朝鮮半島・中国

2009年10月12日 (月)

北朝鮮での権力のあり方=白頭山の山脈>漢拏山の山脈>富士山の山脈:鳴り物入りで歓迎された在日帰国者は貧乏になったら鼻も引っかけられないのか! これが北朝鮮の実態だ~朝鮮日報09年10月12日

 朝鮮日報09年10月12日朝刊の<離散家族/再会事業が変えた北朝鮮住民の境遇>は当たり前のことを書いているのだが、最近、日本の新聞が当たり前のことを書こうとしないので、参考になるのだ。カン・チョルファン記者の署名記事。読んでみよう。
 <北朝鮮では、南北離散家族再会事業(9月26日-10月1日)に参加するのは大変な恩典だ。だが、韓国の家族と接触することは後々の体制変化の原因となりかねないため、北朝鮮の体制が信用していない階層は、再会事業の対象から除外される。対南工作機関出身のある脱北者は「離散家族再会事業は労働党統一戦線部の管轄だ」と語った。統一戦線部は再会申請を受け付けた後、国家保衛部と人民保安省(警察)を通じ身元調査を実施する。選定の基準は「政治性」と「宣伝性」だ。国軍捕虜や拉北者(韓国人拉致被害者)の場合、政治的価値が認められる。これらの人物を含めると韓国側で提起する国軍捕虜・拉北者の送還問題をなだめることができると考えている。「宣伝性」とは、北朝鮮で出世したり、金正日政権から何の危害も加えられていない家族のことを指す。これらの人物なら韓国側の家族と会った際、金正日総書記の偉大さを心から宣伝できるというわけだ。>
 ということ。当たり前でしょ? でも、あまり知らない人もいるのだ。
 <再会対象者に選ばれると、1-3カ月間にわたり統一戦線部で教育を受ける。北朝鮮は初期のころは衣類などあらゆる費用を負担していたが、現在は個人が負担する。再会後にプレゼントを受け取ることはできるが、現金は銀行に入金し、1カ月に100㌦(約9000円)までしか使えないようになっている。>
 <北朝鮮にいる離散家族の中で一番の悩みは、戦争で離れ離れになった家族を「戦死者」と偽る階層だ。北朝鮮で戦死者の家族は出世の道が開けるが、突然再会申請が出されると、「履歴欺瞞罪」が適用されることになる。この場合、幹部職から追いやられるのはもちろん、再会も不可能になる。北朝鮮サッカー代表の監督を務めたユン・ミョンチャン氏もこうした理由で韓国に亡命したケースだ。ユン氏は韓国に渡った父親について、戦争のとき爆撃で死亡したと申告していた。>
 <ところが父親が韓国で生存していることが判明し、「履歴欺瞞罪」に問われることになった。結局、北朝鮮を脱出するよりほかにない境遇となったわけだ。北朝鮮で履歴欺瞞罪は、収容所送りになりかねない重罪に当たる。>
 まあ、。知っていてそういう処置をしたのならば、バレるまではいい思いをしたのだから、仕方ないだろうね。
 <離散家族再会事業によって、北朝鮮では「漢拏山の山脈(越南者)」という新造語が生まれた。北朝鮮の中核を占めるのは「白頭山の山脈(抗日パルチザンおよび戦争参加者)」で、「富士山の山脈(在日朝鮮人の家族)」は、日本からの送金があるお陰で裕福な階層のことを指す。越南者の家族は、北朝鮮では賤民のように扱われていたが、離散家族再会が行われるようになったことで、再評価されている。日本による北朝鮮制裁が長期化する中、「富士山の山脈」はほとんどが没落したが、その一方で、韓国に親戚がいる越南者の家族が新たに浮上した。>
 富士山の山脈は没落してしまったのか。まあ、没落しても繁栄しても私には関係ない人だから、気にならないが。かえってバイアスのかかった北朝鮮政策に引っ張られなくてよかったのかもしれないが。
 <しかし、韓国側の家族と再会した人たちは、その瞬間から地域保衛部の監視対象となる。中国などを通じた密会を監視するためだ。北朝鮮の敵対階級が韓国から金を受け取り裕福になることを、体制存亡の問題と見ているわけだ。とはいえ、貧しい保衛部の要員は韓国から流入するドルの方により大きな関心を寄せ、違法な接触が行われても金さえ出せば目をつぶり「持ちつ持たれつ」の関係となっている。>
 金がすべての世の中かぁ、理想の社会、北朝鮮を褒めそやかした進歩的文化人よ、責任を取らないままに棺桶に入った人が何と多いことか。

| | コメント (0)

日中韓首脳会談、韓国メディアの報じ方~09年10月10日、12日の中央日報、朝鮮日報

 韓国の新聞はどう報じたのか。中島哲男・毎日新聞論説委員の[社説ウオッチング]ではないが、この東アジア首脳会談の内容を見れば気になるところだ。
 韓国の中央日報は09年10月12日付<姿勢変えたような北朝鮮/喜ぶ中国、慎重な韓日>という見出しでまとめ記事を書いていた。
 <10日に北京で開かれた韓中日首脳会談に出席した中国の温家宝首相の発言に国際社会の耳目が集まった。5日前に平壌で北朝鮮の金正日・国防委員長と会談してきた当事者だった。温首相は記者会見で「金委員長と(3日間に)10時間会った」と紹介した上で「北朝鮮が(米国はもちろん)韓国・日本との関係改善を望んでいる」と伝えた。「今回の訪朝で得た最も大きな手応えだ」と強調した。対話をしようという金委員長の攻勢が全方位にわたっていることが改めて確認された。これはそれだけ現在の「対峙」局面を「対話」局面に転換させようという北朝鮮の意志が強いことを示す。核実験と再処理施設稼働などで核抑止力を誇示したが、いまでは交渉を通じて得られるものは得ようという判断をした可能性もある。国際社会の制裁を回避しようという意図もあるだろう。>
 ここまでは、まだ事実経過の紹介だ。
  <韓国・日本にまで対話の意向を明らかにしたのは、米朝対話を控えた布石の意味がある。融和ムードを作り直接対話に反対する米国内の一部世論をなだめ、オバマ政権の負担も減らせるためだ。「機会をしっかり握れなければ消える可能性もある」とした温首相の発言からは単純な伝達以上の中国側のメッセージが込められている。温首相は「6カ国協議と2国間対話が矛盾だとは思わない」とも話している。活発な二国間対話を通じて早い時期に北朝鮮の核交渉を再開させようという中国の意中が読み取れる。>
 まあ、何も言っていないに等しいのではないか、この文章では。
 <一方、李明博大統領は慎重な姿勢を見せた。李大統領は「常に開かれた心でいる。北朝鮮にグランドバーゲン(一括妥結)を説明したい」と述べた。しかし「会うことの目標は核を放棄すること。北朝鮮が核を放棄する準備ができたときに北朝鮮が望む協力ができる」との言葉も忘れなかった。「対話のための対話」はしないというこれまでの立場を再確認したものだ。>
 李明博大統領がブレていないことが確認できただけでも大きい。この長い記事の中の唯一の救いなのかも。
 <米国は長考を繰り返している。米朝会談の準備ができていると明らかにしているが、実際に対話に乗り出す代表団の地位と議題の水準については方針を確定できずにいる。6カ国協議が最終解決の場になるべきだ、という関連国の認識が一致しながらも、その中間段階での二国間会談を行うことには微妙な溝があることが現れた。関連国間の微妙な立場の違いが見られる「グランドバーゲン」についても同様だった。温首相は会談で「韓半島の非核化のため韓国の努力を評価する。開放的態度で積極協議していきたい」と述べた。中国当局者はグランドバーゲンを「大交易」と呼び関心を表明してきたという。これはより明確な語調で積極的同意を示した日本の鳩山由紀夫首相の発言とは画然とした温度差が感じられる。>
 李明博大統領が提案したグランドバーゲン。鳩山首相が同意した、と。まあ、そういうことなんだけど、本来は日本が口火を切っていた「包括協議」を李明博大統領に言っていただいた、という面があるのではないか? だから、日本は李明博大統領を大事にしないと罰が当たる、というのだが。
 <鳩山首相は一歩踏み込んだ。日本人拉致問題が包括的交渉案に含まれるべきということを改めてクギを刺したものだ。韓国政府もこれに対し了解を示した。これとは別に米国は人権問題を包括的交渉案に含めるべきとの考えを持っていると外交当局者は伝えている。しかし、核交渉だけでも難題が山積みなのに、解決策を引き出すのが困難な拉致・人権問題まで同じテーブルに上げるならば交渉はより難しくなるという指摘も出ている。これについて韓国政府当局者は「グランドバーゲンの基本哲学がすべての懸案を一度に妥結しようというもので、北朝鮮の核問題の終着地は米朝・日朝関係の正常化が含まれる。大変であってもこうした問題も交渉しないわけにはいかない」と述べた。>
 あまり李明博大統領を追い詰めるような、危険ば場所に行かせるようなことをしないで、日韓が仲良く進んでいきたいものだ。
 中央日報は10月10日の社説<新韓日関係/手につかめる結実が重要>でも歴史問題などには触らず、前向きな課題で終始し、いい感じだった。
 社説を読んでみる。
 <鳩山由紀夫日本首相が昨日、青瓦台(大統領府)で李明博大統領と首脳会談を行った。新しい日本の首相が就任3週目に、2国間レベルの最初の訪問国に韓国を選んだのだ。今日北京で開催される韓日中3カ国首脳会談の場を借りて韓国首脳と会談できるにもかかわらず、敢えてソウルを訪れたのは、未来志向的な‘新韓日関係’に対する鳩山首相の強い意志の傍証だと考えられる。韓国と中国を含むアジアとの関係を重視する鳩山外交が昨日の訪韓で本格的に始まったのだ。>
 歴史的な意味に触れながら喜んでいる。良かった。
 <首脳会談後に開かれた記者会見で、鳩山首相は「前向きに歴史を直視する勇気を持つべき」と述べながらも、過去の歴史に関する具体的な懸案については慎重な立場を見せた。1995年8月15日の終戦記念日を契機に出てきた、いわゆる「村山談話」を超える水準の謝罪の表示があるかもしれないという期待があったが、「村山談話の意味を政府と国民一人ひとりが重要な考えだと理解することが大切」と述べるにとどまった。李大統領が提案した天皇の訪韓や在日同胞の地方参政権問題についても国内事情に触れながら具体的な答弁を留保した。鳩山首相が置かれた国内政治的な状況を勘案しても、歴史を直視する心とその心を行動に移すことは別の問題ということを、われわれは改めて感じざるを得なかった。「韓日関係は近くて近い関係になるべき」という鳩山首相の認識が近い将来、具体的な結実につながることを期待する。>
 文句を言っているようにも見えるかもしれないが、これは昔を知ってる人間から見ればいいほうなのだ。
 <当面の懸案である北朝鮮の核問題に対して両国首脳は同じ声を出した。 李大統領が提案した北朝鮮核問題の一括妥結案、すなわち「グランドバーゲン」構想に対し、鳩山首相は「正確で正しい案」と強力な支持を表明した。 しかし「(李大統領は)拉致問題が包括的解決パッケージに当然含まれていると述べた」と明らかにし、拉致問題とグランドバーゲン構想への支持を交換するようなニュアンスを漂わせた。 日本の立場を理解できないわけではないが、北朝鮮がこれを受け入れるかどうかは疑問だ。>
 これも修辞法の範囲だね。
 <すでに明らかにしたように、韓国は鳩山首相の東アジア共同体構想を歓迎する。昨日の首脳会談でもこの問題が論議され、今日の韓日中首脳会談でも主要議題の一つになるという。 鳩山首相は東アジアの範囲にASEAN(東南アジア諸国連合)とインド・オーストラリア・ニュージーランドが含まれると説明しているが、当然その中心は北東アジア3カ国でなければならない。鳩山首相は東アジア共同体構想が机上空論でないと話すが、まだロードマップも出ていない。今回の韓日中首脳会談ではこれに関してより進展した構想が出てこなければならない。すぐに実現するものではないだけに、小さなことから一つずつ築いていく姿勢で、具体的にどの分野から協力していくのかについての説明が出てくることを期待したい。>
 まあ、きついことを言っているようにみせて、内実はベタ褒め、という時によく使う修辞法だと思う。
 ついでに10月10日の【グローバルアイ】も見ておこうか。金東鎬(キム・ドンホ)東京特派員のコラムである。見出しは< 米国の「本音」と「建前」>だ。
 <日本人は表と裏が違うことで有名だ。 地下鉄で足を踏まれてもむしろ「すみません」と反応する。腰まで大きく曲げたりもする。内心はよい気持ちであるはずがない。それでも表面上はぐっとこらえる。不必要な衝突を避けるためだ。逆にうれしいことがあれば「表情管理」をする。内心が露出しないようにだ。>
 <日本の新政権に対する最近の米国の対処戦略がちょうどこれと似ている。日本で長く続いた自民党政権が代わると、米国は‘おおげさ’なジェスチャーを見せてきた。まず鳩山由紀夫首相の論文「私の政治哲学」から始まった。鳩山首相は「世界は米国の一極支配時代から抜け出している」と主張した。これはすぐに「反米政権が誕生したのではないか」というざわめきとして日本に伝わった。>
 <鳩山首相はさらに「対等な日米外交」を宣言した。一方、米国が警戒中の中国に対しては「東アジア共同体」を構築しようと提案した。岡田克也外相は「共同体は韓日中とインド・オーストラリアなどを含む」と米国排除の立場を表した。韓日中間でも‘同床異夢’で解釈されているこの構想は、きょう北京で開かれる3カ国首脳会談でさらに具体化される。>
 東アジア共同体でどこが注目されるか、と言えばやはり「米国抜き」ということだろうね。諸外国はそこしか見ていないのだろうね。
  <日本のこうした「脱米入亜」を一部の人々は日米間の葛藤要素と見なしている。しかし「本音」と「建前」は日本の専有物ではなく、強大国がよく使う外交戦略であることは、数多くの歴史的事実を通してずっと以前から立証されている。米国の本音はまず、日本の政権交代を大きく歓迎しているということだ。協力会社の経営陣がずさんならパートナー会社が負うリスクと負担は高まる。解決策は内部改革を通して生まれ変わることだが、自民党は期待を裏切った。そういう時に現れた民主党政権は米国にとってはむしろ新たな希望だ。米国としては強いパートナーが必要だ。中国に続きロシアも資本主義を加味し、ユーラシアの軍事大国として復活中だ。米国だけでは手に負えなくなっている。最も信頼できた協力者は侵略戦争という原罪のため露骨な軍備増強が難しい。米国の核の傘を使う代わりに資金係の役割をよく果たしてきたが、バブル経済後は自国のことで精一杯になっている。>
 この見方が外国人の日本観なのだろうね。
 <鳩山政権はアジア重視を主張しているが、最大の同盟が米国という立場は揺るがない。鳩山首相は本音を徐々に表している。鳩山首相は8日、自民党政権当時に決まった沖縄・普天間基地の外部移設合意を容認することを示唆した。公約を覆す発言だ。来月12日のオバマ米大統領の訪日に合わせて、緩んだ日米関係の強化に動き始めたとみられる。>
 冷静だね。
 <日本人の中には原爆投下と敗亡のため根深い反米意識がある。鳩山首相はこれを勘案して、米国の思い通りには動かないという勇気を見せているだけだ。日本の内心を読むのも難しいが、いまや米国の内心も慎重に読み取らなければならないようだ。本音と建前は日本だけの専有物ということはできない。>
 韓国では日本への過度の恐れがあるのだろう。だから、日本の「本音」と「建前」などというのだろう。本音と建前というのは、日本以上に儒教国家である韓国や北朝鮮、中国や台湾にこそあると思うのだが。でも、それが今の韓国人の常識なのだ、ということも、これは冷厳な事実である。
■朝鮮日報10月12日社説
 朝鮮日報は10月12日付社説が<温首相が伝えた金総書記の対話提案>だった。読んでみよう。
 <李明博大統領と中国の温家宝首相、日本の鳩山由紀夫首相は10日、北京で韓中日首脳会談を開いた後の記者会見で、北朝鮮と積極的に対話する必要があるという共通認識を示した。韓中日の首脳による定例首脳会談は今年で10年目となる。国際社会は今回の首脳会談で、北東アジアの主要3カ国が域内最大の懸案である北朝鮮問題にどのような解決法を示すのかに注目した。>
 <温首相は今月4日から6日まで行った訪朝の結果を説明し、「金正日総書記と数回会い合計で10時間一緒にいた。最も長い会談は4時間だった。北朝鮮は6カ国協議に柔軟な姿勢を見せ、米国との関係改善を望んだだけでなく、韓日との関係も改善したいと語った。今が北朝鮮と対話すべき機会だ」と述べた。しかし、温首相は北朝鮮が、2国間、6カ国による協議で核兵器を放棄するという戦略的決定を下したかについては言及しなかった。>
 <北朝鮮の国営メディアは今月5日、金総書記が温首相と会い「われわれ(北朝鮮)は朝米会談の結果を見て(6カ国協議を含む)多国間会談を進める用意を表明した」と報じた。中国から建設費が2000億ウォン(約150億円)を超える鴨緑江大橋の建設など大規模な支援を引き出した北朝鮮が中国の体面を意識したように6カ国協議への復帰可能性を示唆したが、それが実現するかどうかは「米朝会談の結果」にかかっているという姿勢だった。>
 <中国の北朝鮮に対する影響力を考えれば、中国は北朝鮮を核問題をめぐる交渉のテーブルに引っ張りだす仲介役としての役割を超え、北朝鮮が核を完全放棄するように積極的な役割を果たさなければならない。中国が仲介した北朝鮮との対話が今回も成果なく終わり、結局北朝鮮が核を保有する状況で緊迫すれば、北東アジアは恐怖の核競争に陥る可能性があり、これは中国にとっても最悪の状況だ。李大統領は「北朝鮮の核放棄を前提として、常にオープンな心で対話する用意がある」と述べ、鳩山首相も「金総書記の言葉を信頼したい」と指摘した。>
 <重要なことは北朝鮮との対話そのものではなく、対話を通じて北朝鮮に核を放棄させ、共に繁栄する北東アジアの一員として参加させることではないか。李大統領が北朝鮮の核問題と対北朝鮮支援を一括した交換条件とする「グランドバーゲン」を提案したのに対し、温首相は「開かれた態度で協議していく」と述べ、鳩山首相も「方向に共感を覚える」と述べた。グランドバーゲンの具体的内容は、韓中日3カ国が議論すべき部分が多く残されているという。米国も似たような態度を示している。6カ国協議の参加国は北朝鮮との個別対話に先立ち、北朝鮮の核問題に実質的に終止符を打つ共同プランを作ることが急務だ。北朝鮮核問題を解決できるかは、韓中日と米国が言葉だけでなく、共に行動に移すことができる解決法を提示できるかにかかっている。>
 交渉のための交渉はもういい。問題解決のための交渉をしようよ、と。この声が必要だね、この問題では。

| | コメント (0)

2009年10月11日 (日)

