普天間問題の09年10月23日から11月2日までの毎日新聞の記事スクラップ
■毎日新聞10月23日朝刊
毎日新聞09年10月23日朝刊3面[クローズアップ2009]は<米国防長官、東アジア歴訪/温度差、顕著に>というゲーツ長官の東アジア歴訪を総括する記事だった。
<「核の傘」確約/韓国と同盟強化>、<「普天間」対立/日本にいらだち>の見出しの記事は米国防長官専用機上・古本陽荘、ソウル西脇真一のクレジットがついていた。専用機の上から原稿が送れるんだね。無線ランなのか?
本文を読んでみよう。
<ゲーツ米国防長官は22日、東アジアの同盟国である日本、韓国歴訪を終えた。韓国とは手を携えての同盟関係強化を確認したが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でなかなか結論を出さない日本にはいらだちを隠さず、対照的な対応となった。来月12日のオバマ米大統領訪日までに結論を出すよう求められ、日米同盟重視の「真剣度」を試される格好となった鳩山政権だが、あくまでも民意を見極める姿勢は崩していない。>
という前文。各紙とも同じようなとらえ方だ。
<「韓国がアフガニスタンやイラクに多くの支援をしたことに、とても感謝している。その犠牲も良く認識している」。22日、韓国国防省で開かれた米韓安全保障協議会(SCM)後の共同記者会見で、ゲーツ長官は謝意を示した。韓国は過去にイラクとアフガンへ大勢の兵員を派兵し、同盟国として「汗と血」を流してきた。共同声明では米国が、北朝鮮の脅威に対し「核の傘」を確約する同盟関係強化の方針も打ち出した。>
湾岸戦争を思い出すね。あの時はアーミテージ氏から「血を流せ」と言われたんだったなぁ。欧米人の目には日本はシャイロックのように映っているのかもしれない、と思った。今回のゲーツ氏の「犠牲認識」発言、重いんじゃないか。
<アフガニスタン情勢を巡って国際的な協力が不可欠となる中で行われた長官の歴訪は、アジアの同盟国とのきずなを再確認し足元を固める狙いがあった。だが20、21両日の岡田克也外相、鳩山由紀夫首相との会談では、普天間移設問題で対立し、ぎくしゃくした日米関係が表面化した。>
まあね。
<「政治的に可能で、運用に支障がない他の選択はない」。ゲーツ長官は東京に向かう政府専用機内で毎日新聞など同行記者団に今回の訪日の主な目的が普天間移設問題の協議であり、日米合意通りの計画履行を求める姿勢を明らかにしていた。>
そうでしょう。
<鳩山政権にはアフガン支援策を検討すれば、普天間移設の決断は先延ばしできると解釈していた節があった。現在の米政府にとり外交・安全保障上の最大の課題はアフガン支援だからだ。だが、ゲーツ長官はあえてアフガン支援ではなく、普天間移設で早期決断を迫ることを優先させた。日米合意が覆れば沖縄から離れることに抵抗した海兵隊をねじ伏せてまで合意を実現させた経緯がふいになる。また、将来的に総額200億~300億㌦とされるグアム移転費の承認を取り付けようとしている議会での努力も無駄になる。国内の批判が高まり、アジアでの米軍再編自体が頓挫する恐れもある。ゲーツ長官は普天間問題を「リトマス試験紙」ととらえ、鳩山政権の「日米同盟を重視する」との言葉が本物かどうか、姿勢を問いただす狙いがあったとも考えられる。>
これは分かりやすいね。そういう背景があっての発言だった、と。
<鳩山政権発足以来、両政府高官の間で「日米同盟は両国にとって外交の礎(コーナーストーン)」が合言葉となったが、その具体策についての議論は何も進んでいない。9月23日に行われた日米首脳会談でも同盟関係を一層強化する「理念」は確認したが、具体的問題は先送りされたままだ。22日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、国務省高官の話として、安定し不変の関係だった日本が「今や、中国より厄介な存在になっている」と報じた。>
ここが見出しになっているのか。
そして、後半の記事は<「政権公約」首相こだわる>の見出し。西田進一郎、仙石恭両記者の署名があった。
本文を読む。
<鳩山首相は米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)移設で、計画通りの実施と11月のオバマ大統領来日までの結論を求めたゲーツ長官に、現行計画以外を模索する方針と「来年1月の名護市長選後の結論」の考えを示した。衆院選マニフェスト(政権公約)にこだわり、あくまで沖縄県民の意思を見極める姿勢だ。>
マニフェストがあるだけでなく、社民党じゃないの?
