経済・政治・国際

2009年11月 2日 (月)

普天間問題の09年10月23日から11月2日までの毎日新聞の記事スクラップ

■毎日新聞10月23日朝刊

 毎日新聞09年10月23日朝刊3面[クローズアップ2009]は<米国防長官、東アジア歴訪/温度差、顕著に>というゲーツ長官の東アジア歴訪を総括する記事だった。
 <「核の傘」確約/韓国と同盟強化>、<「普天間」対立/日本にいらだち>の見出しの記事は米国防長官専用機上・古本陽荘、ソウル西脇真一のクレジットがついていた。専用機の上から原稿が送れるんだね。無線ランなのか?
 本文を読んでみよう。
 <ゲーツ米国防長官は22日、東アジアの同盟国である日本、韓国歴訪を終えた。韓国とは手を携えての同盟関係強化を確認したが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でなかなか結論を出さない日本にはいらだちを隠さず、対照的な対応となった。来月12日のオバマ米大統領訪日までに結論を出すよう求められ、日米同盟重視の「真剣度」を試される格好となった鳩山政権だが、あくまでも民意を見極める姿勢は崩していない。>
 という前文。各紙とも同じようなとらえ方だ。
 <「韓国がアフガニスタンやイラクに多くの支援をしたことに、とても感謝している。その犠牲も良く認識している」。22日、韓国国防省で開かれた米韓安全保障協議会(SCM)後の共同記者会見で、ゲーツ長官は謝意を示した。韓国は過去にイラクとアフガンへ大勢の兵員を派兵し、同盟国として「汗と血」を流してきた。共同声明では米国が、北朝鮮の脅威に対し「核の傘」を確約する同盟関係強化の方針も打ち出した。>
 湾岸戦争を思い出すね。あの時はアーミテージ氏から「血を流せ」と言われたんだったなぁ。欧米人の目には日本はシャイロックのように映っているのかもしれない、と思った。今回のゲーツ氏の「犠牲認識」発言、重いんじゃないか。
 <アフガニスタン情勢を巡って国際的な協力が不可欠となる中で行われた長官の歴訪は、アジアの同盟国とのきずなを再確認し足元を固める狙いがあった。だが20、21両日の岡田克也外相、鳩山由紀夫首相との会談では、普天間移設問題で対立し、ぎくしゃくした日米関係が表面化した。>
 まあね。
 <「政治的に可能で、運用に支障がない他の選択はない」。ゲーツ長官は東京に向かう政府専用機内で毎日新聞など同行記者団に今回の訪日の主な目的が普天間移設問題の協議であり、日米合意通りの計画履行を求める姿勢を明らかにしていた。>
 そうでしょう。
 <鳩山政権にはアフガン支援策を検討すれば、普天間移設の決断は先延ばしできると解釈していた節があった。現在の米政府にとり外交・安全保障上の最大の課題はアフガン支援だからだ。だが、ゲーツ長官はあえてアフガン支援ではなく、普天間移設で早期決断を迫ることを優先させた。日米合意が覆れば沖縄から離れることに抵抗した海兵隊をねじ伏せてまで合意を実現させた経緯がふいになる。また、将来的に総額200億~300億㌦とされるグアム移転費の承認を取り付けようとしている議会での努力も無駄になる。国内の批判が高まり、アジアでの米軍再編自体が頓挫する恐れもある。ゲーツ長官は普天間問題を「リトマス試験紙」ととらえ、鳩山政権の「日米同盟を重視する」との言葉が本物かどうか、姿勢を問いただす狙いがあったとも考えられる。>
 これは分かりやすいね。そういう背景があっての発言だった、と。
 <鳩山政権発足以来、両政府高官の間で「日米同盟は両国にとって外交の礎(コーナーストーン)」が合言葉となったが、その具体策についての議論は何も進んでいない。9月23日に行われた日米首脳会談でも同盟関係を一層強化する「理念」は確認したが、具体的問題は先送りされたままだ。22日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、国務省高官の話として、安定し不変の関係だった日本が「今や、中国より厄介な存在になっている」と報じた。>
 ここが見出しになっているのか。
 そして、後半の記事は<「政権公約」首相こだわる>の見出し。西田進一郎、仙石恭両記者の署名があった。
 本文を読む。
 <鳩山首相は米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)移設で、計画通りの実施と11月のオバマ大統領来日までの結論を求めたゲーツ長官に、現行計画以外を模索する方針と「来年1月の名護市長選後の結論」の考えを示した。衆院選マニフェスト(政権公約)にこだわり、あくまで沖縄県民の意思を見極める姿勢だ。>
 マニフェストがあるだけでなく、社民党じゃないの?
 <「選挙で公約したさまざまなメッセージがあり、沖縄県民の皆さんの総意もしっかりとうかがっていかなければならない」。22日夕、首相官邸で鳩山首相はゲーツ長官との21日の会談の発言内容を披露し、衆院選中に「最低でも県外移設」と訴えてきたことを踏まえる必要があると強調した。「アフガニスタン・パキスタン支援の方が、オバマ大統領には、はるかに大きなテーマであり、我々がすぐやるべき仕事だ」とも繰り返した。>
 「最低でも県外移転」というのは無理だ。そこをどう見るか、は個人個人違うだろう。「公約違反だ」と息巻く人もいるだろうし、「野党だったんだし、仕方ないさ」と言う人も多いと思う。ただ、言えることは整合性にこだわるばかりに日米関係を拗らせてしまってはいけない、ということだ。方針転換はどんどんやっていい。ただ、その場合には堂々とやればいい。
 <鳩山首相は、早期解決に応じる姿勢を見せる岡田外相、北沢俊美防衛相とは好対照だ。「沖縄県民の負担軽減の観点から米軍再編に見直しの方向で臨む」と明記した連立合意の堅持を迫る社民党への配慮に加え、普天間問題の経緯をよく知る外務、防衛官僚の情報にとらわれずマニフェストへのこだわりを貫けることがある。>
 とらわれず、とはいうものの、無責任なマスターベションでは困る。
 <この問題で政府は96年の返還合意以来検討されてきた他の案も検証し、新たな選択肢を見いだしたいと考えている。浮上しているのは米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)や隣接する米軍嘉手納弾薬庫地区などにヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を新設して統合する案。騒音訴訟などを抱え地元自治体が強く反対した。空軍機と海兵隊のヘリコプターの共同使用は運用上問題があると米軍も強く反発し頓挫した。ただ、時間や費用が新基地の建設よりかからない。民主党の中堅議員は「最終的には嘉手納統合しかない」と指摘する。防衛省も今月17~18日、沖縄県に井上源三・地方協力局長を派遣、嘉手納弾薬庫地区に加え、過去に統合・移設案が浮上した伊江島補助飛行場(同県伊江村)や下地島空港(同県宮古島市)などを視察した。だが、計画変更に米国が簡単に応じる見通しはないのが現状だ。>
 何か迷走している、という感じだな。

■10月25日付毎日新聞朝刊
 毎日新聞09年10月25日朝刊3面[クローズアップ2009]は<アジア重視、鳩山外交/にじむ米への配慮>で、フアヒン(タイ中部)西尾英之、西田進一郎両記者の署名記事だ。
 本文を読む。
 <鳩山由紀夫首相は24、25両日の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合への出席で、9月の米ニューヨークでの国連総会出席、米中露との首脳会談、10月の日中韓首脳会談と続いた主な外交を一通り終える。そこから浮かび上がるのは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を巡ってぎくしゃくする対米関係など現実的な問題に直面し、マニフェスト(政権公約)に掲げた「対等な日米関係」と「アジア重視」の実現に腐心する姿だ。>
 という前文。
 <「日本の新しい政権の外交政策として、日米同盟を外交の基軸と位置付けている」。鳩山首相は24日のASEAN関連の首脳会議で、東アジア共同体構想への支持を呼びかける前提として、あえて「日米同盟が基軸」と言及した。米国の参加までは主張しなかったが、首相は会談後の同日夜、記者団に「(共同体構想から)米国を排除するつもりはない」と強調。米国と東アジアの「一方に偏らないようにしているのは事実」とも述べた。>
 アジアにも寄らず、アメリカにも寄らず、と言っているうちにアジアもアメリカも周囲からいなくなっていた、というブラックジョークなど世界中で漫画になりそうだな。
 <同行筋は「ずっと言っている」と、特別ではないと強調したが、米国が不在のこの会議で述べた点に、共同体構想で「外される」ことを懸念する米国への配慮がにじんだ。>
 外す、外される、か。昔だったら記者懇談も外す、外されるの恐怖で大変だっただろうけどね。
 <9月のオバマ米大統領との会談で「日米同盟を基軸にアジア諸国との信頼関係を強化したい」と語った首相だが、1カ月もたたない今月10日には、北京での日中韓首脳会談で「日本はややもすると米国に依存しすぎていた」と発言。就任前に首相が発表した寄稿文が、米国主導の経済体制を批判したと受け取られたことに共同体構想が結びつき、「米国離れ」との懸念を生んでいた。>
 あっちに言ってはAと言い、こっちではBと言う。普通はコウモリと言われる。そんな風な書き方をしている風に見えるのだが。
 <アフガニスタンへの支援問題や米軍再編問題など、日米間には安全保障分野を中心に難題が横たわる。普天間飛行場移設問題では、来日したゲーツ米国防長官が早期解決を強く迫った。首相は23日、結論を出す時期について「(来年1月の)沖縄県名護市長選後でなければいけないと言ったつもりもない」と語り、国内をにらみつつ米国へも配慮した。この日の「基軸」発言も同じ流れの上にある。>
 発言修正ですか。対米配慮ですか? というか、こういう問題で気をつけなくてはいけないのは、新聞記者が勘違いして解釈して書いた場合、本当は政治家はブレていないのに、結果的にブレた、と書かれてしまうことだ。新聞など何てことないけど、やっぱり無謬性の神話があるんじゃないか、と思っている。中国共産党ほどじゃないだろうけど。
 <首相は一連の会議で共同体構想を「長期的なビジョン」として具体的に説明せず、域外国の参加を認める姿勢をうかがわせつつ、枠組みは示さなかった。米国の警戒感を招きたくない一方で、特定の域外国(米国)の関与で主導権が縛られるのを嫌って「ASEANプラス3」の枠組みを主張する中国をけん制する意味がある。>
 こういうステレオタイプな見方でいいのだろうか?
 <ASEAN側から歓迎された構想だが、イメージが先行する。首相は貿易や金融、環境、防災など具体的な分野での地域協力の実績を積み上げて関係を強化し、そこから具体的な枠組みや協力の形を浮かび上がらせていく考えだが、具体的なステップは今回の会議で議論されなかった。「日米同盟」と「アジア重視」のはざまに立つ鳩山政権としては、構想の位置付けを早々には決められないのが現状だ。>
 まあ、東アジア共同体構想って言葉先行だからね。
◆記事の後半
 記事の後半は<東アジア構想、ASEANは歓迎/地域協力リードを自負>の見出しだ。
 <「長期的な目標として取り組んでいきたい」。ASEAN各国首脳は日本との首脳会談で、鳩山首相の東アジア共同体構想を歓迎する姿勢を示した。だが、ASEANにとっては「地域協力や統合へ向けた動きの核はASEANでなければならない」(タイ外務省高官)のが本音だ。鳩山構想には「いくつかある地域統合構想の一つ」と、突き放した見方が出ている。>
 何を書いているのか、分かりにくい。
 <北東アジアの日中韓3カ国が、歴史問題のしこりで欧州のような協力関係を築けないなかで、ASEANは3カ国を巻き込んだ「プラス3」会議を開催するなど、東アジア全体の地域協力をリードしてきた自負がある。鳩山構想で日本が地域協力の主導権を握るようなことがあれば、ASEANにとっては自身の存在感を薄めかねない脅威となる。>
 まあね。
 <実際、ASEANが日本に求めているのは政治的なリーダーシップより、投資や開発援助といった経済的な協力だ。日・ASEAN関係に詳しいタイの研究者は「アジアに豊富な資金をつぎ込んで影響力を強めている中国に対抗するためには、日本はまず国内経済を十分回復させなければならない」と話す。ASEAN側にこうした考えが広まっているのは、日本が自民党政権下で続けてきた米国重視の外交の結果、アジアに政治的リーダーシップを発揮する機会がなかったためでもある。>
 もっと投資せよ、もっとODAを寄こせ、政治には口出しするな、か。これもステレオタイプだと思うのだが。表面的に聞けばそう言うさ。だけど、本音は違うと思う。現実はもっと切羽詰っているんじゃないか。中国の海洋進出問題とかがあるしね。
 <「アジア重視」を打ち出した鳩山政権は、アジアでの米中の存在感と均衡を取りつつ、経済関係にとどまらないアジアとの関係をどのように築いていこうとするのか。ASEAN諸国は鳩山外交の方向性を注視している。>
 まあ、そういうことだ。
 ◆外交に関する鳩山由紀夫首相の主な発言◆
・「(米紙掲載論文は)反米的な考え方を示したものではない。東アジア共同体構想は米国を排除する発想は全く持っていない」(8月31日、記者団に)
・「日中が互いの違いを認めながら信頼関係を構築し、それを軸に東アジア全体の共同体を構想」(9月21日、日中首脳会談)
・「日米同盟を日本外交の基軸として重視」(同月23日、日米首脳会談)
・「協力を積み重ねる延長線上に東アジア共同体が姿を現すことを期待」(同月24日、国連総会演説)
・「2国が東アジア共同体構想の核となり、アジアの国々と協力を深め実現に向けて一歩踏み出そう」(10月9日、日韓首脳会談)
・「今まで、ややもすると米国に依存しすぎていた。日米同盟は重要だが、アジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」(同月10日、日中韓首脳会談)
・「日米同盟を日本の外交の基軸と位置付けている」(同月24日、日ASEAN首脳会議)
 という横組み表もついていた。こういうところ、親切なのがいい、毎日新聞は。

■毎日新聞10月29日朝刊、米中国防相会談
 毎日新聞10月29日付朝刊なのだろう<米国防長官「中国の軍事力に透明性」/協力促進狙い評価>という、いかにもそうだろうと思わせる記事が載っていた。ワシントン支局の古本陽荘特派員の署名記事だ。
 <米国防総省で27日に行われたゲーツ米国防長官と中国中央軍事委員会の徐才厚・副主席との会談で、ゲーツ長官が中国の軍事力の透明性の進展を評価する発言をしていたことが28日、分かった。国防総省筋が明らかにした。米国は中国に対し、誤解の原因になるとして軍事力の透明性の確保を強く求めてきた。これまでの強硬一辺倒の姿勢を転換し、一定の評価を与えることで両国の軍事協力を促進させる狙いがあるものとみられる。>
 ほらね。ドルをたくさん持っている中国に強いことがいえない米国かな。日本と中国の違いは日本はナショナル・セキュリティーでフリーライドしている(日本語で言うのも嫌だから英語にした)からだ、というのだ。まあね。
 <「透明性の進展」が何を指しているかは定かではない。だが、今年1月の国防白書で、中国が軍の近代化や脱政治の過程を詳述したり2008年予算で20年連続2ケタの伸びとなった国防費について、将兵の待遇改善や物価上昇などを理由に挙げ、増額の必要性を説明したことを念頭に置いている可能性がある。>
 まあね。
 <一方で、国防総省が3月に発表した中国の軍事力に関する年次報告書では「中国の軍や安全保障に関する不透明性は安定への危険要因」と明記しており、米国が中国に対し透明性をさらに求めていく姿勢に変化はないものとみられる。国防総省筋も「米中両国がお互いの意図を理解し、危険な誤解や誤算を防げるようになるにはまだ相当な作業が必要だ」と語っている。>
 口先のリップサービスだ、というのだ。
 <今回の会談では、海上における捜索・救助の共同訓練の実施や疫病対策での軍医の相互訪問など軍事交流を促進することで合意。アフガニスタン復興支援やイラン、北朝鮮の核開発問題でも協力していく方針で一致した。>
 本来的にはこっちのほうが大きなニュースだろう。だが、前打ち記事が出ていたんだろうね。
 <ゲーツ長官が中国軍の透明性の進展を評価する発言をした背景には、来月予定されるオバマ大統領の訪中を前に、米中関係全般を進展させる意図もあったようだ。>
 オバマ訪中。お土産。オバマ訪日。日本から差し出す貢物。差が大きすぎないか。

■10月30日毎日新聞朝刊
 毎日新聞10月30日朝刊だろうと思う。ネットで見たので、はっきりしない。見出しは<普天間移設/岡田外相と北沢防衛相、ライス司令官らと会談>だ。野口武則記者の署名入りだ。
 <米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への移設問題で、岡田克也外相と北沢俊美防衛相は29日、外務省でライス在日米軍司令官らと会談した。外相は、自ら提案する米軍嘉手納飛行場(同県嘉手納町など)への統合案について米軍側から説明を受けた。司令官らは運用上の問題などから困難との、従来通りの見解を伝えた。会談は11月のオバマ米大統領の来日を前に嘉手納案の実現可能性を判断するため、現行計画に決まった経緯を含め米軍側から直接聞く目的で開かれた。ゲーツ米国防長官は既に嘉手納案を否定しており、外相は早急に嘉手納案の成否の判断を迫られる。これに先立ち、北沢防衛相は国会内で沖縄県の仲井真弘多知事と会談した。普天間問題で鳩山由紀夫首相と外相、防衛相の立場が異なることについて知事は「閣僚が違う案を出し、分かりにくい」と指摘。防衛相は「外務省、防衛省として首相が判断する材料を持ちよっている」と理解を求めた。>
 知事の言うとおりだね。

■毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]
 毎日新聞11月2日朝刊[読む政治]は<普天間移設「閣内不一致」/従属脱皮へ首相達観>だった。
 <日米合意に沿い米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を急ぐ北沢俊美防衛相、米軍嘉手納基地統合案へとかじを切る岡田克也外相、「最後は私が決める」と達観する鳩山由紀夫首相。米軍普天間飛行場返還合意から13年。政権交代を経て再び迷走し始めた沖縄の米軍基地再編問題の背景に渦巻く鳩山政権内の思惑を探る。>
 が前文。
 <「岡田君、北沢さんが一生懸命やっていますから、私は見守りたい。君も見守ってください」。10月23日夜、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議出席のためタイに向かう政府専用機中にいた鳩山首相は、東京に残る平野博文官房長官の携帯電話を鳴らして、こう伝えた。出発前、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、岡田外相はキャンプ・シュワブ(沖縄県名護市辺野古)沿岸部にV字滑走路を新設する2006年の日米合意を覆し、日米間で検討され、消えたはずの嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)への統合案を提起。現行案踏襲を主張する北沢防衛相との対立が鮮明になり、「閣内不一致」批判が高まっていた。>
 <普天間問題が火を噴く発端となったのは10月20日に来日したゲーツ米国防長官が現行合意の履行を迫り11月12日のオバマ米大統領来日までに結論を出すよう突き付けたこと。民主党は衆院選で県外移設の検討を表明し、慌てた鳩山政権が「公約」との整合性をどうつけるかで対応がバラバラになったという経緯だ。だが、米国の「圧力」、閣内の騒動にも首相は泰然と構える。判断時期もオバマ大統領来日までに方向付けしたい北沢氏、年内決着をめどとする岡田氏に対し2010年1月の名護市長選後に先送りする姿勢を崩さない。>
 <「政治主導」を盾に閣僚の発言を封印せず、「最終的に決めるのは私だ」と強い姿勢を貫く首相の心中を周辺はこう語る。「米国の言いなりになれば、自民党政権の『対米追随路線』に追随することになる」。「米国に従属的な外交」(10月30日、参院本会議)からの「脱皮」の試金石とする思惑が透けて見える。>
 3面分が以下の記事だ。見出しは<外相、現行計画に不信>、<普天間移設「なぜ埋め立てか」>。
 <米国相手にかたくなな姿勢をとる鳩山由紀夫首相。だが、混迷は自身の言動が誘発した面もある。>
 <「どういうつもりですか」。衆院が解散された7月21日、国会内で民主党の前原誠司氏(現国土交通相)、長島昭久氏(現防衛政務官)が鳩山氏を呼び止めた。鳩山氏は2日前、沖縄市で「最低でも県外移設に向けて積極的に行動を起こす」と表明。米国に太いパイプを持つ両氏が懸念を深めたためだ。>
 <「県外移設」は2008年7月にまとめた党沖縄ビジョンにある。同年6月、策定責任者の武正公一氏(現副外相)と訪米した前原氏は、普天間返還合意の当事者で、後にキャンプ・シュワブ案の変更を唱えたキャンベル元米国防次官補代理(現国務次官補)らと会談。「オバマ政権になれば普天間問題は白紙から議論できる」との確信を持ったことが伏線にあった。>
 <しかし、1月のオバマ政権発足後、米国防総省は現行計画の推進を確認。前原氏らの読みは外れ、マニフェスト(政権公約)では「在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む」と抽象的な表現に後退した。だが、鳩山発言は今も沖縄では「公約」と受け止められており、沖縄の期待を安易に裏切れない立場にある。>
  ◇  ◇
 <県外移設を断念する一方で、沖縄の負担軽減とのバランスをとろうとするのが、岡田克也外相の嘉手納統合案だ。>
 <「日本は政権交代した。『約束通り』と言われても困る」。岡田氏は10月29日夕、外務省でライス在日米軍司令官やルース駐日大使らと会談した際、こう強調した。しかし、米側は岡田氏が主張する嘉手納統合案には①有事の即応態勢に支障が出る②空軍の戦闘機が常駐し、ヘリコプター主体の海兵隊が混在すれば機能低下を招く――などの理由から「統合は不可能」と繰り返した。>
 <嘉手納統合案は過去2回検討された。1回目は96年、沖縄の米軍施設縮小案を日米特別行動委員会(SACO)で議論したが、却下され、撤去可能な代替施設を海上に建設することで合意。しかし、2002年に決定された基本計画は滑走路2000㍍の軍民共用空港を建設する巨大公共事業に姿を変えていた。>
 <計画はその後、こう着状態に陥り、2003年からの在日米軍再編協議で米側が嘉手納統合を含む複数の見直し案を提示。当時の防衛庁は嘉手納弾薬庫地区などにヘリポートを建設する案を検討したが、外務省は辺野古沖の埋め立て計画の縮小案(名護ライト)を米側と進め、再び消えた。最後は防衛庁が妥協案として示したキャンプ・シュワブ沿岸案で押し切ったが、2006年5月の日米合意では、滑走路2本を建設するという巨大公共事業に再び変ぼうしていた。それを自民党が主導した経緯を知る長島氏らが民主党内で勉強会を開き、衆院選前の7月、党幹事長だった岡田氏に提言したのが嘉手納統合案だ。既存の基地を活用することで普天間返還にかかるコストや期間を抑えられる「現実的な案」と岡田氏は受け止めた。>
 <「4000億円(の建設費)をかけてあの海を埋め立てるのは、どう考えてもピンとこない」。岡田氏は外相就任後、現行計画への不信感を外務省幹部に伝え、経緯を検証するよう指示した。>
◆防衛相、沖縄の疑心代弁
 <北沢俊美防衛相の軸足も首相と同じく沖縄にあるが、沖縄の窓口となる防衛省は別の苦しみがある。「鳩山首相は『選挙の結果を見て決める』というようなことをおっしゃっているが、県民世論を二分するような決め方だけはしないでいただきたい」。10月28日、首相官邸。名護市の周辺自治体の首長として長く普天間移設問題にかかわってきた儀武剛・金武町長が平野博文官房長官に迫った。「苦渋の決断」として県内移設の方針を受け入れてきた沖縄県など地元自治体側には、政府の迷走ははしごを外す行為と映る。特に首相が「沖縄県民の皆さんの意思」として2010年1月の名護市長選の結果を見極める発言をしたことは「また責任を押し付けるのか」との疑心暗鬼も生んでいる。地元との交渉の矢面に立ってきた防衛省内には「政治家としてのセンスを疑う」(幹部)など首相への反発も広がった。>
 そういうことだね。
 <北沢氏の現行の辺野古移設決着案は、そうした雰囲気を代弁している。10月17日には過去に県内移設先として浮上したことのある嘉手納弾薬庫や下地島空港などに井上源三地方協力局長を派遣し、代替案を検討する姿勢も見せた。いずれも結論は「難しい」。嘉手納統合案にこだわる岡田氏を説得する狙いだったとの見方もある。>
 <「民意を軽視する政治は必ず民意から反撃を受ける」。北沢氏は30日の参院本会議でこう答弁した。それぞれ「沖縄の負担軽減」を重視するとしながら、県外移設の可能性を否定しない鳩山氏▽嘉手納統合での決着を図る岡田氏▽辺野古移設を容認する北沢氏――。民意のとらえ方も三者三様だ。これに対し儀武氏は「時間をかけて検討はするが、最終的には現計画容認という腹か」といらだちを募らせる。県外移設への期待を高めた上で裏切る形になれば、批判の矛先は鳩山政権へ向かう。>
 <オバマ大統領来日まであと10日だが、首相は「来日まで結論を出す必要はない」と繰り返す。自公政権からの転換、「緊密で対等な日米同盟」の構築、沖縄への思い――。複雑に絡み合う立場と思惑をどう一つにまとめ上げるのか。待ちの構えをとる首相の指導力が問われる場面が続く。>
 以上が本文で、以下は横組み表だ。
◇米軍普天間飛行場移設問題をめぐる首相・閣僚の主な発言◇
◆鳩山首相
「県外移設に向けて行動を起こす」(7月19日)
「基本的な私たちのベースの考え方を変えるつもりはない」(9月24日)
「(選挙公約が)時間というファクター(要因)で変化する可能性は否定しない」(10月7日)
「来年の名護市長選と沖縄県知事選の中間ぐらいで結論が必要になってくる」(同16日)
「政治主導だから閣僚が自分の思いを述べることはあってもいいが、最後は私が決める」(同24日)
「県外、海外と訴えてきた。さまざまな選択肢を検討しそれなりの時間をかけて結論を出したい」(同27日)
◆岡田外相
「沖縄には基地が集中しており、負担を減らしたい。日米同盟を長く深くするには必要だ」(10月7日)
「県外は事実上、選択肢として考えられない。嘉手納基地への統合だと思っている」(同23日)
「今具体的に県外で可能性がある所はない。白紙で議論するのは時間がかかる。嘉手納になると思う」(同27日)
◆北沢防衛相
「事業が進む中で新しい道を模索するのは厳しい。県外・国外は時間がかかる」(9月26日)
「日米合意には県外、国外がある。選挙公約を全く満たしていないと認識するのは間違いだ」(10月27日)
◇米軍普天間飛行場返還・移設の経過◇
1996年 4月 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が全面返還発表。5~7年で返還
     12月 日米特別行動委員会(SACO)最終合意。海上施設を沖縄本島東海岸沖に建設
  99年12月 名護市が辺野古地区受け入れ表明
2006年 5月 在日米軍再編最終合意。14年までに代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部(辺野古)に移設、在沖縄海兵隊8000人をグアムに移転
  08年 7月 民主党が沖縄政策で県外・国外移設明記
 以上である。

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2009年10月29日 (木)

普天間:渡辺利夫・拓大学長の[正論]~09年10月29日、産経新聞

 産経新聞09年10月29日[正論]は渡辺利夫・拓殖大学学長の<国益を見据え「普天間」決断の秋>。コピペしておく。
 小見出しはそのまま置いておく。
≪問題解決の条件がそろう≫
 <「知恵の輪」という遊びがある。二つの金属の輪をあれやこれやといじくりまわしているのだが、どうしても抜けない。これがあっと思うほどすんなりと抜ける痛快な瞬間がある。なんだこんなことかともう一度やってみても、果たしてこれがどうにもうまくいかないのである。外交にだってそんな偶然のような好条件が生まれて、難題中の難題がすんなりと解決するといったことがあるような気がする。沖縄問題の解決にとって現在ほどいい条件が整った時期はかつてなかったのではないか。10月の中旬、沖縄で日本青年会議所主催のシンポジウムにパネリストの一人として招かれた私は、仲井真弘多知事としばらく歓談する機会に恵まれた。氏は“沖縄の意向はもう決まっているのだから、政府が方針をいちはやく決めてくれなければ、沖縄は動くに動けない”といった趣旨の困惑を吐露していた。困惑ではあるが、開けっぴろげな仲井真さんらしい率直な語りに私の方も“本当にそうですよねえ”と深くうなずいていた。沖縄県も名護市も沖合移動という条件は付しながらも現行の日米合意の基本計画を支持するにいたった。米海兵隊普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設は在沖縄米海兵隊8000人とその家族のグアム移転、空母艦載機の厚木から岩国への移駐、沖縄本島南部の6施設の全面返還などを含む「パッケージ」として2006年5月に日米両国政府によって合意された。日本は合意実現のために最大28億㌦の負担を米国に約している。>
≪複雑な沖縄世論にも悪影響≫
 <沖縄の世論が複雑をきわめていることを私とて知らないはずもない。しかし沖縄県と名護市の世論が沖縄の負担の大幅軽減を求めて日米合意の方向に現在ほど大きく傾いた時期はない。北朝鮮の2度にわたる地下核実験や大規模な軍拡により中国の東シナ海制海権の掌握が現実味を増している状況下で、これ以上問題をこじらせては日本の安全保障が危ういとする意識が沖縄県民の中にも高まってきたことの反映であろう。>
 <訪日したゲーツ国防長官は鳩山新政権の要人との会談において普天間の代替施設のキャンプ・シュワブ沿岸への移設が実現しなければ海兵隊のグアム移転はなく、それなくして人口の密集する沖縄南部6施設の全面返還も不可能だという主張を繰り返した。ゲーツ氏は極東での軍事力抑止と沖縄の負担軽減の二つを両立させようという戦略をもって日本の新政権に臨んだのである。>
 <沖縄と米国の「合意」を阻止しているのが日本の新政権である。これほどの皮肉もあるまい。11月のオバマ大統領の訪日の条件整備のためにやってきたゲーツ氏の訪日に際してもなお、首相は“来年の名護市長選、沖縄知事選などの様子をみて県民の総意を確かめたい”といい、外相は“日米合意の正当性を検証してからだ”といった趣旨のことを述べ、片や防衛相は“そんなに時間を浪費するいとまはない”といったりで、新政権の本意がどこにあるのかまるで不鮮明である。>
 <複雑な世論の沖縄である。市長選や知事選で県内移転派が勝利する保証はない。敗北ともなれば沖縄問題解決の「千載一遇」は消え去る。日米合意の検証といったところで、合意はその時々の政治的ベクトルの合成の帰結であって、条件の異なる現時点で正当性など検証できるものか。検証にどれほどの意味があるのか。仮に日米合意が不合理だとの結論が導かれたとて、米側がその結論をよしとして受け入れるとは思われない。>
≪信頼なくせば同盟も空洞化≫
 <外相のいう普天間基地の嘉手納基地への統合もすでに検証ずみのものだというのが米側の見解である。キャンプ・シュワブ基地の沖合移動は“県と政府の問題だ”との含みをもたせたゲーツ発言にさえ無反応であってみれば、待っているのは日米同盟「空洞化」の危機である。米国が信頼に値するアジアのパートナーとして選ぶのは、ひょっとして日本ではなく中国となる可能性がある。民主党のブレーン、ブレジンスキー氏などに根強い米中2極体制(G2)もあながち空想ともいえなくなる。集団的自衛権行使に踏み切れない片務的な日米同盟は、このポスト冷戦期にあってはそもそもが脆弱な存在なのである。>
 <脆弱な日米同盟をさらに脆弱なものにしようというのが民主党の本意ではあるまい。日米同盟は現在では日本と米国の2国関係を律する同盟というにとどまらない。北朝鮮問題、台湾海峡問題、何より中国の外洋進出を牽制して極東アジア全域の安定性を確保するための唯一の同盟なのである。日米同盟が崩れれば「極東のドミノ現象」が起こる危険性がある。>
 <どうしても抜けなかった「知恵の輪」が、あれと思うほど簡単に抜けてしまう希有な条件が整備されているのが現在である。民主党の諸兄よ、国益を見据えよ。ここは決断の秋である。>
 渡辺氏は沖縄が決断しているのだから、民主党も決断しろ、と言っている。

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2009年10月23日 (金)

外国人参政権の最近の動向と論拠をうまくまとめてある:産経新聞[正論]百地章氏~09年10月23日

 産経新聞09年10月23日[正論]は百地章・日本大学教授の<外国人参政権で危惧されること>。小見出しはそのまま置いておいて、コピペしておこう。
≪マニフェスト原理主義か≫
 <民主党政権が誕生して1カ月が過ぎたが相変わらずマニフェスト狂想曲が続いている。鳩山由紀夫首相は党のマニフェストに書かれた「2020年までに温暖化ガスを25%削減する」との政権公約をもとに、国内的合意ができていないにもかかわらず、早々と国連で宣言をしてしまった。前原誠司国土交通相は、地元住民や流域諸県の知事らが強く反対しているのを尻目に、マニフェストを根拠として八ツ場ダムの工事中止を断言し、てこでも動きそうにない。しかし民主党があくまでマニフェスト原理主義を貫こうとするのであれば、敢えて問いたい。「マニフェスト」に載っていない、というよりも同党の政策集「INDEX2009」に掲載されていながら選挙対策用に意図的にマニフェストから除外したとしか思えぬ「外国人参政権」。これを積極的に推進しようとするのは、国民に対する背信行為であり「マニフェスト違反」ではないのか。>
≪国家意識の希薄な政権幹部≫
 <民主党では結党時の「基本政策」の中に「定住外国人の地方参政権などの早期実現」を明記しており、何度も法案を提出してきた。しかも鳩山代表や小沢一郎幹事長をはじめ、菅直人副総理、岡田克也外相、前原氏ら幹部はいずれも積極的な推進論者である。小沢氏は代表時代の昨年夏、若手議員に「民主党が政権を取ったら、しっかり対応する」と語っており(読売新聞、昨年8月10日)、幹事長当時の岡田氏も「幹部の間では意思統一ができている」といってはばからない(日経ネット、7月20日)。さらに、鳩山代表はインターネット上で「日本列島は日本人だけの所有物ではない」「定住外国人の参政権ぐらい当然付与されるべきだ」「外国人参政権は愛のテーマだ」(産経新聞、4月25日)と言い出す始末である。これでは、民主党幹部らの国家意識を疑いたくもなる。>
 <国家とは政治的な運命共同体である。それ故、わが国の運命に責任を持たない外国人に対しては、たとえ地方選挙権であっても認めることはできない。国政と地方政治は密接で不可分の関係にあるからである。それに、もしも外国人に選挙権を付与した場合、さまざまな事態が危惧される。例えば、地方選挙権を手にした定住外国人が大挙して国境の島、対馬(市)で住民登録を行い、市長選や市議選においてキャスチングボートを握るようになったら、どうなるだろうか。すでに韓国資本による土地の買い占めが進行しているという対馬の現状に鑑みれば、これは決して杞憂とは思われない。>
 やっぱり対馬か。
 <日本国憲法は選挙権が「国民固有の権利」(15条1項)であることを明記している。これについて最高裁は、「憲法15条1項の規定は権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右権利の保障はわが国に在留する外国人には及ばない」とした。また「国」と「地方」は不可分一体であるとの認識のもとに地方自治体の選挙について定めた憲法93条2項の「住民」も「日本国民」を意味しており、外国人に選挙権を保障したものではない、としている(最高裁平成7年2月28日)。それゆえ外国人に参政権を付与することは、たとえ地方政治であっても許されない。推進論者が引き合いに出す、「地方選挙権の付与は禁止されない(許容)」とした部分はあくまで「傍論」に過ぎず、しかもその内容は「本論」と矛盾しており、まったく意味をなさない。それどころか、むしろ有害といえよう。>
≪在日韓国人に二重の選挙権≫
 <ところが、在日韓国人組織の「民団」は外国人参政権の実現に全力を挙げており、昨年暮れには、総選挙で推進派の民主党と公明党を支援することを決定し(朝日新聞、昨年12月12日)、全国で候補者のポスター張りなどの支援活動を活発に行ってきた(民団新聞、8月26日)。選挙権を有しない外国人がわが国の選挙活動にかかわるのは公職選挙法違反である。それに、外国人には「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす」政治活動の自由は認められていない(マクリーン事件、最高裁昭和53年10月4日大法廷判決)。それゆえ民団による組織的な選挙支援活動は明らかに内政干渉であって、憲法違反の疑いさえある。にもかかわらず、民主党は民団に選挙の応援を求め、政権奪取と外国人参政権の実現を目指してきた。>
 <在日韓国人の人々は本国で国会議員となる資格(被選挙権)を有する上に、今年から選挙権まで認められるようになった。それも国政選挙だけでなく、居所登録さえすれば韓国での地方選挙さえ可能である。その彼らがもし日本でも選挙権を行使することになれば、本国とで二重選挙権が認められてしまうことになるが、これも極めて問題であろう。従って、民主党政権が次期通常国会で通そうとしている外国人参政権は、何としても許すべきではない。>
 ふーん。

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2009年10月22日 (木)

国会代表質問の自民党の経済観を先取りしたのかな?:大田弘子さんの[正論]~09年10月22日産経新聞

 産経新聞09年10月22日[正論]は大田弘子・政策研究大学院大学副学長の<「外需」抜きの成長戦略はない>だった。小見出しはそのままにしておく。コピペする。
≪「分配」ばかりが目立つ≫
 <国政における与党と野党の最大の違いは、さまざまな政策を「予算」という最終形に落とし込む責任があるかないかである。予算は政策のすべてを反映する。予算にする段階で財源を工面せねばならないし、あれかこれかの選択を迫られる。予算を策定しなくていいのなら、あれをやれ、これもやれ、と批判するだけでいい。これまで批判する立場だった民主党がいよいよ本格的な来年度の予算づくりに入った。麻生内閣が短期間で積み上げた補正予算を斬ることと違って、新政権の真価を問う第一ステップになる。>
 そういうことだ。
 <長年続いた自民党政権では至るところに“鉄の三角形”、すなわち政治家と業界と官僚の三者がもたれ合う強固な既得権集団がつくられ小さな改革でも岩盤にぶちあたった。本格的な政権交代でこの岩盤が崩されるのは喜ばしいことである(もっとも、郵政という最強の岩盤は逆に復元されそうだから、簡単に喜ぶわけにはいかない)。既得権から自由という利点の一方で、民主党の政策で決定的に欠けているのは成長への危機感である。経済政策には成長のための政策と分配のための政策がある。どちらも重要だが、民主党が重視するのはもっぱら分配政策である。最低賃金の1000円への引き上げ、製造業への労働者派遣の禁止、温暖化ガス25%削減……これだけでは、あたかも製造業は生産拠点を海外に移せばいい、と言っているようである。分配の源となる付加価値は一体誰が生み出すのか、民主党の政策からは見えないのである。>
 相当に怒っているのか? あまりに冷静な筆致なので分からないが。
≪子ども手当は内需拡大策か≫
 <月額2万6000円の子ども手当が、内需拡大策として掲げられ、国際会議でも表明された。個人消費の増加は人口が減少する日本にとってきわめて重要な課題である。このことに異論はない。しかし、子ども手当は、ほんとうに内需拡大策なのだろうか。少子化対策ではあっても、内需拡大策とは言えないのではないか。消費を増やすために二つの手法がある。第1は政策によって直接家計を潤し消費を増加させる政策だ。定額給付金や所得減税や手当の増額がこれに当たる。第2は転業・廃業の支援やグローバル化の加速などで企業の側の体質強化を促し、賃金を上げられるようにすること、また規制改革などで消費者ニーズを満たす新サービスが生まれるようにすることである。>
 規制緩和ですか。小泉=竹中路線のPRですね。
 <第1の手法で政策的に家計に行くお金を増やせば、当然、家計の消費は増える。しかし将来世代に依存する赤字国債で賄うのでない限り、その費用は同世代の誰かが負担するだけであって、消費の拡大効果がそう期待できるわけではない。もちろん行政のムダを省くとか、子育て世帯を支援するとか、その趣旨自体はいいにせよ、これを持続的な内需拡大策として位置づけるには無理がある。むしろ子ども手当は明確に少子化対策として位置づけ、豊かな層も含めるのか、託児所などの育児サービス充実とどちらがいいか、を議論すべきではないか。>
 何か分かりにくい。
 <日本経済の根本問題は製造業以外の産業の生産性の低さとグローバル化の遅れである。GDP(国内総生産)の7割を占める非製造業が体質強化しない限り、雇用機会は増えず、賃金も上がらない。したがって第2の手法での改革を行わない限り、内需は強化されないと私は考える。>
≪アジアの中間層に着目を≫
 <また、これからの日本の活路は、アジアである。アジアで増えつつある巨大な中間層(一定以上の所得を持つ層)にアピールする製品や農産物をどれだけ生み出せるか、観光等のサービスを提供できるか。この点に、日本経済の将来がかかっていると言ってもいい。中国だけで人口13億人、仮にこの1割が富裕層になるとしても、日本の人口を上回る。鳩山首相は「経済を内需中心に転換させる」と主張するが、人口が減る日本にとって外需はきわめて重要である。国内での消費を増やすことと、外需を増やすこと、この両方はどちらも同じくらい重要であり、両方ともに、企業の体質強化とグローバル化がカギである。>
 麻生首相時代に非常にいいなあ、と思ったのは東アジアの需要まで内需ととらえる、という政策だった。この見方で言えば、鳩山内閣の政策も外需であり、内需なのではないか。
 <政策の人気度で言えば、財政で家計を直接潤す第1の手法は、歓迎される。他方、供給側に改革を促す第2の手法は一部の人の痛みを伴うから人気がない。規制改革にも農業改革にも抵抗が強い。しかし第2の手法なしに日本経済の将来展望は開けない。非製造業の生産性向上とグローバル化を柱に据えた成長戦略は福田内閣でも策定し実行段階に入りつつあった。政権交代だからといってすべてを反故にするのではなく、逆に補強して加速させてほしい。既得権から自由な民主党だからこそ取り組める構造改革があるはずだ。国土交通省、経済産業省はそれぞれ成長戦略会議を設立するという。成長できる経済への政策が来年度予算にどう組み込まれるか、その点を私は最も注目している。>
 総論賛成だね、大田さんの言うことには。各論はいろいろある。

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2009年10月10日 (土)

いかにも朝日新聞らしい社説だった:朝鮮半島の歴史直視と村山談話~09年10月10日

 朝日新聞09年10月10日社説だ。<日本と韓国/歴史を直視して、前へ>。今までだったら読む気にもならなかっただろう。冷静に読んでみよう。

 <近隣外交の上々の滑り出しである。鳩山由紀夫首相がアジアで最初の訪問先に韓国を選び、きのう李明博大統領とソウルで会談した。「新政権はまっすぐに歴史を正しく見つめる勇気を持っている」。首相は会談や記者会見でそう語った。李大統領は「真心と開かれた心で韓日関係を未来志向的に発展させる立場だと高く評価する」と応じ、日韓の協力強化をともに確認し合った。鳩山首相が強調したのが、戦後50年にあたる1995年に出した「村山談話」だ。「談話を(日本の)政府・国民がたいへん重要だと理解することがまず非常に重要だ」とした。談話重視は当然のことだし、それを隣国で発したことを評価したい。この談話で、日本はアジアで行った植民地支配や侵略への深い反省を表明した。社会党の村山富市首相の名を冠してはいるが、当時の連立政権には自民党も加わっていた。閣議決定を経た政府の公式見解だ。>