韓国の若者が北朝鮮の人権にショックを受けているそうだ:良かった~朝鮮日報09年10月11日

 朝鮮日報09年10月11日に<「韓国の大学生よ、北の人権問題を無視するのか」/スーザン・ショルティー代表インタビュー/「若者が北の実情に無関心、外国人として衝撃」/「皆さんが沈黙すれば、北の住民は死に続ける」>という記事が出ていた。そのものズバリである。韓国語の「運動圏」の学生たちは北朝鮮に甘い。そこで、米国人のおばさんに怒ってもらった、という趣旨の記事である。大変ですね、韓国の大人も、言うことを聞かない若者を抱えて。だけど、団塊世代のころの日本よりは扱いやすいでしょう。
 読んでみよう。
 <北朝鮮の人権問題をめぐり運動を繰り広げてきた米国ディフェンス・フォーラムのスーザン・ショルティー代表は、今年初めに延世大学アンダーウッド国際大学(UIC)のイ・ジョンフン学長から1通のメールを受け取った。>
 <「韓国の大学生は過去10年間、北朝鮮の人権についてまともに見たり聞いたりすることができなかった。韓国には脱北者のほかに、北朝鮮の人権に精通した人も、若者にこの問題を教え伝えようと取り組む人も少ないのが実情だ。恥ずかしいことだが、あなたに第3者の立場から“事実(fact)”を伝えていただきたい」。ショルティー代表は1996年から脱北者を手助けしてきた功績が認められ、昨年「ソウル平和賞」を受賞した人権運動家だ。同氏は8日、本紙との単独インタビューで、「2005年2月に韓国を訪問した際、“韓国人、特に若い世代は北朝鮮の実情を知らなすぎる”と思った。当時の経験を思い返し、今回の依頼を受け入れた」と語った。>
 <当時、ショルティー代表は西江大学で北朝鮮人権市民連合主催で行われた「第6回北朝鮮人権・難民問題国際会議」に出席していた。韓国やオーストラリア、米国、ノルウェーなど9カ国から人権運動家や学者550人が参加した。>
 <「会議を目前に控え、西江大学のキャンパスには韓総連(韓国大学総学生会連合)のメンバーなど、一部大学生が反対デモをしていた。“行き過ぎた反北は南北和解に逆効果”という内容のプラカードを掲げていたのが衝撃的だった」。ショルティー代表は「隣人が苦難を味わっているのに、知らないふりをするのか」と問いかけた。「直接助けられなくても、気の毒に思うのが人情の常ではないか。飢え死にする北朝鮮の住民を助けようというのに、ほかでもない韓国の若者が反対するなんて。それだけ北朝鮮の実情を知らないということだろう。北朝鮮の住民に自由な世界を伝えること以上に、韓国人に対し北朝鮮の実情を伝えるのが切実だと感じた」>
 <ショルティー代表は今月3日に韓国を訪問、5日から9日まで1日2時間、延世大で特別講義を行った。同氏は昨年本紙が制作し、海外で数々の賞を受けたドキュメンタリー『天国の国境を越える』を学生に紹介した。また、毎日脱北者2、3人を招き、生々しい証言も聞かせた。>
 <正式に単位を取得できる科目だが、学生に広く伝わっておらず、最初は受講生が20人にすぎなかった。ところが日を追うごとに、がらんとしていた講義室は、1日でびっしり埋まるようになった。口コミで広がり、受講生が押し寄せたためだ。>
 <リュ・ヒョンジェさん(21)=延世大1年=は、「父親と同じ世代の50代の脱北者が、わたしの目の前で唇を震わせながら“北朝鮮では日々延命するのも大変だった”と話すのを聞いて驚いた。『天国の国境を越える』を見るまでは、脱北の過程がそんなに過酷だとは思わなかった」と話した。>
 <7日午後、正規の講義とは別に行われた公開講演には、学生120人余りが集まった。この席でショルティー代表は、「1日に何百人もの人々が飢え死にする国が、長続きするはずがない」と語った。>
 <同氏は、今月1日に北朝鮮住民11人が漁船に乗って韓国入りしたニュースを知っていた。北朝鮮の強制収容所が経済犯であふれているとの本紙報道については、「厳しい食糧難を考えれば当然の結果」と述べた。>
 <「配給体制が崩れている。北朝鮮住民の60%以上がブラックマーケット(闇市)で米を買っている。いくら悪名高い北朝鮮の強制収容所でも、闇市で取引する人たち全員を収容することはできないだろう。残酷だった日帝植民地時代のように、北朝鮮政権もいつかは終わりを遂げる」>
 <ショルティー代表は「北朝鮮の核問題よりも、“北朝鮮の人権”に主眼点を置くべきだ」と主張した。核兵器は北朝鮮政権の唯一の命綱だが、これを自ら進んで放棄するわけがないという。同氏は「北朝鮮の人権問題を北朝鮮内外で公にしなければならない。近いうちに、北朝鮮で“下からの革命”が可能になると信じている」と語った。>
 <「1日に数十人、北朝鮮の女性が中国の闇市場で人身売買されている。自分の妻、娘、母親がそのような境遇にあったら耐えられるか。韓国人の沈黙は北朝鮮住民の死を意味する。北朝鮮の実情を肌で感じた人ならば、誰もが行動せずにはいられないはずだ」>
 <ショルティー代表は「北朝鮮に放送を流し、ビラを飛ばし、中国をさまよう脱北者を救出する事業への支援が必要だ」と話した。同氏は脱北者救出プロジェクトに、「ソウル平和賞」の賞金20万㌦(現在のレートで約1800万円)の大半を寄付した。>
 <7日の公開講演で同氏は、「北朝鮮の人権を改善するためには、韓国の大学生の力が必要だ」と訴えた。「韓国の大学生は1980年代、民主化の主役だった。21世紀においても北朝鮮の民主化のために、韓国の大学生の努力と関与が必要だ。小さな努力から始めてほしい」>
 <ある学生が手を挙げ、「実際に何をすればいいのか」と尋ねたのに対し、ショルティー代表は「あなたができることなら何でも」と答えた。ショルティー代表は12日、米国に帰国予定だ。同氏は毎年4月に米ワシントンで開催している「北朝鮮自由週間」のイベントを、来年にはソウルで行うことを決めた。韓国の若者たちの身近で北朝鮮の人権問題をアピールするためだ。>
 そういうことだろうね。でも、まだ救いはある。韓国の若者がショルティーさんの話を聞いて、「北朝鮮はそんなにひどいのか」とショックを受けた、というからだ。
 日本もそうだが、韓国はそういっては悪いが、日本以上に単純な若者が多い。韓国の大学って日本の高校のような大学が多いのだ。そういう大学でこうして真実を教えれば「運動圏」も少しは変わってくるんじゃないかね?

| | コメント (0)

中島哲夫氏の社説ウオッチング北朝鮮核問題、しっかりした分析だった~毎日新聞09年10月11日朝刊

 毎日新聞09年10月11日朝刊[社説ウオッチング]は<北朝鮮核問題/6カ国協議巡り懸念/米中に注文・疑問――毎日・読売・日経・東京/世論の分裂を反映――韓国紙>。中島哲夫・論説委員による分析だった。
 <オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞が決まった。核兵器のない世界を目指す姿勢が特に高く評価されたものだ。しかし、オバマ氏が9月、国連安保理の首脳会合で自ら議長を務めて採択した「核なき世界」の決議を、北朝鮮外務省は「核大国の一方的要求だけが列挙されている」などと非難し「少しも拘束されないだろう」と冷笑した。この国の核問題はいったいどうしたら解決に向かうのか。>
 という書き出しで、オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞という最近のトピックスに絡めて、北朝鮮の核問題から入っている。
 <当面の焦点は、金正日・総書記が温家宝中国首相と5日に行った会談で6カ国協議復帰の可能性に言及したのを受けた展開だ。日韓の主要紙の大半が、この会談について7日付で社説を掲載した。その論調を比較する。ただし朝日は8日付。産経は事前に「中朝接近」を警戒する社説を掲載したにとどまった。なお、6カ国協議の表記は統一されていない。>
 ということで、この分析の対象が明示される。
 <金総書記の発言の核心部分は「米国との会談結果を見た上で多国間協議を進める用意がある。多国間協議には6カ国協議も含まれる」という内容だ。その前段には「朝米会談を通じて、朝米間の敵対関係は必ず平和的関係に転換されねばならない」とある。これらは北朝鮮の公式報道による。米国との会談とは、米政府が検討中で遠からず実現する見通しの米朝2国間対話を指す。「あくまでも対米交渉に主眼を置く構え」(読売)、「6カ国協議復帰の是非は、米朝直接協議で何を得られるかにかかっているという趣旨」(日経)といった解釈で足並みがそろったのは当然だろう。毎日も同様の見方だが、特に北朝鮮の思惑を具体的に説明した。米朝対話の席で国交樹立や平和協定締結を求め、成果を得てから多国間協議に応じる。それもすぐに6カ国ではなく、「米中朝」や「米中朝韓」を優先するとの情報が流れており、日本が参加できるか楽観できないという分析だ。>
 裏ではそういう動きになっていたのか。このところ、細かく読まなかったから知らなかった。
◇「日韓の排除許さない」
 <こんな展開を阻止すべきなのは言うまでもない。各紙は米国に注文を付けた。毎日が求めたのは核放棄の見返りの交渉に踏み込まない「細心の注意」と日韓の排除を許さない「緊密な連携」だ。日経は「米国には北朝鮮の核問題に確たる進展がないまま、テロ支援国家指定を解除した前科がある」と指摘し「安易な譲歩を繰り返してはならない」と警告した。朝日の「ブッシュ政権末期には日中韓などとの十分な調整もなく北朝鮮との妥協に走った。その愚を繰り返してはならない」という主張も似た趣旨であろう。読売も「日中韓露」との十分な調整を求め、東京は「北朝鮮のペースに乗るべきではない」と注文した。>
 米国は前科者なのか。ブッシュ政権の末期のいろいろな動き、いまだになぜああいうことになったのか、意味が分からないのだが、はっきりと論理的に説明してくれる論者が出てきていないようなのだ。
◇朝日は中国に触れず
 <一方、中国への注文や疑問も相次いだ。毎日は「中国は北朝鮮の命綱を握っているも同然だ」と指摘し、北朝鮮への影響力行使を求めた。読売は、核開発を続ける北朝鮮への制裁実施に中国が「慎重な姿勢を示してきた」ことが「今日の事態を招く一因になったとも言える」と不満を表明。安保理の制裁決議の厳格な履行を求め、「(北朝鮮の)貿易量の過半を握る中国の責任は重い。経済的テコは存分に活用すべきだ」と主張した。日経は、温首相訪朝の際に「北朝鮮との間で経済・貿易、教育分野などの協力文書に調印した」ことに疑問を呈した。「国交樹立60周年の記念訪問とはいえ、6カ国協議復帰の言質を取る見返りに、北朝鮮への経済支援を拡大した印象はぬぐえない」という「疑念」である。東京も中朝協定調印に触れ、中国の支援約束が「制裁決議の効力を弱めるという矛盾にもなりかねない」と指摘した。朝日には中国への注文がない。この問題を論じる上で適切な姿勢だろうか。>
 朝日新聞が中国への批判を手控えていることを厳しく指摘している。よく分からないが、朝日新聞にはそういう癖があるんじゃないか?
 <この中国への疑問という点では韓国紙の方が表現が直接的だ。保守系大手紙のうち朝鮮日報は、制裁が実施されている状況での経済支援を含む協定調印を「過去の対処の過ちを繰り返すものだ。このようなアプローチは対北制裁の国際協力体制を崩し、6者会談参加国の対北交渉力を大きく下げる憂慮が大きい」と批判した。また東亜日報は「中国が対北影響力を維持するために国連が禁止した支援を約束したのなら安保理常任理事国の資格はない」と論じた。韓国政府は中国の支援について、無償援助などを行わないよう要請している安保理決議の除外規定の範囲内だと説明したが、一般的には疑問が残るところだろう。もっとも、中国が目立たない形とはいえ北朝鮮への物流を絞るなど制裁決議に協力してきたことも事実のようだ。いわばやんわり首を絞めた後でアメを口に入れてやるようなものだから、金総書記もうれしいばかりではあるまい。>
 中国が北朝鮮を生かすか殺すかの生殺与奪の権限を握っていることは誰が見ても間違いないのだろうが、では、そんな中国に注文をするかどうか、で朝日新聞だけが注文していない、ということなのか?
◇政策転換の要求も
 <一方、韓国の過去2代の政権の対北融和政策を支持してきた新聞「ハンギョレ」は、むしろ「中国が大規模援助と経済協力を約束した状況で、制裁を通じて北朝鮮を圧迫しようというのは言葉の遊びに過ぎない」と断じ、核放棄を約束しないと大規模支援しない方針の現政権に政策転換を求めた。韓国内部の鋭い左右対立を背景とする世論分裂を示している。>
 この左派新聞に同調している勢力がいまだに無視できない数を保っているのが韓国の特徴なのだ。
 日本だったら日本社会党は衆院の3分の1以上だが、決して2分の1には至らない数を占め、自民党永久政権を裏から支えてきた。日本社会党の主張は自民党のちょうど180度逆の主張だったから、自民党・政府は対外的に「社会党がうるさくて」「これ以上、国民に負担をかけると社会党が天下を取るが、それでいいのか」と脅しの材料に使ってきた。ところが韓国は1980年代の民主化闘争が弾けて、軍事政権への憎しみが異常に強まり、金大中・盧武鉉政権ができた。同じ人間がやることだから、金大中だって盧武鉉だって飯は食うし、糞はするし、親戚の中には賄賂をもらう人だっているだろうし、そうは変わらないはずなのに、「軍事政権はゼロかマイナス、民主政権は100点」という教条的な主張が罷り通り、そういう勢力がいまだに韓国有権者の約半数から支持を得ている、というのが日本と違う韓国の空気なのである。
 ハンギョレ新だけではない。KBS、CBSテレビという日本のNHK、TBSに当たるテレビの経営陣が盧武鉉派に牛耳られているのが現状である。ハンギョレ新聞の跳ね上がり的な主張を無視できない所以だ。
 <さて、今後はどうなるか。米国では「今月中の早い時期」に第三国で実務レベルの米朝接触が行われる可能性が高いという研究者の見方が報じられている。これは米朝交渉でよく使われる方式だ。この接触で「落としどころ」を探った上で、米代表団が平壌に乗り込むのではないか。また北朝鮮の術中にはまり、絶対禁物の甘い合意に持ち込まれねばよいがと、祈るような思いである。>
 日本の良質なコリアウォッチャーの一人がそう言うのならば間違いないだろう。米国はまた日本を裏切るのだろうが、そうと分かっているのならば、逆に日本は先に対応すればいいんじゃないのか?
 中島氏の分析は日中韓3カ国首脳会議に触れていなかったが、この温家宝首相、李明博大統領と鳩山由紀夫首相の丁々発止のやるとりの中にこそ、今後の行動のヒントがあると思うのだが。

| | コメント (0)

2009年10月 7日 (水)

鄭夢準はハンナラ党代表をしていても北朝鮮好きなのだ~毎日新聞09年10月7日

 毎日新聞09年10月7日朝刊国際面ハコ記事<北朝鮮への食糧支援、韓国与党と政府対立/党代表「人道上必要なら実施」/外相「関係部署で協議」と慎重>という長ったらしい見出しの記事は案外、今後問題になりそうである。ソウル支局長の大澤文護特派員が書いている。
 <韓国与党・ハンナラ党代表の鄭夢準・国会議員は6日、ソウル市内で講演し、北朝鮮に対する食糧支援について「(今年韓国は)豊年であり、人道的支援は実施しなければならない」と述べた。韓国政府はこれまで、食糧支援に慎重な姿勢を見せてきただけに、政府と与党議員の間に意見の食い違いがあることが浮き彫りになった。韓国では、金大中、盧武鉉両政権の10年間にわたる対北支援が核・ミサイル開発を進めたとの批判の声が根強くある。これに対し鄭議員は「北朝鮮の核開発は20年にわたって進められてきたもので、すべてが(韓国の)前・元政権の責任であるとの主張は正しくない」と述べた。また「食糧支援が北朝鮮軍部の食糧として転用されるのでは」との質問に対して「それ(軍食糧への転用)を甘受しても、人道的支援は必要と判断されれば、しなければならない」と述べ、早急な支援開始の重要性を強調した。>
 <一方、柳明桓・外交通商相は6日、ソウル市内で講演し、北朝鮮に対する支援問題に言及。「コメなどの食糧を人道的に支援することができるかどうかは、政府の関係部署と協議する」と語り、政府の立場としての慎重姿勢を強調した。>
 という記事。外相はこう言うだろうなぁ、李明博大統領の方針なのだから。
 問題は鄭夢準氏である。例の日本との合同主催のワールドカップを実現したFIFA役員と言ったほうが通りが良いのか、それとも、そんな昔のことはもう誰も覚えていないので、盧武鉉大統領が誕生した大統領選挙で最後の最後までグズグズして、最悪のタイミングで降りたために、保守の一部が分裂して盧武鉉に回ってしまった、つまり李会昌氏が負けた最大の戦犯だったことを思い出す人もいるだろう。
 ただ、今回の発言で思い出してほしいのは彼が現代財閥の御曹司である、という事実である。
 牛を引っ張って板門店を通って北朝鮮に食料や戦略物資をたくさん持ち込んだ鄭氏の子供なのだ。
 このDNAを北朝鮮に利用されているのだろう。
 それにしても、あの裏切り者の鄭夢準氏がハンナラ党のトップを務めているとは!!本当に驚いた。
 韓国人は裏切りとかには寛容なのかね?

| | コメント (0)

2009年9月29日 (火)

[還暦迎えた中国 一党支配の試練]という産経新聞の続き物~09年9月25→29日

 産経新聞が09年9月25日から国際面の新企画[還暦迎えた中国 一党支配の試練]をスタートした。

 1回目の最後に前文があった。最近の流行の組み方だが、見にくいのだ、実際は。前文は、

 <1949年10月1日、毛沢東が北京の天安門楼上から中華人民共和国の成立を宣言してから60年かつての「東洋の弱夫」は経済・軍事大国に変貌し、国際社会での存在感を増す。共産党独裁下での市場経済化=改革・開放の成果にほかならないが、一方で格差の拡大、官僚の腐敗など矛盾が激化し、暴動や紛争が頻発、党は多元化した社会の挑戦を受ける。繁栄の陰で進む体制の危機と問題点を探った。>

 というもの。25日の第1回は<矛盾生んだ「権貴体制」>で、伊藤正・中国総局長の署名記事だ。

■第1回

 読んでみよう。

 <北京中心部で建国60周年パレードの予行演習が行われた今月18日、中国共産党の中央委員会総会(17期四中総会)が閉幕した。総会コミュニケは、創立88年になった共産党が60年間の執政で、今日の発展を築いたと誇りつつ、現状への強い危機感を表した。コミュニケは憂患意識」「憂党の心」「危機意識」を繰り返し、「党と人民の血肉の関係」「大衆との密接な関係」を訴え、人民本位の執政を呼びかける。「胡錦濤総書記(国家主席)の思想が色濃い」(中国筋)内容だ。>

 そうかぁ中華人民共和国建国60年だが、中国は悠久の歴史、5000年の歴史がある、とか考えていたのだが、たしかに党は88年なのだね。末広がりでお目出度いね。

 <胡氏カラーが前面に出た5年前の16期四中総会も、党の執政能力を高め、党員の自覚を促して、国民の党不信の原因である腐敗や官僚主義などの克服を呼びかけ、改善努力もしてきた。が、経済の高成長の半面で、格差は拡大、官僚の腐敗も大型化の一方だ。いま中国社会は、不公平感に覆われ、ささいなきっかけで党批判が起こり、官民の衝突事件が頻発、胡氏の掲げる和諧社会は幻想になりつつある。その原因について元新華社記者の楊継縄氏は「権力市場経済」体制にあるとする。>