<「選挙で公約したさまざまなメッセージがあり、沖縄県民の皆さんの総意もしっかりとうかがっていかなければならない」。22日夕、首相官邸で鳩山首相はゲーツ長官との21日の会談の発言内容を披露し、衆院選中に「最低でも県外移設」と訴えてきたことを踏まえる必要があると強調した。「アフガニスタン・パキスタン支援の方が、オバマ大統領には、はるかに大きなテーマであり、我々がすぐやるべき仕事だ」とも繰り返した。>
「最低でも県外移転」というのは無理だ。そこをどう見るか、は個人個人違うだろう。「公約違反だ」と息巻く人もいるだろうし、「野党だったんだし、仕方ないさ」と言う人も多いと思う。ただ、言えることは整合性にこだわるばかりに日米関係を拗らせてしまってはいけない、ということだ。方針転換はどんどんやっていい。ただ、その場合には堂々とやればいい。
<鳩山首相は、早期解決に応じる姿勢を見せる岡田外相、北沢俊美防衛相とは好対照だ。「沖縄県民の負担軽減の観点から米軍再編に見直しの方向で臨む」と明記した連立合意の堅持を迫る社民党への配慮に加え、普天間問題の経緯をよく知る外務、防衛官僚の情報にとらわれずマニフェストへのこだわりを貫けることがある。>
とらわれず、とはいうものの、無責任なマスターベションでは困る。
<この問題で政府は96年の返還合意以来検討されてきた他の案も検証し、新たな選択肢を見いだしたいと考えている。浮上しているのは米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)や隣接する米軍嘉手納弾薬庫地区などにヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を新設して統合する案。騒音訴訟などを抱え地元自治体が強く反対した。空軍機と海兵隊のヘリコプターの共同使用は運用上問題があると米軍も強く反発し頓挫した。ただ、時間や費用が新基地の建設よりかからない。民主党の中堅議員は「最終的には嘉手納統合しかない」と指摘する。防衛省も今月17~18日、沖縄県に井上源三・地方協力局長を派遣、嘉手納弾薬庫地区に加え、過去に統合・移設案が浮上した伊江島補助飛行場(同県伊江村)や下地島空港(同県宮古島市)などを視察した。だが、計画変更に米国が簡単に応じる見通しはないのが現状だ。>
何か迷走している、という感じだな。
■10月25日付毎日新聞朝刊
毎日新聞09年10月25日朝刊3面[クローズアップ2009]は<アジア重視、鳩山外交/にじむ米への配慮>で、フアヒン(タイ中部)西尾英之、西田進一郎両記者の署名記事だ。
本文を読む。
<鳩山由紀夫首相は24、25両日の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合への出席で、9月の米ニューヨークでの国連総会出席、米中露との首脳会談、10月の日中韓首脳会談と続いた主な外交を一通り終える。そこから浮かび上がるのは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を巡ってぎくしゃくする対米関係など現実的な問題に直面し、マニフェスト(政権公約)に掲げた「対等な日米関係」と「アジア重視」の実現に腐心する姿だ。>
という前文。
<「日本の新しい政権の外交政策として、日米同盟を外交の基軸と位置付けている」。鳩山首相は24日のASEAN関連の首脳会議で、東アジア共同体構想への支持を呼びかける前提として、あえて「日米同盟が基軸」と言及した。米国の参加までは主張しなかったが、首相は会談後の同日夜、記者団に「(共同体構想から)米国を排除するつもりはない」と強調。米国と東アジアの「一方に偏らないようにしているのは事実」とも述べた。>
アジアにも寄らず、アメリカにも寄らず、と言っているうちにアジアもアメリカも周囲からいなくなっていた、というブラックジョークなど世界中で漫画になりそうだな。