 <なのに、自民党やその後の歴代政権の中には談話をうとましく思い、否定しようとする人々がいて、アジアの国々からの不信を招いてきた。米国もそうした動きに眉をひそめてきた。戦後60年の05年には小泉純一郎首相も村山談話を踏襲する「小泉談話」を出した。だが、靖国神社参拝にこだわり近隣外交を台無しにしてしまった。>

 <政権交代を果たした鳩山内閣として、そうした自民党流のアジア外交の曲折を抜本的に清算したい。そう意気込んでいるに違いない。「靖国に参拝しない」と言うだけでは足りない。この地域の近現代の歴史をどう見るのか、戦後の日本は何を反省し、教訓としているのか。鳩山首相には常にそこを意識し、一貫した発信に心がけてもらいたい。国家の指導者として歴史をかえりみることは、過去にとらわれた行動ではない。歴史を直視し、それを踏まえて節度と良識ある態度で臨む。それでこそ、隣国とのわだかまりを解き、互いに信頼を深めていくことができる。それは、近隣諸国と手を携えて未来を切り開いていく土台であり、日本にとっての外交戦略でもあるのだ。来年は日本が朝鮮半島を植民地として併合してから100年である。歴史を踏まえつつ、関係を前に進めよう。韓国にも同じ姿勢を期待したい。そうした態度は、日本と韓国の間の懸案を解決するのに必要なだけではない。地球温暖化対策やアフガニスタンの民生支援といった国際舞台での日韓協力でも、北朝鮮の核放棄を進展させるためにも求められる。きょう、北京で日中韓首脳会議が開かれる。下旬には東南アジアを舞台に一連の国際会議もある。歴史の直視はここでも大切な視点となる。 >

 まあね。

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外国人参政権の読売新聞社説~09年10月10日

 読売新聞09年10月10日社説は<外国人参政権/地方に限っても禍根を残す>だった。読んでみる。

 <地方選挙に限るとしても、外国人に参政権を認めることは、憲法の規定や国のあり方という観点から、問題が大きい。鳩山首相が、ソウルでの日韓首脳共同会見で、永住外国人への地方選挙権付与について、「私個人の意見としては、前向きに結論を出したい」と述べた。韓国側の記者の質問に答えたもので、首相は「国民感情は必ずしも統一されていない」とも付け加えた。日本国内の議論が割れていることを意識したのだろう。>

 <民主党は1998年の結党時の基本政策に、永住外国人への地方選挙権付与の実現を掲げた。首相のほか、小沢幹事長や岡田外相など推進派が少なくない。選挙権付与に積極的な論者が根拠とするのは、在日韓国人が地方選挙権を求めた訴訟での95年最高裁判決だ。傍論部分で、憲法上は禁止されておらず、国の立法政策にかかわる問題としている。だが、判決の本論は、国民主権の原理に立って、憲法15条の公務員を選定・罷免する権利は、日本国籍を持つ「日本国民」にあると明示した。93条の地方自治体の首長・議員を選出する「住民」も日本国民を指すとしている。法的拘束力のない傍論だけを根拠にするのは強引過ぎる。>

 <外国人に地方選挙権を与えて、地域住民への公共サービスに外国人の意見を反映できるようにしてよいのではないか、という主張にも無理がある。地方自治体は、国の基本政策に関する問題にも密接にかかわるからだ。武力攻撃事態法や国民保護法は有事における国と自治体の協力を定めている。日本に敵対する国の国籍を持つ永住外国人が選挙を通じて、自治体の国への協力を妨げることもありえよう。>

 <韓国は2005年に在韓永住外国人に地方選挙権を付与した。だが、在韓日本人で選挙権を付与されたのはごくわずかだ。日本の永住外国人は約42万人に上る。韓国が認めたのだから、という議論は成り立たない。韓国は今年2月、在外韓国人に国政選挙権を与えた。日本が地方選挙権を認めれば、在日韓国人は、韓国で大統領や国会議員に投票できるうえ、日本でも知事や市町村長、地方議員に投票できるようになる。そのような二重選挙権を認めてよいのか、という議論も出てくるだろう。外国人が参政権を望むなら、やはり、日本国籍を取得するのが筋だ。拙速な判断で、将来に禍根を残してはならない。>

 少し前までは素直にこの主張に「そうだ、そうだ」と思っていたのだが、今はもう一度基本から考え直してみよう、と思っている。

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2009年10月 8日 (木)

柳井正氏のインタビュー:まあまあだが……~産経新聞09年10月6、7、8日

 産経新聞09年10月6、7、8日の【話の肖像画】に<5兆円に挑む ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正>が連載されていた。ユニクロの立志伝中の社長である。面白そうだから、コピペする。
 柳井正(やない・ただし)氏 昭和24(1949)年2月7日、山口県宇部市生まれ。60歳。46年、早稲田大学政治経済学部卒業。同5月、ジャスコ(現イオンリテール)入社。47年8月、小郡商事(現ファーストリテイリング=FR)入社。59年6月、広島市内に「ユニクロ」1号店。同9月に同社社長に就任。平成3年、社名をFRに変更。17年9月から現職。著書に「一勝九敗」(新潮社)。ユニクロは「Unique CLOTHING Warehouse(ユニーク・クロージング・ウエアハウス)」の略、とあった。小川真由美記者の署名記事。何か、有名な女優を思い出す名前だね。
■上
 まずは<上>だ。<流行以外の要素大切>の見出しだ。
 <11年後に売上高5兆円、世界一の衣料メーカーになる――。先月、ユニクロなどを持つファーストリテイリング(FR)の柳井正会長兼社長(60)がこうぶち上げ、世間をあっと言わせた。今秋には20世紀を代表するデザイナーのジル・サンダー氏と提携し、靴事業にも本格的に参入した。欧米企業が席巻するファッション業界。巨人がいよいよ“天下取り”に挑む。>
 という前文だ。以下はインタビューのQ&Aだ。
 <―― 平成32年8月期時点でFRグループ全体の売上高5兆円を目指すと宣言されました。新日本製鉄の4兆7700億円(21年3月期)やイオンの5兆2300億円(同2月期)に匹敵する規模で、世界トップのカジュアル衣料ブランドのGAPやH&Mの1兆3千億~1兆4千億円をはるかにしのぐスケールとなります。>
 <柳井氏 僕が社外取締役を務めるソフトバンクの携帯電話は、国内の契約台数は累計で約2千万台。一方、中国とインドは1年間の純増数が1億台。この数は驚異的です。われわれはこれまで大半を国内だけでやって売上高は6820億円。世界に占めるGDPの割合が日本はかつて約10%だったのが今は5%くらいに半減していることを考えれば今の20倍、約14兆円の市場がある。5兆円は確かに大きな数字だけど、根拠は結構単純な計算なんです(笑)。服だって携帯電話と同じくらいは売れるでしょう。>
 <―― アジアにはすでにH&MやZARAなどの欧米の人気ブランドが進出しています。中国・香港だけで継続して年100店舗出店が可能ですか?>
 <柳井氏 アジアの人はパリやニューヨークと同等かそれ以上に東京の若い人のファッションが好きですよ。だから、中国で1兆円かそれ以上の売り上げをとれることは百パーセント確信している。>
 <―― 現在のベーシックな服だけで売上高5兆円は難しそうですが?>
 <柳井氏 先月から始めたオリジナルの靴「ユニクロシューズ」のほか、今後はバッグやアクセサリーも充実させます。ノウハウを勉強するために会社を買ったり優秀な人材を採用したりしながら、靴同様、4~5年かけてオリジナル商品を手がけたい。服も着る人がわくわくするような、大きなトレンドを反映したデザインも、徐々に売り場面積を増やしながらやるつもりです。ただ、ファッションではなく、あくまで本当に良い服を売ることを目指しています。>
 <―― 良い服とは?>
 <柳井氏 服にはさまざまな要素があってファッションはその中の一つにすぎない。大半のメーカーはファッションがすべてだと考えているが、そういうことに興味のある人はごく一部の人にすぎない。大半の人は服に興味もないし、忙しくて時間もない。だから、着心地とか品質とか、流行以外の要素もとても大事です。>
 <―― 以前から「服は部品」だと言っていますね?>
 <柳井氏 服装と服は違う。服は服装の部品であって、どういうふうに服を合わせるかが着る人の個性なんです。多くのデザイナーは人間の個性より服の個性を大事だと考えるが、先進国になればなるほど、服そのものより、服を着こなすことの重要性が大きくなる。服に興味がない人も、ストレスなしに服を選べて楽しめるのは本当に良い服だと思う。われわれの服はすべての人に向けて売るので、あらゆる人が理解できるファッションでないといけないと考えている。だから基本はベーシックでカジュアル、これは今後も変わりません。>
 <―― FRの服はファッションというより工業製品のようです?>
 <柳井氏 われわれの主力商品は服だが、目指しているのはコム・デ・ギャルソンやシャネルではなく、ソニーやホンダに近いかもしれない。平成10年にフリースがブレークしたとき、「ユニクロはあらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする新しい日本の企業です」というメッセージを作り、その通りに商売をしてきた。今後世界中に出ていっても、本当に良い服であれば国境や地域や民族を超えて支持されると思うし、成功する自信もあります。>
 <―― 農業への再挑戦は?>
 <柳井氏 農業は二度としない(笑)。住宅とか異分野もやりません。ユニクロが野菜をつくっても評価してもらえないでしょ(笑)。われわれの能力は服づくりにあるので、企業がどんなに成長してもそれを生かす経営をしないといけないと思っている。>
■中
 10月7日の<中>は<“常識”を打破したかった>の見出し。
 <―― 20世紀を代表する「ジル・サンダー」ブランドの創業者、ジル・サンダーさんと組んだ服「+J(プラスジェイ)」(今月2日から展開中)は大きな話題になりました。>
 <柳井氏 本当のラグジュアリーとはシンプリシティー(簡素化)だと思う。彼女が生んだ「ジル・サンダー」は高級ブランドで、1着20万円とか一部の人のための服。一方、われわれは低価格のカジュアルブランド。業界は違っていたが、共通するのがデザインがベーシックな点。両者が組めば本当にラグジュアリーな服を世界中の人に提供できると思いました。>
 <―― 色は黒、紺、白が大半で装飾もほとんどない。シンプルすぎて着こなすのが難しそうです。>
 <柳井氏 スマートな人がスマートに見えるのは普通だが、僕みたいに背が低くてもスマートに見える(笑)。本当に良い服の典型。体形に自信がない人こそぜひ着てみてほしい。完成品のシャツ、ジャケット、コート、そしてトータルルックでも、彼女は世界最高のデザイナーだが、その才能が発揮された仕上がりになっています。>
 <―― 「ジル・サンダー」の商標権は昨年10月にジルサンダー社を買収したオンワードホールディングスが所有し、デザイナーの名前が一切表示できない。>
 <柳井氏 「ジル・サンダー」の名前を使いたいわけではなく、彼女が作った服を一緒に売りたかった。ブランドが欲しいのではない。自分が納得できるまで一切の妥協をしない彼女の服作りへの情熱も会社が得た貴重な財産。何より、本当に良い服、ラグジュアリーな服はお金を出さないと着られないとか、手ごろな値段の服はデザインや品質で妥協しないとできないという“常識”を打破したかった。彼女と目指したのは「Open the Future」。ファッションの未来をわれわれの服を着てくれるみんなで開きたいのです。>
■下
 10月8日の<下>は<モットーは全員経営>という見出しだった。
 <―― 不況でモノが売れないといわれています。>
 <柳井氏 消費者の要望が聞けていないからです。不況でもすべての商品が売れていないわけではない。大半の人の収入は月給制で毎月の支出はそう変わらない。衣料品の低迷は、他の商品に比べて、より魅力がないからです。>
 <―― “独り勝ち”の理由は?>
 <柳井氏 やはり全部自分でやっているから。顧客ニーズがどこにあり、どういう商品を企画し、どのように売るか。販売後にお客さんがどんな感想を持ち、どこを改善してほしいと感じているかを常に把握する。このサイクルがきちんと回っています。>
 <―― 優秀な店長は年収1000万円超だそうですね?>
 <柳井氏 これは単なる人事制度ではなく企業哲学で、うちのモットーは全員経営。特に小売りは、お客さんと接する現場で正しい判断や行動が必要です。今日採用されたアルバイトでも、正しい判断をするには経営者感覚が必要になります。>
 <―― ご自身の体験から?>
 <柳井氏 昭和47年に父親の紳士服店に入社したさい、僕は2代目で生意気だったので1人を残して全員辞めてしまい、全部1人でやるはめになった。このとき商売は1人では何もできないと痛感した。また、山口県の零細企業からここまで大きくなったのも私の力だけではない。だから、特に社員がどれだけ力になってくれるかが経営を左右する。特にわれわれの場合は売り場の責任者である店長が一番のパートナーです。>
 <―― 経営幹部を養成する人材育成機関を新設しました。>
 <柳井氏 人間は必ず老化するし、トップが老化したら企業もダメになる。だから、65歳までに日常業務は他の人に任せたい。2人の息子には経営は他人に譲ることを伝えている。ただ、僕は創業者で大株主なので会社と完全に無関係になるのは難しいから、人材育成に専念できればと作りました。>
 <―― 後継者の条件は?>
 <柳井氏 お客さまの満足のために仕事ができて、もうけられる人。もうけの話をすると、「ユニクロは関西商法ですか」と言われるけれど(笑)、もうけないと会社の将来はないのだから当然です。収益を確保しながら常に新しいことに挑戦していかなければ、今後のグローバル経済の中で企業は生き残れない。今後も攻めの姿勢を忘れずに世界一を目指したいですね。>
 柳井氏の苦労話が書いてあるかと思ったら、これじゃあね。また、どこかで探そう。

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鳩山政権、海外の受け止め方~09年10月8日産経新聞[正論]岡崎久彦氏論文+8日毎日新聞夕刊+9日「あらたにす」伊藤論文

松本重治伝 最後のリベラリスト 松本重治伝 最後のリベラリスト

著者:開米 潤
販売元:藤原書店
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 鳩山首相の「友愛」かぁ、鳩山一郎に遡るんだってね、何か古い話だなあ、と思うかもしれないが、毎日新聞09年10月8日夕刊4面[特集ワイド ’09天下の秋]で<友愛 世界はどう見た>の特集をしていたので、読んでみた。筆者は日本記者クラブ賞受賞者の國枝すみれ記者である。

 <鳩山由紀夫首相は先月下旬、国連総会で「友愛精神に基づき、世界の懸け橋になる」と演説した。日本人の私でもよく分からなかった鳩山さんの友愛、外国人に理解されたのだろうか。心配になり、外国紙の特派員や研究者を訪ねて歩いた。>

 という前文だ。

 <■韓国 韓国では友愛という言葉は兄弟や同性の友人同士の関係で使われるという。朝鮮日報の辛貞録特派員は「政治理念としてはナイーブすぎる。国際関係を左右するのは、国益、国力、金融などです。中国の国力が増し、勢力バランスが崩れることが分かっている今の時代に、友愛という言葉で何ができるのか、分からない」。韓国経済新聞の車炳鋳特派員によれば、米国からの自立を打ち出した鳩山首相は、今年5月に自殺した盧武鉉前大統領と似ている。盧氏は一方的に日米の味方になるのではなくロシア、中国、北朝鮮との橋渡しをしたいと考えて「北東アジアのバランサーになる」と宣言したが、対米関係は冷え切った。鳩山氏の持論である東アジア共同体構想は、「悪くない」と車氏。だが、思い出すのは1997年のアジア通貨危機の際に日本が提唱し、米国の反対でつぶれたアジア通貨基金(AMF)構想だという。「ゴールを一方的に宣言することは米国の反発を呼ぶだけ。テーブルの下で静かに進めるべきだ」>

 <■中国 中国では友も愛も人気の言葉だが、友愛となるとあまり使われない。子供同士が「仲良くしてね」という感じだそうだ。鳩山首相は国連演説後に中国の胡錦濤国家主席と会談し、ガス田問題を抱える東シナ海を「友愛の海にすべきだ」と呼びかけたそうだが、真意は伝わったのだろうか。日本で2万5000部を発行する中国経済新聞の徐静波編集長に聞いてみた。「中国は民主党政権ができて万歳している。鳩山首相をはじめ、民主党幹部は何度も訪中しており、彼らの考え方はよく分かっている。胡主席がガス田問題で『事務レベルで話し合いを始めましょう』と答えたのは、鳩山友愛外交に得点をさせてやりたいという気持ちがあるから」。統一通貨や東アジア共同体の実現はかなり難しいとみる。「日本人はすぐに仲間を作りたがるが、中国人は米国人と同じで個人主義で英雄主義、主導権を取りたがる」。中国は協力すると言うが本気にはならない、というのだ。「日米同盟があるかぎり、日中が共同体を作ることはあり得ない。中国と恋愛関係になりたいなら、米国と離婚してくれ、ということです」。そんな無理難題を、と思うこちらの心情を読み取ったのか、徐編集長が重ねる。「だって、米国は北朝鮮が敵と言っているけど、本当の敵は中国じゃないですか」。一方、みずほ総合研究所の細川美穂子研究員は「中国は、鳩山外交の本質はあくまで国益の追求とみている」と話す。数年後、中国の国内総生産(GDP)は日本を抜き、米国につぎ世界第2位となる。経済の中心が移った東アジアで地域的枠組みづくりをリードしようとする日本の姿に「日本は攻めの時代に入った、と警戒している」というのだ。細川氏はいう。「中国人は友人となるととことん面倒を見るが、友人でない人はどうでもいい。誰とでも仲良くしたいという日本の友愛のイメージを中国人は理解できないのではないか」>

 <■米国 米国の保守系経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」は8月30日、「起業家精神の必要性を理解していない」と友愛思想を酷評する社説を掲載した。鳩山氏が月刊誌「VOICE」9月号に「友愛はグローバル化する現代資本主義の行き過ぎを正す理念」などと寄稿、論文が米主要紙に一部転載された後だった。住友商事総合研究所の足立正彦氏は「友愛という概念のあいまいさが米国の猜疑心をあおっている。普天間基地の移設や米軍再編問題など、日米関係は縮小方向で、関係強化のベクトルがない。米国は日本が日中関係に軸足を移し、中国に引き込まれることを懸念している」と分析した。ニューヨーク・タイムズ紙のマーティン・ファクラー東京支局長は「友愛の海って何? レトリックではなく実際の行動が重要だ」という。一方で米政府の民主党政権への懸念は弱まったという。「結局、日本が米国から離れるには二つの選択肢しかない。核を持つか、中国と一緒になるか。多くの日本人はどちらも日米同盟より悪いと思うだろう」。極めて冷静だ。>

 <■欧州 友愛思想の源流はフランス革命の「自由、平等、博愛」の博愛にあたるフラテルニテ。「だから、ユーロクラッツと呼ばれるEU(欧州連合)官僚たちの関心は高い」と話すのは英紙フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキ東京支局長。同紙電子版はVOICEの論文の解説記事や抄訳を掲載し、鳩山氏のホームページにリンクをはって全英訳も読めるようにした。ディッキ氏は、日本が米国べったりの外交から多極化を目指すことはフランスやドイツで評価されるという。東アジア共同体や統一通貨構想は「すぐには実現しそうもないアイデア」だが、「希望を持つのは悪くない。日本には大きな理想を語る政治家はあまりいなかったのだから」。英誌エコノミストのヘンリー・トリックス東京支局長は、国際社会は当初、友愛という言葉に「インパクトを感じなかった」が、次第に「日本は基本的な国際関係を修正する可能性もある」と受け止められるようになったという。「でも日本が変わると判断するのは早すぎる。鳩山氏が本気で変えたいと思っていたとしても、財政赤字、高齢化、租税徴収率の低さなど、日本が抱える問題は大きすぎる」。自由、平等、博愛を国是とするフランスはどうか。中央大の三浦信孝教授(仏文化史)は、経済、軍事では超大国といえないフランスが国際外交の場で政治大国としてふるまうことができるのは“言語力”のおかげと説明する。「外交で自国の優先は当たり前。それをエゴと見せずに他国を説得する力、すなわち言語力が外交力の核心なのだ」。例えば、フランスは「英語を使うな」ではなく「多言語主義」といい、一極支配でなく「多極的世界の構築、多国間の協調」を提唱する。「友愛を国際秩序を作るキーワードにできるのか? 首相には仏並みの言語力が必要とされる」(三浦教授)。鳩山首相は「立場の違いを乗り越えるのが友愛外交」と胸をはる。厳しい国際社会ではたして友愛は生き残れるのだろうか。>

 参考資料として

◎友愛3原則=相互尊重、相互理解、相互扶助

◎国連演説で宣言した友愛精神に基づく五つの挑戦=世界危機への対応、温室効果ガスを25%削減、核軍縮・不拡散、ミレニアム開発目標の達成などを通じた平和構築、東アジア共同体の構築

 の二つが載っていた。

■伊藤氏の[あらたにす]

 この問題で面白かったのが「あらたにす」の「情報バイアスに陥らないために」と題した伊藤元重東京大学大学院経済学研究科教授の論文だった。外国での受け止め方が冷静なのに、日本の新聞は「こう報じた」「ああ報じた」といかにも1面トップで報じているかのような錯覚を起こさせている、というのだ。

 これって経験したことがあるが、問題だと思うね。コピペしておく。◆はもともとの小見出しだ。

 <テレビなどのニュースや番組を見て海外の現状を判断するときは、気をつけなくてはいけない。一部だけを針小棒大にしたイメージを植え付けられる可能性があるからだ。
 昨年のリーマンショックからしばらくして、世界経済危機を議論するため、中東のドバイに行った。「バブルの塔」とでも言うような高層ビルが次々に建設されていたドバイは金融危機でさぞかし大変な状況にあるだろうと予想して出かけていった。しかし、予想に反して、旅行者の私の目に映ったのは人であふれるレストランや高級車が多く走っている近代都市であり、どこに金融危機の傷跡があるのか分からなかった。>

 つまり、新聞やテレビはインチキだった、と。伊藤さんは12チャンネルに出ていたんじゃないかな? 自分を批判していることにならないかね?

◆目で見たドバイとテレビとの違い

 <帰国してしばらくして見たテレビ番組では、金融危機で揺れるドバイの風景が放映されていた。失業者が多くいる街角や、建設の止まった高層ビルなどが映像で描き出されていた。正直言って、私が見てきたドバイの風景とあまりにも違うのに驚いた。もちろん、私もドバイの一部しか見ていないのだから、どこを見るのかでその印象が違って見えるのだろう。しかし、自分の目で見た風景とテレビに映し出される風景があまりにも違うので、テレビの映像もあまり単純に信用しない方がよいと感じた。>

 そういうことだろうね。相当に強い印象を持ったのだろう。

 <テレビの番組を観ていると、同じ風景が何度も何度も出てくる。政治家などが一度失言すると、その同じ失言が毎日のように放映される。観ている側は、あの政治家はあの失言だけをしているような錯覚にさえ陥る。テレビが映し出すイメージは恐ろしい。>

 この繰り返し放映というのを禁止するわけにはいかないんだろうなぁ。宮沢喜一氏が衆院総選挙で負けて細川政権ができたもともとの原因は田原総一郎氏の番組で「やります」と言ったのにできなかたt、失言だ、責任を取れ、というキャンペーンのような子供じみた言葉遊びのような他愛ないことだった。田原氏の番組など出なければいいのに、出たのがまず失敗だった。その無理やり言わされた発言を前後の文脈にお構いなくニュース番組と特集番組のたびに流されるから、いかにも宮沢首相は嘘つきのように感じてしまう。そのイメージで自民党が負けたのがあのときの選挙だったのだ。

 <先日、学生と話していたら、「米国の産業は大変ですね」と言っていた。どうしてそう思うのか尋ねてみると、GMやクライスラーなどの自動車メーカーの惨状が毎日のようにテレビに出てくるので、それが米国の産業全体の状況であると勘違いしたようだ。 >

◆「自動車」の苦境が米産業界の全体像ではない

 <しかし、考えてみれば、自動車産業はどちらかと言えば米国の中では古い産業である。米国の強みは幅広い産業で国際的な競争力を持っている企業が多く存在することだ。グーグルやアップルに代表されるIT分野、日本の企業の何倍もの規模の企業がひしめく医薬品産業、ウォルマートなどの大型小売業群、マクドナルド、コカコーラ、P&Gなどの世界的な消費財企業、エクソンモービルなどの石油メジャー、穀物商社、ハリウッドなど、実に多様な産業で世界有数の企業がひしめいている。米国の産業のどこが衰退しているというのか。それでもテレビで苦境に陥っている自動車メーカーの映像を繰り返し見させられると、それが米国の製造業の代表的な姿であると勘違いしてしまうのだ。>

 テレビの画面は一度に全部を映すわけにいかない。ごくわずかの一点に集中し、そこで全体を代表させる。その選び方を間違えると、視聴者をミスリードする。

 <もっとも、テレビが陥りやすい「針小棒大」の報道は、新聞でも起こりうる問題なのかもしれない。少し前に2週間ほど米国に出張に行っていたある財界人が言っていた。「たまたま日本語の新聞やテレビに接することなく現地の新聞やテレビで生活していたら、鳩山首相の国連演説の記事などたいして大きく取り上げられていなかった。現地の日本に対する関心はそれほど弱いのかと思った。それが日本に戻ってきたら、国連で大変な演説をしたというような記事がどの新聞にも大々的に出ている。日本の新聞だけを読んでいたら、まるで海外でも鳩山発言が大きく注目されているように錯覚してしまうが、現地にいた感覚とは大きなギャップがある」。日本の新聞だけを読んでいると、日本独特の情報バイアスに陥ってしまって、海外の人の認識と大きくかけ離れてしまう危険を感じているのは私だけではないだろう。>

 これが怖いんだ。この情報バイアス、経験した人でないと分からないかもしれないが、外国で暮らしていて、日本の新聞を毎日読める環境があると、余計にひどくなる。日本の新聞の記事の内容に違和感を感じ始めるのだ。「なんて筋違いのことしか書かないんだ」「おかしいなぁ、なぜこんなことを大きく扱うのだろう」「パレスチナ問題はどこにあるのか」などなど。

 <無理をしてでも、なるべく海外のニュースメディアにも接する努力をする必要があると考えている。>

 という伊藤氏の努力はきっと日本の言論人が意識的にしなければならない必須事項なのだと思うのだが。

■岡崎氏の[正論]

 産経新聞09年10月8日[政論]には岡崎久彦元註タイ大使の<「冷めた政変」に戸惑う海外論評>が掲載されていた。これも広い意味では「友愛」の受け止め方かもしれないね。コピペしておこう。小見出しは ≪「反基地」の思想に懸念も≫ ≪中国拡大への対応に疑問符≫ ≪日本人の気質に希望見る≫である。

 <民主党新政権の下でこれから日本はどうなるのであろうか。誰もはっきりとした見通しを持っていない。毎日懸案を次々に片付けなければならない民主党指導者にも分からないのだろうと思う。ここで将来を占う一つのヒントとして政権の誕生前後を通じての、外国の観察を総合して分析してみたい。通常外国の日本政治論は日本人なら分かり切っていることの解説の域を出ないものが多いが、これだけ先行きの見えない時期においては、あるいは岡目八目ということもあるかもしれない。>

 ということで海外論調に注目した、というのだ。

 <もちろん、外国が注目しているのは、マニフェストや3党合意の中の外交安保政策と、国際的にも影響のある経済政策であり、それを確認する首脳の発言である。実は民主党の外交安保政策はマニフェストの主文では何も言っていない。「緊密で対等な日米関係」だけでは何のことか分からない。ただ、基地や地位協定の見直しの部分に、反基地運動の思想が混入しているので、日米関係の将来に国際的な懸念を招いている。といっても、さすがに、盧武鉉時代の韓国のようになるとは誰も心配していないが、今までのドイツやトルコの対米関係ぐらい難しくなる(アジア専門家ブルーメンソール氏)と危惧されている。>

 やはり出てくるのは盧武鉉だね。

 <また、北朝鮮が核武装し、中国の軍備が急速に増大する現実にどう対処するかが全く触れられていないことについての懸念も表明され、日本は軍備増強が必要なのに、その前提となる経済成長戦略が全く欠如していることも指摘されている(ウォールストリート・ジャーナル。成長戦略不在についてはNYタイムズも同じ)。東アジア共同体構想については、東アジアにおける日中共同の指導力などは、中国がそれを受け付けまい(英アジア専門家バウリング氏)と初めから問題にされていない。そして、日本は米中の狭間にあるという、日米同盟中心思想でない表現が総理によって使われたことに危惧も表明されている(アジア専門家クリングナー氏)。そしてそれならば、今後の日米同盟の強化は期待できず、現状より悪くならなければそれがベストだ(日本専門家オースリン氏)という醒めた見方となる。>

 何か、詳しいね。段々と気味が悪くなってきた。

 <どうしてこうなったのだろうかということについては、エコノミストなどが分析している。日本は、政府と経済界が一体となり高度成長を遂げ、国民は等しくその恩恵にあずかって来たが、バブル崩壊後その形が崩れ、気がつくと少子高齢化によって将来が不安になって来る一方、財政赤字は増大し、事態に対応する資金も苦しい。そこに年金問題など政府の失態も明らかになった。つまり、このままではどうにもならなくなっていた、ということである。しかし、それが政変とどうつながるかというと、国民は民主党がそれを解決できるとは思っていない。他の国ならば、野党がこれほど劇的に勝てば、支持者が、広場で自動車の警笛を鳴らしたり、噴水に飛び込んだりして、祝賀するのであるが、そんな雰囲気は全く無かったと、日本人の冷たい反応を奇異の目で観察している(フィナンシャル・タイムズ)。>

 民主党への期待ではなく、自民党へのお灸なのだ、と。ここの段階まで来ても、やはりこの言説は説得力があるんだね。

 <また、民主党の勝利を単なるリベラルなポピュリズムへの揺れと見る見方もある。今のオバマ米政権が、ことごとくブッシュ批判だけの政権であるように、民主党政権は自民党の親米、改革路線批判だけの政権であると、ブッシュ・小泉時代を懐かしむ論説もある(ウォールストリート・ジャーナル論説のキッセル氏)。また、この世界的なリベラル傾斜は、オバマ政権出現の余波であり、ギリシャの選挙でも同じこととなろうと言って、去りゆく自民党系の人士に対しては、20世紀の成功を共にになった米国の友人たちとして、今後とも温かく接するべきだ(評論家ホーグランド氏)という論説もある。>

 米国共和党支持者たちが生真面目に言ってくれているのだが、共和党だって最後の最後に北朝鮮と変な形で妥協しようとしたじゃないか、という思いが消えないのだが。

 <ただ、混迷して先行きの見えない日本の将来はどうなるかについて、知日派は希望を捨てていない。エコノミストは、治安は良く、貯蓄率も高く、ハイテク産業も進んでいる国なので、いつかはその潜在能力が噴出する時もあろう、と遠い将来に期待している。そして、オースリン氏は4月の議会証言で、今でも日本は一体性のある犯罪の少ない、安定した社会であり、教育水準も高い国であること、さらに、国民は政治経済の停滞に不満ではあるが、ロシア人のように飲んだくれているわけでもなく、中国人のように時々暴動に訴えているわけでもない、と言っている。>

 まあ、中国人、ロシア人と比べるとなると、日本人はよく見えるだろうね。どうしてこういう比較になるか、という点が問題なので、結局、非アングロサクソン、非欧州人ということなんだろうね。日本人への視線が結局そういうものであるならば、日本はアジアの中で多くの後背地を持って国際的に構えないと存在自体が無視されてしまうんじゃないか。まあ、いまさら言っても仕方ないか。中国が許してくれないらしいから。

 <確かに、この正直、勤勉、相互信頼と規律を守る国民性は、日本人が長い歴史の中で培ってきたものであり、戦後民主主義教育、日教組教育の中でも失われなかった民族の伝統であり、今後も政権は代わっても変わることはないのであろう。これが失われないかぎり希望はあるという外国の観察は正しいのではないかと思う。>

 日本人の良さを再確認する必要があると思う。特に開米潤氏の「松本重治―最後のリベラリスト」(藤原書店、09年9月30日初版第1刷発行、3990円)にもあるように内村鑑三、朝河貫一という巨人たちも日本の良さをきちんと言葉で外国に紹介できていた。しかし、その「武士道」や「大化の改新の研究」では今の欧米に今の日本を説明できないだろう。きっちりと説明できる能力のある人がいないのか?

松本重治伝 最後のリベラリスト 松本重治伝 最後のリベラリスト

著者:開米 潤
販売元:藤原書店
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2009年10月 6日 (火)

嫌な記事だけど本当なんだろうね:日本政府が外貨準備で米金融機関救済検討~毎日新聞09年10月6日朝刊

 毎日新聞09年10月6日朝刊1面<日本政府が米2社救済案/昨年8月、外貨準備から数兆円/財務相の慎重論で頓挫>には驚いた。日本に金融主権がないのだろう、とは薄々想像していたが、もはや米国の財布以下、キャッシュディスペンサーに成り下がっていたのだ。斉藤望記者の特報である。読んでみよう。
 <米政府系住宅金融機関2社が経営危機を迎えていた2008年8月下旬、日本政府が外貨準備を使って両社の支援を検討していたことが5日、関係者への取材で分かった。入札不調に終わる懸念があった2社の社債数兆円を、日本政府が買い支える計画だった。世界的金融危機に陥る瀬戸際とはいえ、公的資金で外国の金融機関を救おうとしたことは極めて異例で、日米関係の特殊性を明らかにする事実といえる。>
 という前文だ。「日本が米国の植民地であることを如実に示す事実だ」と書かないのは見識なのか、品位を保つためか、読者をだますためか?
 <金融機関2社は、社債で調達した資金で金融機関から住宅ローンを買い取り、証券化商品に組み替えて投資家に販売しているフレディマックとファニーメイ。両社が発行した住宅ローン担保証券の残高は約6兆ドル(約540兆円)と米国の住宅ローン残高の半分を占め、世界の金融機関も広く保有していた。両社が経営破綻すれば、世界の金融システムに深刻な影響を与えることは確実だった。両社の経営危機は08年7月に表面化。米政府は7月中旬に最大4000億㌦(36兆円)規模の出資枠の設定などを発表したが、市場は沈静化しなかった。両社は9月上旬に合計で200億㌦(約1.8兆円)規模の社債借り換えを控えていたが、社債の買い手が現れない可能性が高く、資金繰り破綻の懸念があった。>
 という客観的状況があって、
 <日本政府では、限られた財務省幹部が米財務省と緊密な連携をとりながら、外貨準備から数兆円を拠出して両社の社債を購入する「レスキュー・オペレーション(救済作戦)」という名の計画を立案。通常は非公表の外貨準備の運用内容をあえて公表し、日本の支援姿勢を打ち出して両社に対する不安をぬぐい去ることも検討した。しかし、当時の伊吹文明財務相が慎重論を主張し、9月1日の福田康夫内閣の退陣表明で政府が機能不全に陥ったため、実現しなかったという。米政府は9月7日、公的資金を投入して両社を国有化し救済したが、同月15日には米リーマン・ブラザーズが破綻した。伊吹元財務相は毎日新聞の取材に「大臣決裁の段階にはなかった。しかし、米国の経済危機が迫る中、日本の外貨準備で損失が出かねない資産を購入すべきでないという当たり前の判断だ」と述べた。>
 伊吹氏はよく取材に応じたものだ。野党になった効果かもしれない。政権与党だったら答えなかっただろう。
 <外貨準備 為替介入に備えて通貨当局が保有する外貨や金。資金は国債の一種「政府短期証券」を発行して調達しているため、運用損や為替差損が出れば税金で穴埋めする必要がある。日本の外貨準備残高は8月末で1兆423億㌦(約93.5兆円)で、円高により6月末時点で20兆円規模の為替差損がある。日本は1987年に西ドイツ(当時)を抜いて世界一になったが、2006年に中国に抜かれた。>
 という注釈がついていた。
 4面の経済面には解説記事が掲載されていた。こっちも斉藤記者の記事だ。<日本政府が米金融機関救済検討/究極の貿易黒字還元/「危機回避」を見据え/米は運命共同体>という見出しで、キャンペーン的な[世の中ナビ NEWS NAVIGATOR]という帯がついている。コピペする。
 <日本政府が外貨準備を使った米金融機関の救済を極秘裏に検討していた事実が明るみに出て、改めて米国の利害が日本経済に直結する構造が浮き彫りになった。米国が日本製品を輸入し、それで生じた米国の赤字を日本が埋め合わせる。その構図で両国経済は繁栄してきた。だからこそ、金融危機の直撃を受けた米国経済のため、日本側が異例の手段まで使おうとしていた。だが、金融危機と中国の台頭などで世界経済の枠組みは激変した。日本は今後、対米中心の経済構造を見直す議論が求められる。>
 <「米国債の入札前には、どの種類の米国債をいくら購入するか、米財務省と綿密に打ち合わせてきた」。1兆㌦(90兆円)の外貨準備の運用を取り仕切る財務省の関係者はこう証言する。外貨準備の運用内容は非公表だが、大半が米国債に投資され、米国の貿易赤字の穴埋めに使われてきたのは、周知の事実だ。今回の米金融機関の救済計画は、いわばその究極の姿と言える。これまで外貨準備で米国の赤字を穴埋めするのは、日本の国益にもなってきた。米国の消費者が借金を気にせずに日本製の自動車や電気製品を買い、日本経済は輸出主導の経済成長を遂げた。近年は中国が日本を上回る規模で米国債を購入しつつ、対米輸出を増やし、日本と同じ成長モデルで高度成長を続けている。>
 <しかし、日本や中国が米国の赤字を穴埋めする構図は、米国に際限なく資金が流入することで住宅バブルを招き、金融危機につながったとされる。米ピッツバーグで9月に開かれたG20(主要20カ国・地域)金融サミットでは、こうした黒字国・赤字国の世界不均衡の是正がうたわれた。日本が巨額の貿易黒字を稼いでも、資金は米国債の購入により米国に流出し、米国経済が空前の繁栄を続ける一方、日本の個人消費は細ったとの指摘もある。輸出主導の成長モデルは曲がり角を迎えている。ただ対米中心の経済構造からの脱却は困難も伴う。「防衛を米国に依存している日本は米国の意向を無視できない」(外務省幹部)。1997年6月、「米国債を売りたい誘惑にかられる」と発言した橋本龍太郎首相は米国の不興を買い、政権失速を招いた。日本が外貨準備で保有する米国債を売ればドル暴落につながる可能性がある。日本の海外資産は大幅に目減りし、円高で輸出産業も打撃を受ける。このまま対米中心の経済を続けるか、輸出先の多様化や内需の拡大などで経済構造を変えていくか。日本はどのような成長モデルを採るのか、長期的戦略の議論と選択が突きつけられる。>
 本当に橋本政権の失墜が米国の差し金だったのかどうか。こういうのも陰謀史観というのではないか?

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2009年9月28日 (月)

反小沢勢力のポチになるなよ!産経新聞!!~09年9月28日朝刊の不思議

 産経新聞09年9月28日朝刊総合面(5面)は奇妙な誌面だった。トップ記事は<視線の先は参院選/小沢氏、本格始動へ>。そして、2番手が<小沢氏帰国/?だらけ英国訪問/報道陣シャットアウト>。小沢一郎氏の「二重権力構図」という錆付いた古証文を取り出してきて、鳩山政権に打撃を与えたい気持ちは分からないではないが、何も政府の一員でもない幹事長がイギリスに行こうがフランスに行こうがいいじゃないか、と思うのだが。何か産経新聞、鳩山政権誕生でどこか歯車が狂ったとしか思えない紙面が出始めているのが気になる。もっと鷹揚に構えて、是々非々で臨めばいいと思うのだが。
 まずはトップ記事から。ネットでは<民主の小沢幹事長が本格始動へ 参院選に向けパワー全開>の見出しだった。坂井広志、山本雄史両記者の署名があった。
 <民主党の小沢一郎幹事長が10月から本格始動する。10月25日投開票の参院神奈川、静岡両補選への対応のほか、自民党との最終決戦となる来夏の参院選に向けて、同月下旬には地方行脚を開始する。一方、民主党内では、「政府」は鳩山由紀夫首相、「党」は小沢氏が担当するというすみ分けが出来上がっているが、小沢氏は国会対策を通じて政府へもにらみを利かせる仕組みも整えており、秋の臨時国会以降、小沢氏が陰になり日なたになり本来のパワーを全開させる局面がやってきそうだ。>
◇選挙対策に本腰
 <参院選まで残り約9カ月。民主党関係者によると、「小沢氏の頭の中は、すでに参院選のことでいっぱいだ」という。民主党の桜井充参院議員は鳩山政権発足翌日の17日、党本部を訪ね、小沢氏と面会した。「来年の参院選比例代表で出馬したいと言っている医療関係者がいます」。「本気ならおれが直接会うぞ」。民主党選対は10月に候補者の擁立方針を打ち出す予定で小沢氏も人材発掘を急いでいるのだ。小沢氏は10月中旬に自身が主宰する「小沢一郎政治塾」を開く。同塾は政治家の養成を直接の目的とはしていないが、すでに衆参で塾出身の国会議員は10人に上り、「政治家養成機関」になりつつある。小沢氏は、鳩山政権に対する有権者の最初の審判となる10月25日の参院補選も重視している。小沢氏は周辺に、「(新聞の)見出しは、勝っても小さいが、負けたら大きくなるぞ」と気合を入れている。>
◇国対掌握で発言力
 <16日の民主党本部8階の役員室――。側近議員が「政権交代してホッとしちゃいましたね」と思わず本音を漏らすと、小沢氏は「おーそうだな」と満足げな表情を浮かべた。上機嫌な小沢氏は、着々と17人の国会対策副委員長の人事を内定していった。内山晃氏、松木謙公氏、小宮山泰子氏、石関貴史氏…。小沢氏を支持する「一新会」の面々がズラリと並んだ。小沢氏側近の山岡賢次国対委員長の下で、国対副委員長たちは衆院の各常任委員会の筆頭理事を兼ねる。>
 <小沢氏は、政権発足当日の16日、首相官邸で開かれた与党3党首会談に同席した以外は、官邸に足を向けていない。政府を鳩山首相に任せきっているように見えるが、各委員会での法案審議の生殺与奪の権を持つ国対を通じ、小沢氏は政府にいつでも影響力を行使できる立場にいる。国対は新人教育にも当たる。10月下旬ごろから新人議員を10班以上に分けて、国対副委員長が講師となって国会や選挙のあり方などを指導し、「小沢イズム」をたたき込む構えだ。>
◇「小沢氏らしさ」
 <小沢氏は幹事長就任後、報道各社の要請にもかかわらず、記者会見に一度も応じていない。小沢氏が記者への応対を避ける傾向にあることは、これまでも指摘されており、ある意味では「小沢氏らしさ」が顔をのぞかせているとも言える。ただ、野党時代とは異なり、衆参合わせて400人以上の巨大与党を率いる幹事長だけに、説明責任の履行が求められそうだ。>
 <小沢氏は今後、参院民主党が研修会(10月6、7日)で参院幹事長などの人事を決めるのを受けて、幹事長代理などの党役員人事を発表する見通し。初会見は、その後になるとの見方がもっぱらだ。>
 以上がトップ記事である。まあ、小沢番記者による太鼓持ち記事なのか、裏に何らかの意図があるのか?
 そして、2番手の記事はネットでは<民主・小沢幹事長の英国訪問に乱れ飛ぶ憶測 真相は……>の見出し。
 <民主党の小沢一郎幹事長は27日、英国視察を終えて帰国した。ただ、小沢氏が訪問先で、具体的にどのような行動をしたのかは公表されていない。当初20日から6日間の日程だったのが「個人的に立ち寄るところがある」として2日間延期されたこともあって、謎に包まれた外遊となっている。>
 <帰国した小沢氏は27日、成田空港で記者団から声をかけられたが、無言で少しほほえんだだけだった。>
 <小沢氏の今回の英国訪問の目的は、党役員室によると「実務調査」。調査項目は①国会審議の方法と議会運営の在り方②選挙運動の規制と自由化③企業団体献金の禁止と個人献金の在り方④公務員制度改革に向けた環境整備――の4点で、面談対象は、労働党や保守党の事務局幹部、司法省など関係省庁の幹部らとしていた。側近の樋高剛衆院議員、党事務局員らが同行した。民主党は、報道各社には「純然たる実務調査であり、要人とは一切会談しないので、同行は募集しないし、現地での対応もいたしません」と、事実上の報道陣シャットアウトを「宣告」していた。>
 <小沢氏は英国訪問が多いことで知られる。平成5年から5年連続で訪英したほか、少なくとも11、12、16年にも訪問している。ただ、民主党では菅直人副総理・国家戦略担当相が6月に同じような目的で訪英しただけに、小沢氏がわざわざ出かけたことに首をかしげる向きも多い。帰国を2日遅らせた立ち寄り先も公表されていない。>
 <そこで政界でささやかれたのが、3年6月に狭心症で入院した小沢氏が「持病の狭心症の検査を兼ねて訪英したのだろう」(自民党閣僚経験者)という説。だが、具体的な証拠はない。このほか「羽を伸ばしに行った」(民主党中堅)との見方まで……。謎が謎を呼び、噂(うわさ)が独り歩きしている。>
 ここでようやく記事の意図が明白になる。狭心症、心筋梗塞の発作の可能性および治療の話である。
 小沢氏が代表だったころには「あの健康状態で総理大臣になれるのか」という自民党からのカウンター情報が永田町を駆け巡った。新聞記事にもなり、みな関心を持ったのだが、ちょうどうまい具合に秘書の逮捕があり、代表を降り、鳩山由紀夫新代表が総理大臣になったのだから、小沢氏にしてみれば万々歳だろう。少しくらい書かれても平気だとは思うのだが、こういう持って回った書き方しかできない日本の新聞はダメだな、と思った。
 反小沢勢力に尻尾を振っているだけじゃないか。
 しっかりせえ、産経新聞!!