 権力市場経済体制というのは中国ならではの体制だね。

 <社会主義政治体制下での市場経済化は、中国経済を飛躍させたが、許認可権を一手にする権力者が、その一族や友人、企業家らに国有土地はじめ国の資源利用に便宜を図り、巨大な経済利益を上げる体制を指し、「権貴体制」とも呼ばれる。その体制下では、労働力の搾取も政策になった。例えば、中国産業の成長や外資導入を促した農民工は、農村戸籍のため出稼ぎ先での社会保障や子女教育にしばられて都市住民と差別されたまま低賃金労働を余儀なくされた。>

 権貴体制か。

 <改革・開放の「総設計師」鄧小平氏は、経済建設を急ぎ、条件のある地方、人が先に豊かになる「先富論」を提唱、格差を是認した。引退後の1993年には格差の拡大を懸念したが、90年代後半から顕著になった富の極端な集中と特権階層の肥大までは想定外だったろう。今日の中国が直面している体制矛盾は、80年代後半に顕在化し、政治体制の改革が議論され、87年の第13回党大会では、党と行政、政府と企業の分離などの対応策が打ち出された。しかし、89年の天安門事件後、政治改革は封印され、監視機関として事件前には検討された報道や司法の独立もタブーになったままだ。>

 天安門事件、正確に言うと第2次天安門事件の影響は大きいね。

 <共産党にとって危機的なのは情報伝達手段の発達によって、国民が多くの事実を知り、党の宣伝が信用を失ったことにある。89年の民主化運動では共産党政権の合法性が問われたが、市場経済と国際化がもたらした個人の知識と権利意識の高まりによる。毛沢東が「政権は銃口から生まれる」と喝破したように、60年前、革命と戦争を指導した共産党が新中国を築いた。その指導部は最高権力者の意思で決められ、しばしば激しい権力闘争を伴った。>

 1989年という20年前の出来事は今でも目に鮮やかにこびりついているようだ。

 <昨年秋、初の黒人大統領を生んだ米大統領選は中国国民に刺激を与えたが、この夏には日本の政権交代が追い打ちをかけた。政権は銃口ではなく民意がつくるシステムは、旧ソ連・東欧の社会主義国にも広がった。しかし、四中総会コミュニケは「いささかも動揺せず中国共産党の指導を堅持しなければならない」と悲壮感ただよう訴えをした。一党独裁は正念場を迎えつつある。>

 正念場を迎えた一党独裁体制か。何か日本のちょっと前のようだね。

■第2回

 9月26日の第2回は中国総局の野口東秀特派員の署名記事。<変革迫る民衆のうねり>という見出しだ。

 <8月18日早朝、広西チワン族自治区南寧市の一角。鉄パイプなどを手にした数百人の男が、住民に襲いかかった。男たちは、補償額の増額を求め住宅からの立ち退きを拒否する住民を追い出すために、開発業者に雇われた。住民約10人が重軽傷を負った。>

 ひどい話が出てくる。

 <こうした光景は1990年代後半に開発ブームが始まって以来、全国の至る所で見られる。開発業者は地元政府と結託し国有の土地の使用権を買い取り、再開発で莫大な利益を上げる住民の立ち退きに手間取ると暴力に打って出るが、当局は黙認することが少なくなく、住民側の怒りの矛先は政府に向く。>

 このパターンだよね。

 <昨年、土地、家屋の強制収用や労働争議など、経済的な要因による集団抗議と衝突事件は8万件を超え1993年の10倍になった。「実態はその数倍。今年上半期も増加傾向にある」(民主派学者)との説もある。経済的な要因以外でも住民が地元当局と衝突する事件が頻発しだした。>

 暴動である。

 <貴州省甕安県では昨年6月、少女暴行殺人事件の隠蔽疑惑を引き金に、3万人規模の暴動が起こった。政府庁舎、公安局が民衆に襲撃され放火されたこの暴動は、政府、警察に対する潜んでいた不信感と怒りが爆発した典型的な例だ。当局への不満を解決するよう求める「直訴」(陳情)はどうか。司法当局あての陳情だけでも昨年までの5年間で2千件に上る。しかし、解決されるのは、ほんの一部だ。地方から北京への陳情を繰り返す「上訪大衆」は後を絶たない。その背景には、経済発展の中で高まった国民の権利意識がある。環境を破壊している企業とその活動に対する抗議デモなど、以前にはなかった現象も起こっている。ウイグル、チベット族など少数民族による暴動と騒乱にも、経済政策や資源問題がからむ。>

 情報だね、誰もが真実に近い「事実」を知るようになってしまったから、ごまかせないのだろう。インターネットは怖い。

 <著名な反体制作家でジャーナリストの余傑氏は、中国社会の行方について「貧富の格差拡大など社会矛盾はますます激化し、官民対立は先鋭化するだろう。経済成長が止まれば、大規模な社会動乱が起きる可能性もある」と話す。>

 失業率が上がると大変、といわれていたが。

 <国営新華社通信の週刊誌「瞭望」も「旧ソ連の失敗は共産党が大衆の支持を失い、党の基盤が揺らいだことだ」と警告している。中国の現状は「ソ連の末期、あるいは清朝の末期と同じだ」ともささやかれている。ソ連も清朝も腐敗と官僚主義にまみれ、国民に見放されたというのである。だが、異なるのは、今の中国は国家経済が成長を続けていることだ。その“果実”をより合理的、公平に分配するシステムは共産党内でも検討されてきた。例えば、今年8月、党中央学校機関紙「学習時報」の副編集長、鄧聿文氏は「党内民主」を主張する論文を発表した。この中で鄧氏は、「競争に基づく選挙制度」と第三者による「監督機能」の必要性を提起し、党内の決定権、執行権、監督権の三権すべてを党委員会書記に集中している制度を改革するよう提言した。むろん、これは体制内改革にすぎず、昨年12月に反体制理論家の劉暁波氏らが起草し、インターネット上で発表した「08憲章」とは相いれない。憲章は欧米の民主主義制度の導入など、政治改革を提唱したのだ。>

 旧ソ連の末期や清朝末期との比較がでているの? それはあんまりじゃないの?

 <党内民主のみによって腐敗や格差問題などは改善されるのか。余傑氏は次のように指摘する。「党はすでに利益共同体と化しており、自分たちの利益を損なう民主化や政治改革などやれるはずがない。期待するのは、ネット世論など政府に圧力をかける民衆の力だ。民衆の声がうねりとなって党に変革を迫ると信じたい」>

 そういうことなんだろうね。共産党の人だけが儲けて、党員以外は貧乏なんだから。

■第3回

 9月27日の第3回は上海支局の河崎真澄特派員の署名記事。見出しは<急成長 格差も拡大>だった。

 <中国国家統計局が今月9日に発表した報告「経済社会発展の成果と回顧」によると、新中国成立直後の1952年から2008年までの間に、中国の経済成長率は年率平均で8.1%に達し、国家の経済規模は実に77倍にも膨れあがった。国内総生産(GDP)規模で2007年にドイツを抜いて世界3位に、今年は2位の日本を抜く可能性もある。金融危機で軒並み疲弊した先進国に比べ13億人の巨大な国内市場を武器に大胆な内需拡大策で成長を保った中国に、世界は景気回復へ熱い視線を注ぐ。>

 そりゃそうだ。

 <上海・復旦大学経済学部の陸銘教授は、金融危機から最速で脱出した中国経済を「85点から90点」と評価、政府目標の8%成長も「当分は持続可能」とみる。その上で社会主義市場経済という中国独特のモデルが「次世代の世界標準になる可能性もある」と話す。>

 中国人、自信たっぷりだね。

 <ここに至る道は平坦ではなかった。1949年の建国からほぼ30年間は毛沢東が発動した大躍進や文化大革命などの政治運動に翻弄され、経済の「足踏み」状態が続いた経済建設が本格化したのは、鄧小平氏の主導で1978年に改革・開放政策に転じてからだった。>

 この区分は分かりやすいだが。

 <しかし、陸教授は「毛沢東時代があってこそ現在の経済発展がある」と断言する。新中国成立後、社会主義化を急速に進めて共産党の指導権を確立したのも、旧ソ連型の計画経済を導入、経済の基礎を築いたのも毛沢東時代だった。毛沢東の晩年、生産より革命を重視する極左思想の影響で経済は停滞、国民生活は著しい貧困に陥ったが、それは文革の失脚から復活した鄧小平氏が改革・開放へ転換するのを容易にした。ただし鄧氏は、毛が築いた一党独裁の政治体制は引き継ぎ、市場経済化を図る独自の道を選んだ。それは経済発展と同時に矛盾激化の原因にもなった。>

 独自の道だけがほめられるんだね。

 <中国は1997年のアジア通貨危機も今回の世界金融危機も影響を最小限にとどめ、むしろ発展へのテコにした。国家の強いコントロール機能が経済全般に発揮された結果だった。ただし、私有企業の発達が経済を活性化した一方で、基幹産業は依然、国有のままだ。土地の国有制は交通などのインフラ整備や都市再開発に生かされ、産業発展と外資導入を可能にした出稼ぎ農民の低賃金労働も、毛沢東時代につくられた都市と農村の二重戸籍制のおかげだ。石油や銀行など国有企業が政治の保護の下で基幹部門を独占、巨額の利益を上げていることについて、陸教授は「民衆の利益を置き去りにすれば矛盾や衝突を生む」と懸念を示した。成長が貧富の格差拡大などの矛盾を生む体制をどう変えるかは結論が出ていない。>

 二重戸籍が毛沢東時代からの手段だったという事実、知らなかった。

 <しかし成長が止まれば失業の増大など社会不安を激化させかねない。政府が8%成長の目標を掲げ、4兆元(約56兆円)の景気刺激策を打ち出したのも、1%成長で100万人前後の新規雇用が生まれるとの経験則から出た政治的目標だ。社会主義市場経済が中国に経済規模の拡大をもたらし、社会生活の西側化も進んだが、民主主義や人権といった普遍的価値観の普及には至っていない。上海社会科学院の楊宇立教授は「文化や思想面で日米より30年は遅れている中国社会の複雑さを理解すべきだ」として、現行体制で経済発展をさせることが最優先との考えを示した。中国の繁栄はいつまで続くかは、社会の安定にかかっているが、不安定要素は年々増えている事実も見逃してはならないだろう。>

 まだ続くのだろうが、今までの紙面をとりあえずコピペしておく。

■第4回

 09年9月28日の第4回は<実利狙い全方位外交>。中国総局の矢板明夫特派員の記事だった。

 読んでみよう。

 <「中国の発展は世界にチャンスを与えている。われわれは平和発展と互恵協力の開放政策を維持し、すべての国と友好関係を発展させていく」。各国の首脳らが所信表明する国連総会一般討論で中国の胡錦濤国家主席は23日、昨秋の金融危機以来、世界で高まる中国経済への期待をバックに自信に満ちた演説を行った。>

 <1978年末、経済建設のため鄧小平氏の主導で始まった改革・開放は、中国の対外政策を一変させた。イデオロギー重視の革命外交から、あらゆる国と平和共存し経済協力する全方位外交への転換で、79年初めの中越戦争の教訓を経て確固とした方針になった。>

 <楊潔篪外相は今年8月末、国営中央テレビ(CCTV)の番組で、中国と国交を持つ国の数が49年の建国当時の18から171になったとし、「米国や旧ソ連などかつて敵対した国とも親密な関係になるとだれが想像したろうか」と述べた。>

 <西側外交筋は、中国外交には、「経済建設支援」という顕著な特徴があると指摘する。旧ソ連やインド、ベトナムなど周辺国との関係を修復したのも、国内の建設、つまり経済発展に有利な国際環境づくりが目的だった。欧米諸国や日本との関係発展には資本、技術の獲得や貿易振興が密接に絡む。>

 <その実利目的の外交は、中朝関係に摩擦を生んだ。80年代に中国が韓国に急接近、北朝鮮の「反対」を押し切り、92年に国交を樹立したためだ。朝鮮戦争以来の「血で結ばれた兄弟」関係は崩れ、北朝鮮が核開発に走る一因になったといわれる。>

 本当にそうなのか? 血で結ばれた兄弟関係を切るという。

 <鄧小平氏は第一線にいた90年代初めまで、外交部門の幹部に繰り返しある言葉を伝えていた。「韜光養晦」。謙虚にし能力をひけらかさず、という意味で、「力もないのに格好をつけても得るものはないとの教え」(黄華・元外相の回顧録など)だったという。>

 <その教えは対米関係にしばしば反映された。両国は台湾問題、人権問題や通商摩擦などで度々対立したが、中国は表面上の強硬姿勢とは裏腹に実利を優先して譲歩、協調関係を保った。しかし、中国が経済発展を続け、軍事力も強大になるにつれ、外交姿勢にも変化が生じてきた。外貨準備高世界一の中国の主要な外貨獲得市場は米日欧であり、中国が西側との協調維持に力を入れているのは変わりない。その半面、近年の激しい資源獲得競争で、西側との利害が衝突する場面が増えた。>

 <中国の場合、石油・天然ガスはじめ主要な資源関連企業は国有であり、企業と国家が一体になって資源獲得のための対外進出を進める。それを支援するのが外交の使命だ。アフリカ、中南米、中央アジアなど資源ある所に中国外交あり、と評されるゆえんだ。>

 <中国企業の進出先には人権抑圧を理由に欧米が経済制裁を科しているスーダンやジンバブエなども含まれるが、中国は「内政不干渉」を名目に批判をはねつけて交易を継続しており、核開発疑惑で国際社会の批判を受けているイランからも大量の原油を輸入し続けている。>

 <中国は大国化に伴い、他国の批判に耳を貸さなくなった。昨年春のチベット騒乱で中国批判をしたフランスは、厳しい報復を受け、関係修復に苦労した。中国の人権抑圧に対する米国の批判も声が小さくなった。
 かつて外国の投資と援助を求めていた中国は、巨大な経済力と市場を武器に強力な外交力を持った。増強した軍事力と併せ、それが周辺国との外交にどう影響するか、見守らねばならないだろう。>

■第5回(最終回)

 9月29日の最終回(第5回)は<台湾へ微笑…摩擦も>。台北支局の山本勲記者の署名があった。

 <昨年5月の馬英九・中国国民党政権発足以来、急拡大を続けてきた中台関係が一つの“踊り場”を迎えている。きっかけは8月末のダライ・ラマ14世訪台と、「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長の招請をめぐる軋轢だ。民主体制の台湾と共産党独裁の中国では、人々の意識や政策決定システムがまるで違う。台湾住民がダライ・ラマやラビア・カーディル氏を罵倒する中国に違和感を強める一方、中国は世論に敏感な馬英九政権に懐疑心を抱き始めたようだ。交流の拡大、深化につれこうした矛盾、摩擦が強まることも予想される。>

 <この1年半の中台急接近ぶりは目を見張らせる馬政権発足の1週間後に国民党の呉伯雄主席と胡錦濤国家主席兼党総書記が北京で国共の党首会談を行い、中台間の対話再開と交流拡大で合意した。>

 <それから半年で長年の懸案だった三通(中台間の直接の通商、通航、通信)が実現週に270の航空直行便が台湾海峡を往来するようになった。中国人旅行客は今年1~8月で約38万3千人と、昨年通年(5万4千人)の7倍に増えた。>
 <定義の違いこそあれ「一つの中国」原則を受け入れて親中姿勢を鮮明にする馬政権を中国は大歓迎世界金融危機で苦境の同政権支援のために春から大型買い付け団を続々台湾に派遣し、「購入額は100億ドルを突破した」(国務院台湾弁公室)。>

 <さらに中国人観光客の急増や中国資本の台湾投資解禁などを好感して株価(加権指数)も昨秋の底値(4089・93)から現在は7000台まで戻した。>

 <発足半年弱で20%台に半減した馬政権支持率(地元テレビ局、TVBS調査)は、中国の“てこ入れ”もあって就任1周年時に50%前後に回復した。ここまでは中国と馬政権の蜜月が続いた。>

 視聴率政治をお隣も見てるのか。

 <ところが8月の台風8号の台湾上陸を機に“すきま風”が吹き始める。救援・復興の不手際で支持率が再び20%以下に急落。この機を狙ったかのように独立派野党、民進党に所属する陳菊・高雄市長がダライ・ラマ招請に動いた。>

 <馬政権が700人にのぼる犠牲者の供養や被災者を見舞う目的でのダライ・ラマ訪台を拒めば、支持率はさらに落ち込んだ可能性が大きい。>

 <「2012年総統選での再選を最優先」(国民党筋)する馬総統はここで中国の反発覚悟で訪台を受け入れた。中国は非難の矛先を陳菊市長ら民進党の一部に絞ることで、馬政権との関係悪化を避けた。>

 <しかし9月22日には、高雄市主催の国際映画祭が亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長のドキュメンタリー映画を上映、さらに中国の神経を逆なでした。>

 <馬政権は中国がダライ・ラマ以上に警戒する同議長の訪台を拒むことで、ひとまずこれ以上の摩擦拡大を防いだ。だが中国の内心は穏やかではないはずだ。>

 <中台統一へのまたとないパートナーと期待した馬英九総統の支持基盤は弱く、馬総統は世論の動向によっては中国との合意や約束を実行できない心配がでてきたからだ。>

 <中台は自由貿易を協定化するための「経済協力枠組み協議(ECFA)」の早期締結をめざして今秋から交渉を加速する予定だった。しかし中国の王毅・台湾弁公室主任がここへきて「両岸(中台)双方の準備が十分整ったうえで話し合うべき」と、姿勢を後退させつつある。>

 <台湾住民の対中イメージにも陰りがうかがえる。中国がダライ・ラマやラビア・カーディル議長の訪台阻止のため、さまざまな圧力をかけたことへの反感や違和感が強まっている。>

 <このところ胡錦濤政権の微笑攻勢に慣らされていた台湾住民は、共産党体制の強面ぶりを再認識させられた。中台関係の前途にはやはり多くの曲折がありそうだ。>

| | コメント (0)

2009年9月27日 (日)

