 この客観認識は国民の多数に共有されていると思う。

 <そうであれば、今回こそ外交・安保問題、とりわけ北朝鮮対策中心に論じられるべきだろうが、どうもそうではなさそうだ。17日の麻生太郎首相と鳩山由紀夫民主党代表の党首討論でも議論は進まなかった。今回の総選挙は自民党や麻生政権のさまざまなミスもあって、政権交代の可能性も取りざたされている。特に民主党からは期待をこめて「天下分け目の戦い」などとされる。>

 党首討論は正直、がっかりした。鳩山から機先を制するように北朝鮮問題を言われ、麻生が二の句を継げなかった。しゃべるべき内容を精査していなかったのではないか。勉強不足だ。

 <国民の「生活」は重要だ。しかし、国の存亡にかかわる外交や安全保障の論議をやらないままで何が「天下分け目」なのか。49年前の岸首相の憂鬱は晴れそうにもない。>

 無理矢理「岸の憂鬱」に引っかけているが、そうでなくとも、心ある人々の憂鬱は晴れない。

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2009年6月19日 (金)

国連機関が「北朝鮮で飢餓」だと、援助ストップのせいにしているぞ!=北朝鮮の国際世論工作に騙されるな~6月19日聯合ニュース+6月17日朝日新聞朝刊

 これからは、こういうニュースがあふれるだろう。そして、先進国の人々の耳目を集め、アメリカの中西部の一般家庭からは「可哀想じゃないの、金正日と一般の北朝鮮の人は別よ、人道問題だわ、食料をなぜ援助しないのよ」という「良識」あふれるキリスト教徒たちの声が湧き上がるだろう。オバマ大統領はそういう声を無視できない。そうなれば、米国は食糧援助を再開するだろう。そして、金正日一派はほくそ笑む。何か、15年前の再現ビデオを見ているようで、展開が分かってしまう。

 <食料支援途絶え北朝鮮に餓死の懸念、WFP報道官>というソウル発の6月19日の聯合ニュースである。読んでみよう。短いニュースだから。

 <国連世界食糧計画(WFP)が、北朝鮮で外部からの食糧支援中断により餓死者が発生する懸念があると明らかにした。>

 衝撃的な前文だ。「外部からの食糧支援中断により」という物言いはいかにも「外からの食糧支援さえあれば餓死者は出ない」、「餓死者が出るのは外から援助しないからだ」という論理に結びつきやすい。本当の原因はそうではないだろう。金正日総書記らの方針が核兵器開発とミサイル開発にはふんだんに金を使って、その金を民政に回さないから、餓死者が出ているわけだ。

 そして、餓死者をなくすには金正日支配をやめさせるしかない、ということは論理的に分かるのに、国連の機関がこんな報告書を出すようでは世も末だ。

 <WFPアジア事務所のリスリー報道官は19日、米自由アジア放送(RFA)とのインタビューで「(北朝鮮での)餓死者発生を大変懸念している。食糧支援を増やさなければ、栄養失調で多くの人が倒れ死ぬ可能性があり、懸念している」と述べた。北朝鮮住民の間からは米国の食糧支援に関する話や質問が多く聞かれ、米国の食糧支援が中断された理由を尋ねたり、いつ再開するかという質問を受けることも多いと伝えた。>

 ほらね、いつもこれなのだ。北朝鮮と国連機関が結託して国連安保理決議を無効にしたがっているのだ。

 <これまで北朝鮮住民150万人に対し、4人家族を基準に、1週間にコメ2㌔㌘と穀物1㌔㌘を支援していたが、国際社会の支援が途絶えたことでこれもままならず、最近は半分や4分の1に供給量を減らしているという。>

 ミサイル開発をやめて、核兵器をすべて廃棄すれば食料など、食べきれないくらいあげるのに。そういう宣伝を北朝鮮の国民にできないものだろうか。

 <北朝鮮担当の報道官も、昨年収穫した食糧がすべて底を突いたうえ、この数カ月間、外部支援が途絶えており、北朝鮮住民の食糧事情は大変劣悪だと指摘。次の収穫期までが心配だと話している。>

 北朝鮮担当の報道官なんているんだなぁ。こういう人はどの程度、本当のことを知っているのだろうか? 北朝鮮はこういう人を本当の現場には連れて行かず、強制収容所で飯も食わせず、やせ衰えた家族らを一時的に出してきて見せたりするのだろう。
 その手ももはや15年前に何度も味わっている。二度とその手は食わぬぞ、と思うのだが、敬虔なキリスト教徒が「可哀想」と言ったらオバマ大統領は……。

 もしかすると、今後の北朝鮮の国際世論対策はこの飢餓かもしれない。少なくとも米国と韓国の世論は動揺するだろうから。

 朝日新聞6月17日朝刊対社面<親族から「生活厳しい」/在日コリアン困惑/北朝鮮制裁>はまさに、朝日新聞らしい側面攻撃だ。北朝鮮への日本の独自制裁が16日決まったので、「それっ、在日だ」と取材に賭け付け、期待通りの言葉が聞けたので、勇んで記事に仕立てたのだろう。

 たしかに可哀想な事態ではあるが、日本国民全体の脅威として立ちふさがろうとしている国家が悪いので、制裁を決めた日本国が悪いのではない、という視点が欠けているから、この記事を読めば「国も何てひどいことをするんでしょ」という感想が出てくる可能性がある。朝日新聞はそれを期待しているのだろうが。

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韓国紙を読むと世界が分かる:米中の識者のインタビューなどで日本は完全無視されている~6月19日中央日報、朝鮮日報

 韓国の新聞がお手本になる、と思うのは、その時に必要だ、と思ったら突貫取材で何が何でも聞いてくる、という姿勢が貫かれていることだ。日本の「良識」あふれる新聞にはない「一点突破全面展開」方式である。

 北朝鮮の核問題では米国と中国がカギを握っている、というのは衆目の一致するところだろう。そうした時に、韓国の新聞は「当たるも八卦」であるかもしれないが、米中両国の影響力のありそうな人物へのインタビューなどを連日のように展開しているのだ。日本の新聞との大きな違いだ。

 今回の北朝鮮の核問題では米専門家が議会で証言したように北朝鮮の攻撃対象は韓国ではなく日本または在日米軍基地になる、と見るのが順当だろう。それも、日米の離間を図るという戦術を考えた場合、在日米軍基地は米国そのものだから、狙わずに、日本の地方都市か原発を狙うぞ、という脅しをかけ、米国の顔色を見るところから始める、というのがあり得るシナリオだと思う。

 そういう危機意識を本当は日本が持たねばならないのだが、戦後64年、安全保障という問題をタブー視してきたツケが回り、国会議員も腑抜けたことしか考えられなくなっているようにも見えるのだ。

 6月19日にネットを見たところ、中央日報のホームページに<「現状況としては5カ国協議が核解決の最善策」>という中国の研究所所長のインタビュー記事が掲載されていた。参考になりそうなので、コピペしておこう。

 <「現状況としては、北朝鮮以外の6カ国協議参加国による5カ国協議が最善の策だ。ただ朝米協議と朝中協議につながってこそ実効性がある」――。香港城市大学・現代中国研究所の鄭宇碩所長(60、政治学科教授)が韓米首脳会談と関連して提案した北核問題の解決策だ。中文大の教授、香港政府の外交補佐役などを務めた鄭宇碩所長は国際外交学界で「中国の対アジア政策」研究の最高権威者とされる。17日午後、鄭宇碩所長の研究室で北核問題の解決策などについて尋ねた。>

 という書き出しである。中国政府が何をしようとしているのか、を知っている人物だという紹介だ。

<――韓米首脳会談の結果が北朝鮮に対してより大きな圧力をかけるという方向で固まったが、核問題にどんな影響を及ぼすと考えるか。>

 <「米国が韓国に対して核の傘を保証すると明文化したのは、現在、韓米の連携が非常に緊密化していることを象徴的に表している。核問題をめぐり両国の利害関係がかみ合っているからだ。しかし、両国の協力強化の過度な明示は北朝鮮を刺激することになりかねない。すでに北朝鮮はプルトニウムの再処理と武器化など状況をさらに悪化させている」>

 まあ、中国の代理人として米韓の連携を牽制しているのかな。

 <――李明博大統領が(韓米首脳会談で)5カ国協議を提案したが。>

 <「現状況で北核問題の解決策を見いだすための最高のアイデア(best idea)だ。ただ条件がある。5カ国協議の結果が朝米協議、朝中協議につながらねばならない。また2国間の協議はなるべく秘密裏に行われる必要がある。北朝鮮に6カ国協議に復帰できる名分と時間を与え、実効性のあるカードを提示できるようにするためだ」>

 結局、中国にしてみれば日本を排除したいのだろう。韓国とうまくやって、日本には情報を漏らすな、と。

 <――中国は今回の韓米首脳会談をどう評価しているのか。>

 <「李明博政権の発足後、中国は韓国が米国と癒着するのを懸念している。中国の立場から見れば、韓国の行き過ぎた“米重視の外交”は負担となる。中国は北核問題を韓半島だけではなく、米国・日本との力学関係という観点から接近している。したがって“韓国政府が中国を重視していない”という印象を与えてはならない」>

 「与えてはならない」は翻訳だから、こういう表現になるのだろうが、いかにも偉そうだ。宗主国が植民地の人民に訓示を垂れている感じもする。

 <――韓半島の非核化は中国の一貫した外交政策だ。しかし、北朝鮮が核実験に踏み切っても決定的影響力を行使せずにいると批判する声があるが。>

 そういうことだ。その矛盾をズバリ聞いている。

 <「中国が北朝鮮に対し影響力を行使できるカードは確かにある。しかし、いずれもリスクがあるというのが問題だ。例えば食糧や石油の供給を中断した場合、北朝鮮社会が混乱し、難民が中国に流入するのは明らかだ。これはすべて中国が耐えなければならない問題だ。外交圧力を強めれば、北朝鮮は親ロ政策を持ち出す可能性が高い。中国が北朝鮮に対するカードをむやみに使えないもう一つの理由は中国自体に弱点が多いからだ。所得の格差や政治体制による社会の不安、経済的な脆弱さは、いつ中国の体制を揺さぶるか分からない時限爆弾といえる」>

 随分正直に答えている。つまり、中国国内の治安問題や経済格差問題を浮き彫りにする可能性があるので、触りたくないのだ、というのだ。結局、それが第一なのだ。日本が核武装をするかもしれない、とかの選択肢を考慮している風は見えない。

 <――それなら北核問題に対する中国の明確な立場は何か。>

 <「現状の維持(status quo)だ。そして、時がくれば北朝鮮をベトナム式の改革・開放に誘導することだ」>

 時が来れば、か。これが中国の本音なのだろう。

 <――北朝鮮が核実験を続けているにもかかわらず現状維持というのは、韓半島の非核化という外交路線に反するのでは。>

 韓国人記者を尊敬するのは、このように聞きにくい質問を続けてぶつける根性を持っていることだ。その通りだ、と思う質問である。

 <「中国は確かに長期的には非核化を堅持していくだろう。しかし、現状況では核問題による混乱で国益を損なうよりも現状維持のほうがよい、というのが中国指導部の判断だ」>

 核問題で混乱すると中国としての国益を損なうから、今のままにしておく。北朝鮮には日本を狙う核ミサイルを持っても仕方ない、という立場である。中国の本音だろうと思う。胡錦濤主席や温家宝首相がいかに微笑外交で日本人に笑顔を振りまいても、中国は冷厳たる国際政治の論理で動いているのだ。日本は「北朝鮮の人民が可哀想だ」などの感情論ですべてが決まる国だから。臓器移植法案を見れば分かる。

 <――核問題を解決するために米国が軍事的方策を選ぶ可能性は。>

 <「日本は分からないが、韓国と中国・ロシアは反対している。米国が最悪の場合に選択するかもしれないが、その前に多くの段階があるため現実的に起こるとは考えていない」>

 米国の軍事オプションは中国、韓国、ロシアが反対しているからできないだろう、と安心しきっている。そういうことなのだろう。中国はクリントン米国務長官らからしっかりと言質を取っているのだろう。

 つまり、日本は蚊帳の外で、すべてのことが決まっていっているのではないか、と思うのだ。

 こういう中国人や米国の政権に近いシンクタンク関係者のインタビューを日本の新聞でも、もっともっと掲載してほしい、と思う。

◆李明博大統領と米識者との懇談会

 朝鮮日報はワシントンに同行した朱庸中記者が<核問題/「中国の役割、これまで以上に重要」/李大統領、米国の専門家らと懇談会>という記事をアップしていた。

 <「行き詰まっている北朝鮮の核問題を解決するためには、中国の役割がこれまで以上に重要になるだろう」。米国の外交分野で「2大重鎮」とされるズビグネフ・ブレジンスキー元国家安全保障問題担当大統領補佐官とヘンリー・キッシンジャー元国務長官が17日昼(現地時間)、ワシントンで李明博大統領と会い、北朝鮮の核問題について同じ見解を示した。李大統領と米国の専門家9人による懇談会で司会を務めたジョン・ヘイムリ元国防副長官は「(ブレジンスキー、キッシンジャー)両氏が歩調を合わせたのは初めて見た」と語った。80歳を超えるブレジンスキー、キッシンジャー両氏は30年余りにわたり、米国の外交史におけるライバルとして知られてきた。>

 まあ、少し大げさかもしれないが、キッシンジャーもブレジンスキーも「日本はダメだ」という点では一致している、ということだろう。

 <非公開で行われたこの日の懇談会の内容についてヘイムリ元副長官は「北朝鮮問題は現在、後継者問題など北朝鮮内部の状況と相まって予測が不可能な局面に達しているだけに、韓米両国の政策当局者による、これまで以上に細かく綿密な対処が求められる」と要約した。そのうえで「現在のように韓米関係が良好な時期は過去になかったように思う。韓米同盟は今後、さらに強固なものになっていくと思う」と述べた。>

 盧武鉉時代の米韓関係が嘘のような現状、ということか。

 <一方、李大統領は「北朝鮮に核を放棄する決断を迫る上で、中国やロシアが積極的に協力するよう求めることが重要だ。その基礎となるものが、韓米同盟や韓米日3カ国の協調だ」と述べた。>

 李明博大統領だけだ、頼れるのは。ようやく日本という言葉が出てきた。

 <懇談会の出席者はブレジンスキー、キッシンジャー両氏とヘイムリ元副長官のほかジョージ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・コーエン元国防長官、ジェームズ・シュレシンジャー元国防長官、カーラ・ヒルズ元通商代表、リチャード・アーミテージ元国務副長官、ジョージタウン大のビクター・チャ教授の9人。このメンバーについてヘイムリ元副長官は「仮にオバマ大統領が声を掛けたとしても、こんなに集まることはなかっただろう」と述べ出席者たちの笑いを誘った。>

 朝鮮半島問題でいつも発言している人たちがすべて集まっている感じがする。韓国の米政権ロビー活動がうまくいっている証拠だろう。

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2009年6月18日 (木)

「北朝鮮に<核の傘>は通用するか」朝鮮日報コラム+米韓共同声明に「北の核排除」の文言がないこと~09年6月18日朝鮮日報、中央日報

 知りたいことを素早く書くのが最近の韓国の新聞である。日本の新聞とともに最近は韓国の新聞の日本語ホームページ探索も欠かせない日課となった。

 6月18日は朝鮮日報日本語版にアップされていたユ・ヨンウォン記者のコラム<北朝鮮に「核の傘」は通用するか>が目を引いた。日本にも当てはまる、というか、日本こそが真剣に考えねばならないテーマなのに、こういう問題意識で記事を大展開している新聞にはあまりお目にかからないのが現実である。

 というわけで、また韓国紙を読むことになる。

 <「共産主義者に単純な恐喝は通用しない。共産主義者との交渉は、われわれが強大な軍事力を駆使することを実際に考慮している、ということを相手が認識した時にこそ成功し得る」>

 <これは、故ターナー・ジョイ米国海軍中将の著書『How Communists Negotiate 』に出てくる一節だ。ジョイ提督は6・25戦争(朝鮮戦争)当時、国連軍側首席代表として共産側との休戦交渉を行った経験を持つ。>

 クリントン政権の前期に行った北朝鮮との交渉がまさしくこの方式だった。後期になると、政権の実績づくりのために北朝鮮に妥協しようと、オルブライト国務長官が訪朝する愚を犯す。

 <ジョイ提督は1955年に出版した同書で、次のようにも語っている。「われわれが本当に戦争を回避しようとするなら、戦争の危険を甘んじて受け入れる態勢を備えることが必要だ」、「軽微な事案についてわれわれが一方的な譲歩を行うと、より重要な事案でも強要すればわれわれが結局は譲歩する、との認識を共産主義者は持つようになる」>

 相手に誤ったメッセージを与えてはならないのだ。ブッシュ政権末期の失敗も金正日総書記に誤ったメッセージを与えた。

 <ジョイ提督が50年以上も前に説いたこの言葉は1953年に停戦協定が締結された後も続く北朝鮮による挑発にそのまま当てはまるようだ。特に1990年代初めから最近再び危機の局面を迎えている北朝鮮との核交渉については改めて振り返ってみる価値がある。>

 そういうことだ。

 <北朝鮮はこれまで「戦争も辞さない」と叫ぶ瀬戸際戦術と、取引の対象をいくつもの断片に分離して徐々に実利を得る「サラミ」戦術を組み合わせ、韓米両国などから多くの実利を上げてきた。>

 瀬戸際戦術だけは日本でも有名だが、あっちこっちと取引材料を散りばめて、少しずつ成果を奪い取っていく北朝鮮の「サラミ戦術」はあまり知られていない。

 <今年に入ってからは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)として活用できる長距離ミサイルに転用可能なロケットの発射、第2回核実験などを行ったうえ、今月13日には国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に対抗し、ウラン濃縮作業などを公言している。北朝鮮は既に、20㌔㌧(1㌔㌧はTNT爆薬換算で1000㌧)級の核兵器を6個から8個作ることができるプルトニウムを確保したと推定され、2度にわたる核実験により核兵器の保有も確実視されている。それだけに、南北間の戦力不均衡や有事の際の北朝鮮による核兵器使用の可能性に対する懸念も大きくなっている。>