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2009年9月27日 (日)

G20閉幕でいろいろな面から解説していた~毎日新聞09年9月27日朝刊

 毎日新聞でG20会合の続きをフォローしよう。まずは09年9月26日夕刊1面トップ<G20金融サミット/経済政策を相互監視/民間主導で内需拡大/閉幕>だ。ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)から斉藤信宏、清水憲司両特派員が書いている。
 <日米欧と中国など新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会議)は25日午後(日本時間26日午前)、持続的な経済成長に向けて各国が協調し、経常黒字国が民間主導の内需拡大に取り組むことなどを盛り込んだ首脳声明を採択し、閉幕した。各国首脳は、金融・経済危機を招いた世界経済の不均衡是正に向け、各国の政策を相互監視する枠組みを新設することでも合意。同サミットを「国際経済を議論する最も重要な会議」と位置づけ、来年以降も定期開催していく方針を改めて表明した。>
 <首脳声明は、世界経済が最悪期を脱したことを確認すると同時に「経済の回復はいまだに不十分で、雇用も多くの国で深刻な状態が続いている」と指摘。回復が軌道に乗るまで景気刺激策を継続することを確認した。危機対応の財政、金融政策を平時に戻す「出口戦略」については「回復が十分確保された時点で実施」との方針を示した。>
 <また、金融規制改革では、景気の順調な回復を前提に金融機関の自己資本規制の強化を2012年末までを目標に実施することを明記。過剰なリスクの伴う投資を助長したと批判されてきた高額報酬を抑制するための規制強化についても合意した。>
 <世界経済の不均衡是正に取り組むのは、米国の過剰消費が住宅バブルを招き、危機の引き金になったため。米国など経常赤字国が貯蓄率向上に努力し、中国や日本など経常黒字国が内需拡大に努めることで合意した。国際通貨基金(IMF)に助言を要請し、各国の取り組みを相互監視する枠組みを構築する。また、IMFへの新興国の出資比率を少なくとも5%引き上げる方針も決めた。出資が増えることで、今後、IMFなど国際金融機関への新興国の発言力が強まる。次回のG20金融サミットは、来年6月に主要8カ国(G8)首脳会議の議長国カナダで開かれ、同11月にも韓国で開催される。2011年からは年1回の開催とし、2011年にはフランスで開くことが決まった。>
 というもので、
 [G20首脳声明の骨子]として、次の項目が載っていた。
<・経済刺激策の実施を継続。例外的な政策を元に戻す「出口戦略」は回復が十分確保された時点で実施されるべきだ
・世界経済の均衡ある成長への移行のため協力。各国の政策を相互監視する枠組みを11月までに開始
・銀行資本の質と量を改善し、国際的に合意されたルールを2010年末までに策定し、2012年末までを目標に実施
・金融機関に対し、報酬体系開示などの即時実施を要請
・国際通貨基金(IMF)の出資比率配分について少なくとも5%を新興国・途上国に配分
・G20は国際経済協力についての第一の会合。今後は毎年G20サミットを開催>
 以上である。
 そして、同じ毎日新聞9月27日朝刊の解説が詳しかった。まずは3面の[クローズアップ2009]。<G20閉幕/内需拡大、足並み乱れ/環境軸に成長目指す>の見出しだ。ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)斉藤信宏、清水憲司とあった。
 読んでみる。
 <3回目の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)は25日(日本時間26日午前)、世界経済が持続的な成長を続けるには、不均衡の是正と、環境技術の革新による「グリーン・リカバリー」が重要とする首脳声明を採択し、閉幕した。鳩山由紀夫首相の進める「子ども手当」などの内需振興策や、環境対策は成果を上げられるのか。>
という前文だ。
 <「多くの国は、不均衡を軽減する必要がある」。G20の首脳声明は名指しこそ避けたが、米国の過剰消費に支えられてきた中国、日本、ドイツなどの輸出国に内需拡大を求めた。オバマ米大統領は25日の会見で「持続的な成長に向けた新たな枠組みを前進させた」と、不均衡是正の意義を語った。対応を迫られた中国の胡錦濤国家主席は「しっかりした景気刺激策と内需拡大を進めることが重要」としながらも「中国は今年上半期、外需の大きな落ち込みにもかかわらず7%成長を実現した」と大規模な財政出動の成果を強調。米国債保有残高が世界一であることを踏まえ22日の米中首脳会談では逆に「米は財政赤字削減を」と要求した。内需拡大よりも「金融規制が最優先」と主張してきたメルケル独首相は声明に銀行の高額報酬制限が盛り込まれたことでようやく「満足して帰国できる」とコメントした。>
 <輸出国と米国の足並みの乱れも見られる中、鳩山首相は閉幕後の会見で「外需依存で景気をリードしていくことができなくなった。内需振興に思い切って経済を転換させる」との考えを示した。民主党は政権公約で▽月額2万6000円の子ども手当(2010年度は半額)▽高速道路の無料化▽ガソリンなどにかかる暫定税率の廃止――などの内需拡大策を掲げている。声明は、民主党の政策にぴったり一致しているというわけだ。>
 <だが、日本は1980年代以降、米国側の圧力で内需拡大を掲げてきたが、外需依存体質は変わっていない。鳩山首相は自民党政権との違いをアピールしているものの「子ども手当の多くは貯蓄に回る」などの指摘も根強く、内需主導型経済に転換できる保証はない。>
 何か後ろ向きの見方だが。
 <「石油に依存しないエネルギーを日本が世界に先駆けてリード役を務める」。鳩山首相はサミット後の記者会見で、環境技術への意気込みを語った。>
 <首脳声明は「クリーンで再生可能なエネルギーの増加」の必要性を訴えた。石油などの化石燃料に過度に依存した経済は、温室効果ガス排出に伴う地球温暖化を進行させる。地球環境が破壊されれば、経済成長もあり得ない。欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は「気候変動に対する取り組みなしに、全面的で持続可能な回復はあり得ない」と強調した。>
 <太陽光発電や風力などのクリーンエネルギーの拡大は環境対策にとどまらず、省エネによって企業のコスト負担を下げるほか、新たな産業の育成にもつながる。オバマ米大統領は、クリーンエネルギーの開発に10年間で1500億㌦(約13兆5000億円)を投資し500万人の雇用を創出する方針を表明。温室効果ガスの削減目標を「1990年比25%削減」へと大幅に引き上げた鳩山政権も「削減するほど経済にマイナスになるという(自民党政権時代の)発想はもうやめよう。経済と環境両方が良くなるようにする」(直嶋正行経済産業相)と米国同様、環境対策を成長戦略の柱に位置付けている。>
 <だが、クリーンエネルギーへの転換には巨額の投資が必要となり、短期的には企業、国民にとって負担増は避けられない。このため中国やインドなどの新興国は「削減は先進国の責任」との姿勢を崩しておらず、温暖化対策の新たな国際的枠組みを決める国連交渉がまとまるめども立っていない。十分な資金や技術支援を先進国側が示し、新興国と一体となって温暖化対策を進められるかが、今後のG20の課題になる。>
 というものだ。
 世界経済の不均衡ということばの解説もあった。
 <世界経済の不均衡 モノを大量に輸入する米国が経常赤字を拡大させるのに対し、中国や日本などが米国向け輸出で経常黒字を積み上げる構図。黒字国が米国債などを購入し、資金を還流したため、経常赤字下でも米国の大量消費、大量輸入が続いた。だが、金融危機以降、米国の消費が急減、黒字国の輸出も落ち込み、世界同時不況につながった。G20は「不均衡経済は持続不能」として、米国に対し貯蓄率を上げて「借金で消費する体質」からの脱却を、黒字国には内需拡大による米国頼みでない成長戦略作りを求めた。>
 である。
 そして、関連記事として竹森俊平・慶大教授のインタビューがついていた。見出しは<「相互監視」決め手にならない>だった。これも読んでみよう。聞き手は小倉祥徳記者である。
 <今回の金融サミットについて、竹森俊平・慶大教授(国際経済学)に聞いた。
 ―― G20の定例化で、日本の発言力は低下しませんか。
 ◆現状のままでは埋没する。だが課題に応じ、ある時は米国と、ある時は中国と連携すれば、外交交渉を有利に進められる可能性がある。日本が中国と組んで米国の財政赤字抑制を求めるとか、日本が得意な環境問題では、米国と組んで中国に実行を迫ることもできるはずだ。
 ―― 不均衡是正に向け協調することで一致しました。
 ◆首脳声明は、不均衡是正のため、政策の相互監視を始めることをうたった。だが、不均衡の最大要因である米・中が外圧で自国の経済体制を大きく変えるのか疑問だ。政策監視は今でも国際通貨基金(IMF)が実施しており、決め手となる取り組みとは思えない。
 ―― 民主党政権が訴える内需主導の回復は可能ですか。
 ◆藤井裕久財務相がガイトナー米財務長官との会談で為替不介入の姿勢を示し、急速な円高を招いた。円高とともに、民主党の公約である雇用規制の強化が進めば、輸出企業の海外逃避が起き、日本の景気回復は遅れるだろう。一方、環境重視の考え方は、環境技術に強い日本にとって重要な成長戦略になる。>
 そして、4面の[エコナビ2009]は<G20/金融規制日程明示/邦銀、資本増強急務に>の見出しだ。井出晋平、小倉祥徳両記者の署名があった。
 読んでみる。
 <主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)の首脳声明は、銀行の自己資本の規制強化を導入する目標時期を「2012年末まで」と明記し、金融危機の再発防止に向けた動きを加速させた。国際通貨基金(IMF)への新興国の出資比率拡大も盛り込み、G20サミットの定例化と併せ、危機を契機に新興国が発言力を強める流れも鮮明になった。>
 という前文で、
 <「ごく少数の無謀な企てで世界の金融システムがリスクにさらされる事態を二度と起こしてはならない」。オバマ米大統領はサミット閉幕後の会見で、野放図な投資で巨額損失を抱え、相次いで資本不足に陥った金融機関を批判し、規制強化の必要性を強調した。首脳声明は、自己資本の増強を促す規制強化について「景気回復が確実になった時点」と条件をつけながらも、導入の目標時期を初めて示した。サミット議長国の米国の強い意向が反映されたものだが、慎重な対応を求めていた邦銀には不利な形勢が一段と強まった。規制の具体的な基準は、各国の金融当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が2010年末までに作成するが、普通株を主体とした「狭義の中核的自己資本」の増強を求める方向で協議が進んでいる。普通株は無配や減配で損失が吸収でき、高配当の優先株などに比べ、「資本の質が高い」とみなされているためだ。だが、日本のメガバンクは自己資本に占める普通株の比率が米欧より低い。邦銀は「米欧は公的資金で普通株がかさ上げされており、単純比較はおかしい」と反発してきたが、導入目標時期の設定で、普通株増資などの対応が迫られそうだ。>
 というのだ。専門的過ぎるかな、この記事は。もう少し分かりやすく書いてほしかった。
 <株価下落の懸念もある普通株増資の代わりに、融資を絞り込んでも自己資本比率を引き上げられる。だが、景気回復に水を差す恐れがあるうえ、亀井静香金融・郵政担当相が「貸し渋り」批判を強めていて、立場は苦しくなっている。また、首脳声明は金融機関の報酬規制も打ち出した。各国当局で組織する「金融安定化理事会(FSB)」が指針を公表し、最高幹部の業績連動報酬の60%以上は支払いを3年以上遅らせることなどを例示した。短期の巨額報酬を追い求め、高リスクの投資にのめり込むのを防ぐため、中期的な業績を見極めて報酬を払う仕組みだ。ただ、報酬自体の上限は盛り込まれず、報酬制限に積極的なドイツやフランスと、ウォール街を抱えて慎重な米国が折り合った格好。日本の金融機関は米欧よりも報酬がはるかに低く、規制の影響は限られそうだ。>
◇IMF、力強まる新興国
 <今回のG20金融サミットでは、IMFへの出資比率について、先進国から新興・途上国に5%以上を移すことが首脳声明に明記された。出資比率はIMFの投票権に連動するため、高成長を続ける中国など新興国の発言力が高まり、相対的に先進国の地位が低下することになる。首脳声明は、「新興国・途上国の力強い成長」を考慮して、経済規模などに比べ出資比率が過大な先進国から、新興・途上国への移転が必要とした。IMFは2008年4月に出資比率を見直しており、1位の米国は17.67%、日本が6.56%、ドイツが6.11%と続く。新興国を代表する中国は4.0%と6位に位置するが、次の見直しで出資比率が増えた後は日本やドイツに肩を並べる可能性が出てきた。>
 まあ、そうだろうね。仕方ないよ。
 <今回の措置は、世界経済で新興国の存在感が強まっていることの反映と言える。昨秋のリーマン・ショック後の経済危機からなかなか立ち直れない先進国とは対照的に、中国などの新興国はいち早く回復。融資枠拡大などのIMFの危機対応策にも、財源強化のための債券引き受けなどで積極的に協力した。このため、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国は、経済力に見合った地位を要求。IMFの出資比率は「正当性をひどく損なっている」と、先進国の7%を新興国に移転するよう主張していた。>
 <欧州などには、発言力低下の懸念から新興国への出資比率移転に抵抗感は根強い。しかし、G20サミットの定例化も決まり、国際社会の中で新興国の発言権が強まる流れはもはやとめようもない。>
 この項目は平地修記者だそうだ。
 <[IMFへの出資比率(%)]一覧表がついていた。(2008年4月時点)
米国      17.67
日本       6.56
ドイツ      6.11
英国       4.51
フランス     4.51
中国       4.00
イタリア     3.31
サウジアラビア  2.93
カナダ      2.67
ロシア      2.50>

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2009年9月26日 (土)

頭が硬直した外務官僚よ、「常任理事国入りできない」とか、もう喚くな!:「今後はG20サミット中心で」の合意~毎日新聞09年9月26日朝刊

 毎日新聞09年9月26日朝刊は<G20サミット定例化/国際協調、主舞台に/各国首脳合意>を1面トップにしていた。ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)に同行した経済部の清水憲司記者が署名記事を書いている。読んでみよう。
 <日米欧と新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)は24日、国際経済問題を議論する場としてG20サミットを定例開催することで合意した。世界不況から脱却し、持続的な成長路線に入るには、先進8カ国(G8)だけでなく、新興国の協力が不可欠と判断した。国際協調の主舞台はこれまでのG8からG20サミットに移る。>
 <オバマ米大統領の提案に、各国が同意した。米ホワイトハウスは24日、「この日、すべてが変化を始める。20カ国・地域首脳は、持続的な回復のための取り組みの中心にG20を据えるという歴史的な合意に達した」との声明を発表。鳩山由紀夫首相も24日夜の会合で「G20サミットを重視する」と語った。>
 <金融サミットは米国発の金融危機を受けた緊急会合として、2008年11月に始まり、今回が3回目。今回の会合では、金融サミットを首脳による「世界経済フォーラム」に改称、G8サミットに代わる協議機関に位置付けることで一致した。G20サミットの定例化で、新興国の発言力が飛躍的に高まる一方、先進国側は新興国に内需拡大や温室効果ガス削減など、一層の責任分担を迫る構えだ。また、カナダ、韓国両政府は25日、G20サミットを2010年6月にカナダで、11月に韓国で開くと発表。カナダではG8サミットも同時開催される予定だが、G20の準備会合としての性格を強めることになる。>
 <G20サミットは25日朝(日本時間同日夜)から2日目の討議に入り、世界経済の不均衡是正に協調して取り組むことや金融機関経営者の報酬規制、国際通貨基金(IMF)での新興国の権限拡大などを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕する。>
 以上が1面の本記である。中国が入らない会議など、炭酸のないコーラのようなものなのか?
 毎日新聞は3面の[クローズアップ2009]<金融サミット定例化/G20時代、幕開け/金融危機後に存在感/日米欧は新興国頼み>でこのニュースを分析していた。斉藤望、米ピッツバーグ斉藤信宏、上野央絵、古本陽荘各記者の署名が入っていた。
 <主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)の定例開催化が決まった。背景には、中国など新興国を除いた「先進国クラブ」といわれる「G8(主要8カ国)」だけでは、世界規模の課題に対応できないという「認めたくない現実」(日本政府筋)がある。国際協議の枠組みに地殻変動が起きたわけで、アジアで唯一のG8参加国として発言力を保っていた日本の立場にも大きな影響を与えることになる。>
 という前文だ。
 <「21世紀の国際経済の枠組みを創造する」――。米政府は声明で、オバマ大統領自ら議長国としてまとめた金融サミットの定例開催化の意義を強調した。第1回のG20サミットは2008年秋、米国発の金融危機を契機に開かれた。母体は、アジア通貨危機など先進国と新興国にまたがる経済危機に対処するため1999年に発足したG20財務相・中央銀行総裁会議。だが、日米欧の先進国経済が大きな打撃を受け、従来の「G8」では、不況克服や金融安定化の処方せんを書けなくなったため、新興国を含むG20首脳が急きょ集まった。>
 <中国、インドをはじめとする新興11カ国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の2割に達し、先進国経済が停滞する中、今後も拡大する見通しだ。新興国の協力抜きで、世界経済の成長の青写真を描くことはできなくなっている。新興国はここ数年、G8サミットの場にゲストとして招かれ、「サミット拡大論」も水面下で議論されていた。>
 <金融危機後の世界不況が、G20時代入りの号砲になった。GDPでは依然として世界の約25%を占める米国も「これ以上、世界経済のけん引役を引き受けることはできない」(サマーズ国家経済会議委員長)と自国の過剰消費の抑制を優先させる姿勢を明確にする。米国のGDPの約7割を占める個人消費が縮小すれば、世界経済への影響は計り知れない。金融危機で傷みの激しい欧州や日本が、米国の代役を務められるはずもなく、新興国は世界経済回復の頼みの綱になっている。>
 <昨秋以来、計3回のG20サミットを開く中、世界経済は底打ちの兆しを見せ始めた。中国の大規模な財政出動など、G20を中心にした各国の協力体制が「大きな成果を上げたことは明らか」(国際交渉筋)との評価だ。1930年代の大恐慌時に、世界各国が通貨切り下げや保護主義など自国優先の政策に走り事態を悪化させた教訓が、G20サミット定例化へと結びついた。>
 何かピントぼけてない?
 <年1回のG8サミットに対し、G20サミットはこの1年間で3回、10年も2回開かれる。国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は「すでに経済を議論する舞台はG20サミットに移っている」と明言する。G20サミットの定例化は議長国・米国の努力の成果というより、世界経済の現実が、日米欧を追い込んだ結果と言える。>
 ワシントン・コンセンサスも今は昔の物語か。
◇日本、埋没の危機 「アジア唯一」→「1/20」
 <G20サミットの定例化で、日米同盟と並ぶ外交の基軸にG8を位置付けていた日本は、国際社会での地位低下の危機に直面する。これまでアジアからの唯一の参加国という立場で発言力を確保していた日本だが、G20では中国、インド、韓国、インドネシアの4カ国が新たに加わり、「20分の1」の存在に埋没する可能性があるためだ。>
 <「参加国が増えると事前調整が増え、議論が官僚主導になる」。24日の首脳夕食会で、鳩山由紀夫首相はG20サミットの定例化を歓迎する一方、慎重な見方も付け加えた。民主党政権が唱える政治主導に沿った主張に見えるが、実は外務省を中心とした官僚の「G20慎重論」を代弁したにすぎない。>
 <安保理常任理事国入りが実現しないまま、G20時代に移行すれば、日本の主張を国際社会に反映させる機会が少なくなるのは必至。外務省などを中心に日本国内では、当初からG20定例化に対し「G20には非民主主義国や、経済が遅れた国も多い。どこまで価値観を共有した議論ができるのか」(外務省幹部)などの否定的な見方が強かった。>
 <2009年にもGDPで日本を抜く可能性のある中国と米国がG20の議論を主導し、日本は蚊帳の外に置かれるとの懸念も消えない。日本同様、G8を重視するイタリアのベルルスコーニ首相はオバマ大統領に「G8とG20は明確に区別されるべきだ」との書簡を送り「G20がG8に代わる新たな枠組みになる」(ブラウン英首相)との考えをけん制した。>
 <一方、G20の定例化が、新興国との関係強化に日本が本腰を入れるきっかけになるとの期待もある。田中直毅・国際公共政策研究センター理事長は「鳩山首相が意欲的な温室効果ガスの削減目標を発表、東アジア共同体構想を提唱しているのは、世界の新しい流れに対応した好ましい動きだ。G20時代の始まりは、日本が国際社会の現実を直視するきっかけになりうる」と話す。>
 以上が3面だ。
 何か外務省もみすぼらしいね、常任理事国になりにくくなる、とか、埋没する、とか。だったら松岡洋介を考える(あまり考えたくないが)とか、発想を変えればいいじゃないか。考えることすらできないロボットなのか、日本の外務官僚は。

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2009年9月25日 (金)

エルバラダイ氏のIAEA論:天野次期事務局長さん、大変そうだね~09年9月25日夕刊+9月14日

 毎日新聞09年9月25日夕刊総合面のハコ記事<IAEA事務局長演説/「核不拡散の体制、欠陥が多い」/権限強化と安保理の支持訴え>は12月に退任するエルバラダイ氏の発言だ。ウィーン支局の中尾卓司特派員がフォローして書いている。国連安保理首脳会合の反応である。
 読んでみよう。
 <国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は24日、核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合で演説し、「核不拡散の枠組みはもろく、欠陥が多い」と述べた。IAEAの権限強化とともに、任務遂行のため安保理からの支持が不可欠と訴えた。>
 <事務局長は「IAEAの検証の任務は、核物質に限られている。検証活動の対象が(核関連の)軍事活動にまで期待されるならば、相当の法的な枠組みが必要だ」と強調した。具体的な国名は挙げなかったが、こう着状態にあるイランの核問題を意識した発言とみられる。>
 <高性能爆薬実験など核兵器開発を目的に軍事研究したとされるイランの疑惑の解明は進まず、IAEAが先月まとめたイラン核問題の報告書でも「イランと1年以上も実質的に議論できていない」と指摘した。>
 <さらに事務局長は安保理に一層の協力を求め、保障措置(査察)の義務に従わない場合や核拡散防止条約(NPT)を脱退した国について、「安保理は、包括的な法令順守の仕組みをつくる必要がある」と述べた。>
 大変だね、日本人がIAEA事務局長になるといっても、このIAEAの非力さは変わらないんだから、よっぽど鳩山政権がサポートしないと、何もできなくなってしまう。
 大変だと思う。

 同じ毎日新聞の09年9月14日に<IAEA/天野氏の次期事務局長就任を承認/年次総会開幕>という記事があった。これもウィーン支局の中尾卓司特派員の署名記事だ。
 <国際原子力機関(IAEA)の年次総会が14日、ウィーンで始まり、次期事務局長として日本の天野之弥・前ウィーン国際機関代表部大使(62)を正式に承認した。12月にエルバラダイ事務局長の後任として就任する。天野氏は総会で受諾演説し、「核不拡散だけでなく、エネルギー危機や地球温暖化などの問題にも取り組むIAEAを目指す」と決意を述べた。>
 <天野氏は「核兵器の拡散と核テロの脅威は拡大している。核不拡散体制とIAEAの保障措置を強化し、こうした流れを断ち切るように努める」と強調した。同時に「原子力発電は、温室効果ガスを削減するエネルギー源の必要量を満たすための選択肢になる」として、原子力の平和利用にも力を注ぐ考えを表明した。組織内の風通しをよくすることも課題に挙げた。>
 <一方、エルバラダイ事務局長は「イラクと北朝鮮の教訓から学ぶべきだ」と訴えた。IAEAと国連の査察結果が無視されたイラクでは戦争で数十万人の民間人が犠牲になり、北朝鮮の核兵器入手は核不拡散体制の脆弱(ぜいじゃく)さを示したと指摘。「問題のある国を孤立させるのではなく、対話の手段を保つことが重要だ」と語った。>
 これはまだ安保理首脳会合前の話だけどね。
 一応、参考でコピペしておく。

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核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合と議第1887号~外務省HPと各紙09年9月25日朝刊から

 オバマ米大統領が主宰した国連安保理首脳会合が09年9月24日午後(日本時間24日夜)、ニューヨークの国連本部で開かれた。外務省HPには[核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合(概要と評価)]という文書が平成21年9月25日付で掲載された。
 まずはこの内容を見ておこう。
 <1.概要
 安保理首脳会合(以下統一)が開催されるのは6回目。核軍縮・不拡散をテーマとするのは初めて。今回の安保理サミットは、オバマ米大統領のイニシアティブで開催され、同大統領が議長を務めた(9月の議長国は米国)。
 常任理事国5か国及び非常任理事国10か国中9か国(リビアのカダフィ指導者は欠席し、国連常駐代表が代理出席)の首脳に加え、潘基文国連事務総長とエルバラダイIAEA事務局長が出席。
 鳩山総理が英語でスピーチ(和文・英文)を行った。
 会合の冒頭、核軍縮・不拡散に関する安保理決議を全会一致で採択(決議第1887号)。
 2.各国代表による発言のポイント
 オバマ大統領のイニシアティブによる、時宜を得た安保理サミット開催を歓迎する発言が相次いだ。核軍縮・不拡散に国際社会として取り組んでいく機運を高める上で有意義な会合となった。
 採択された安保理決議(以下4.参照)の内容を評価し、「核兵器のない世界」に対するコミットメントを確認するとともに、核保有国による軍縮の進展等具体的な行動につなげていく必要を強調する発言が多く見られた。また、核軍縮・不拡散とともに、原子力平和利用の権利を尊重すべしとの発言も多数あった。
 米露首脳からは、STARTⅠ後継条約への言及があり、メドヴェージェフ露大統領からは、本年12月までに署名したいとの意向が表明された。
 胡錦濤中国国家主席は、米露の核軍縮を要請したほか、無条件の先制不使用と消極的安全保証政策を強調した。
 ブラウン英首相は、核搭載潜水艦数を4から3に減らすことを表明。また、最小限の核抑止力を保持すると述べた。
 北朝鮮及びイランの核問題に対する懸念が多数表明されるとともに、これら両国による関連安保理決議の遵守・履行を呼びかける発言が相次いだ。
 3.鳩山総理の発言
 非核三原則を堅持。日本は核廃絶に向けて先頭に立つ。
 核保有国による核軍縮を求める。
 CTBTの早期発効、カットオフ条約の早期交渉開始を強く訴える。
 日本自身が核軍縮・不拡散を主導する積極外交を展開する。
 新たな核拡散の動きに積極的に対応する。
 原子力平和利用に当たり、保障措置・核セキュリティ・原子力安全(3S)について最高水準の遵守が必要。
 4.安保理決議第1887号の概要
 採択された安保理決議第1887号は、以下のとおり、核軍縮、核不拡散、原子力平和利用、核セキュリティといった主要分野を広くカバーした、バランスの取れた内容となっている。
 「核兵器のない世界」に向けた条件を構築することを決意。
 NPTの重要性を再確認。NPT非締約国に対して、非核兵器国としての加入を要請。
 市民社会がNPTの目的を推進する上で行っている貢献に留意。2010年NPT運用検討会議でNPT体制を成功裏に強化できるよう協力することを呼びかけ。
 すべての国が核実験を行わず、CTBTを署名・批准し、早期発効することを要請。
 カットオフ条約の早期交渉を要請。
 北朝鮮及びイランに関する安保理決議を再確認(具体的な国・地域名には言及せず)。
 IAEAの重要性を強調。追加議定書への署名・批准・実施を要請。
 保障措置・核セキュリティ・原子力安全の各項目について最高レベルの規準を遵守しつつ原子力平和利用を推進することを奨励。
 核テロへの懸念を表明。機微物質や技術の移転管理、金融・輸送面などですべての国が具体的措置を講じていくことを呼びかけ。>
 以上である。
 この決議については各紙09年9月25日朝刊1面トップで大きく扱っていた。毎日新聞は<「核なき世界」決議/軍縮への努力誓う/安保理首脳会合/全会一致採択>。朝日新聞は<「核なき世界」へ初決議/国連安保理、全会一致>。読売新聞も<「核なき世界」安保理決議/全会一致/不拡散・軍縮を推進/首相演説「非核三原則を堅持」>。日経新聞は<「核なき世界」安保理決議/首脳会合が全会一致/対北朝鮮・イラン 米大統領、対抗措置も>。産経新聞もトップで<安保理、議長にオバマ大統領/首脳会合で全会一致/「核なき世界」採択>だった。これだけそろうのも珍しい。それだけ大きな事象だったのだ。それにある程度の実現可能性が出てきたからだろう。
 読売新聞の記事をコピペしておこう。ニューヨークで吉形祐司記者の署名が入っていた。
 <国連安全保障理事会は24日午前(日本時間同日夜)、核不拡散と核軍縮に関する首脳級会合を開き、「核兵器なき世界」の条件作りを目指す決議1887を全会一致で採択した。核不拡散体制の徹底とともに、核軍縮と原子力平和利用を推進、将来的には核兵器の廃絶を実現しようとの目的を、核を保有する常任理事国が中心となって進めようとする歴史的な決議となった。鳩山首相も、唯一の被爆国である日本が積極的に取り組む決意を表明した。>
 <安保理首脳級会合は9月の議長国である米国が提案。核廃絶を提唱しているオバマ米大統領が、日ごろ安保理の議長となる国連大使に代わって、史上初めて米大統領自ら議長を務めた。オバマ大統領は会合の冒頭「国連は(核戦争の)危機回避において枢要な役割を担っている」と強調。さらに、「イランや北朝鮮の(核開発中止を求めた)安保理決議」に言及し、「今後12か月が今日の決議と核拡散防止の成否を決める極めて重要な時期となる」と述べ、全加盟国に迅速な対応を求めた。>
 <決議は、核拡散防止条約(NPT)未加盟国に非核保有国としての加盟を、すべての国に爆発を伴う核実験の自制を求めた。核実験全面禁止条約(CTBT)の加盟、批准もすべての国に求めており、同条約を批准していない安保理常任理事国の米国、中国は、自ら責務を負うことになった。>
 <NPT体制強化により核不拡散を徹底、核関連物資や技術が核開発に野心を持つ国家やテロリストの手に渡るのを阻止することが、決議の当面の狙い。核兵器保有国である常任理事国の米英仏露中5か国も自ら、NPTに基づく核軍縮交渉を推進するとうたった。>
 <常任理事国の発言としては、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相がともにイラン、北朝鮮を名指しで非難。メドベージェフ・ロシア大統領は「困難で複雑な仕事だが、取り組まねばならない」と発言した。中国の胡錦濤・国家主席は「核兵器の脅威を減ずるため、核の先制使用に基づく核抑止政策を捨てよう」と述べた。>
 <オバマ大統領は閉会に当たり、「全会一致での採択に非常に励まされた。我々が願ってやまない平和と安全を子孫に贈ることができると確信する」と語った。>
 オバマ大統領の冒頭発言を読売新聞で見ておこう。<核なくすのは我々の責務…オバマ大統領発言要旨>の見出しで、
 <オバマ米大統領が24日、核不拡散と核軍縮に関する首脳級会合で行った冒頭発言の要旨は以下の通り。>
 という書き出し。
 <「核兵器のない世界」を目指す国連安保理決議はきょう全会一致で採択され、安保理決議1887となった。私はすべての国と国民の安全に脅威となる核拡散や核の使用を防ぐ方策を最も高度なレベルで話し合うため、この安保理開催を要求した。核爆弾がニューヨークやモスクワ、東京、北京、ロンドン、パリで一つ爆発すれば数十万の死者が出る。この危機を防ぐため、国連は再び重要な役割を担う。我々がきょう採択した歴史的決議は、「核なき世界」という目標を高く掲げ、明文化したものである。
 核保有国は削減に向けた義務を負い、核を持たない国は保有をあきらめる義務を有する。
 決議は、核関連物資の拡散や密輸、盗難に対処する機関の強化に役立つ。決議は核拡散防止条約(NPT)の強化にも資するものだ。
 安保理は、国際社会の安定と平和を脅かす条約違反があった場合に対処する権限と責任を有することを明白にした。イランや北朝鮮が安保理制裁決議を履行しない場合も該当する。
 はっきりさせたいのは、一つの国を名指しするのが目的ではないということだ。国際条約は空約束ではない。条約は執行されるのだ。
 今後12か月は、きょうの決議と、核拡散と核兵器使用を防ぐための努力の成否に決定的な意味を持つ。各国がそれぞれの役割を果たさなければならない。
 米国は、ロシアとの間で戦略核弾頭と運搬手段を大幅削減する新たな合意を追求すると約束する。核実験全面禁止条約(CTBT)批准を進め、さらなる核兵器削減の余地も作り出す。来年1月には、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)に向けた交渉を開始する呼びかけを始める。5月のNPT再検討会議は、この合意を強化することになる。
 核兵器のない世界を実現するため、我々は幻想は抱かない。だが、どれほどの対立も、我々がこれまで築いた物や愛する者を破壊するだけの価値はないと世界が気付く日もきっと来る。そうした認識こそ、異なる民族や国籍、思想を持つ人々を一つにまとめられるのだ。
 かつて米国で、今日我々が追求する目標を明確に表現したのは、共和党のレーガン大統領だった。彼は言った。「核戦争を勝ち抜くことはできない。決して戦ってはならない。どんなに困難でも兵器削減の努力をやめてはならない。地球上から核兵器が消える日まで、我々は止まってはならない」
 これは我々の責務であり、運命となりうる。この会議を通じて、共通の目標を達成するための決意を新たにしたい。>
 以上である。
 朝日新聞に載った決議要旨は次の通りだった。<「核なき世界へ」安保理決議の要旨>
 <核不拡散・核軍縮に関する国連安保理首脳会合の決議の要旨は次の通り。
〈前文〉安全保障理事会は、核不拡散条約(NPT)の目標に沿って、核兵器のない世界に向けた条件を構築することを決議する。
 すべての加盟国に軍縮に関する義務の履行や大量破壊兵器の拡散防止を求めた、92年1月31日の国連安保理首脳会議での声明を再確認する。
 大量破壊兵器の拡散や運搬は国際的な平和や安全保障を脅かすことを再確認する。
 NPTは核不拡散体制の礎で、核軍縮の追求や核の平和利用に不可欠な基礎だと強調する。
 核兵器国による核軍縮の努力を歓迎する。
 米ロの第1次戦略兵器削減条約(START1)後継に向けた交渉決定を歓迎する。
 非核兵器地帯条約の締結に向けた取り組みを支持する。
 09年の1874決議(対北朝鮮制裁決議)や08年の決議1803(対イラン追加制裁決議)を再確認する。
 核テロの脅威に深刻な懸念を表明し、テロリストを利する核物質・技術支援を防ぐ効果的な措置をすべての国が取る必要性を認識する。
 来年の核安全保障サミットの開催を支持する。
 〈本文〉核不拡散の義務を順守しない状況は安保理で問われることとなり、国際的な平和や安全保障への脅威となるか見極めることを強調する。
 NPT締約国に、NPTに基づき義務を全うすることを求め、NPT非加盟国には、非核兵器国としてNPTに加盟するよう求める。
 来年のNPT再検討会議がNPTを強化するものとなり、核不拡散・核の平和利用・核軍縮というNPTの三つの柱に現実的かつ達成可能な目標を設定できるよう、NPT加盟国に協力を求める。
 すべての国に対し、核爆発実験をせず、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名、批准するよう求める。>
 関連記事も一本コピペしておく。朝日新聞だ。<核なき世界へ10年ぶり米参加/CTBT発効促進会議>でニューヨーク支局の望月洋嗣、鵜飼啓特派員の署名記事だ。
 <包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進会議が24日、2日間の日程でニューヨークで始まった。同条約を批准していない米国からも、クリントン国務長官が10年ぶりに代表として参加。オバマ大統領が同日の国連安全保障理事会首脳会合で提唱した「核なき世界」を目指す立場から、条約の早期発効に決意を表明した。
 クリントン長官は会議で「CTBTは我が国の核不拡散と核軍縮の不可欠な部分」と核廃絶を進めるオバマ政権の方針を説明。「今後数カ月、米上院に批准への同意を求めるとともに、条約発効に向けて(未批准の)他の国々にも働きかける」と語った。
 ただ、老朽化した核兵器の信頼性を確保するため、将来的には核実験が必要になるとの声が米政界では党派を問わず根強い。CTBTの批准に必要な上院(定数100)の3分の2以上の同意を得られる見通しは立っていない。
 会議には岡田克也外相も出席。米国や中国などが批准していないことを踏まえ、「指導者が英断により早期に署名、批准することを呼びかける」と語った。
 会議は北朝鮮の2回の核実験に触れ、発効促進を加速させるために「CTBTを最も高い政治レベルで取り扱う」とする宣言を採択した。
 あらゆる空間での核実験を禁じる同条約の発効には、米国や中国など核保有国を含む特定の44カ国の批准が必要だが、現在の批准は35カ国にとどまっている。米国はクリントン政権期の1996年に署名したが、共和党が多数を占めた上院で否決され批准できなかった。共和党のブッシュ前政権はCTBT不支持で発効促進会議にも参加しなかった。>

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鳩山由紀夫首相の国連総会における一般討論演説全文~09年9月24日:外務省HPから

 鳩山由紀夫首相が09年9月24日昼(日本時間25日未明)、国連総会で行った一般討論演説の全文が外務省のHPにアップされていた。首相は英語で演説し、外務省HPには英語と日本語の両方があったが、日本語をコピペしておく。[第64回国連総会における鳩山総理大臣一般討論演説/2009年9月24日/ニューヨーク]というタイトルだった。