中国人が<「日本の成り上がり→米に怒られプラザ合意→失われた20年」>をうまくまとめていた~人民網09年9月27日

 中国の人民日報ネット版のことなのか「人民網」の日本語版09年9月27日号が配信されてきて(無料のメール新聞を購読しているので)、その中に<日本の過去から見つめる中国の未来>という面白そうな論文が出ていた。
 米プルデンシャル保険金融グループ国際投資部投資アナリスト、上海復聚卿雲投資管理有限公司董事長が作者だ、と書いてあるのだが、名前が出ていないようだ。ここまで書けば、名前を隠しても隠さなくても同じだと思うのだが。
 読んでみよう。
 <1970年代、増大した日本の貿易黒字と外貨準備は、米国が日本を非難する種となっていた。日本円は当時、過小評価されているとの指摘を受け、継続的な値上げ圧力を受けていた。1975年、日本のGDPは米国の30%に達した。世界経済は70年代の中後期、石油ショックの影響で衰退に陥り、長い低迷期に入った。米国は一連のG7サミットで、日本に対し、責任ある大国として誠意を持って経済を引っ張る役割を果たし、世界経済の回復を助けるように求めた。田中首相を継いだ三木政権と福田政権は、田中時代の過度の支出による後遺症を脱却するために財政支出を減らす方針だったが、米国の圧力を受け、一連の巨額の財政刺激策を出すことを迫られた。「国際金融報」が伝えた。>
 <その後のことは読者が知る通りである。日本円は値上がりしたが、日本の輸出は産業のグレードアップを実現し、対米貿易黒字の増加は止まらなかった。日本の自動車と電気機器は米国市場に広まり、老舗の自動車メーカーであるクライスラーは日本車のせいで破産寸前に陥った。>
 <日本は80年代初頭、資本取引の自由化を始め、日本経済は、一連の財政刺激策と継続的な貿易黒字によって急速な成長を続けていた。>
 <これに豪を煮やした米国は1985年にプラザ合意を取り付け、日本円のさらなる値上がりを迫った。資本取引の自由化と円高見込みによって、日本にはホットマネーが大量に流れ込んだ。日経平均株価は数年の間に1万円から4万円近くまで上昇し、商業区の地価は何倍にもふくれあがった。この頃は、株価と地価は右肩上がりを続けるものだという神話が信じられていた。この神話は、1989年末に最高潮に達した。銀座の地価は米カリフォルニア州全体を買える値段に匹敵し、東京の地価は米国全体を買える値段に匹敵すると言われた。東京の住宅価格は年収の10倍に達し、100年という長期の住宅ローンも生まれた。株式市場の株価収益率は80倍に達し、大蔵省の日経株価予測は6万円から8万円に達した。日本が「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」ともてはやされ、「『NO』と言える日本」といった本が出版されたのもこの時代だ。>
 <だがその後、バブル崩壊によって、株価と不動産価格は20年にわたる下落を始めることとなった。80年代末から90年代初めにかけては、リクルートと佐川急便の汚職事件も明らかとなり、自民党の威信が大きく損なわれた。自民党の元田中派は分裂し、羽田孜氏や小沢一郎氏が自民党を離党し、1993年には非自民政権が成立した。政局の不安定は政府の政策の揺れにつながった。日本には少子化という問題もある。日本の一人当たりのGDP成長率は過去30年を見ても過去10年を見ても米国に劣ってはいないが、人口の減少傾向は日本のGDP成長率を先進国の最低レベルに押し下げている。財団や銀行と長期的に深い関係を持つ自民党政権は、銀行システムの根本的な整理に踏み込まず、得意の財政刺激策を続けるだけだった。だが10年余りにわたる財政刺激策は日本経済の回復にはつながらず、財政収入の伸び悩みは逆に、GDPに占める政府借入金の比率を数十%から前代未聞の180%にまでふくらませてしまった。>
 <日本の新政権の政策と動きはまだはっきりしていない。ただ明らかなのは、以前の急速成長はもう戻って来ず、日本が米国に代わって世界一となるという夢は現実にはならないだろうということだ。>
 <中国は現在、当時の日本と同様、歴史の十字路に立っている。左に向かうのか、それとも右に向かうのか。中国の総人口も10年後には減少に転換する。中国経済が急速成長を続けるということも、過小評価された人民元が値上がりを続けるということも、投資界によって共有された認識だ。資本項目の自由化や人民元の自由両替も時間の問題だ。中国には、当時の日本がバブル経済に陥った条件がそろっている。中国は今後、日本と同じ失敗を繰り返すのか。それとも新たな道を踏み出すのだろうか。(編集MA)>

| | コメント (0)

韓国紙の社説で外国人留学生が嫌韓になることを憂えているが、日本への留学生のほうが反日になるんじゃないか、と怖い~中央日報09年9月27日

 韓国の日刊紙・中央日報の社説<外国人留学生を「嫌韓派」にするとは>は他山の石というのはあまりに生々しい話。日本の方がひどいのではないか、と思うのだが、日本ではこういう話もあまり聞かない。外国人の識者の言うことは異常に鋭く反応するのだが、留学生など相手にしない、とでもいうのだろうか、日本人は偉いから。
 この誠実そのものの社説を読んでみる。
 日本人が忘れてしまった常識とか、良心とか、いろいろと思い出させてくれる貴重な社説である。でも、韓国がここまで高度の民主主義国家になって良かった。比較しても仕方なかった英国、米国、フランスなどとわざとらしく比較検討したふりをしなくとも、本気で日韓の比較をすれば、日本の民主主義で欠けているものが見つかるのだから。
 読んでみよう。
 <トルコから来たソウル大学の外国人留学生がきのうメディアのインタビューで吐露した留学生活への不平は残念さを超え衝撃的だ。大学のお粗末な外国人留学生管理の実態を赤裸々に告発しているためだ。この留学生は英語の授業が不足しただけでなく、外国人のための相談センターや英語のできる教職員配置など、留学生のための配慮が不足しており不便で大変だと訴えた。韓国政府と大企業がお金をかけて海外から学生を招いているが、数年過ごした外国人学生が集まれば韓国非難が多く出てくるというのにはあきれるばかりだ。>
 この筆者はまともだ。
  <現在国内の大学の外国人留学生数は7万8000人と推定される。2003年の1万2300人に比べ大幅に増えた。年平均増加率は39.2%というから驚くべき増加の流れだ。これは大学が競争力強化のため国際化努力を傾け、政府も大学の国際化指標を連係した各種財政支援事業を積極推進した結果だ。しかし留学生の量的拡大にばかり偏り、彼らをしっかりとサポートする管理システムが伴わなければ国際化は空念仏にすぎない。>
 <外国人留学生は勉強を終えて帰れば知韓派または親韓派として韓国のイメージを高めるのに寄与できる資源だ。それなのに留学過程で韓国の大学に失望し、嫌韓派になるならばこれよりあきれることはないだろう。教育科学技術部が最近「外国人留学生支援管理改善案」を各大学に送ったのを見れば、こうした様相はソウル大学に限られたことではないようだ。関連大学はいまからでも外国人留学生に対する意識を転換し、支援システムを確保すべきだ。>
 <なにより、大学内に外国人留学生を支援する専従スタッフや組織を設置すべきだ。「外国人留学生コールセンター」も作り、留学生のさまざまな不満などを電話やインターネットで相談できるようにすべきだ。国内の学生が外国人留学生の適応を助ける「バディシステム」のようなものも試してみる価値がある。外国人学生を連れてくることよりも重要なことは、彼らが満足して帰れるようにすることだという点を片時も忘れてはならない。>
 日本よりも韓国の方が進んでいると思うのだが。残念ながら、日本人は欧米への留学がガクンと減ってしまい、こういう事務などで外国人をサポートできる人材が枯渇しつつある。本当はこういうセクションにこそブラジル2世とかを使うべきなのに、それができない環境になっているのだろう。法律に書いていないとかで。そんなことでギャーギャーやっているから、日本は置いてきぼりをくらうんだろうね。
 分かっちゃいるけど止められない、ってか?

| | コメント (0)

2009年9月24日 (木)

石平氏の<温家宝発言から見る中国経済>は本当くさい~産経新聞09年9月24日

 産経新聞09年9月24日朝刊オピニオン面[石平のChina Watch]は<温家宝発言から見る中国経済>という興味深いタイトルだった。<石平(せき・へい)氏は1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『私はなぜ「中国」を捨てたのか』など著書多数。>とあったが、日本に帰化した人、つまり中国系日本人だ。
 <中国の温家宝首相は時々、率直な発言を行うことで知られている。彼の管轄範囲の経済問題に関しては特にそうである。去る8月下旬の地方視察の途中、そして9月10日に大連で開かれた経済関係フォーラムの席上、温首相は、経済問題に関する重要な談話を発表した。その中で彼は、「中国経済の急速な下落はすでに食い止められた」との認識を示しながらも、次のような言葉を何度も口にした。「わが国の経済回復はその基礎が不安定で、強固ではない。バランスが欠けている。状況は依然として厳しい」と。>
 <経済の急落が「食い止められた」ことの理由に関して、温首相は「それは中国政府が行った積極的な財政政策と金融緩和政策の成果である」と自賛してから、次のような問題点を指摘している。「(中国)経済は困難を克服し、危機に対処していくための内在的原動力と活力が欠如し、国家政策によるてこ入れは依然として経済の発展を支える重要な役割を果たしている」。要するに温首相はここで、中国の「経済回復」は政府の財政的・政策的てこ入れがもたらしたものであって経済自体の力による自律的な回復ではない、だからそれが「不安定で、強固ではない」、と言いたかったのである。>
 なるほどね。温家宝首相は経済通なんだね。
 <温首相は政府のてこ入れ策として「積極財政」と「金融緩和」の二つを挙げた。前者はすなわち鳴り物入りの「4兆元(約57兆円)景気対策」であるが、後者の「金融緩和」が実施された結果、今年の上半期に中国国内で行われた新規融資の総額は7.4兆元(約105兆円)に上ったことは7月30日掲載の本欄でも記している。しかし、今年上半期の中国の国内総生産(GDP)は13兆9862億元と、14兆元未満であったから、同じ時期における国内新規融資の総額はGDPの半分以上に達しているという前代未聞の異常事態が生じているのである。>
 <このようなむちゃな放漫融資があってこそ中国経済の急落が食い止められたわけだが、いわば「カンフル剤の注射」に頼り切った経済の回復は、まさに温首相の指摘通り、極めて「バランスの欠いた」ものである。そして、このような過激なてこ入れ策はそう長く続くはずもない。今年の8月になると、国内の新規融資額は大幅に減少し、2009年に入ってからの最少月額である3200億元となっている。それ以上の放漫融資をやると、いずれかインフレになる危険性があるから、中国政府は急ブレーキをかけたと思われるが、「カンフル剤」の投与が断たれた中国経済は、果たして持続的な回復ができるのか。まったくの疑問である。>
 ストップをかけたのか。中国のように分母の大きい組織でストップをかけると影響は大きいと思うが。
 <というのも、温首相自身も上述の談話の中で認めたように、「(国内の)短期での大幅な内需拡大は極めて難しい」し、「世界不況が長引くことで外需の下落はさらに続くだろう」と予想されているからである。中国経済の行方に対する温首相の心配は、決して杞憂ではないようだ。>
 なるほどね。
 <しかし、大変面白いことに、当事者である温首相の「慎重論」とは対照的に、国外の一部専門家やマスコミはむしろ、中国経済の「奇跡的回復」をべた褒めしている最中である。たとえば、日本を代表する某証券会社のトップは先日北京市内で「中国経済は非常に健康だ」と発言したことが中国のメディアによって報じられている。あれほどの放漫融資に頼っていた中国経済が「健康」なのか。多くの日本人の中国認識は、結局この程度のものである。>
 この辺だね。中国専門家でも中国経済の本当のところがなかなか分からない、という難しさ。誰の言うことを信じればいいのか? やっぱり胡錦涛国家主席、温家宝首相の言うことをきっちりフォローするしかないのか?

| | コメント (0)

2009年9月22日 (火)

大礒正美氏の<中国に誤解させておこう鳩山新政権>は機転が利いていて面白かったが…~メール新聞09年9月22日

 メール新聞の[軍事情報]をとっているが、09年9月22日に配信された記事が面白かった。[国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.125]というもので、国際政治学者、前・静岡県立大教授でシンクタンク・大礒事務所代表の大礒正美氏の文章だそうだ。

 タイトルは<中国に誤解させておこう鳩山新政権>。一読、こういう書き方もあるのかなぁ、と思った。頭の中で想像し、こねくり回しただけなのだが、知性のかけらを感じるのだ。その意味で興味深い人なのかもしれない、と思った。読んでみよう。

 <「宇宙人」鳩山由紀夫首相の新政権は、外交ではアジア重視で「脱米入亜」などとも評されている。それで特に中国と韓国がどう見ているのかを注視していたところ、興味深い差があることに気がついた。ひとくちで言えば、韓国は単純に「親韓政権」と受け取っているのに対し、中国はかなりバラバラで警戒気味という感じが伝わってくる。そして、その違いがどこから来るかと言えば、おそらく漢字が読めるかどうかの違いではないかと思われるのだ。韓国民は高齢者以外はもう漢字が読めない。中国民は日本の漢字を見て意味が分かるので、鳩山政権が打ち出す数々の看板をそのまま受け取って、かなりとまどっているのではないかと推察されるわけである。>

 この前文で「なるほどねぇ」と思ったのだ。目の付け所がいいね、という感じかな。

 <以下に、具体的な例を挙げて、中国がこう受け取るであろうと推測してみよう。?>

 と、ここからがうまいのだ。鋭くはないが、可笑しくてやがてまた、可笑しき推理なのである。

 <第1。内閣の中枢に国家戦略局を据える。>

 <……来たな、「国家戦略」とは国の長期的な存続・安全保障を意味するから、とうとう日本は本格的再軍備と対外膨張政策に転換すると決めたのだな。>

 この「…」以下は中国人がこう思っているだろう、という独断と偏見の見方である。笑っちゃう見方である。

 <ちなみに、国家よりも共産党がすべて上位だとしてきた中華人民共和国で、党総書記・中央軍事委主席の江沢民が1993年に初めて「国家主席」を兼ね、米国などと並ぶプレジデントにのし上がったそして伝統的中華思想を復活させ、「中華民族」のナショナリズムを煽りに煽った。日本を対等の国でないと規定し、朝貢国の地位に落としたのも、江沢民国家主席の功績として中国の現代史に記録されている(江沢民文選)。国家という漢字に独特のニュアンスを持たせているからこそ、民主党の「国家戦略」という四字熟語に最大限の警戒心を抱かざるを得ない。>

 詳しいね、この元教授さんは。だけど、このような嫌中史観で物事が進むのだろうか? 我慢することは我慢し、詫びるべきは詫びながら、日本人としての矜持を忘れず、国家安全保障問題では堂々と中国にものをいう、という姿勢しか問題解決の道はありえないのではないか。

 <第2。米国とは対等な同盟関係。>

 <……アメリカと釣り合うまで軍備を増強し、安保条約も改定するつもりだな。核兵器も当然開発するに違いない。それでやっと対等な同盟と言えるからな。>

 ここまで穿った見方はしないだろうがね。核兵器開発など、本当に大変なことだ、つまり、技術的には簡単であっても核不拡散条約関係とか、原発エネルギーの原料供給問題とか。ウラン供給に不安が生じたら日本はやばいんだから。「第1」の問いかけと答えが面白かっただけに、もうひとつ捻ってほしかったね。

 <第3。東アジア共同体の構築を目指す。>

 <……つまり「大東亜共栄圏」の再現が狙いだな。アメリカと対等になろうとすれば必然だ。論理的に一貫している。しかし東アジアはとっくに中国の共栄圏だ。日本は何を狙っているのか? 民主党の言う東アジア共同体は対中戦略なのか、それとも対米戦略なのか、あるいは両睨みなのだろうか。経済戦略なのか、シーレーン防衛の軍事戦略なのか、さっぱりワカラン???>

 まあ、東アジア共同体の問題は今後大きなアジェンダとして議論対象になってくるだろうが、まだまだ内容は決まっていないからね。

 <第4。北方領土問題は半年から1年以内に進展。>

 <……さあ、これはマズイぞ。新首相は一人息子がロシア留学中で親ロシア派のようだ。1956年に鳩山一郎首相がソ連に行き、平和条約と引き替えに2島返還という「日ソ共同宣言」を締結した。孫の新首相はそれを土台にして一歩でも進めようとしている。ロシアとの領土紛争が緩和の方向に向かうとすると、中国が尖閣や大陸棚資源開発で領土問題を激化させていく方向にあるのはマズイのではないか。>

 これも普通の日本人が妄想しそうなことだが、中国のインテリも北方領土問題解決は中国にとってマイナス、と見ているのだろうか? そうばっかりとも言えないと思うのだが。

 <以上4件、漢字が読めるが故にこのように誤解しているのであれば、我が国としては放っておくのが最善ではないかと思われる。いちいち親切に「日本国の戦略など誰も考えてやしませんよ」「だいたい外務、防衛の領域には踏み込まないと言ってます」「予算の骨格だけしか扱わないんですよ」などと説明する必要はない。>

 国家戦略局を最初から骨抜きにしている、という話ね。まあ仕方ないんじゃないのかな、最初は。最初の4年間で全部やろうとしても無理だよ。8年計画で日本改造を考えようよ、ね、民主党さん。

 <まして「日本列島は日本人だけのものではない」と口走ったぐらい地球人離れした首相なんですから、などと漏らしてはいけない。>

 これは鳩山由紀夫首相の認識が正しいのではないか? ブラジル移民の子孫である日系2世、3世やイラン人、在日朝鮮・韓国人や留学生という形で呼び入れている中国の若者たち。それにインド人や欧米、オーストラリアの人たち。また、人種でいえば、アイヌ民族も熊襲も沖縄民族も原日本人ではないだろうし、弥生人間と縄文人間の違いもある。

 それを、国籍だけで白黒をつけられるのか? つけられる場面もあるが、つけられない場面もあることを知らねばならない。

 <また「アメリカと対等」なんて、本気で目指しているのは空母オタクの中国海軍首脳ぐらいなものですよ、などと本音を言ってはならない。日本人も目指しているように思ってくれているほうがいい。>

 情けない人間だね。いくらブログであってもこれじゃあ「日本人はアメリカ人の奴隷」と言っているのと同じじゃないか。こんな下劣な考えしか持っていない奴が静岡県立大学の教授をやっていたのか? 本当に? 辞めたんだろ? 辞めさせられたのかも、ね?

 <内政の看板で「地方主権」というのも、かの国に正しい誤解を与えるもので、外交戦略に活用できるかもしれない。主権(Sovereignty)を持つのは独立国と決まっているから、地方に主権を与えるということはすなわち地方を独立させるという意味になる。だから、民主党は日本を連邦国家に組み替えると言っているわけで、そのための担当部局として国家戦略局を設けるわけだなと納得する。では、いくつかの連邦構成国ができ、それぞれが国防軍を持つのか、アメリカの州軍方式になるのか、またかの国としてはそれぞれの構成国に大使館や親中組織を新たに設けなければならないのか。>

 地方主権について中国エリート層が誤解するわけがないよ、残念ながら。中国指導者たちの地方支配の方式は1945年までの日本植民地主義者よりもずっと現実的である。こんなアホな誤解はないから、ご心配なく。

 <等々と、悩みの質と量は数十倍に膨れ上がるだろう。だが日本国の国民としては、そのまま放っておくのがいい。決して親切に「日本で地方主権を実現すれば、次は中国でチベット、ウイグルなどの主権に向かいます」などと本当のことを教えてはならない。>

 最後の切り札はチベットとウイグルですか。残念ながら中国の国内問題だ、と言われてしまえば、基本的には口出しできない問題なんじゃないか。本気で喧嘩する根性があれば別だけどね。

 こういう嫌中派の暗躍はますます激しくなるだろうね、民主党政権が日本を本気で変えようとすればするほど。

 まあ、日本国民がお手並み拝見をしているのと同じで、中国だってお手並み拝見段階だと思うのだが。

| | コメント (0)

2009年9月21日 (月)

朝鮮日報のワシントン特派員、愛国心の塊だね:厭な気分は起きないよ~09年9月21日

 朝鮮日報09年9月21日朝刊のコラム<駐米日本大使が言及した「三つのノー」>はワシントン支局の李ハウォン特派員の署名記事。藤崎駐米日本大使のアメリカ知識層に対する気配りを驚きを持って見て、韓国政府や国民に「日本のいいところは真似ろ」と呼びかけている。面白い。読んでみよう。

 <日米同盟を維持するためには何が最も重要か。朝日新聞の船橋洋一主筆は1990年代半ば、米国務省の高官らに対し、このような質問をした。船橋主筆の著書『同盟漂流』に匿名で登場する、国務省の高官の答えは明りょうなものだった。「どこまでも配慮し、どこまでも再評価し、そしてどこまでも再確認することが必要だ。1回きりのイベントで終わってはならない」。太平洋を挟んだ両国が同盟関係を維持し続けるためには、心がこもった取り組みが必要だ、という点を強調したのだ。>

 船橋洋一氏の本など読んでいるんだね、朝鮮日報のワシントン特派員は。もう少しためになる本を読めばいいのにね。

 <日本で新たな外交路線を掲げる民主党への政権交代が現実のものとなったことで、日米同盟を維持するため、これまで以上に神経を使うべきだ、という主張が出ている。中でも、外務省の審議官を務めた藤崎一郎駐米大使の最近の発言は注目に値する。藤崎大使は先週、米戦略国際問題研究所(CSIS)が主催したセミナーに一般聴衆として姿を見せ、日米同盟の将来について司会者の質問に答えた。このセミナーには、国務省で対日政策の責任者を務めるカート・キャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)が発表者として出席していた。>

 カート・キャンベルに聞かせたかったのかな? いくらなんでもキャンベルとだったら毎晩のように一緒に晩飯を食っているんじゃないのか?