 これは今までの経過説明だ。

 <ならば、こうした難局をいかにして打開すべきなのか。北朝鮮が核開発を放棄し既存の核兵器を完全に廃棄することが最善だが、現実的とはいえない。>

 韓国のベテラン記者は北朝鮮の核廃棄が現実的には無理だ、と書いている。嘘は書かないだろう。そう信じているのだ。良質の記者にしてこの結論である。

 <次善の策としては、有事の際に北朝鮮が核兵器を使用できないよう事前に抑制する案が挙げられる。そのためには、北朝鮮が先に核兵器を使用した場合には米国の核兵器によって報復されるという「核の傘」が「口先だけ」のものではなく、実際に核兵器を使用できるという意思を北朝鮮にはっきりと認識させることが重要だ。>
 それはそうなのだが……。そこがねぇ。

 <米国の「核の傘」は単純な宣言に過ぎない、と北朝鮮が考える限り「核の傘」を通じた核抑止は効果を持たない。>

 だから、李明博大統領がオバマ大統領に文書化してもらったのだろうが……。

 <北朝鮮に「核の傘」のメッセージを明確に伝える方法に関しては、1980年代のヨーロッパにおける中距離核戦力(INF)交渉が参考事例として挙げられる。当時、旧ソ連が西ヨーロッパを狙いSS20ミサイルを配備するや、米国は内外の懸念や反対を押し切り、パーシング2ミサイルをヨーロッパに配備した。最終的に、旧ソ連はSS20ミサイルを後方に下げ、これに応じて西側諸国もパーシング2ミサイルを後方に再配備したという。これにならい、1991年に韓半島(朝鮮半島)から撤収した戦術核兵器を再配備しなければならない、という主張も一部で提起されている。>

 成功事例だ。そうだと思う。北朝鮮を怖がらせないと、抑止力にはならない。

 <韓米両国政府もこうした懸念を考慮し、16日に開催された韓米首脳会談で、「核の傘」と在来戦力を包括した「拡張抑止力」を明文化することとした。しかし、北朝鮮に対し両国の意思をより明確に伝えるためには、両国軍の作戦計画上、核攻撃を受けた際には核兵器で報復することを含めるなど、具体的な措置を取り続けなければならない。>

 作戦計画に入れろ、という主張である。そうして初めて安心できる、というのが普通の感覚ではないか。「猿の惑星」ではあるまいし、日本に変なことをすると、アメリカさまが核の神様を持ち出して雷を落とすから、信じて祈っていよう、と、そこで思考停止するのは日本人くらいであろう。

 米韓首脳会談の共同声明に拡張抑止力を書きこんだのは進歩だったとは思うが、それを米国が実行するかどうかは別の話だ。

 日本に対しては文書化もしていない。文書にはせず、時々の政権に対して「守るよ」と言い続ける、という日米密約がるらしいが、こうした場合の「密約」のやっかいなところは「葵の印籠」を北朝鮮に「どうだ!」と示せないところだろう。

 日本も核抑止を実効性のあるものにしておかないと、東京に核ノドンが落ちてくる危険性がもっともっと高まるのではないか。

◆「北朝鮮に核を放棄させる」が抜けた米韓共同声明

 中央日報6月18日には<北核・ミサイル放棄させる案が抜けた>という記事が掲載されていた。随分と観念的な論文で、難しい言葉を使えばいいってもんじゃないぞ!と言いたくなるが、最後の結びだけは鋭かった。

 全文を通して読まないと、訳が分からなくなるので、途中にコメントを入れない。

 <北朝鮮は韓米首脳会談で自国の核・ミサイル挑発に対してなるべく強くて刺激的な対応が出ることを密かに望んでいたかもしれない。北朝鮮が国連安保理制裁を突破するためには内部の結束が必須だ。内部の結束には韓国と米国が造成するのだと人民たちに宣伝できる危機が効果的だ。韓米両国大統領が発表した「韓米同盟のための共同ビジョン」は北朝鮮が歓迎するほど強硬で挑戦的だ。>

 <共同ビジョンには米国が核の傘を含んだ拡張抑止力から韓国の安保を保障するという既存の約束の確認が含まれている。米国は2006年にもそんな約束をしたが、当時は国防長官の名で行った。それを今度は大統領の名で文書化したので、その重さと米国の実行の意志がいっそう強化された。たぶん北朝鮮は核の傘の約束を、自分たちの核・ミサイル開発を正当化するのに使うとみられる。>

 <未来ビジョンで北朝鮮にとって最も不吉な句節は韓国と米国が「自由民主主義と市場経済の原則に即した平和統一」を成して韓半島のすべての人のためのより良い未来を建設するという部分だ。>

 <これは李明博大統領の考えが貫徹されたものだ。李大統領は昨年11月、ワシントンで韓国の究極的な目標を自由民主主義体制で統一することだと規定した。そんな統一はまず、北朝鮮のスターリン主義的独裁と計画経済を否定することだ。北朝鮮はこの句節に薄気味悪い吸収統一の亡霊を見るだろう。>

  <同盟ビジョンは北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルプログラムの完全で検証可能な廃棄を要求した。弾道ミサイルが完全で検証可能な廃棄の対象に新たに入った。これは韓国と米国の北朝鮮非核化の意志を確認したものだ。この句節に北朝鮮住民たちの基本的な人権増進のための協力を述べているので注目される。北朝鮮人権問題が非核化のような脈絡と水準の重要な問題に格上げされたのだ。北朝鮮がどんどん先を進み、金大中、盧武鉉時代をしのばせる内容だ。>

 <今回の韓米首脳会談は前にも後にもなく厳酷な韓半島の安保環境と非核化を望む国際社会に対する北朝鮮の鋭い挑発が続く中で開かれた。韓国と米国が共同の価値に土台を置いた包括的な戦略同盟構築に合意したのは今日の要求に合うのだ。>

 <出なければならない同盟ビジョンが出た上、それを歓迎しなければならないにもかかわらずと残念な点が残る。21世紀初頭の韓米同盟ビジョンなら当然ソフトパワーに土台を置いたものでなければならない。しかし、北朝鮮のせいで、いや北朝鮮のおかげで同盟ビジョンの主軸は核の傘を含んだ拡張抑止力というハードパワーがメインとなった。そのため同盟ビジョンは未来指向的というより過去回帰的だ。同盟活動の舞台が韓半島で東アジアと汎世界に拡張されたが、これは過去の政権時の論難がまちまちだった米軍の戦略的柔軟性を韓国がすっきり受け入れたのだ。>

 <北朝鮮の核・ミサイルを放棄させる案が抜けたのが同盟ビジョンの弱点だ。核の傘は核兵器を持った北朝鮮が韓国を核兵器で攻撃する場合を想定したものだ。我々に重要なことは北朝鮮の核武装を阻止することだ。北朝鮮は国際社会の制裁を逆に活用して核・ミサイル技術を改善しながら核国家の道を歩くだろう。しばらく事態は行くところまで行くだろう。北朝鮮と通じる国は中国だ。韓国と米国は中国を動かして北朝鮮を説得するのに総力を傾けなければならない。北朝鮮の核ミサイルの暴走を今、阻止する方法が欠落した同盟ビジョンは、観念的な未来の談論だ。核の傘の同盟ビジョンは遠い。しかし、北朝鮮核ミサイルの現実は近くまで来ている。>

 本当に分かりにくい文章だ。韓国語と日本語は文法が同じで、一対一対応で翻訳できるので、きっと原文の韓国語でも分かりにくい文章だったのだろう。

 しかし、最後の段落は鋭い。「なるほど」と思う。

 李明博大統領とオバマ大統領が話し合ったことは北朝鮮が核武装するという前提の話だった。だから核抑止だったのだが、北朝鮮は今、核実験には成功したが、まだミサイルに詰める大きなまで小型化はできず、兵器化途中の段階と見られる。

 だったら、本来ならば、北朝鮮がミサイル搭載核兵器を完成させる前に米国が空爆して北朝鮮のミサイル、核基地を全滅させればいい。そうでなくて北朝鮮の核武装をアプリオリに考えてその対策を考えるということは、オバマ政権は北朝鮮に武力行使する意図は全くないということを裏から表していると思う。

 そういうことなのだ。結局、核抑止力を問題にするということは北朝鮮の核保有を前提とした議論になる。その途中で止める、という議論が起きないのはおかしい。この記者が書いている通りだ。

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「北朝鮮の攻撃対象は韓国ではなく日本」米専門家~6月18日夕刊各紙

 読売新聞のネットに6月18日、<「北、韓国より日本攻撃の可能性強い」/米専門家が見方>というワシントン支局の本間圭一特派員の記事が掲載されていた。由々しい内容である。夕刊に大きく載るのだろう。見てみよう。

 <米国の北朝鮮専門家、セリグ・ハリソン氏は17日、下院外交委員会のアジア太平洋・地球環境小委員会で証言し、北朝鮮が挑発行為をエスカレートさせた場合、韓国よりも日本を攻撃する可能性が強いとの見方を示した。>

 ハリソン氏の話だった。

 <ハリソン氏は訪朝経験が多く、北朝鮮情勢に詳しい。日本を攻撃する理由については「北朝鮮では日本の植民地時代の帝国主義に対する反感が根強い」と指摘した。さらに2002年に小泉首相(当時)が訪朝した際、金正日総書記が拉致問題を認めて謝罪した点を挙げ「(北朝鮮に)謝罪に対する批判的な意見があり、若者の間では反日やナショナリズムの考えが広がっている」と解説した。>

 小泉訪朝という賭けが失敗した、と見ている。

 ワシントン発の共同電は、

 <今年1月に北朝鮮を訪問した米国の朝鮮半島問題研究家、国際政策センターのセリグ・ハリソン氏>

 という紹介で、

 <北朝鮮が戦争状態に陥った場合、韓国ではなく日本を攻撃するとの見方を明らかにした。>

 という文章だった。また、

 <金正日総書記の健康状態悪化後、「反日感情が強く国粋主義的で、海外経験のない若手将校らが政権内で立場を強めた」ことが理由だという。ハリソン氏は取材に対し、訪朝時に知り得た「政権内の傾向」からの類推だと説明した。>

 <証言でハリソン氏は、若手将校らは金総書記が日本人拉致を認め「謝罪したことに憤慨」しており、「日本と紛争になった場合の北朝鮮の能力を非現実的に(高く)評価し、他の高官らを憂慮させている」と述べた。「国連制裁の結果、事態が悪化した場合、北朝鮮は報復として韓国ではなく日本か在日米軍基地を攻撃するだろう」と予測した。>

 という内容だった。日本の2・26事件前後を髣髴させる状況だ。

 朝日新聞のネットでは次のような記事がアップされていた。見出しは<北朝鮮の戦争相手は日本/米専門家が推測>である。ワシントン支局の村山祐介特派員の記事だ。これも夕刊に載るだろう。

 <米国の北朝鮮専門家のセリグ・ハリソン国際政策センター・アジア計画部長は17日、米下院外交委員会の公聴会で、北朝鮮が戦争を始める場合、攻撃対象は韓国ではなく日本、との見方を示した。反日感情が強い若手将校が影響力を強めているためという。>

 <同氏は、北朝鮮で「金正日総書記が健康悪化で日常執務を減らす中で、海外経験のない国粋主義的な若手将校らが影響力を強めている」と指摘。将校の一部は、金総書記が2002年の小泉首相(当時)との首脳会談で拉致を認めて謝罪したことに「憤慨」しており、「日本と紛争になった場合の北朝鮮の能力を非現実的に評価して他の将校らの懸念を呼んでいる」という。国連安全保障理事会による制裁決議採択が彼らの影響力をさらに強めているとも指摘した。同氏は元米紙記者で、頻繁に北朝鮮を訪問。今年1月にも訪朝した。>

 大体の内容は分かった。北朝鮮とのパイプがあるアメリカ人が1月に北朝鮮に行って、旧知の人民解放軍将校(?)らと話をしてきたが、その際に北朝鮮の内情をいろいろ聞いてきた、ということだろう。

 ハリソン氏はここでは全部はしゃべっていないだろう。ワシントンの日本大使館はハリソン氏からきっちりと事情聴取して詳しい話をきくことから始めなければならない。そういう基礎的な仕事の集積が日本の情報力になる。それができていなかったら、結局、外務省は情報なしに政策判断するという太平洋戦争突入前夜の愚を繰り返すことになるだろう。

 各新聞社の努力も大切だが、日本外務省の奮起に期待しよう。

 東京に核ノドンが飛んでくる状況はまだ現出していない。北朝鮮が核兵器の小型化に成功していないからだ。ただし、もう時間はない。日本は先制攻撃をするのかどうか、本当の危機管理を始めなければならない。

 こんな時に解散・総選挙をやっている暇が本当にあるのだろうか? それよりも挙国一致内閣を作って、集団的自衛権の解釈を変え、核武装するかどうか真剣に討議してほしい。核武装しなくとも、攻撃的兵器をそろえれば、北朝鮮の核・ミサイル基地を攻撃できるはずだが。そして、中国に手を出さないように説得する作業も同時並行で進めねばならない。

 こういう緊迫した状況にあることを、日本の新聞はなぜ書かないのだろうか? 理解に苦しむ。

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朝日新聞社説は朝鮮日報を見習え:大事なことは知らせず「いたずらに騒がず」か、核ミサイル発射1秒前までそう言っていればいい~朝日新聞09年6月18日

 韓国の新聞、特に朝鮮日報は北朝鮮の核ミサイル保持の可能性に「座して死は待たない」とばかりに、覚悟を固めているコラムや社説が山盛りだった。

 それでは日本の新聞はどうか、と6月18日の朝日新聞社説<米韓会談/冷静に土台を固めてこそ>を読んでがっかりした。

 このタイトルにあるように、「冷静に」「落ち着いて」などの言葉のオンパレードで、北朝鮮の核兵器がどれほどの脅威かについてはわざと触れられていない。

 こんな論を緊張感もなく、よく書けたものだ。

 というか、きっと朝日新聞の論説委員は日本国民に核ミサイルの恐ろしさを知らせずに「北朝鮮国民は飢えていて可哀想なのだから」と思わせておきたいのと、金正日総書記が何をやるか分からない人間であることを知らせたくないのだろう。

 金正日氏は昔から、全斗煥・韓国大統領(当時)を暗殺するためならば、ミャンマーのアウンサン廟で爆弾を爆発、多数を死傷させたり、ソウル五輪妨害のために大韓航空の旅客機を爆破、数百人の乗員乗客を殺したり、と、その狂暴性は他に類例を見ないものなのだ。

 それを見れば、核運搬能力さえできれば、東京に核ミサイルを撃ち込むことを躊躇しないであろうことは十分理解できる。

 そういう危機感を韓国の記者は素直に国民に伝え、米朝直接交渉の危険性にも触れていた。米国のオバマ政権が日韓を切り捨てて、北朝鮮と手を結ぶシナリオだ。

 一方で、朝日新聞は危機感を伝えないことが使命だと思っているようだ。米朝直接対話に期待するスタンスもそうだ。話し合えば何でも解決する、と思うのはGHQ民主主義史観に毒されたままで、国際政治を知らないからだ。知っていて知らないふりをするのも得意らしいが。

 朝日新聞の読者はいざという時に、何のメッセージも受け取れず、防空壕にも入れず、核爆弾の直撃を受け、即死するだろう。朝日新聞はそういう悲惨な結果が見通せるような事態を糊塗するようなフニャフニャ社説を書いて、読者への責任を果たしているとでも思っているのだろうか。

 まず朝日新聞の社説を読んで見よう。

 <ミサイルや核実験で脅威の水準を高め続ける北朝鮮に対し、オバマ大統領と李明博大統領は一昨日の会談で、米韓同盟の強化を鮮明に打ち出した。米国は「核の傘」と韓国内外の軍事力によって韓国を防衛していく強い意思を示した。李大統領も「強力に対応する準備はできている」と語った。>

 ここまでは経過説明。

 <北朝鮮の軍事的挑発には結束して対応する。それは、北朝鮮の先行きが一段と不透明なためでもある。>

 この「一段と不透明」という言葉は便利だ。不透明ではない、透明になってきたことを分かりながら、よくこういう言葉が使えるものだ。核兵器開発を援助引き出しの手段にしている、という見方を取ってきた朝日新聞の今までの主張が間違いだったことが証明されつつあるのだ。

 <金正日総書記の健康不安は覆い隠しようもない。三男の正雲氏を有力候補に後継体制づくりが本格化してきた、との観測も韓国でしきりだ。たて続けの挑発行為の裏には、国内結束を誇示する必要がある事情が密接にからんでいるという見方が多い。権力の移行過程では何が起きるかわからない。更なるミサイル発射の動きもある。そんななかで、米韓がまず同盟を再確認したわけだ。>

 この見方は否定されているのだ。朝鮮日報が報じたシンポジウムで中国人が4人も5人も同じことを言っていた。北朝鮮の核実験とミサイル実験の狙いは「脅して金を取ることではなく、2012年に核保有国になることで、金正日の世襲があろうが無かろうが関係ない話だ」というのだ。米国内の見方もそうなってきており、韓国の政府筋もそう見始めている。だから、事実上の核保有国である北朝鮮と米国が裏で手を結ぶという事態を韓国の知識人らが憂慮しているのである。米朝会談は危険だ、と言っているのだ、韓国の人々は。

 <今月末には李大統領が来日し、麻生首相と会談する予定だ。ここで日韓の連携もさらに確認する必要がある。>

 月末なのか。しかし、日本は李明博大統領に日韓連携をよっろしく、としか言えないのだろう。

 <いたずらに騒がず、今後ありうる北朝鮮のさまざまな事態を想定して、冷静に対応策を考える。このことにまず日米韓が協調してあたり、共通の基盤を広げておきたい。>

 朝日新聞は北朝鮮の核の脅威のこと、どうでもいいらしい。

 日本国民が騒ぐことを問題視しているだけなのだ。

 しかし、なぜ日本国民が騒ぐのか、については故意に無視している。

 北朝鮮という狂ったような指導者が統治する国が核ミサイルを持ち、日本のどこかの都市に核爆弾を落とすかもしれないのに、「騒ぐな」と言うのだ

 じっと黙って、北朝鮮に時間を与えて、早く核ミサイルを完成してもらい、東京に核ミサイルを撃ち込んでください、と言っているのか? 