<同行筋は「ずっと言っている」と、特別ではないと強調したが、米国が不在のこの会議で述べた点に、共同体構想で「外される」ことを懸念する米国への配慮がにじんだ。>
外す、外される、か。昔だったら記者懇談も外す、外されるの恐怖で大変だっただろうけどね。
<9月のオバマ米大統領との会談で「日米同盟を基軸にアジア諸国との信頼関係を強化したい」と語った首相だが、1カ月もたたない今月10日には、北京での日中韓首脳会談で「日本はややもすると米国に依存しすぎていた」と発言。就任前に首相が発表した寄稿文が、米国主導の経済体制を批判したと受け取られたことに共同体構想が結びつき、「米国離れ」との懸念を生んでいた。>
あっちに言ってはAと言い、こっちではBと言う。普通はコウモリと言われる。そんな風な書き方をしている風に見えるのだが。
<アフガニスタンへの支援問題や米軍再編問題など、日米間には安全保障分野を中心に難題が横たわる。普天間飛行場移設問題では、来日したゲーツ米国防長官が早期解決を強く迫った。首相は23日、結論を出す時期について「(来年1月の)沖縄県名護市長選後でなければいけないと言ったつもりもない」と語り、国内をにらみつつ米国へも配慮した。この日の「基軸」発言も同じ流れの上にある。>
発言修正ですか。対米配慮ですか? というか、こういう問題で気をつけなくてはいけないのは、新聞記者が勘違いして解釈して書いた場合、本当は政治家はブレていないのに、結果的にブレた、と書かれてしまうことだ。新聞など何てことないけど、やっぱり無謬性の神話があるんじゃないか、と思っている。中国共産党ほどじゃないだろうけど。
<首相は一連の会議で共同体構想を「長期的なビジョン」として具体的に説明せず、域外国の参加を認める姿勢をうかがわせつつ、枠組みは示さなかった。米国の警戒感を招きたくない一方で、特定の域外国(米国)の関与で主導権が縛られるのを嫌って「ASEANプラス3」の枠組みを主張する中国をけん制する意味がある。>
こういうステレオタイプな見方でいいのだろうか?
<ASEAN側から歓迎された構想だが、イメージが先行する。首相は貿易や金融、環境、防災など具体的な分野での地域協力の実績を積み上げて関係を強化し、そこから具体的な枠組みや協力の形を浮かび上がらせていく考えだが、具体的なステップは今回の会議で議論されなかった。「日米同盟」と「アジア重視」のはざまに立つ鳩山政権としては、構想の位置付けを早々には決められないのが現状だ。>
まあ、東アジア共同体構想って言葉先行だからね。
◆記事の後半
記事の後半は<東アジア構想、ASEANは歓迎/地域協力リードを自負>の見出しだ。
<「長期的な目標として取り組んでいきたい」。ASEAN各国首脳は日本との首脳会談で、鳩山首相の東アジア共同体構想を歓迎する姿勢を示した。だが、ASEANにとっては「地域協力や統合へ向けた動きの核はASEANでなければならない」(タイ外務省高官)のが本音だ。鳩山構想には「いくつかある地域統合構想の一つ」と、突き放した見方が出ている。>
何を書いているのか、分かりにくい。
<北東アジアの日中韓3カ国が、歴史問題のしこりで欧州のような協力関係を築けないなかで、ASEANは3カ国を巻き込んだ「プラス3」会議を開催するなど、東アジア全体の地域協力をリードしてきた自負がある。鳩山構想で日本が地域協力の主導権を握るようなことがあれば、ASEANにとっては自身の存在感を薄めかねない脅威となる。>
まあね。
<実際、ASEANが日本に求めているのは政治的なリーダーシップより、投資や開発援助といった経済的な協力だ。日・ASEAN関係に詳しいタイの研究者は「アジアに豊富な資金をつぎ込んで影響力を強めている中国に対抗するためには、日本はまず国内経済を十分回復させなければならない」と話す。ASEAN側にこうした考えが広まっているのは、日本が自民党政権下で続けてきた米国重視の外交の結果、アジアに政治的リーダーシップを発揮する機会がなかったためでもある。>