 以下は全文だ。

<議長、ご列席の皆様、
 トレイキ議長の第64回国連総会議長への就任をお祝い申し上げます。また、デスコト前議長の卓越した指導力に敬意を表します。
 私は、国連が直面する様々な課題への対応において潘基文・事務総長が示している献身と指導力を、高く評価します。
議長、
 日本で、制限的なものとは言え選挙制度が始まったのは、今から120年前の1889年のことです。その後、20世紀のはじめには「大正デモクラシー」と呼ばれる時代もあり、選挙によって政府が変わることは、実は日本でも当たり前のことでした
 このように、日本は民主主義と選挙の確かな伝統を持つ国です。しかし、第二次世界大戦後の日本では、投票を通じた政権交代が行われることはありませんでした政と官の間の緊張関係が消えて、結果として日本外交から活力を奪ってしまった面があることは否めません。
 しかし去る8月30日、日本国民は総選挙において遂に政権交代を選択しました。それは日本の民主主義の勝利であり、国民の勝利でした。そして先週9月16日、私が日本国首相に就任し、今ここに立っています。
 私の率いる新政権は、民主主義のダイナミズムを体現し、オール・ジャパンの陣容で、直面する内政・外交の課題に全力で取り組む所存です。
議長、
 日本が国際連合への加盟を承認されたのは、1956年12月18日です。その時の首相が、我が祖父、鳩山一郎でした。
 日本の国連デビューとなった第11回総会で、当時の重光葵外相は次のように述べています
 「日本の今日の政治、経済、文化の実質は、過去一世紀の欧米及びアジア両文明の融合の産物であって、日本はある意味において東西の架け橋となりうるのであります。このような地位にある日本は、その大きな責任を十分自覚しておるのであります」と。
 当時の首相である祖父・一郎は「友愛」思想の唱導者でした。友愛とは、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方です。
 重光葵の演説にある「架け橋」という考え方が、一郎の友愛思想と共鳴していることは実に興味深いことです。
 それから53年後の今日、同じ国連総会の場で私は日本が再び「架け橋」としての役割を果たさんことを、高らかに宣言したいと思います。
議長、
 今日、世界はいくつもの困難な挑戦に直面しています。決して、やさしい時代ではありません。しかし、「新しい日本」はそのような挑戦に背を向けることはしません。友愛精神に基づき、東洋と西洋の間、先進国と途上国の間、多様な文明の間等で世界の「架け橋」となるべく、全力を尽くしていきます
 本日、私は日本が架け橋となって挑むべき5つの挑戦について述べます。
 第一は、世界的な経済危機への対処です。
 世界経済は、最悪期を脱したかに見えるものの、雇用問題をはじめ、予断を許さない状態が続いています。
 そこでまず、日本がやるべきことは、自身の経済再生です。新しい日本にはそのためのプランがあります。
 年間5.5兆円の子ども手当は、教育への投資であると同時に、消費刺激策であり、少子化対策となります。
 自動車の暫定税率の廃止は、年2.5兆円の減税策であるとともに、流通インフラの活性化によって日本産業のコスト競争力を改善することが期待されます。
 後で述べるように、我々は極めて高い気候変動対策の目標を掲げていますが、そのことによって電気自動車、太陽光発電、クリーンエネルギー事業など、新しい市場が生まれるでしょう。また、海洋・宇宙・次世代ITなどの分野でも、新産業・新技術の創造を通じて安定的な成長力を確保します。
 政権交代を通じた経済政策の見直しにより、日本経済は復活の狼煙を上げるに違いありません。
 次に、新しい日本はグローバリゼーションに適切に対処する必要があります。グローバリゼーションという世界的な相互依存の深化には、光の側面と影の側面があります。光の部分を伸ばし、影の部分を制御することが今日の世界の課題となっています。
 貿易・投資の自由化を進める一方、市場メカニズム任せでは調整困難な「貧困と格差」の問題や、過剰なマネーゲームを制御する仕組みづくりのため、国際協調が求められています。G20を含む国際会議の場で、日本は共通のルール作りに向けて、「架け橋」の役割を果たしていきます
 二番目の挑戦は、気候変動問題への取組みです。
 異常気象の頻発や海水面の上昇などに見られるように、地球温暖化は我々の目の前に現実に存在する危機です。しかも、一国で取り組んでも限られた効果しかあがりません。ところが、先進国と途上国、先進国の間、途上国の間と、各国の間で短期的な利害が一致せず、ポスト京都議定書の枠組み構築の道のりは決して平坦ではありません。
 新しい日本政府は、温室効果ガスの削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指すという非常に高い目標を掲げました。交渉状況に応じ、途上国に対して、従来以上の資金的、技術的な支援を行う用意があることも明らかにしました。もちろん、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築及び意欲的な目標の合意がわが国の国際約束の「前提」となりますが、日本がこのような野心的な誓約を提示したのは、日本が利害関係の異なる国々の「架け橋」となり、将来世代のためにこの地球を守りたい、と願ったからにほかなりません。
 私はご臨席の皆様に強く訴えます。来るべきCOP15を必ず成功させようではありませんか。
 第三は、核軍縮・不拡散にむけた挑戦です。
 米ロ間で核兵器削減交渉が進展しつつあることを私は歓迎します。英仏の独自のイニシアティブも同様に評価しており、すべての核保有国が具体的な核軍縮措置をとることが急務です。そして、新たに核兵器の開発を企図する国が存在するほか、核物質や核技術がテロリストの手に渡り、実際に使われる危険性は、今後ますます高まりかねません。
 この分野でも、日本は核保有国と非核保有国の「架け橋」となって核軍縮の促進役になれる可能性があります。すなわち、核保有国に核軍縮を促し、非核保有国に核兵器保有の誘惑を絶つよう、最も説得力を持って主張できるのは、唯一の被爆国としてノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキを訴え続けてきた日本、そして、核保有の潜在的能力を持ちながら非核三原則を掲げ続けている日本です
 今年4月、オバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」の構想を示したことは、世界中の人々を勇気づけました。私もその一人です。来年5月のNPT運用検討会議を成功させるためにも、CTBTの早期発効やカットオフ条約交渉の早期開始に向け、我々は今こそ行動すべきです
 ここで北朝鮮について触れておかなければなりません。北朝鮮による核実験とミサイル発射は、地域のみならず国際社会全体の平和と安全に対する脅威であり、断固として認められません。北朝鮮が累次の安保理決議を完全に実施すること、そして国際社会が諸決議を履行することが重要です。日本は、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現するために努力を続けます。日朝関係については、日朝平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を誠意をもって清算して国交正常化を図っていきます。特に、拉致問題については、昨年に合意したとおり速やかに全面的な調査を開始する等の、北朝鮮による前向きな行動が日朝関係進展の糸口となるでありましょうし、そのような北朝鮮による前向きかつ誠意ある行動があれば、日本としても前向きに対応する用意があります
 第四の挑戦は、平和構築・開発・貧困の問題です。
 21世紀の今日においても、貧困、感染症、保健、教育、水と衛生、食料、麻薬などの問題から世界は解放されていません。特に、途上国において事態は深刻です。破綻国家がテロの温床になるという、残念な現実も指摘せざるをえません。昨年来の世界経済危機は、状況の悪化に拍車をかけています。新しい日本はここでも「架け橋」になるべきです。
 日本は国際機関やNGOとも連携し、途上国支援を質と量の双方で強化していきます。アフリカ開発会議(TICAD)のプロセスを継続・強化するとともに、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成と人間の安全保障の推進に向け、努力を倍加したいと考えます。
 アフガニスタンの安定と復興のために、日本は、警察支援を含む治安能力の強化や社会インフラの整備、日本の援助実施機関であるJICAによる農業支援や職業訓練を含む人材育成など幅広い分野での支援を実施してきました。その上に立って、アフガニスタンがその安定と復興のために注ぐ努力を、国際社会とともに積極的に支援します。言うまでもなく、アフガニスタンで平和を達成し、国の再建を進める主役はアフガニスタンの人々です。その際、反政府勢力との和解や再統合は、今後重要な課題となります。日本は、この分野で、和解に応じた人々に生活手段を提供するための職業訓練などの社会復帰支援の検討も含め、有益な貢献を果たします。また、周辺地域の安定も重要であり、パキスタンなどに対する支援も着実に行います
 今日の世界において、「国家の安全保障」と「人間の安全保障」はますます分離不可能になってきました。様々な国家も、民族も、人種も、宗教も、互いの違いを認めて共生する、つまり「友愛」の理念によって「支えあう安全保障(shared security)」を実現することこそが、人類を救う道なのです。
 第五は、東アジア共同体の構築という挑戦です。
 今日、アジア太平洋地域に深く関わらずして日本が発展する道はありません。「開かれた地域主義」の原則に立ちながら、この地域の安全保障上のリスクを減らし、経済的なダイナミズムを共有しあうことは、わが国にとってはもちろんのこと、地域にとっても国際社会にとっても大きな利益になるでしょう。
 これまで日本は、過去の誤った行動に起因する歴史的事情もあり、この地域で積極的な役割を果たすことに躊躇がありました。新しい日本は、歴史を乗り越えてアジアの国々の「架け橋」となることを望んでいます
 FTA、金融、通貨、エネルギー、環境、災害救援など――できる分野から、協力し合えるパートナー同士が一歩一歩、協力を積み重ねることの延長線上に、東アジア共同体が姿を現すことを期待しています。もちろん、ローマは一日にしてならず、です。ゆっくりでも着実に進めていこうではありませんか。
議長、
 最後に私は、国際連合こそがまさに「架け橋」の外交の表現の場であることを、列席の皆さま方に思い起こしていただきたいと思います。
 国際の平和と安全、開発、環境などの諸問題の解決にあたり、国連の果たす役割には極めて大きいものがあります。私は、国連をもっと活かしたいし、国連全体の実効性と効率性を高めたいとも思います。
 日本は国連、中でも安全保障理事会において、様々な国の間の「架け橋」として、より大きな役割を果たすことができる、と私は確信しています。安全保障理事会の常任・非常任理事国の議席の拡大と日本の常任理事国入りを目指し、そのための安保理改革に関する政府間交渉に積極的に取り組んでまいります
 以上、「新しい日本」からのメッセージをお伝えしました。
 ご清聴に感謝します。>

 随分な内容をしゃべっているね。

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鳩山由紀夫首相記者会見:2009年9月25日ニューヨーク~首相官邸HPから

 鳩山由紀夫首相の国連総会及びG20ピッツバーグ・サミット出席内外記者会見の内容が
首相官邸のHPにアップされていた。2009年9月25日である。コピペしよう。
■冒頭発言
 <ご案内のとおり、日本の、日本は民主主義の世の中ではあるが、戦後初めて選挙により政権が交代した。そのダイナミズムの中で外交を開始した。こちらに来たのも政権が発足してまだ6日目であった。その意味では慣れない中での外交のデビューだったが、国連、G20と、それぞれ仕事ができたなと感じている。まず、何としても築きたかったのはオバマ大統領との信頼関係であった。まだ見ぬ方との信頼関係をどう築くか、最初はそれなりの思いがあったが、今は先方からは由起夫、私の方からはバラクと呼んでいる。そんな関係にこの数回の会議を通じてなることができたと思っている。別れ際に、「今朝、パメラのパンケーキを食べた。」と言ったら、大変嬉しそうで、「一緒にいたかったな。」と、そんなやりとりもあった。皆様の中では、安全保障の踏み込んだ議論はなかったと、そのような話もあった。最初にお会いした時には踏み込んだ話はあえて遠慮すべきと思っているし、安全保障の話は包括的にレビューを行いながら、お互いの信頼関係を構築する中で、お互いにとって利益のある解決策を導いていくことができる、そのように感じているからである。その意味で、オバマ大統領との間で信頼関係を構築することがかなりできたのではないか、まず、皆様方にそのことを報告したい。さらには、胡錦涛国家主席をはじめとして、多くの方々とバイでの会談もできた。英、豪、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、ロシアのメドベージェフ大統領とも会談することができた。最初の外交デビューで、一気にこれだけの方々と、やはり、G20、国連という場を通じてだからできたわけだが、このような会談ができたことは、私にとって、あるいは日本の外交、日本の政治が変わるぞという思いを彼らに幾分かでも与えていくことができたのではないかと感じている。>
 ほとんど、というじゃ全文をテープ起こししているんだね。
 <日本の政治の変化だが、気候変動の枠組みに関する議論を国連の中で行った。そのことも、多くの世界の皆様に日本の変化を実感してもらうきっかけになったのではないかと感じている。確かに、1990年レベルに比べて温暖化ガスを25%削減するというのは並大抵の話ではないと思っているし、今まで、日本の政府がそのような大胆な発言ができなかった、それだけに大胆な発言を新しい政権がしたぞと、注目を浴びたのは間違いない。多くの方から、「君の演説はよかった」、「頑張れ」と言って頂いたのは何よりであった。>
 何かなあ。
 <また、唯一の被爆国として、核廃絶に向けて、4月のオバマ大統領のプラハでの演説を引き合いに出しながら、日本としては、当然のことながら、核軍縮、核不拡散、そして終局的には核廃絶に向けて、もっともっと強いリーダーシップを発揮してこなければならなかったと思っているし、これから、オバマ大統領とともに、その先頭を切っていくぞという思いを日米首脳会談の中でも申し上げたし、核不拡散・核軍縮の安保理会合での発言でも述べたところである。この演説に関しても、それなりにお認め頂いたのではないかと思う。>
 これは良かった。
 <最後に、国連で一般討論演説をしたが、私は、日本が1956年に国連に入った時の総理が偶々私の祖父一郎であった、その時の外相の話を引きながら、日本が新たな架け橋になるぞと、東と西とか南と北とか様々ある。途上国と先進国との架け橋になるべきだと思うし、先ほど述べた核の問題でも、核を持っている国と持っていない国の架け橋にもなれるに違いないと、様々な架け橋の役割をもっと積極的に演じられる日本になりたい、日本にしなければならない、とその思いを世界の皆様の前で、国連で述べたことを大変感慨深く思う。昨日からは、ここピッツバーグに来て、G20で何度か発言し、経済に対してG20の果たす役割というものを痛感したところである。駆け足であったが、国連とG20、それぞれ極めて充実した様々な活動を行うことができたなと今はそのように感じている。この私どもの活動に対して様々なところで力を貸してくれた多くの皆様に感謝申し上げたい。長くなったが、私からの冒頭発言は以上である。>
■質疑応答
 <(問)今、総理からも言及されたが、温室効果ガス25%削減の中期目標について、並大抵のことじゃないと仰ったが、実際、このように国際公約をした以上、達成を目指すということだろうが、負担を強いられる国民、そして日本の産業界等にどのように説得、説明をしていくお考えなのか。そして、具体的にどのような達成の見通しをお持ちなのか。自信はお有りなのか。非常に厳しい目標だということを認識されていると思うが、それについての御見解をお伺いしたい。>
 <(鳩山総理)これは、気候変動の議論をG20においても、或いは潘基文・国連事務総長の夕食会においても、様々行ったわけであるが、国民の皆様、世界の皆様に理解をしていただきたいのは、この約束が守られなければ、結果として生命が脅かされる、人間の存在が脅かされる、という事態になるわけである。その時にもっと多くのコストがかかる。人間が生き延びていかなければならないためにもっともっと大きなコストがかかるということを考えたときに、そうならないために我々は今から準備をするということである。したがって負担というものは、我々、産業がここまで発達をしてきた中でかかったことは間違いないが、しかし、一番大事なことはこのままにしていたらもっともっと我々の子どもや孫、さらにその先の世代に多くの負担というものが強いられることになる。それを避けるために我々の世代で何を目指すべきか、何を掲げるべきか、我々とすれば大胆な公約を国民の皆様とともに世界の皆様方に申し上げたのである。したがって、国民の皆様に十分に辛抱強くご理解を頂くまで、ご理解を頂くように努力をする、ということが政府にとってまず最もやらなければならない話であると、そのように思っている。当然、一部の産業界の方々からはとてもとても無理だと、日本はもう既に十分に頑張っているのだから更にということは無理だという話は当然ある。しかし、私は、日本が今日まで高い目標を掲げることによって、世界の誰も到達できなかった目標というものをいち早く、科学の力、或いは技術力によって到達をしてきたという、その彼らの立派な科学技術力というものを展開させれば決して不可能ではない、十分にできることだとそのように思っている。その意味では、自信は私にはある。日本人を信じている、日本人の科学技術力を信じているので、十分に自信はあるし、見通しという意味では十分にそのことは見通すことができる。いうまでもなく、太陽パネル、或いは燃料電池、様々なグリーンテクノロジーと言われているが、水素エネルギーというのも将来出てくると思う。こういった代替エネルギー、石油に依存しないエネルギーというものを、日本が世界に先駆けてリード役を務める、そして、発展途上国などにもその技術力というものを上手く進めていくということが極めて肝要ではないか。その中で、いわゆる固定価格の話とか或いは排出権の取引の問題とか、そういった議論も当然必要になってくると思う。総動員をしながら、この問題は十分に、ある意味で日本らしい、日本が先頭を切って走ることが最も望ましい、それが気候変動問題だとそのように理解を頂きたい。私はそう思っている。>
 <(問)G20が求めている枠組みというのはグローバル・インバランスを削減するという訳であるが、日本の政権はこの枠組みにあうような形での内需刺激策をどのようにおとりになるか。そしてもっと策を講じるように圧力をかける、そして日本の消費支出を増大するようにとの圧力がG20のパートナーから出てくると思うか。また、強い円は、日本の消費支出を増大するにあたり、助けとなるか。>
 <(鳩山総理)今、お話があった、今回の会議でも様々議論があったが、特にG20の中での議論だが、米国の強い需要、或いは消費というのがあった時期、日本は外需に依存しながら大変発展を遂げることができた。今でも日本の産業界は外需に対する依存度がまだかなり高い、というのが現実の姿である。しかし、世界が米国を中心として、金融危機の中で消費が減退をする、貯蓄を米国人もこれからは高めていかなければならない。そういう時代になったときに、必ずしも日本の外需に依存する仕組みというものが日本の景気というものをリードするということができなくなった。したがって、私たちは新しい政権として、今まで以上に消費というものを刺激する政策を大胆に行わなければならない。そのような発想になってきたのである。いわゆる内需というものを振興させるということに、思い切って経済を転換させていくということである。>
 <その一環として二つ、三つ申し上げるならば、その一つが5.5兆円という莫大なお金が毎年必要になるわけであるが、いわゆる子ども手当というものを拡充する。中学卒業するまで一人あたり2万6000円、年間にすると31万2000円。家庭に対して支出する、手当をするという施策である。これによって、お子さんを持ちたいけれども、なかなか経済的に難しいという、そういう御家庭に対して大変大きな支援になると私共は確信している。ただそれは、日本にとって少子化問題というものが最も大きな、厳しい問題だと考えていく中で、この少子化対策として大変大きな手立てになると感じているところである。消費を刺激するために最も有効な手立てだと感じているところである。>
 <もう一つは、いわゆる三十数年間続いていた暫定税率、或いは軽油等の引取税、ガソリン税の暫定税率というものを撤廃するということである。これは一部で、このようなことをやれば、むしろ気候変動問題に対してマイナスの要因になるのではないか、そのような懸念も議論されている訳であるが、私は必ずしもそうは思わない。車を使うような方々は安くなったから、半分になったら2倍車を使うわけでは必ずしもない。いわゆる経済に与える弾性値は必ずしもそういった意味では大きくない、あまり変動はないということが理解をされているところである。それは余談的な話であるが、このことを通じて景気を刺激する、消費を拡大するということに十分につながるのではないか、私共はそのように思っている。>
 <同じようなコンテクストの中で高速道路の無料化ということも行っていきたい。大事なことは、内需を刺激する施策というものを、我々とすれば、外需に頼りすぎていた今までの経済というものを大きく転換させるための施策として極めて必要だと感じているところである。このことは海外からも理解をされ得る話だとそのように思っている。海外からのそういった圧力ということよりも、むしろ日本自身が必要とする大きな経済政策の転換だとご理解を願いたいと思う。>
 <為替の問題に関しては、総理大臣から多くを述べるべきではないと思っており、為替は安定的であることが最も望ましいという一言だけ申し上げておきたいと思う。>
 <(問)日米関係について伺う。来年1月に海上自衛隊の給油活動の根拠法が期限切れを迎えるが、この問題に対しては、延長しないという方針で変わりないか。また、11月にオバマ大統領の訪日を控えて、その際にアフガニスタン支援に関しての代替案を提示することになるのか。その場合、具体的にはどのようなものを想定しているのか。さらに、昨日、総理は、米国側の関心が、アフガニスタン問題が優先していて、再編問題については、必ずしも急がなくてもいいのではないかという認識を示したが、普天間移設の問題については、いつごろ、どのような形で結論を出すべきだと考えるか。>
 <(鳩山総理)まず給油問題、さらにアフガニスタンの支援問題について述べたい。いわゆるインド洋の給油支援に関して、来年の1月に期限が切れる。このことに関し、単純に延長するということは考えていない。その発想は今でも変わっていない。私が申し上げたいことは、給油をしないから代わりにアフガニスタン支援をやるという発想ではなく、本当にアフガニスタン、あるいは米国をはじめとする国際社会にも喜ばれる日本の支援のあり方は何かということをしっかり調査して、最も望まれている支援を積極的に行いたい。>
 <このことは、先般、オバマ大統領との日米首脳会談においても、若干申し上げた。すなわち、日本として何ができるのかという発想の中で、日本が得意とするような支援、たとえば農業、あるいは職業訓練といった支援ができるのではないかと検討してみたい。本当の意味で、結果として、米国を含めた国際社会も日本としてそういったことをしてくれることは有難いことだという思いを彼らにも持ってもらえるような支援をやることを現在考えている。オバマ大統領にとって、内政の医療保険改革と外交におけるアフガニスタン支援が二つの大きなテーマだと理解している。そのテーマに対する日本の支援のあり方をしっかりとみつめて、日米の間で緊密な連携をとりながら結論を見出していくことが、日米の同盟関係を今まで以上に力強く発進させることができることになると思う。その意味で優先したいと考えている。当然、米軍再編の中での普天間の問題も、沖縄県民の心情を考えれば一刻の猶予もない問題だと理解しているが、橋本政権でスタートした問題が未だに解決をしてこなかったということは、前政権の大変大きな失点ではないかと思う。そう考えればあまり時間的な余裕がないことも事実だと思っており、この問題に関しても、包括的なレビューの中で、最終的な結論を、あまり引きずらずに、一定の時間で見いだしていく必要がある。くどいようだが、そのときには日米両政府だけでなく、特に沖縄県民の思いに十分理解を示していきながら結論を作り上げていくことが肝要だと思う。>
 <(問)G20の代表の一人がG8はいわば死の床にあると今日述べていたが、G8がなくなるべきと思うか。そうなると日本及び世界にどのような影響をもたらすだろうか。>
 <(鳩山総理)私は、G8はなくすべきではないと思っている。なぜならば、昨日のワーキングディナーでも述べたが、G20は、20人から25人が集まって議論をして、そこで結論を出すのは至難の業。そうなると、政治指導者が20人、25人集まって結論を出そう、なかなかでない、出すためにはどうしたらよいか、頻繁に集まれないとなると、官僚の皆さんが事前に様々な調整をすることになりかねない。結果として、G20でいい結論を出そうとすればするほど、逆に官僚の皆さんの思いが前面に出てくるような中身になってしまうと思う。だから、G20で結論を出せないというわけではないが、今回もそれなりに立派な成果を上げたと思うが、私としては、あのような大人数で結論をだすようなテーマは極めて限られるのではないかと考える。>
 <G8であれば、政治家同士の中で活発にフランクに議論が行える。今日、短い時間ではあったが、カナダの首相との首脳会談を行ったときに、カナダの首相はまさに私の思っている通りのことを述べた。価値観が近い者が、思う存分自分の言葉で話すこと、これがG8の良さであるとのことであった。したがって、私は、G8、先進国の首脳が集まる政治的な意味はこれからもあると考える。一方、G8は、G8として必ずしも先進国だけではない、(アウトリーチなどで)途上国の方々も入ってくる、そのような中で、必要な議論というものも十分あると思っている。G20がプライマリーに重要になるという発想はそれ自体結構だと思うが、それによってG8の意味が無くなったとは感じていない。>

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鳩山由紀夫首相の国連安保理首脳会合演説全文:いい演説だった、天野IAEA事務局長もホッとしているだろう~朝日新聞09年9月25日朝刊から

 朝日新聞は09年9月25日朝刊4面下5段を使って鳩山首相の国連演説の全文を収録していた。オバマ演説の全文を掲載した他社は鳩山演説については要旨ですませるのですかね? 朝日新聞のHPからコピペしておこう。国連総会の演説と安保理首脳会合の演説の二つがあり、首脳会合のほうの演説だ。どうせ首相官邸のHPにも掲載されるとは思うが。

 [鳩山首相の安保理首脳会合演説(全文)]というタイトルだ。

 演説全文は次の通り。

 <議長、ご列席の皆様。本件会合開催という、オバマ大統領の時宜を得たイニシアチブに感謝いたします。
 【唯一の被爆国としての道義的責任】本年の8月6日と9日、私は広島と長崎を訪れ、被爆者や被爆2世、3世の方々と直接話しました。わずか2発の原子爆弾によって20万人以上の市民の生命が奪われたことはもちろん、原爆投下から60年以上たった今日もなお、放射能の被害で苦しむ人々の姿を見て、私は心が詰まるのを禁じ得ませんでした。世界の指導者のみなさんにも、ぜひ広島・長崎を訪れて核兵器の悲惨さを心に刻んでいただければと思います。
 歴史の事実として言えば、我々は戦後の復興を遂げた後も、自らが核兵器を持つという道を選びませんでした。1970年にはNPT(核不拡散条約)に署名し、6年後に批准しました。1996年にはCTBT(包括的核実験禁止条約)に署名し、1年後に批准しております。
 なぜ日本は、核兵器開発の潜在能力があるにもかかわらず、非核の道を歩んできたのでしょうか。日本は核兵器による攻撃を受けた唯一の国家であります。しかし、我々は核軍拡の連鎖を断ち切る道を選びました。それこそが、唯一の被爆国として我が国が果たすべき道義的な責任だと信じたからであります。近隣の国家が核開発を進めるたびに「日本の核保有」を疑う声が出ると言います。だがそれは、被爆国としての責任を果たすため、核を持たないのだという我々の強い意志を知らないが故の話です。私は今日、日本が非核三原則を堅持することを改めて誓います。
 【「核兵器なき世界」への共鳴】しかし、日本が核兵器を持たないだけでは不十分であります。
 核廃絶に対する日本の願いにもかかわらず、核保有国はいまだに膨大な数の核兵器を持ち、世界は核拡散の脅威にさらされています。北朝鮮、イランの核問題、テロ組織による核物質・技術入手の可能性など、核不拡散の取り組みが重大な局面を迎えているのが厳しい現実であります。だからこそ日本は、核廃絶に向けて先頭に立たなければなりません。
 今年4月、オバマ大統領が「核兵器のない世界」の構想を示したことは、世界中の人々を勇気づけました。今こそ我々は、行動しなければなりません。
 第一に、核保有国に対して核軍縮を求めます。透明性の確保と情報の開示が進めば、信頼醸成が可能となり、更なる核軍縮への好循環を生みます。非核兵器地帯の創設は、P5(常任理事国)と地域の非核兵器国との連携の下で進めることができれば、決議案にあるように、核軍縮と拡散防止、ひいては世界と地域の平和と安定という目的に資するものとなり得ます。
 第二に、CTBTの早期発効、カットオフ条約(兵器用核分裂物質生産禁止条約)の早期交渉開始を強く訴えたい 思います。1954年3月4日、南太平洋ビキニ環礁における水爆実験で日本の第五福竜丸が被曝したことを私は思い起こします。カットオフ条約によって「持てる国」の核兵器生産能力を凍結することは、核軍縮・不拡散の双方に貢献することになり、また、NPT体制をより平等なものにするためにも不可欠な措置であります。我々に浪費すべき時はありません。
 第三に、日本自身が核軍縮・不拡散を主導する積極的な外交を展開します。たとえば、国連総会における核軍縮決議の提案、日豪による川口・エバンス国際委員会(核不拡散・核軍縮に関する国際委員会)の活動支援、IAEA(国際原子力機関)の技術・専門性および資源を強化するための取り組みを進めます。エルバラダイ事務局長の果たしてきた役割に敬意を表し、天野次期事務局長の果たす役割にも期待し、サポートしていきたいと考えます。
 第四に、新たな核拡散の動きに対し、積極的に対応します
 北朝鮮による核開発は我が国を含めた国際の平和と安全に対する脅威であり、断固として認めるわけにはいきません。国連安保理決議第1874号の実効性を高めるため、さらに必要な措置をとっていきます
 イランの核問題に対しても懸念しております。核不拡散に果たす国連安全保障理事会の役割は今後ますます高まっており、その強化を求めます。来年開催される核セキュリティー・サミットにも貢献したいと考えています。
 第五に、今日採択される安保理決議にもあるように、原子力の平和利用にあたっては、拡散のリスクを低減し、保障措置・核セキュリティー・原子力安全の各項目について最高レベルの水準を順守することが必要であります。
 【結語】これから来年5月のNPT運用検討会議までの間は、我々にとって「核兵器のない世界」に向けて現実的な第一歩を踏み出せるかどうかの、決定的に重要な時期であります。核保有国であろうと、非核保有国であろうと、核軍縮・不拡散に向けて行動することは地球上のすべての国家の責任であります。ご清聴ありがとうございました。>

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鈴木宗男氏の北方領土論、産経新聞が詳しく掲載したのに、社説は今まで通りだね~09年9月24、25日朝刊+朝日新聞09年9月24日夕刊

 産経新聞09年9月24日朝刊総合面トップのインタビュー記事[単刀直言]は鈴木宗男衆院外務委員長(新党大地代表)だった。見出しは<北方領土交渉で首相支える>。加納宏幸記者の署名があった。読んでみよう。

 <外務省による税金の無駄遣い、対露外交、核持ち込みや沖縄返還に関する日米密約問題を中心に、私はこれまで政府に対し1900本近くの質問主意書を出しました。外交官が「ちょうネクタイにフォークとナイフ」の世界に閉じこもり、国民の理解を得ようとしなければ、国益を背負った外交は成功しないとの思いからです。衆院外務委員長として、今後も立法府の立場から政府に説明責任を求めていくつもりです。>

 という言葉から始まっている。Q&A方式で各方式が一般的だが、このように「語り」で各ケースもある。アバウトでいい場合にはこういう形式を使うことがおおいようだ。

 <自民、公明両党は18日、私が受託収賄罪などで公判中であることを理由に、委員長就任に反対したそうですが、私は無罪を主張し最高裁で争っているのだから、無罪推定の原則が働くはずです。しかも、2回も国民の審判を受けて衆院議員になっているので、私を選んでくださった国民の信任にこたえるためにも、委員長の職責をしっかり果たそうと思います。>

 自民党にチクリ、だ。自民党の、特に自分の逮捕を主導したというか少なくとも黙認した小泉純一郎元首相には恨み骨髄だろうなあ。田中真紀子元外相にも恨み骨髄だろうが、田中真紀子氏はずるい、というか目端が利くから、すぐに民主党に入ってしまい、鈴木宗男氏の復讐のターゲットからは外れてしまったね。

◆領土交渉を動かす

 <鳩山由紀夫首相からは「北方領土問題を動かしたいので協力してほしい」と言われています。外交は政府の専管事項ですから、立法府の側から、鳩山首相、岡田克也外相のラインをしっかりと支えていきたい。私の役割は環境整備です。まずは国会議員に領土問題をよく理解してもらわなければいけない。「四島一括返還」ということを平気でいう人がいるのですから驚きます。>

 四島一括返還という言葉を右翼が街宣車でがなり立てている。右翼だよ、右翼。その仲間がいるんだね。

 <私が考える返還の道筋と、産経新聞の社説とは少し違うところがあるかもしれませんが、国後、択捉、歯舞、色丹の四島の日本への返還という原理原則は一致しています。ただ、「四島一括返還」は旧ソ連時代に使っていた表現で、この切り口からでは、ロシアは交渉に乗ってきません。>

 ここの部分がなぜ分からないのかね? 分かっていても、無理やり分からないふりをしている連中がいるんだね。結局、日ロ関係の進展を喜ばない連中の利益になっているのだが、それを知っていて知らないふりをしている人も多いのだろう。

 <旧ソ連崩壊後の1993(平成5)年、細川護煕首相とエリツィン露大統領との間で「四島の帰属問題を解決する」ことで合意した東京宣言以来、森喜朗政権までは間違いなく交渉は進んでいました。>

 この「進んでいた」時代の歴史が分厚い一冊の日ロ関係史になっている。

 <しかし、小泉純一郎首相から麻生太郎首相までの政権が過度な対米追従外交を行い、北方領土問題への勉強不足と相まって交渉は後退しました。外務委員会で専門家に意見を述べてもらうなどして、世論喚起や啓発に努めたいですね。>

 米国だって本音は日露の国交正常化に反対はしないと思うのだけどね。冷戦時代とは違うのだし、世界に羽ばたく中国をけん制するためにも日露が手を組むことを勧めることはあっても、拒否する論理は出てこないと思うのだが。

◆現実的返還論

 <交渉を進めるには2001(平成13)年に当時の森首相とプーチン露大統領が日ソ共同宣言の有効性を公式文書で確認した「イルクーツク声明」まで時計の針を戻す必要があります。>

 森元首相は馬鹿だけど、イルクーツク声明は馬鹿な森氏が考えたわけではなく、それこそ日本のあの時代の「ロシア屋」が知恵を絞ってたどり着いた結論だった。橋本竜太郎、小渕恵三両元首相の努力があったから森首相時代に花開いた。橋本首相の参院選惨敗による辞任、小渕首相の小沢氏との密室会談で脳の血管が切れての脳梗塞による死去がなかったら、別に森喜朗氏に手柄は行かなかったんだけどね。

 <歯舞、色丹返還を明記した1956年の日ソ共同宣言、東京宣言、イルクーツク声明の三つを担保に交渉すれば必ず解決できます。>

 田中真紀子の悲劇は女の子だから仕方ないんだけど、「お父さんは日本一偉いのよ」という考えで凝り固まっていて、田中角栄時代の日露合意にこだわってしまったことだ。あの時代、田中角栄は日中国交回復を成し遂げた総理大臣。中ソが仲が悪く、冷戦とは言っても米日欧+中国VS.ソ連という構図が形作られていた。日中での話ではいつも中国がソ連を「覇権主義」と批判し、共同声明などに盛り込もうとした。そんな時代に、日中をやった総理大臣にソ連が領土で譲るわけがないことは赤ん坊でも分かるだろう。だから、田中時代の日ソ合意は鈴木宗男氏の例示から外れているのだが、あの化け物のような娘は「おとうちゃんを無視するのか」という反応しか示さない。小泉純一郎の失敗なのだ。絶対に外交に触らせてはいけない女を外相にしてしまったのだから。

 <日本政府にとって大事なことは「四島」の旗を降ろさないことです。麻生政権下で「面積2等分論」「3.5島返還論」などという、足して2で割るような話が出てきましたが、バナナのたたき売りじゃないんだから、そんなのは駄目です。この点で産経新聞は実によく闘ったと思います。産経新聞が声を上げなければ、北方四島が日本から遠ざかってしまったかもしれません。>

 このへん、鈴木宗男=佐藤優=東郷和彦はそう思っているのか? 谷内政府代表とは微妙に考え方が違うようだね。面白いね。

 <日本に返ってくるにはどうしたらいいか考えつつ、外交交渉上は現実的なアプローチをとるべきです。日本側から四島返還の旗を降ろすから混乱が起きました。四島の帰属が未解決であることは東京宣言で日露両国首脳が確認しているのだから、まず2島を返してもらい、残り2島で日露両国が経済協力や共同統治をして交渉を続けるなど、いろいろなやり方ができます。「現実的返還論」でいくべきです。>

 東京宣言の線は今でもプーチンは言を翻していないはずだしね。

 <政府も「四島の帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様および条件は柔軟に対応する」としているのですから。>

 中国の悠久の歴史観を勉強しようよ。100年後でいい、という大人的思考だ。結局、香港を取り返した。台湾だって取り戻すだろう。

 <私はかつて「二元外交」をしていると誤解を受けましたが、政府の方針通りやってきたんです。「二島返還だけでいい」なんて考えたことも言ったことも一度もありませんよ。>

 右翼は今でも「売国奴、鈴木宗男」と街宣車で大声で叫んでいる。

 <鳩山首相は「領土問題は鈴木先生の考えでいい」と言ってくれています。身命を賭して日ソ共同宣言に調印した鳩山一郎元首相の孫として、自分の手で領土問題を解決したいという首相の思いを実現するため、一生懸命に支援したいと考えています。>

 鳩山由紀夫首相が対ロ外交までたどり着けるだろうか? 日米と日中で精一杯にならないか? 本当はタスクフォースをつくって、国家戦略局で統括して、首相直属で進めるべきだろうと思うのだが、なかなか難しいだろうしね。

 産経新聞が度量の広いところを見せて天敵、鈴木宗男氏の主張を掲載したと思ったら、しっぺ返しのように、9月25日の社説(産経新聞では「主張」と呼ぶが)で<日露首脳会談 「4島返還」を忘れたのか>を掲載していた。

 やっぱりね。

 読んでみよう。

 <鳩山由紀夫首相はロシアのメドベージェフ大統領と会談し、北方領土問題解決に向けて外相級協議や11月の首脳会談を通して、議論を深めることで一致した。だが、鳩山首相は「われわれの世代で領土問題を最終的に解決したい」と訴えながら「4島返還」という表現を使わなかった。意図的かどうかは明確でないが、もしそうなら北方領土返還の原則を揺るがしかねず、きわめて遺憾と言わざるを得ない。>

 と、最初から文句を付けているのだ。

 <鳩山首相は会談で、祖父の鳩山一郎首相が1956年に調印した日ソ共同宣言に触れ、「(宣言にある歯舞、色丹の)2島引き渡しでは領土問題の解決ができず平和条約を締結できなかった。それから50年以上たった」と述べた。その上で「いまだに平和条約が締結されていないことは両国にとってマイナスだ。大統領のリーダーシップに期待したい」と訴えた。>

 いいんじゃないの?

 <メドベージェフ大統領はこれに対して、「独創的なアプローチを発揮する用意がある」と、領土問題を議論する意向は示した。しかし、その具体的内容について何も語らなかった。さらには、「極端な立場をとるべきではない」とも述べ、4島の返還要求には応じないとのロシア側の姿勢を暗に示した。鳩山首相はその意味を尋ねたものの、答えはなかった。「独創的なアプローチ」は、麻生太郎前首相が2月のサハリン訪問でメドベージェフ大統領と会談した際に先方から提案された。日本では、この提案をめぐり北方四島を面積で折半する等分論や3.5島返還論が麻生前政権内から出るなど、北方四島返還を求める対露外交に混乱を招いた。>

 谷内氏が毎日新聞のインタビューでいらぬことを言ったのがいけなかった。

 <鳩山首相はかつて「4島一括返還では、島は1000年たっても還らない」と述べたと伝えられ、2島返還論とも受けとられかねない。「4島」に言及しなかったことでロシア側に誤ったシグナルを与えたことにならないか。>

 この論理、私も以前、このように書いたのだが、最近は本当にそうなのかどうか、改めて考えている最中だ。だって「4島一括返還」と言えば話し合いもできないのだし、話し合わずにこのままで損をしないのはロシアのほうじゃないか、返してほしい日本にしてみれば、何か動きを起こすべきなのではないか、とも思うからだ。

 <衆院外務委員長に任命された鈴木宗男議員は産経新聞とのインタビューで、「まず2島を返してもらい、残り2島で交渉を続ける」と述べた。2島返還を先行する「現実的返還論」というが、4島一括返還の原則が骨抜きにされることを懸念する。>

 「4島返還」と「4島一括返還」をごちゃごちゃにしていないか? 産経新聞は。一括でなくとも4島返還を言っていればいいじゃないか、とも思うのだが。

 <首相の姿勢がロシア側に利用されない保証はない。日本固有の領土である4島返還を訴えることから交渉を始めるべきだ。今後の首相の奮闘に期待したい。>

 ここは「一括」を入れていない。やっぱり産経新聞は混乱しているようだね。

■朝日新聞09年9月24日夕刊の日露首脳会談の記事

 参考でこの日露首脳会談の記事をコピペしておこう。<北方領土「現世代で解決」/日露首脳会談/外相協議、定期化>の見出しだ。ニューヨークから藤田直央記者の署名記事だ。

 <鳩山由紀夫首相は23日昼(日本時間24日未明)、ロシアのメドベージェフ大統領とニューヨーク市内のホテルで会談し、北方領土問題を「我々の世代で最終的に解決したい」と表明。両氏は、政治、経済の協力を「車の両輪」として関係を進展させる方針で合意し、外相レベルの定期協議を重ねることを確認した。 >

 という前文。

 <日本側の説明によると、大統領は日本の政権交代を踏まえて「日本との関係に新しい活を入れる時が来ている。領土問題を含めた新たな道筋をつけるように努力をしたい」と表明した。首相は北方領土問題で「祖父の鳩山一郎首相が1956年に旧ソ連を訪問した際、(四島のうち)二島だけの引き渡しでは平和条約を締結できなかった。50年以上たっていまだに締結されないのは両国にとってマイナスだ」とし、「大統領の指導力に期待したい」と述べた。 大統領は精力的に交渉したい。独創的アプローチを発揮する用意もある。過去の遺産を政治的に解決することは可能だ」と応じた。ただ、大統領は「双方ともに極端な立場をとるべきではない」と も念を押した。四島一括で日本への帰属の確認を求めるという、麻生政権当時の方針を牽制したと見られる。首相は、大統領に「独創的アプローチ」の内容を示すよう促す一方で、具体的な解決案には言及しなかった。>

 と、ここまでが北方領土関係の発言だ。

 <経済面では、首相が「サハリンやシベリアの資源開発は、両国の高い技術で協力すればウイン・ウイン(相互利益)の関係が構築できる」と指摘。両首脳は11月にシンガポールであるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、領土問題も含めて議論することを確認した。 >

 <首相は米ロ両国が進める核軍縮交渉について「被爆国の立場から協議の進展を期待する」と表明。大統領は「核軍縮で前進を図る用意がある。核の拡散は世界の不安定要因だ」と応じた。北朝鮮の核や拉致の問題では首相が「大統領と協力関係を強め、解決にあたりたい」と語った。>

 <また大統領は、鳩山首相が表明した温室効果ガスの1990年比25%削減という中期目標を評価する考えを示した。>

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2009年9月24日 (木)