 朝日新聞はそんなに日本が嫌いなのか? ぜひ、日本を逃げ出して平壌に疎開してほしい。核ミサイルが降ってくる前にはどうせ平壌に逃げる気なのだろうが、今から正体を明らかにして北朝鮮に帰ってほしい。そうしないと、人のいい日本国民は朝日新聞が北朝鮮の新聞だと気づかないままで死んでしまうだろうから。

 <そのうえで中国やロシアとも連携する。6者協議参加国の北朝鮮を除く5者が地域の安全保障について共通認識を深めることも欠かせない。>

 李明博・韓国大統領が言っている北朝鮮を除いた5者協議→代表者としての米国と北朝鮮との協議、というシナリオはオバマ政権に言わされているのだろう。オバマ大統領は「そのかわり、核の傘を確約するのだから」と言ったのだろう。だから、李明博大統領は内心厭だったが、受けざるを得なかったのだろう。

 <その点で米国が「核の傘」を強調したのは、単に日韓という同盟国への約束からだけではない。米国の戦略上、より大きな狙いがあろう。「北朝鮮の核」は「日韓の核」を誘発しかねないという懸念が米国内に厳然としてある。かねて日本には核保有論議を真剣にすべきだとの意見が自民党の一部にあるし、韓国でも保有論や核燃料再処理を求める声がある。「核の傘」を提供することによってその懸念を鎮め、核の拡散を防ぐ。それは米国の基本的な安全保障戦略でもある。>

 「米国の基本的安全保障戦略」なのか? だとしても、それは米国の安全保障戦略であり、日本の安全保障戦略ではない。

 <いま必要なのは、国連安全保障理事会が採択した制裁措置を加盟国が着実に実行し、核放棄へ進ませることだ。>

 このきれいごとは何なのだ。何も考えていないのか。

 <オバマ大統領も李大統領も記者会見で、北朝鮮が挑発をして時を待てば代価を得られるという過去のパターンを繰り返さないと述べた。カギは米朝対話の糸口をいかに探り出すかにあろう。そのために中国にも動いてもらわねばならない。オバマ大統領は記者会見の冒頭、北朝鮮へのメッセージを発した。「核放棄と平和共存は、平和的な交渉を通じてのみ可能なものだ。このような機会は北朝鮮の前に開かれている」>

 何を書いているのだ。北朝鮮の核の危険性も書かずに。

 <「機会」を生かすかどうかは北朝鮮次第である。この発信の意味するところを北朝鮮はどう聞いただろうか。>

 この「ぬるさ」は何なのか? さすが北朝鮮の新聞だ。

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産経新聞は朝日新聞の金正雲訪中報道を誤報と言わんばかりだが、それはないだろう:北朝鮮は親類に恥はかかせないから~6月18日産経新聞、朝日新聞ネットから

 朝日新聞が6月16日朝刊1面トップで北朝鮮の金正日総書記の三男、正雲氏が訪中したという記事を掲載したが、産経新聞は6月18日午後10時過ぎにネットに<「朝日の報道はスパイ小説のよう」/正雲氏訪中、中国は否定>という記事をアップ、朝日新聞の報道を中国高官の口を借りて否定した。北京支局の矢板明夫特派員の記事だ。読んでみよう。

 <中国外務省の秦剛報道官は18日の定例会見で「北朝鮮の金正日総書記の三男、正雲氏が6月10日前後に訪中し胡錦濤中国国家主席と会談した」などとする朝日新聞の一連の報道について「報道された事実は存在しない」と明確に否定した上で「まるで『007』(英作家イアン・フレミングのスパイ小説のこと)を読んでいるようだ」と述べた。>

 という前文で分かる通り、産経新聞の天敵、朝日新聞の「誤報」を喜び勇んで問題視、書き連ねている。

 <朝日新聞はまず16日付の1面トップで「正雲氏が金総書記の特使として中国を極秘に訪れ、胡主席らと会談し、後継者に内定したことが直接伝えられた」と報道。同日の外務省の定例会見ではこれへの質問が相次ぎ、秦報道官は「中国側はこの件について承知していない」と述べ、婉曲な表現で事実上、報道を否定した。>

 朝日新聞も、もしも、ニュースの裏が取れていないんだったら、ここでやめておけばよかったのになぁ。

 <その後、18日付の朝日新聞はさらに1面などで「正雲氏と胡主席との会談に金総書記の長男、正男氏も同席していた」「正雲氏は深圳、上海なども訪れ、中国軍関連のホテルに泊まった」などと「正雲氏極秘訪中」の詳細を伝えた。>

 <そしてこの日の定例会見で、秦報道官は報道内容の確認を求める質問に対し「皆さんは前回の私の東洋的な含蓄のある表現を理解してくれなかったようだ」と語り「この際、窓に張っている紙を破りましょう(はっきりさせましょう)。報道された事実は存在しない」と明確に否定した。その上で一連の記事をスパイ小説にたとえ「彼らはどんな続編を書くのだろうか」と述べた。>

 <中国外交筋によると、外務省の会見ではメディアの報道内容を明確に否定しないのが慣例。メディアに「中国側が明確に否定しないときは本当」と勘ぐられることを防ぐためだという。>

 何なのだ、これは? 朝日新聞は北朝鮮の親戚じゃないか。その親戚の顔にまで泥を塗ったのか? 北朝鮮は。ひどい国だとは思ったが、仲間まで売るとはなんという国なのだろう。

 面白いのは朝日新聞のホームページには18日午前11時過ぎに次の記事がアップされていたことだ。産経新聞記事の後半部分で指摘している記事だ。

 <「後継者」正雲氏の訪中、正男氏も同席>。北京支局の峯村健司特派員の記事だ。

 <北朝鮮の金正日総書記の三男、正雲氏が極秘に訪中し、胡錦濤・中国国家主席と北京で会談した際、長男の正男氏が同席していたことがわかった。両国を頻繁に往復する金総書記に近い北朝鮮筋と北京の北朝鮮関係者が明らかにした。>

 一人だけが言っているんじゃないよ、複数から確認を取った話だよ、という書き方なのだが、これが「全くの誤報」だったのか?

 <正男氏は胡主席と面識があり、紹介者として側近とともに列席。北朝鮮筋は「後継者は正雲氏であり、北朝鮮指導部が一致して支持していることを中国側に強調する狙いがあった」と指摘する。>

 <正男氏は朝鮮労働党や軍のポストには就かず、中国の特別行政区マカオに住んでビジネスにかかわっており、中国共産党幹部とのパイプが太いとされる。正雲氏が訪中した6月10日前後、正男氏もマカオから空路で北京入りしたという。>

 まあ、こっちの兄弟愛の話の方が「弟が兄を暗殺しようとした」という古代王朝にありそうな話より儒教的なのだが。

 <正雲氏は6月13日、北京から広東省に向かい、さらに上海、遼寧省大連の経済開発区などを視察した後17日までに帰国した。中国政府は同日時点で正雲氏の訪中を公表していない。>

 公表していないのではなく、否定したのですが。

 なぜ一般の人たちに金正雲氏訪中が気付かれなかったか、について朝日新聞は18日午前5時過ぎに<正雲氏、隠密の訪中/身分告げず、宿泊は軍関連ホテル>という記事を同じ峰村特派員の記事で掲載していた。

 <北朝鮮の金正日総書記の三男正雲氏は17日までに、訪中日程を終えて帰国した。胡錦濤国家主席は正雲氏との会談で、強硬姿勢をとる北朝鮮に平和的な解決を強く求めたとみられる。正雲氏の後継内定を公表していない北朝鮮側の意向を受け、中国側は徹底した情報管理を貫いた。改革開放の先進地、深圳市のハイテク工場を訪れた際も「中央政府の関係者」とのみ紹介。随行の10人余りの男性も含め、身分や名前は告げられなかった。一行は工場内の施設や製品について簡単な説明を受け、次の地点へ。北朝鮮筋は「周囲には気づかれないようにすべて極秘で行われた」と明かす。>

 ここまで書かれると、朝日新聞が正しいような気もしてくるが。

 <宿泊先も、一般客の宿泊が制限されている中国軍関連のホテル。車列を組まずに移動し、外国首脳の視察を必ず取材する国営新華社通信の記者も同行させない徹底ぶりだった。父親の金総書記が2006年1月、深圳市や広州市を訪れた際に白バイに先導された約50台の車列で移動、完全封鎖された高級ホテルに宿泊したのとは大違いだ。>

 そして、言い訳だ。言い訳なのかどうか、まだ分からないが。

 <中国外務省の秦剛・副報道局長は16日の会見で、正雲氏の訪中について記者から問われたが、「我々はそのような状況は承知していない」と回答を避けている。中国側が公表を避けた理由は、ちょうど国連安全保障理事会で北朝鮮の2度目の核実験に対する新たな制裁決議が議論されていたからだ。国際社会の批判が強まる中「北朝鮮に対して弱腰だと思われるのは不都合」(北京の中朝関係筋)と判断したとみられる。それでも中国側があえてこの時期に訪中を受け入れたのは「政治と外交のルートが朝鮮半島の問題を解決する唯一の正しい手段」(秦・副報道局長)という原則を重視しているからだ。核実験後、中国側は訪朝団派遣を見送るなど、強い不快感を示してきた。北朝鮮も制裁決議を受けて、ウランの濃縮作業着手を表明するなど反発を強めており、中国との関係は悪化していた。「両国のハイレベル会談による打開が必要だった」(中朝関係筋)という。>

 このいきさつは分かりやすい。朝日新聞の記事が本当だったのではないか。北朝鮮が親族である朝日新聞を裏切ることはないだろう。

 <胡主席らは会談の中で、北朝鮮が参加を拒否する6者協議に替わる新たな枠組みやエネルギー支援についても提案したとみられる。「膠着した状況を打開する可能性がある」(北京の外交筋)との見方も出ており、北朝鮮の今後の対応が注目される。>

 朝日新聞としては平壌の意向もあって、絶対に戦闘への発展を避ける方向で記事をまとめたかったのだろう。「北朝鮮も本音は平和解決なのですよ」と弱弱しくも日本国民に訴えたいということなのだろう。そうしないと、北朝鮮に対する米軍のミサイル攻撃が始まるなどして、親類が死ぬといけないからか。何か、朝日新聞って発想が土井たか子という昔社会党の委員長を務めたおばあさんそっくりになってきた感じがする。表ではきれいごとを言って、裏では北朝鮮系のパチンコ利権屋の献金で選挙を戦う。いずれにせよ、日本国民のことを考えた記事ではない。

 この朝日新聞の記事の狙いなどはっきりしている。話し合いの道が続いているのだから、6カ国協議にかわる新しい枠組みをつくるのだから、中国も本気なのだから、だから、米国も韓国も、そして日本ももう少し冷静になって待っていようよ、ということなのだろう。朝日新聞の北朝鮮に時間を与え続ける戦術はまだ続いているのだ。

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2009年6月17日 (水)

韓国記者は日本を財布としか見ていないし、「戦犯国家」と言っている~6月17日中央日報、朝鮮日報

 朝鮮日報6月17日日本語版に<核問題/「中国の影響力は限定的」/中国の外交専門家が指摘>という記事が載っていた。池海範記者の署名記事だ。

 <韓国を訪れた中国の外交専門家らは16日、中国と北朝鮮はもはや軍事的同盟関係ではなく、正常な二国間関係であり、北朝鮮の核問題解決に向けた中国による影響力は限られている、との認識を示した。また、中国は北朝鮮よりも韓国との関係を重視しており、北朝鮮の核問題を解決するカギは米国が握っている との考えも明らかにした。>

 という前文だ。

 <中国の外務次官を務めた楊文昌・中国人民外交学会長は同日、仁川市で開かれた韓中未来フォーラムで北朝鮮問題に関し「多くの人は中国が北朝鮮の兄貴分なのになぜ北朝鮮に影響力を行使できないのかと指摘する。だが歴史は歴史にすぎず現在はあまりに大きな変化が生じており、中国の北朝鮮に対する影響力は限られざるを得ない」と述べた。>

 中国の外務次官というのは何人もいるはずだ。

 <北朝鮮問題の専門家として知られる閻学通・清華大国際問題研究所長も「大多数の韓国人は中国が韓国よりも北朝鮮を重視していると誤解しているが、事実は異なる。中韓関係は中朝関係よりも良好だ」と述べた。閻所長は「中国と北朝鮮に軍事的同盟関係はないことを外務省報道官が2回にわたって明らかにしている」と付け加えた。>

 厭らしい言い方だが、中国は北朝鮮が米国、韓国と戦争をしても中国は参戦しないよ、というメッセージがひとつ。それを中国外務省報道官が2度も言っているのだから、分かってくれ、というわけなのだろう。中朝関係よりも中韓関係が良好、というのは単なる現状認識だろう。深い意味はないと思う。

 <また、北朝鮮が核実験を強行した意図に関し、楊会長は個人的見解だと前置きしたうえで「北朝鮮が自国の安全保障能力に自信を持てないため、自ら安全保障を確保しようとする選択だと思う。北朝鮮はどんな危険な選択をもできる国であるため、長期的には米朝が対話し、南北関係の改善、多国間会合に必ず北朝鮮を含めるという3原則を堅持する必要がある」と指摘した。>

 ①米朝対話②南北関係改善③多国間会合に必ず北朝鮮を含める――が3原則だという。そして、その3原則堅持が必要だ、というのだ。何か米国にすべてを押し付けているように見える。

 <一方、北朝鮮の核問題と後継者問題に関連性があるという韓国内外の分析に関し、閻所長は「後継者問題が取り上げられる以前の2003年にも北朝鮮は核実験を行い、後継者問題が解決したとしても、核実験を放棄するとは思えない」と述べ、否定的な見解を示した。閻所長は「北朝鮮の目的は金銭でも、米国の関心を引くことでもないため、いくら(支援を)与えても核を放棄しないはずだ。北朝鮮の真の意図は核(保有国)の地位を確保することだ」と分析した。>

 ここはしっかりと見ているなぁ、という印象だ。やっぱりそうなのだろう。しかし、そう分かっていて、なぜ北朝鮮を延命させているのだろうか。

 <このほか、人民日報の徐宝康高級記者は「国連の対北朝鮮(制裁)決議採択以降、北朝鮮から出てくるシグナルを見る限り、北朝鮮は核武装を急ぎ、米朝間の対立も続くなど、核問題の長期化が見込まれる。韓国と中国は北朝鮮の核による最大の被害者であると同時に、(問題解決で)最も利益を得ることにもなるため、韓中は手を携え、南北間の全面衝突の防止に向け協力することが重要だ。特に対北朝鮮制裁が北朝鮮住民の生計を脅かすレベルに達することは防ぐべきだ」と訴えた。>

 中国の韓国取り込み工作そのものだ。えげつない。結局、北朝鮮を援助するのだ。そして、韓国にも北朝鮮援助をさせようとしている。日本孤立化の戦術だ。つまり、日米韓連携を壊そうとしているのだ。中国はこういう、シンポジウムのような形を借りても、そういう国家意思を貫こうとしている。

 日本人は甘いから、中国人が「北朝鮮の人民に罪はない」などと言えば、日本政府を責めるだろう。馬鹿ばっかりの日本のマスメディアだ。

 <中国共産党の幹部養成機関、中央党校の国際戦略研究所に在籍する孫建杭教授も「北朝鮮の核問題解決を中国だけに押し付ける態度は間違っている。北朝鮮が安全保障上の脅威を感じる対象は米国である以上、米国だけが問題解決能力を持つ。そうした点でオバマ政権は北朝鮮に対する態度を改める努力が必要だ」と語った。>

 何が「安全保障上の脅威」だ。泥棒に追い銭ということか。結局、中国の参加者は口々に北朝鮮の金正日総書記の代弁をしているに過ぎない。こういう動きがあるということはソウルの日本大使館は知っているのだろうか? 韓国側出席者はもしかすると「民主化勢力」とかいう金大中一派かもしれない。

 こういう国際宣伝合戦で日本は圧倒的に負けているのだ。日本の外交官は何をしているのだ。高い給料をもらって。

 中央日報の6月17日日本語ホームページには<「6カ国協議失敗/中国リードで北核解決へ」>の記事があった。これは米国の韓国人メディア関係者と大学との共催のシンポジウムで中央日報の記者が言った内容をまとめたものだ。つまり、親米韓国人の考え方が分かる記事だ。

 <「社会主義経済の失敗で在来式兵器では南韓と競争するのが不可能となった北朝鮮に、核兵器は体制守護の決定的手段だ。6カ国協議を通じた外交的方法で北朝鮮の核放棄を誘導することができると信じるのは純粋すぎる。6カ国協議は失敗した韓国と米国政府は方向を切り替えなければならない上、秘密外交などを通じて中国の積極的な役割を誘導しなければならない」。文昌克・中央日報大記者は15日、在米特派員出身の前・現職報道関係者の集まりである韓米クラブと米国アメリカン大学がワシントンで共同開催したセミナーでこのように主張した。>

 が前文だ。

 <アメリカン大学で行われたセミナーで文記者は「北朝鮮が中国から原油、食糧、原資材などの供給を受けることができなければ植物状態の国家になる」とし「北朝鮮に影響を及ぼすある唯一の国は中国。中国が立ち上がるよう、圧迫しなければならない」と強調した。>

 中国よ、圧力をかけよ、と叫んでも中国にその気がなければなぁ。

  <また「中国にとって北朝鮮は役に立つ馬鹿(useful idiot)だ」とし「北朝鮮が崩れて韓半島が統一する場合、中国は在韓米軍と国境で衝突するかもしれないという不安感と、北脱出者が多数中国に移動するだろうと懸念している。中国の積極的役割を誘導するには、中国の不安を先に取り除かなければならない」と述べた。>

 ここはみんな言うことだ。

 <それとともに「北朝鮮政権に変事が生じた場合、韓国と米国は中国の利益を害する行動をせずに、中国の意見を尊重し、韓半島が統一された場合、米国は38線以北に米軍兵力を移動させないとか、北朝鮮に一時的な親中国政権が樹立されることを容認するということなどを約束することも検討する必要がある」と述べた。>

 中国に譲れ、という話だろうか。

 <また「北朝鮮脱出事態が多数起これば、中国は莫大な負担を背負うほかないので、この場合には韓国と米国・日本などが負担を分けると保障することも方法だ」と付け加えた。>

 <文記者は「こうした問題は公開的な外交形式をもっては扱いにくい」とし「韓国と米国、中国などが秘密外交を稼働させ、実務的な検討を経て3カ国の首脳が意見を交換する必要がある」と述べた。「苦痛なしに適当な外交的言動をもっては北朝鮮核問題を解決することができないだけに、韓国と米国も苦痛を覚悟する決断をしなければならない」と力説した。>

 こういう発言の中で日本がどう扱われているか、じっと冷静に見ていると面白い。文記者は日本を金が必要な場合に財布代わりに使う便利な国、としか思っていない。秘密協議はあくまで韓国、北朝鮮、中国、米国でやるのだ、という。

 朝鮮半島をめぐる動きの中で日本はもはやここまで存在感のない国家になってしまった。どうしてか、と言えば、怖くないからだ。戦争もできない国。他国から言われたら素直に金を出す国、と見ているのだろう。先ほどの朝鮮日報論説委員も「戦犯日本が核を持つことは国際社会が許さない」と書いていた。韓国人らはそういう認識らしい。よく認識しておこう。

 そして、同じ日の朝鮮日報には李衛裁記者の<韓国軍/電算網へのサイバー攻撃、一日9万5000件>という記事もあった。北朝鮮人民軍が李明博・韓国政権に本格的に嫌がらせをしているらしい。

 <韓国軍の電算網に対するハッカーらのハッキングや攻撃が一日平均9万5000件余りに達することが分かった。このうち、軍の将校や国防部の幹部にハッキングのプログラムが入った電子メールを送り付け、パソコン内の軍事情報を盗み出すといった例も少なくないという。韓国軍の機務司令部は16日、京畿道果川の司令部で行われた「第7回国防情報保護カンファレンス」でこうした内容を公表し、「サイバー攻撃は昨年の約7万9000件に比べ20%増加した」と発表した。>

 北朝鮮は貧しくてコンピュータとかITとか何も知らないだろう、と思っている日本人がいるとしたら、認識を改めねばならない。あの国は朝鮮人民軍幹部と労働党員が上流階級で、その他は奴隷だと思えば理解しやすい。上流階級は日本人と同じことができる、と思えばいい。

 <同司令部によると、こうしたサイバー攻撃は中国経由で行われるケースが全体の半分以上と最も多く、北朝鮮も韓国軍の情報を盗み出すためにハッカー部隊を組織しているという。同司令部はこの日、具体的な被害規模は公表しなかったが、一部の将校や幹部らが電子メールによるハッキングプログラムに感染し、一部の資料が流出したという事例を挙げて説明した。>

 防衛省にもあるのだろうが、日本の記者はなぜ書かないのか?

