韓国の原発再処理問題、2014年が目標とか~朝鮮日報、中央日報7月1日
韓国の新聞の面白いところだ。7月1日の朝鮮日報に元科学技術庁長官のインタビュー記事が掲載されたのだが、同じ1日の中央日報にも同じ記事が出ているらしいのだ。紙面を見ていないから、ネットの日本語ホームページで判断するしかないのだが、どうもそうらしい。
韓国の大手紙には夕刊がない。その代わりに大手紙は夕方には翌日の朝刊を発行して、駅や売店で売る。午後7時頃にはこの「早版」が手に入り、日本の新聞社がやっている早版交換のようなルールが自然とできているらしい。
そこで、他社のインタビュー記事を基に一般記事を仕立て上げる、という芸当ができるのではないか、と想像するのだ。
日本ではちょっと考えられないが、それぞれを独立のメディアとして尊重する立場を貫けば、それもありかな、と思う。
日本の新聞社は競争意識が強すぎて、こういうことは物理的にできてもやらないだろう、とも思うのだ。
まず、この中央日報の珍しい記事から見ていこう。見出しは<金始中氏「核再処理要求は経済的な目的、核武装はない」>である。
<「韓国は核武装をするというのでなく、純粋な経済・産業目的で最小限の使用済み核燃料再処理権限を要求しているのだ。 再処理できないことで生じる核廃棄物問題は数年以内に災難になるおそれがある」。 金泳三政権で科学技術処長官を務めた金始中元長官がこのように主張した。 先月30日、朝鮮日報とのインタビューでだ。 金始中氏は「われわれは平和的な核利用の純粋性を認めてもらうために過去20余年間努力してきたし、いまや国際社会もこれを認める段階にきたと考える」と主張した。>
こういう書き出しである。
<金始中氏は1997年にも金泳三政権の高位職出身者からなる「麻浦フォーラム」のメンバーとともに米国政府の関係者と接触し、平和的目的の再処理権限を認めてもらうための水面下作業を行った。金始中氏は「古里(コリ)・月城(ウォルソン)・霊光(ヨングァン)・蔚珍(ウルジン)の4地域の原子力発電所20基で発生した使用済み核燃料は現在1万㌧以上倉庫に積もり、2016年以降は各発電所で飽和状態になるが、われわれはこれを再使用するどころか手も着けられない立場」と述べた。 また「米国で『韓国の再処理権限要求は1992年の南北間の韓半島非核化宣言違反』という主張があるが、北朝鮮がすでに2度も核実験をするなど先に約束を破っているため、当時の宣言を不変の真理のように適用するのは適切でない」と述べた。>
これは朝鮮日報の紙面からの引用である。
<金始中氏は「私たちの科学技術者はすでに使用済み核燃料を核拡散の憂慮なく高レベル放射性廃棄物とリサイクルが可能なウラン・プルトニウムに分ける‘パイロプロセシング’という最新技術も確保している」と伝えた。 また「それでも国際社会が安心できなければ、使用済み核燃料を外国で再処理した後、それをまた搬入する方法などをまず推進するなど、段階的な方法をとることも代案になるだろう」と付け加えた。>
難しい内容だ。
<しかし、金始中氏は政界の一部で「核武装」に言及したり感情的レベルで「核主権回復」を主張するのはむしろ逆効果になる、と主張した。 金始中氏は「韓米協定などを通じてわれわれが技術の移転を受けるなど恩恵を受けたのも事実であるため‘奪われた主権の回復’などの感情的用語は自制する必要がある。 われわれはただ‘原子力の平和的利用拡大’だけに焦点を合わせるべき」と述べた。>
以上である。朝鮮日報を読んでいない、中央日報の定期購読者にはこういう記事が出ることはいいことだ。
◆朝鮮日報のインタビュー記事
今度は本家本元の朝鮮日報である。同じ7月1日のネットアップだから、1日の朝刊に掲載されているのだろう。見出しは<「韓国に核武装の意図はない」/元科学技術処長官、「平和的な核の再処理を行う権利」を主張>だ。任敏赫(イム・ミンヒョク)記者の記事だ。
本文を読んでみよう。