もっと投資せよ、もっとODAを寄こせ、政治には口出しするな、か。これもステレオタイプだと思うのだが。表面的に聞けばそう言うさ。だけど、本音は違うと思う。現実はもっと切羽詰っているんじゃないか。中国の海洋進出問題とかがあるしね。
<「アジア重視」を打ち出した鳩山政権は、アジアでの米中の存在感と均衡を取りつつ、経済関係にとどまらないアジアとの関係をどのように築いていこうとするのか。ASEAN諸国は鳩山外交の方向性を注視している。>
まあ、そういうことだ。
◆外交に関する鳩山由紀夫首相の主な発言◆
・「(米紙掲載論文は)反米的な考え方を示したものではない。東アジア共同体構想は米国を排除する発想は全く持っていない」(8月31日、記者団に)
・「日中が互いの違いを認めながら信頼関係を構築し、それを軸に東アジア全体の共同体を構想」(9月21日、日中首脳会談)
・「日米同盟を日本外交の基軸として重視」(同月23日、日米首脳会談)
・「協力を積み重ねる延長線上に東アジア共同体が姿を現すことを期待」(同月24日、国連総会演説)
・「2国が東アジア共同体構想の核となり、アジアの国々と協力を深め実現に向けて一歩踏み出そう」(10月9日、日韓首脳会談)
・「今まで、ややもすると米国に依存しすぎていた。日米同盟は重要だが、アジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」(同月10日、日中韓首脳会談)
・「日米同盟を日本の外交の基軸と位置付けている」(同月24日、日ASEAN首脳会議)
という横組み表もついていた。こういうところ、親切なのがいい、毎日新聞は。
■毎日新聞10月29日朝刊、米中国防相会談
毎日新聞10月29日付朝刊なのだろう<米国防長官「中国の軍事力に透明性」/協力促進狙い評価>という、いかにもそうだろうと思わせる記事が載っていた。ワシントン支局の古本陽荘特派員の署名記事だ。
<米国防総省で27日に行われたゲーツ米国防長官と中国中央軍事委員会の徐才厚・副主席との会談で、ゲーツ長官が中国の軍事力の透明性の進展を評価する発言をしていたことが28日、分かった。国防総省筋が明らかにした。米国は中国に対し、誤解の原因になるとして軍事力の透明性の確保を強く求めてきた。これまでの強硬一辺倒の姿勢を転換し、一定の評価を与えることで両国の軍事協力を促進させる狙いがあるものとみられる。>
ほらね。ドルをたくさん持っている中国に強いことがいえない米国かな。日本と中国の違いは日本はナショナル・セキュリティーでフリーライドしている(日本語で言うのも嫌だから英語にした)からだ、というのだ。まあね。
<「透明性の進展」が何を指しているかは定かではない。だが、今年1月の国防白書で、中国が軍の近代化や脱政治の過程を詳述したり2008年予算で20年連続2ケタの伸びとなった国防費について、将兵の待遇改善や物価上昇などを理由に挙げ、増額の必要性を説明したことを念頭に置いている可能性がある。>
まあね。
<一方で、国防総省が3月に発表した中国の軍事力に関する年次報告書では「中国の軍や安全保障に関する不透明性は安定への危険要因」と明記しており、米国が中国に対し透明性をさらに求めていく姿勢に変化はないものとみられる。国防総省筋も「米中両国がお互いの意図を理解し、危険な誤解や誤算を防げるようになるにはまだ相当な作業が必要だ」と語っている。>
口先のリップサービスだ、というのだ。
<今回の会談では、海上における捜索・救助の共同訓練の実施や疫病対策での軍医の相互訪問など軍事交流を促進することで合意。アフガニスタン復興支援やイラン、北朝鮮の核開発問題でも協力していく方針で一致した。>
本来的にはこっちのほうが大きなニュースだろう。だが、前打ち記事が出ていたんだろうね。