 <軍が感知しているサイバー攻撃はウイルスの流布が8万1700件と最も多く、続いてハッキングが1万450件、異常なトラフィックを誘発させるいわゆる「サービス拒否(DOS)」による攻撃が950件、ホームページの変造が1900件となっている。軍はインターネットとは別に、内部の業務連絡には国防電算網をイントラネットで行っており、外部からハッキングできないようになっている。しかし、パソコン自体がウイルスやハッキングのプログラムにさらされると、ハードディスクに保存された情報が流出することから、これを防ぐために軍では侵害事故対応班を組織している。>

 韓国の方がしっかりしているのでは? 何しろ自衛隊員が機密情報を入れたパソコンにファイル交換ソフトを入れ、エロ動画をダウンロードしてウィルスに感染、機密情報を外に流出させた、という事故が後を絶たないのだから。しっかりせえ、自衛隊!

 <この日のカンファレンスでは参加者から、さまざまなサイバー攻撃に備えるために国家情報院や機務司令部、行政安全部などの各省庁に散在しているサイバー安全保障機能を総括するための専門組織を新設すべきとの意見が出された。>

 韓国が李明博大統領で本当に良かった。盧武鉉だったら、と思うとぞっとする。盧武鉉だったら金正日と共同戦線を組み、日本を攻めようとか、核を共同管理しようとか言いかねなかった。危なかった、と思う。

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北の核武装の時、米国は日韓を見捨てる~09年6月17日朝鮮日報コラム

 朝鮮日報日本語版ネット6月17日に<韓米首脳が会った日に浮かんだ不吉な思い>という楊相勲論説委員のコラムが掲載されていた。米韓首脳会談が行われたその日に最悪のシナリオが頭にうかんだ、という空想物語なのだが、これが現実になる可能性があるだけに怖しい。

 しかし、この緊迫感は何だろう。日本の新聞にはこの緊張感が欠けている。何か悲壮感漂うことを書いた人がいると、すぐにシニシズムいっぱいの論者が皮肉ってお終い、というのが今の日本の言論状況だと思う。

 その意味では、こうした硬質な悲壮感をそのまま字にできる韓国の論説委員がうらやましい。

 <米国のオバマ政権による北朝鮮政策の原則の第1番目に来るもの。それは北朝鮮を絶対に核保有国として認めないということだ。しかし、米国が認めようが認めまいが、北朝鮮はすでに核保有国だ。北朝鮮が2回目の核実験を行った際に使用した装置は、最初の核実験のときに比べて間違いなく小型化されているはずだ。将来的に3回目の核実験が行われれば、それはプルトニウム弾であれ、ウラン弾であれ、ミサイルに搭載可能な大きさの核弾頭を爆発させる実験となる可能性が高い。>

 まあ、そうかもしれない。可能性だが、今まで評論家が予想してケチをつけていたものの、北朝鮮はしっかりとミスを克服して、新たな段階に進んでおり、今度実験をすれば、核起爆装置の小型化のための実験であることは間違いないだろう。

 <韓国最高の武器専門家の一人、国防科学研究所長は「北朝鮮は核弾頭の小型化が可能な段階に入っている」とすでに言及している。その発言は現時点では事実とは異なるとしても、北朝鮮が核弾頭の小型化という目標を達成するのは時間の問題でしかないのは間違いない。>

 そういうことなのだ。これについて韓国が本当に恐怖心を持ってくれれば、日米韓で一致して北朝鮮の核基地とミサイル基地を先制攻撃できるのだが、それはソウルが火の海になることを意味する。そういう事態になっても韓国が日米韓の連携で北朝鮮への先制攻撃を納得するかどうか。金大中元大統領ら北朝鮮擁護一派は韓国政府要人へのテロをしてでも北朝鮮攻撃を阻止するだろう。現実には北朝鮮攻撃で日米韓が一致することは難しいだろう。

 <北朝鮮はすでにソウルや釜山、東京や大阪、さらには北京やウラジオストクを核ミサイルの射程圏に置いている。近く行われるとされる北朝鮮による大陸間弾道ミサイルの発射は米シアトル、サンフランシスコが射程圏に入るという事実を示すためのものだ。たとえその発射が失敗したとしても、北朝鮮が米国の西海岸、さらにはニューヨークやワシントンまで核ミサイルの射程圏に置くであろうことも、やはり時間の問題でしかない。>

 まあ、最大限の進歩があったと見た場合にはそうなる。

 <北朝鮮は現在保有しているプルトニウムだけでも20個ほどの核ミサイルを保有できるようになる。そのうえ、北朝鮮国内の天然ウラン埋蔵量は世界最大規模とされている。ウランによる核爆弾は大量生産も可能だ。>

 ウラン濃縮型が北朝鮮の本命だったのだろう。核疑惑を取引材料だとか手段だとか言っていたのは、確かに米国の政権もそうだが、最悪は金大中、盧武鉉両大統領だ。

 <北朝鮮がウランを本格的に濃縮すると、核弾頭の数は一気に増えることになる。数十から数百個の大陸間核弾頭弾を持つ国を核保有国として認めないというのは、まさに政治的な修辞としては可能としても、決して現実を直視するものではない。この世は言葉ではなく事実に基づいて動くものだからだ。>

 米国が何もできないうちに北朝鮮が数百のICBMを持つ国になるのだと?

 <米国と韓国は「北朝鮮に対して適切な見返りさえ与えれば、核を放棄するはずだ」という空しい妄想で10年以上の時間を浪費した今や米国は北朝鮮の動きを止める手段を持っていない。ワシントンで状況を見ると、米国は何の手段もないまま言葉だけを発しているという事実は明らかだ。今より何倍も強硬な国連決議が採択されたとしても、北朝鮮にとってはそれほどの意味はない。>

 そういうことだろうな。

 <北朝鮮の動きを止めることのできる唯一の国は中国だ。しかし、中国は北朝鮮の崩壊よりもむしろ北朝鮮が核を保有することの方がましと考えている中国が日本の核武装を恐れて北朝鮮の動きを止めるという考えも漠然とした推測にすぎない。第2次大戦の戦犯国である日本の核武装は口で言うほど簡単なことではない。だとすれば今や厳然とした核保有国となった北朝鮮と共存する以外にないということになる。>

 日本が敗戦国でなく「戦犯国」と表現されていることに注目したい。この論説委員も李承晩大統領時代の反日教育で育ったのだろうか。今の韓国の40、50、60歳代はまだまだ反日が多い。戦争の記憶、植民地の記憶はないものの、親の世代から耳にたこができるほど聞いて育ったからだ。そのうえ、李承晩大統領の反日教育である。竹島領有権であれだけ韓国民が一気に燃え上がる理由もそこにあるのあろう。日本への奇妙なまでに屈折した思いは30歳代にはもうないのだろう、と思うのだが。

 <たとえわれわれが認めたくないと思っても、北朝鮮が核保有国として登場する前の韓半島(朝鮮半島)とその後の韓半島は完全に異なる世界だ。米国はこれまでの歴史の中で、北朝鮮のような不良国家の政権から直接の核攻撃の脅威にさらされたことはなかった。北朝鮮は民間航空機爆破テロを平気で起こすような国だ。その指導者は「地球を破壊してやる」と公言するような人物でもある。>

 一般の国家元首に期待される理性的判断が期待できない人物であることは間違いない。

 <親米政権が発足したパキスタンの核にも神経を使っている米国にとっては、このような北朝鮮の核弾頭弾は非常事態を意味する。米国と日本が構築しているミサイル防衛システムは現時点ではそれほどの効果はない。これも日本の政府高官がすでに言及している。このような状況で北朝鮮が核弾道弾を保有したという事実が明らかになれば、米国の言葉と行動は今とは大きく異なってくるだろう。>

 そこだ。

 <米国は大統領が直接動き、その名称が何であれ、北朝鮮と事実上の核軍縮会談を行う可能性が高い。金正日総書記が2012年を「強盛大国の大門を開く年」としているのは、これを念頭に置いているのだ。ここに韓国が割り込むスキはない。北朝鮮の思い通りに事態は進むのだ。>

 そうなるだろうなぁ。

 <その会談が核軍縮だけを取り扱うものではないということは言うまでもない。北朝鮮と米国が韓国の頭上を飛び越えて在韓米軍を含む韓半島問題全体について話し合うという事実。これは想像するだけでも非常に恐ろしいことだ。米国は韓国に対して「核の傘」という保障を何度も約束するだろうが「核の傘」というものはそれ自体が言葉遊びだ。>

 この「韓国」の部分に「日本」を入れれば、状況は明白だろう。

 <そうなった時に、我々が自分たちで核武装を行う考えを持たないとすれば、それはもう国家ではないだろう。技術的には問題ない。しかし、我々の核武装を米国や国際社会が容認することはあり得ない。北朝鮮とは異なり、我々は国際社会との壁を作ってしまえば、わずか数カ月でも生存は難しい。結局、米国の核兵器をまたも持ち込むしかないということになるが、完全に変化した韓半島情勢の中で、米国がそのような選択を取るかは未知数だ。>

 そういうことなのだ。米国は北朝鮮がいやがることはやらないだろう。韓国に核兵器を持ち込まない、と米国は北朝鮮に約束するのだろう。そして、日本の駐留米軍も引き上げるかもしれない。北朝鮮が核弾頭を積んだICBMを持つ、ということはそういうことなのだ。

 <金総書記の年齢から考えて、金総書記は北朝鮮を核保有国として事実上世界に認めさせ、その後自ら語るように強盛大国の大門を開いた後に死亡する可能性が高い。核保有国には外からの力が及びようがない。そのため一般的に考えられているように「金総書記の死亡=北朝鮮の崩壊」は現実的に考えにくいということだ。大韓民国は金総書記死亡後も、統一ではなく核を持つ不良国家の人質として米国に頼りながら生きていくしかない。このような状況が現実味を帯びつつあるということだ。>

 日本も同じ運命なのだ。

 <これはあまりにも悲観的なシナリオと考えることもできる。しかし、これまで北朝鮮の核問題は最悪のシナリオ通りに進んできた。我々は現実を直視し、最悪の状況に備える必要がある。今、政府と国民はその準備ができているのだろうか。韓米首脳会談が行われた日に浮かんだ不吉な思いだ。>

 不吉な思いを日本人も抱いてほしい。あまりに何でもカルチャーっぽく皮肉っていると、真実が見えなくなり、パンとサーカスしか求めない愚民集団になり下がる。そして、国は滅びる。

 このような気骨あふれるジャーナリストがいる韓国がうらやましい。

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2009年6月16日 (火)

北朝鮮に核ノドンを持たせた戦犯は金大中、盧武鉉両氏だった~09年6月16日朝鮮日報

 最近の朝鮮日報は生き生きしている。中央日報も頑張っているが、サムソンの経営にも目配りせざるを得ず、米国の悪口を言いにくいという限界があるのかどうか、比べると朝鮮日報の素晴らしさがよく分かる、と思う。この記事もそうだ。

 <核問題/北朝鮮は保有OK、韓国はNOという二重性>という安勇炫記者の記事である。韓国左派の口先だけの「民主」=「北朝鮮のスパイ」の実態を遺漏なく語っている記事である。

 <核兵器製造は北朝鮮が行えば「自衛用」で、核の平和利用を韓国が行えば「危険な火遊び」となる。わが国の領海で、北朝鮮の船舶に対して貨物検査を行うことができるPSI(大量破壊兵器拡散防止構想)への加入を李明博(イ・ミョンバク)政権が実行に移せば、「戦争が起こる」として恐怖の雰囲気を造成する一方、「公海上でも北朝鮮船舶の検査を行うことができる国連制裁」をオバマ政権が推進した際にはまったく何の反応もない。野党や進歩左派勢力は北朝鮮の核問題に対して、このように「状況によって大きく変わる」二重基準の行動を繰り返している。>

 米国政権の二重基準は有名だが、韓国の「民主化勢力」は変なところだけアメリカの真似をしているのだろうか。

 <民主党は15日、韓米首脳会談のために出国した李大統領に対し「オバマ大統領からいろいろ学んでくるように」というメッセージを送った。民主党の丁世均代表は「今はオバマ大統領のような大胆な外交姿勢が必要な時だ」と述べ、李康来院内代表も「オバマ大統領から意思疎通の方法や包容性などについて学んでくれば、大韓民国にとってもプラスになるだろう」と述べた。>

 「何でもオバマ」か。日本では共産党の党首が一人はしゃいでいるが。

 <しかし、最近の北朝鮮の動きに対しては、李大統領よりもオバマ大統領の方が実ははるかに強硬だ。今月6日にはフランスで核問題についての質問を受けた際、「北朝鮮によるここ数カ月間の行動は非常に挑発的だ。われわれは北朝鮮の挑発に対して見返りを与えるような政策を続けるつもりはない」と答えた。>

 そういうことだ。

 <米国は国連安全保障理事会による制裁とは別に強力な金融制裁を予告している。米国が主導する安保理の対北朝鮮制裁決議(1874号)では、拳銃1丁でも北朝鮮への搬入を規制するなど、2006年の最初の核実験直後に決議された内容(1718号)よりもはるかに強硬だ。しかし韓国で民主党が、オバマ政権や国連安保理決議を公開の席で非難したことはない。逆に安保理決議案に対して支持を表明するスポークスマンの声明もあった。>

 オバマの米国はクリントンやブッシュのような失敗はしないでほしい。日韓の心ある人々はそう思っているのだが、どうなるか。

 <金大中元大統領は李明博政権がPSIへの全面参加を発表した直後、あるマスコミとのインタビューに応じた。その際「西海(黄海)で武力衝突が起こる可能性があるか」という質問に対して「あちら(北朝鮮)もPSIへの加入は宣戦布告と見なすと言っているのだから、じっとしていることはないだろう」とコメントしている。武力衝突の可能性について認めたということだ。しかし、安保理による北朝鮮への制裁の動きについては「今回は中国も参加している。制裁を行わないわけにはいかないだろう」と述べた。>

 公式にはそう言わざるを得ないところまで追い詰められていたのだったが。

 <それでも民主党や左派勢力はPSIが問題になっていたときとは異なり、国連制裁に対しては特別なコメントを発表していない。政府関係者は「なぜ米国大使館や国連に行ってろうそくデモを行わないのか」と不満を示す。明知大学の申律教授は「民主党は論理的な一貫性を失っている。韓国国内で支持基盤の顔色をうかがっているということだ」と述べた。また中央大学のイ・ジョウォン教授のように「結局オバマ大統領は自分たちの側、李大統領は敵という形の区別を行っているのではないか」という指摘も出ている。>

 そういうことなのだろう。ポピュリスト集団が敗れていく過程だったらいいのだが。

 <また6・15共同宣言から9周年を迎える時期を前後して、民主党などは一斉に「南北関係が悪化しているのは、李明博政権が6・15南北共同宣言を守らなかったためだ」という論理を展開し始めた。丁代表も14日「今すぐにでも李大統領が6・15宣言と10・4宣言を尊重するという確かな宣言さえ行えば、再び南北対話が可能になるだろう。“6・15宣言と10・4宣言を尊重する”という発言が李大統領の口から出るよう、皆が力を合わせて圧力を加え続けよう」と述べた。>

 南北、南北とそれだけが至高の価値のように喧伝し、国民を惑わせてきた金大中氏の罪は大きい。

 <しかし、統一部の千海成報道官が語るように、6・15宣言を守っていないのはむしろ北朝鮮という見方も根強い。北朝鮮は6・15宣言で約束した金総書記の韓国訪問を実行に移しておらず、離散家族の再会事業も中止させた。また開城工業団地の賃金を突然今までの4倍に当たる300ドル(約2万9000円)にまで引き上げるよう要求するなど、南北間の経済協力にも非協力的だ。それでも民主党などから北朝鮮に対して6・15宣言の履行を要求する声はまったく出てこない。>

