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2009年7月 6日 (月)

世論調査の数字に一喜一憂する政治ではない政治を望む、と言う田中均氏は正論だ~7月6日毎日新聞夕刊コラム[時をよむ]

 毎日新聞7月6日夕刊文化面コラム[時をよむ]は田中均・日本国際交流センターシニアフェロー、東大公共政策大学院特任教授、元外務審議官の[日本の政策形成力を考える]。見出しは<「世論」に右往左往せぬ安定した政治基盤を>だった。

 見出しを見ただけで、大体内容は推察できるが、そううまくいくのかいな、というのが見出しを見た印象だ。ざっと読んでみると、①世界が大きく変動している②日本には新たな戦略が必要だ――ということを前々回と前回のコラムで書いたが、今回は「今の日本は大きな戦略を描き、それを実行していける状況にあるのか、そういう状況を作るにはどうしたらいいのか」を論じているようだ。

 政治の現状と政策形成のあり方に危惧を持っている、と言う。

 <民主主義体制において国民の「民意」を問うのは選挙を通じてである。ところがここ数年、選挙を経ることなしに何度も首相が交代し、政党は「内閣支持率」や個々の課題についての世論調査を頼りに「人気取り」的な行動をとろうと右往左往しているように見受けられる。「世論調査」に基づく「世論」が国会議員を金縛りにし政策を縛っているかのようである。>

 私も今の世論調査の数字を基にした政治は不健康だと思っている。

 <英国のサッチャー首相はかつてユーロ参加の是非を国民投票で問うべきだという要求に対し決然と言い放った。十分な情報を持たない国民に聞くのは、選挙により統治を一定期間任された議院内閣制の下での政府の役割放棄である、と。>

 知らなかった。サッチャー氏は毅然としていたのだ。

 <私たちは80年代に米国と通商交渉をした際、対日報復法案を前に、よく言ったものだ。「議会の保護主義に抗し米国政府は責任ある立場で見解を示すべきである」と。選挙を通じ各州から選ばれる議員は選挙区の雇用を守ろうと保護主義に走る。米国の場合、究極的には大統領の拒否権で三権分立は担保される。大統領の政策が好ましい結果を作れなければ政権交代である。9.11同時多発テロは米国民の愛国心を刺激し、ブッシュ共和党政権は軍事力の行使に走る。しかし、イラク戦争で結果を出すことはできず、オバマ民主党政権が誕生する。政権交代は健全な民主主義になくてはならない。>

 アメリカのケースだ。大統領制のシステムは分かりにくいが、大統領の拒否権で議会への優越を担保している、ということのようだ。

 <政策選択の幅が小さい時であればまだ良かったのかもしれない。今や、人口が増え、高い経済成長が見込め、強い米国に依存することが可能であった時代は過ぎ去ってしまっているのである。少子高齢化が現実となり、多極化に向けた世界の変動の中で、日本は変化を恐れず思い切った施策を講じなければいけない。>

 そういうことだ。選択肢はどんどん狭まってきた。

 <必要なのは国民の目だけを気にした短期的な政策ではなく、明確なビジョンを持った戦略である。これを可能にするためには、少なくとも今後4年程度は長期の計に基づき能動的に行動できる安定した政治基盤が構築されなければならない。この点で次回の総選挙は日本の未来を決める決定的な重要性を持っている。>

 4~5年というのは一つのプロジェクトが始動して軌道に乗るために必要な期間、それも最短でも、という期間だろう。

 <安定的な政権の下で政策形成のあり方についても十分な吟味が必要である。長期的な国家戦略と戦略に根差した具体的な政策を進めていかなければならない。確かに官僚機構に多くの問題があったのは事実であろう。しかし、それは「官僚中心から政治家中心へ」とか、国会議員を省庁の中に送り込めばいい、政府関係機関から官僚OBを排除し民間人を当てる、というほど単純なものではあるまい。>

 これは民主党の政策への全面的反論だ。

 <必要なのは、政治の理念、官僚の知識と経験、民間の創意といったものを最大限活用し、既得権を打ち壊して新しい施策を打ち出す体制づくりではなかろうか。今ほどそれぞれが役割分担し、「オール・ジャパン」の政策形成が求められてい時期はないと思う。>

 そうなのだが、どうやって、そういう体制を作るのだろうか?

 <対外政策についても、私はかねがねホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)事務局にあたるようなプロフェッショナルな機構を早急に立ち上げる必要性や外交についての政策基盤を強化していくことを可能にするような外交問題評議会を民間資金で創設することを提案してきた。日本には新しい時代に向けての「変化」が必要である。過去の延長ではなく創造的な施策を可能にする体制の詳細については、次回のコラムで論じることにしたい。>

 以上である。いいことを言っているが、どのようにして実現するか、というプロセスは次回も出てこないようだ。そこが一番知りたいのだが、田中氏も官僚だからなぁ。

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