 <藤崎大使は「現在の政権と新たに発足する政権は、幾つかの課題において差があることは事実だ」と認めた。その上で「最も重要なことは民主党が自民党と同じように、日米関係が引き続き日本外交の礎石になると主張していることだ」と述べ、出席者たちを安心させた。また最後に「個人的な考え」と前置きした上で「米国と日本のような同盟関係を維持していくために、わたしは常に“三つのノー”が重要だ、と申し上げている。まず第1に(同盟国を)驚かせるようなことはしてはならない第2に重要な懸案を必要以上に政治問題化してはならない。そして第3に同盟関係を当然のものと思ってはならない」と述べた。日米関係の将来について、楽観的な見方を示しつつも、同盟関係を引き続き進展させていくためには、細心の配慮が必要だという点を強調したのだ。藤崎大使の発言をすぐ後ろの席で聞いた瞬間、記者は「大使が公開の場でこのような発言をするほどまでに、同盟関係の維持のために神経を使っているのか」と思った。>

 三つのノー、か。驚かせちゃあいけないかもね。日本人は何しろ政治問題化するのが好きなんだけど。これは良くないね。

 <実際、米国では、自民党と違う路線を掲げる民主党が政権を獲得したからといって、日米同盟が大きく揺らぐ心配はない、という見方が有力だ。現在の状況では、鳩山由紀夫首相を中心とする新内閣が突然、反米路線にシフトし、米国と対立する可能性はほとんどないとみられる。日本社会で、日米関係が悪化する前に、しかるべき措置を講じるシステムが比較的整っているという点も、楽観的な見方の背景にある。日米両国は1996年4月、橋本龍太郎首相とビル・クリントン大統領が「日米安全保障共同宣言」に署名した際「倦怠期」のような状況に陥ったが、比較的上手に克服した。同宣言への署名を受け、97年6月には「日米防衛協力のための指針」が策定され、在日米軍基地の移転問題に関する「雑音」を減らすことに成功した。>

 覚えていないんだなぁ、この「倦怠期」を。

 <だがそれでも、日米関係で少しでもおかしな気配が感じられると、すぐさまこれを丸く収めようと努めている。鳩山首相も衆議院議員総選挙の前、自身の対米批判が問題になるや、オバマ米大統領側の信頼する人物を通じて釈明している。>

 日本はトラウマの塊になっているから、怖いんだよ、アメリカに何かやられてしまうのではないか、とね。

 <一方、韓米関係は、盧武鉉前政権とブッシュ前政権の下で悪化した後、現在は改善の一途をたどっている。だが、北朝鮮の核問題の陰であまり表面化していないものの、アフガニスタン問題や在韓米軍基地の移転問題などをめぐり、常にきしみが生じている。韓米同盟が改善したからといって安心している韓米両国政府の関係者たちには「三つのノー」に代表される日米同盟の管理手法を手本にすることを望みたい。>

 いつも思うのだが、韓国人特派員たちの愛国心あふれる筆誅は読んでいて気分がいいものだ。韓国という自分の母国を愛するがゆえに、国民や韓国政府にお説教をする、というパターンである。日本の昔の新聞記者、硬派の新聞記者の伝統がいまだに消えていないんだろうね。

| | コメント (0)

中国指導部は50~60歳代、北朝鮮は70~80歳代だ、と:日本は60~70歳代か?~09年9月21日朝鮮日報

 朝鮮日報のHP09年9月21日のコラム<若い中国、老いた北朝鮮>は朴勝俊(パク・スンジュン)北朝鮮・中国戦略問題研究所長による寄稿だ。習近平氏の中国共産党中央軍事委副主席に選出されなかったことなどを書いているので、コピペしておく。

 <習近平氏は今回、中国共産党中央軍事委員会の副主席に選ばれなかった。共産党の第17期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が18日閉幕し、発表された文書には習氏をめぐる人事案件に関する言及はなかった。中国内外のウォッチャーの多くは、習氏が中央軍事委副主席に選出され、胡錦濤国家主席(党総書記)の後継者として確定すると予想していた。>

 そういうことだね。昨年から予想されていた。

 <しかし、だからといって、習氏が胡主席の後継者になる上で何らかの障害物が浮上したわけではない。現在は国家副主席、党中央書記処書記、中央党校校長を兼任し、党の行政と幹部再教育を統括するとともに、今回の会議でも決定文書の草案を中央委員344人に説明する重要な役割を果たした。習氏が胡主席の後任として、党総書記に就任するのは時間の問題だ。党中央軍事委副主席に関しては、来年5月の5中全会か2011年の6中全会で選出手続きを踏めばよい。>

 つまり、別に大した話じゃないから大騒ぎするな、っていうことか。

 <習氏は予定通りならば、2012年秋に開かれる第18回共産党大会党、政府、軍を率いる新しい中国の指導者に選出される見通しだ。現在も党、政府の報道規制を受けている中国の新聞や放送メディアは習氏が19日に「科学発展を堅持し、新たな思考で未来を切り開く」という趣旨の青少年科学作品展を訪れ、拍手する姿を報じ、4中全会で習氏が後継者の地位を固めたことを伝えた。>

 着々とやっているじゃないか。

 <胡主席は1942年生まれで、社会主義中国が誕生した当時は7歳だった。一方の習氏は53年生まれで、49年の新中国建国後に生まれた人物が初めて中国の最高指導者になる見通しだ。>

 世代交代だね。

 <心配なのは北朝鮮だ。中国が第1世代の毛沢東、第2世代の鄧小平、第3世代の江沢民、第4世代の胡錦濤を経て、第5世代の習近平へと世代交代を行う一方で、北朝鮮は第1世代の金日成に続く第2世代の金正日総書記が統治している。その上、金正日総書記の周辺では78歳の呉克烈氏が労働党国防委員会副委員長84歳の金永南氏が最高人民会議常任委員長のポストを守っている。世代交代が全く進んでいない。これに対し、中国共産党は現役軍人で党中央軍事委副主席の徐才厚氏が66歳郭伯雄氏が67歳だ。仮に北朝鮮の労働党国防委員会と中国共産党の中央軍事委が実務会合を開く場合、70代後半の老人と60代半ばの人物が向かい合うことになる。>

 面白いねぇ。中国だって儒教の国だから年上には敬意を表するのだろうが、どうやって表するのだろうか?

 <外交官も同様だ。外交官出身で最高人民会議委員長にまで出世した金永南氏が84歳なのに対し、中国の外交官で国務委員に就任した戴秉国氏は68歳北朝鮮の外相を務める朴宜春氏が76歳なのに対し、中国の楊潔チ外相は59歳と17歳も差がある。こう見ると、北朝鮮の指導部で67歳の金正日総書記は若いほうだ。大まかに見て、現在の北朝鮮と中国の指導層の年齢はそれぞれ70-80代と50-60代だ。>

 北朝鮮の指導層が世代交代をできないわけは韓国の知識層が十分ご存知のはずだ。時間を止めているのだからね、北朝鮮は。

 <問題は2012年だ。中国は習氏を筆頭とし、さらに若い人物に指導層が交代する。それにもかかわらず、北朝鮮が12年まで指導者の交代を自然死に頼るならば、北朝鮮と中国はコミュニケーションが困難な状況に陥るだろう。先日北京からやって来たある国際政治学の教授は「北朝鮮を今も同盟国だと考えるか」との問いに対し、しばらく考えて「朝鮮(北朝鮮)は国際社会のルールを守らないのが問題だ。それでも同盟国だと言うべきだろう」と語った。>

 2012年問題をこういう形で北朝鮮にひっかけて書くというのも、朝鮮日報ならではのアイデアだね。確かにパーセプション・ギャップが年々大きくなるから、中国指導部は北朝鮮の暴走へのグリップが利かなくなる可能性もある。怖いところだ。

| | コメント (0)

2009年9月20日 (日)

李明博大統領の兄と小沢一郎氏が会談:参政権付与は来年の通常国会で~産経新聞09年9月20日朝刊

 産経新聞09年9月20日朝刊の記事だろう。ネットJPで見つけた<小沢氏が韓日議連会長と会談/参政権付与「通常国会で目鼻」>はコピペしておくべき記事だろう。
 <民主党の小沢一郎幹事長が19日、李明博大統領の実兄で韓日議員連盟の李相得(イ・サンドク)会長(ハンナラ党国会議員)と会談し、永住外国人への地方参政権付与問題について「何とかしなければならない。通常国会で目鼻を付けたい」と述べていたことが分かった。民主党筋が明らかにした。早ければ来年1月召集の通常国会で法案提出を目指す意向を示したとみられる。鳩山由紀夫首相も推進論者として知られるが、民主党内にも反対論が強いため、意見集約は難航しそうだ。この問題は「憲法違反」との指摘もあり、来夏の参院選に向け、大きな争点となる可能性がある。>
 産経新聞は在日韓国人への地方参政権付与に反対で旗幟鮮明なのだね。反対の論理は分かりやすい。国家論から演繹すればでてくる論だ。でも、先の戦争を考えた時に「本当にそれでいいのか?」と思うのが普通の血の通った人間だとも思うのだ。
 韓国人、朝鮮人と言っても1905年の日露戦争直後からは保護国となり、1910年には日韓併合で大韓帝国という国、つまり韓国という国は地球上から姿を消し、大日本帝国に吸収されたのだ。1945年8月15日まで韓国民という人間はいなかった。みんな日本人だったのだ。
 その歴史は忘れてはいけないと思う。
 その朝鮮半島出身で日本列島に住んでいた韓国系日本人たちに日本国家は敗戦後、何をしたのか。日本人という国籍を勝手に取り上げて「お前らは国に帰れ」と勝手に「外国人」扱いをしたのだ。
 日韓併合については韓国人は「押しつけられて強制的にされた国際法に認められない行為で、最初から無効だった」と併合の当初からの無効を主張した。つまり、韓国は日本に併合されていないんだ、と。これが戦後、日韓国交回復のための交渉での韓国の一貫した主張だった。日本は「それはないだろう」ということで、日韓基本条約では併合の法的効力について今現在は無効、という当然の意味と、最初から無効という意味合いにも両方に読める文章で妥協したのだった。
 しかし、少なくとも韓国人が日本人として1945年8月14日まで日本列島で暮らしていたことは間違いない。そして、本来は敗戦国日本は植民地韓国の人々に「あなたは自分の国に帰りますか、それとも日本人としてこのまま暮らしますか?」という選択肢を与えるべきだった。それが飢餓で食料がないうえ、戦地からの引き揚げが相次ぎ、人口の過剰が予想されたために、全く日本人の都合だけで、韓国出身の日本人から勝手に日本人としての国籍を奪ってしまったのだ。
 こんなにひどいことはないだろう。
 その時、韓国の人々は植民地支配者の零落した姿を見ながら、一部には略奪や強姦が起きたかもしれないが、基本的には規則正しく日本人を日本に帰すことに協力してくれたのだ。ソ連のようにシベリア送りにして労働力にするわけでもなく、それどころか、満州からの引き揚げ家族で困っていると食料をくれたりして、日本帰還に協力してくれた、という話もたくさんある。
 周恩来や蒋介石ではないが、暴力に報いるに情けをもってした人々だった。
 この特殊事情をどう見るか、という重い課題を日本人は最後まで突き付けられているのだ。そして、何しろ韓日議連の代表が李明博大統領の兄なのだ。李明博大統領を支援しないといけない日本とすれば、できればここでプラスの協力をしておきたい、という「政局」的な思惑もある。
 <会談は19日夕、党本部で約40分間行われ、「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上推進議員連盟」(会長・岡田克也外相)事務局長を務める民主党の川上義博参院議員、権哲賢(クオン・チヨルヒヨン)駐日大使らが同席した。参政権付与問題は権大使が「ぜひお願いしたい」と要請し小沢氏が前向きな姿勢を表明したという。>
 本格的だよね。
 <民主党は結党時の基本政策として地方参政権付与の早期実現をうたっている。小沢氏も推進論者として知られ、昨年2月に就任直前の李大統領と会談した際も付与に向け、努力する意向を伝えた。今月11日に川上氏とともに在日本大韓民国民団(民団)幹部と会談した際も「自分はもともと賛成なので、ぜひ来年の通常国会で方針を決めよう」と述べたとされる。>
 この辺は先ほど読んだ産経新聞の続きものの中に詳しかった。
 <ただ、民主党内にも反対論が根強く、衆院選マニフェスト(政権公約)には盛り込まれなかった。国民新党も反対を表明している。今回の会談で民主党は会談内容の記者説明に応じず、概要を記した発表文を1枚配布。付与問題に関するやりとりは公表しなかった。>
 微妙な問題だから、質疑応答は避けたかったんだろう。右バネが弾きかねない問題だからね。
 <一方、小沢氏は李氏との会談で「韓国との関係を形式的なものではなく本当の信頼関係を作り上げることに力を尽くしたい。両国間の基本的な問題も必ず解決できる」と語った。李氏は「大統領も小沢氏と同様に未来に向かって道を開こうとしている」と応じた。また、小沢氏は政権交代について「私自身の大きな目標の第一歩でしかないが、達成できたことを喜んでいる」と述べたという。>
 小沢氏の考えはこういう断片的な発言を丁寧につなぎ合わせれば、浮かび上がってくると思う。面倒くさがってはいけない。
 <永住外国人への地方参政権付与問題=永住資格を持ち、日本に居住する外国人に地方参政権を与えるため、民主、公明、共産などの各党が過去に付与法案を提出した。平成19(2007)年末の法務省の統計では永住資格を持つ外国人は約87万人。このうち在日韓国・朝鮮人が多数を占める「特別永住者」は約43万人。>
 これは注釈だ。

| | コメント (0)

2009年9月16日 (水)

李明博大統領の天皇訪韓招請、鳩山首相は受けるべきだ~朝日新聞09年9月16日朝刊

 朝日新聞09年9月16日朝刊国際面トップは<来年中の天皇訪韓希望/李大統領/韓国併合100年>という見出し。ソウル支局の箱田哲也特派員の記事なのだが、朝日新聞のインタビューではなく、共同通信のインタビューに答えた、という内容なのにこの扱いは?とちょっと不思議に思った次第。記事を読んでみよう。
 <韓国の李明博大統領は15日、共同通信、韓国の聯合ニュースと会見した。聯合ニュースによると、天皇の訪韓問題について「両国関係の距離感をなくし、終止符を打つという意味がある」と述べ、韓国併合条約から100年となる来年中の訪韓が実現することを望むと表明した。>
 という前文である。聯合ニュースからの転電だ。
 <李大統領は2008年4月、来日して天皇と会見した際、直接訪韓を招請したが、時期に触れたのは初めて。>
 そうだったんだよね。昭和天皇は沖縄→韓国→中国の順で考えていた、と思うのだが、金丸信氏の剛腕で中国が先になった。もうそろそろ韓国に行ってもいいじゃないか。
 <李大統領は会見でアジア重視を掲げる鳩山政権の発足に関して「以前よりも一段階高い、完全に信頼しあえる韓日関係になることを期待している」とも述べ、政権交代とも合わせて天皇訪韓を実現させることで、両国関係を一層強化させる考えを示した。>
 李明博のためになるのだったら鳩山は協力してやるべきだ。
 <1990年の盧泰愚大統領以来、歴代韓国大統領は天皇訪韓を招請する意思を伝えてきたが実現していない。>
 盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉という面々だ。
 <李大統領は北朝鮮については、核放棄の姿勢は見せていないと主張。北朝鮮が近く日本にも対話攻勢を仕掛けてくると予測した上で「日本が拉致問題だけで(北への)経済協力に応じれば核を放棄させられなくなる」と述べ、各国それぞれの事情があっても非核化に向けた足並みを乱すべきではないとの認識を示した。>
 偉いね、李明博大統領は。日本の政局が混迷していても、李明博氏が韓国の大統領でいる限り大丈夫だ。日本政府はできる限りの協力を惜しまないように。切にお願いしたい。それが日本のためなのだから。

 読売新聞は2面2段<天皇陛下の訪韓望む/李大統領/来年、日韓併合100年で>で短く扱っていた。産経新聞は国際面のメモ記事。毎日新聞は2面ベタ記事でソウル発の共同通信記事を使っていた。

| | コメント (0)

2009年9月15日 (火)

習近平氏の軍事委員会副主席就任が有力視される~産経新聞09年9月15日朝刊+孔健氏の本

 産経新聞09年9月15日朝刊国際面に大きく<習近平氏が中央軍事委副主席就任か/中国共産党4中総会>という記事が載っていた。北京支局の野口東秀、矢板明夫両特派員の記事だ。いよいよ第5世代のニュースが出てくる時期になった。読んでみよう。

 <中国共産党の第17期中央委員会第4回総会(4中総会)が15日から4日間の日程で北京で開かれる。複数の中国筋によると党序列第6位の習近平国家副主席(56)が、中央軍事委員会副主席に就任する見通しが強まっている。10月の建国60周年を前に「社会の安定を維持する党の姿勢を示す」ことができるかどうかも焦点だ。習氏が軍事委副主席に就任すれば「ポスト胡錦濤」として2012年の第18回党大会で党総書記に就任することがほぼ確実視される。>

 という前文である。まあ、胡錦濤国家主席が引き立てて、自分の後釜に据えようと準備してきたわけだから、順当なんじゃないかな。

 <胡錦濤国家主席も1999年、当時の党序列第5位、国家副主席から軍事委副主席に任命され、2002年の党大会で総書記に、2004年に軍事委主席に就任した。>

 そうだったか。エリートの出世コースは決まっているのだろうか?