 北朝鮮への批判をしないのは日本の左翼勢力と同じだ。日本の左翼勢力は政権を取っていないからいいが、韓国はこの反日勢力が10年間という長い期間、政権の座にあり、北朝鮮を核保有国家にしてしまった。

 <南北の核に関する権利についての立場も、まさに二重的と指摘する声が多い。民主党が「永遠に記憶する」という盧武鉉前大統領は2001年11月に米ロサンゼルスで「北朝鮮の核保有は自衛の手段という考え方には一理がある」と発言した。一部の左派は北朝鮮が数々の国際的な合意を足げにしながら核兵器を開発していることについて「統一が実現すればわれわれの核となる」などとして自主を強調する。しかし、韓国政府が一時自ら放棄し、その後最小限を取り戻そうとしている「平和的に核を利用する権利」について民主党のスポークスマンは「韓半島(朝鮮半島)の平和にまったくプラスにならない」と非難した。>

 盧武鉉氏の反日姿勢は特別なものがあった。裏で金正日総書記から指令を受けていたのかもしれない。つまり、韓国大統領ではなく、あの当時から統一朝鮮のソウル統治司令官だったわけか。

 <とりわけ金大中元大統領は2001年「北朝鮮は核を開発したこともなく、開発する能力もない。この点については自分が責任を持つ」と発言している。しかし、これに対してはいまだに「責任のある説明」は行われていない。>

 「自分が責任を持つ」という軽い言葉で北朝鮮に大金を渡し続け、その金を使って北朝鮮は日本を標的とする核ノドンを完成しようとしている。つまり、金大中氏は日本にとって最大の犯罪者なのだ。

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「北朝鮮は核小型化成功」と韓国国防科学研究所所長~朝鮮日報09年6月16日

 朝鮮日報ネット日本語版6月16日アップ分に<核問題/北朝鮮、核弾頭の小型化に成功か/朴昌奎・国防科学研究所長が主張>という記事が出ていた。

 <大陸間弾道ミサイル(ICBM)級と推定される長距離弾道ミサイルが搬入された平安北道鉄山郡東倉里ミサイル試験場で最近、発射台に大型の足場が設置され、ミサイル組み立て棟の補強工事も行われていることが確認された。また、第1回、第2回核実験が実施された咸鏡北道吉州郡豊渓里一帯で人や車両が引き続き活動するなど、第3回核実験を準備する動きも見られ、韓米情報当局が鋭意これを注視していることが分かった。これにより、今月16日の韓米首脳会談以降、北朝鮮がICBM級の長距離ミサイルの発射や第3回核実験などの強硬手段を再び繰り出す可能性が提起されている。>

 ここまでは偵察衛星で見ることのできる北朝鮮の動きで、目新しいものはない。

 <これとともに、北朝鮮が核兵器をミサイルの弾頭として搭載できるほど小型化することに成功した可能性がある、という国策研究所長の評価も飛び出した。国防部の傘下で各種の武器開発を総括する国防科学研究所(ADD)の朴昌奎所長が、15日に開催されたハンナラ党の北朝鮮核挑発・対策特別委員会の会議で「北朝鮮はスカッド、ノドン、テポドンの各ミサイルに搭載できるだけの核兵器の小型化が可能な状態とみられる」と述べた、と同会議の参加者複数が語った。これは「北朝鮮は核兵器の小型化を推進中だが、まだ成功したとはみられない」という韓米当局の公式判断とは異なる評価で注目される。>

 ここである。ここがニュースのポイントだ。この後はあまり関係ないニュースだ。

 <韓国政府の消息通は15日「北朝鮮は過去2-3カ月間、発射台に大型の足場を取り付ける作業を行ってきたが、この作業は最近完了し、発射台の準備作業は終了した状態」と語った。一方でこの消息通は、「しかしミサイル発射後の追跡作業に必ず必要となるレーダーなどはまだ設置されておらず、ミサイルも発射台に取り付けられてはいない状態で、発射が迫っているわけではない」と付け加えた。>

 <発射台に取り付けられた足場は、ミサイルに電源や燃料を供給するケーブルを接続し、人がミサイルを点検するに当たっても活用される。専門家らが衛星写真などを分析した結果、東倉里試験場の垂直発射台の高さは30メートル余りというこれまでの推定を大きく上回り、高さ50メートルに達することが分かった。これまでテポドン1号、2号ミサイルの発射が行われた咸鏡北道花台郡舞水端里試験場の発射台は、高さ32㍍だった。また東倉里試験場そのものの規模も、これまでは舞水端里試験場の2倍と考えられてきたが、実際には3倍に達するという。>

 <しかし、消息通が伝えたところによると、北朝鮮が今年7月の米国独立記念日前後にミサイルを発射するのか、あるいは必要な施設がまだ備わっていないということで当分の間発射を見合わせるのか、専門家らの間でも分析が食い違っているという。>

 <北朝鮮が国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に反発し第3回核実験を行う可能性も、韓国内外の専門家やメディアによって提起され続けている。韓米情報当局は、豊渓里など2-3カ所を第3回核実験の候補地域とみて、集中監視しているという。現在のところ、2006年10月に第1回核実験を実施した豊渓里万塔山東側の坑道地域が最も有力な候補地だ。>

 ここまでは、言っては悪いけど現場の方々の興味ある話だ。そして、専門家の話である。

 <一方、15日にはハンナラ党の北朝鮮核挑発・対策特別委が開催された。会議に参加した議員らによると、同じく会議に参加した朴昌奎ADD所長「北朝鮮はプルトニウム2㌔(4㌔㌧級)を使って第2次核実験を行ったが、40㌔程度のプルトニウムを保有しているものと推定されることから、2㌔の小型核弾頭20個程度を保有できる」と述べ、北朝鮮について事実上の核兵器保有国に近いと評価したという。特別委に所属するある議員は「朴所長は、小型化に関する具体的な情報を根拠に評価したというよりは、幾つかの状況を総合して推定したものとみられる」と語った。>

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「金大中、盧武鉉が北朝鮮の核武装を許した」高まる太陽政策責任論だって、ようやく!~6月16日朝鮮日報

 朝鮮日報日本語版ネットに6月16日、<核問題/高まる太陽政策責任論>という記事がアップされていた。崔慶韻記者の記事。読んで字の如しの内容だ。

 <最近、北朝鮮の核問題をめぐって政界では金大中、盧武鉉両政権の対北政策責任論が頭をもたげている。北朝鮮が2回目の核実験に続き、10年近く国際社会に対し否認してきた「ウラン濃縮」カードまで切ったことがきっかけとなった。金大中元大統領が2000年に太陽政策を標榜し、南北首脳会談で6・15宣言を採択してからちょうど9年。6・15宣言9周年を迎えた15日、政界では「現状の責任は李明博大統領ではなく、金大中元大統領と盧武鉉前大統領にある」という指摘とともに、「6・15、10・4宣言を放棄すべきだ」との主張まで出た。北朝鮮は初めから核兵器保有という目的地に向かって走ってきたのに「核は交渉用」との誤った前提の下、「日差しを当て核を脱がせる」という間違った政策の処方を行ってきたという指摘だ。>

 韓国でようやくこういう主張が出てきた。金大中氏が盧武鉉自殺の後、北朝鮮と口裏をあわせるように李明博大統領の責任を追及したが、逆にその言葉は自分に返ってきた。当然と言えば当然の話なのだが、なぜか今まで韓国では当然の話が通らず、北朝鮮に気を使うばかりの金大中氏の言説に「民主化勢力」と呼ばれる金正日支持勢力が同調、保守層を口汚くののしり、韓国の分裂を画した。良識ある世論が黙りこくったのは、金大中、盧武鉉両氏がナショナリズムの発露を「反日」に見出す団体を野放しにして、朴正煕政権時代の業績を否定したこと、親日派という絶対的批判基準で反対派を弾圧したためだった。

 保守派が黙りこくったのをいいことに、平和や統一という誰しも反対できないスローガンを前面に出して北朝鮮にカネや物資を送り始める。その「太陽政策」の結果がこの核開発だった、ということがようやく韓国民に分かり始めた、というのだ。

 <自由先進党の李会昌総裁は、同日行われた党指導部会議で「李明博政権は過去の政権の過ちを修正するレベルで、6・15、10・4宣言の問題点とその法的効力を再度検討すべきだ」と述べた。李総裁によるこの発言は事実上、金大中・盧武鉉両政権が10年間標榜してきた太陽政策との断絶を要求したものと解釈される。最近、北朝鮮の核問題と南北関係の行き詰まりの責任を現政権の対北強硬路線に求める民主党の攻勢の中、「6・15、10・4宣言を尊重する」と表明し、前政権の責任論を取り上げることに慎重な立場を示してきた政府に対して、これ以上本質を無視すべきではないと要求したものだ。>

 李会昌氏は金泳三政権後の大統領選挙で金大中氏に敗れた本格保守の政治家だ。

 <与党ハンナラ党や専門家グループ内でも、いわゆる「太陽政策責任論」が本格的に取り上げられ始めている。この日、ハンナラ党の北朝鮮核特別委員会が開催した会議で、外交安保研究院の尹徳敏教授は「北朝鮮の核問題は初めから北が核を放棄すると見込み、交渉でそれを誘導できると信じた金大中・盧武鉉両政権の判断の誤りだ」と述べた。交渉意思がない北朝鮮を相手に交渉を試みたことによって、北朝鮮に核開発に必要な時間と金を稼がせたというわけだ。尹教授は「北朝鮮の核問題と南北関係の行き詰まりの責任は李明博大統領とオバマ米大統領にあるとの主張は、前政権から核開発を準備してきた北朝鮮がボズワース米対北朝鮮政策特別代表の3月訪朝の提案を無視し、核実験を実施したことを見ても根拠が足りない」と話した。同教授は「北朝鮮がこれまで否認してきたウラン濃縮問題を自ら表明したことで、もはや誰がうそをついたのか明らかになった。北朝鮮に莫大な資金を支援した金大中・盧武鉉両政権は、北朝鮮の核開発の責任から自由たりえない」と述べた。>

 尹徳敏教授は北朝鮮問題というか、朝鮮半島の安全保障問題に関する韓国最高の研究者だと思うのだが、さすがきっちりしたことを言う。

 <ハンナラ党の鄭玉任議員は、米国のクリントン・ブッシュ両政権の責任論まで言及した。鄭議員は、「北朝鮮によるクリントン・ブッシュ両政権との交渉が欺瞞戦術だったことが明確になった。結局、交渉で北朝鮮の非核化を引き出そうとした米国の前政権の戦略にも責任がある」と述べた。同議員は「北朝鮮に対し引き続き対話と包容で接するという太陽政策論者の主張は、北朝鮮の核開発にさらに多くの時間を与えようという欺瞞だ」と述べた。>

 こういう議論がようやく出てきたことを歓迎しよう。韓国の、特にソウルの若い世代がこういう真実を知ることがどんなに大事なことか。金大中氏に騙された連中は韓国にとって不利なことが出ると、北朝鮮のせいだ、と思われるものでも日本のせいにしていた。そういう微妙な問題で、若い世代が騙されないことが大切だから。

 <これに対し民主党の丁世均代表は、「金大中・盧武鉉両政権はこの10年間、南北平和と繁栄政策を積極的に推進し、相当な成果を引き出した。非現実的な対北政策で状況を悪化させた李明博政権は、6・15、10・4宣言の精神に立ち戻るべきだ」と反論した。>

 こういう金正日総書記の回し者の言説への不信感がもっともっと強まれないいと思う。

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読売新聞・勝俣秀通編集委員の「核武装の北朝鮮抑止へ敵基地攻撃能力を議論せよ」に同感~読売新聞6月16日朝刊

 読売新聞6月16日朝刊解説面<北の核、高まる脅威/「敵地攻撃」本格議論を/日米、作戦計画が抑止力>はまっとうな議論だと思う。結論は「打つ手なし」なのだが、それにしても、米国に集団的安全保障を確約さえておけ、というのだ。

 要約にあるように①核ミサイルへの「盾」となるMDシステムに対し、過信は禁物だ②米国が報復攻撃することを確認し、日米で作戦計画をつくる必要がある――というのが勝俣氏の主張だ。

 MDがいかに危ういものか、は過去15回の実験で3回失敗していることを挙げておけば十分だろう。勝俣氏が敵基地攻撃の重要性を強調する例としてあげたのが1991年の湾岸戦争だった。

 <当時、米軍は、イラクがイスラエルなどを狙って発射する弾道ミサイル・スカッド(射程500㌔)の発射基地を破壊するため、ミサイルの発射熱を感知する早期警戒衛星、15㌢四方の物体を判別できる画像衛星など数多くの軍事衛星でイラクを監視していた。ところが、スカッドはトレーラーを改造した移動式発射台に搭載されており、衛星で探知してから巡航ミサイルトマホークや航空機などで爆撃しても、発射台はすでに移動した後で、効果は上がらなかった。トマホークなどのハイテク兵器は「雲や雨、湿気などの影響で機能が低下し、目標の識別や破壊が不十分だった」(米会計検査院)とも報告されている。>

 防衛省の資料を基に書いたらしいが、軍ではこうした教訓になるデータは共有されている。怖いのは日本以上に北朝鮮の方が神経を使ってこういう資料を集め、徹底分析していることだ。

 <窮地を救ったのはイラク領内に潜入し、移動する発射台にレーザーを照射、米軍の放つ精密機器を発射台まで誘導した英軍の特殊部隊(SAS)だった。>

 なるほど、米国が英国を大切にするわけだ、と思う。「007」のような活躍があったのだろう。

 <北朝鮮の場合はどうか。核兵器を搭載できる弾道ミサイル・ノドン(射程1300㌔)は、日本を標的に100基以上が配備されている。多くは移動式発射台に備えられ、残りは強固な岩盤をくりぬいた半地下式のサイロから発射されるという。移動する発射機を叩く難しさは湾岸戦争で証明されており、岩盤を破壊するには強力な地中貫通爆弾も必要となる。目標をピンポイントで破壊するためには、特殊部隊の潜入も考えなければならない。>

 大変なことなのだ。

 <難題ばかりで、とても自前で敵基地攻撃能力を持つことなどできない。政府はまず、北朝鮮の核に対する日本の脅威認識を米国に共有させ、日本が攻撃を受けた場合には、米国が集団的自衛権に基づいて必ず報復することを確認する必要がある。と同時に、日米は敵基地攻撃を前提にした作戦計画の策定を急がなければならない。自衛隊と米軍の役割分担などは、その過程で明らかになるだろう。これらが現時点で取りうる唯一の抑止力だと思う。>

 こんな能力をすぐにつけろ、といわれてもつきっこない、ということだ。しかし、これが現在の唯一の抑止力なのか? そこには疑問が生じる。

 <この問題を巡っては、半世紀以上も前に「弾道弾等による攻撃が予想される場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」との政府見解が示され、自衛権の範囲内とされてきた。だが、北朝鮮が核ミサイルを発射する能力を持ちつつあるという最悪のシナリオを突きつけられるまで議論されることはなかった。この国の安全をどうすれば確保できるのか。その答えを出すまでに残された時間はそう長くない。>

 私は6月17日の国会党首討論で麻生太郎首相にこの問題を徹底的に取り上げていただきたいと思っている。鳩山由紀夫・民主党党首は小沢一郎氏の言った「第7艦隊だけいればいい」という主張をそのまま引き摺っているのかどうか。北朝鮮の核ミサイル完成に対処するのに集団的自衛権問題をどう考えているのか? しっかりと民主党の安全保障政策を聞き質していただきたいのだ。

 国民はただの人気取りの内閣を持つだけの時間的余裕を持っていない。少なくとも民主党が参院の「数の論理」を優先して社民党と連立すれば、安全保障問題の決定は閣内不統一でできないだろう。公明党は相当に「国民の安全・安心」を重視する方向に変わってきており、自公連立政権ならば集団的自衛権問題もクリアできるだろう。

 その辺、非常に重要な国民の判断材料なのだから、麻生首相はきっちりときいてほしい。できれば、鳩山氏が逃げの答えをしても二度、三度追及して、民主党の安全保障政策をしっかりと聞いてほしい。

 水曜日の党首討論はほかには何もいらない。それだけ聞いてくれればいい。どうせ鳩山邦夫氏問題を兄から問いただされ、新聞もテレビもそこに焦点をあてるだろうが、見ている人はちゃんと見ているのだ、ということで自信を持って臨んでほしい。蛇足だが、鳩山氏の問題は失敗だった。あとは、なるべく早く西川善文社長を更迭するしか人気回復の道はないだろう。

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別に大江健三郎氏に恨みがあるわけではありませんが:北朝鮮核問題を書いておられましたね~09年6月16日朝日新聞朝刊[定義集]を読んで

 朝日新聞朝刊に連載している[定義集]はたまに目を通す。

 大江健三郎氏は「セブンティーン」「芽むしり子撃ち」「個人的な体験」の頃から読んでいた。1935(昭和10)年1月31日生まれだという。愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)の出身地の記憶は、『燃えあがる緑の木』など後期作品で基調低音のようにテーマの底を流れているが、私は初期作品の目の付け所の新しさに惹かれた。もののない頃の東大文学部仏文時代の1958年、23歳で「飼育」で芥川賞を取ったころは、私はまだ小学生だったので、知らなかったが、高校生になると、大江の作品は貪り読んだものだった。

 ウィキペディアの「戦後日本の閉塞感をグロテスクな性のイメージを用いて描き」という表現が当たっているのかもしれない。「その後、外国文学の読書経験から独特の詩的な文体を獲得し、核や国家主義などの人類的な問題と、故郷の四国の森や知的障害のある子供(長男の大江光)という自身の体験とを重ね合わせ独自の文学世界を作り上げた。1994年ノーベル文学賞受賞」と大江の業績を簡潔にまとめてあったのは、さすがウィキである。当時はエロ本代わりに読んでいたのかもしれないが、右翼青年の性的衝動と政治への受動的参加を描いた作品など、まだ山口音弥による浅沼稲次郎刺殺事件の記憶が鮮烈だった時代だっただけに、社会的反響を巻き起こしたことも覚えている。「飼育」は朝鮮戦争なのか、と思ったが、ベトナム戦争に行った米軍兵士が戦死し、故郷に送り返す前に東大にあったエタノールいっぱいの死体収容水槽に浮いているイメージがどぎつかった。