<ゲーツ長官が中国軍の透明性の進展を評価する発言をした背景には、来月予定されるオバマ大統領の訪中を前に、米中関係全般を進展させる意図もあったようだ。>
オバマ訪中。お土産。オバマ訪日。日本から差し出す貢物。差が大きすぎないか。
■10月30日毎日新聞朝刊
毎日新聞10月30日朝刊だろうと思う。ネットで見たので、はっきりしない。見出しは<普天間移設/岡田外相と北沢防衛相、ライス司令官らと会談>だ。野口武則記者の署名入りだ。
<米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への移設問題で、岡田克也外相と北沢俊美防衛相は29日、外務省でライス在日米軍司令官らと会談した。外相は、自ら提案する米軍嘉手納飛行場(同県嘉手納町など)への統合案について米軍側から説明を受けた。司令官らは運用上の問題などから困難との、従来通りの見解を伝えた。会談は11月のオバマ米大統領の来日を前に嘉手納案の実現可能性を判断するため、現行計画に決まった経緯を含め米軍側から直接聞く目的で開かれた。ゲーツ米国防長官は既に嘉手納案を否定しており、外相は早急に嘉手納案の成否の判断を迫られる。これに先立ち、北沢防衛相は国会内で沖縄県の仲井真弘多知事と会談した。普天間問題で鳩山由紀夫首相と外相、防衛相の立場が異なることについて知事は「閣僚が違う案を出し、分かりにくい」と指摘。防衛相は「外務省、防衛省として首相が判断する材料を持ちよっている」と理解を求めた。>
知事の言うとおりだね。
■毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]
毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]は<普天間移設「閣内不一致」/従属脱皮へ首相達観>だった。
<日米合意に沿い米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を急ぐ北沢俊美防衛相、米軍嘉手納基地統合案へとかじを切る岡田克也外相、「最後は私が決める」と達観する鳩山由紀夫首相。米軍普天間飛行場返還合意から13年。政権交代を経て再び迷走し始めた沖縄の米軍基地再編問題の背景に渦巻く鳩山政権内の思惑を探る。>
が前文。
<「岡田君、北沢さんが一生懸命やっていますから、私は見守りたい。君も見守ってください」。10月23日夜、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議出席のためタイに向かう政府専用機中にいた鳩山首相は、東京に残る平野博文官房長官の携帯電話を鳴らして、こう伝えた。出発前、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、岡田外相はキャンプ・シュワブ(沖縄県名護市辺野古)沿岸部にV字滑走路を新設する2006年の日米合意を覆し、日米間で検討され、消えたはずの嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)への統合案を提起。現行案踏襲を主張する北沢防衛相との対立が鮮明になり、「閣内不一致」批判が高まっていた。>
<普天間問題が火を噴く発端となったのは10月20日に来日したゲーツ米国防長官が現行合意の履行を迫り11月12日のオバマ米大統領来日までに結論を出すよう突き付けたこと。民主党は衆院選で県外移設の検討を表明し、慌てた鳩山政権が「公約」との整合性をどうつけるかで対応がバラバラになったという経緯だ。だが、米国の「圧力」、閣内の騒動にも首相は泰然と構える。判断時期もオバマ大統領来日までに方向付けしたい北沢氏、年内決着をめどとする岡田氏に対し2010年1月の名護市長選後に先送りする姿勢を崩さない。>