 <ただ、習氏の軍事委入りについて胡錦濤主席を軸とする共産党の下部組織、共産主義青年団(共青団)派には「習氏では求心力不足だ」との意見もあり、来年の5中総会に先送りされる可能性も残されている。>

 共青団の中にはそうい意見の人だっているだろうが、それが強い意見というわけではないと思うのだが。

 <習氏は共産党長老の習仲勲元副首相を父に持ち、江沢民前国家主席が率いるグループ、「上海閥」と良好な関係にあるとされる。習氏が軍内で力を強めれば、現在主流とされる共青団派の影響力は後退するとの見方もある。>

 この辺なんだが、後で書く。

 <また胡錦濤主席の側近で中央弁公庁主任の令計画氏(52)が政治局委員候補に昇格するとの見方もある。令氏は、習氏の次の世代の有力な担い手と目されており習氏の軍事委入りの動きに対抗する意味があるとみられている。>

 先の話だ。

 <一方、新疆ウイグル自治区の王楽泉書記(政治局員)については暴動の責任を問う動きもある。しかし、胡錦濤導部は王書記を支持する方針で問責案などの提起は事前に阻止されるとみられる。>

 問責なんてあるのか。

 <4中総会は「新たな情勢下の党建設」をテーマに、党の執政能力を強化することに主眼がある。汚職の蔓延などによる党の求心力の低下に歯止めをかける必要があり、改革という観点では党幹部に対する「財産申告制度」の導入が焦点の一つだ。少数民族地域での暴動や集団による抗議行動が相次ぐ社会情勢のなかで、経済発展のみならず、社会の安定も重視する幹部を登用するシステムを構築できるかどうかも、ポイントだ。>

 こういう記事だと胡錦濤国家主席と習近平氏の仲が悪く、対立しているように思えるのだが、複雑なのはどうも、そうではない、ということなのだ。

■孔健氏の本を読んでみる

 孔健氏というチャイニーズドラゴン新聞編集主幹で孔子の第75代直系の子孫と自称するあくの強い中国人が最近、テレビに出たり、本を書きまくっているが、昨年7月20日第1刷発行の講談社+α文庫の書き下ろし「中国なしではやっていけない日本」(定価648円+税)の140ページで「次世代指導者・習近平はなぜ浮上したか?」として書いていることが参考になった。

 <2007年10月、中国共産党の第17回大会で驚きの人事が行われた。54歳の習近平が共産党の最高権力機関である党政治局常務委員会に入り、しかも胡錦濤に次ぐ序列2位になり、翌年の全人代で国家副主席になったのである。これは第5世代の後継者選びで、習近平が最有力候補になったことを意味する。第1世代が毛沢東、第2世代が鄧小平、第3世代が江沢民、第4世代が胡錦濤、そして2012年の党大会で第5世代の指導者が選ばれる。習近平の浮上がなぜ3驚きかといえば、胡錦濤の後継は、同じ共青(共産主義青年団)出身の李克強だろうという観測がもっぱらだったからだ。>

 昨年の7月に出た本だから、こういう書き方をしている。今では習近平が国家主席候補で、李克強は温家宝首相の後釜だrとうというのが定説になっている。だから、産経新聞は派手派手しく書いてはいるが、軍事委副主席就任も当然ではあるのだ。

 ただ、孔健氏の本で「ほー」と思ったのは習近平氏と胡錦濤氏の意外な近さを分かりやすく説明してあった部分だった。

 その前に孔健氏が書いている9人の政治局常務委員の色分けを見てみよう。

 <「共青派」(胡錦濤派)は胡錦濤、温家宝、李克強の3人だけ。残る6人はすべて「上海派」(江沢民派)。呉邦国(全国人民代表大会常務委員長)、賀国強(中央組織部長)は江沢民の前部下、賈慶林(全国政治協商会議主席)は江沢民の引きで出世、周永康(国務委員兼公安部長)、李長春(イデオロギー担当)も江沢民に近く、習近平は上海市の共産党書記だった。したがって今回の人事は「上海派」の勝利、あるいは巻き返しだというのである。しかし習近平については、単に「上海派」と位置づけるだけでは不十分で、むしろ「太子党」と位置づけたほうがよいのではないかという説もある。>

 と展開する。ここが大事なところだ。

 <太子党とは親が共産党の上級幹部で「プリンス」という意味だ。習近平の父親習仲勲は元中央政治局委員で元副総理までつとめた大物である。したがって、習近平は立派な「太子党」ということができる。そこから次のような解釈も生まれてくる。この間、「共青派」(胡錦濤派)と「上海派」(江沢民派)の対立は激烈を極めた。「共青派」は上海汚職を追及し、黄菊はじめ何人かの「上海派」を追い落とした。危機感を抱いた「上海派」は温家宝首相の経済抑制策の失敗を突いた。互いに譲らず決着が付かない。そこで「太子党の習近平を起用し、緩衝材としてはどうか」という案が出た。太子党は党内に大きな力をもっている。たとえば、毛沢東の孫が政治協商委員になったり、鄧小平の息子が政治協商会議の副主席になったり、李鵬の娘が国際電力公司主席になったりという具合だ。はっきりとした派閥ではないが、共産党幹部や国家官僚としてあちこちで力を握っている。これには両派とも異議がなく、太子党の象徴として習近平が調整役に選ばれたという説である。>

 太子党の説明と「胡錦濤派」「江沢民派」の対立図式が一目で分かる。

 そして、いよいよ佳境である。

 <しかし、それだけでは習近平がなぜ序列2位にまで上り詰めたのかという理由が十分説明されていない。私の解釈は、これら”専門家”の意見とはかなり違う。まず私は習近平が軍事経験者であることに注目する。胡錦濤の最大の弱点は自信に軍隊経験がなく、最後まで軍事人脈を十分把握することができなかったことである。中国は伝統的に軍事中心国家である。毛沢東の「政権は銃砲から生まれる」という言葉に象徴されるように、歴代の指導者は軍部と強いかかわりを持ってきた。江沢民は国家主席を退いたのちも軍事委員会主席の座にしがみつき、多くの大将を任命し、軍を「上海派」に染め上げた。そのため胡錦濤派さんざん苦労した。そして、この経験から、次世代の指導者は軍事経験者でなければならないと考えるようになった。習近平は清華大化学工程部を卒業した後、国務院弁公蝶に入り、当時副総理兼国防部長であった耿飈の秘書になった。この時代に中央軍事委員会弁公庁に所属し軍務を経験しているのである。その後、河北省、福建省、浙江省と異動し、やがて上海市の書記となった。現在、党中央軍事委員会の副主席に習近平氏が抜擢されるとの噂がもっぱらである。中央軍事委の主席は胡錦濤だが、それに次ぐナンバー2であり、軍部を掌握できる立場につくことになる。こうなれば、習近平の次期、国家主席就任は揺るがないものになるだろう。共青一本やりで軍務経験のない李克強はこの点で一歩差をつけられている。>

 というのは、胡錦濤の心のうちを忖度した記述である。

 そして、大事なことは、

 <では、胡錦濤と習近平は対立する立場なのであろうか?>

 という問題だ。

 孔健氏はズバリ「そうではない」と断言する。

 <ここが肝心なところなのだが、胡錦濤と習近平は強い絆で結ばれている。その要になる人物こそ”改革開明派のリーダー胡耀邦”である。胡耀邦は1980年代に、鄧小平の下で、改革開放を推進した国家の指導者として知られる。この胡耀邦を「同志」として支えたのが習近平の父、習仲勲であり、胡耀邦に育てられたのが「弟子」である胡錦濤なのである。胡耀邦は開明派として”自由・民主”を追求しすぎたために、保守派の反発をかい、1987年に鄧小平を含む長老会議で解任される。この時、猛反発したのが習仲勲であった。一方、胡錦は最後まで胡耀邦を師として仰ぎ、死後はその墓にたびた詣で涙を流している。これで胡錦濤と習近平の接点がお分かりだろう。二人は胡耀邦を通じて強く結ばれていたのである。中国には「一代朋友 三代親戚」という言葉がある。一度朋友になれば親戚同然の親しい付き合いが子、孫の三代は続くということわざだ。習近平はたしかに太子党である。しかし、「太子党らしからぬ太子党」である。太子党には親の権力を利用して私腹を肥やす輩が多い。ところが習近平は上海経済を発展させる経済手腕を持つ切れ者でありながら、上海派と交わらず、自身は賄賂の噂一つない清潔な人柄である。太子党であっても太子党らしからぬ人間はいる。上海派であっても上海派らしからぬ人間はいる。胡錦濤派こうした点を評価し、かつ上海派との闘いを有利にするためにも、太子党の代表格と目される習近平を後継者として上に引き上げたのだ。>

 以上が胡錦濤と習近平の関係である。江沢民のダミーではない、ということなのだろう。ただ、日本に対する気持ちは胡錦濤氏とは違って、醒めているようだけど。

| | コメント (0)

2009年9月10日 (木)

崔天凱・中国大使の講演、まとまっていて面白かった:新中国建国60年と日中関係~09年9月10日、毎日新聞HPから

 崔天凱・駐日中国大使が09年9月10日に帝国ホテルで講演したそうだ。その全文が毎日jpに掲載されていた。アジア調査会主催の講演会で話したらしいが、建国60年ということでなのか、胡錦涛国家主席の親日の考えを受け継いでいるからなのか、なかなか読み応えのある講演記録だった。今の中国指導層の考え方を知るためにも一読の価値はあると思う。コピペした。

 <本日はアジア調査会のお招きにあずかり、皆様と交流できることを大変うれしく思います。今まで歴代の大使の多くがここで講演しておりますから、私もとても光栄に思います。
 皆様、ご存じのように、今年は中華人民共和国創立60周年にあたります。60年というのは、中国では花甲、日本では還暦と呼ばれています。一つの循環があって、新しいスタートに立つということです
 中華民族は5000年の文明の歴史を持っています。新中国の60年はそれと比べると一瞬に過ぎませんが、この60年は、中華民族の発展のプロセスにとって並々ならぬ60年でありましたし、最も波瀾万丈の時代とも言えます。
 60年前、中国国民は艱難辛苦に満ちた奮闘努力を経て、100年余りの列強の植民地侵略と戦乱の中から独立し、新しい時代を切り開きました。それ以降、中国は独立自主の思想のもとで、新たな発展のプロセスを歩み始めました。
 しかし、多くの人口を抱え、また、経済基盤は極めて脆弱な発展途上国にとって、本国の国情に合い、また世界の流れに順応する発展の道をいかに見いだすのか、歴史を見ても経験もないし、世界で成功した例もありませんので、新生中国としては極めて複雑で厳しい内外環境の中で模索し、紆余曲折を経ながら前進してきました。
 1978年、中国共産党の第11期三中全会の開催に伴い、全国の活動の重心は全面的に経済建設に転換しました。中国は改革開放を実施し始めたのです。それ以降、中国の発展の道は歴史的な重要な転換を迎えました。今年は改革開放して31年目を迎えます。中国の様子は天地を覆すほどの変化がありました。かつてない安定、調和、繁栄の様相を呈しております。それと同時に、新中国自身の発展を通じて、世界の平和、安定と発展のために積極的に貢献し、国際社会の中でますます重要な影響を及ぼしています。
 60年の発展を経て、中国国民は経験と教訓を絶えず総括したうえで、特色ある社会主義発展の道を模索しました。中国の国情に則して、世界発展の流れに順応して改革開放を推進し、また、自身の発展に資する人類の文明の成果を積極的に参考にし、それを吸収して、科学的な、調和のとれた発展を図ってきました。同時に、中国自身の前途と運命、世界の前途と運命を緊密に結び付けて、協力による平和発展の道を歩み、世界各国の共同発展に取り組んできました。
 未来を展望すると、中国の目の前には依然として万里の長征、つまり長い道のりが待っています。13億の人口を抱え、56の民族、5000年の文化文明の歴史のある国として、自身の伝統を保つと同時にグローバル化に参加し、近代化を実現し、また、内外で急速に変化しつつある社会の中で、各方面の利益と需要を包括的に調整し、改革と発展、安定の関係をうまく処理し、人間本位で、持続可能な、調和的な発展を遂げるのは決して容易なことではありません。また、1世代、2世代で完成できるものでもありません。
 今までの60年の道のりは平坦なものではありません。これからはさまざま予見できる、また予見できない困難とチャレンジがあるでしょう。我々が目の前にしている体制は依然としてペダルをこいで坂道を上るようなもので、進まなければ後退します。我々はそういうような姿勢を持たなければなりません。
 中国自身が選んだ道について、我々は動揺することはありません。また、むやみに度の過ぎたこともしません。我々としては誠心誠意、建設と発展に取り組み、一生懸命、自分のことをよくし、その精神を代々伝えて、末永く堅持していきたいと思います。我々の前途は自信に満ちあふれています。なぜかといいますと、我々の発展の方向は既に決まっているからです。その道のりは既に切り開かれています。また、その見通しも既に明確化しています。
 中国はこれから必ず自分自身のよりよい発展を実現するとともに、国際社会に一層寄与し、さらに世界各国のためにより多くの発展のチャンスを提供します。
 中国の発展のプロセスを見ると、一度も世界と隔絶した状態にはなりませんでした。中国と外部世界の双方向の交流の中で、中日関係は重要な意義を持っています。
 新中国を創立してから、中国と日本の間で正常な国交関係がなかった時代は23年余りに及びました。しかし、その間も両国の各界の人々は、国民の友好、また、国交を正常化するために、たゆまぬ努力をしてきました。有名なLT貿易、廖承志、高碕達之助の協定は、中日関係史において一里塚となっています。また、新中国が対外交流を開拓するという真心も込められています。
 1972年、新中国が西側の先進諸国との関係をリセットするという背景のもとで、中日両国は国交正常化を実現しました。そして、1978年、改革開放を実施する前夜、鄧小平氏が日本を訪問し、両国間で平和友好条約が締結されました。
 中国の発展が中日関係のこれらの重要なタイミングとぴったり合ったのは偶然ではありません。中日両国のそれぞれの発展のプロセスには健全で安定した関係が必要であり、両国の良好な関係がお互いの発展のために重要な推進の役割を果たすことができるということです。
 中日関係は、国交を正常化し、中国が改革開放して以来、中国の迅速な発展という背景のもとで、歴史的な進展を遂げてきました。2008年の両国の貿易総額は2700億米ドルに達し、日本の対中投資のプロジェクトの数も4万1859になりました。人的往来も去年で延べ500万人を超え、姉妹提携も242組になっています。両国は既に重要なパートナーになり、相互依存関係も深まりつつあります。相手の発展の中から多くのメリットを受け、さらに協力を進化する中で、「ウィン・ウィン」の関係になっているわけです。
 去年5月、中国の胡錦涛国家主席は成功裏に日本を公式訪問しました。これは中国共産党の第17回党大会で中国の未来の発展について戦略的な計画をして以来、中国の最高指導者による初の海外訪問でした。
 その訪問期間中に両国の首脳は画期的な、意義のある第4の政治文書、中日共同声明に調印しました。そして、その声明の中で、両国の戦略的互恵関係を包括的に推進することを明確に打ち出しました。また、両国は協力パートナーで、脅威とならず、さらに相手の平和・発展をそれぞれ支持し合うことを強調しました。これは両国国民に対する厳かな約束であり、さらに国際社会への丁重な表明でもあります。
 この重要な文書の調印によって、中日関係は新たな歴史のもとで重要な発展を遂げたことが示されています。この文書は新中国の外交60周年の発展の歴史の中の重要な部分であります。さらに、この文書を通じて、2国間には共通の事情があり、また共通した期待も持っていることがわかります。中国の発展が新たなかぎとなる段階に入ろうとしている時、中日関係も新たな歴史的なスタート地点に立っています。
 中国の発展により、中国と日本の間の緊密な双方向の交流をお互いに促進し合っていることをつくづく感じます。中国の発展と、中国と日本の間のインタラクティブは、既に歴史によって立証されています。世界情勢が絶えず変化する中で、中日両国の深刻な変化によって、良好なインタラクティブも持続して調整し、さらに進化する過程にあります。さらに、我々はいつも新たな課題に直面しています。ですから、中国の発展によって中日関係にもたらしているチャンスを十分にとらえ、正確に把握し、妥当にそれを使うことは、終始重要な、現実的な意義を持っています。
 皆様と議論、検討を一層深めたいと思いますので、以下、幾つかの点について申し上げたいと思います。
 第1に、我々としては、中国の発展はみんなのチャンスであるという認識を真に確立しなければなりません。中国の発展は、日本やアジア、さらに世界のためにより多くのチャンスを提供しました。さらにそういうようなことをしつつあります。これは国際社会の中でますます幅広く受けとめられている共通認識であります。
 しかし、中国の変化は非常に迅速で、また、進化しつつあるものですから、我々人間としての認識が必ずしもそれに追いつくことができず、それによって一部疑問を呈することも避けられません。ですから、タイムリーにそれを説明しておく必要があると思います。
 私は日本に大使として着任以来、いつもいろいろな疑問を呈されているのですけれども、幾つか例を挙げて、それにお答えしたいと思います。
 疑問1。中国のGDPは間もなく日本を抜きます。それによって世界経済における日本の地位に影響を及ぼすのか、ということです。
 まず指摘しておきたいと思いますが、GDPは必ずしも国の発展をはかる唯一の指標ではありませんし、最も重要な指標でもありません。中国の人口は日本の10倍で、GDPが日本のレベルに追いつき、それを超えても、中国の発達の程度、また裕福度のレベルは日本に追いついたとは言えません。経済成長の量、数字はもちろん重要ですが、質のほうをもっと重要視しなければならないでしょう。
 中国の経済が迅速に発展する中で、その背景では大きな環境、また資源の対価を払っています。これは我々にとってこれからも重要視しなければならない、差し迫った問題であります。この面で中国は日本と比べて大きな開きがあります。
 一方で、中国経済の発展、GDPの成長は、中日両国の経済貿易関係にとっても、また、日本の発展にとっても、大きなチャンスとなっています。
 改革開放直前、1978年の中国のGDPは3645億人民元しかありませんでしたが、2008年には30兆人民元を超えています。価格要素を除いて見れば、2008年の経済量は1978年の15・3倍になります。また、この30年の間に中日2国間の貿易額は55倍に増えました。これは水位が高くなれば船も高くなるように、相乗効果と言えるでしょう。
 さらに申し上げたいことは、各国の経済が公平かつ秩序ある競争を行うことで、すべての競争者の発展を促進することができるということです。これはスポーツの試合でハイレベルの選手の間ではいつもいい成績が出るのと同じことだと思います。ですから、中国は今、迅速に日本に追いつこうとしているのですけれども、このことは日本のさらなる発展にとっても一種の激励と推進力になると思います。ですから、それもある意味でのチャンスであります。
 疑問その2。中国の国防建設は日本の安全保障に影響を及ぼすのか、ということです。この問題は繰り返し取り上げられていますけれども、その多くは根拠がないと思います。まず申し上げたいのは、この世界は各国が国防を無視できるほど安定した世界ではありません。多くの国は国防の近代化に取り組んでいます。もちろん中国も例外ではありませんが、今まで国防の近代化に投入したものから見ても、また、中国の能力から見ても、中国は世界をリードする地位にはありません。中国の軍隊としては装備を更新する必要があります。中国の軍人としては待遇を改善する必要もあります。また、中国は、今まで既に現れている、また新しく現れつつある、伝統的、非伝統的な安全保障のチャレンジに立ち向かわなければなりません。
 近年、中国の国防費は確かに増加していますが、改革開放して30年来、国防費のGDPに占める割合、また国防費の国家の財政支出に占める割合は下がる傾向にあります。換言すれば、中国経済の実力の増強に伴って、より多くのお金を経済社会の発展、国民の生活水準の向上に使っていると言えます。
 次に申し上げることはもっと重要だと思いますが、中国の国家の発展の戦略的な方向を正確に認識する必要があるということです。
 中国は平和発展の道を堅持しているし、防衛的な国防政策を実行しています。また、我々は絶対に軍備を拡張せず、軍備競争に参加する意図は毛頭ありません。こういう戦略的な方向は、世界の発展の流れ、また中国の長期的な利益に立脚して判断しているわけです。これから中国がさらに発展しても、我々はこの政策を変える意思はありません。能力より意識がもっと問題を説明できると思いますが、この点では中国の政策は非常に透明性を持っています。
 改革開放して30年間、中国は国際社会、地域社会のことに積極的に参加し、ホット・イシューの解決に参加してきました。30年前と比べてアジア全体の情勢は安定し、経済もより繁栄し、地域協力の見通しも一層いいものになっています。中国の発展、国防建設の発展も含めて、これは平和と安定に資するものであると既に立証されています。日本は我々の隣国として、アジアの一国として、さらに直接的な体感が得られるでしょう。
 疑問その3。中国はこれからどんどん発展して、世界の中で中米両国による共同管理、いわゆる「G2」をやるのではないか、ということです。この問題が提起されることは理解できますが、国際社会では事実でないことをでっち上げる人がいる、ということも事実です。そういう心配は必要ありません。
 中国は今なお発展途上国です。今後相当長い時期において、国内では引き続き極めて複雑で重い経済社会の発展の任務に直面するだろうと思います。中国が自分の国を良くすること自体が世界への大きな貢献になります。中国は地球の半分を管理するような能力は持っていません。
 さらに、中国の今まで一貫している国際事務に対する理念から見ても、我々は少数の国による世界の共同管理というような考えは認めておりません。7カ国、8カ国ですら世界の大きな問題を解決できないわけですから、二つの国でそれをするというようなことは考えられません。
 国際関係の民主化ということは中国の長年の主張です。現在、中国の能力が増強しているということならば、我々としてはさらに積極的に国際関係の民主化ということを主張していきます。それに反するようなことはしません。
 皆様とともに検討したい第2点は、中国が発展するプロセスの中で、中日の互恵協力を着実に開拓することです。中国の発展によって、中日協力の潜在力は一層発揮され、協力する余地も一層広いものになっています。それと同時に、中日両国という大きな経済体の緊密な連携、また、中国経済と世界経済の融合によって、両国が共に挑戦に立ち向かう必要性がますます増加しています。
 当面の急務としては、国際金融危機に対して協力を強化すべきです。それを成し遂げるには、次のようなことが含められるべきでしょう。マクロ情勢とマクロ政策について、意思の疎通と調整を図ることが必要です。また、具体的な産業と企業の間の協力を推進することも必要です。
 当面の困難を共に乗り越えていくと同時に、両国と世界の経済の長期的な発展にも着目しなければなりません。2国間の経済貿易と金融協力を促進すると同時に、アジア経済の進行の牽引にも、共に力を入れなければなりません。さらに、地域対策の中で実際に行動するとともに、国際経済貿易と金融システムの改革も検討しなければなりません。
 中国は日本がかつて経験したバブル経済の教訓の中から学ぶことができます。また、日本の一部の企業が非常に成功裏に経営していることの中から示唆を受けることができます。日本としては、中国の経済刺激策の中で新たに成長するチャンスを見つけることができるでしょう。一言で言えば、金融危機に共に対応することは、双方の協力のハイライトになるべきです。また、両国関係の新たな成長ポイントになるべきです。
 また、省エネと環境保全については中日両国が相互補完関係にあり、協力を通じて「ウィン・ウィン」となるような、重要な分野です。中国は持続可能な発展の実現を国策とし、省エネと環境保全を、成長を維持する重要なポイントとしています。日本はこれらの分野で成功したノウハウと、成熟した技術を持っています。双方が協力すれば、中国の発展が直面している切なる需要を生み出すことができるのと同時に、日本にも極めて大きなビジネス・チャンスをもたらします。両国の産業の競争力が高められ、地球の持続可能な発展のために実際の貢献をすることもできるでしょう。
 皆様と検討したい第3点は、中国の国際社会における役割の拡大に伴って、中日両国が国際社会と地域社会における協力を強化することです。中国は発展していますから、一層幅広い国際社会、地域社会の事務に参加できるような条件が備わり、さらに、国際社会で発揮したい建設的な役割を果たす能力を持つようになります。
 日本と中国は同じアジアに位置している重要なパートナーであります。また、両国は共に一連の地球規模、また地域の課題に直面しています。中国の国際社会における役割の拡大は、両国の国際と地域の事務における相互協調の必要性が上がっていることを意味します。また、我々の共通利益の追求も増加しています。
 国際、地域事務における協力は、中日関係にとって今ますます重要な構成部分になっています。2国間関係の基礎を拡大してきただけでなく、一般的な2国間関係というような見地を超えて、より戦略的に、大所高所に立って両国関係を把握し、推進することができるようになります。
 地球規模の課題についてですが、気候変動の問題は一つの典型的な例と言えるでしょう。中国と日本という二つの経済体は、それぞれしかるべき役割を果たすことが求められています。それぞれ違う発展の段階に位置する国のために、中日互恵協力のチャンスも提供してくれたわけです。また、両国の省エネ、環境保全の協力も、緊密に関連づけました。
 地域の課題としては、東アジアへの協力を共に推進することは、両国が直面している非常に重要な使命であります。地域の国々は両国に期待していると思います。
 去年、福岡で開かれた第1回中国・日本・韓国首脳会議が成功をおさめました。今、3国は、中国で開かれる第2回会議のために積極的に準備をしています。我々としては、旧思考に縛られるようなことを打破して、このプロセスが絶えず発展できるよう、協力して推進していかなければなりません。
 安全保障の分野では、朝鮮半島の核問題は際立っている例だと言えるでしょう。中日両国と6カ国協議のそのほかのメンバーの間では、9月19日の共同声明など、重要な成果をおさめています。両国は朝鮮半島の非核化を堅持し、対話と交渉を通じて問題を解決すること、また6カ国協議を堅持する面で、共通した利益と主張を持っています。お互いに協調を強化すべきです。当面の困難を共に乗り越えて、情勢が改善し転換できるように、また、朝鮮半島の平和と安定を守り、北東アジアの恒久的な平和を実現するために共に努力していくべきです。
あくまでも私見として申し上げて、皆様と検討を深めていきたいと思います。
 総じて言えば、中日の間には密接なインタラクティブがあります。このようなインタラクティブは今までの数十年を通じて、既に両国に確実な利益をもたらしました。
 未来を展望しましょう。双方の発展が中日関係にもたらした新たな、より大きなチャンスを逃さずに、さらに積極的に行動し、両国の戦略的互恵関係を一層中身のあるものにし、それを包括的に推進し、両国の平和と発展のためにより多くの有利な条件をつくり上げましょう。
 これで私の話を終わります。ご清聴、どうもありがとうございました。>