 ウィキにあるように、大江はいつからか「人類」の普遍的な問題にかかわる。丸山真男、加藤周一、小田実ら進歩的文化人の系列に入っていく。そして「9条の会」で、小田、加藤の死後、中心的存在として「非戦」のメッセージを世界に発信している。

 それ自体は非常に貴重で大切な行為だと思う。いずれにしても人間は完璧ではなく、ミスを犯す動物だから、何かのトラブルで核爆弾のスイッチが入れば、核ミサイルは空を飛び、決められていた照準に命中、第3の核被害地が出現する。

 今、怖いのはそれだけではない。例えば、中国が東京に照準を合わせた中距離核ミサイルを北朝鮮北部と国境を接する地点に配置してあり、そこの人民解放軍兵士が何か勘違いをして、なおかつ制御装置が不調で、上官が何も考えない人で、という場合に東京は広島級核爆弾の10倍以上の威力を持つ核爆弾によって壊滅する。この場合には米国は「核の傘」のことを意図的に忘れるだろうから、日本人が「中国の鬼め」と怒るくらいで「やあ、どうもどうも、兵士が間違えちゃって、すまなかったね。これからはちゃんと教育をするから」という中国共産党指導部の釈明に日本国民が釈然としなくとも、自分で核兵器を持っているわけでもないし、通常兵器だって中国まで攻めていける武器はほとんどない。だから、日本の内閣に八つ当たりして「お前が無能だからこんなことになったんだ」と引き摺り下ろすくらいしかできず、表面上は国際的な同情を引くものの、途上国などでは「坊や、ごらん、豊かな生活をしていても、カギをちゃんとしめない、おまわりさんもいない国は滅びるのよ。戸締りはしっかりして、枕元にはちゃんと棍棒を置いておくことを忘れずにね」などという教訓話にされるのが落ちだろう。

 だから、国際的な紛争の話をする場合、日本はなかなか一般化できる対象ではない。日本は核攻撃しても黙って耐えてくれる国だし、何しろ広島のモニュメントだって「二度と過ちはおかしません」のような主語があいまいな標語が書かれているだけで、落とした米国への恨みもない国民なのだから、あと何発落としたって「恨みませぬ」くらいのモニュメントを建ててくれる、と国際的には思われているのかもしれない。

 しかし、核保有国同士でこうしたミスが発生するとこうはいかない。ニューヨークを狙った原爆が間違って発射された。胡錦濤主席はすぐにオバマ大統領に緊急連絡し「ミスだった」と告げるだろう。そうしないと全面核戦争で中国はコテンパンにされてしまうからだ。そこで、米国はMDで核ミサイルを撃ち落とせるかどうか。撃ち落とせなかったら、ニューヨークは火の海。米国民は「中国をやっつけろ」となるだろうし、オバマだって報復核攻撃を北京に向けて行うだろう。世界核戦争になる。

 このように核保有国を攻めてはいけない、というのが今の国際常識だと思うのだ。ぶっちゃけて言えば「攻めたい時には日本を攻めろ」ということだ。

 こういう国際常識、悪魔の思考法が各国の政権担当者の頭の中にこびりついている時、大江健三郎氏は北朝鮮の核について何をしゃべるのか。非常に興味を持って読んだのだ。

 <もし今日、加藤さんが出席していられたなら、聴衆は、いま世界に起こっていること、そしてその焦点をなす北朝鮮のミサイル発射と核実験について話を聞きたいだろう、と考えました。私は加藤さんの語られることを想像しました。>

 として、空想と想像は違う、という「定義」の話をしながら、加藤周一氏が広島原爆50年の1995年、広島でパグウォッシュ会議が開かれた時に、講演し、原爆後の広島に最初の医学調査団として広島に入った加藤氏の驚き、後遺症のひどさ、そういう情報が世界に伝わらず、世代間の断絶もあること、核保有国と比核保有国との不平等、核保有国間の核弾頭の数の不平等、核実験のシミュレーションの技法、レヴェルの差が核状況を考える際のキーポイントだ、と語ったことを大江氏の言葉で繰り返し、

 <加藤さんらしく原理的に正しい意見だ、しかし現実的に有効だろうか? そう問う人に、いま世界の政治権力がどう考えているかの一例を示してみます。>

 として、例にあげたのが例の米国務次官補の「日本が敵基地攻撃能力を整備するという結論出したら米国は当然、できる限りの方法で支持する」という発言だった。

 そして、この件については、

 <北朝鮮の基地の攻撃能力について、私らは日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」200発を実戦配備している、というニュースに接しています。>

 と書くだけで、「だから、こうしろ」という結論は何も書いていない。そして、話は広島のジャーナリスト、金井博氏のことに飛ぶ。核廃絶が進まない無念で涙を流している、という話だ。何か、北朝鮮の現実を前にして、「涙」が出てきた。そして、結びはこうである。

 <私は15年後が生の盛りの、若い人たちに問いかけます。その世界の平和は核を含む暴力の均衡によるか、国家間の不平等をなくして信頼を確立したことによるか、どちらが原理的で、現実的でもあると思いますか?>

 見出しが<原爆の威力か人間的悲惨か/信頼確立による平和を想像>である。

 大江氏の大きな勘違いは国際的な不平等を直せると思っていることだと思う。それは価値観の統一、ということだ。平等、不平等はあいまいなもので、その基準すら統一できない。だからOECDやIMF、世界銀行が統一基準を作って平等化に資するよう努力しても、途上国からは「それはワシントン・コンセンサスを押し付けるものだ」という批判が沸き起こる。大体、富を国際的に平準化したら、日本人など、朝ごはんはひえのスープ、昼抜き、夜はサツマイモのふかしたものを食べているようになるだろう。それでいい、という主張が大江氏の主張なのか? あまりに理想論に固執して、グローバル社会の現実に目をつぶっていると、日本人に悪影響しか与えないのではないか?

 この文章を読んでも、では日本人は何をすべきか、は何も浮かんでこない。北朝鮮の言うがままで、30万人くらいの奴隷でも金王朝に朝貢することでも夢想しているのだろうか? どうも日本人という意識がないことは前から気付いていたが、こういう人物を定期的に使う朝日新聞という新聞社の見識が疑われると思うのだが。

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2009年6月15日 (月)

北朝鮮は6年8カ月間、嘘をつき通した:ウラン濃縮~6月14日朝刊各紙と中央日報、朝鮮日報6月15日

 6月14日朝刊各紙は北朝鮮が「ウラン濃縮作業に着手する」という外務省報道官声明を出したことを1面で大きく扱った。国連安保理の北朝鮮制裁決議採択に反発し、プルトニウムは新規に抽出する分を全量兵器化するとも言っている。どのくらい怖いものなのか? 日本の安全保障に影響するものなのか? 日本はこういうスタンスからの記事が弱い。テポドン発射よりもノドン発射の方が日本には影響が大きい、などという基礎知識すらない記者が多いからだ。

 日本の新聞はいずれも「北朝鮮がウラン濃縮を公式に認めるのは初めて」とは書いているものの、今までいかに日米韓など関係国を騙してきたか、の検証はあまりされていないようにも見える。あっさりしているのだ。

 ただ、安全保障問題に関する情報も書いている。日経新聞は6月14日朝刊国際面<濃縮ウラン型、核実験不要>でソウル支局の尾島島雄特派員が、

①ウラン濃縮型はプルトニウム型に比べ起爆装置の開発が容易で必ずしも核実験をする必要がない

②パキスタンはウラン濃縮型から開発を始めた

③プルトニウム型の方が小型化はしやすいが、起爆装置の安定化に技術が要り、時間がかかる

④北朝鮮は抽出前の未処理プルトニウムが8㌔㌘あると申告している。新たに1、2個の核爆弾を追加できる量に当たる。既に核爆弾6、7個程度を製造できる量のプルトニウムを抽出済みという説もあり、訪朝した米国の研究者に「既に武器化した」と語った北朝鮮高官もいる。申告が事実で今回の声明通りプルトニウムを兵器化すれば計7~9個の核爆弾を作れる計算になる

 ――と書いていた。

 毎日新聞14日朝刊2面<北朝鮮ウラン濃縮宣言/「核放棄あり得ぬ」/「瀬戸際外交」強める>で北京支局の西岡省二特派員は、

 <プルトニウム兵器化に加え、他国に見つかりにくく自国の豊富な天然ウランを使えるウランによる核開発も公式に表明した。>

 と、この技術が確立されれば、北朝鮮にとって非常に有利であることを説明していた。この指摘は地政学的にもっともっと日本人に理解されるべきものだろう。

 毎日新聞2面にはワシントン支局の草野和彦特派員による<米国「第3次核危機」の声も>で過去の北朝鮮の嘘を書いていた。

 しかし、韓国の新聞の方が執念深い。この経緯については韓国紙、中央日報を読むことにしよう。

◆中央日報の記事

 韓国の中央日報は6月15日のネット日本語版に<6年8カ月ぶりに発覚した「ウラン濃縮」の真実>というまとめ記事を掲載していた。

 これは疑惑を6年8ヵ月間否定し続けてきた北朝鮮が一転、認めたことを中心に論考した記事だ。

 <ウラン濃縮計画(UEP)をめぐる朝米間の真実探りが6年8カ月ぶりに終止符を打った。これまで米国と北朝鮮はUEP問題をめぐり「全部知っているから自白しろ」(米国)という督促と、「そもそもないものをいかにして自白できるか」(北朝鮮)という反論を交わしていた。しかし、北朝鮮外務省は13日付の声明を通じ、これまでの「否認戦術」を自らやめた。>

 という書き出しだが、この部分をクローズアップした朝鮮日報の記事では<北朝鮮のウソ>という見出しで、書いていた。中央日報の続きを読む。

 <UEP問題は2002年10月に触発された2回目の核危機の始発点となった。当時、北朝鮮の平壌を訪れたジェームズ・ケリー米国務省次官補は情報機関の分析をもとに「北朝鮮が兵器級ウランを濃縮するのは合意に違反する」と追及した。これに反発した北朝鮮は1994年のジュネーブ枠組み合意で凍結した寧辺原子炉を再稼働し、核不拡散条約(NPT)からの離脱を宣言するなどの強硬措置で立ち向かった。>

 例の「ソウルを火の海にする」という脅し発言があった朝鮮半島第1次核危機である。

 <それ以降、国際原子力機関(IAEA)の査察官がいない「ノーマークのチャンス」でプルトニウムを作りはじめ2006年10月には初の核実験に踏み切った。UEPへの圧迫を、プルトニウムの追加生産と兵器化の口実に利用した戦略であった。米国は証拠を挙げ、北朝鮮に圧力をかけた。パキスタンの核科学者アブドル・カディル・カーン博士が遠心分離機およそ20機と設計図を北朝鮮に渡していたこともわかった。>

 カーン闇のコネクションから北朝鮮が技術を導入していた。これは核不拡散問題に米国が気を抜いていた時に北朝鮮が行ったズル行為だった。

 <2003年には遠心分離機の主要部品(高強度アルミニウム管200㌧)のうち1回分を積み込み、ドイツから中国へ向かっていた貨物船がスエズ運河で摘発、帰港させられた事件が発生した。当時、輸入業者の住所地は北京となっていたが、代表者はIAEA本部があるウィーンに滞在し、原子力関連業務を担当していた北朝鮮の元外交官だった。>

 あれは2003年だったのか。もう随分昔の話のようだが。イラク戦争の陰に隠れていろいろな悪事をし放題だったのだ。

 <北朝鮮は、ほぼ同じ時期に、ロシアを通じ大量のアルミニウム管を輸入することに成功した。遠心分離機およそ2500機を作れる量だった。だが、本格的なウラン濃縮工場を稼働し核兵器の材料を作るには、北朝鮮の技術も物量も不足している、と情報機関は判断した。>

 アルミニウムとか、日本人にはなかなか判りにくいニュースだった。専門家もこの時点では事態を甘く見ていた、というよりも、甘く見るように米政権からの圧力があったのではないか。イラクに集中しており、北朝鮮まで手が回らない、という時期だったのだから。

 <当初、高濃縮ウラン(HEU)という用語が、いつの間にか「高」を除いた「UEP」に変わったのは、そうした理由からだった。北朝鮮が自繩自縛に陥った側面もあった。2007年11月に北朝鮮を訪問した米国務省のソン・キム課長ら一行に、北朝鮮は「アルミニウム管はミサイル部品として輸入したもので、UEPとは関係ない」とし、サンプル二つを提供した。>

 これが2007年、一昨年の話だ。

  <だが、米国に持って行き精密に分析したところ、同サンプルからウラン濃縮関連の成分が検出された。情報筋は「パキスタンから仕入れた遠心分離機と同じ所に保管しておいたため、濃縮の痕跡が検出されたようだ」とし「北朝鮮が、米国の検証能力を過小評価していたようだ」と話した。>

 証拠は着々とそろっていった。しかし、時間がかかっている。試料提供→分析、という過程を繰り返さなければならないので、どうしても時間がかかる。報道は細切れになる。日本の読者は関心をなくす。「まあ、今はまだ大丈夫なのだろう」で済ませていなかったかどうか。

 <こうした紆余曲折の末、朝米両国は昨年4月に秘密了解覚書を交換し、UEP問題を一時縫合した。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の第2段階(寧辺原子炉の無能力化の段階)では、UEPを問題視しないことにしたのだ。>

 <米国は依然、兵器級の濃縮段階に至っていないUEPより、抽出量が40㌔㌘を上回るプルトニウム問題がより急がれる課題だと判断した。しかしそれから約1年後に北朝鮮は「ウラン濃縮に着手する」と明らかにした。秘密裏に、絶えずUEPを進めてきたことを自ら認めたのだ。>

 北朝鮮がいかに嘘をつくか。その言説がいかに信用できないか、が分かる。これでもまだ米国は話し合い交渉を続けようというのだろうか?

 中央日報は<北、ウラン濃縮技術のレベルは>で詳しい分析記事も掲載していた。

 <北朝鮮は「ウラン濃縮技術の開発に成功し“実験段階”に入った」と主張している。核兵器向けの高濃縮ウランは、核兵器の原料となるウラン-235(U-235)の割合が90%以上のウランのこと。現在としては北朝鮮のウラン濃縮能力を正確に測定しにくい。しかし、北朝鮮が「実験段階」だと公言することによって、初歩的な「ガス遠心分離技術」は確保したものと専門家は見ている。>

 初歩的技術を獲得した段階なのか?

 <情報当局は北朝鮮が1996年にパキスタンと協約を結び、ノドンミサイルの技術を提供する代わり、ウラン濃縮技術や資材などを仕入れたものと把握している。当時、パキスタンの核科学者アブドル・カディル・カーン博士とのコネクションを通じ、遠心分離機およそ20機を北朝鮮が導入したということだ。>

 1996年と言えば、日本はバブル崩壊で金融がおかしくなる少し前。内政問題で相当にガタガタしており、安全保障問題できちんとした対応ができなかったのだろうか?

 <しかし、北朝鮮がいますぐにウラン爆弾に入る兵器級の高濃縮ウランを作れるかは依然として未知数だ。遠心分離機およそ20機では、年600㌘ほどの高濃縮ウランを作れるウラン核爆弾1基を作るためには、高濃縮ウラン15-20㌔㌘ほどが必要とされる。北朝鮮がロシアから遠心分離機2600機を作れる高強度のアルミニウム150㌧を輸入したことが分かっているが、きちんと作動できる遠心分離機を作れたかどうかは未知数だ。>

 すべて分からないベールの中だ、と書いている。米国の情報機関も同じ状態なのか?

 <遠心分離機に必要とされる高強度ベアリングなどは、スウェーデンなど一部先進国でのみ生産されており、戦略物資と見なされる(輸出統制品目)。北朝鮮が自国の技術で高強度のベアリングを作ったとしても、濃縮効率が大きく落ちる可能性があるということだ。>

 この辺がよく分からない。

 <ガス遠心分離法ウランを遠心分離機に入れた後、1秒当たり5万回以上の超高速で回転させる場合に発生する遠心力を活用し、U-235とU-238を分離できる。相対的に重いU-238は外部に集まり、核兵器の原料となるU-235は内側に集まるようにし、U-235の濃度を高めれば、「U-235が90%以上の高濃縮ウラン」が生成される。>

 ウラン核爆弾の生成法だ。

 <このときに使われる遠心分離機は、円筒(半径30㌢、長さ1-2㍍)がベアリングの上で回転する装置だ円筒は高強度アルミニウムやチタニウムなどの金属で作られる遠心分離機1機を1年間稼働すれば90%以上の高濃縮ウランを30㌘ほど分離させることができる。>

 ここまで技術的な問題を分かり易く解説してあれば、黒井文太郎氏の新書並みだ。読者にはよく分かって、親切だが、日本の新聞ではなかなかこういう記事が載らない。

 朝鮮日報も6月15日、<核問題/北朝鮮のウラン濃縮、追跡が困難>という丁寧な解説記事を掲載していた。ワシントン支局の李河遠特派員とソウルの任敏赫記者の合作である。

 <国連安全保障理事会が満場一致で採択した制裁決議1874号を受け、北朝鮮は数時間後に「ウラン濃縮」というカードで対抗した。北朝鮮は6カ国協議の過程で米国が指摘してきたウラン濃縮疑惑をでたらめだと否定してきたが、今回はウラン濃縮が「技術開発段階」ではなく、直ちに稼働可能な「試験段階」にあると明言した。国際社会に公にウランとプルトニウムの両面で核武装を続けることを宣言した格好だ。>

 中央日報と同じことだが。

 <プルトニウム抽出方式によるこれまでの核開発プログラムはその進行を外部から察知することが可能だが、ウラン濃縮は秘密性が強く、国際社会の対応はさらに困難になる見通しだ。>

 ここが問題なのだ。国際社会が見えないうちに、北朝鮮が核ノドンを完成する、という悪夢だってないわけじゃない。

 <北朝鮮は13日、対外発表の形式で最もレベルが高い「外務省声明」で、「安保理決議1874号を断固糾弾、排撃する」とし①ウラン濃縮作業の着手②新たに抽出されるプルトニウムを全量武器化③(船舶検査など北朝鮮に対する)封鎖に対する軍事的対応――という3項目の措置を取ると主張した。>

 <声明はまた「今日の対決はわが共和国の自主権と尊厳に関する問題であり、朝米対決だ。核廃棄は絶対に徹頭徹尾あり得ず、われわれの核兵器保有を誰が認めようと認めなかろうと関係ない」と主張した。声明は「委任に従う」との表現で、北朝鮮最高指導部の意思を反映したものであることを明確にした。クリントン米国務長官は、北朝鮮外務省の声明について、「北朝鮮の継続的な挑発行為は非常に遺憾だ。彼らはすべての人から非難を受けており、さらに孤立の度を深めている。国連制裁決議1874号は北朝鮮が過去数カ月続けてきた挑発行為に対する一致した対応を示すものだ」と強調した。>

 クリントン氏は必死に強い言葉を使っているのだが、まあ、結論は見えているし、私にすら推測できる結論だったら、北朝鮮が本気で対応することなどありっこない。

◆秘密性高いウラン開発

 <韓米当局は北朝鮮が明らかにした対応措置のうち、特にウラン濃縮を懸念している。「秘密性」があるためだ。核爆弾を製造する方式のうち、ウラン濃縮は北朝鮮が既に寧辺地区の施設で行っているプルトニウム再処理とは異なり、大規模な施設が必要なく、放射能放出もほとんどないため発覚しにくい。ウラン濃縮を行うためには、主に遠心分離機が使われるが、これは990平方㍍ほどの用地があれば、関連設備を設置することが十分に可能だ。その上、北朝鮮が既に建設済みの地下施設に設備を設置できる、と当局はみている。寧辺のように米偵察衛星を通じた摘発は容易ではない。>

 詳しい。このくらい書いてくれれば、怖いということが理解できる。

 <また、ウラン濃縮による核兵器開発は、臨界量(2㌔㌘)さえあれば容易に爆発させられる長所があり、核実験も必要ない。科学技術政策研究院の李春根・南北協力チーム長は「老朽化した寧辺の施設を捨て札として使い、核開発をウラン濃縮に全力を挙げる方向に転換する可能性が高い」とみる。>

 面倒なプルトニウム核爆弾ではなく、簡単に作れるウラン核爆弾を全力で作り上げるのが強盛大国への道なのか?