<「政治主導」を盾に閣僚の発言を封印せず、「最終的に決めるのは私だ」と強い姿勢を貫く首相の心中を周辺はこう語る。「米国の言いなりになれば、自民党政権の『対米追随路線』に追随することになる」。「米国に従属的な外交」(10月30日、参院本会議)からの「脱皮」の試金石とする思惑が透けて見える。>
3面分が以下の記事だ。見出しは<外相、現行計画に不信>、<普天間移設「なぜ埋め立てか」>。
<米国相手にかたくなな姿勢をとる鳩山由紀夫首相。だが、混迷は自身の言動が誘発した面もある。>
<「どういうつもりですか」。衆院が解散された7月21日、国会内で民主党の前原誠司氏(現国土交通相)、長島昭久氏(現防衛政務官)が鳩山氏を呼び止めた。鳩山氏は2日前、沖縄市で「最低でも県外移設に向けて積極的に行動を起こす」と表明。米国に太いパイプを持つ両氏が懸念を深めたためだ。>
<「県外移設」は2008年7月にまとめた党沖縄ビジョンにある。同年6月、策定責任者の武正公一氏(現副外相)と訪米した前原氏は、普天間返還合意の当事者で、後にキャンプ・シュワブ案の変更を唱えたキャンベル元米国防次官補代理(現国務次官補)らと会談。「オバマ政権になれば普天間問題は白紙から議論できる」との確信を持ったことが伏線にあった。>
<しかし、1月のオバマ政権発足後、米国防総省は現行計画の推進を確認。前原氏らの読みは外れ、マニフェスト(政権公約)では「在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む」と抽象的な表現に後退した。だが、鳩山発言は今も沖縄では「公約」と受け止められており、沖縄の期待を安易に裏切れない立場にある。>
◇ ◇
<県外移設を断念する一方で、沖縄の負担軽減とのバランスをとろうとするのが、岡田克也外相の嘉手納統合案だ。>
<「日本は政権交代した。『約束通り』と言われても困る」。岡田氏は10月29日夕、外務省でライス在日米軍司令官やルース駐日大使らと会談した際、こう強調した。しかし、米側は岡田氏が主張する嘉手納統合案には①有事の即応態勢に支障が出る②空軍の戦闘機が常駐し、ヘリコプター主体の海兵隊が混在すれば機能低下を招く――などの理由から「統合は不可能」と繰り返した。>
<嘉手納統合案は過去2回検討された。1回目は96年、沖縄の米軍施設縮小案を日米特別行動委員会(SACO)で議論したが、却下され、撤去可能な代替施設を海上に建設することで合意。しかし、2002年に決定された基本計画は滑走路2000㍍の軍民共用空港を建設する巨大公共事業に姿を変えていた。>
<計画はその後、こう着状態に陥り、2003年からの在日米軍再編協議で米側が嘉手納統合を含む複数の見直し案を提示。当時の防衛庁は嘉手納弾薬庫地区などにヘリポートを建設する案を検討したが、外務省は辺野古沖の埋め立て計画の縮小案(名護ライト)を米側と進め、再び消えた。最後は防衛庁が妥協案として示したキャンプ・シュワブ沿岸案で押し切ったが、2006年5月の日米合意では、滑走路2本を建設するという巨大公共事業に再び変ぼうしていた。それを自民党が主導した経緯を知る長島氏らが民主党内で勉強会を開き、衆院選前の7月、党幹事長だった岡田氏に提言したのが嘉手納統合案だ。既存の基地を活用することで普天間返還にかかるコストや期間を抑えられる「現実的な案」と岡田氏は受け止めた。>
<「4000億円(の建設費)をかけてあの海を埋め立てるのは、どう考えてもピンとこない」。岡田氏は外相就任後、現行計画への不信感を外務省幹部に伝え、経緯を検証するよう指示した。>
◆防衛相、沖縄の疑心代弁