武村正義氏のインタビュー、やっぱり「反小沢」ですか~産経新聞09年9月22→24日

 産経新聞朝刊オピニオン面のインタビュー企画[話の肖像画]は09月9月22日~24日の3回、[日本が危ない?!]のタイトルで、武村正義・元蔵相を取り上げた。聞き手は押田雅治記者。武村氏のプロフィールは次の通り。
 <武村正義(たけむら・まさよし)氏は昭和9(1934)年8月、滋賀県生まれ。75歳。同県立八日市高、東京大学教育学部、同大経済学部卒業後に自治省(現総務省)入省。46(1971)年、同省を退職し、八日市市長、滋賀県知事、衆院議員(4期)。新党さきがけ代表、内閣官房長官(細川政権)、蔵相(村山政権)などを歴任。現在は龍谷大、麻布大客員教授、徳島文理大大学院教授。著書に『草の根政治――私の方法』など。>
 前文は次の通り。
 <新内閣が誕生した。民主党は、耳に心地よい政権公約(マニフェスト)を掲げているが、国と地方を合わせた長期債務残高は今年度末、主要先進国では最悪の816兆円に達する。かつて細川政権で官房長官、村山政権で蔵相を務めた武村正義氏(75)は「現在の日本はひ孫まで借金漬け。民主党を見てもバラマキ公約で一層、借金が増える。このままでは本当に危ない」と不安を訴える。>
 そして、初回の見出しは<“バラマキ”やめよ>だった。
 <―― 平成8(2006)年、443兆円の長期債務残高を踏まえた論文で警鐘を鳴らしていますが?>
 <武村氏 月刊誌『中央公論』で発表した「私の財政再建論」でしょう。日本は当時でも対国内総生産(GDP)比90%の債務を抱え、世界最大の赤字大国でした。それが13年後の今では債務残高もGDPも倍に膨れあがっている。毎年、借金を繰り返してきた結果です。民主党は、子ども手当や高速道路の無料化などどう実現させるのか。「国の予算の全面組み替え」や「無駄遣いの排除」だけでは説得力があるとは思えません。結局、また国債を増発して子供や孫やひ孫に途方もない借金を押しつけることになる。そんなことを繰り返して、どうして日本の未来に希望を持てるでしょうか。>
 <―― 有権者には民主党の公約は魅力的だった?>
 <武村氏 そうではないでしょう。最近のNHKの調査によれば、国民が民主党に投票した理由は、自民党への不満が52%、政権交代への期待が25%、マニフェストはわずか10%でした。“マニフェスト選挙”と騒がれましたが、民主大勝の背景は国民の自民党離れです。私は政権交代は国民の選択だったと思っています。そのためにも、国民の意識改革も必要だと思います。>
 <―― 自民離れの背景は?>
 <武村氏 自民党を体に例えれば、年をとったということでしょう。“長い間ご苦労さま”と申し上げたい。そして一年でも早く立ち直って、民主党政権に鋭く立ち向かっていってほしい。そのためには解党的出直しではなく、いったん、解党してゼロから再出発することが大事だと思います。党名も綱領も新たにし、自立自助とこの国の伝統文化を守る保守新党を創設してくださいと申し上げたい。自民党が敗れたのは、“制度疲労”で病み、そしてついに倒れたということでしょう。ただ、自民党が立ち直らなければ、民主党もダメになります。切磋琢磨する関係が理想なんです。>
 <―― 民主大勝の背景には幹事長になった小沢(一郎)さんの力も?>
 <武村氏 確かにありました。しかし、今回の民主大勝は「一度、政治を変えてみよう」という国民世論のうねりです。かなりの有権者が自民党を離れて、リスクを感じながらも民主党に投票したのです。小沢さんがいなくても、民主党は堂々と大勝したのではないでしょうか。ただ、小沢さんは、候補者の発掘や選挙戦の個別の指導などで力を発揮されたということでしょう。>
 <―― 「公約は膏薬」「みこしは軽くてパーがいい」という小沢さんが幹事長にないましたが。>
 <武村氏 彼は口がやや重く、社交的ではないですね。気楽に話しづらいところがあって、それが“怖い”というイメージにつながっているんでしょうが、彼は67歳ですね。丸くなり、枯れていってほしいと願っています。彼には細川政権の国民福祉税問題で、ほろ苦い思い出があります。政府と連立与党の二重構造で、同じようなことは繰り返さないでください、と申し上げたいですね。>
 <―― 社民、国民新党との連立も来年の参院選まででは?>
 <武村氏 そうでしょうか。私は基本的には一党独裁よりもさまざまな意見、政策のある政党と連立するほうが民主主義的だと思います。人類の歴史も小さな声から始まりました。大きなグループは絶えず小さなグループの意見に耳を傾けるべきです。鳩山さんも、私と一緒に自民党を飛び出したときは10人しかいませんでした。>
 次は㊥で、見出しは<財政の“ウミ”洗い出せ>だった。
 <―― 新内閣が最優先で手がける仕事は?>
 <武村氏 せっかく政権が代わったのだから、これまでの政権の膿を出しきって、国民の前に明らかにしてもらいたいと思います。外交の秘密文書などの問題もあるでしょうが、私はまずこの国の台所の膿を徹底的に調べて公表することが大事だと思います。>
 <―― 財政再建のためにも?>
 <武村氏 そうです。そのためにも、まず巨大で複雑な財政赤字を前にして、民主党のマニフェストを精査し、再点検する必要があります。そのうえで、マニフェスト実現を重点主義に、堅実に取り組んでいただきたいと思います。>
 <―― 他の政党のマニフェストと比べると?>
 <武村氏 率直にいえば、各党ともバラマキの“競演”でした。「あれをする、これをする」が目立って財政的裏付けがない。金額では民主党が突出して大きい。金額や工程表まで示されていましたが、消費税は上げないし、国民負担にはほとんど触れていない。果たして、どこまで信用できるのか戸惑います。しかも、財政をどう再建していくのかという一番大事な視点、政策が欠け、むしろ自民党だけがプライマリーバランス(財政状況)をうたっていたと思います。>
 <―― “脱官僚”、霞が関との対決はどうでしょう?>
 <武村氏 もちろん、“天下り”や“渡り”、無駄遣いはやめさせなければいけないと思います。ただ、一方的に批判したり、排除したり、彼らと対決することはやめたほうがいい。彼らは専門家集団です。彼らと協調し、うまく使いこなすことが大事です。もちろん政治主導は正しいと思いますし、大いに期待はしますが、過去、自民党の政治主導は、間違いも多かった。新政権は謙虚に構えてほしいですね。それに政治家は役人の信頼を受けることも大切です。新人議員の多い民主党全体が、役人と十分に渡り合えるとは思えません。>
 次は㊦。見出しは<国家は規模より個性が大事>だった。
 <―― 年金問題の社保庁や裏金問題の千葉県庁など公務員に対する信頼がない?>
 <武村氏 残念です。お役人にも志が無くなってきたのでしょうか。かつては国のためと思って働いていた官僚も、最近では国益より省益、省より自己保身と、おかしくなっている。城山三郎原作のテレビドラマ「官僚たちの夏」を見ていますが、戦後の官僚の志は高く、日本再建のため必死で考え、働いていました。>
 <―― 志は国民にもないような気がしますが?>
 <武村氏 そうですね。最大の背景は“1億総中流社会”になった日本人が拝金、物質主義になり、しかも個人主義になってしまったからでしょう。その結果が“バブル”崩壊であり、そして格差社会ではないでしょうか。それに日本は毎日、目を覆いたくなるような事件ばかり起こっています。日本人の心が病んできているとしかいいようがない。>
 <―― 教育を含め、子供たちへの影響が心配です?>
 <武村氏 少子化の問題も単に“子供を増やせばいい”という問題でとらえてはいけない。むしろ環境容量の視点から日本には1億の人口が本当に必要なのかどうか。世界中を見渡しても人口の多い国は魅力的ではありません。“小さくてもキラリと光る日本”を改めて考えてもいいのではないでしょうか。規模よりも国の個性です。一人一人の暮らしが守られれば、国の大きさにこだわらなくてもいい時代がきているのではないかと思います。>
 <―― その意味でも今度の選択は国民にとって正念場?>
 <武村氏 そうです。国民は政権交代と民主党を選びました。ただ心配なのは日本には政権交代が定着していないということです。日本では戦前の二大政党も数年で終わりました。今回、順調に二大政党の時代の幕開けになるのか、自信はありません。日本では過去もそうですが、現代も国民世論が一色に覆われてしまう傾向があります。政党の側も、旗色を分かりやすくする努力が必要だし、国民の側もバランスをもって、主体的に選択していく力が求められます。>
 <―― 再び政権交代がある?>
 <武村氏 鳩山政権次第でしょう。失敗すれば当然また野党に落ちます。緊張感と必死の努力が大切です。権力闘争や派閥抗争などで国民に愛想を尽かされないよう。うそのないオープンで誠実な政治で、しっかり頑張ってもらいたいと願っています。>

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森本敏・拓殖大学大学院教授の<周辺への不安に「強い国家」必要>~産経新聞09年9月24日[正論]+ユベール・ヴェドリーヌ著「『国家』の復権~アメリカ後の世界の見取り図」(草思社)紹介

 産経新聞09年9月24日朝刊の【正論】は[シリーズ民主党政権発足に寄せて]の一環で森本敏・拓殖大学大学院教授の<周辺への不安に「強い国家」必要>だった。小見出し二つは◆で文中にそのまま入れておく。

 <いかなる政府も国益を追求する責任を負うが、国益の基本は国家の安定と国民生活の繁栄の確保にある。政府は同時に、国民に国家目標を示し政策を実行する責任を有する。国民は提示された目標と政策を参考にしつつ自分の責任において生き方を決めるのである。ところで、選挙は候補者にとって民主主義下における人間の戦いであるが、戦いに勝利するには他に勝る戦略がなくてはならぬ。民主党は今回選挙を小選挙区制の利点を活用し、争点を国民生活問題に絞って圧勝した。この数年にわたる小泉構造改革の利益を享受できなかったことに不満を持つ組織・国民が自民党離れをしたことも民主党圧勝の要因であろう。>

 小選挙区制度のレバレッジだね。てこの原理。少し動けばみんなが動く。100人に5人が変化すれば、全体が動く、という可能性を秘めた変動型政権作成ツールだ。

 <こうして民主党軸の連立政権が誕生した。もはや、与党は政権交代とは言えず、今までの政策の欠陥を是正し、新たな政策を実行するだけでなく国家の進むべき目標と方向を国民に提示し、国民が何をすべきかを具体的に示す義務を負う。小沢一郎氏の目標は恐らく、民主党が、来年夏の参院選挙でもう一度圧勝して、与党内異分子を排し野党内に多数派工作を行って安定政権を樹立し政治目標の実現に近づくことであろう。>

 そうでしょう。小沢一郎氏の狙いはそうでしょう。ただ、今の首相は鳩山由紀夫氏なんですが。

◆「働けば豊かに」の確信を

 <その政治目標が旧弊の制度を改革して経済を興し、不平等を是正し、憲法を改正し、国家の安全を他国にあまり依存せず自主防衛力を国連安保理のもとで活動させて普通の国になることなら、それは明治維新後の政治目標と類似している。しかし、少なくとも安定政権樹立までは、外交・防衛・安全保障を大きな政策問題にせず、景気・社会福祉など生活問題に焦点を絞って政策を進め、国民の支持を引き続き取り付けることが新政権の優先課題であろう。そうであれば新政権には、国民が働けばいずれは豊かになると確信できる社会にしてほしい。努力が公平に評価され、格差がこれ以上広がらないような社会を作ってほしい。この国の社会と国民が病んでいる部分を直してほしいと思う。>

 「パンとサーカス」の政治が1年間は続くというのだ。そういうことでしょ。1年間は財政投融資、特別会計から緊急性のないカネを持ってきて財政不足の穴埋めができるしね。2年目からは使えない手だが。

 <他方、選挙の争点にしなかったとはいえ、国家を運営する限り外交・防衛・安全保障政策は避けて通れない。国際情勢は厳しく、極めて流動的である。これに適切に対応するためには明確な国家戦略に基づく一貫性ある政策実行がなければならない。これを進めるために国家戦略局を設置するという発想は良い。しかし、本来、その機能を発揮すべきは内閣官房であり、国家戦略局と内閣官房との関係を明確にしておく必要がある。>

 森本氏は内閣官房で危機管理をやったんだっけな。

◆対等は役割分担見直しで

 <日本の国益の多くは米国との同盟関係を通じて追求しうる。それでも日本が米国の言うなりになるべきではなく、外交にもっと自主性を持つことは正しい。しかし、米国との経済関係や米国の抑止力に国家の安全の多くを依存している実態を無視した政策は国益に反する米国のアジアにおけるプレゼンスとコミットメントは米国の国益であると共に、この地域の重要な安定要因である。米軍再編はこれを効率的に遂行するための手段であり、これに協力することは日本の国益に直結する。>

 森本氏はもともとは国士だろう。こんな軟弱なアメリカの太鼓持ちのようなことは言いたくないのだろうが、仕方ないね。今の日本ってそういう国なんだから。

 <米国と対等な同盟関係を構築するためには対等な責任と役割を負担する覚悟と実行力がなければならぬ日本が米軍再編と地位協定の見直しを米国に求めるなら、米国が日本にアフガン派兵とインド洋の活動継続を求めてくることにどのように応じるかを決めてから対応すべきである。>

 そういうことだよ。私もそうだが、戦後教育を受けて「権利」意識に敏感になっている人たちの欠点は権利には義務が付随している、権限には責任が付随しているということをことさら忘れたふりをしていることだ。無責任国家・日本では通用するかもしれないが、そういう論理は国際的には通用しない。爪弾きにされるよ、こんな日本は。血を流す国の中で「僕だって金をたくさん出したんだ」と胸を張れるか? シェークスピアの「ベニスの商人」のシャイロックを思い出してしまう。あの嫌らしいユダヤ人と同じように見られているんじゃないかね、日本人は?

 <日米両国は、来年、1960年安保改定50周年を迎えるに際し、将来における日米同盟の方向付けを行うべきであり、対等な同盟にするには対等な役割分担を果たす必要がある。そのためにはアジア地域とグローバルな平和と安定のために日本が果たすべき役割を主体的に決めるべきである。>

 来年の安保50年は大きなイベントになるだろう。鳩山政権とオバマ政権との間でどのような文書をまとめるのか。日米安全保障条約を発展的に解消して、日米平和友好条約を結ぶような方向で進めばいいのだが。つまり、経済・文化面のつながりを今まで以上に強める方向で両国関係を再構築できるかどうか、が今後の50年間を決めるんじゃないかと思うのだが。

 <北東アジアでは中国の海洋進出と軍の近代化は深刻な潜在脅威である。北朝鮮の核保有を前提とした安全保障政策を進める必要もあり、指導部交代に伴う混乱にも危機管理対応が必要となる。>

 中国の軍事拡張はまだ見えるからいい。ただし、北朝鮮の問題は看過できない。中国に「日本は見過せないのだ」とはっきり通告して、中国からの援助を止めることができれば、北朝鮮は核爆弾を使うか廃棄するかの選択に追い込まれるだろう。そこまで追い込まないと北朝鮮は行動を起こさない。

 <こうした周辺への不安に国家として対応するには国家が強くなければならない。これを実現する政策は古い言葉だが、富国強兵である。国家が誕生してからこの原則は変わらない。日本が不安定な東アジアに位置して防衛費を7年連続で減少させていることも異常だが、その中で日米同盟の信頼性がぐらついたら国家の安定もないと知るべきである。>

 元フランス外相のユベール・ヴェドリーヌ氏は「『国家』の復権――アメリカ語の世界の見取り図」(草思社、橘明美訳、2009年8月1日第1刷発行、定価1890円)でグローバリズムが進み、市場化が進む中で世界政府的な大きな枠組みに希望を持つ人々が国民国家の弱体化を次々仕掛けており、実際に国家の弱体化が進んでいるが、弱体化は国際機関や多国間の枠組みの弱体化を結果させている、と書いている。

「国家」の復権  アメリカ後の世界の見取り図 「国家」の復権 アメリカ後の世界の見取り図

著者:ユベール ヴェドリーヌ
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 つまり、好戦的な20世紀型国家ではない他国と仲良くできる「国家」の復権なくして多国間協調システムは有機的に働かない、と言っている。また、アメリカは途上国への民主主義の押し付けをやめろ、と。つまり、ワシントンコンセンサスといわれるアメリカのコピー国家を無限増殖させるやり方をやめなさい、と言っている。ジャック・アタリ氏の講演にも感動したが、このミッテラン政権の外交顧問、ジョスパン内閣の外相を務めた「フランスのキッシンジャー」、「左のゴーリスト」の話は深くて楽しい。

 森本氏のいう国家の復権とどこかで通じているようにも見える。

 <外交・防衛政策は過去の積み上げに立ち政権の優先順位を加味しつつ、すすめるべきものであるが国家の政策には一貫性が不可欠である。そのためには連立与党の政策が不一致になってはならない。また、対外政策に個人的野心を採用すると国家は道を誤る。一方、野党は政権交代を目的にするのでなく国家のあり方に立って正論を弁じてほしい。健全な野党がなければ健全な民主主義は育たないのである。>

 この場合の「野党」は自民党のことか。ややこしいなぁ。

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2009年9月23日 (水)

ロシア政治経済ジャーナル[東欧MD中止](北野幸伯氏執筆・配信)は面白かった~09年9月23日

ロシア政治経済ジャーナル No.607(2009/9/23号)は<【RPE】東欧MD中止(オバマはゴルビーか?ルーズべストか?)>という内容だった。いわゆる陰謀史観の一種だと思うのだが、一読、感心した。よく調べているのだ。それも、根拠として、だれでもアクセスできる新聞社や通信社のHPのニュースを持ってきている。

 小さなインターネットのメール配信だが、もっと人気が出てもいいだろう。

 この回の配信をほとんどコピペしておく。以下は基本的にコピペだ。

 09年9月17日21時14分配信の毎日新聞<米国、東欧MD見直し/ロシアに配慮、中短距離対象に>は本文<【ワシントン古本陽荘、ウィーン中尾卓司】オバマ米大統領は17日、東欧のポーランドとチェコに配備予定だったミサイル防衛(MD)計画の見直しを発表した。自国への脅威と主張してきたロシアに配慮し、米露の核兵器削減交渉を円滑に進める狙いがあるとみられるが、米国内の保守派が「同盟国切り捨て」と反発するのは必至だ。>というもの。

 これだけ「ポン」と出されると、「ああ、米ロ関係はよくなるのかな~」と単純に考えるでしょう。

 しかし、歴史的視点から眺めると、ずいぶん違った絵が見えてきます。

▼米ロ対立の歴史

 全世界の人が、今回の危機は「アメリカ住宅バブルの崩壊とサブプライム問題が原因だ」と思っています。もちろん、間違っていないのですが。しかし、RPE読者の皆さまだけは、「裏の歴史」「もう一つの原因」を知っています。そう、今回の危機は「中国とロシアが一体化し、意図的に『ドル体制』を崩壊させてきたこと」が原因であると。

 新しい読者さんは、なんのこっちゃわかりませんね。このあたりの詳細は、「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」(http://tinyurl.com/yro8r7)をご一読ください。誰も否定できない山盛り資料つきで、全部わかります。とはいえ、「まず本を読んでからつづきを話しましょう」というわけにもいきません。一応、超特急で米ロ関係「対立の歴史」をふりかえってみましょう。

 90年代、ロシアは欧米日・国際金融機関から借金しまくる。そのため、ロシアは欧米に頭があがらず、よって米ロ関係も良好だった

00年、プーチンさんがロシア大統領に。
01年、ブッシュさんがアメリカ大統領に。
01年9月11日、米同時テロ。
01年10月、アフガン攻撃。

 プーチンは、アメリカのアフガン攻撃を支持した。当時、米ロ関係はおおむね良好。

02年、アメリカはイラク攻撃の工作を開始する。

 イラクに石油利権を持つロシアは、同じく利権をもつ国連安保理常任理事国フランス・中国と共に「イラク戦争」に反対する。

03年3月、アメリカはイラク攻撃を開始。

 ロシア・フランス・中国は、石油利権を奪われる。米ロ関係はこれで少し悪化

02~03年、アメリカのエクソンモービル、シェブロンテキサコは、ロシアの石油最大手(当時)ユコス買収を目指し、交渉を行う。

03年10月、ロシアの石油利権をアメリカに渡したくないプーチンは、ユコス社長ホドロコフスキー逮捕を命じる。アメリカの野心は挫折

☆ホドロコフスキーさんとロスチャイルド、ロックフェラーとの関係については、【RPE】プーチンの野望(ルーブルを基軸通貨に)09年2月18日号)をご一読ください。

http://archive.mag2.com/0000012950/20090218184811000.html

 アメリカは激怒し、米ロ関係は悪化アメリカは、旧ソ連諸国(ロシアの実質旧植民地)で次々とカラー革命を起こしていく。(03年グルジア・バラ革命、04年ウクライナ・オレンジ革命、05年キルギス・チューリップ革命米ロ関係はこれで決定的に悪化する。

05年、プーチンは仮想敵NO2中国と同盟し、アメリカ倒幕を決意

 中ロの大戦略は二つ。
  1、ドル基軸通貨体制を崩壊させましょう
  2、上海協力機構(SCO)を反米の砦にしてしまいましょう

05年、中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・ウズベキスタン・タジキスタンからなるSCOは、インド・パキスタン・イランを準加盟国とし、一大勢力になる

06年、ロシア「ルーブル建ての原油取引」を開始。(目的は当然、「ドル体制」を崩壊させること。)

 共同通信06年6月9日配信の<ルーブル建て原油取引開始/ロシア、影響力強化狙う>は<【モスクワ9日共同】モスクワの取引所、ロシア取引システム(RTS)で8日、初のルーブル建てロシア原油の先物取引が始まった。サウジアラビアに次ぐ世界第2位の産油国であるロシアは、自国通貨建ての自国産原油市場を創設することで、国際原油市場での影響力強化を図る狙いだ。>

07年2月、プーチンはミュンヘン安全保障会議で「アメリカ一極世界の終焉」を宣言

 曰く「一極世界は成立しなかった。どんなに言葉を飾っても(一極世界の)意味するところは一つである。一つの権力の中心、一つの力の中心、一人の主・一人の主権者の世界。これはシステム自体にとっても、主権者自身にとっても破滅的である。なぜなら、内部から崩壊するからだ」「今の世界にとって、一極モデルは受け入れがたいだけではない、不可能なのだ」

 一般の人々もさすがに「米ロ関係は最悪」であることに気がつく新聞でも「米ロ新冷戦」という言葉が出はじめる

07年6月、プーチン「ルーブルを世界通貨にする」と宣言。

 07年6月12日8時0分配信の産経新聞は<米露“破顔一笑”/「ルーブルを世界通貨に」プーチン大統領ますます強気>で<【サンクトペテルブルク=内藤泰朗】ロシアのプーチン大統領は10日、出身地サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、同国の通貨ルーブルを世界的な基軸通貨とすることなどを提唱した。同国など急成長する新興国の利益を反映した経済の世界新秩序が必要であるとの考えを示した形だ。世界的な原油価格高騰を追い風に強気のロシアは、米国主導の世界経済に対抗し、欧米諸国に挑戦する姿勢を強めるものとみられる。>

07年夏、サブプライム問題顕在化。

08年、フレディーマック、ファニーメイ、AIG、リーマン等々の危機がたてつづけに起こり、世界金融危機ぼっ発。ついに普通の新聞・雑誌等も、「アメリカの没落」について書きはじめる。

 新世紀に入ってからの米ロ関係をまとめると、
1、アメリカにいじめられたロシアが
2、仮想敵NO2中国と同盟し
3、倒幕活動を強力に推進した
4、そしてアメリカ発の危機が起こった

 といえるでしょう。

■東欧MDとは?

 米ロ関係がどんどん悪化していた07年初、ブッシュ政権が「東欧にMDを配備しよう」と決めたのです。そして、即座にNATOを説得しました。

 07年2月9日23時7分配信の読売新聞は<NATO、東欧へのミサイル支援確認/露と対立先鋭化>で<【セビリア(スペイン)=林路郎】スペイン・セビリアで開かれていた北大西洋条約機構(NATO)非公式国防相理事会は9日、米国がチェコとポーランドに建設予定の弾道ミサイル防衛(MD)システムについて協議、NATOとして配備を支援する原則を確認し、閉幕した。><米国の構想は、敵国の弾道ミサイルを追尾するレーダー施設をチェコに、敵ミサイルを迎撃するミサイル発射基地をポーランドに、それぞれ建設する内容。これについて両国がNATOの関与を求め、9日の理事会で議題に盛り込まれた。>(同上)とある。

 東欧MDについてアメリカは、「イランと【北朝鮮】のミサイルに対抗するため」と発表したので、専門家は大笑いしたのですロシアは、「東欧MDは『対ロシアだ!』」と猛反発しました。「ホントに対イランなら、トルコやイラクにMDを配備すればいいじゃないか!」というのです。

 07年2月10日19時34分配信の毎日新聞は<ロシア/米国のミサイル東欧配備に不快感/イワノフ国防相>で<ロシアのイワノフ国防相は9日、米国がポーランドなど東欧にミサイル防衛システムを配備する計画を進めていることについて、「配備の必要性がない」などと不快感を表明した。米国はイランの弾道ミサイルを念頭に置いた計画だと主張しているが、イワノフ国防相は「それならトルコやイラクに配備すべきだ」と述べた。>

 そして、当のイランも、アメリカの主張について「バカじゃないの?」と笑い飛ばしました。

 07年6月5日10時22分配信の毎日新聞<イラン最高安全保障委幹部/米のミサイル脅威論皮肉る>で<【テヘラン春日孝之】イラン最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は4日、米国が東欧に配備を計画しているミサイル防衛システムを「イランのミサイル攻撃から欧州を守るものだ」と主張していることについて、「イランのミサイルは欧州に届かない。今年一番のジョークだ」と述べ、イラン脅威論を皮肉った。国営イラン通信が伝えた。>

 いずれにしても、日本の専門家もロシアの専門家も、「東欧MDは対ロシア」ということで、意見が一致しています。

 で、プーチンさんが激怒したわけですが、なぜなのでしょうか?

 核抑止力といいます。

  1、アメリカが核ミサイルをロシアにうちました
  2、ロシアもアメリカに核ミサイルをうちました
  3、米ロ両国ともこの世から消えました

 二つの国がお互いの国を破壊しつくせる核兵器をもっている場合、「こわくて攻撃できませんよ」というのが核抑止力。

 じゃあ東欧MDが配備され、技術が完璧になったらどうでしょうか。

  1、アメリカが核ミサイルをロシアにうちました
  2、ロシアもアメリカに核ミサイルをうちました
  3、しかし、東欧MDにうちおとされ、米本土に届きませんでした
  4、ロシアは消滅し、アメリカは無傷でした

 ロシアはこうなることを恐れているのです。

 東欧MD計画が発表された07年当時、アメリカ大統領はブッシュさん。ロシア大統領はプーチンさん。今は、アメリカがオバマさん、ロシアはメドベージェフさん。オバマさんになってアメリカは、「ロシアとの関係を『再起動』させたい」なんていっていました。しかし、ロシア側は「ふたつの問題が解決されなければ、関係改善はありえない」との立場を崩さなかった

 ふたつの問題とは?

  1、東欧MD計画を見直しなさい
  2、旧ソ連のウクライナ・グルジアをNATOに加盟させるのはやめなさい

 東欧MD中止の発表で、ロシア側は大喜びしました。ニュースも、こればっか。そして、即座にアメリカへの誠意を示し、「東欧MDへの対抗策凍結」を決めたのです

 09年9月18日21時22分配信のロイター<ロシアのNATO大使、カリーニングラードのミサイル配備計画撤回を表明>は<[ブリュッセル 18日 ロイター]ロシアのロゴジン北大西洋条約機構(NATO)大使は18日記者会見し、米国のミサイル防衛(MD)システムの東欧配備中止の決定を受け、ロシアはバルト海沿岸の飛び地であるカリーニングラードに新たなミサイルは配備しないと述べた。>< ロシアの飛び地、カリーニングラードはポーランドとリトアニアの間に位置し、ロシアはここに中距離ミサイルの配備を計画していた。ロコジン大使は「ポーランドとチェコにミサイル防衛システムのための迎撃ミサイルとレーダー基地が配備されない場合、これに対応する必要はないというロジックを理解してほしい」と述べた。>(同上)

 ロシアが大喜びする理由はわかります。疑問が残るのは、「なんでアメリカは東欧MDをやめたの?」ということ。

 二つの有力な説があります。(しかも相互に矛盾していない)

■なぜアメリカは東欧MD中止を決めたのか1?(金の問題)

 アメリカの公式発表によると、東欧MD中止の理由は、「イランの脅威が思ったほどではなかったから」だそうです。

 産経新聞09年9月18日< ゲーツ国防長官は17日、「イランの長距離ミサイルの脅威はさほど深刻ではない」として、中・短距離ミサイルへの防衛に軸足を移す方針を説明した。オバマ大統領も、この方針をチェコ、ポーランド首脳に直接伝えた。>

 要するに「ロシアやイランが2年間主張してきたことは正しかった」と、「今頃気がついた」というわけです。もちろん「東欧MD=対イラン」と信じている人がいないように、オフィシャルな解説を信じている人もいません。

 では真実の理由はなんなのでしょうか?

 二つ考えられます。

 一つ目の可能性を「オバマ=アメリカのゴルバチョフ説」としましょう。

 比較のために、米ソ関係の流れをふりかえります

 二度のオイルショックがあった1970年代。原油価格の高騰により、ソ連経済はウハウハ状態でした。

 一方、アメリカは70年代、「ニクソンショック」「オイルショック」「ベトナム戦争での敗北」「ウォーターゲート事件」等々が立て続けにおこり、ボロボロでした。

 しかし、1980年代になると状況が一変します。レーガンさんは、「アメリカはNO1だ!」「ソ連は悪の帝国だ!」とし、ソ連に最後の戦いを挑みますもっとも有効だったのは、サウジアラビアを脅して原油価格を下げさせたことソ連経済は、79年からのアフガン侵攻と原油価格の暴落でボロボロになってしまった

 85年、「ペレストロイカ」(再建=政治的な意味で『変革』)を叫びながら、ゴルバチョフが書記長になります彼は、最初から「欧米との和解」を標ぼうした。アメリカは当初ゴルバチョフの意図に懐疑的でしたが、徐々に彼を信用するようになっていきます。ゴルビーは、東欧での革命に介入せず、東西ドイツが西ドイツを中心に統一されることも許しました

 問題は「なぜソ連は欧米との和解に踏み切ったのか?」ということ。そう「金がなかった」からですね

 アメリカの財政状況は、当時のソ連にとても似ています

 日本も中国も買い支えられないので、FRBが米国債を買いとらなければならない。(つまりドル増刷)

 東欧MDは、日本のMDとは違います。日本のMDは「日本に買わせる」ので、これはアメリカの儲け。ところが東欧諸国には金がないので、アメリカが負担しなければならない

 東欧MD中止でわかるのは、「ロシアに譲歩しなければならないほど、アメリカ財政は悪化しているのだろう」ということなのです。

◆イスラエルの影

 全然関係ないような話ですが……。アメリカが没落すると、一番困るのはイスラエルです。まあ、日本も困りますが……。イスラエルの場合、周りは全部イスラム国家。イスラエルを「国家」として認めていない国ばかり。現在はアメリカがバックにいるので存在していますが、アメリカが無力になれば、イスラエルという国はこの世から消滅する可能性すらあります

 そして、同国が最大の脅威と感じているのが「イラン」なのです。

 だって、これ見てください。

 09年9月19日13時57分配信の読売新聞は<イラン大統領/ホロコースト再び否定/欧米が反発>で、<【テヘラン=久保健一】ロイター通信によると、イランのアフマディネジャド大統領は18日、テヘラン大学で演説し、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)は「シオニスト体制(イスラエル国家)を作るための口実だ」と語った。同大統領は2005年にもホロコーストは作り話だとする発言で物議を醸したことがあり、今回も欧米で反発が広まっている。>

 イスラエルとしては、どう思うでしょうか? 当然「アメリカが健在なうちに、イランを征伐しなければ」と思うことでしょう。しかし、アメリカがイランを攻撃しようとしても、中国とロシアが反対するので、国際世論が味方につきません。(例、イラク攻撃)

 イスラエルは現在、大変な苦境に立たされているのです

 さて、そんなイスラエルのネタニヤフ首相が9月7日、モスクワを極秘訪問しました。メドベージェフと会ったとのことですが、極秘ですので、当然内容は公表されていません。しかし、流出してくる情報では「イラン問題が協議された」とのこと。もちろん証拠はありませんが、今回の米ロ和解にイスラエルがかかわっている可能性もあります

 普通の人は「イスラエルにそんな力があるんかいな?」「陰謀論か?」と思うでしょう。そんな方は、【シカゴ大学】と【ハーバード大学】の教授が書いたこの名著をご一読ください。

 「イスラエルロビーとアメリカの外交政策」ミアシャイマー・ウォルト(上 詳細は→ http://tinyurl.com/3bk8ob 下 詳細は→ http://tinyurl.com/3a9gdq

 そういえば、米ロ和解の直後、イスラエルからこんな情報が入ってきました。

 09年9月21日22時11分配信のロイター。<対イラン武力行使の選択肢を排除していない/イスラエル政府高官>の見出しで、本文は<[エルサレム 21日 ロイター]イスラエル政府の高官は21日、イランの核計画への対応としての対イラン武力行使の選択肢を排除していないと述べた。>

■なぜアメリカは東欧MD中止を決めたのか2?(戦争にむけて)

 アメリカ側のもう一つの理由を「オバマ=ルーズベルトの再来説」としましょう。さて、「アメリカは金がないから東欧MDをやめた」説と矛盾するようですが…。実は矛盾していません。

 現在は「100年に1度の不況」といわれています。100年に一度というのは、当然1929年からの「世界恐慌」を念頭においている。1929年、「古典派」フーヴァーさんは、恐慌を放置して大失敗しました。それで、次のルーズベルトは大々的に公共事業(ニューディール政策)をした。オバマさんは、フーヴァーさんの失敗に学び、即座に大規模財政出動を決めました。それで財政赤字が膨大になっているわけですが、この選択は正しいといわざるをえません。オバマさんにも「自分はルーズベルトの歩んだ道を歩いている」という意識があるのでしょう。彼の政策は、「グリーンニューディール」といわれています。

 ところで、ルーズベルトの活躍(???)にはつづきがあります。

 彼のニューディール政策だけではアメリカ経済、決定的にうわむかなかったのです。アメリカの景気がよくなったのは、第2次大戦がはじまってからでした

 その後アメリカは、「景気が悪くなったら戦争をすればいい」というクセができてしまいました

 例をあげると、

・レーガン時代の好況後、アメリカは不況に襲われた。ブッシュパパは湾岸戦争をした。

・ITバブル崩壊で、アメリカの景気は悪化した。ブッシュ子はアフガン・イラクを攻撃した。

 オバマさんがルーズベルトを研究したとすれば、「次は戦争だな」と考えてもおかしくありませんターゲットは当然「イラン」ということになるでしょう。何といっても、この国はアメリカのドル体制に堂々と反逆しているのですから

 07年12月10日9時31分配信のロイター<イラン原油決済/イラン/原油のドル建て決済を中止>は<[テヘラン 8日 ロイター] イラン学生通信(ISNA)は8日、ノザリ石油相の話として、同国が原油のドル建て決済を完全に中止した、と伝えた。>

 これが強力なドル下げ圧力になっている。さらに、「アメリカがイランを見逃したら、おれたちもドル外しをしよう!」と決意しているのが、中東産油国。GCC加盟国のうち4カ国(サウジアラビア、バーレーン、クウェート、カタール)は6月7日、サウジアラビアの首都リヤドで、湾岸共通通貨創設に関する合意書に署名しています。この構想が実現すると、「ドルで原油が買えなくなる」という驚愕の事態が起こってしまう。

 (湾岸共通通貨の詳細についてはこちらをご一読ください。【RPE】ドル体制をぶち壊す湾岸共通通貨  09年6月15日http://archive.mag2.com/0000012950/20090615212218000.html

 アメリカはイランを見せしめにし、その後「湾岸共通通貨なんてねぼけたこといってると、次はおまえたちの番だ!」と脅迫したい。そして、崩壊しつつあるドル体制をなんとか維持したい。しかし、イラク攻撃時のように根拠をでっちあげてしまうと、アメリカが「悪の帝国」になってしまう。ですからパールハーバーやアフガン攻撃時のように、うまいこと世論つくりをしていきたいのです

 ここで、「ロシアの協力」が不可欠になってきます。ロシアに譲歩したアメリカは、早速イラン問題を取り上げるようになってきました

 09年9月19日15時35分配信の産経新聞<米、イラン追加制裁を示唆>の本文は<クリントン米国務長官は18日、ワシントン市内で講演し、イランに対し核問題解決に真剣に取り組むよう求めるとともに、イラン側が拒否した場合、追加制裁を実施する可能性も示唆した。>

 アメリカは、当然ロシアに「追加制裁に同意せよ!」と迫ることでしょう。ところで、「イランの脅威は大したことなかった」が東欧MD中止のオフィシャルな理由でした

 当のイランは喜んでいるのでしょうか?

 09年9月21日15時30分配信のCNN.co.jpは<イラン最高指導者、米ミサイル防衛網見直しを批判>は<(CNN) 国営イラン通信(IRNA)によると、イランの最高指導者ハメネイ師は20日、米オバマ政権がミサイル防衛(MD)システム配備計画の見直しを発表したことに対し、「反イラン」的な政策との批判を展開した。>

 これはイランが、今回の出来事は、「ロシアとイランを分裂させるための工作」と気がついたということでしょう。

 問題は、ロシアがアメリカとイスラエルの意向に従い、「イランを見捨てるだろうか?」ということ。今の段階ではなんともいえません。もしロシアが協力を拒めば、アメリカは去年の秋に落とした爆弾をもう一回落とすでしょう。そう、原油価格大暴落 (→ロシア経済壊滅)という爆弾を。(註1、原油価格はNYの先物市場で決まるため、アメリカ政府が価格を操作することは容易)(註2、原油価格は、昨年147ドルの史上最高値をつけた後、大暴落。なんと32ドルまで下がった。ロシアの株式市場ではパニックが起こり、80%も大暴落してしまう。)
 以上がメール新聞の大まかなコピペである。

 面白かった。いろいろな見方があるものだ、と感心した。

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2009年9月21日 (月)

結局、小沢氏が政策でも決定権を握ったという当たり前のこと~毎日新聞09年9月21日朝刊[読む政治]

 毎日新聞09年9月21日(月)朝刊1面と3面のワッペン企画[読む政治]は<小沢氏が求めた緊急「小鳩会談」/組閣、参院選に布石/「岡田続投派」外し/小沢氏、政策にも影響力>だった。昔の話らしいが、この企画は時間がたったものでもいい検証をするので有名な企画だ。読んでみよう。
 <「5分くれないか」。民主党幹事長に内定していた小沢一郎代表代行が鳩山由紀夫代表に唐突に伝えたのは9日。前日の8日には14日に会談することで合意したばかり。緊急会談は10日に設定されたが、衆院選後の4回の「小鳩会談」のうち小沢氏から求めたのはこの1回だけだった。>
 9月9日に小沢氏から持ちかけた会談が行われた、と。
 <会談時間は5分を超え約14分。会談内容は不明だが、鳩山氏側近は「参院枠などの協議だったようだ」と明かす。鳩山氏は5日の小沢氏との会談で「党務はお任せします」と伝えたが、来年夏の参院選で単独政権を目指す小沢氏にとって参院対策は党務の一環。組閣に介入しない姿勢を見せながら、参院選に向けて布石を打った。>
 党務と政務をきれいに分けることなど昔からできない相談なのだ。
 <小沢氏は西松建設問題での代表辞任後の代表選(5月)で幹事長だった鳩山氏支援に回り、鳩山氏優勢の流れを作った。続く衆院選(8月)では選挙責任者として民主党圧勝に導いた。鳩山氏にとっては「鳩山首相誕生の原動力」となった小沢氏への恩義がある。>
 そういうことだ。
 <12日、小沢氏に近い輿石東参院議員会長は記者会見で参院枠を「2~3人」と求め、鳩山氏は「満額」の3人を起用して応えた。輿石氏側近は「輿石氏が小沢氏に働きかけた結果」と、小沢氏の影を指摘した。14日、鳩山氏が「閣僚候補はこう考えています」と組閣リストを提示すると、小沢氏はあっさり受け入れた。>
 小沢氏の輿石氏への配慮がどこからきているのか? 参院選だけなのか?
 <「人事は党と内閣で仕分けをしたから」。鳩山氏が閣僚への内示で党本部に詰めていた15日夜、小沢氏は東京都内の日本料理屋で連合の高木剛会長らに悠然と語った。しかし、ここに至る舞台裏では小沢氏支持派と非小沢派の壮絶な主導権争いが繰り広げられた。>
 以下は3面だ。
 <「(岡田克也氏は)幹事長を続投すべきですよ」。衆院選投票日当日の8月30日午後、東京都内で、岡田氏を5月の党代表選で支持した野田佳彦前幹事長代理や枝野幸男元政調会長ら中堅議員6人が会合を開いた。民主党勝利の功労者、小沢一郎代表代行(当時)が幹事長に就けば「党内の勢力バランスが崩れる」と懸念。「岡田氏も前向きだった」と出席者の一人は振り返る。>
 そうかぁ、野田氏が干されていると思ったら、そういうことか。
 <鳩山由紀夫代表も投票日前後は「岡田幹事長続投」を前提にした人事構想を練っていた。小沢氏についても「いずれ幹事長に」との意向を持ってはいたが、非小沢系とされる岡田氏支持議員らの続投を求める声を受け、党内バランスへの配慮を重視しようとしたのだった。>
 そうだったよね。
 <しかし、後に官房長官となる平野博文役員室長や、官房副長官となる松野頼久衆院議員ら鳩山氏の側近が、小沢氏を支持する複数の議員と接触。意向を探ったところ、圧勝を受けて存在感を増した小沢氏支持グループが「小沢幹事長」を強く待望していることを知る。小沢氏側近は「小沢さんに権力を握らせず選挙だけやらせておけばいいというのは野党の発想。与党なんだから選挙の責任者が幹事長になるのは当然だ」と岡田氏支持派に強く反発した。>
 勝てば官軍ですな。
 <「『小沢幹事長』しかありませんよ」。3日夕、党本部で鳩山氏は側近議員の訴えに耳を傾けた。衆院選での実績評価などを理由に「礼を尽くすべきだ」と説く側近に、鳩山氏は「そうだよな」。同夜、党本部に小沢氏を呼び、幹事長就任を要請。「岡田続投派」を切り捨てた。>
 最初からそういうシナリオだったんじゃないか、という疑いもあるのだが。
 <「小沢幹事長」決定を境に、小沢氏支持派の声は一段と高まり、鳩山氏も党内のバランスより「論功行賞人事」へと傾斜する。側近議員によると、鳩山氏は閣僚人事をめぐり「代表選で支持してくれた功労者をまず厚遇しなければいけない」という考えを強め、小沢氏に批判的な岡田氏支持派への配慮は薄らいでいったという。>
 まあ、そんなものあろう。日本人の悪いところだね。考え方の中心軸がぶれれば、あとは「何でもあり」になってしまう、ということ。
 <岡田氏は、鳩山、小沢両氏の会談後、小沢氏が「党と国会は任された」と記者団に語ったことについて、鳩山氏に電話で「小沢氏に党運営をすべて委ねるのはいかがなものか」と伝え、党内バランスが偏ることに警戒感を示した。>
 岡田氏は反小沢ととらえられる行動をしていたのだね。
 <だが、結果的に非小沢系でも入閣優先度が高かった前原誠司前副代表と仙谷由人元政調会長は閣僚ポストを得たが、野田、枝野両氏は外された。鳩山氏側近は「野田氏らまでは回らなかった」と漏らしたが、岡田氏に続投要請したメンバーの一人は「前原、仙谷両氏はあの会合にいなかったのが幸いした」と語った。>
 そういうことなのか。これで一連の人事がよく分かったよ。
   ◇   ◇
 <党の実権を小沢氏が握ったことで「党と内閣の一元化」は形骸化し、「二元体制」となりつつある。国会運営を仕切る国会対策委員会が「小沢学校」(中堅)の様相を呈する。小沢氏に近い山岡賢次国対委員長が留任。大量当選した新人の教育係となる17人の副委員長には、小沢氏支持の衆院若手グループ「一新会」の鈴木克昌代表幹事らメンバーがずらりと並ぶ。>
 まあ、ここまでは仕方ないことだと思うでしょう、誰もが。
 <小沢氏は政策決定を巡っても影響を強めつつある。18日、小沢幹事長名で「政府・与党の一元化における政策の決定について」と題した文書が全議員に配布された。党政策調査会組織を廃止し、副大臣が与党議員からの政策提案をまとめる「各省政策会議」を設置。「選挙・国会など議員の政治活動にかかわる政治的な問題の関連法案は党の責任で議員提案とする」と明記した。法案提出を巡る政府・与党間の綱引きに発展しかねない内容で、ある幹部は「役員会など公の場で議論しておらず、唐突だ」と指摘した。>
 議員提案とするのか。田中角栄的だが、もっと組織的だね。新時代の角栄の面目躍如というところか。

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2009年9月20日 (日)

産経新聞[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]北朝鮮のダミー川上義博議員の暗躍、仙谷氏と自治労、丹呉事務次官と藤井財務相の真剣勝負、香川俊介元小沢秘書官の出世…~09年9月16日→20日

 産経新聞09年9月16日朝刊から[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]が始まった。最終回に筆者が出ていた。阿比留瑠比、赤地真志帆、加納宏幸、比護義則、酒井充、宮下日出男、小田博士が担当、とあった。①~⑤の全文を読んでみよう。
 まずは第1回だ。

■①試金石の「脱官僚」/現れてきた二重権力の実像

 第1回の9月16日は<試金石の「脱官僚」/現れてきた二重権力の実像>だった。
 読んでみよう。

 <16日に発足する鳩山内閣と民主党は、日本をどこに導くのか。国民の期待に応えられるのか、期待外れに終わるのか。内外の注目が集まる中、「スタートラインについたばかり」(鳩山氏)の民主党の「いま」と「これから」を追う。>

 という前文だ。

◇無人の野行く小沢氏

 <8月30日の衆院選大勝利の後、民主党は新政権発足に向け、生みの苦しみを強いられてきた。政権交代を果たしても、大海へと乗り出す「鳩山丸」の船乗りたちは、初心者が多くまだ練達していない。今後も、大波や突風に揺さぶられる試練が待っている。>

 生みの苦しみねぇ。

 <「挙党一致態勢、さあこれからだ。そんな決意で党運営は小沢一郎代表代行に仕切っていただき、政府の方は鳩山由紀夫代表に、国民の期待に応えていただく。その確認ができた両院議員総会だった」。新政権発足を翌日に控えた15日夕の両院議員総会で、小沢氏に近い輿石東・参院議員会長はこう言い切った。まるで鳩山、小沢両氏による「二重権力構造」が正式に決定したかのような言い回しだった。衆院選で民主党が圧勝し、新人が大量当選した結果、新人の面倒を見た小沢氏を中心とする議員グループは約50人から150人規模へと膨れあがった。小沢氏の影響力はそれまでも党内で突出していた上、鳩山氏が首相、菅直人代表代行が国家戦略局担当相、岡田克也幹事長が外相となりそれぞれ政府に入る。今や党内は、小沢氏がひとり無人の野を行くような様相となった。>

 50人→150人ねぇ。やっぱりすごいことだ。

 <国民に開かれた政党を標榜し、鳩山氏らが平成10(1998)年に結成した新「民主党」。非自民の細川連立政権に参加した社会、さきがけ、新進各党など雑多な出自の議員を執行部の強権でまとめる手法は取らず、名の通り民主的な党運営を自任してきた。だが、その体質は平成15(2003)年に合流し、この5月まで党代表を務めた小沢氏の下で徐々に変貌を遂げる。>

◇明確な力関係

 <今回の人事でも当初は「一人で一気に決める」としていた鳩山氏は党人事は小沢氏に一任し、閣僚人事も14日に小沢氏と会談してわざわざ了承をとった。鳩山氏周辺は「小沢氏に異議はなかったと聞く」と安堵するが、小沢氏に批判的な党中堅は「小沢さんが『ノー』といった閣僚人事は決まらないということだ」(中堅議員)と指摘する。>

 小沢一郎氏は岡田氏が代表、つまり次期総理大臣候補になるのを嫌がり、鳩山氏を推した。なのに、こんな関係なのか?