◆ウラン技術の把握困難

 <北朝鮮は「ウラン濃縮は試験段階に入った」と主張しているが、実際に濃縮技術と関連施設がどのレベルに達しているかを正確に把握できずにいる。北朝鮮の関連部品入手状況などを通じてのみ推定が可能だ。>

 <北朝鮮はパキスタンで「核開発の父」と呼ばれるカーン博士のルートを通じ、1998年から2001年にかけ、遠心分離機20台と設計図を受け取ったことが判明している。また、ロシアから遠心分離機の材料として使われる高強度アルミニウム管150トンを輸入した疑いも浮上した。このほか、国内外の情報当局は、北朝鮮が平安北道天馬山などにウラン濃縮活動と関連する施設を秘密裏に建設し、稼働中と推定している。>

 すべてが状況証拠の積み上げ、というのも苦しい限りなのだが、北朝鮮の核関連技術者が亡命などしないのだろうか?

 <専門家は、北朝鮮が遠心分離機の原型と設計図を保有しており、技術的にはウラン濃縮に着手できるレベルとみられるが、関連部品を完全には準備できずにいると分析している。北朝鮮には遠心分離機に必要な高強度ベアリングなどを独自で生産する能力がなくこれら物資の輸出入は厳しく規制されており、外部から購入できない状態とみられる。>

 やはり船舶検査は有効なのではないか。

 <しかし、核兵器の確保に北朝鮮が国の「命運」を懸けている点からみて、北朝鮮のウラン濃縮技術と施設確保が一般的な予測の範囲を超える可能性も否定できない。一般的にウラン濃縮方式で核兵器1個を作るのに25-30㌔㌘の高濃縮ウランが必要だ。それだけの濃縮ウランを集めるためには、P1型遠心分離機で2500-3000台、P2型遠心分離機なら1000-1200台を1年間稼働させる必要があるとされる。>

 この辺の計算をきっちり(?)するところが実証的で素晴らしいと思うのだ。日本では軍事オタクのブログや雑誌論文、本で見るしかない。

 <北朝鮮が入手した高強度アルミニウム150㌧ンは、遠心分離機約2600台が必要な分量に当たるため、これをすべて遠心分離機の材料として使用すれば、年間1-2個のウラン爆弾を生産できる計算だ。>

 やっぱり急がないと、北朝鮮は手持ちの核をどんどん増やしていく。日本の安全保障に影響することは確かだ。ウラン濃縮はやっぱりヤバイのだ。

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2009年6月14日 (日)

日本の外交担当記者も韓国人記者くらい熱心に書いてほしい~朝鮮日報6月14日外交官人事異動の話を読んで

 韓国の新聞記者は優秀だ、と思う。最近、朝鮮日報、中央日報の北朝鮮絡みの記事を読み、その取材の幅広さと深さに感銘を受けた。結局、やる気なのだと思う。

 朝鮮日報日本語版ネットに6月14日にアップされた大型コラム<韓国外交部の人事システムの後進性>はワシントン支局の李河遠特派員が書いているのだが、米国務省の人事異動システムをよく説明しており、それと韓国外交通商省との比較なのだ。寡聞にして、日本の記者がこのような米国の外交官の人事異動のシステムについての内幕を書いた記事を見たことがない。アルバイト原稿の月刊誌、週刊誌などでは書いているのかもしれないが、読者はこういう記事を読みたがっているのだ。

 じっくりと、朝鮮日報のコラムを読んでみよう。

 <在韓米国大使館に今年8月、ジョセフ・ユン政務参事官の後任として、4年前に韓国で勤務したジム・ウェイマン氏が着任する。米国務省韓国課で北朝鮮問題を担当してきた東アジア・太平洋担当次官補補佐官のユリ・キム氏は間もなくイラクへ赴任する。韓国の担当者として勤務した後、イラクへ赴任したジム・ヘラー氏は近く、語学研修のため来韓する予定だ。また、韓国課の副課長を務めるモーリン・コーマック氏は欧州課長への昇任が内定している。>

 大使人事ではない。書記官人事や公使人事である。日本のワシントン特派員や外務省担当記者は忙しすぎてこういうことには関心がないのだろうか?

 <米国務省で韓国に関連する業務を担当してきた外交官たちの人事異動の内容は、記者が最近把握したものではない。すでに昨年末、その内容は知っていた。記者の能力が優れていたからではない。国務省の人事システムでは、高級幹部ではない多くの外交官たちの異動が、早ければ1年も前に決まるからだ。>

 ということだという。

 <コーマック副課長は昨年末、欧州課長への承認が内定した後、イギリスやフランスなど欧州諸国に関することが話題になるたび、新聞を読んで勉強してきた。先日イラクへ赴任した在韓米国大使館のヘンリー・ハガード元政治部長は、1年後にどこの国へ赴任するか知っていたため、その国の言語に関心を注いできた。>

 そういう人事異動システムであることは駐在した記者たちだけのインナーの情報として大切にしてあったのだろうか?

 <一方、韓国の外交官たちは、赴任する国が2カ月前にようやく決まる。在外公館への異動は通常8月に行われるが、外交通商部の古い人事制度では、それが6月に初めて決まるためだ。>

 日本だってそうだ。

 <現在の外交部の人事システムでは、誰も自分から行きたがらないアフリカ諸国の大使館は、ほかの地域の大使館の人事異動を決めた後、最後に決まることになっている。ソウルで勤務した経験を持つ米国の外交官Aさんは「韓国の人事システムは理解できない。家族全員の移住を伴う外交官たちにとって、2カ月前まで予想もしなかった国への異動が突然決まるというのは過酷きわまりない」と話す。>

 日本のいろいろなシステムがそのまま生き残っているのが韓国である。韓国で「組織に矛盾がある」と指摘された場合、大体は日本にも適用できる話なのだ。

 <2-3年間にわたって勤務する在外公館が、2カ月前になってようやく決まる韓国の外交官たちは、赴任先の国について研究する時間も十分に与えられないまま着任の日を迎えることになるケースが大部分だ。このような形で在外公館へ赴任する外交官たちが果たして、赴任先で自らの能力を100%発揮することができるだろうか。突然見知らぬ国への赴任を命じられた外交官たちが心を落ち着かせるまでには相当な時間がかかる。開発途上国へ赴任を命じられた外交官たちの悲哀は、外交部の上役たちもなかなか理解せず、気を遣ってくれないというわけだ。劣悪な生活環境の改善や、人員の増員に関する提案も圧回しにされるのが常だ。>

 ワシントン大使館で韓国外交官たちの不平不満をじっくり聞いて、勉強したのだろうと思うが、詳しい。

 <異動が急に決まるため、外交部では定期人事異動の後、必ずといっていいほど不満が噴出する。昨年、「資源外交」という大義名分で、外交官たちが突如アフリカ諸国へ追加派遣されたとき、主要国の公館のある外交官は、あらゆるつてを頼って異動を避けたという噂が流れた。またある外交官は全く予想もしなかった地域への異動を命じられ、そのことを妻にどう説明したらよいのか悩んだという。>

 コネが目立つ韓国ならでは、の話もあるだろうが、基本的には日本の外務省も派閥人事が罷り通っているから、同じである。陰に隠されているだけである。

 <こうした状況の中、カメルーンに大使館を開設するため昨年10月に単身赴任していた外交官が最近、公務のためソウルへ一時帰国した際に急死した。この件をきっかけに、普段個人的な意見を表明することがなかった外交官たちが、外交部のイントラネットで、同部の人事システムや事務手続きの本質的な問題点を指摘している。>

 改革の機運か。

 <環境が劣悪な地域で勤務していて亡くなった外交官に対する責任が、100%外交部にあるわけではない。また、外交官であれば、どんな国への勤務も喜んで受け入れなければならないのが宿命だ。だが、未来を予測できない人事システムが、外交官たちの士気を低下させているのではないか、過労に追い込んでいるのではないか、今一度分析してみる必要がある。>

 過労死だったのか。

 <これは外交官たちの福利厚生だけのためではない。今や外交部の人事システムが、国益や国家の競争力に直接・間接的に結びついているという認識が求められる。在外公館の開設のために奔走し、生後7カ月の子どもの顔も見られないまま世を去った外交官、ユン・ホングンさんの冥福を祈りたい。>

 そうか、この尹氏と友人だったのかもしれない。それにしても、友人を失った義憤からここまで書けるのはすばらしい。

 こういう記事を日本の外務省の人事異動システムについて日本の記者の記事で読みたい。大体、オバマ政権の大使一覧表を見ると、民間人大使が異常に多い。日本は職業外交官だけだ。どっちも長所短所があるので一概には言えないが、経団連会長を駐英大使くらいにしてもいいではないか、とも思う。

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84歳の元大統領、金大中氏の発言と韓国政界の冷やかさ~6月9日→14日の韓国紙から

 昨日、今日と少し時間があったので、韓国の新聞の日本語ホームページを見ていたら、どうもソウルではいまだに盧武鉉前大統領の自殺をめぐって「民主派」連中が騒いでいるらしいことが分かった。金大中元大統領までが何か言っているらしい。北朝鮮の2回の核実験、ミサイル実験、国連安保理制裁決議という動きをも「李明博政権がいけない」と言っているらしい。

 こういう言説に同調する国民も国民だと思うのだが、別に韓国人が日本人に比べてバカだからではない。原因は盧武鉉時代にKBSとMBSという2大テレビ局が青瓦台の横槍で左翼勢力に乗っ取られたことにある。そのため、いまだに2大テレには親盧武鉉、反李明博の偏向報道を繰り返し、国民を洗脳しているのだ。

 それでも韓国がしっかりしていいるのは新聞社がしっかりしているからだ。左翼勢力がPR紙として作った「ハンギョレ新聞」は若い層に浸透しているらしいが、一般家庭ではまだまだ朝鮮日報、東亜日報、中央日報の影響力が強い。その3大紙は保守なのだ。

 だから、李明博政権に是々非々で臨み、盧武鉉政権のアホ政策は批判した。

 痛いところを突かれて怒った盧武鉉氏は3大新聞と喧嘩をし、大統領権限を不当に行使し、一時は青瓦台権力が新聞を上回るようにも見えたものだが、月日は移り、落ちぶれた盧武鉉が飛び降り自殺に追い込まれる、というところで誰の目にも勝敗は明らかになった。ところが、この「政策は分からないが、清潔」を売りにして、保守政治家の金権政治批判だけで成り上がってきた似非政治家が尻尾を出し、地位を利用して家族に不当な儲けをさせていたことが明るみに出ると、本当に取り柄のない大統領だったのだ、と分かったはずなのに、進歩勢力はお得意の陰謀論で巻き返しを図ろうとしているらしい。それも、北朝鮮政権を巻き込んで、だ。

 韓国の「民主化勢力」と同じことを金正日政権がオウム返しに放送する、という事態が多いので笑ってしまう。誰が言わせているのか、日本ではこういうのを「頭隠して尻隠さず」と言うのだが、韓国でも似たような言い方はあるだろう。

◆盧武鉉捜査記録の公開を要求した韓国の新聞

 北朝鮮の指令を受けてか、騒ぎはおさまらない。「しかし、問題はそんなところじゃないだろう」と冷静に国民に訴えたのが東亜社説6月13日の社説<盧前大統領捜査の真実が闇の中へ>だった。
 読んでみよう。
 <最高検察庁中央捜査部の「朴淵次ロビー疑惑事件」の捜査結果の発表は、多くの国民の期待に応えることができなかった。核心事項である盧武鉉前大統領の容疑に対しては、640万㌦という収賄金額と捜査の経緯、処理の結果のほかには一切公開せず、検察捜査に対する世論の非難への釈明に汲々とした。結局、盧前大統領に関する真実は、検察の捜査記録の倉庫の中に葬られることになった。>
 誰かが倉庫に忍び込んで書類を持ち出すしかない。
 <私たちは、盧前大統領の包括的収賄容疑に対する捜査内容と証拠を具体的に発表すべきだと主張してきた。捜査対象の死亡による「公訴権なし」の決定は避けられないとしても、権力型腐敗の再発防止、歴史的評価のための公開の必要性を提起した。しかし、検察は「このような場合、通常は具体的な捜査内容と証拠関係を説示せず、参考人のプライバシーの侵害および名誉毀損の憂慮が高いため、歴史的真実は捜査記録で保存する」として公開を拒否した。>
 東亜日報はずっと主張していたのか。
 <盧前大統領の捜査内容の非公開は結果的に野党と左派団体の「政治報復、標的捜査」といった主張に力を与える恐れもある。盧前大統領の容疑が朴被告の供述内容を中心にメディアによって報道されたことは、ある程度事実だ。民主党などは政府と検察、メディアが組んで被疑事実を流布したという主張までしている。捜査内容が公開されたなら、このような主張の真偽を明らかにすることに役立っただろう。参考人のプライバシーと名誉が心配なら、その部分だけ除くことができるのではないか。>
 どうも、韓国のこの騒ぎ、小沢一郎氏の公設秘書を逮捕した東京地検特捜部への怒りと同じようなエネルギーを持っているらしい。全く事態は違うのに。
 <検察は盧前大統領一家に対する捜査内容の公開を再度考慮してもらいたい。民主党が提起した国政調査と特検捜査も、政争に流されずに「盧武鉉捜査の真実」を明らかにすることに焦点を置くなら、検討の価値がある。前職大統領という最高職位の公人に対する国民の知る権利を度外視してはならない。>
 難しい言葉を使っているけど、ぶっちゃけて言えば「盧武鉉とその家族がいくらせしめたか、きっちり国民に知らせろよ。そうしないと、いかにも正義の殉教者扱いされて、金に汚かった大統領だった、という真実が歴史に残らないじゃないか」という怒りの論だと思う。韓国ではこういうしっかりした言論がある。だから、南北問題もあり、米国との問題もあり、日本との問題もあるのに、政府がポピュリズム一辺倒に陥らずにすんでいるのだろう。