<北沢俊美防衛相の軸足も首相と同じく沖縄にあるが、沖縄の窓口となる防衛省は別の苦しみがある。「鳩山首相は『選挙の結果を見て決める』というようなことをおっしゃっているが、県民世論を二分するような決め方だけはしないでいただきたい」。10月28日、首相官邸。名護市の周辺自治体の首長として長く普天間移設問題にかかわってきた儀武剛・金武町長が平野博文官房長官に迫った。「苦渋の決断」として県内移設の方針を受け入れてきた沖縄県など地元自治体側には、政府の迷走ははしごを外す行為と映る。特に首相が「沖縄県民の皆さんの意思」として2010年1月の名護市長選の結果を見極める発言をしたことは「また責任を押し付けるのか」との疑心暗鬼も生んでいる。地元との交渉の矢面に立ってきた防衛省内には「政治家としてのセンスを疑う」(幹部)など首相への反発も広がった。>
そういうことだね。
<北沢氏の現行の辺野古移設決着案は、そうした雰囲気を代弁している。10月17日には過去に県内移設先として浮上したことのある嘉手納弾薬庫や下地島空港などに井上源三地方協力局長を派遣し、代替案を検討する姿勢も見せた。いずれも結論は「難しい」。嘉手納統合案にこだわる岡田氏を説得する狙いだったとの見方もある。>
<「民意を軽視する政治は必ず民意から反撃を受ける」。北沢氏は30日の参院本会議でこう答弁した。それぞれ「沖縄の負担軽減」を重視するとしながら、県外移設の可能性を否定しない鳩山氏▽嘉手納統合での決着を図る岡田氏▽辺野古移設を容認する北沢氏――。民意のとらえ方も三者三様だ。これに対し儀武氏は「時間をかけて検討はするが、最終的には現計画容認という腹か」といらだちを募らせる。県外移設への期待を高めた上で裏切る形になれば、批判の矛先は鳩山政権へ向かう。>
<オバマ大統領来日まであと10日だが、首相は「来日まで結論を出す必要はない」と繰り返す。自公政権からの転換、「緊密で対等な日米同盟」の構築、沖縄への思い――。複雑に絡み合う立場と思惑をどう一つにまとめ上げるのか。待ちの構えをとる首相の指導力が問われる場面が続く。>
以上が本文で、以下は横組み表だ。
◇米軍普天間飛行場移設問題をめぐる首相・閣僚の主な発言◇
◆鳩山首相
「県外移設に向けて行動を起こす」(7月19日)
「基本的な私たちのベースの考え方を変えるつもりはない」(9月24日)
「(選挙公約が)時間というファクター(要因)で変化する可能性は否定しない」(10月7日)
「来年の名護市長選と沖縄県知事選の中間ぐらいで結論が必要になってくる」(同16日)
「政治主導だから閣僚が自分の思いを述べることはあってもいいが、最後は私が決める」(同24日)
「県外、海外と訴えてきた。さまざまな選択肢を検討しそれなりの時間をかけて結論を出したい」(同27日)
◆岡田外相
「沖縄には基地が集中しており、負担を減らしたい。日米同盟を長く深くするには必要だ」(10月7日)
「県外は事実上、選択肢として考えられない。嘉手納基地への統合だと思っている」(同23日)
「今具体的に県外で可能性がある所はない。白紙で議論するのは時間がかかる。嘉手納になると思う」(同27日)
◆北沢防衛相
「事業が進む中で新しい道を模索するのは厳しい。県外・国外は時間がかかる」(9月26日)
「日米合意には県外、国外がある。選挙公約を全く満たしていないと認識するのは間違いだ」(10月27日)
◇米軍普天間飛行場返還・移設の経過◇
1996年 4月 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が全面返還発表。5~7年で返還
12月 日米特別行動委員会(SACO)最終合意。海上施設を沖縄本島東海岸沖に建設
99年12月 名護市が辺野古地区受け入れ表明
2006年 5月 在日米軍再編最終合意。14年までに代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部(辺野古)に移設、在沖縄海兵隊8000人をグアムに移転
08年 7月 民主党が沖縄政策で県外・国外移設明記
以上である。




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