 以下は質疑応答だった。ここまできっちりと掲載しているというのは、速記が充実しているのだろうね。

 <司会 ちょうど今、日中経済協力協会が北京を訪問しておりまして、温家宝首相が鳩山由紀夫次期首相に早く会いたいという発言もなさっています。また、武大偉外務次官(元駐日大使)が来日され、日本の政治家と会っておられます。日本の政局も動き、日中関係もこれから「ウィン・ウィン」関係に向かっていくという、非常にいい時期に大使にお話を伺うことができました。
 それでは、質問をお受けしたいと思います。
 坂東賢治氏 先ほど司会からも出ましたけれども、日本では民主党政権が来週発足するということで、鳩山政権に対する大使の率直な見方をお聞きしたいと思います。鳩山次期首相はアジア重視をうたい、東アジア共同体であるとかアジア共通通貨の創設ということも、これからの検討課題だということで打ち上げていますけれども、大使は、東アジア共同体、あるいはアジア共通通貨についてどのようにお考えでしょうか。
 崔氏 私は民主党の鳩山先生とは何回も会っています。幹事長時代、中日関係について話し合ったこともあります。民主党が今回の選挙に勝利をおさめ、私が表敬訪問をした際、中日関係について鳩山先生から積極的な態度表明がありました。それには中国国内でも非常に積極的な反応が示されています。温家宝総理は昨日、経団連の御手洗冨士夫会長と会談した際、民主党の中日関係に対する積極的な態度表明を評価すると発言しました。我々としては、日本の新しい政府との間で両国関係を推進するために、有効な協力を展開していくことを期待しています。日本の各政党はいろいろな問題についてそれぞれ違う見解を持っているかもしれませんが、中日関係の推進については意見の相違はないということに、我々は留意しています。ですから、中日関係を一層進化させ、互恵協力をもっと拡大していくことは、日本の各界の方々から支持されています。これはまことに喜ばしいことであります。東アジアの協力について、協力を推進するためのいい考えが各者から出されています。これからはそれについて突っ込んだ意見交換、検討を行い、さらに確実な実効措置に取り組んでいくべきだと思います。これから具体的にどうやるかは別として、アジアの諸国としては当面の歴史的なチャンスを逃さずに、アジア振興という目標を実現させていかなければなりません。中日両国はこの面で協力していくべきです。この会が始まる前に揮毫してほしいということで、私は、共にアジアの美しい未来をつくり上げましょうと書きました。共に努力していきましょう。
 金子秀敏氏 G2について、追加でお答えをいただきたいと思います。これから鳩山政権ができるわけですが、中国に対して理解を示すという姿勢を見せると、とたんに反米だという意見が国内で出ました。アメリカの中でも鳩山は反米ではないかという声が出ました。中国と親しくすることは反米になってしまう、というような関係が今、現実にあると思うのですが、それをなくすにはどうしたらいいのか。また、日本と中国とアメリカがアジアでお互いに「ウィン・ウィン」の関係をつくっていくための方法は何かないだろうかということについて、お答えをいただきたいと思います。
 崔氏 最近、民主党の方々と交流する中で私が得た印象を申しますと、アジア重視だから米国軽視になるということではありません。もちろん、民主党の政策、主張をいかに解釈するか、最も権威ある回答は、私ではなく民主党の方によるものでしょう。私見としては、国と国の関係をとらえる時、特に主要国間の関係を見る時に、ゼロサムというような思考は防ぐべきだと思います。すなわちこの国と関係をうまくしていくと別の国との関係は損になるというものであってはいけません。かつて、ある日本人の方から、日本は中国と米国のどちらを選ぶべきなのかと聞かれて、私は、第3の選択肢もあります、日本は中国とも米国とも仲良くすることができますと言いました。実は中国と米国の間でもますます密接に協力を展開しています。これから中国と米国が対立するということはありませんし、どちらのサイドに立つかというような、陣営を選ぶというようなことは今もありませんし、これからもないと思います。
 布施広氏 日中の大変明るい未来を語っていただいたのですが、アジアの暗い未来というのもちょっとありまして、大使のご経歴を拝見しますと、かなりアメリカとの関係が深いようですので、あえて申し上げますけれども、アメリカが今心配しているのは北朝鮮の核兵器なんですね。北朝鮮の核開発が完了して、なかんずく、核ミサイルをどこにでも撃てる、もちろん日本にも撃てる、アメリカにも届くかもしれない、そういう事態を防ぐことができるのか。大使のご見解は、辛抱強く北朝鮮の非核化に努力するということでした。しかし、それが可能かどうか、という点で重大な疑問があるんですけれども、その点についてもう少しお考えをお伺いできないでしょうか。
 崔氏 先ほど私はアジアの美しい未来をつくり上げましょうと申しました。今その条件は備わっていると思いますし、我々も努力しています。同時に、我々が警戒しなければならないのは、情勢がどんどん発展していく中で、先ほどおっしゃった暗い未来が現れる可能性も否めないということです。しかし、このような見通しが現実的な意味を帯びているということではありません。中国には「安にいて危を思う」ということわざがあります。安泰にいながらリスクのことも考えなければならないということです。歴史的に見れば、今まである国が誤った政策を選んだために世界を暗くさせたという歴史もありました。このような状況を防ぐために、我々は共に努力しなければなりません。
 朝鮮半島の核問題についてですが、確かにこの問題を解決しなければ、北東アジアの長期的な平和と安定はありません。もちろんこの問題の背景には元々の歴史的な原因もありますが、現時点では対話と交渉を通じて解決すること以上にいい方法はないと思います。
 ですから、北東アジアの平和と安定を守るために、中国は一貫して非核化の堅持、対話と交渉を通じて、平和的な形で問題を解決する6カ国協議を堅持すべきだ、と主張してきました。もちろん困難もありますけれども、この世の中では、正しいことを成し遂げるには紆余曲折をたどらなければなりません。中国には「好事魔多し」ということわざがあるように、困難を乗り越えなければなりません。まさに困難があるからこそ、我々はたゆまぬ努力をする必要があると思います。
 北村正任氏 先ほどの大使の講演は大変説得力があって、私も非常に同感いたしました。そのことを前提に一つお伺いしたいと思います。
 あのようなお考えであれば、なぜ中国は日本が国連安全保障理事会の常任理事になることに反対なのか。第二次世界大戦の敵味方というものを、今なお国際秩序の中で残すべきだというふうにお考えなのか。あるいは、日本には今、常任理事国のような国際的役割を果たす力も資格もないとお考えなのか。あるいは、アジアで常任理事国は中国一つでよいと。アジアを代表するのは中国であるというふうにお考えなのか。率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
 崔氏 安保理改革に関して、中国は今まで明確に誰かを支持するとか反対するということは、一言も言ったことはありません。なぜかというと、安保理の改革がまだそこまで進展していないからです。最近、国連本部で開かれた国連総会の中でも、国連の改革について議論されました。いろいろな意見があったわけですけれども、メンバーを増やすのか、増やすならばどういうようなタイプのメンバーを増やすのか、まだ一致した意見は出ておりません。ですから、具体的に誰が入るべきかという議論にはまだ至っておりません。
 また、この問題は本質から見れば中国と日本の問題ではなく、多国間の問題です。今は国連の192のメンバーの広範なコンセンサスがなければ、安保理の新しいメンバーを増やすことは無理です。この問題は中日間で解決する問題ではなく、国連のメンバー全体が共に取り組んで解決すべき問題です。中日間で意思疎通の協議を深めることはできるでしょう。両国の外交当局は、この問題について意見交換をしてきました。私は長年、多国間外交の分野を歩んできまして、日本が国連のことについて大きな努力を払い、貢献してきたことはよく承知しています。国連への財政支援も含めて、それは周知の事実であります。また、日本の多くの著名人が国連に勤めたこともあります。難民高等弁務官だった緒方貞子氏、ミャンマー問題で特使を務めた元事務次長の明石康氏、また、今、国連の専門機関にもたくさんの日本人の方が勤めています。私から見れば、日本が国連にこれほど貢献している理由は、平和の理念に基づく国連の趣旨や原則を支持するという大きな理由からで、安保理の常任理事国になるという小さな目的のためではないでしょう。確かに安保理の今の状態は21世紀の現実を反映できなくなっています。改革すべきです。この点は中国も支持します。1945年に国連が発足した時のメンバーは51カ国でした。今は192になっていますが、増えた140余りの国の絶対多数が発展途上国です。その中にはアフリカの国々が50数カ国ありまして、安保理の中での代表性は不足していると言えます。ですから、国連の多くのメンバーが十分協議をしたうえで、一日も早くコンセンサスが得られるよう期待します。そのために中日両国もしかるべき仕事をすることができるでしょう。重要な問題を提起していただいて、ありがとうございました。
 李淼(リ・ミョウ)氏(香港フェニックステレビ東京支局長) 最近の世論調査を見ると中日の関係はよくなっているのですが、相互信頼はまだ完全に改善されていません。それについてご見解をお伺いしたいと思います。次に、鳩山氏の歴史問題や靖国問題に対する姿勢について、中国側は評価しているようです。これから両国関係は新たな時代を切り開けるだろうと見ていますが、いかがでしょうか。3点目は、鳩山氏の対中政策について、ご見解を聞かせてください。
 崔氏 中日相互信頼の問題についてはいつもマスメディアが報道していて、相互信頼はまだ不足している、まだよくない段階にあると言っているのですが、この問題は毎日新聞とかマスメディアの方に答えてもらったほうがいいかもしれません。どういうふうにしてそういう調査結果を出したのか。(笑い)両国の相互信頼は絶えず増強していると思うのですけれども、今、国際情勢が変化しつつあります。両国のそれぞれの状況も変化しつつあります。言い換えれば、それぞれ相手に対する認識も、いつも変動の中にあるということです。ですから、相手に対する再認識、また、改めて相手に適応するというようなことが求められています。それによって相互信頼の問題も生じますが、それをもっと増強していくには、両国の間で共通認識をますます強化する必要があるでしょう。両国の共通利益に対する認識や信頼が深まれば、相互信頼も深まるだろうと思います。民主党の対中政策、両国関係の発展、また、両国間の具体的な問題について、繰り返しになると思いますが、我々は新政権との間で戦略的互恵関係を一層中身のあるものにし、さらに包括的に推進していくことを期待しています。選挙が終わってからのことを見ますと、双方がお互いに発信したメッセージは前向きで積極的なものでした。ですから、前向きな意味でのインタラクティブが期待されるでしょう。両国関係はこれだけ密接になっているから、具体的な問題が生じるのも避けられないでしょう。今までもそうでしたし、これからもそうだと思います。一番大事なことは大局を把握することです。両国関係の大きな方向性をしっかりと把握することだと思います。さらに、補足して申し上げますと、これからの進展を期待するわけですが、それも今までおさめてきた成果、今までの基礎を踏まえてさらに進展させるということになります。日本は今まで両国関係の改善と発展のために、各界、各政党が共に努力してきました。政権交代の時に、これらのことも覚えておかなければなりません。中日関係は日本で幅広く支持を受けているということが、我々がこれからの両国関係の見通しに自信も持つ理由でもあります。>

(2009年9月10日、帝国ホテルで開かれたアジア調査会講演会の速記録)とあった。アジア調査会の出している月刊誌「アジア時報」に掲載されるという。ネットから消えても月刊誌には最後まで残るからね。

| | コメント (0)

2009年9月 2日 (水)

「2030年、中国のGDPは世界の4分の1」と田中明彦・東大教授:驚いたね!~09年9月2日、日経新聞と中国国務院新聞弁公室主催のシンポを聞いてきた

 09年9月2日(水)午前9時50分から午後4時半まで、日経ホールで開かれた「中国建国60周年記念シンポジウム」を聴いてきた。

 日経新聞と中国国務院新聞弁公室主催で日本経団連の特別協賛ということで、同時通訳付きで無料だった。抽選したという。相当の応募者があって、幸運にも選ばれたのだと思う。

 人民日報日本語版のメールサービスに、早速、写真付きで、この集会のニュースが出ていた。

http://j.people.com.cn/94475/6746539.html

 王晨・新聞弁公室主任と喜多恒雄・日経新聞社長の主催者挨拶から始まった会だったが、プログラムに書いていなかった二階俊博・経済産業相の来賓挨拶くらいから時間が押せ押せになってきたのだと思う。

 親中派の代表的国会議員としての自負があったのに、8月30日の総選挙で自民党が大敗、9月16日には鳩山非自民連立政権が誕生し、大臣を首になる。思い入れたっぷりに話し続けた二階経産相の挨拶は、でも、内容があるんじゃないか、とも思う。

 簡単にメモしておこう。

 東アジアの経済統合に資する政策研究および統計資料の整備を目的として、日本政府の出資により設立された国際研究機関、東アジア・ASEAN経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia, ERIA)が2008年6月3日にジャカルタで設立総会を開催、正式発足した。ERIAはASEAN事務局を通じて東アジアサミットやASEAN経済大臣会合などに政策提言を行い、将来の東アジア共同体の構築に向けた知的貢献を行う機関だ。アジア経済研究所とジェトロ本部にERIA支援室があるが、このセンターは2006年8月に二階経産相が日ASEAN経済大臣会合で設立を呼びかけたことから動き出したプロジェクトだった。

 二階氏にとっては強烈な思い出だったのだろう、と思う。日中関係の重要性を訴える挨拶の最初に、このセンター設立の話を持ってきていた。

 そして次は今年6月7日に東京で開いた第2回日中ハイレベル経済対話を話題にした。この大々的な二国間対話、日本のトップは中曽根弘文外相(議長)で、与謝野馨財務相、二階俊博経産相、金子一義国土交通相、斉藤鉄夫環境相らが顔を揃え、中国側のトップは王岐山国務院副総理(議長)。二階氏が言及したのは陳徳銘・商務部長の思い切りのいい発言だった。

 二階氏は「知的財産権問題で陳長官は『中国はこの問題を回避するつもりはない』と明確に言い切った」と評価していた。二階氏は気候変動問題について「日本はセクター別アプローチを提案している。理解してほしい」などとして、今度は日中省エネ交流について薀蓄を傾け、経産省が2006年に始めた環境・省エネフォーラムをこれまで3回開催、延べ3000人の中国人が参加し、34のプロジェクトで合意に達した、両国の企業が手を携えてやっており、ルース米大使も高く評価していた、などとして「日米中の合同環境フォーラムだって夢じゃない」と発言。秋に北京で開く第4回フォーラムに期待を示した。

 また、二階氏は昨年5月の胡錦濤国家主席来日時に合意した中堅幹部交流の第1弾として中国共産党から昨年度、四川地震調査団約200人を受け入れたが、今年度は第2弾としてファッション、金融、環境などにまで範囲を広げたい、と言っていた。何か「何でもあり」じゃないか?