◆「民主派」への韓国紙の怒りの鉄槌
 北朝鮮の金正日政権と裏で手を結びながら李明博政権崩壊を企む韓国の親北朝鮮勢力を韓国では「民主化勢力」と通称している。おかしな呼び方だが、軍事政権に反対してきた民主化勢力だ、という言葉は韓国では政治的正統性を意味する高貴な言葉のひとつだ。
 この言葉を弄びながら、ソウルの日常活動を麻痺させようと企む輩を徹底的に非難する社説が朝鮮日報社説6月9日の<都心を占拠する暴挙を民主と表現するな>だった。
 読んでみよう。
 <民主党、民主労働党、進歩新党、創造韓国党など野党4党に加え進歩連帯をはじめとする数百の市民団体や社会団体が「6月民主抗争の継承および民主主義回復に向けた6・10汎国民大会」を今月10日に全国で行うと発表した。「盧武鉉前大統領追悼国民文化祭」も同時に開催するという。集会の準備を進めるグループは「国民は22年前の6月、民主主義と国民主権を求めるあの熱い喚声を懐かしく思っている」と話した。しかし、現在の状況を1987年6月と同じように考えるのはあまりにも行き過ぎた話だ。22年前に起こった6月抗争のきっかけとなったのは、朴ジョンチョルさんに対する拷問致死事件。警察はその年の1月、当時ソウル大学言語学科3年生だった朴さんをソウル市竜山区南営洞の対共分室に連行した。そこで、時局事件で指名手配されていた容疑者の行方を問い詰めながら、浴槽の中に顔を沈めるなどの水責めを行い、最終的に死なせてしまった。また、この拷問に加担した警察官は5人だったが、警察は現場に居合わせていたのは2人だったという虚偽の発表を5月に行った。一方、4月13日には当時の全斗煥大統領が憲法に従って大統領選挙人団への間接選挙により次の大統領を選出するという、いわゆる「4・13護憲発表」を行った。これらがきっかけとなり、その後、全国で「拷問致死でっち上げ糾弾」と「護憲撤廃」を求めるデモが雪だるま式に広まっていった。>
 このように詳しく書かないとデマゴギーが広まっている韓国では、とんでもない理解をしている市民も多いのだ。1987年は、韓国人にとっては、軍事政権のせいにすればすんでいた「良き時代」だったのだ。本当は民主化勢力の中には北朝鮮のスパイもいたし、それこそ、北朝鮮が行った日本人拉致に絡んだ人間も韓国の民主化勢力の中で隠れ、潜んでいたことが明らかになっている。
 <盧武鉉前大統領の突然の死が国民の間に追悼の雰囲気を呼び起こしたのは事実だ。検察が前職の大統領に対し、自白を強要するかのように強硬な捜査を行ったことや、相次ぐマスコミへの発表などにも確かに問題はあった。しかし、盧前大統領の家族が企業経営者から640万ドル(現在のレートで約6億3000万円)もの大金を受け取ったという事実に変わりはない。また、前職大統領による投身自殺は非常に不幸な出来事であり、本人が最後の瞬間まで悩んだであろう人間的な苦悩が、まさに言葉に表現できないほど重かったのは事実だろう。しかし国家権力が大学生に拷問を加えて死に追いやり、事件をでっち上げようとしたのに比べると、その性格はまったく異なっている。また、1987年の「体育館選挙」を直接選挙制にするよう要求する国民の民主化に対する情熱が非常に強かったのは確かだ。しかしだからといって、現在の大韓民国を民主主義国ではないと主張するのは行き過ぎた話だ。野党も現行の憲法の下で10年間政権を担当した経験がある。当時も反対の政派があり、政権に嫌悪感を示す国民も少なくなかった。しかし、民主主義ではないと主張するような声が出ることはなかった。>
 大体、民主主義というような使い古された言葉に言霊を込めることは今の時代、もうできなくなっているのではないか。韓国もいずれは日本と同じで「民主化勢力」が凋落して共産主義の妄想性に国民は気付くだろう。
 <昨年6月10日にもソウル光化門周辺には8万人が集まった。ソウル都心は完全にマヒ状態となり、興奮したデモ隊は「大統領府へ行こう」と叫んだ。その後も約2カ月にわたり、ソウルの中心部では警察官が服を脱がされて集団暴行を受け、さらに人民裁判にまでかけられ、その上鉄パイプが振り回されて投石機により石が飛び交うなど、まさに無法地帯と化していた。>
 カッカしやすい韓国人、と言うのは容易いが、昔を思い出すと、日本人だってほめられたものではない。関東大震災である。デマと噂にあまされた普通の庶民たちが在日韓国人を殺したのだ。当時は日本が韓国を併合した後だったから、職を求めて日本に来て、差別されながらも一生懸命働いていた韓国人も多かっただろう。「井戸に青酸カリを入れている」というデマに騙されたのだ。
 このデマの社会学は何度も検証されるべきだろう。東京直下型地震か東海大地震が起きて、通信手段が奪われ、人々が極限状態になった時、関東大震災時よりも社会が弱くなっている日本では誰が誰を発作的に殺し、どのように生き残るのか、想像ができないほど、社会が疲弊し尽くされている。外国人排斥運動は起きていないが、労働者の3分の1を占める非正規労働者にしてみれば、海外からの出稼ぎ労働者は自分たちの職を奪った人間に見えるかもしれないし、憎悪の吐き出し口になる恐れもまだあると思うだ。
 政府が、ではなく、社会がこの可能性を十分に意識して、社会を強く、明るくしておかなければならないだろう。
 話が横道にそれてしまった。社説に戻る。
 <今政府が行っている政策に反対するのなら、民主的な手続きを踏んで国民を説得し、自分たちの側へと引き入れるなど、方法はいくらでもある。このように数万人を都心部に集めて道路をふさぎ通行を妨げ、それを制止する警察に向かって攻撃的な行動を取る必要があるのだろうか。そのような行動を「民主回復」という言葉で表現するのは偽善にほかならない。「22年前の喚声を懐かしむ」という表現は、聞き方によっては「国民の表現の自由が押さえつけられていた1987年の状況が再現されてもいいから、とにかく自分たちが称賛を受ける世の中になることを願っている」とも解釈できる。>
 「民主化勢力」が22年前に尊敬された大きな原因はインテリだったからだ、と思う。儒教の盛んな国だった。今でも日本よりは「長幼の序」など儒教精神は一般社会生活の中に生きている。その儒教では最高の知的エリートが政治を行うのが理想とされている。朴正煕、全斗煥のような軍人、つまり武人は二流の人間扱いされる。ここが日本と大きく違うところだろう。
 ところが、今は庶民もインテリを尊敬しない。インテリが自分勝手で、汚いということを知ってしまったからだ。今回の「民主化勢力」の扇動はうまくいかないと思う。

◆朝鮮日報は偉い、2日連続で民主化勢力叩きだ
 朝鮮日報は6月10日の社説でも<左派紙への広告掲載を強要する脅迫団体。というタイトルで、盧武鉉一派攻撃をしていた。
 <昨年6月、朝鮮日報・東亜日報・中央日報への広告掲載を中断するよう企業側を脅迫していたのは「言論消費者主権国民キャンペーン」(言消主)という団体だ。この言消主が最近、再び同じような脅迫活動を始めた。昨年は数十社の企業リストや電話番号などをインターネット上に公開し、直接脅迫の電話を掛けて営業を妨害するよう賛同者たちを扇動した。その結果、電話を受けた企業側は度重なる営業妨害により業務がマヒする事態が相次いだ。さらに社員の自宅にまで電話を掛け、家族に対し「殺してやる」などといった露骨な脅迫も繰り返した。裁判所は今年2月、これらの行為を実際に行った24人の被告に対し、「正当な消費者運動とは言えず、企業の自由な意思決定を威力で制圧しようとした業務妨害」と見なして有罪を宣告した。>
 こういう反体制不満分子がまだまだダニのようにわんさかいるのが韓国。
 <裁判所の判決により「違法」とされたにもかかわらず、当人たちは司法による決定を無視し、最近再び同じような活動を行っている。その活動とは、「朝鮮日報・東亜日報・中央日報には広告を掲載するが、(左派の)ハンギョレ新聞や京郷新聞には広告を掲載しない企業に対して不買運動を開始する。この運動は企業側が朝鮮・東亜・中央日報への広告掲載を中断するか、あるいはその費用に相当する広告をハンギョレ・京郷新聞に掲載するまで続ける」というものだ。また活動のやり方も、多くの企業に対して一度に営業妨害行為を行うと効果が分散されてしまうため、1社ずつ標的を定めて集中的に攻略する方法に変更したという。>
 京郷新聞までもが左派に乗っ取られたのか。産経新聞と業務提携し、産経新聞のソウル支局は京郷新聞本社の中にあるのではなかったか?
 <言消主が最初の攻撃対象としたある製薬会社は、韓国国内では900位前後と大手ではなく、また消費者に親しまれているドリンク剤を販売してはいるが、それ以外にはこれといった主力商品がないような企業だ。昨年の活動で主に攻撃対象となった小規模旅行会社と同じように、この種の攻撃に対して非常にぜい弱な企業をあえて選んだのだ。具体的には「一人デモを行って消費者の不満をあおってやる」といった電話を掛けるなど、法の網をかいくぐる作戦を展開した。この製薬会社は抗議電話の集中攻撃を受け、さらにホームページがダウンするなどの問題が発生したことから、わずか1日で「ハンギョレ新聞と京郷新聞に広告を掲載する」と約束してしまった。>
 こういうダニたちが多い、ということと、アメリカに出かけた韓国人がカリフォルニアなどで下院議員らにロビーを繰り返し、反日決議をさせていることと、どこか共通しているように見えてならない。憲法9条が悪いのではないが、心の領域でも無防備な日本はアメリカの世論形成でも中国、韓国に負け、今では北朝鮮にも負けそうになっている。
 <この種の広告テロ行為は世界のどこにも前例のないものだ。企業は自社の広告を掲載するメディアを選択する際、当然のことながら費用対効果を厳しくチェックする。そのようなチェックもなしにあらゆるメディアに広告を掲載していては、たちまち経営が破たんしてしまうのは目に見えている。脅迫者たちは企業側に対し、これらの基本的な原則を無視するよう恐喝行為を行い、また結果的に利益を得たハンギョレ新聞は、9日付でこの企業の社名と商品について報じた。誘拐犯に拉致された犠牲者の身元を公開し、犯人からの脅迫がより効果を発揮するよう支援するようなものだ。新たなテロ団体とも言えるこの言消主は、これらメディア側の広告担当のような役割を果たしていることになる。この種の共生関係はまさしく犯罪的と言えるだろう。>
 でも、社説でこういうことをまとめて書いてくれるから理解できる。日本のソウル特派員もこういう動きをきちんとフォローしてほしいものだ。政党の偉い人が何をしゃべった、もニュースだが、こういうちょっと形を変えた政局というものが今後は世界中でありうるのだから。
 <昨年このような脅迫行為を行う団体や個人を法廷で罰することができたのは、被害を受けた企業が脅迫に屈せず、検察が被害状況を明らかにして問題を司法の場に持ち込んだからだ。脅迫や営業妨害がわずらわしいからといってすぐに相手の要求をのみ、またより知能的かつ卑劣となった今回のような脅迫に妥協してしまえば、扇動者や脅迫者たちは味を占め、企業活動を妨害する行為を今後も繰り返し続けるようになるだろう。>
 企業が脅迫に負けなかった、というのが大きいのだろう。
 <脅迫者たちは今年2月に裁判所で判決が下された際「司法は死んだ」と叫びながら法廷で大暴れした。言消主の代表は会見で「裁判官は良心に反する判決を下した」と言ってのけた。司法さえも眼中にない団体から法の秩序と自由市場経済を守るには、さらに徹底した捜査と厳格な処罰を行う以外にない。>
 無法者なのだ。誰の言うことを聞くのか、と言えば金正日総書記の言うことだけ、というのが真実だろう。国家保安法違反事件も調べれば相当にやっている連中のはずだ。

◆東亜社説は大学教授らの軽挙妄動を批判していた
 東亜日報は6月11日社説<一部知識人の時局宣言、「集団主義的陣営論理」ではないのか>で「勘違い」人間に厳しい鉄槌を下した。
 読んでみよう。
 <ソウル大学の李長茂総長は9日、記者懇談会で、3日のソウル大学教授124人の時局宣言について「ソウル大学構成員全体の意見ではないと考えている」と述べた。そして「大学は、学問と思想の自由に奉仕するところであり、時局に対し多様な意見があり得る。時局宣言をした教授と意見を異にする教授も多い」と述べた。李総長の発言は、時局宣言に参加した教授が、専任講師以上のソウル大学教授1786人のうち6.9%にすぎないという数字の問題だけを指摘したとはみえない。ほかのどの集団よりも多様性が、尊重されなければならない大学で、政治色を帯びた「時局宣言」が大学社会を代表するかのように見えることへの憂慮した表現だろう。>
 韓国はまだまだ遅れているのだ、と実感させられる記事だ。日本だったら1960年安保だろう、こんなことをしていたのは。70年安保では全共闘運動の中ですでに教授の権威は地に落ちており、こんな声明を出したら、逆に全共闘が警察になりかわって成敗していただろう。
 <これまで約60の大学で約3000人の教授が時局宣言に賛同した。リレー時局宣言はソウル大学教授のそれと内容においては、特段の違いはない。要約すれば、盧武鉉前大統領の死に対し、李明博政権が検察捜査の問題点を認め、謝罪せよということと、政府が集会・結社の自由を抑圧することで、民主主義を危機に陥れているということだ。現政府がこの10年間の対北朝鮮政策の成果を危険に陥れたという見解もある。民主党をはじめとする野党や左派市民団体の主張と特に違いはない。>
 政治を知らないアホな大学教授らがギャーギャー叫んでいるだけなのだ。
 <盧前大統領の死と政府の責任を結びつけることは論理的な飛躍である。民主主義危機の主張も枝葉的なことを拡大・誇張し、社会現象を包括的に認識できない短絡的な見解である。北朝鮮の核開発と挑発で招来された南北関係の悪化の責任を全面的に現政府になすりつけることは、非常に偏向的な認識だ。知識人なら、事案に対しバランスをもって見なければならない。批判をしても、論理性、合理性、妥当性を備えなければならない。>
 こいつらは結局、金正日総書記の命令で動いてるだけだから。
 <「大韓民国の未来を考える教授」128人は9日、これまで出された大学の時局宣言を批判する声明を出した。声明は、「知性が不偏不党性と謙遜さを持つ時、はじめて知性だと言えるのであり、自分たちだけが共感する政派的内容を時局宣言という形式を借り、一方的に発表することは、公正な方法だとは言えない」と指摘した。「争点と討論のテーマになり得る事案を強いて、宣言文の形式で発表することは、知性の正しい表出ではなく、国民に対する礼儀でもない」という見解も、傾聴に値する。128人の教授は、時局宣言賛同者に公開討論会のような対話の場を持とうと提案した。そのような討論は、活性化されなければならない。>
 韓国が50年前の日本とは違うところをきちんと見せてくれる人たちもいる。
 <どの社会にも存在する葛藤と分裂が、統制不能の状態に陥り、国家的危機をもたらすか、それとも適切な濾過過程を経て、和合と統合に昇華されるかは、その社会の成熟度にかかっている。特に、社会的談論を率いる知識人の役割が重要だ。盧前大統領の逝去後のムードに乗って溢れ出る時局宣言は6月10日を前後して、広場の拡声器から流れる激昂した声と似ている。>
 いいことを書いてる。そうなのだ。社会の成熟が必要ということだ。

◆待ってました金大中元大統領! やっぱり北朝鮮万歳ですか
 金大中元大統領が発言した。朝鮮日報は6月13日の社説<金大中元大統領、国家の長老らしき言動を>で強烈に批判した。
 <金大中元大統領は11日、「6・15南北共同宣言9周年記念式典」で講演し「独裁者に頭を下げ、媚びへつらうべきではない。この国で独裁政治が復活しつつあり、貧富の格差は史上最悪の水準に達している。われわれが一緒に行動するという良心を見せ、立ち上がるべきだ。行動を起こさないのは悪だ」と主張した。李明博政権を「独裁政権」と決めつけた上で、国民に行動を起こすよう求めたというわけだ。>
 <今年84歳になる、国家の長老たる金元大統領が、自ら立ち上がって反政府闘争を先導するかのような発言をしたことは聞くにしのびなく、不自然に思える。金元大統領は今年に入り、現政権に対する批判のボルテージを上げてきた。「李明博政権が南北関係を意図的に冷却化させようとしている」と主張し、野党・民主党の関係者たちと会っては、「現政権に立ち向かい、力強い闘争を繰り広げるように」と注文した。また、盧武鉉前大統領が自ら命を絶った直後、焼香所を訪れ、「盧前大統領が(検察の捜査で)恥をかかされ、挫折感や悲しみを味わったことを思えば、国もむごたらしい決断をした、という気持ちになる」と話し、さらに「前世で盧前大統領とわたしは兄弟ではなかったかとも思う」とまで述べた。>
 <金元大統領が盧前大統領の突然の死にショックを受け、また現政権が自分の主張と違った政策を進めていることに不満を持っているということは分かる。前職の大統領も政府の政策に異を唱え反対する権利はある。だが、国民の投票によって選ばれた大統領を、自分が気に入らないからといって「独裁者」と決めつけ「国民は立ち上がるべきだ」と訴えるというのは道理に合わないことであり、また国家の長老が取るべき態度ではない。>
 <政界では12日、金元大統領の講演の内容をめぐって賛否両論が噴出し、激しい舌戦が繰り広げられた。韓国社会の対立や分裂はすでに深刻な状況にあるが、前職の大統領までがその一方の側に付くというのは、決して望ましくないことだ。金元大統領が党派を問わず、国家の長老として国のために苦言を呈したとすれば、それは国民の心に響きわたり、奥深く浸透するはずだ。>

◆中央日報も批判的に書いていた
 中央日報も社説<元大統領は襟度を保持すべき>で同様の論調だった。
 <金大中元大統領の発言が波紋を起こしている。 金元大統領は11日の6.15南北共同宣言9周年記念特別演説で「過去50年間に血を流しながら勝ち取った民主主義が危うくなっていて心配」とし「傍観すれば悪の側だ」と述べた。 現政権は悪で、これを打倒するために立ち上がらなければ同じ悪の側になる、という言葉と解釈できる内容だ。 国が内外で苦境に立たされているこの時期に、なぜ元大統領がこうした適切でない言行をするのか理解できない。>
 <金元大統領の演説を聞くと、私たちがあたかも20年ほど前の過去に戻ったかのような錯覚を起こしてしまう。 世の中を民主対反民主、善と悪に二分している点からしてそうだ。 現職大統領を「独裁者」と規定し、「独裁者に頭を下げて追従するのは容認できない」と力説した。 さらに「行動する良心になってみんな立ち上がるべきだ」と述べた。 政府を打倒しようという扇動に他ならない。 今がそういう時期なのか呆気にとられてしまう。 元大統領として、政治元老として、現政権に対する苦言を呈したものと考えるには、発言内容が不適切であり、表現も険悪だ。>
 <しかも金元大統領の演説を聞く限り、何が独裁というのか納得できない。自分の執権当時に比べて何が良くないのか。今の政治状況が「みんな立ち上がるべき」と呼びかけるほど厳酷なのか。国政を運営した元大統領が民主的な手続きと枠組みを破壊して国を混乱に導くのは無責任だ。 金元大統領はまた、盧武鉉前大統領の逝去と関連し、「弔問客の10分の1だけでも『元大統領を侮辱するような捜査をすべきでない』と署名していれば死ななかったはずだ」と述べた。盧前大統領の逝去は遺憾だが、元大統領は罪があっても捜査をすべきでないという論理へ導いてはならない。>
 <元大統領なら国が混乱している時期、国民の和合と危機の克服に向けて力になるのが当然だ。さらに金元大統領は与野党政権交代の経験を持ち、今でも支持基盤を保持している人物だ。現政権に対する元大統領の批判と助言は補薬になる。 しかしそのためには最小限の品位と襟度を持たなければならない。>

◆金大中発言への青瓦台など政界の反響
 中央日報は6月14日、<「北の人権には沈黙し、李明博政権を独裁者とは…」/青瓦台が金大中氏を批判>というニュースを掲載した。これもコピペしておこう。
 <金大中元大統領が李明博大統領を「独裁者」と述べ、与野党に大きな波紋を起こしている。 金元大統領は11日、6.15南北共同宣言9周年特別講演の最後に「独裁者に追従してはならない。 行動する良心が立ち上がるべきだ」と発言した。>
 <青瓦台は異例にも報道官公式ブリーフィングで「国民を分裂させる発言だ」とし、金元大統領を批判した。 李東官報道官は「国民和合に