 <赤松広隆選対委員長の入閣が決まったのも、小沢氏周辺は「小沢氏が推薦したからだ」と証言する。鳩山氏は新政権発足後、党の重要方針を決める「三役懇談会」から岡田氏を外し、小沢氏側近の山岡賢次国対委員長を新たに加えた「党首脳会議」(仮称)を新設する考えだ。ここでも小沢氏側に最大限の配慮をした形で、政府の意思決定を内閣に一元化するとした衆院選マニフェスト(政権公約)との整合性が問われるところだ。>

 小沢氏の代貸争いが起きないのかねえ、こんな「側近」ばかりの世の中で。公明党の市川なんてえ人間が昔いたが、今もしも生きているとしたら、こういうニュースを見てどう思うんだろう? 利用されたと思うのだろうか? それとも、いい思い出なのか?

 <また、鳩山氏は新政権の人事で、小沢氏の幹事長起用をいの一番に決めたが、この場面でも両氏の力関係は明確に表れた。鳩山氏が小沢氏に幹事長就任を要請した3日夜「小沢氏を呼ぶ」と記者団に宣言してから、鳩山氏は小沢氏が到着するまで約2時間も待たされた。周辺は「たまたま連絡が悪かったというのではなく、鳩山氏は選挙後、小沢氏に連絡がとれない状態だった。意思疎通がうまくできていない時期だった」と明かす。>

 「連絡が取れない」というのは細川政権の時に何度聞いたか。

 <鳩山氏がはれ物に触るように小沢氏に接するのはなぜか。これより前、小沢氏に近い党幹部は鳩山氏に「議長や閣僚は誰だっていい。だが(小沢氏以外)幹事長は代わりはいない」と暗に小沢氏の幹事長への起用を強く求めていた。>

 まあ、小沢一郎氏は昔から幹事長というポストを好きなんだから仕方ないね。

◇前途多難

 <鳩山氏は首相就任を翌日に控えた15日、にこやかな笑顔の一方で、どこか苦悩を堪え忍ぶようなこわばった表情も見せた。脳裏には、どんな思いが去来していたのか。この日午前、民主党本部で開かれた常任幹事会。鳩山氏は、新首相として直面するさまざまな困難を予期するように、幹部議員らにこう呼びかけた。「これから国民が中心となる政治をつくり出していく作業は、大変、前途多難だ。試行錯誤の部分も多いかと思う。苦しいときも一つになって頑張ろう」。>

 苦しい顔かどうか、鳩山氏はポーカーフェイスだから分からないね。

 <同日夕、都内のホテルで開催された両院議員総会。鳩山氏は400人超に膨れあがった衆参の所属議員が埋め尽くした会場を見渡して「壮観だ」と述べたが、こうも戒めた。「民主党が国民の期待に応えていかなければ、しっぺ返しをくらい、失望感がこの国を覆えば、取り返しのつかないことになる。喜んでいる場合ではない」。>

 どこまで本気なのか、ともおもってしまうが、いいことを言うのだね。

 <14日に国会内で「敗軍の将」である麻生太郎首相と会談した際も同じだった。「内政、外交、難問山積だと思う。アドバイスがあればたまわりたい」。辞を低くして助言を乞いもした。鳩山の双肩には308議席分の国民の期待と、首相となるプレッシャーが重くのしかかっている。>

 重責を担うという責任感は少なくとも麻生太郎氏以上にありそうだ。

◇試金石

 <世論調査を見る限り国民が民主党に求める政策は「脱官僚」と「財政のムダ遣い見直し」であることがはっきりと表れている。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が今月5、6両日に行った合同世論調査で「民主党が実現すべき政策」を聞いたところ、二つの選択肢を選ぶ回答が突出して多かった。「政治と官僚の関係の見直し」(87.5%)と「予算の編成や執行の見直し」(87.4%)がそれだ。国民の財布に直接響く「子ども手当」が58%、「高速道路の原則無料化」が26.1%にとどまったのと比べると、国民の関心がいかに高いかが分かる。>

 世論は脱官僚政治と財政無駄遣いに関心がある、と? 「パンとサーカス」野郎たちが何を言うか、とも思う。政治なんてこんな大衆に媚びるシステムではダメだ、とも思う。だが、そういう思いはグッと腹の中におさめておくしかない世の中なのだ、今の日本は。

 <「脱官僚依存の政治を興すんだと、みなさんと力強く訴え続けてきた。その言葉を、ただ言葉だけに終わらせてはならない」。鳩山氏自身、15日の両院議員総会でこう訴えた。立ち止まったり後退した印象を与えると国民の期待は反発へと転じかねない。>

 自分の言った言葉の影に追い掛け回されるピエロにならないでほしいなぁ、鳩山さんは。

 <党最高顧問の藤井裕久氏は、政権交代の意義についてこう述べている。「民主党が政権を取ったら特別会計をやめ、公益法人を整理し、国のムダを省いて財政を再建する。それができなければ政権交代は必要がない」。鳩山氏自身が強調するように、前途は楽観できない。党内には、自治労など官公労を支持基盤とする議員も少なくなく「脱官僚」や「ムダ見直し」の行方も未知数だ。だが、船はこぎ出すしかない。>

 財務相予定者がこう宣言していたんだったら、鳩山政権はもう後戻りはしないだろうね。

◇人事転々

 <閣僚人事ではドタバタ劇や当てはずれもあった。鳩山氏は閣僚内定者に「外に漏れたら(ポストが)変わるかもしれない」と箝口令を敷いたが、威令は効を表さなかったようだ。党内の主流・反主流のバランスをとった陣容も「サプライズがなく鳩山氏はやはり人事下手」(党関係者)と評価は高くない。民主党の仙谷由人元政調会長は15日夜のメールマガジンで「ただ今、吉報が入りました」と入閣を報告し、直後のメールで「準備中のものが誤って流れた」と訂正する場面もあった。>

 大好きな仙谷さんが。微笑ましいね。でも、恥をかいたから、秘書は怒られただろうね。がんになって、手術をして、克服して衆院議員を続けている人だけど、医者らの信頼も抜群だよ。

 <「国民新党にとってはパーフェクトの人事をやってもらった。素晴らしい。(私を)郵政見直しの専任の大臣にしたということは、並々ならぬ意気込みを示されたことだ」。一方、国民新党の亀井静香代表は15日の記者会見でこう語り、自身の郵政問題・金融担当相への起用を歓迎した。郵政民営化に反対して自民党を離党した亀井氏にとって4年ぶりに「リベンジ」というわけだ。亀井氏の人事は迷走もみせた。鳩山氏が打診した2種類のポストのうち、防衛相情報だけが独り歩きしたため、防衛省も鳩山氏周辺も国民新党の他議員も、直前まで亀井氏は防衛相と思い込んでいたのだ。「みんな悪いなあ。後で慰労するよ」。亀井氏は15日午後、記者団にこう語り、最後まで自身のポストが定まらなかったことをわびた。>

 産経新聞の脇の甘いところというか、すぐにこんな話を書いてしまうところが好きだ。朝日新聞記者は書かないだろうね。

 <少子化・男女共同参画担当相などに起用される社民党の福島瑞穂党首は同日午後「土井ママ」と呼ぶ土井たか子元衆院議長から電話を受けた。福島氏「体を張って頑張ります」。土井氏「体なんか張ったらダメよ。体を大事にして頑張って」。鳩山連立政権の実像と方向性が、徐々に明らかになってきた。>

 土井たか子さんはまだまだ元気なのか? いろいろな会議などには出ているのだろう。北朝鮮関係の会議やパチンコ業者関係の会議とか。

■②方針は二転三転/小沢氏は新人を一喝

 9月17日付②[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]②は<方針は二転三転/小沢氏は新人を一喝>だ。読んでみる。

◇縄張り争い

 <16日午後6時すぎ、首相官邸。無数のシャッター音が激しい雨音のように降り注ぐ記者会見場に現れた鳩山由紀夫首相は、こう語り始めた。「日本の歴史が変わるという身震いするような感激と大変重い責任を負った」。「鳩山丸」は出航の時を迎えた。だが、新内閣の屋台骨とされ、予算の骨格など政府の基本方針を決める国家戦略局や、国の行政全般を見直す行政刷新会議の実態はどうか。方針が二転三転したり、そもそも定まっていなかったりで正体不明の印象はぬぐえない。>

 「正体不明」はきつい言い方だね。

 <「個別の予算編成は財務相の専権だと思う」。藤井裕久財務相は16日朝、予算編成における財務省と国家戦略局の役割分担について記者団にこう強調した。>

 <菅直人副総理・国家戦略局担当相が、平成21(2009)年度補正予算の事業執行停止に言及していることを牽制したとも受けとれる。戦略局構想は当初、外交ビジョン策定なども行う予定だった。このためか、岡田克也外相も11日の記者会見で次のように指摘し、国家戦略局に枠をはめた。「すべてを神のごとく決定していくことはできない。それぞれの役所の所掌事項まで国家戦略局で議論するということではない」。>

 菅直人が好きか嫌いかの世界のように見えるのだが。

 <“見切り発車”感が漂う中、平野博文官房長官は16日の記者会見で「菅氏には起案・企画のスタッフ機能と(各省庁間の)調整機能を持ってもらう」と述べた。だが、これらの調整は本来官房長官の役割だ。一方、仙谷由人・行政刷新担当相は記者団にこうぼやいてみせた。「大臣以外は事務局もなければ部屋もない。自動車もない、秘書官もない。『ないない尽くし』だ」>

 平野博文という人、知らなかったが、やり手みたいだね。

◇ブートキャンプ

 <16日午後。首相指名を受けた鳩山首相が晴れやかな表情で各党にあいさつ回りをしていたころ、小沢一郎幹事長は党本部の大ホールで険しい表情で新人議員と向き合っていた。「1年生の仕事は次の選挙に勝つことだ。政権交代は成し遂げたが、自民党はいずれ復活してくる。とにかく地元活動をやれ!」。小沢氏がこう一喝すると、初登院の興奮冷めやらぬ約140人の新人議員はいきなり冷水を浴びせかけられ、押し黙った。この会合はマスコミを完全にシャットアウト小選挙区での当選者と、比例代表での復活当選者は完全分離して会合を開き「小選挙区で勝てない議員は一人前ではない」との「小沢イズム」を徹底させた。小沢氏の念頭には、もはや来夏の参院選、そしてその先の衆院選しかない。新人教育にかけるその執念は徹底しており、今後は新人議員を15の班に分け、火曜から金曜までの毎朝、先輩議員が選挙活動や国会運営についてみっちり「指導」する手はずを整えている。「小泉チルドレン」に振り回された自民党の二の舞を演じたくないとの思いもあるのだろう。民主党では「イチローズ・ブートキャンプ(新兵訓練基地)」とささやかれている。>

◇閣僚も選挙シフト

 <民主党の「選挙シフト」は閣僚人事にもはっきりと表れている。平野官房長官、川端達夫文部科学相らは有力労組出身。赤松広隆農水相も労組と縁が深い。旧社会党系議員の優遇も目立つ。社民党の福島瑞穂党首を含め、参院議員4人を登用したのも参院補選や参院選をにらんでの布陣といえる。>

 考えてもみなかった。もし、この記事があたりならば、すごいこと、というか、残念なことだ。小沢氏からは「何を甘っちょろいことを言っているんだ」と笑われそうだが、せっかく政権交代したのだから、閣僚には剛腕をそろえて、官僚政治を180度転覆させるのが最大の狙いかと思っていた。そうじゃなかったようだね。

 小沢氏の考えが正しいのだろうとは思う。衆院の絶対多数だけでは何もできないのは小泉政権が実証してしまった。参院でも絶対多数を取り、その上「大連立」をして、憲法改正をして参院を廃止、一院制にすることがすべてのスタートだろうからね。いつこういう考えを公表するかは、小沢氏に会っていないから、詳しくは知らないが。

 <「旧社会党系、旧民社党系がこれだけ入り、組合員はますますやる気になる。参院選を最優先に打ち出したことが分かる布陣だ」。日本労働組合総連合会(連合)幹部は諸手を挙げてこう歓迎する原口一博氏の総務相起用は橋下徹・大阪府知事とのパイプや地方票の集票を意識したといわれる。>

 原口氏ってそういう人なのか?

 <政府の政策に労組色が強まることは確実だが、鳩山首相の本意なのだろうか。首相はかつて「労組の歴史と役割は否定しないが、政治に対する好ましくない干渉もある。我々自身の中にある労組依存症の体質を改めたい」(平成14(2002)年9月11日付読売新聞のインタビュー)と述べていた。すべてにおいて選挙を優先させる「小沢流」が首相に乗り移ってしまったようだ。また、今回の組閣は「代表選で岡田氏を支持した人はおおむね外された。論功行賞人事だ」(中堅)という側面もあった。水面下では自民党政権と変わらぬ猟官運動が繰り広げられた。見事に閣僚の座を射止めたある議員は先週周囲にこう公言していた。「これでもし入閣がなかったら他の役職なんか就かない。一議員にさせてもらい、何もしない」>

 自民党と一緒に政権を担当した社会党は社民党になったが、民主党に移った人もいる。野党も与党も「万年」がいなくなると、議員が平準化されてくるのではないか。

◇お手並み拝見

 <「脱官僚依存」と「政治主導」を掲げる割には、ちぐはぐな印象が否めない閣僚人事もあった。16日午前、赤松広隆農水相の国会議員会館内の事務所に農政関係議員が呼ばれた。それまで、ほとんど農政畑と縁のなかった赤松氏はこう尋ねたという。「自分は党の農水の勉強会(部会)にどんなメンバーがいるのかよく知らないので、どんな人が来ているのか教えてくれ」。仙谷氏と長妻昭厚生労働相のポストは15日夜に入れ替わった。鳩山由紀夫首相が長妻氏の「どうしても年金問題をやりたい」との意向を汲んだからだ。その結果、自治労の組織内候補である仙谷氏が公務員制度改革を担当するというすっきりしない形になった。>

 長妻氏は何をどうするのか。何しろ自分で手を挙げたのだからね。

 <鳩山首相は平成14(2002)年9月の党代表就任時、旧民社グループの中野寛成・副代表を幹事長に抜擢し「露骨な論功行賞だ」との猛反発を買い、代表辞任に追い込まれた。小沢一郎幹事長の周辺は「鳩山さんは相変わらず人事が分かっていない」と語り、こう言い放つ。「小沢さんから見れば『お手並み拝見内閣』だ。どうせ、来年の参院選までの内閣なのだから…。本格政権はそれからだ」>

 誰がこういうことを言うのか。酒を飲んだ小沢一郎氏が自分の手下たちにこういう話をしているのだろうか? 昔はそうだったが、最近は酒も飲まないだろうし、こういう刺激的なことは言わないと思うのだがね。鳩山以外に誰がいるのか?

 そういえば面白い話を聞いた。小沢氏が今後どうするつもりなのか、という予想の話なのだが、小沢一郎氏は自分のグループ150人+アルファを引き連れて参院選後に自民党に「合流しないか」と申し入れ、名前は自民党であっても実際には小沢党にしてしまう。その際に民主党に残るのは岡田克也氏を中心とした一派で、小沢党と岡田党とで2大政党をつくる、という話だ。だから小沢氏は岡田氏にわざと冷たく当たるのだ、という解説までついている。

◇水面下の策動

 <きょうが政治と行政の仕組みを根本的に変えるスタートの日。後世の歴史家が『素晴らしい日だった』という一日にするために、これから積極的に働こう」。鳩山首相は16日午前、国会内で開かれた参院議員総会でこう呼びかけた。だが、実際には鳩山首相の意向とは関係なく、正式な政権発足前から、それぞれの思惑に基づく動きが活発化している。>

 9月16日は歴史に残る日なのか。それとも8月30日がそうなのか?

 <「新政権発足後、できるだけ早く皇位継承の問題があることを伝え、対処していただく必要がある」。宮内庁の羽毛田信吾長官は10日、記者会見でこう語った。皇位継承権者を男系の男子皇族に限定している、現行の皇室典範改正への取り組みを要請する考えを示したものだ。>

 女帝を認めろ、と……。

 <民主党の川上義博参院議員は11日、党本部で小沢氏と面会し「政権与党になったのだから」と永住外国人への地方参政権付与の推進を要請した。在日本大韓民国民団(民団)のメンバーが同席する中、小沢氏はこう同調したという。「自分はもともと賛成であるので、ぜひ、来年の通常国会では何とか方針を決めようじゃないか」。ともに衆院選マニフェスト(政権公約)にはない課題だ。鳩山首相は16日の記者会見で「国民は政権にさまざまなモノを言ってもらいたい」と呼びかけた。今後は党内外から寄せられる意見や批判だけではなく、様々な要請をうまくさばく手腕も試される。>

 ウィキペディアだったかに川上氏の説明があった。面白いほど詳しい。これもコピペしておく。随分と北朝鮮と朝鮮総連にのめり込んでいる人のようだ。鳥取県選出といえば境港だろうね。対北朝鮮貿易で生きてきた地域だ。北朝鮮制裁で日本で唯一損をしている地域なのだ。

 <川上義博氏は1950年10月26日に鳥取県東伯郡琴浦町に農家の長男として生まれ、鳥取県立由良育英高等学校、青山学院大学経営学部経営学科卒業。相澤英之経済企画庁長官秘書官、衆議院議員公設秘書を経て1995年鳥取県議会議員に初当選し、2期務めた。2003年11月の第43回衆議院議員総選挙に無所属で出馬し初当選。自民党系無所属の新人議員5人で院内会派「グループ改革」を結成し代表となった。2004年12月には自民党に復党し亀井派に所属。2005年7月5日の郵政国会において郵政民営化法案の衆議院本会議では青票(反対票)を投じたため、2005年9月11日の第44回衆議院議員総選挙では自民党の公認を得られず無所属で出馬。新しい自民党公認候補の赤沢亮正に敗れた。総選挙後、党本部からの勧告により自民党を離党。2006年7月、民主党入りを表明した。郵政造反組の民主党鞍替えは川上氏が初。2007年の参議院議員選挙では鳥取県選挙区の民主党公認候補として出馬、地方への公共事業の必要性を説き、3期目を目指す自民現職の常田享詳氏と対決し当選した。2008年3月に日銀総裁の国会同意人事で武藤敏郎総裁案が出された時、川上氏は棄権した。
 2005年12月と2007年3月に訪朝。対北朝鮮経済制裁については衆院議員に当選以来反対しており、議員落選中の2005年12月5日に北朝鮮の金泰鍾・国際部副部長の面談を受けるために平壌を訪問。帰国した川上は記者会見を開き、拉致問題は小泉純一郎首相の過去2回の訪朝で「すべて解決している」ことや、横田めぐみさんのニセ遺骨問題について日本の調査結果は信用できない、などの意見を発表。「日本が北朝鮮に支援をしないのはおかしい」などとも述べ、親北朝鮮ぶりをアピールした。
 2008年2月に北朝鮮との国交正常化実現を促す議員連盟「朝鮮半島問題研究会」の立ち上げに参加、事務局長をつとめる。北朝鮮に「対話と圧力」の姿勢を取っている超党派の「拉致救出議連」とは一線を画し、直接対話や交流を進めていくことを表明。2008年5月22日、自民党の山崎拓、加藤紘一、民主党の菅直人、公明党の東順治、社民党の福島瑞穂、国民新党の亀井静香各紙らと一緒に日朝国交正常化推進議員連盟を結成し、事務局長に就任した。
 川上氏は自民党時代、人権擁護法案に反対姿勢の真の人権擁護を考える懇談会に在籍しており、保守系議員との連携が強かったが、一方で永住外国人への地方参政権に賛成の立場を一貫して示している等、党内のリベラル系議員とも知己が深かった。
 なお、河村建夫を初め、そもそも前者に反対でも後者には賛成の立場をとる議員は数多い。民主党に移籍してからは、外国人に参政権を付与するための法案作りに白眞勲氏と共に奔走する。公明党と協力して法案の成立を目指しているが、民主党の保守派は「選挙権は日本国籍を有する者に対してのみ保障されている。政局的な狙いから『国のかたち』をゆがめるべきではない」と反発している。
 川上氏は「(日本が)在日コリアンをつくっておきながら、責任をとろうとしないその姿勢に怒っている」(2006年10月に在日本大韓民国民団中央本部と「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」が国会議員に実施したアンケートより)との見解であり、日本人は朝鮮半島に対する謝罪として、日本国への参政権を与える義務があると主張した。
 2008年1月下旬、在日韓国人への参政権付与法案を成立させるために「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」を設立。李明博・韓国大統領の初来日の手土産として法案を成立させることを目標に岡田克也、鳩山由紀夫両氏など党の重鎮を取り込むことに成功したが、保守系のリーダー格渡部恒三氏をはじめ、長島昭久、松原仁、渡辺周、笠浩史各氏ら民主党内の保守系グループから反発を招くことにもなった。
 2009年9月11日、在日本大韓民国民団の幹部を連れて、与党・民主党の小沢一郎幹事長に面会し、一国も早い在日韓国人への参政権付与を求めた。>

 こんな奴(と言ってもいいのかどうか、まだはっきりしないのだが)が小沢氏に近いのだろうか? よく分からない人たちが跳梁跋扈しているようだね。

■③解かれる左派色の“封印”

 9月18日朝刊の[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]③は<解かれる左派色の“封印”>だった。読んでみよう。

◇公務員に争議権

 <政権発足から一夜明けた17日、鳩山由紀夫首相が首相官邸に招いた最初の客は民主党最大の支持団体、日本労働組合総連合会(連合)の幹部だった。鳩山首相は満面の笑みを浮かべて、高木剛会長、古賀伸明事務局長らと握手を交わし「最も力強く支援してもらった方々にお越しいただいた」と衆院選での支援に礼を述べた。そして、こう続けた。「政権与党となったので、連合の提言や政策にこれまで以上に応えられる」。>

 <同じころ、日本商工会議所は都内のホテルで総会を開催していた。だが、来賓として招待されていた鳩山首相は足を運ばず、メッセージを送っただけだった。>

 <もともと連合内部では、衆院選までは民主党政権への積極関与論と慎重論とで意見が割れていた。だが、民主党が大勝すると、以後は新政権に対する基本原則がまとまり始めた。それは「(参院選を指揮する)小沢一郎幹事長の支援」、政府・党に対する「人事不介入」、政策には「是々非々」で臨む――の3点。組織決定されたわけではないが連合幹部らの暗黙の合意として浮かんだ。>

 <ただ、見返りなしの支援などありえない。連合内ではこれまで長年、自民党政権に求めてきたが果たせなかった政策要求の実現に期待が高まっている。特に、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた公務員の労働基本権回復は連合傘下の自治労の悲願だ。これにより公務員も民間人と同様に団体交渉権、争議権などを獲得できるからだ。>

◇どうなる竹島記述

 <政権交代を見越して霞が関の官僚が結論を先送りしてきた案件の一つに「竹島記述問題」がある。「ゆとり教育」を全面的に見直す新学習指導要領は、高校では平成25(2013)年度から実施される予定だ。ところが、その指導内容の詳細を定めた地理歴史の解説書に関しては「政治問題が含まれるので、策定作業を衆院選後に延ばした」(文科省幹部)というのだ。>

 <現行の高校地理歴史の解説書は、領土問題について「北方領土などを的確に扱う」と記述するのみで、韓国に不法占拠されている竹島に触れていない。一方、昨年7月に公表した中学校解説書は竹島の記述を盛り込んだが、韓国の強い反発に配慮。「韓国との間に主張に相違があることなどにも触れ……」と煮え切らない表現となった経緯がある。当時、鳩山首相は「(竹島の)明記は当然だ」とする一方、小沢一郎幹事長は「(政府が)日本の領土だと言うのなら、日韓で(話し合いを)やるべきだ」と慎重な姿勢で、党内の見解はまとまっていなかった。>

 <中学校解説書で竹島に言及して高校解説書では触れないというのでは、整合性がとれないが……。「文科省だけでは済まず、外務省、官邸も巻き込んだ政治判断になる。対応を間違えれば、新政権の爆弾になるかもしれない」。関係者はこう予想する。鳩山政権は領土教育にどう取り組むか。「友愛外交」の本質が問われる場面だ。

◇飛び出す左派法案

 <自民党政権でも検討されたが「人権侵害の定義があいまい」「救済機関の権限が強大すぎる」などと反対論が強く、提案が見送られてきた「人権擁護法案」が、政権交代で日の目を見る可能性が出てきた民間の言論への公権力の恣意的介入を許し、表現の自由が制限されると指摘されるが、千葉景子法相は17日未明の記者会見で、こう意欲を表明した。「(鳩山首相から)マニフェストの具体化という指示をもらった。人権侵害救済機関の設置の問題で、国際的にみても当たり前の機関だ。ぜひ実現に向けて早急に取り組みたい」。>

 <ただ、民間の保守系シンクタンク、日本政策研究センターの伊藤哲夫代表によると、この民主党版人権擁護法案は「旧政府案よりもっと根本的な問題をはらんでいる」という。民主党案は①救済機関は法務省ではなく各省庁ににらみをきかす内閣府の外局とする②救済機関は中央だけでなく各都道府県にも設置――など支持団体である部落解放同盟の主張をストレートに取り入れたもので、旧政府案よりはるかに強力だからだ。>

 <マニフェストにはないが、結党以来の基本政策である永住外国人地方参政権付与法案鳩山首相肝いりの旧日本軍の加害行為を調査する国立国会図書館法改正も控えている。今後、さまざまな左派・リベラル法案の“封印”が解かれそうだ。>

 怖い感じだが。

■④「すべてこれから」の戦略局

 産経新聞9月19日朝刊は[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]④<「すべてこれから」の戦略局>だった。読んでみよう。

◇戦略局は手探りで

 <鳩山政権が掲げる「政治主導」の成否のカギを握る二つの組織が18日、いよいよ立ち上がった。首相直属で予算の骨格を決める国家戦略局の前身「国家戦略室」と、行政の無駄遣いを洗い出す「行政刷新会議」。両組織が入居する内閣府本庁2階ではこの日午後、それぞれのトップの菅直人副総理・国家戦略担当相と仙谷由人行政刷新担当相が、鳩山由紀夫首相とともに感慨深げな表情で看板の除幕式に臨んだ。>

 <「国家戦略局は財務省より強いんだろ?」。今月上旬、担当相に内定していた菅氏に、与党幹部からこんな問い合わせがあった。菅氏はこう率直に答えた。「よく分からないんだ。あれもやりたいし、これもやりたい。手探りでやっていくしかない」。鳩山首相が戦略局構想を打ち出したのは今年5月の党代表選時だった。だが、その後具体像をまとめないまま衆院選に突入し、組織づくりはこれからなのだ。>

 <菅直人氏は17日、首相官邸の副総理室に、側近で政策に明るい加藤公一衆院議員大塚耕平参院議員らを集め、戦略局の組織づくりについて協議した。だが、両氏は18日、それぞれ所管の異なる副大臣に就任した。この協議に出席者した一人は「戦略局に、もっと官僚と対決できる人材がいないとだめだ」とぼやく。>

 <菅氏は内閣府に属する経済財政担当相も兼務しており、現状は、戦略室の部屋も人員も経済財政担当相の「枠」の再利用だ。戦略局は10月中下旬の臨時国会での法改正を経て正式に発足するが、当面は「暗夜行路」が続きそうだ。>

◇政府VS与党

 <鳩山首相は、首相官邸と各省庁との政策調整を戦略相に委ね、従来は省庁との調整窓口だった官房長官は国会対策などに専念させる方針を示している官房長官が各省庁を抑える力を持てたのは、実は各省庁の幹部人事を掌握していたからだ。局長級以上の人事には、官房長官を中心とする官邸の人事検討会議の了承が必要とされる。一方、戦略相は人事権という官僚への「切り札」を持っていない。どこまで政策調整で力を発揮できるかは、まだ未知数だ。>

 <各省庁にとって、国会運営方針を決定し、提出法案を成立させるかたなざらしにするかの生殺与奪権を握る与党の幹事長の存在は大きい。小沢一郎幹事長は「政府の意思決定に基本的にはかかわらない」としているが、菅氏と小沢氏の意見が食い違った場合、どちらを重視するか。>

 <「麻生太郎前首相は(大臣を務めた)総務省では人気があるんですよね」。かつて党関係者からこう水を向けられた小沢氏は、即座にこう答えた。「そんなもん、カネでも配っているんだろ。オレが(自民党)幹事長のときには、機密費を役所に配って味方につけるのが大変だったんだ」。冗談めかした発言ではあったが、今回の小沢氏の幹事長就任を聞いてこの関係者は「小沢氏は鳩山政権でも機密費を握るのだろう」とつぶやいた。>

◇小田原評定

 <「あまり(間口を)広げて、小田原評定ということになってもいけない。行政刷新会議(の役割)は監視、調査であり、そこでの再構築の提案だ」>

 <仙谷氏は18日の記者会見で、刷新会議構成メンバーに各省副大臣を入れるとした鳩山首相の構想に“反旗”を翻した。発言からは、刷新会議を少数精鋭で大胆に大ナタをふるう会議としたい思惑が浮かぶ。一方で仙谷氏は、自らの手足やブレーンとなって働く秘書官については大量確保を目指してもいる。「3人の事務秘書官を置いてほしい」。仙谷氏は17日、内閣府のスタッフに対し、こう求めた。麻生政権で仙谷氏と役割が重なる閣僚は、甘利明前行政改革担当相だが、事務秘書官は総務省出身の1人。内閣府は新たに経済官庁出身者から秘書官2人を置く方向で選定に入った。>

 <仙谷氏は党政調会長も務め「切れ者」として首相も一目置くベテラン議員だ。戦略局と同様、これから制度設計を進めなければならない刷新会議を仙谷氏がどうまとめるかで、政府内での政策調整の仕組みも大きく変わる。>

 <鳩山政権の浮沈を左右する重要ポストに就いた仙谷氏だが、行革や公務員制度改革を担当することに対しては、支持団体の影響を危惧する声も出ている。仙谷氏は地方公務員労組で構成される自治労の「協力国会議員」で、全面支援を受けている。自治労関係者は歓迎してみせた。「仙谷氏は公務員労組のマインドも理解しているので、やりやすい」

■⑤財務官僚との綱渡りの関係

 最終回だ。最軽新聞09年9月20日朝刊だ。[新・民主党解剖 第1部 海図なき船出]⑤<財務官僚との綱渡りの関係>である。読んでみよう

◇官僚コントロール

 <平成21(2009)年度補正予算の一部執行停止方針を決めた18日の閣議。閣僚の一人が「削減だけが表に出ると、経済にマイナスだ」と慎重論を唱えたが、藤井裕久財務相は「削った予算をもっと経済効果があるものに振り向ける。だから削減ではない」と一喝。それ以上の異論は出なかった。>

 <組閣前、鳩山由紀夫首相は亀井静香郵政改革・金融相(国民新党代表)からこんな忠告を受けていた。「財務官僚にこっちを向かせないといけない。財務官僚が『カネがない』と言ったら記者はこぞってそう書く。そうしたら政府は負ける。官僚にそっぽを向かれたら政権は動かない」。「脱官僚」を掲げて民主党は衆院選に大勝したが、選挙で掲げた政策を実現するには、国の財布を握る財務省とうまくやる必要がある。そう考えた首相は財務省を掌握するため、同省大物OBを大臣に起用する政権絵図を頭に描いた。そして白羽の矢を立てたのが旧大蔵省出身で、細川、羽田両内閣で蔵相を務めた党最高顧問、藤井氏だった。>

 <首相は7月、政界引退を表明していた藤井氏に会い「(議員)バッジを着く付けておく意味もある」と説得し引退を撤回させた。藤井氏も「自由人となるつもりだった自分を衆院単独比例名簿に載せるということはそういうこと(財務相起用)だ」と受け止めた。>

◇面従腹背?

 <新政権発足に先立つ今月7日、政権初の予算となる平成22(2010)年度予算編成をめぐり、直嶋正行政調会長(当時)と財務省の丹呉泰健事務次官が国会内で会談した。丹呉氏「できるだけ早く新政権としての考え方を示していただかないと(年内編成は)日程的に苦しくなります」。直嶋氏「かなり考え方が違うよね」。タイムスケジュールを掲げ、予算編成基準を早く出すように促す丹呉氏。牽制する直嶋氏。予算に関する主導権をめぐる心理戦はこの時点から始まっていた。「君は小泉純一郎元首相の秘書官だったね。職務命令で務めただけならいい。だが、小泉構造改革を支持してやったのならば次官を辞めてくれ」。組閣前、藤井氏は挨拶に訪れた丹呉氏にこう迫った。丹呉氏は「職責を務めただけで(小泉構造改革の是非は)関係ありません」とかわした。>

 これって本当だろうか。すごい鍔迫り合いがあったんだね。丹呉氏もひやっとしただろうか?

 <財務官僚は時の権力中枢と密接な関係を築くことにたけている。ある官庁の元幹部は20年近く前のある光景を今も鮮明に覚えている。上司の急な呼び出しを受け、深夜に都内のホテルの一室に入ると、待っていたのは当時は自民党幹部の小沢一郎民主党幹事長だった。「野党対策で、おたくの省の予算を1000億円削ることになった。明日までに案を持って来てくれ」。小沢氏の背後では、顔見知りの大蔵(現財務)官僚たちがワインを片手に談笑していた。この幹部は役所に飛んで帰ると翌朝までに削減案をまとめた。>

◇小沢シフト

 <政権与党の経験がない民主党にあって、小沢氏は財務省を熟知する数少ない議員の一人だ。自民党を飛び出して樹立した細川連立政権で、小沢氏は大蔵省の斎藤次郎事務次官(当時)と組み、武村正義官房長官(同)の頭越しに税率7%の「国民福祉税」構想を推進した。小沢氏は当時、連立8党派の一つにすぎない新生党の代表幹事だったが、大蔵省は「真の権力者」を的確に見抜いていたのだ。>

 <財務省は今夏の人事で、竹下内閣で小沢官房副長官の秘書官を務めた香川俊介前主計局次長を経済対策を扱う総括審議官に起用、政権交代前から万全の「小沢シフト」を敷いた。>

 <こんなエピソードもある。7月初旬、民主党の幹部会合。「子ども手当」の実施時期をめぐり、当初案通り平成24(2012)年度実施を主張する岡田克也幹事長(当時)と、来夏の参院選を考慮し、1年前倒しを求める鳩山代表らの間で議論は平行線をたどった。だが、最後は小沢氏の一言でケリがついた。「財源は、政権を取ったら出てくるもんだ」。この言葉の裏側には、財務省を手兵にできるという自信があるとみるべきだろう。鳩山政権は、新設する首相直属の「国家戦略局」で予算の骨格を決める方針だが、予算編成権を手放したくない財務省は「骨抜き」に動く公算が大きい。財務省をどう手なずけ、政治主導を実現するのか。間合いを間違えば、「脱官僚」が看板倒れに終わりかねない。>

 これで続き物終了。面白かった。随分と知らないことが書いてあった。

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鳩山外交が始動とか、岡田外相とキャンベル氏の会談ねえ~毎日新聞、読売新聞09年9月20日朝刊、朝日新聞9月4日朝刊

 毎日新聞09年9月20日(日)朝刊1面と3面の企画[始動 鳩山外交]㊤は1面が<「日米再構築」トゲ多く>の見出し。民主党政権のもっとも危うい部分である外交・安全保障について、どこまで迫真に迫れるのか、楽しみな企画だ。

 政治部の上野央絵、須藤孝両ベテラン記者とワシントン支局の古本陽荘特派員の署名があった。

 本文は次の通りだ。

 <鳩山由紀夫首相は21日から初の本格的な外交日程となる米国訪問に出発し、23日にはオバマ米大統領との初の日米首脳会談に臨む。国連総会、主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会議)にも出席するが、最大の眼目はオバマ大統領との信頼関係構築だ。米国は日本の安定政権誕生を歓迎しているが、日米間の課題が山積したままなのも事実。米国は在日米軍基地再編や海上自衛隊のインド洋での給油支援活動など、日本の出方を注視している。>

 という前文だ。衆院総選挙が「まだなのか」「まだか」とジリジリ待たされた挙句の衆院解散、解散から40日後の投票と、ものすごく時間をかけた選挙になったが、その結果としての民主党圧勝だったことは記憶に新しい。選挙後もすぐに特別国会を召集するでもなく、時間をかけ、ようやく民主・社民・国民新の3党連立政権ができた。

 でも、その後が早そうだね。訪米から始まるんだ。米国寄りの人だとわざとアジアに先に行ってから米国訪問(参勤交代)にでかけたりしたが、鳩山氏の場合は「反米主義者じゃないか」と疑われているので、最初にアジアを訪問するという選択肢は最初からなかったようである。

 <民主党が衆院選で「308議席」を得て政権与党が約束された9月上旬、鳩山首相の側近議員が在日米大使館の幹部と極秘に接触した。困難な課題を抱えた対米外交を軟着陸させつつ、「日米新時代」構築を目指す鳩山首相の意向を受けての動きだった。鳩山氏の雑誌論文が反米的に伝えられたことへの釈明とともに、給油活動の打ち切りに対する米側の懸念を探ることが主目的だった。>

 誰だろう? 在日米大使館の幹部って? 政治関係のアタッシェで、こういう場合に話が通じるのは? やはりルース大使なのだろうな。

 <米側は「打ち切りによって日米関係が悪くなることはない。しかし(給油活動に代わる)アフガニスタン支援策を考えていただきたい」とくぎを刺した。首相側近は「人道支援も含めた代替案を考えます」と答えるにとどめた。>

 子供の使いじゃあるまいし、それだけで帰ってきたとは思えないが。

 <そんなさなか、9月9日には米国防総省のモレル報道官が日本の給油活動継続を強く主張。アフガンのテロ掃討作戦が難航していることへの米政府内のいらだちが伝えられた。しかし、政権の座に就いたばかりの鳩山新首相が民主党の公約を簡単に放棄することはできない。>

 ペンタゴンの報道官って偉いのか?