<「韓国は核武装を行う意図があるのではない。純粋な経済的・産業的目的で最小限の使用済み核燃料の再処理に関する権限を要求しているのだ。再処理できないことで生じる核廃棄物問題は、数年以内に新たな災害を呼び起こすことも考えられる」。金泳三元政権で科学技術処長官を務めた金始中(キム・シジュン)氏は6月30日に本紙とのインタビューに応じ、「われわれは“平和的な核利用を目指しているだけ”という事実を認めさせるために20年以上も努力を重ねてきた。今や国際社会もこれを認める段階に到達したと思う」と述べた。金氏は1997年にも、金泳三政権(当時)の元幹部らの集まり「麻浦フォーラム」のメンバーと共に米国政府の関係者と交渉を行い、平和目的の再処理を認めさせるための下準備を行ってきた。>
同じ文章から始まっているのが面白い。こちらが本家本元だ。
<金氏は「古里・月城・霊光・蔚珍の四つの原子力発電所にある20基の発電施設から発生した使用済み核燃料は、現在1万㌧以上も倉庫に積み上げられている。2016年にはどこの発電所も飽和状態となるが、われわれはこれを再利用するどころか、手も付けられない状況にある」「米国では韓国からの再処理を要求する動きについて、“92年に南北間で調印された韓半島(朝鮮半島)非核化宣言違反”という主張があるが、北朝鮮はすでに2回も核実験を行うなど、先に約束を破っている。そのため、当時の宣言を不変の真理のようにそのまま適用するのは間違っている」と主張した。>
この辺、日本語版だけで読むと、中央日報では原発の日本語読みが入っていて、親切な感じもある。
<さらに「このような状況で2012年の韓米原子力協定改正に向けた作業が開始されるため、米国に対して理解を求めるのも決して無理なことではないと思う。日本のケースを見てもそうだ」と指摘した。日本は数十年かけて技術的、政治的、外交的な努力を重ねた結果、1986年に日米原子力協定を改正し、再処理やウラン濃縮などの原子力開発全般に対する自主的な実験・研究を行うことを幅広く認めさせた。>
日本のケースまでは中央日報は真似しなかったな。
<金氏はさらに「わが国の科学技術者たちはすでに使用済み核燃料を核拡散の恐れをなくしたまま、高純度の廃棄物とリサイクル可能なウラン・プルトニウムとを分離する乾式再処理という最新技術も確保している。それでも国際社会が安心できないのなら、使用済み核燃料の再処理を海外で行い、再び国内に持ち込む方法をまずは行うなど、段階的な方法を採用することも考えられる」と主張している。>
まあ、当然の主張だと思うが。
<しかし、政界など一部では「核武装」に言及したり、あるいは感情的な次元で「核主権の回復」を叫ぶのはかえって逆効果との声も根強い。「形の上では核主権の回復ということになるが、このような議論を前面に押し出すと、国際社会に対して“要するに韓国は北朝鮮のように核兵器開発を念頭に置いている”という疑いを持たれるだけ」というのが、反対する側の主張だ。金氏は「韓米協定などにより我々が技術移転を受けるなどの恩恵を受けたのも事実だ。そのため“失われた主権の回復”などといった感情的な表現は使うべきでない。我々はただ“原子力の平和利用の拡大”だけに焦点を合わせるべきだ」と念を押した。>
北朝鮮の問題がある時に言い出すと、そう取られるだろうが、こう言いたい気持ちはよく分かる。
◆朝鮮日報の社説
朝鮮日報は7月1日の社説でもこの問題を取り上げた。見出しは<核燃料再処理は経済論理の下で議論を>である。
<米国務省のタウシャー次官は最近、上院外交委員会に提出した答弁書で「現在、欧州連合(EU)、インド、日本が自国内で核燃料の再処理を行っているが、オバマ政権はこれらの国々に許容している再処理について、韓国を含む他国にも適用すべきとは考えていない」「核燃料の再処理を規制している韓米原子力協定の改正は不要」との考えを表明した。タウシャー次官の発言は、最近韓国国内で議論されている「使用済み核燃料再処理の必要性」に対し、オバマ政権として反対の意向を明確にしたものと解釈することができる。>
<韓国で「平和的に核を利用する権利」という次元に立脚した再処理の必要性が議論されていることについて、米国は「核武装の可能性まで念頭に置いた長期的な意図がある」と疑っているようだ。韓国は1970年代に核兵器の開発を推進したが、結果的に放棄した。さらに使用済み核燃料の再処理問題が再び議論され始めている今の時期は、偶然にも北朝鮮が2回目の核実験を行った直後のため、このような疑いを持たれているようだ。>