 <キャンベル国務次官補が来日し18日、岡田克也外相と会談した。キャンベル氏は記者会見で「2010年は日米安保改定50年。過去の業績を顧みるだけでなく、将来を見据えてどのように協力していけるかを考えたい」と語り、鳩山首相が期待している「日米新時代」に呼応する一方で「日本がアフガニスタンの平和と安定のためどんな貢献ができるか考えてほしい」と強調した。オバマ大統領の11月訪日までに代案を示すよう求めたものとみられる。>

 鳩山訪米→11月中旬のオバマ来日までの日程は決まっているわけだね。

 <一方、普天間飛行場移設を含む米軍再編問題も日米間に刺さったとげだ。社民党と連立政権を組む以上、普天間移設先見直しでの一波乱は免れない。岡田外相は米軍再編を「(政権発足から)100日間で解決しなければいけない問題の一つ」としており、日本政府内では「日米関係の深化プラン」(仮称)として①在日米軍問題②オバマ大統領の「核無き世界」への賛同③世界経済再生への日米協調――と対米政策を一つのパッケージにした上で、協議を加速させることも検討されている。>

 「100日間で解決しなければならない課題」というと誤解を与えそうだが、マスメディアと新政権の蜜月状態が続いている初期段階で政権としての方向性をきっちりと示しておく、ということだろう、と理解している。「日米関係の深化プラン」ってネーミングは平凡だけど、内容はすごいね。本気で盛り込むとすれば。日米FTAが最優先で入らなければ「深化」とは言えないんじゃないか、と思うが、それが③の内容に含まれているのかどうか。②はもっと積極的に日本が旗を振るべきだ。なおかつ「拡大抑止」も忘れずに。それは決して矛盾しないのだ、ということも忘れずにアピールしてほしい。軍事面に傾き過ぎている日米安保を平和友好条約に変えるためには、FTAはやるべきなのだ

 以下は3面にあった1面の[始動・鳩山外交]の続きの部分だ。見出しは<期限迫る「普天間」/「県外移設」と「合意堅持」、平行線続く>だった。

 <「原則は従来の合意だ」(キャンベル米国務次官補)。「沖縄の四つの小選挙区で(当選した与党議員は)辺野古移設は反対だと明確に言ってきた」(岡田克也外相)――。18日、外務省での岡田、キャンベル両氏の会談。旧知の2人だが、話題が在日米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に及ぶと緊張が走った。>

 9月18日に岡田克也外相とカート・キャンベル国務次官補と会ったのか。

 <民主党の「沖縄ビジョン」の2005年版は岡田代表(当時)のもとでまとめられたが「普天間基地の辺野古沖(キャンプ・シュワブ沿岸部)移転は、事実上頓挫している」と指摘し、普天間飛行場の県外移設を目指すと明記している。現に岡田氏は6月にフロノイ国防次官と会談した際も「沖縄に米軍が集中しているのは米国が(第二次世界大戦後)占領したからだ」と発言。米側の懸念が民主党幹部に伝わり、マニフェストから「県外移設」の表現が消えるきっかけになった。>

 米国の懸念というのが実際にはどういうものなのか? 分かりやすく書いてほしいのだが、若い記者たちは本質を書かないねえ。

 <政権が近づくにつれ、岡田氏は米側の反発を気にかけるようになる。8月9日から民主党政調会の須川清司部長と岡田氏の本庄知史秘書をワシントンに派遣し、国務省、国防総省幹部と面会させたが、在沖縄米軍4軍調整官を務めたグレグソン国防次官補もその中の一人だった。>

 こういう動きをしていたのか。何もしないでいるのか、と思っていたが、ちゃんと準備をしていたことが分かって、少しは安心した。

 <いったんは消えた「県外移設」をよみがえらせたのは、意外にも鳩山由紀夫首相。衆院選公示前日の8月17日に開かれた党首討論会(主要6党)で県外移設を明言し、元に戻してしまった。「県外移設」は国内的な約束として事実上、新政権の制約になっている。>

 撤回できなくなったのか。でも撤回しちゃうだろうね。県外移設などできないのだから。

 旧ソ連の脅威があった時だったら、米軍部隊の北海道移転は十分にリーズナブルだったと思うのだが、今は「北方のクマ」は脅威ではない。潜在的脅威とは認めていないが、日米安保条約的にいえば潜在的脅威は軍事力増強を続ける中国をおいてほかになく、北朝鮮の核ミサイルが完成すれば、北朝鮮も日本にとっての脅威となる。つまり、北陸、中国地方、九州、沖縄方面に基地を置くしかないのでないか、と想像するのだ。

 北海道ならば高橋知事にお願いしながら、鳩山由紀夫氏の地元だから、少しは無理が言えたかもしれないが、呉、因島、佐世保、熊本など昔の日本軍の鎮台は都市化が進んでおり、地元住民の反対で移転先になることへの反対が燃え盛りそうだ。こんなところへの移転はできないだろうなぁ。

 <政権発足後10日もたたない日米首脳会談で、首相が方針を撤回すれば国内から「対米追従」の批判が飛び出すのは必至。逆に県外移設を目指す立場を表明すれば、すでに米側が事前に合意堅持を伝えている以上、明確な「非米」のメッセージになってしまう。キャンベル氏はそうした事情を考慮してか、岡田氏と会談で「同盟国なのだから、何でもよく協議しましょう。(米軍再編で)もはや(日本と)話せないということはない」と語ったという。外務省内からは「日本側から細かい議題を持ち出す必要はない」(幹部)との先送り論もあるが、先送りしたところで、ごく短い期間のその場しのぎにすぎない。21日に予定されている日米外相会談では米軍再編、給油問題など個別案件が早速議論される見通しで「11月中旬のオバマ米大統領の訪日時がタイムリミット。日本側が『検討中』ではすまされない」(日米関係筋)という。>

 あと2カ月ないのか。外交が大変だね。でも、あまりここで無理するよりは民主党とすればまずは公務員との戦争に勝つことが大切なんじゃないか、と思うのだが。

◇「離米」にピリピリ

 <「(地位協定改定は)米軍再編やアフガニスタンの問題についての解決策が見いだされた、その次のステップの問題だ」。岡田外相は17日に行われた就任記者会見で、地位協定改定を先送りする考えを明言した。今回の日米首脳会談はもちろん、11月のオバマ米大統領の来日でも正面からは取り上げないというメッセージと言える。普天間問題や給油問題に比べると、地位協定改定については、米側はそもそも改定の必要はなく、運用改善で対応するという立場だからだ。日本が求める地位協定の改定は外国に駐留する米兵の人権がどのように扱われるかという、米国にとって最も敏感な問題を含む。個別の課題である普天間問題や給油問題よりもある意味では根が深い。>

 地位協定問題というのは、米国にとっての新植民地政策マニュアルそのものだからね。ドイツ、韓国などと日本を差別化し、日本を一番優遇してきたのに、文句あるかってえとこかな。

 <衆院選の投票日の直前、米「ニューヨーク・タイムズ」紙(電子版)などに掲載された鳩山首相の論文が米国で波紋を呼んだのは、米国の市場原理主義やグローバリゼーションへの批判が個別の問題点の指摘というよりも、米国そのものへの「反米」「離米」と受け取られたためだ。初訪米で首相が米側から見れば緊急性に欠けるこの問題を持ち出せば、論文の「反米性」と結びつけられかねない。米国は市場や人権など同国の価値観にかかわる問題で日本が異なる志向性を持つことには警戒する傾向が強い。鳩山氏の掲げる東アジア共同体構想も、価値観の異なるアジアの大国・中国との関係次第では、別の意味を持ってくる。鳩山氏の訪米は首脳間の信頼関係強化が目的だ。迎える米側は鳩山氏の言動に表れる考え方を注意深く、しかも冷徹に見守っている。>

 まあ、そんなに神経質にならずに、丹田に力を込めて行ってくればいい。

■岡田・キャンベル会談

 読売新聞09年9月19日朝刊の<米軍再編の再協議、岡田外相が次官補に要請>をHPから取ってきた。参考にコピペしておこう。

 <岡田外相は18日夕の記者会見で、カート・キャンベル米国務次官補との同日午前の会談で、米海兵隊普天間飛行場の移設など在日米軍再編計画の再協議を要請したことを明らかにした。外相は「これからよく協議しなければいけない問題だと申し上げた。(次官補も)それでなければダメだというような堅い言い方ではなかった」と説明した。一方、キャンベル国務次官補は同日都内で記者会見し、再協議について「米国はベストの計画と考えている。対話を重ねたい」と述べるにとどめた。>

 読売新聞の9月18日夕刊なのだろうか、<米軍再編「鳩山政権と協議」/米国務次官補>という途中経過のインタビュー記事もHPにあった。コピペする。

 <来日中のカート・キャンベル米国務次官補は18日、都内の米大使館で読売新聞との単独会見に応じ、在日米軍基地の再編について「日本の新政権が合意のいくつかの要素を変更したいと考えていることは理解している。緊密な同盟国として、協議の場につき、耳を傾けることは米国の義務だ」と述べた。米政府はこれまで普天間飛行場の沖縄県内移設計画などの再交渉に応じない立場をとってきたが、同次官補は米政府が今後「確固だが柔軟な対応」に転じる方針を示した。さらに日米関係を「対等なパートナーシップ」と位置付けた上で「(日本が)どうすべきかを米国が指示するのは非生産的だ」と述べ、鳩山政権の意向を「尊重」していく姿勢を強調した。同次官補は併せて「いくつかの分野では継続性が重要で、過去50年間、同盟関係が効率的に機能してきた基礎というものがある」とも述べ、日米地位協定などの性急な見直しを求める動きをけん制した。>

 キャンベル氏も大変だね。でも、キャンベル氏のような人が担当になってくれてよかったと思う。日本側の意見の背景説明を十分理解できる人だから。ルース氏が商売関係しか分からなくとも、ルース氏に本当のところをズバリと教えられるのはキャンベル氏だろう。

 次も読売新聞19日朝刊の<23日に日米首脳会談、続いて日韓も>だ。

 <鳩山首相が21日からの米国訪問中、オバマ米大統領と23日午前、李明博韓国大統領と同日午後、ともにニューヨークで首脳会談を行うことが決まった。また、22日午後には潘基文・国連事務総長と会談する。平野官房長官が18日夕の記者会見で明らかにした。このほか、中国の胡錦濤国家主席、ロシアのメドベージェフ大統領との個別会談も調整している。>

 国連総会出席はいい首脳会談の機会なのだ。

 潘基文氏は温暖化問題で発言しており、ただの表敬訪問では終わらないかも。これも読売新聞9月18日夕刊だかに載っているはず(HPでみつけたが)の<CO2削減目標「世界の手本」/潘事務総長>というニューヨーク支局の吉形祐司特派員の署名記事で分かる。内容は次の通り。

 <国連の潘基文・事務総長は17日の記者会見で「2020年までに1990年比で25%」とした鳩山首相の温室効果ガス排出削減目標の設定について「(世界の)良い手本になるだろう」と絶賛、国連総会の場で改めて削減意思を表明するよう同首相に求めた。事務総長は「世界が日本の政府と新首相に期待しているメッセージだ」と指摘した。「鳩山首相には、約束を守るよう(電話で)伝えてあり、約束が守られると思っている」と述べ、目標実現への期待感を示した。>

 というものだ。首相がいったん口にした言葉は重い。「綸言汗の如し」というのは天子の言葉はいったん口からでたら、汗が出たら戻らないのと同じように元に戻す(言わなかったことにする)ことは不可能だ、ということ。まさに鳩山氏はこの格言通りの環境にいるのだ、と自覚してほしい。特に外国の人々への言葉は国際公約と受け取られるからね。

■[新閣僚に聞く]岡田克也外相

 毎日新聞09年9月20日朝刊3面の企画[新閣僚に聞く]②は岡田克也外相で見出しは<主張すべきは主張する>だった。

 岡田氏は1963(昭和28)年生まれ。東大法卒、通産省大臣官房企画調査官を経て、1990年衆院選初当選。連続7回当選。1993年に自民党離党。新進党などを経て1998年の民主党結成に参加。党政調会長、幹事長、代表などを務めた。

 聞き手は野口武則記者だ。

 一問一答次の通り。

 <―― インド洋の給油活動、日米地位協定改定、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設の中で、取り組む優先順位は。
 ◆政権交代に伴う外交転換とは、もっと大きな話だ。相手のある話だから懐深く議論していけばいい。
 ―― インド洋給油を「単純延長しない」とは、海上自衛隊を撤収しないこともあるのか。「憲法違反」ということで代わる法案を求めるのか。
 ◆単純延長しないというのは、単純に延長しないこと。それ以上は言うつもりはない。当時、小沢一郎代表が「憲法違反」と言ったが、党として憲法違反と言っていない
 ―― 普天間飛行場の移設で、鳩山由紀夫代表が「最低でも県外移設」と言ったが。
 ◆県外移設という気持ちはある。ただ最初から選択の余地を狭めて交渉がうまくいくはずがない。
 ―― 政権交代に伴う大きな政策転換とは。
 ◆ブッシュ政権時、小泉(純一郎元首相)さんは「アメリカの言うことを聞けば間違いない」と言い、オバマ大統領に代わったら「核のない社会は素晴らしい」と。自らのスタンスが決まらず相手に合わせるだけだった。そうではなく、主張すべきは主張し、妥協すべきは妥協し、最善の解を求める。
 ―― 核の先制不使用を宣言すると、核の傘に依存する日本の核抑止力が低下する。
 ◆先制使用を認めるならそういう議論をしていいが、一方で核廃絶を目指していくと言う。同じ次元の議論として成り立たない。
 ―― 日米会談で「核の先制不使用を宣言すべきだ」と伝えるか。
 ◆私が一方的に宣言するような愚はしたくない。だが他の大量破壊兵器の使用が違法と言われる時に、非人道的な(核)兵器の先制使用はよしとする考えは理解できない。
 ―― 核の傘は必要か。
 ◆核を使用された場合の報復まで否定していない
 ―― 北方領土問題の解決に鳩山首相は意欲的だ。
 ◆首相が関心を持つテーマだから、よく聞いてみたい。
 ―― 北朝鮮問題にどう対応するか。
 ◆基本は6カ国の枠組みの中で議論する。個別に(協議を)やることは北朝鮮にとって有利な局面を作り出すこともある。米朝協議はあくまで6カ国の枠組みの中で、暫時それを打開するために話すということだ
 ―― 初登庁で密約調査の大臣命令を出した狙いは。
 ◆政権交代というタイミングでないとなかなかできない。歴代首相、外相が「ない」と言ってきたから、役所は「実はそうではない」と言えない。「いいチャンス」と役所も受け取ってもらいたい。
 ―― 密約があった場合の責任を取らせる対象は。
 ◆基本的にはトップの首相及び外相だ。
 ―― 密約文書の破棄が明らかになった場合の処分は。
 ◆いろいろなことを考え出すと、事実関係を明らかにする手が緩みがちになるかもしれない。まず徹底的に調べ、明らかにすることに徹すべきだ。>

 以上。まあ、外交には明るい人のようだね。

■9月4日の朝日新聞の若宮氏の「論」は読み返しても変だぞ

 朝日新聞09年9月4日朝刊続き物[激変]③は若宮啓文・本社コラムニストの<脱米入亜か/世界が視線>を掲載していた。まだ書いているんだね、この人は。

 <「それで、民主党からは誰が」とせっつく中国側の熱気に、「北京・東京フォーラム」実行委員長の安斎隆セブン銀行社長らが対応に追われている。小泉政権時代、最悪の日中関係を打開しようとできた対話の場。双方の政財界人や学者、言論人らが集まり、今年は8月に大連で開くはずだった。そこに総選挙。どうせなら政権交代の後にと延期され11月の開催となった。同様の韓国との対話「日韓フォーラム」も8月のソウル開催が12月に延びた。どちらも岡田克也氏ら民主党の常連が多いだけに「いよいよ彼らが」と先方は盛り上がる。鳩山代表には李明博大統領から真っ先に祝いの電話がきた。自民党の初代総裁の孫で、保守に根ざした鳩山由紀夫氏。市民運動の出身で政治に新風を求めた菅直人氏。この2人が1996年に民主党の基礎をつくったのは、55年体制の背景にあった「東西冷戦」が終わればこそだが、そこには貴重な共通体験もあった。1993年にできた「非自民」の細川政権だけでなく、翌年できた「自社さ」の村山政権にも参加したことだ。>

 ここが目新しいところか。共通点をうまく引っぱり出してきて、意味づけをしているわけだが、菅直人氏も鳩山由紀夫氏も「さきがけ」だったんだね。

 <細川首相は韓国で過去をわび、未来志向の「日韓フォーラム」設置で合意。村山首相はアジア侵略を謝る戦後50年の村山談話で歴史に名を刻む。政権の性格は違っても、ともにアジアに大きな足跡を残した。「東アジア共同体」の目標を掲げる鳩山政権は、この流れを発展させる役割を担う。>

 細川、村山両政権の位置づけ、これでいいのだろうか? アジアは本当に両政権をそう見ているのだろうか? 鳩山政権はアジア政権なのだろうか?

 <一方、「対等な日米関係」を掲げる鳩山氏は、ニューヨーク・タイムズに載った論考が「反米か」と波紋を投げた。オバマ大統領との電話で「日米基軸」を確認し合ったが、対米関係で自主性を持ちたいことに変わりはない。韓国の新聞は「脱米入亜」と書いたかつて吉田茂首相が米国に寄り添って戦後政治の路線を敷いたのに対し、米国の意に背いてまで日ソ国交を開いた鳩山一郎首相。先の選挙で演じられた麻生・鳩山の対決は、外交路線をめぐる祖父の確執もうかがわせた。>

 ここまで漫画チックに単純化されると、若宮という人の脳細胞の単純さが分かってしまって、馬鹿にしたくなる。吉田と鳩山をそんな風に位置づけしていいのか?

 <半世紀以上も前、その両勢力が合流してできた自民党には様々な潮流が集まり、党内で振り子のように政策と首相の交代を繰り返してきた。その振り子が、いよいよ党を飛び出したとも言える。>

 党を飛び出したら、もう振り子の原理とは言わないじゃないか。

 <さて、日米はどうなるか。「インド洋の給油停止」や「米軍再編の再検討」に、米政権はさっそく不快感を示している。前政権のイラク戦争や温暖化対策を批判し、いま核廃絶の目標を掲げるオバマ大統領とは波長が合うと感じる鳩山氏だが、北朝鮮の核問題なども抱え、どこまで「対等」を目指せるか、すべてはこれからだ。首相になるや、国連などの外交舞台がすぐ待ち構える鳩山氏。興味津々で出会いを待つのは、各国首脳たちの方でもある。>

 この記事が出たのが16日前。そう見ると、鳩山内閣も組閣までは随分とのんびりしていたなぁ、と思うのだ。

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2009年9月16日 (水)

メドベージェフ大統領のロシア批判、プーチン批判なのか? 2人の関係から目が離せない~朝日新聞09年9月15日朝刊

 朝日新聞09年9月15日朝刊国際面トップ<ロシア大統領、自国を痛烈批判/民主主義の質 理想からほど遠い/労働生産性 恥ずかしいほど低い/改革へ支持拡大が狙い?>という面白い記事を掲載していた。モスクワ支局の副島英樹特派員の署名記事だ。
 読んでみよう。
 <ロシアのメドベージェフ大統領が政権に批判的なインターネット新聞にロシアの現状を徹底批判する論文を発表し、真意はどこにあるのかと話題になっている。経済の後進性や汚職の横行、無責任体質、人命の軽視などをあげつらい、「影響力を保持する汚職官僚グループ」と「何も生み出さない企業家」から主導権を奪おうと、国民に直接呼びかける形をとっている。>
 <論文のタイトルは「ロシアよ、前へ!」。広く読者から意見を募り10月末にも予定される年次教書演説に反映するとしている。大統領には、世論を背景に一連の改革を進めたいとの狙いがあるようだ。>
 面白いよね。
 <現状批判の言葉は痛烈だ。石油やガスなどの資源に頼る「原始的資源経済」や「慢性的汚職」を将来に引きずるのかと問いかけ、問題解決を国家や教義に任せる他者依存的な体質を批判。「民主主義の質は理想からほど遠い」「市民社会は脆弱」「労働生産性は恥ずかしいほど低い」などと指摘し、改革のためには欧米やアジアの資金、技術も必要と述べている。>
 誰を指弾しているのか?
 <特に司法制度の現代化と効率化が急務と強調。裁判所や検察、警察、情報機関のいずれもが旧態依然だとし、治安職員は法と自由を守ることを学ぶ必要があると訴えている。「双頭体制」を組むプーチン首相の支持基盤とされる「シロビキ」(治安省庁出身者)への公然の批判とも受け取れる部分だ。>
 やっぱりシロビキか。メドちゃんはシロビキとは関係ないのか?
 <さらにソ連体制についても「多くの国民を貧しくさせ、侮辱し、抹殺した」「人の命を守ることが国家の優先事項ではない時代だった」と表現。民主的発展の必要性を説き、論文の最後は「新しいロシアをつくろう。ロシアよ、前へ」と締めくくっている。>
 <ロシア国内では、論文発表の場が新聞ではなくネットメディアだったことから、若い世代に直接「支援」を呼びかけた初の試みだとする見方がある。一方で、「リベラルなインテリにこびたものにすぎない」との批判もある。>
 面白いのはメドベージェフとプーチンの関係がどうなっているのか、という点と関係するからだ。二人の関係は親=プーチン、子=メドベージェフという縦の関係なのか、それとも、もはやプーチン派閥に対抗しうるメドベージェフ派が秘かに出来ていて、その対抗心があるのか?
 この辺を見据えた時に、この論文は案外、将来に「あの論文が分岐点だったんだね」と言われるものになる可能性もあるんじゃないか?
 素人の考えだけど。

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毎日新聞の連載[選択がもたらすもの]内田樹、中島岳志、ケント・カルダー、上山信一、佐藤優、櫻田淳、平野啓一郎、辻井喬、猪木武徳、蒲島郁夫各氏~09年9月日→16日の10回

 毎日新聞の連載[選択がもたらすもの]が09年9月1日付朝刊からスタート、全10回が9月16日朝刊で終わった。有識者のインタビューで政権交代の意味を探る、といういつもあるパターンの続き物だ。

 順次見ていこう。

■選択がもたらすもの1 神戸女学院大教授・内田樹氏

 まずは、

 <戦後初めて本格的な政権交代をもたらした今回の衆院選。日本社会のどのような姿を物語るのか。結果はどのような未来をもたらすのか。各界の識者に聞いた。>

 という全体を通じての共通前文がついている。

 内田樹(うちだ・たつる)1950年生まれ。東京都立大大学院博士課程中退。身体論や映画論も語り、合気道6段。「私家版・ユダヤ文化論」で小林秀雄賞。著書はほかに「昭和のエートス」「下流志向」など多数。

 今回の見出しは<チャンネルを替えた――神戸女学院大教授(フランス現代思想)・内田樹氏>である。聞き手は鈴木英生記者。つまり文化部の論壇担当記者だ。

 <これほどの激変が起きたのに、意外性のない選挙結果だった。>

 という書き出し。

 <普通の選挙ならば、政治家個々人の資質や政策に対する有権者のばらばらな意識が1票ずつ積み上げられて結果が出る。ところが今回は、政権交代という既にある着地点にめがけて投票した感じだ。言い換えれば、テレビのチャンネルを替えたようなもの次のチャンネルで何をやっているかは分からないが、今までのチャンネルに出ている役者の芸風に飽きたから、替えただけのことである。>

 このチャンネルの譬えはうまいと思う。内田という人の頭は相当に柔軟なんだなぁ。

 <だから、有権者は政策的に大きな変化を期待してはいない。なにしろ、民主党は自民党の元幹事長である小沢一郎代表代行が強い力を持つ党だ。2大政党制といっても、自民党が二つに割れてできたもの。この選挙も、かつての自民党での派閥同士の政権交代を、選挙の形でやったことが新しいだけ。国家像も政策も大きくは変わらないからこそ、有権者は安心してチャンネルを替えられた。>

 なるほど、でもある。自民党同士の戦いだったんだよめ。だけど、自民党内で派閥で選ぶことと、国民が選ぶこととは大きく違っているよ。だから、今までの「政権交代論者」は今回の政権交代に大きな意味ではケチはつけられないんだろうなぁ、と思ってみているんだが。

 <もともと自民党は、政党というよりも日本人の生活実感や欲望といった本音を政治的に表現した存在だった。それに対して社会党などが、論理的一貫性のある政治的言語を語ってきた。この情念と論理の対立が55年体制を支えていたが、冷戦が終結して革新の論理の空疎さも明らかになり、今やその論理はいらなくなったわけだ。>

 これも、大きく言えばまさしく事実であり、大きなトレンドを捕まえているとは思うのだが、何かが違うんではないか? まずは「情念と論理の対立」だったのかどうか、である。江藤淳や高坂正堯といった人物を内田は忘れてしまっているのだろうか?

 <結果として今回の選挙戦も憲法や安全保障といった大きなテーマはなく、「子ども手当」など驚くほど細かい話に終始した。反論も財源の話くらいで、政策論争というより、まるで夫婦げんかである。>

 <そもそも、日本は独自の国家戦略を設定してこなかった国だ。国際社会でリーダーシップを発揮する能力もない。他方、政治に費やすエネルギーの絶対量はある。このエネルギーを国際社会で使わないからこそ、今回のように内輪で消費しているのではないか。>

 この指摘は鋭いんじゃないか。エネルギーの絶対量はあるが、国際社会では使えない。使う能力もない。だかfら、こんな猿芝居ばかりやっているのだ、というのだろう。国民は自分の姿に似合った政府しか持てない、とか、言葉は違うかもしれないが、言われているね。

 <後で振り返ってみれば、この選挙は「大山鳴動してネズミ一匹」だったとなりかねない。つまり、今後の政治システムも大きくは変わらないだろう官僚との関係でも、民主党はそのうち自民党化するかもしれない。しかし、国民もそれに大きな不満を抱かないのではないだろうか。>

 <それでいいのだ。日本は政治的エネルギーを海外に向けて発しても、良い結果を生んだためしがなかった。このように政治的エネルギーを内部で燃焼させるというのは、国民的な無意識の知恵なのかもしれない。>

 うまいもんだね。この結論に持ってくるための文章だったわけね?

■選択がもたらすもの2 北海道大准教授・中島岳志氏

 中島岳志(なかじま・たけし)1975年生まれ。京都大大学院博士課程修了。インドや戦前の右翼、現代の若年貧困層問題など幅広く論じる。「中村屋のボース」でアジア・太平洋賞。他に姜尚中・東大教授との対談本「日本」など。

 見出しは<お手並み見る覚悟を――北海道大准教授(アジア研究)中島岳志氏>。これも聞き手は鈴木記者だ。

 <今回の民主党圧勝という選挙結果は、近年の歴代政権が発足時に高い支持率を記録したのと似た、危うい現象だと思う。ここしばらくは、日本の世論が健全さを取り戻す最後の機会となる。>

 <政権発足時の支持率の戦後1位は小泉純一郎政権で、2、3位は調査した社によって異なるが安倍晋三政権か細川護熙政権4位は福田康夫政権。つまり、ベスト4のうち三つが今世紀の政権だ。この高支持率が、ほとんどの場合、数カ月から半年で急落した。>

 なるほど、そう「言われて見ればそうだな。

 <新政権が発足すると、新しいものへの期待感が過剰に高まって高支持率となり、何かの拍子で世論の気分が変われば、支持率は急落してしまう。その理由も、麻生太郎首相の「漢字が読めない」をはじめ、大抵は政治とは別の問題だった。この空気が続いているのなら、今回も政権発足後3カ月くらいで、有権者の気分が変わるかもしれない。>

 中島氏はインド学者かと思っていたのだが、どうしてどうして、面白い文k性をする人なのだな。

 <何しろ、民主党政権は大きな爆弾を抱えて発足する。鳩山由紀夫代表の「故人」献金問題もある。マニフェスト(政権公約)の項目相互の連関も足りないから、政策がぶれる可能性が高い。それらを理由に支持率が下がれば、党首交代などドタバタ劇が始まりかねない。>

 <これでは、政権交代をしても今までと同じことの繰り返しだ。今回の選挙で敗北したのは、自民党ではなく、日本の民主主義そのものということになってしまう有権者は、せめて半年や1年は我慢し、民主党の「お手並み拝見」をすべきだ彼らの問題点を承知で308議席を与えたのだから、そのくらいの覚悟は必要なはずである。>

 そう言えばそう言えるのだが、自民党からすれば「同じ問題が自民党政権だったら批判されて、民主党政権には何も批判しないのか」という言い方になってマスメディアに帰ってくるだろうし、自民党担当記者はあらゆる手を使ってそうした言説を一般人に伝えようとするだろう。そうなれば、一般人は生贄が好きだから、鳩山政権、ピンチだね。

 <さらに今後は、2大政党の思想も、保守主義か社民主義かという形で問われるだろう。それがないと、2大政党は限りなく似てゆく。個別の政策の微妙な差異を争うだけでは、郵政のようなポピュリズム選挙に陥りがちになるマニフェストも、個別課題の羅列ではなく、英国のように、どんな国家をつくりたいのか、ビジョンを記したものになるべきだと思う。>

 <個人的には、10年くらいかけて選挙制度を中選挙区制に戻すべきだと考える。小選挙区制や2大政党制は、社会の多様性に対応できないからだ。比例代表の議席を減らして小選挙区の割合を上げるのはもちろん論外だ。社会が流動化し、業界団体などの集票力も弱まりつつある今は、中選挙区制のかつての弊害は薄まっているはずだ

■選択がもたらすもの3 ケント・カルダー氏

 ケント・カルダー(Kent E.Calder)1948年、米ユタ州生まれ。ハーバード大のライシャワー教授の下で、日本の政治経済を研究し、博士号を取得。駐日米大使特別補佐官を務める。著書に「日米同盟の静かなる危機」など。

 見出しは<「政権安定」予測強まる――米ジョンズ・ホプキンス大ライシャワー東アジア研究所長、ケント・カルダー氏>だ。聞き手は岸俊光記者。

 <自民党が長く政権を維持してきた理由を研究した時、政治危機のたびに保守勢力は有権者への利益分配を拡大していると気づいた。革新自治体が急増した1970年代、安保改定で混乱した1960年代前半、共産党が伸びた保守合同の前が典型だ。>

 利益配分の増大化かぁ。そういう視点がなかったなぁ。

 <自民党は今回も同じようにやろうとした。小泉政権は、道路公団を民営化したように利益分配を縮小する傾向があった。麻生政権は、中小企業対策などでも従来通りの政策だった。だが政治的にはうまくいかなかった。理由の一つは社会が変化したからだ。都市住民に利益誘導の効果は薄い。もう一つは小選挙区制になったこと。「ばらまき政策」は、党内競争を勝ち抜くのに15~20%の得票で当選できる中選挙区の方が効果がある。>

 なるほどね、ケント・カルダー氏って日本政治研究を相当にやっているんだね。

 <経済成長が望めず財源も足りないから、補助金の規模自体が小さくなっている。民主党のマニフェスト(政権公約)が「ばらまき」と言われたように、全くなくなったわけではないが、小選挙区制はより多くの有権者への利益分配が必要で、やりにくいのは確かだ。>

 だけど、中選挙区の際の選挙区人数に比べれば3分の1か5分の1になっているのだから、候補者はやれるよね。カネはかかるけどね。

 <選挙終盤、米国では自民党、公明党がもう少し勢いを取り戻すと見る向きが多かった。米世論は民主党候補の質を理解していないとも思う小泉チルドレンが短期間で選ばれたのに比べ、小沢一郎氏は時間をかけ優秀な人を選んだと聞く。自民党への「罰」が民主党の勝因という米メディアの見方もあるが、積極的に投票した側面もあり事情は複合的だ。>

 自民党への「罰」というのは決して米メディアだけの見方ではない。日本のメディアでも主流だと思うし、僕も本質はそうだったのではないか、と思っているのだが。

 <米政権が関心を持つのは、新政権がどれぐらい安定的かということだ。半年前には、今後1~2年は流動的で再編が起きるかもしれないと見ていた。選挙後は、新政権は安定するとの予測が強くなっている。圧勝の意味はやはり大きい。>

 米国が「鳩山は安定政権」と見る意味は大きい。米政権が取引に出ることもできるし、相談しても大丈夫だと思ってくれるだろう。

 <今後の日米関係で話題となりそうなのが、基地問題基地の配置国と受け入れ国の相互作用を調べると、政変で事態は動いていた韓国では1998年の金大中政権成立後、地位協定が見直された。>

 成果は少なかったけどね。

 <ただ、日米の指導層は、早い段階での対立は避けようとするだろう。来年横浜で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)を台なしにするのはまずいし、来夏の参院選のためにも民主党は穏健策をとるはずだ。それでも将来、問題となることは避けられまい。インド洋での海上自衛隊による給油活動も、やめるだけでは米政権は喜ばない。代わりに例えば海賊対策で役割を広げることだ。アフガニスタンの復興支援の強化もいい。非軍事面での貢献は、日米同盟に対等性を求める点でも効果的だろう。>

 海賊対策は中国との軍事交流にも役立つのだ。

■選択がもたらすもの4 慶応大総合政策学部教授・上山信一氏

 上山信一(うえやま・しんいち)1957年大阪市生まれ。京大法卒業後、旧運輸省入省。米国留学などを経て、大手コンサルティング会社「マッキンゼー」共同経営者に。横浜市、大阪市など自治体の経営改革を手掛け、現在、大阪府特別顧問。

 見出しは<政治主導のチャンス――慶応大総合政策学部教授(公共経営学)・上山信一氏>。聞き手は大貫智子記者。

 <東京では少し雨が降る空模様だったが、今回の衆院選は、投票率は現行制度では最高だった。国政を変えなくてはいけないと多くの人が思い、受け皿に民主党がなり得た。小沢一郎氏が代表を辞任し、鳩山由紀夫代表になってフレッシュなイメージが出たのだろう。>

 <民主党は日常の暮らしという等身大のレベルに焦点をあてて自民党を攻撃した。財政再建か成長か、という議論は、「上げ潮派」という言葉を聞かなくなったころに議論は終わっていて、今回の選挙では争点としては消えていた日本はもう大きく成長できない、ということが前提になったからだ。「ならば福祉やセーフティーネットを充実してくれ」ということだ。景気対策という自民党の発想自体が古い。>

 何か偉そうなことを言っているけど、景気対策ってもしかすると、今回の世界不況対策のことなのか? この世界不況対策をやらなければ、まずいことになるんじゃないか。

 <民主党は個別政策の羅列だが、普通の有権者からみれば分かりやすい。ただ、だからこそ、鳩山代表は基本哲学を述べて形にしなければならない。>

 <民主党が掲げる政治主導は、厳密に言うと対財務省の問題だ。財務省には、使命感とエリート意識の両方がある。民主主義は目の前の客に金をばらまくから、基本的に無駄遣いをする。それを見張るのは自分たちしかいないという「厳しいお母さん」だ。その自負がプライドとエリート意識になる。>

 <橋本龍太郎政権時代の行政改革で金融部門を切り離し、名前も変えて普通の役所に近づいた。だが、政治が無駄遣いする構図は変わらず、政治主導といっても財務省は別格となってしまう。これは簡単には変わらないが、まず政治側が財務官僚と対等に議論できるところまで財政や税制に精通しなければならない。>

 何か、論理が飛んでいるんだよね。分かりにくい。

 <もともと官僚制度には政治への抵抗力がある政治は常に暴走するから、行政の継続性を保つためにプロが判断し、変な政治家が来た時には拒絶するという仕組みだ。だから政治主導が理想的にできるとは思わないが、族議員、官僚出身の政治家、天下り官僚の三つの勢力は政権交代で力を失う。この4年間は大きなチャンス。8年かければ完全に影響力を排除できるだろう。>

 この人は相当なことを言っていて、まとめる記者が根拠とかを全部削ってしまっているんじゃないだろうね。あまりにも分かりにくい。

 <官僚が一番嫌なのは官僚OBだ。私が担当した大阪市の改革で、職員と気持ちが一つになったのはOBの「渡り」をやめさせた時だった現役の官僚個人は何の利権も持っておらず、この三つの勢力がいなくなれば、役人を動かすこと自体は簡単だ。まともな大臣が就任しなければ、同じ歴史を繰り返すが、常に政権交代していれば駆逐できる。これが政権交代の重要な点だ。>

■選択がもたらすもの5 元外務省主任分析官・作家、佐藤優氏

 佐藤優(さとう・まさる)1960年生まれ。同志社大大学院神学研究科修士課程修了後、外務省で在ロシア大使館などに勤務。2002年に背任などで逮捕され、今年7月に執行猶予付き有罪確定。著書に「国家の罠」「自壊する帝国」など多数。

 見出しは<半年で具体的成果を>だ。聞き手は鈴木英生記者。

 <今回の選挙の雰囲気は、幕末の「ええじゃないか」や、太平洋戦争開戦に至る熱狂と似ていた。そして実現したのは、小泉純一郎氏が2001年の自民党総裁選で掲げた「公約」、「自民党をぶっ壊す」である。>

 <つまり、民主党が勝ったのではなく、自民党という原子力発電所がメルトダウン(炉心溶融)してしまったわけだ。民主党は、その残骸を掃除してクリーンな発電所を建てなくてはならない。>

 <気になるのは、民主党が、従来の自民党以上に「(国民)全体の代表」として振る舞っていることだ。例えば沖縄の米軍基地問題。私個人は、普天間基地は県外か国外に移設すべきだと思うが、国際政治で日本に要求される文脈を考えると、当面は困難だろう。民主党は、さまざまな国民に、こうした相矛盾する難しい約束をしている。>

 <民主党は、こうした矛盾で立ち往生する前に、半年程度で具体的な成果を出さないといけない。さもないと、政治への無気力が国民に広がってしまう。>

 <すぐにできることは何か。古い官僚を統制し、新しい人材を育てる下地を作ることだろう。まず、各省庁に「目安箱」を設ける。政権発足から10日間程度で、全職員に職場の何が問題かを投書させて、大臣がすべてを読む。投書の中には、誤ったものや謀略的な内容も交ざるだろうが、全体的な問題の所在と傾向を大臣が把握すれば、官僚をけん制することができる。>

 <さらにこの投書に基づいて、省内が自ら改革できるかを監視し、100日たっても結果が出なければ、人事に反映させる。少なくとも年金問題で大失態を演じた厚生労働省と、米国との核密約問題でしらを切る外務官僚には、自己改革ができないなら責任をとらせなくてはならない。>

 <長い目で見ると、今後の政治は、地域政党がカギになると思う都道府県単位で、知事を中心にして、国政へ進出しない地域政党ができたら面白いそれが、国政選挙のたびに地域に役立つと判断した候補や政党を応援する。こうなれば、地域政党が個人と国政の間の中間団体として機能することになる。>

 <民主党政権では、元派遣村村長の湯浅誠さんや作家の雨宮処凛さんら、反貧困論客の主張も通りやすくなるだろう。労働組合も中間団体として力が強まる。日本は今後、中間団体が重層的に個人と国家の間を支える、社会福祉国家を目指すべきだと思う。>

■選択がもたらすもの6 東洋学園大准教授・櫻田淳氏

 櫻田淳(さくらだ・じゅん)1965年宮城県生まれ。東大大学院法学政治学研究科修士課程修了。愛知和男前衆院議員の政策秘書などを経て現職。外交を主なテーマとする若手保守論客。著書に「国家への意志」「国家の役割とは何か」など。

 見出しは<国民への説得力持て――東洋学園大准教授(政治学)・櫻田淳氏>。聞き手は大貫智子記者。

 <選挙戦で追い込まれた麻生太郎首相は「自民党は保守政党だ」と訴えたが、これを聞いた時点で自民党の負けを確信した。普通の国民は、自分は保守主義者だと意識していない。日々、安心安全に暮らせる生活ができることが第一で、わざわざイデオロギー的なことを言ったら普通の国民には受け入れられない。「右の社民党」になってはいけない。社民党はイデオロギーを信奉する人が支持するから、少数政党であっても議席を維持できるが、あくまで少数政党であることが前提なのだ。>

 <自民党にはこれまで三つの顔があった吉田茂元首相など自由経済を尊重し、国際協調の考え方を持つ「顔」と、田中角栄元首相のように地方に金をばらまき、国民の統合を図ろうとする「顔」。三つ目は岸信介元首相などのナショナリストの系譜だ。麻生首相は吉田氏の孫で、本来は第1のパターンだったと思うが、実際に首相に就任してやったことは、なぜか第3のパターンだった。>

 <保守政党は、かつては冷戦型の社会主義、共産主義に対抗する意味があった。共産主義とは完ぺきな官僚主導国家だ。これからの保守政党は、官僚依存の発想からいかに離れるか、志向すべきではないか。民主党は「脱官僚」を模索していたが、今回、選挙戦で看板に掲げた「子ども手当」では厚生労働省の仕事が増えるだけだ。>

 <民主党は中道左派で自民党は中道右派と区分する人がいるが、イデオロギー的な左右の分け方はあまり意味がない。自民党には安倍晋三元首相のような人も、加藤紘一元幹事長のような人もいる。民主党も自民党の右より右という人も中にはいる。結局、どちらが国民に対して説得力を持てるか、という差でしかない。>

 <民主党で一番不安なのはやはり外交だ。鳩山由紀夫代表は反米的な思考を持っているわけではないと思うが、具体的に何をやるか、がない。アジアに関しては東アジア共同体やアジア共通通貨構想など詳しいので、日米関係には熱意がないと思われてしまう。>

 <民主党は自民党政権に対抗するためにアジアに軸足を置きたいのだろう。鳩山代表の祖父、一郎元首相が日ソ国交正常化を成し遂げたのは、前任の吉田氏が米国に近付きすぎたという側面もあったのだろうが、吉田氏の業績を否定したわけではない民主党が自民党政権の外交政策を全部踏襲し、自民党がやらなかったことをやるのならいいが、ひっくり返して新しいことをやろうとするから、不安になるのだ。>

■選択がもたらすもの7 作家・平野啓一郎氏

 平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)1975年愛知県生まれ。京都大法学部在学中の1998年「日蝕」でデビュー。翌年、同作で芥川賞。2009年「決壊」で芸術選奨文部科学大臣新人賞。他の著書に「葬送」「ドーン」など。

 見出しは<2大政党制、定着カギ>。聞き手は棚部秀行記者だ。

 <4年前、あまりに内容が乏しいまま「郵政民営化」のワンフレーズだけで自民党が大差で勝利したことには危機感を持った。しかし今回の民主党の大勝については、2大政党制が戦後初めて実現できたという点で評価している。有権者が今の生活を何とかしてほしいと切実に願った結果でもあり、シニカルにとらえるべきではない。>

 <民主党は、「政権交代が可能な2大政党制というシステムを作らなければならない」と強調していた。「自分たちを選んでください」と訴えるのと同時に、このメッセージは有効だった。>

 <今回、自民党がダメだからという理由で、民主党を支持した人が多かっただろう。どちらかの党がふがいなければ別の党に代わるという仕組みを今、作っておかなければ、日本は永遠に変わらないという危機感を有権者は強く持っていたのではないか。「ダメならクビにしますよ」という権利を初めて国民が手に入れ、行使したといえる。>

 <ただ、大部分の有権者は、保守主義か社民主義かという大きな思想的対立ではなく、中道的な政策で、微妙に左右に振れながら安定するのを望んでいるのではないか。政権交代は必要だと考えても、選択の基準は、政策より政治家の顔ぶれによるところが大きいように思う。>

 <だからこそ小選挙区制で、政策の善しあしを判断して、党を選択することに慣れていかなければならないと感じた。2大政党制で、大きな対立軸がはっきりすれば、細かい議論が整理されて、判断がしやすくなる。>

 <個人的には、2党が思想的にも明確に対峙すべきだと考えているが、価値観が多様化し、社会が複雑化するなかで、各論での具体的な中身が、投票の判断材料になっていくと予想している。似て非なる同じような二つの党が政権を交代していくという、日本独特の2大政党制になるかもしれない。>

 <連立政権を組むならば、パートナーの党がクローズアップされるだろう。それぞれの政党に、個別に支持したい政策があるとなると、いっそ1人分の1票を分割して、テーマごとに投票したくなる。>

 <今後は2大政党制がどれだけ定着していくかがカギになる。1年後に参院選があることは、タイミングがいい。最初の1年で政策をどこまで進めることができるか、一つのリミットになる。当然真剣に取り組む。そうしないと政権を追われる可能性があるというのが、2大政党制の緊張感。自民党一党支配ではなかった状況だ。>

■選択がもたらすもの8 詩人・作家、辻井喬氏

 辻井喬(つじい・たかし、本名・堤清二)1927年生まれ。東京大学経済学部卒。元セゾングループ代表。百貨店経営のかたわら、詩集「不確かな朝」で詩人デビュー。文筆家と経済人の二つの顔で活躍。近著に小説「遠い花火」。