<しかし、使用済み核燃料の再処理という問題は、核武装に関する議論とは実は全く別次元の問題だ。韓国は四つの原子力発電所に20基の発電施設を持ち、原子力による発電量は国内需要量の40%を占めている。世界的に見ても5番目の原子力大国だ。この20基の発電施設から毎年出るおよそ700㌧の使用済み核燃料は、発電所敷地内の臨時保管施設内にある水槽に沈めてある。このように臨時に保管されている使用済み核燃料はすでに1万㌧を超え、2016年には保管能力も限界に達するとされている。この使用済み核燃料を再処理すれば、その94.4%をエネルギー資源としてリサイクルすることができ、問題となっている廃棄物はわずか5.6%にまで減少する。このように韓国にとって、使用済み核燃料の再処理問題は待ったなしの状況にあり、まさに国家的次元での経済課題となっている。>
<しかし、韓国が再処理施設を自国で保有することに伴う問題も少なくはない。92年から青森県の六ケ所村で再処理工場を稼働させている日本の事例を参考にすると、韓国国内で再処理工場を40年稼働させるにはおよそ400兆ウォン(約30兆円)必要という試算もある。これほどの費用を負担してまで再処理施設を自国内で保有する価値があるのかという問題は当然出てくるが、これは韓国が経済的な観点から判断を下すべきだろう。しかし、韓国ほどの原子力大国が平和的に核を利用する権利に制約を受けるという事実は、経済的な次元とは別に、まさに国家主権にかかわる問題となってくる。>
<タウシャー次官は韓国が平和的な核の再処理能力を持つことについて、1992年に調印された韓半島(朝鮮半島)非核化宣言の「南北はウラン濃縮および再処理施設の保有を放棄する」という条項に違反するとの見解を示している。しかし、北朝鮮はすでに再処理施設の稼働だけでなく、ウラン濃縮を行っている事実まで堂々と明らかにし、一方的にこの協定を破棄した。この17年前の協定を根拠として、韓国の平和的な核の利用権にブレーキを掛けるのは適切ではない。韓半島非核化の問題は、現状よりもはるかに実効性がありまた強制力を持った新たな協定により、取り扱うべき問題だからだ。>
<1970年代に締結された韓米原子力協定は、2014年に期限を迎える。韓米両国はこの協定の改正に対する話し合いを直ちに開始すべきであり、ここには韓国の平和的な核の利用権拡大に関する問題も必ず含まれなければならない。さらに付け加えるならば、この問題へのアプローチは冷徹な経済論理に立脚して行われなければならない。>
という内容である。2014年問題なのだなぁ。
◆韓国軍10万人が戦時、北朝鮮安定のために投入される
ついでに中央日報7月1日の<国防部「戦時、北の安定に向け予備軍10師団・10万人を投入」>も読んでおこう。
<国防部が30日、戦時に北朝鮮地域の安定に向け、予備軍10万人を投入する計画を作ったと発表した。国防部当局者は「戦時に韓国軍が取り戻した北朝鮮地域を安定化させるため、10師団の予備軍を投入する計画だ」とした後「予備軍は取り戻した北朝鮮地域の住民を統制、保護し、韓国軍に抵抗する残存勢力を退治するなど民事作戦の任務を遂行することになる」と話した。>
残存勢力の掃討戦だ。
<この当局者は「民事作戦を担当する師団は、戦時に、全国の10の郷土師団からなる」とし「戦争勃発から約50~60日後、北朝鮮地域に投入される」と説明した。戦争勃発から2カ月後に民事作戦担当の師団が投入されるのは、韓国を侵攻した北朝鮮軍を撃退、韓国軍が北朝鮮地域を取り戻すまでに時間がかかるという予想のためだ。>
戦争勃発から2カ月後に投入されるのか。それまでに郷土軍のメンバーが全滅していないといいが。
<予備軍からなる民事作戦担当師団の兵力は「1万人+アルファ」の規模となる。国防部は現在300万人の予備軍を2020年まで185万人に縮小、精鋭化する計画であり、2010年までに戦時の民事作戦に投入できる予備軍に教育する予定だ。>
李明博政権はこういうことをしてくれるので嬉しい。
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