 見出しは<問われる財界の役割>だ。聞き手は後藤逸郎記者だ。

 <今度の選挙の結果、時代が変わった、50年以上続いた自民の時代が終わったという認識だ。>

 <55年体制ができた当時、衆院で3分の2近い議席を持つ自民党と、憲法改正を拒否できる3分の1強を確保する社会党という政治構造には国際的な背景があった。それは東西冷戦と響き合っていた。>

 <ところが冷戦が終わり、55年体制を維持する根拠がなくなった。それでも自民党の認識は冷戦時代と変わらず、新たな思想、政策を持たないまま、権力だけを維持しようとした。弱体化がはっきりしてくると、公明党の力を借りて取り繕ってきたが、今回はいよいよ駄目になってしまった。4年前の小泉旋風の逆が起きたわけではない。>

 <この風が再び逆に吹くことはないだろう。しきりに「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」の方丈記が浮かぶ。あるいは「盛者必衰の理をあらわす」という平家物語が想起されてしまう。壊れた自民党を立て直すのはかなり厳しいと思う。>

 <駄目になったのは政界ばかりではないという気がする。労働者派遣法の改悪で、企業はいつでも人件費を減らせるようになった。個々の企業は利益を上げるのに都合のいい方向に行くだろう。米リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに経済が壊れ、みんな急場しのぎの方へ流れたから社会の構造も不安定になった。>

 <利を追う個別企業に対して「それでは、マクロ(全体)からみたら駄目なんだ、歴史から見たら駄目なんだ」と言うのが財界の役割。でもそれを忘れてしまった。「民主党の時代が来るかもしれないが財界はどうするんですか」とある財界幹部に尋ねたら、「ともかくCO2(二酸化炭素)25%削減はやめてもらわなければ」と言うばかりだった。>

 <財界は経済政策、産業振興策に注文をつけるが、それよりも社会の再建を言ってほしい。またこの機会に政治献金をやめ、自らの役割を見つめ直すべきだ。>

 <グローバリズムが広がる冷戦後の世界で、日本の信用、存在感をどう高めていくかについても、財界人に積極的に発言してもらいたい。かつては、米国の民主、共和両党に話ができる人がいた。でも最近は全体とすると、視野はかえって狭くなっているらしく、昨年の米大統領選の予備選が進んでいたころ米民主党とのパイプの有無に、経済界はあまり関心を持っていなかった。財界人の意識もグローバルにならないと、経済も社会も再建できない。>

■選択がもたらすもの9 国際日本文化研究センター所長・猪木武徳氏

 猪木武徳(いのき・たけのり)1945年生まれ。京都大学経済学部卒。大阪大学経済学部長などを経て現職。経済思想や近代経済史を専門に、官僚制の国際比較、人材育成に関する研究に携わる。近著は「戦後世界経済史」。

 見出しは<「君子豹変」恐れるな>だ。聞き手は後藤逸郎記者。

 <民主党の勝利は静かな革命と言える。しかし、革命は起こったけれど、中身はまだバラバラだ。農業団体も、医師団体も寄らば大樹の陰で、与党になりそうだから民主党についた。これでは利権を求めて与党に近づくという今までの構図は変わらない。それをどの程度変えられるのか、民主党は重要な役割を与えられた。>

 <民主党が変革のキーワードとして強調しているのが「政治主導」「地方分権」「天下り禁止」「ムダの切り捨て」。共感は得やすいが、危惧もある。>

 <内閣が大臣をコントロールし、大臣が官僚をコントロールするだけの力量が前提にあって、はじめて「政治主導」という言葉が実質的な意味を持つ。今の政治家にその力がどこまで備わっているのか。地方分権も同じで、担い手である政治家を訓練し、育成するシステムが地方にきちんと備わっていることが、うまく機能するための条件になる。>

 <本来、法治国家の仕組みとして担保されているはずの「政治主導」をあえて目標として掲げなくてはならなくなったのは、高度成長期以後、政治家の力量が弱くなってしまったためだ。>

 <その原因は、中央官庁に人材を取られ続けたことにある。民主主義という仕組みの中で、政治家ほど割に合わない仕事はない。選挙に落ちたら「ただの人」だから、人材はそんなリスクが大きなところには行きたがらない。>
 <官僚の天下り問題は、普通の感情としてはけしからんケースがあることは確かだ。だが、官をたたくだけで良いのか。それほど民は信用でき、「官から民へ」ですべてうまくいくのか。「天下り根絶」などを盛り込んだ民主党のマニフェスト(政権公約)は、有権者受けする内容だった。同時に、有権者受けを狙いすぎた政策も混じっている。君子豹変を恐れず、地に足のついた政策立案、実行を期待する。>

 <今までのしがらみがなくなることをもって「新しい、良いものができる」と単純に喜ぶのは危うい。「十分な根拠がない限り、制度をやたらいじらない」ところに保守の良さがあったのに、小泉政権以来、日本の中から良質な保守が消え、すぐに改革に突き進んでしまうようになった。政権交代という大転換で世の中がちょっと浮足立ち、「変えればいい」の傾向が強まる恐れがある。>

 <選ぶ側の責任も極めて重い。「うまくいかないから引きずりおろそう」の繰り返しでは日本全体が沈んでしまう。せっかちではいけない。しばらく見守る精神も必要だ。>

■選択がもたらすもの10 熊本県知事・蒲島郁夫氏

 蒲島郁夫(かばしま・いくお)1947年熊本県生まれ。地元の農協勤務後1968年渡米。米ハーバード大大学院政治経済学博士号取得。筑波大教授などを経て東大法学部教授。投票行動の計量的分析が専門。2008年3月の知事選で初当選。

 見出しは<都市住民の説得カギ>。聞き手は大貫智子記者だ。

 <私はこれまで2大政党制を主張し、いずれ政権交代があるだろうと思っていた。だが想定外だったのは、欧米諸国と比べて選挙結果の「ぶれ」が大きかったことだ。無党派層の存在が大きく、あっという間に雪崩現象が起きる。>

 <次の衆院選では逆にぶれる可能性もある。自民党はそれほど得票率は低下しておらず、過剰に自信喪失する必要はない。カナダはかつて典型的な2大政党制と言われたが、1993年の総選挙で進歩保守党は169議席から2議席に減少し、結局、事実上消滅した。この例に比べれば、自民党は十分再生できる議席を持った。2大政党制が続くには自民党の再生が重要だ。>

 <有権者の投票行動には、争点や政党支持、候補者、党首などいろいろな要因が絡む。今回の衆院選は自民党に対する「業績評価」が突出し、他の要因は低かった。>

 <衆院選は参院選と違い、都市部に多くの議席があり、都市部の評価が選挙結果を決めた。ただ、熊本県では麻生政権が行った、地方に手厚い予算配分や経済対策はある程度評価されていると思う。これを民主党は忘れてはいけない。>

 <麻生政権は「ばらまきだ」と批判を受けたが、やったことは正しかったと思う。問題だったのは、地方政策や財政拡大について、都市部の人たちの支持が得られるよう説得できなかったことだ。>

 <この大不況を乗り切るには、民主党政権においても財政拡大は必要だ。地方は小泉政権による「三位一体改革」で、地方交付税見直しだけが先行して税源移譲が進まず、相当苦しんでいる。民主党は、地方の痛みを感じる一方、都市部が納得できる理論を構築することが必要だ。>

 <これまでの地方政治は、自民党体制で官僚制も確立している中でどう動くか、だった。民主党政権になり、官僚制が変化すれば地方政治も変わらざるを得ない。地方にとって初めての経験だ。新政権では、公共事業という形での配分は減るだろうが、自由度は高まるのではないか。中央政府依存型ではなく、創造性と自主性が必要になるだろう。>

 <私は、地方は大リーグのイチロー選手のような姿勢で臨むべきだと思う。イチロー選手は国が変わろうが、相手チームが変わろうが、とにかくヒットを打ち続ける。知事は県民の「幸福量の最大化」が最大の目標だ。政権が代わろうが「不安定だ」と愚痴を言わずに民主党を研究し、この状況にどう立ち向かっていくかを考えるべきだ。>

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2009年9月15日 (火)

50人→150人:小沢グループ一気に3倍~読売新聞09年9月15日

 読売新聞09年9月15日朝刊3面[スキャナー]は<「小沢グループ」一気に3倍/50人→150人/圧倒的存在感/党内警戒も>というまとめ記事。毎日新聞も何日か前に特集っぽくやっていたが、やはり気になるようだね。政治部の東武雄、栗林喜高両記者の署名が入っていた。読んでみよう。◇はもともとあった小見出しだ。

 <衆院選の圧勝で誕生した民主党の新人議員143人が16日開会する特別国会で永田町での政治活動をスタートさせる。新人議員の多くは小沢代表代行の指南を受けたことから「小沢チルドレン」とも呼ばれるが、党内では小沢氏の権勢が強まることへの警戒感も高まっている。>

 という前文だ。

◇つい「小沢代表」と…鳩山氏

 <「新しく幹事長に、小沢代表にぜひなっていただきたいと(述べ)、(小沢氏から)『承りました』と(返事をもらった)」。「党の人事に関しては基本的に小沢代表に……、失礼、新幹事長に、その案をまとめていただくことをお願いした」。民主党の鳩山代表は14日夜、党本部で小沢氏と会談した後、記者団の「ぶら下がり」取材に応じたが、その際、小沢氏を「代表」と2度言い間違えた。「鳩山氏が、小沢氏の党内での圧倒的な存在感をいつも意識しているからだろう」との受け止め方も出た。実際、新政権での小沢氏の力は衆院選前に比べ、格段に強くなると見られている。党の資金と選挙での公認権を握る幹事長というポストを得たことだけが理由ではない。小沢氏を支持する議員が党内で圧倒的に増えるためだ。>

 言い間違えるだろうなあ。ずっとその関係でやってきたのだから。

 <小沢氏は先の衆院選で新人候補の発掘に積極的に動いた。選挙期間中も、私設秘書らが手取り足取り活動を支援した。新人の大量当選により、衆院選前は約50人とされていた小沢氏を支持するグループは、一気に150人前後に膨れあがると見られる。かつて、自民党で圧倒的な「数の力」を誇り、小沢氏も所属した田中派でさえ、最大時で約140人だった。もっとも、民主党内のグループは、1人で複数のグループを掛け持ちする例もあり、自民党の派閥に比べれば結束力も拘束力も弱い存在だ。とはいえ、他のグループからは「これからは小沢氏に真っ向から反論することはできなくなる」と警戒する声も出ている。>

◇議員会館に「小沢フロア」出現

 <衆院議員会館では、衆院選後、事務所の入れ替えが行われたが、小沢氏が入居する第一会館の6階には、石川2区で森元首相と接戦を演じた田中美絵子氏(比例代表で復活当選)をはじめ、民主党の女性新人議員8人が入居した。同じ階に元々事務所を置いていた小沢氏側近の山岡賢次国会対策委員長に加え、小沢氏の秘書だった樋高剛衆院議員も事務所を構えるため、さながら「小沢フロア」の様相を呈している。小沢氏に近い中堅議員は「新人は小沢氏の手元に置き、手塩にかけて育てていきたい」としており、「小沢フロア」はその象徴的現象とも映る。>

 <「党内力学」にも微妙な変化が見える。衆院選後、政権運営のあり方を巡る構想にあたり、鳩山氏が最も信頼を寄せていると見られている松本剛明・前政調会長と松井孝治参院議員は今、党内で「ダブル松」と呼ばれ、一目置かれる存在となっている。>

 <もともと、松本氏は野田佳彦幹事長代理のグループに所属し、松井氏は前原誠司副代表に近いとされ、小沢氏と距離があると見られていた。それが「『ダブル松』が新政権で官房副長官などに就き、鳩山氏や小沢氏に弓を引く動きににらみを利かすのではないか」と、やっかみ混じりの観測も飛び出すほど、「鳩山―小沢ライン」に近づいたと言われるようになった。>

 いろいろ知らない政治家が出てきているんだなぁ。

◇各グループ、激しい新人争奪戦

 <民主党は15日午後に都内のホテルで新人議員を集めた「ガイダンス」を開き3時間近く、議員としての心構えなどを幹部が説く予定だ。その夜は各グループが新人を誘って一斉に会合を開く。あるグループの幹部は「新人全部が全部、小沢グループではない」と熾烈な新人争奪戦を予想する。もっとも、他グループの警戒の的となっている小沢氏当人は、そうした「党内力学」より、心は既に、来年の参院選に向いているようだ。先週末、党本部で中堅議員と約15分会談した際には「参院選では2人区に2人立てようかどうか迷っている。自民党は、そうやって強くなったんだ」と述べ、参院選対策の話ばかりをしたという。>

 自民党竹下派が自民党内で君臨していた全盛期のノウハウを持っている唯一の男だからね、自民党はなかなか立ち直れないだろうね。梶山静六氏が生き返れば別だけど。

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趣味の世界に生きる細川護煕氏に今度は毎日新聞がインタビューしていた~09年9月15日夕刊

 毎日新聞09年9月15日夕刊2面[特集ワイド 09天下の秋]は<鳩山さんよ、劉邦たれ/政権交代の「先輩」細川護熙さん/小沢さんは項羽>という見出しで細川元首相のインタビューが載っていた。朝鮮問題に詳しい鈴木琢磨帰社の署名記事だ。読んでみよう。
 <民主党代表の鳩山由紀夫さん(62)が16日、首相になる。「政権交代」では先輩がいた。初めて自民党が下野した時の首相、細川護熙さん(71)。永田町を離れ、悠々自適に暮らす細川さんに聞いた。>
 という前文である。
 <「ほら、こんなにシシトウが。長ナスも。長雨と日照りで心配したんだけどね」。ゴム長靴に麦わら帽、首にタオルの細川さん、収穫の真っ最中だった。ここは神奈川県湯河原町、自宅から軽トラックを運転、畑にやってきては野菜づくりを楽しんでいる。>
 田舎のおっさんだ。
 <汗をぬぐい、畑に腰を下ろし、しばし一服。赤トンボが舞う。1993年の細川非自民政権誕生から16年もの歳月が流れた。旗揚げした日本新党をひっさげ、永田町に乗り込んできたさっそうとした姿が浮かぶ。「それが草むしりですから。ハハハ。いよいよ鳩山丸の船出ですね。鳩山さんの顔引き締まってきましたよ。官房副長官をしてもらっていたころは、正直、存在感がなくて頼りなかったですから」>
 <掘り起こした泥だらけのサトイモまでかごに入れ、再び軽トラックで自宅へ。還暦で政界を引退してからは、ここを「不東庵」と称し、陶芸にいそしんでいる。近ごろは好きな漢詩のふるさとを訪ねて中国を旅する。祖父、近衛文麿も愛用した縁側のイスに座って、インタビューを続けた。衆院選の結果から。「小選挙区制度だと、どうしてもああなる。ただ、前回は自民党の大勝だったといっても、前回も勝ってなかったんじゃないかな。勝ったのは小泉純一郎さんのグループだけ、賞味期限は切れていましたよ」>
 <さて、民主を圧勝に導いた小沢一郎さんは幹事長ポストに就く。かつて、肥後細川家の第18代当主でもある細川さんを担いで非自民政権樹立へ動いたのも小沢さんだった。当時、新生党代表幹事として8党会派に絶大な発言力を誇っていた。あのころも「二重権力」が懸念されていた。「組閣人事は、社会党からこれだけ、民社党からこれだけといったリストを私のところへ持ってきた。封をして、これ一部しかないから、と。あとどうするかは決めてくれ、でしたね。ま、いろいろとわがまま言われたこともありましたが……」>
 <ちょっと口を濁したのは古傷がうずいたせいか。たとえば、あの一件である。小沢さんと大蔵省(現財務省)が組んで、税率7%の国民福祉税導入を図ろうとしたドタバタ劇。深夜の緊急記者会見で細川さんが発表したものの、すぐに撤回に追い込まれ、政権の信頼は大きく揺らぎ、支持率が急落していく。「あのときの大蔵大臣は藤井裕久さん。何も言わないんですよ。止めてくれればよかったんです」。悔しさをにじませ、古代中国のヒーロー、項羽と劉邦、2人の天下をめぐる戦いになぞらえた。「連想したのは秦漢の交代劇です。この選挙、そして小沢さんを見ていて、あ、項羽だ、と感じました。《力は山を抜き、気は世を蓋う》。その力量は抜群で、秦を倒すことには有効でしたが、秦滅亡後の世の中をどうするかの展望と構想が欠けていた。なるほど小沢さんは項羽に比すべき腕力はある。でも、民主党の青写真はまだ十分に説得力のあるものではない。むしろ劉邦のように人材を集め、よく力を発揮させることができるかどうかがカギですよ」>
 <そして、驚く発言が飛び出した。ニューリーダー、鳩山さんに「劉邦たれ!」とエールを送りつつ、オールドリーダーの小沢さんへはなんと引退を勧告するのだった。「権力者は常に《退》を考えておかなければいけません。白楽天の詩に『田園に帰らんことを想う』というのがあります。次の参院選後に小沢さんもそうした心境になられるかもしれない。帰るのは岩手でしょうか。それまでは全力でやり抜いて選挙に勝つ。総理になるのが目的じゃないし」>
 <「脱官僚」をキャッチフレーズに民主党の次なる戦場は霞が関である。新しく国家戦略局なる組織も生まれるらしい。「不安ありますね。荒っぽすぎて。役人を敵に回すより、どう付き合うか。人材は官に一番、集まっているんですから、うまく活用しないと推進力なんて出ませんよ。その点、やっぱり、項羽よりも劉邦は人使いがうまかったんじゃないですか。海千山千の人間をつかまえて、荒くれを使いこなして……。鳩山さんに人を見る目があるかどうかわからないけど、初めから役人は向こう側だって発想は、どうもいただけません」>
 <鳥が鳴く。静かな午後である。鳩山さんへのアドバイスは続く。「一内閣でやれることは限られている。私の場合は《政治改革》。行財政改革もやりたかったけど、社会党を抱えていましたから、無理でした。いまなら《環境》でしょう。旗は。選挙前、東京のスポーツジムで岡田克也君に話しました。彼と一緒のジムなんです。同感だって感じでした」。ロクロを回し、閑居に生きるをモットーに暮らしている。そう承知していたから、意外だった。ダイエットするなら、太陽の下、畑仕事をすれば足りる。永田町への未練がおありなんじゃ?>
 <「めっそうもない。畑から来るとき、見ませんでした? こんな田舎道なのにガードレールだらけ。JRの湯河原駅は、電車が入ってまいります、のアナウンスがひっきりなし。馬車が入ってくるんじゃないんだから。《鼓腹撃壌》。腹鼓を打ち、大地をたたいて歌う。庶民が支配者を意識しないで太平に生きていけるのが最上の為政、との意味です。いまは頭のてっぺんから足の先まで政府がちょっかいを出す。国の関与は最低限にして個人や家庭レベルでの生活を守っていく、それが目指すべきこれからの政治じゃないかと思いますね」>
 <かねて「細川塾」を開きたい、との構想を抱いておられた。「チビたちを集めて庭の掃除をさせ、北原白秋なんかを読み聞かせたりね。寺子屋みたいなものです。松下政経塾は失敗でしょ。有能な政治家を輩出できなかったですから」。シシトウや長ナスでなく、早く人間を育てないといけないじゃないですか?>
 <「申し訳ないのですが、その余裕が、まだ。あとは選挙制度ですね。穏健な多党制のほうがいいかもしれないと思っています。そのために中選挙区連記制にし、1人が2票入れる。日本人のメンタリティーに合いますし、いい政治家を発掘できますから」>
 <殿と宇宙人――。いずれも浮世離れ?していることが気にならないではない。細川政権はわずか8カ月で消えた。>

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2009年9月10日 (木)

毎日新聞の[日本が変わる]が面白い:09年9月1日~10日の10日間分

 毎日新聞は政権交代を重層的に分析しようと1面と③面で連動して報じる長期ワッペン企画[日本が変わる]を09年9月1日朝刊からスタートした。順次見ていこう。

■9月1日 政権交代、戸惑う霞が関

 9月1日朝刊の第1回である。<概算要求、白紙に>の大きな見出しらしい。「らしい」というのは、ネットで見ているので、本物の新聞の扱いがいまいち想像できないからだ。1面から3面に続き、3面の見出しは<基金事業――農水省あきらめ、厚労省「存続を」/国家戦略局――「実権はく奪」恐れる財務省>のようだ。筆者は平地修、高塚保、近藤大介3記者の名前が書いてあった。
 まず1面から読んでみよう。
<自民党が権力のいただきから転げ落ち、圧倒的多数の民主党に入れ替わった。油を差してもうまく働かなくなった行政、企業活動、暮らしのシステムを民主党は再構築できるか。リスクをはらんで日本が変わり始めた政治の主要な機能は、集めた税金の配分先を決めることだ。政権が代われば配分の重点も変わる。>
 として、すぐに、
 <「麻生(太郎首相)さんは明日の概算要求を止めるべきだと思ってます」。政権交代が確定した30日深夜、民主党の菅直人代表代行がテレビ番組で語った言葉は「予算編成権われにあり」という宣言になった。麻生内閣は7月1日に来年度予算の概算要求基準(シーリング)を決め、8月31日は財務省が各省庁から概算要求を受け付ける締め切り日だった。例年、財務省は締め切り日に要求の受け付け状況を報道陣に公開するセレモニーを催していたが、菅氏の発言を受けて公開は急きょ中止された。同省の広報担当者は「この状況では勘弁してほしい」と理由を語った。>
 菅直人氏の迫力だね。
 <国土交通省は、八ッ場ダム(群馬県)建設関連の事業費75億円など、民主党が中止を表明している公共事業費をあえて概算要求に盛り込んだ。同省幹部は「現時点では自公政権の政策を前提に要求せざるを得ない。政権交代でリセットして、ヨーイドンだ」と形式的なものに過ぎないことを認める。一方、中堅幹部は「概算要求の書類は厚さ50㌢にもなる。紙の無駄だ」と嘆いた。>
 「紙の無駄」などという物言い自体、傲慢な雰囲気をかもし出すのだが。国土交通省の役人が本当に省資源のために紙の無駄遣いをやめようと思っている、なんて誰も思わないさ。格好をつけているだけさ。
 <31日までに出そろった一般会計の概算要求総額は2009年度当初予算比4.0%増の92兆1300億円。政権交代の端境期に作成されたこれらの要求はいったん白紙に戻る。>

 無駄というのならば、各省の役人のこのエネルギーを無駄に使ったのがもったいないとも言えるのだが、こういう無駄遣いこそ必要なのだと逆に思うのだ。

 <財務省は衆院解散前から政権交代の可能性をにらんで手を打ってきた。7月の人事異動で、小沢一郎代表代行が竹下内閣の官房副長官だった当時の秘書官、香川俊介主計局次長を対外折衝役の総括審議官に起用したのはその一例だ。来年度予算の基本方針を確認するため、概算要求締め切り日に毎年開いている主計官会議も、今年は「新政権の動きを見極める」として見送りを決めた。ただし、今後の展開は見通せない。変更を迫られるのは、来年度の予算編成にとどまらないからだ。>

 香川氏は7月に総括審議官に出世していたのか。まあ、如才ない財務省のことだから、香川氏でこの何年かの大波を食い止めるつもりだろう。

 <民主党はマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ政策の財源を捻出するため、麻生内閣が成立させた2009年度補正予算約14兆円のうち4兆円程度の執行を中止し、予算内容を組み替える第2次補正予算案を、秋の臨時国会に提出する方針だ。補正で盛り込まれた46基金4.3兆円が削減の軸になる。>

 これをやりすぎてはいけない、と最近、民主党系のエコノミストが言い始めているね。景気の二番底が真っ暗な口をあけ、その中に真っ赤に燃える悪魔の舌が見えたのだろう。

 <景気対策のための予算が途中で大幅に組み替えられた例は財務省幹部も「聞いたことがない」と言う。政権交代の具体的な影響を霞が関の官僚機構は初めて経験することになる。>
 まあ、どうなるかなぁ。異常が1面の記事だ。次は3面である。
 <民主党が減額補正を考えている2009年度補正予算には「国立メディア芸術総合センター」の建設補助金117億円や46基金の4.3兆円が盛り込まれている。同党幹部はこれらの大半を執行停止することにより「政権交代で税金の使い道が具体的に変わったという姿を国民に見せる」と鼻息が荒い。>
 それしかないのではないか、とも言われている。
 <「アニメの殿堂」と揶揄され続けたメディアセンターはアニメ、マンガ、映画などのメディア芸術の拠点整備を求める声に応えて文化庁が計画を進めてきた。しかし、マンガ好きの麻生太郎首相とイメージが重なったため民主党の鳩山由紀夫代表が「巨大国営マンガ喫茶の建設」と皮肉るなど「ムダの象徴」に祭り上げられた。民主党幹部は「アニメの殿堂は止めることに意味がある」と指摘し、財務省幹部も「中止が当確の事業」と語る。>
 まあ、血祭りにあげられた形だな。
 <46基金のうち民主党が見直しの対象として明示しているのは農地の貸手に補助金を支給する「農地集積事業」(3000億円)失業者を支援する「緊急人材育成・就職支援事業」(7000億円)だ。農地集積事業について農水省内ではすでに「民主党がはっきり『やめる』と言った以上、もはや引っ込みがつかないだろう」とあきらめムードが漂う。>

 政治なのだね、こういうのが。論理じゃない。

 <一方、緊急人材育成・就職支援事業について厚生労働省幹部は「雇用は依然、厳しい。やめていい事業ではない」と反論する。基金からは、すでに支援金の給付が始まっているが、民主党は運営する中央職業能力開発協会が厚労省などからの天下り団体であることを理由に見直しを要求している。>
 両方ともに大義名分がある場合の捌きだね、問題は。
 <基金の多くは、国からの補助金をもとに都道府県が事業主体になるため、一度作った基金の取り崩しには、都道府県議会の承認が必要となる。総務省によると、国からの補助金が地方に渡される前なら、承認なしでも取りやめは可能だが、地域振興につながるとして地方が期待を寄せる事業もあり、一方的な中止は反発を招く恐れがある。補正予算の大幅削減は、景気にも冷や水を浴びせかねず、財務省幹部は「事業をやめたらどんな影響があるかを、データなどで示していく」と民主党の理解を得たい考えだ。>
 都道府県だって自分に相当に都合が悪くなければしゃしゃり出て行って文句は言わないだろう。
 <予算編成の進め方も、民主党政権では大きく変化する。>
 ここからは予算編成の話だ。
 <小泉内閣以降の予算編成は、まず経済財政諮問会議で大枠の方針を決め、財務省が概算要求基準(シーリング)を示し、それに基づいて
各省庁が8月末までに概算要求を提出
9月から財務省が査定を開始
12月下旬までに財務省原案、政府案の決定
 ――という段取りで進められてきた。しかし、民主党は「官僚依存政治」から脱却する切り札として「国家戦略局」の新設を目指している。重要閣僚や官民のスタッフで構成する同局は、予算編成の基本方針のほか、外交方針についても論議し、首相を補佐する。>
 まだ実態はよく分からないけどね。
 <民主党はマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ、子ども手当の支給や高速道路無料化などの財源16兆8000億円(2013年度)特別会計を含めた国の総予算207兆円の全面組み替えによって捻出するとしている。こうした作業は国家戦略局と、その下の「行政刷新会議」が担う。来年度予算概算要求の組み直しや2009年度補正予算の一部執行停止に向けた2次補正予算案の作成が初仕事になる。>
 消費税を上げないという公約は今後、自分の首を絞めないか?
 <予算編成のあり方を大きく変える可能性があるだけに、霞が関はその人事の行方に目を凝らしている。財務省は国家戦略局に予算編成の実権を奪われ、事務的な査定だけ押し付けられることを警戒している。このため同局に対しては「要請があれば考える」(幹部)とエース級の投入を検討している。一方、経済産業省は「経済成長戦略を描けるのは経産省。民主党と対立点が少ないのも強み」と売り込みを狙う。国家戦略局に入れなければ、予算編成の骨格を決める作業に加われず、省としての存在価値低下につながるとの危機感が霞が関にはある。>
 人事の蠢きだね、今後どうなるか、だ。
 <ただ、国家戦略局で予算編成の基本方針を策定した後の具体的な段取りは明らかではない。財務省はどの程度かかわるのか。政治主導の調整機関として民主党が打ち出している「閣僚委員会」はどのような方法で運営されるのか。そもそも概算要求を白紙に戻した後、年末までに予算編成を終えることができるのか。>
 そうなんだ。予算の年内編成が今度ほど大切なときはないと思うのだが。
 <民主党幹部は「2010年度予算の編成に向けて時間との勝負になる」と語る。民主党が掲げる国の総予算207兆円の全面組み替えは「概算要求の修正では果たせない。ゼロベースで見直すしかない」とされ、民主党内には「9月中旬以降に政権が発足すると、年末までに編成作業が間に合わないのではないか」との懸念がある。こうした状況を踏まえてか、党内には「300議席あるのだから急ぐ必要はない。2、3年かけて徐々に変えていくだけでも、自民党は崩壊し、霞が関も変わる」との声も出始めた。>
 そう思うよ。最初から無理をするよりも、徐々に自民党の首を絞めていけばいい。自民党の首を絞めるのが目的ではなく、政治の仕組みを変えるのが目的なのだから、そこを間違えてもらっては困る。
 <鳩山氏は8月31日の記者会見で今後の予算編成について「ゼロから、といういい方が正しいかどうかは分からないが、根本的に見直していく努力をする必要がある」と改めて意欲を示した。>
 「正しいかどうか分からない」と言っている。鳩山氏の物言いはいつも逃げがあるから面白くないのだが、味があるかもしれないね。

◆◆経済財政/民主、問われる真価

 経済面というか[世の中ナビ]面で関連記事を入れていた。これも読んでみよう。見出しは<日本が変わる/経済財政/民主、問われる真価>である。
 <総選挙で308議席を獲得し、自民、公明両党からの政権奪取を決めた民主党は、マニフェスト(政権公約)に盛り込んだ子ども手当やガソリン税の暫定税率廃止、高速道路の無料化など、目玉政策の実現にとりかかる。選挙期間中は与党から「財源なきバラマキ」と批判されてきたが、「政権を取れば実現可能」と反論し、支持を得た。従来の予算配分を見直して財源を確保することは本当に可能なのか、国の借金が増えるだけなのか。主張の真価が問われるのはこれからだ。>

 という前文で、財務省かどこかの記者クラブの斉藤望記者、平地修記者、国土交通省担当か何かの位川一郎記者、赤間清広記者、農水省担当の行友弥記者、総務省担当の望月麻紀記者が各省の立場を短く書いている。経済部お得意のまとめ記事だ。
◇財源 国債増発懸念も
 <民主党がマニフェストで具体的に示した新政策を実現するには、最初の2010年度だけで7.1兆円、すべてがそろう4年後の2013年度には16.8兆円が必要だ。同党は予算のムダ遣いの見直しや「霞が関埋蔵金」の活用で財源を捻出するとしている。>
 基本的知識だ。今の時代、こういう基本的知識は無料のこういうインターネットで得られる。金がいらなくなった時代だね。
 <国の予算は一般会計と年金や雇用保険などの特別会計を合わせて207兆円。このうち50兆円が民主党が「官僚の天下り先」と批判する独立行政法人などへの補助金や業務委託費で、ここから6.1兆円を捻出する。また公務員人件費の2割削減で1.1兆円公共事業の3割カットでも1.3兆円をひねり出す予定だ。また「霞が関埋蔵金」と言われる外貨準備運用益など特別会計の剰余金活用で5兆円住宅ローン減税などの政策減税措置である租税特別措置の見直しで2.7兆円を確保。その他0.6兆円で、合計すれば最終年度に必要な16.8兆円をまかなえる計算だという。>
 こういう計算なのだ。
 <しかし16.8兆円の根拠には「国の総予算207兆円から、年金や医療など削れない支出を除くと70兆円が残る。そのうち2割くらいは見直せるはず」(民主党幹部)と、内容を精査していない皮算用的な側面もある。また、補助金カットに必要な独立行政法人などの廃止や公務員の人件費カットには官僚の強い抵抗も予想される。予算の見直しで財源が出せなければ、結局、国債を発行する借金に頼らざるを得ない。>
 この問題、産経新聞の寄稿や日本記者クラブでの講演で榊原英資氏が「日本の債務は国、地方あわせて800兆円、民間の預貯金が1400兆円あり、債務超過のアメリカとは違って、国債をあと何百兆円出しても安心だ」と吹いているのは、こういう背景がある、と思って聞かないといけないんじゃないかな。
 <鳩山由紀夫代表は選挙期間中、「2010年度予算の国債発行額は2009年度以下に抑える」と述べているが、2009年度の国債発行額は44兆円で過去最高になる見込みだ。「民主党の圧勝で国債増発懸念が高まり、長期金利は年末にかけて1.7%まで上昇する」(生保大手)との見方さえ出ている。>
 長期金利の上昇も「上がっても利益を期待する大口が買って、金利が下がるから結局は安定する。大丈夫だ」と榊原氏は言うのだがねえ……。

◇社会保障・子育て 年金改革に20年
 <急速に進む少子高齢化への対応は新政権にとっての大きな課題。民主党が目玉政策に掲げる「子ども手当」は、中学卒業までの子ども1人当たり年間31万2000円(月額2万6000円)を支給(2010年度は半額)する。現行の児童手当(所得制限あり)の対象は小学6年生までで3歳未満が月1万円、3歳以上は5000円(第3子以降は1万円)。子ども手当で支給額は大幅に増える。経済的負担を減らし、安心して出産・育児ができるようにするのが狙いだが、少子化に歯止めをかけられるかは未知数だ。>
 これが子ども手当ての内容の基本的部分だ。これだけ知っておくだけで、十分イメージできるようになるね。
 <年金制度の抜本改革では消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。制度設計は2013年度までに行う予定だ。しかし、新制度移行までにはその後早くとも20年程度かかる見通しで、どこまで国民の理解を得られるかが課題となる。>
 年金の制度改正か。
 <医療対策では、医師数を1.5倍に増やす計画。高齢者からの批判が強い後期高齢者医療制度は廃止する。介護労働者の不足などでサービス低下が懸念される介護では、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げるが、保険料や税金など負担増につながる可能性もある。>
 無駄遣いをやめれば財源は出てくる、という言い分はいつ挫折するのだろう? 案外早く挫折するのではないか、と思うのだ。

 社会保険庁の問題だって、突き詰めていけば、組合が滅茶苦茶な労働条件を管理職に飲ませたことから、仕事が遅れて、処理できなかった伝票が億の単位で残ってしまったのが最初の、そもそもの原因じゃないか。この組合の委員長、書記長はすでに定年退職しているだろうが、こういう人物たちやその後継者を懲戒免職したり、損害賠償で責任を問うという姿勢を示せるのかどうか? 格好のいいことを言っても、自治労には弱いのではないか?

◇道路行政 高速使う人だけ得
 <民主党は地域の活性化などを目的に、大都市圏を除く高速道路を段階的に無料化するとしている。ただし、実現するには2008年度末で約30兆円の債務の返済義務を国に移す必要があるため、高速を使わない人の負担は増える。維持管理費の捻出方法や、高速道路会社の経営形態、他の交通機関との関係も課題だ。一方、民主党はガソリン税などの暫定税率を2010年度に廃止するとしている。道路事業費の確保が目的だった道路特定財源が一般財源化され、高い税率の根拠がなくなったためだ。廃止されればガソリン税は1㍑当たり53.8円から28.7円に下がる。だが、税収減で道路予算が大幅削減されると、地方から不満が出る可能性もある。>
 高速無料化にしてもそうだが、得する人と損する人が出る。猛烈な反対運動も出るだろう。政治の一つひとつにエネルギーが必要なのだ。あまりバカバカしいことにエネルギーを使わずに、55年体制を支えたシステムの転換に全精力を注いでほしいものだ。

◇温暖化 国民負担5倍に
 <環境分野では2020年までの温室効果ガス削減目標を巡り、民主党は1990年比25%減(2005年比換算では30%減)を政権公約に掲げた。2005年比15%減とする現行の政府方針より踏み込んだ内容だ。民主党の削減手法が不明確なため一概に比較はできないが、仮に太陽光発電の普及など国内対策だけで達成しようとする場合、国民負担は政府方針(1世帯あたり年7.7万円)の5倍近くになるとの試算もある。>
 1世帯当たり年間40万円以上の負担かぁ。大きいねえ。
 <さらに民主党は各企業に温室効果ガスの国内排出量取引市場創設を提唱温室効果ガス排出源に課税する「地球温暖化対策税」の導入も打ち出し、産業界には「環境コストの増大は避けられない」との懸念が広がっている。>
 いわゆる「炭素税」だね。入れるべきだと思うよ。

◇農政 補償目標どう算出
 <民主党の農業政策の目玉は「農業者戸別所得補償制度」の導入。野菜などを除く幅広い農畜産物について、販売価格が生産コストを下回った分を補償する制度だが、小規模農家に配慮してすべての販売農家を対象にした点や1兆円もの財源をどう確保するのかなど多くの疑問がある。また、補償を受けるのは国が定めた「生産目標数量」の範囲で生産した農家だが、その目標数量をどう算出するかなど実務的な難しさも指摘されている。農林水産省の井出道雄事務次官は6月、同制度の実施は「現実的でない」と批判していたが、31日の会見では「(新)大臣の指示の範囲内で最大限努力する」と姿勢を修正した。民主党のマニフェストには当初、日米FTA(自由貿易協定)の「締結」も盛り込まれ、後に「交渉を促進」に修正された。「締結すれば日本農業が壊滅的な打撃を受ける」と批判されたためだが、所得補償も貿易自由化による農産物価格の値下がりを前提にしているとの見方もあり、農業関係者にはまだ不信感がくすぶっている。>
 農業は難しすぎて分からない。こんな短い文章では書ききれないだろう。

◇郵政民営化 見直し、青写真なく
 <郵政民営化を前面に訴えた自民党の大勝から4年。社民党、国民新党とともに「4分社化見直し」を掲げた民主党の勝利で、民営化に向けて刻んだ時計の針は戻される。まず、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険と、持ち株会社日本郵政の株式売却が凍結される。その上で地方のサービス維持などのため経営形態の修正が議論される。民主党は現在、国営・公営にまで針を戻す主張はしていないが、具体的な青写真もない。一方、民主党の鳩山代表は西川善文・日本郵政社長に辞任を求める考えを示し、岡田克也幹事長も同社会長人事を批判した。「見直し」の第一歩はトップの進退問題となる可能性がある。>
 この記事後、実際に人事の問題が出ていたね。どうなるのやら。でも、自民党が負けてよかったのは郵政民営化問題で小泉、竹中ラインが進めようとした無理な民営化路線がようやく否定されることだ。鳩山邦夫氏がいくら頑張っても所詮、自民党だった。竹中支配の中から逃れられなかったが、鳩山由紀夫氏、つまり、お兄ちゃんは頑張った。

■9月2日 消費者庁発足
 09年9月2日朝刊の[日本が変わる②]は消費者庁発足。見出しは<「脱官僚」火ぶた切る/長官交代、こだわる民主>だ。山田泰蔵、奥山智己、藤田祐子、中澤雄大4記者の合わせ技の記事だ。
 まずは1面記事。
 <政権移行期のはざまで消費者行政を一元的に扱う消費者庁が1日、発足した。生産者重視だった行政の転換点とされるが各省から集められた約200人の職員は必ずしも晴れ晴れとした表情ではなかった。民主党が新政権を発足させた後、就任したばかりの内田俊一長官を交代させる可能性があるためだ。>
 という前文だった。
 <午前9時45分、閣議後の記者会見に臨んだ野田聖子消費者行政担当相への質問は、内田氏の処遇に集中した。野田氏は「長官は事務次官会議にも出席するから、他省の次官にモノがいえる人ということで内田さんを選んだ。余人に代え難い」と人選に自信を見せたうえでこう皮肉った。「民主党には国民はもっと違うことを望んでいるんだから、そっちにもっとエネルギーを注いでいただければと思います」。混乱の発端は、麻生太郎内閣が7月1日「長官人事は新政権が決めるべきだ」と主張する民主党を押し切って初代長官に内田氏を内定したことだ。内田氏は旧建設省(現国土交通省)出身。福田康夫首相(当時)が消費者行政の一元化に取り組む方針を示した2008年1月に内閣府事務次官を務め「消費者庁構想」の具体化にもかかわった。>
 旧建設省の官僚は「官僚の中の官僚」と言われた旧内務省官僚そのものである。昔は大蔵省の官僚は二番手で、一番手は内務省、という時代があった。
 <自公政権で官僚組織の中枢にいた内田氏の長官内定に、民主党人権・消費者調査会長の仙谷由人氏らは7月16日付で「各省庁を適切に監視できるか甚だ疑問だ」とする談話を発表。政権を獲得した場合は人事を全面的に見直すと表明。しかし、麻生内閣は8月11日の閣議で内田氏の長官就任を正式決定した。与野党が全会一致で設立を決めた消費者庁に影が差し始めた。>
 理論派の仙谷由人氏はしつこいよ。
 <「脱官僚政治」を掲げる民主党は、長官人事に依然こだわっている。仙谷氏は1日、毎日新聞の取材に「負ける可能性の高い総選挙をやっておいて、辞令を発付すること自体が問題だ。うちの担当大臣が決まったら人事を洗い直す必要がある」と語った。しかし、一般職公務員である長官人事を覆すのは簡単ではない。内閣府の職員は「長官人事への政治介入を許せば、前例になってしまう。無理やり交代させたら労働権の侵害にもなる」とけん制する。官僚の身分は、国家公務員法75条の規定などで手厚く保障され、更迭には相当の理由が必要になるためだ。厚生労働省の幹部も「あすはわが身かもしれないが、いったん発令したものを覆すのは無理じゃないか」と語る。霞が関の官僚機構は政権交代の試金石として内田氏の扱いを注意深く見守っている。それは官僚の自己防衛本能でもある。>
 なるほどね、試金石になってしまったのか。
 <当の内田氏は午後2時半から就任の記者会見に臨み「公務員が国民の信頼を取り戻していく貴重なチャンスを与えられたと思った」と就任の抱負を語った。一方、民主党の異議に対しては「人事権者のご判断。私がコメントすることはない」と述べるにとどめた。>
 まあ、内田氏の責任ではないよね。なぜ内田氏に関する記事が多いのかこれを読んで分かった。
 次は3面の続き記事だ。見出しは<消費者保護、充実探る/民主公約――相談員の待遇改善、財産被害の救済/事業、組織作りに遅れ>である。
 <消費者庁・消費者委員会の設置は5月、国会で全会一致で決まった。民主党は当初、民間が主体となり強力な権限で政府を監視する独立機関「消費者権利院」を創設するなどの抜本改革案を出し、政府案の消費者庁法案に正面から論戦を挑んだ。しかし、ほかの野党が消費者庁創設を優先する立場を鮮明にしたことから、政府案との折衷案に落ち着いた。消費者庁の創設を求めてきた弁護士は「民主政権になれば、より民主党案に近い運用になるはずだ」とみる。抜本改革の手始めに活用されそうなの