 そして、経済産業省は2010年の上海万博開催に合わせて有識者懇談会を重ね、今年2月の日本館の起工式には福田康夫前首相が出席した、と報告していた。

 最後は魯迅の言葉「元々道はなかりしを、みんなで歩けば道になる」を紹介し、長~い挨拶を終えていた。

 対照的だったのが岡田克也・民主党幹事長。原稿も用意せずに、「戦後初めて国民自らが大きな選択をした選挙だった。鳩山新総理を筆頭に力を合わせてやっていきたい。建国60年、中国人民の努力と叡智に心からエールを贈りたい。日本の援助も役立ったと思う。しかし、米国か中国かとか、アメリカかアジアかなどと喧しいが不毛な議論だ。米国もアジアもだ、と力を入れていた。

 また「21世紀はアジアの時代と言われるが、その中で日中がどういう役割を果たすのか、極めて重大だが、民主党はかねてから中国を重視してきた。今後もwinwin関係を作りたい。将来的には東アジア共同体も視野に置いて経済の課題以外でも協力してやっていきたい」と挨拶していた。

 崔天凱・駐日中国大使は「おはようございます」と日本語で挨拶してから中国語に切り替え、60年の成果について毛沢東の言葉をひいて説明していたが、メモできなかった。「万里の長征をしてきて、それが一歩進んだだけ」みたいな言い方だったか? 「立ち止まると退いてしまう」と言っていたのが印象的だった。崔天凱大使は昨年5月の胡錦濤国家主席来日の際に合意した戦略的互恵関係の構築について思いを込めて語っていた。両国人民を幸せにする施策を行えば、中日関係は幅広く前進する、と。

 御手洗冨士夫・日本経団連会長の「未来志向の日中経済関係」という来賓講演はあまりまとまりのない内容だった。ダラダラ、と。ただ、忘れていたことを思い出させてくれるのはありがたかった。2007年の日中国交正常化35周年は日中文化交流年だったこと、08年5月の胡錦濤来日の成果は田中角栄首相の1972年の国交正常化、福田赳夫首相の1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言と並ぶ日中関係の四つの基本文書だ、としゃべっていた。

 この日中共同宣言、覚えているだろうか?

 小渕恵三首位と来日した江沢民国家主席が署名した文書だ。

 江沢民氏は1998年11月25日から30日まで国賓として(中国国家主席として初めて)日本国を公式訪問した。江沢民主席は天皇陛下と会見(ここで軍国主義の話をした)するとともに、11月26午後に小渕首相と東京・元赤坂の迎賓館で首脳会談を行い、歴史認識など過去の日中関係を総括するとともに21世紀へ向けた未来志向の友好協力関係を目指す「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言」を発表した。

 焦点の歴史認識では日中間の外交文書の中で初めて日中戦争を日本による「侵略」と認めた上で、日本側の「深い反省」を明記したが、中国側が強く求めていた「おわび」については首相が口頭で主席に表明したにとどまった。

 台湾問題では「台湾は中国の一部とする中国政府の主張を理解し尊重する」とした日中共同声明(1972年)の立場をあらためて確認したものだ。

 江沢民氏の来日直前に金大中・韓国大統領が来日し、そこの文書の中で日本が「おわび」を入れたので、江沢民国家主席は「韓国には謝っても中国には謝れないのか」と凄んだらしいが、口頭でのおわびに落ち着いたのだという。

 というのも、天皇皇后が1992年10月23日に訪中しており、その時の「おことば」で日中の戦争問題への区切りは付いていた、という意識が日本側にあったのと、村山富市首相の「戦後50年」談話(村山談話、1995年8月15日)でも政治的に区切りをつけた、という意識が働いたせいだ。

 あの時の江沢民国家主席の異常なまでの歴史問題への執着ぶりを思い出してしまうと、このような歴史的文書を採択していたことが嘘のように思えるが、歴史というのは面白い。江沢民氏の「反日」ぶりは歴史の荒波に洗われ、消えてしまっても、下から積み上げた日中友好のしるしは10年後にもしっかり残っているのだ。

 話を戻そう。御手洗氏の話だった。

 御手洗氏は胡錦濤国家主席が戦略的互恵関係の合意の際に四つのことを言っていた、という。①省エネ分野での連携②企業間の連携③地域の発展④アジア地域とグローバルなまでの協力、である。この四つについて御手洗氏は進捗状況や意欲を開陳。特に中国の西部大開発に日本企業が参加するから、情報を公開してほしい、と言っていたのは面白かった。リスクを取るんだろう。そうしないと生きていけない時代になっている。

 李栄融・国務院国有資産監督管理委員会主任の特別講演「中国の国有企業」も面白かった。

 データの数字がびっしりの話で、細かいところは分からないが、結局、国有企業が民間企業と同じように企業活動をしていて、この李さんがその監督をしている、というのだ。だから、ものすごく権限を持っていて、中国では偉い人なのだろう。最後に自分でつくったPR用のDVDを見せてくれた。これを見ても細かいところは分からなかったが、優良企業はほとんどが国有企業だということは分かったし、国有企業がM&Aなどで対外投資を活発化しているし、この李さんは野村やトヨタなどの経営ボードを尋ねてはアドバイスを得ており、今年の1月にも来日、大手企業を回った、という。

 次の馬建堂・中国国家統計局長による基調講演「激動の中国経済60年と当面のマクロ経済情勢」は数字の羅列だったが、その数字が余りにも凄いから感動する。

 例えば「60年間の歴史的変化」という項目でこの60年間のGDPの年間平均成長率は8.1%でGDP総額は世界3位だが、1952年は679億人民元。2008年は30兆670億人民元。

 一人当たりGDPは1952年に119人民元。1978年に381人民元。2008年に2万2698人民元と32.4倍。

 外貨準備高は1952年に1.39億㌦。2008年に1兆9460億㌦。

 農村住民の貧困状況は1978年が貧困人口2.5億人で、貧困発生率が30%。2007年末は貧困人口が1479万人で貧困発生率は1.6%。

 趙晋平・国務院発展研究センター対外経済研究部副部長と米倉弘昌・日本経団連評議員会議長とモデレーター・後藤康浩・日経新聞アジア部長のパネル討論「建国60年の成果と今後」は経済面での話。

 趙氏の話で印象的だったのが留学生が帰国して来るんだ、という話だった。

 2001年 1.2万人→02年 1.8万人→03年 2万人→04年 2.5万人→05年 3.5万人→06年 4.2万人→07年 4.4万人→08年 6.9万人だそうだ。

 外国に留学に行って自分の国に帰ってくるというのは日本人から見れば当然なのだが、中国人にすれば当然ではなかった時代が長く続いたのだろう。だから、こういう統計を胸を張って発表する。

 中国とか韓国では裕福な層の子弟が米国に留学し、大学院で学んで帰ってくる。こういうエリートが社会の上に行くと、同級生たちとの交流とかで米中、米韓関係がよくなる。日本では米国留学はガクンと減っており、英語の得意な若者も実は減っているのではないか。中国が今ようやくホッとしているのに、日本は深刻にならざるを得ないだろうね。

 面白かったのは田中明彦・東大副学長の講演「日本と世界から見た中国建国60周年」だった。「ポスト・クライシスの世界~新多極時代を動かすパワー原理」(日本経済新聞出版社、2009年3月18日初版、税込み1890円)や「新しい中世~相互依存深まる世界システム」(日経ビジネス人文庫、2003年4月1日第1刷発行、税込み840円)を読むと田中氏の基本的なスタンスは分かるが、今のリアルタイム分析はこういう形で講演を聞くのが一番だと思う。

ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理 ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理

著者:田中 明彦
販売元:日本経済新聞出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

新しい中世―相互依存深まる世界システム (日経ビジネス人文庫) 新しい中世―相互依存深まる世界システム (日経ビジネス人文庫)

著者:田中 明彦
販売元:日本経済新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 他の論点はほかの本に譲るとして、今日の話で面白かったのはアンガス・マディソン教授の推計として田中教授が紹介していた数字だった。

 マディソン教授という人が長いレンジを取って世界の中に占める各国のGDP推計をはじき出したのだ、という。たしかにこれは面白いのだ。

          中国    インド    西欧  米国   日本  他のアジア

1820年     32.9%   16%    23%   18%   3%

1950年     4.6%    4.2%    26.2%  27.3%

2030年     23.8%   10.4%   13.0%  17.3%  3.6%   15.0%

 ということで、2030年は1820年に近い。

 世界史的に見れば中国の再興は普通の状態に戻った、ということ。この変化は産業革命のもたらした生産性の向上がどのように世界に波及していくか、が示したものだ、と。産業革命以前の世界はほとんどどこでも同じような生活をしていたので、人口が多ければGDPが増える。だから、人口の多かった中国のGDPが大きかった。産業革命で蒸気機関ができるのだが、そういう技術は簡単には使えない。社会全体がそういう技術に適応できており、制度的にそういう方向になっていないと高い生産性は確保できなかった。そういうことができる社会は圧倒的に生産性が高く、その中に帝国主義があったのだが、もっと長いレンジで見ると人間なんて同じようなもの、人間の能力にそうは差はないから、いずれ技術は追いつかれる。

 産業革命は魔法の杖のようなものだったが、誰もが手にしたら魔法ではなくなる。そうなれば、平準化され、人口が多いという要素が経済活動の中で大きな意味を持ってくる。だから、中国、インドの数字が大きくなる、ということだ、というのだ。

 これって面白い数字だな。

 田中氏はこのほかにも興味深い論点をいくつかしゃべっていたが、省略する。

 李忠傑・中国共産党中央党史研究室副主任の基調講演「中国の政治・社会発展の歩みと展望」は午後2時40分から3時10分までだったが、段々と眠くなってきて、面白かったのに、内容が曖昧になっている。残念だ。最後の「資源争奪戦」という考え方は時代遅れで、技術が発展するから「winwin」でできるのだ、と言っていたことと、たくさんの漢詩が印象的だった。

 政治に関するパネル討議「中国は世界とどう向き合うか」はモデレーター・品田卓・日経新聞中国総局長で李良棟・中国共産党中央党校政法教育研究部主任と陳小川・中国青年報編集長と天児慧・早稲田大学教授がパネリスト。品田氏がウイグル問題をしつこく聞くもので、何か白けてしまうような感じ。中国共産党保守派の面々が生きているのに、ここで中国人が本当のことを言えるはずがないだろう、と思ったが、天児氏は結構突っ込んでいた。暴動論争でしらけたままだったから、後はあまり内容はなし。

 面白いシンポジウムだった、と思う。

| | コメント (0)

2009年9月 1日 (火)

中国は日本の政権交代を日中友好にプラスと見ている~北京週報日本語版09年9月1日庚欣論文など

 中国もようやく日本の総選挙について詳しい論評をネットに出し始めた。

■庚欣・日本JCC新日本研究所副所長

 まずは「北京週報日本語版」2009年9月1日の<日本の政権交代を超える中日関係>という庚欣・日本JCC新日本研究所副所長の論文である。

 人民日報日本語版のメールサービスの中に入っていた。

 読んでみる。

 <先ごろ、日本のメディアが行った世論調査で、8月の総選挙で民主党は300議席を獲得する可能性があるが、自民党はわずか150議席程度しか獲得できないかもしれないことがわかった。政権交代はほぼ確かな情勢で、すでに民主党政権の誕生が現実化してきている。しかし、人々は今後の方向性をまだ確実には掌握していないように見える。積極的な楽観論にせよ、冷ややかな悲観論にせよ、二つの現実を踏まえる必要がある。一つは日本の政党政治であり、いま一つは中日関係における基本的な位置づけである。>

 つまり、まだ投票日前の予測数字の段階だ、と。

 <中日関係はますます日本の各政党の利益や政策レベルの問題を超えて、双方の重大な「国益」をめぐる構造的な位置づけとなっている。戦略的互恵関係は今や中日関係ないし国際関係の大きな枠組みにおける必然的な定めとなりつつある。このため、中日間の国家関係は党派の利益を超えた安定性を持っており、党派間の争いが中日関係を促す良性の競争となることもある。>

 党派の争いというが、中国の場合は一党独裁だから、少なくとも建前上は一本化している。中を覗き込めば、上海グループとか太子党とかいろいろ派閥はあるようだが、共産党の危機となれば、みな団結して頑張ることろは自民党の危機の際に後ろ足で砂をかけた小沢一郎氏らと違うところだろう。中国人は複数政党の争いについてどれだけ正確なイメージを持っているのだろう?

 <中米間にもすでにこのような傾向が見られている。これは世界における中国の戦略的地位が新たな段階に押し上げられたことを示している。世界中の国々、特に各大国は、対中政策を重要な国益政策として戦略的に位置づけていくだろう。これは各国の対米関係の位置づけと少し似ている。>

 この無邪気さがいいよね。中国の地位が高まり、各国とも無視できなくなり、米国並みの扱いをうけるだろう、という話だから。そこまでいくと、誇大妄想のようにも見えるが、案外、本気で信じていたりするから。

 <同時に、これは中日関係が日ましに成熟へと向かう新たな段階に入ったことを示している。上述のような多国間関係のたゆまぬ安定化を背景に、中日間の民間の感情にはなおいくらかの矛盾が存在してはいるものの、国家関係の位置づけについては、双方にはすでに成熟した判断が醸成されている。これによって、中日の政治関係は特殊な「免疫力」を具えるようになった。>

 民間が良くて、政府間が悪いという小泉政権当時のパターンがようやく終わったのか。感慨深いだろうなぁ、中国の外交官たちも。今までの冬の時代を今こそ回顧できるのではないか。

 <十数年来、中日関係はずっと揺れ動いており、小泉政権の時期には、さらに深い谷底に落ちた。しかし、今日に至って、中日関係は疫病発生後の免疫期間に突入したようなもので、靖国神社問題、領土問題及び「中国脅威論」などは依然として存在してはいるが、いずれも中日の政治関係の正常な発展を妨げることはできない。>

 自信満々だね。

 <現在、中日の間には多重的なバリュー・チェーン(価値連鎖)が築かれている。一つは政府のハイレベルな政治に対する共通認識やさまざまな経済貿易協力及び地域の平和と発展などを含む最高度の国益というチェーンである。二つ目は政党間の交流や独自ルート、人脈などを含む各政党に特有の対中政策である。三つ目は、地方、個人、企業などの各種の協力関係を含む民間のチェーンである。この三つのバリューチェーンがない交ぜになって築き上げた強大で安定した基盤があるため、政権交代によって中日関係に大きな変化が生じることはないだろう。>

 ①政府②政党③民間――の三つか。

 <今後、中日関係に積極的又は消極的な重大な変動が生じるとしたら、それは日本の政権交代によるものではなく、現実の国際関係や中日の国家関係の枠組みそのものに生じた変化に起因するものであろう。>

 <このような変化は艱苦に耐える着実な努力に由来するもので、政局が揺れ動くような劇的なものではない。この点をはっきりと認識すれば、頭脳を冷静に保ち、何らかの変化が生じたことで実状に合わない推量を行うようなことにはならないだろう。(この一文は日本の総選挙実施前に書かれたもの)>

 選挙前に書いたにしてはきっちりと分析しているものだなぁ。日本を悪し様に言ったり不当にけなしたりしないが、逆も真なりだ、ということだろう。

 次は人民日報記者の評価だ。

■人民日報記者が論評する日本総選挙

 「人民網日本語版」2009年9月1日としてタイトルのまま出ていた。

 <第45回衆議院選挙の結果が31日に発表された。民主党が308議席を獲得する一方、自民党はわずか119議席となった。民主党の勝利は、日本の社会と民衆、そして中日関係にどのような影響をもたらすのだろうか。民主党は今後、どのような試練に直面するのだろうか。これらについて人民日報の于青・駐日記者に話を聞いた。>

 という前文だ。◇の小見出しは原文のままだ。

◇自民党惨敗の原因

 <自民党の惨敗は特定の出来事や時期が原因なのではなく、長年の積み重ねの結果だ。近くは、前回2005年の衆院選で、指揮を執った小泉首相は構造改革を打ち出したが、その後の4年を見ると、庶民に利益はもたらされず、反対に地域間や個人間の貧富の格差が拡大するなど、マイナスの影響がもたらされた。医療保険制度改革も国民に不満を引き起こした。これらも国民の生活に直接関わる問題だ。こうした問題は、庶民に一層不満を引き起こしやすい。>

 これは本当のことだ。小泉改革は庶民を苦しめた。中国人にいわれると、「小泉の奴め、ザマ見ろ」と言われているようで、少し複雑な気持ちになるが、基本的に間違えたことは言ってない。

 <過去、庶民に不満を引き起こしたのは政治腐敗だった。例えば80年代、90年代に、自民党は株や政治資金をめぐるさまざまなスキャンダルが頻発したが、腐敗した政治は結局、金銭を懐に収めてしまうのだった。>

 政治とカネの問題。

 <現在のような政治的無能は、庶民はより直に感じている。生活に直接的な影響があるため、こうした不満は一層激しく積み重なり、それが集中的に爆発したのが今回の選挙だった。不満を爆発させたのは、過去の自民党の支持者だけでなく、無党派層もだ。多くの票が民主党へ向かい、自民党の惨敗を招いたのだ。>

 お灸をすえただけでなく、政権の座から引き摺り下ろしたのだ、と。

◇各政党と市民の感情

 <選挙結果はすでに現実の数字として現れた。まず、敗者の自民党総裁である麻生首相は、「われわれは選挙結果を真摯に受け止める」と表明。自らも自民党総裁として、敗北の結果を受け入れ、かつその責任を取らなければならないとし、31日晩の会見では総裁辞任の考えを正式表明した。>

 <多くを失ったもう1つの政党、自民党と連立政権を組む公明党は、太田昭宏党首、冬柴鉄三幹事長が共に落選した。単に議席が大幅に減っただけでなく、党のトップと二番手が落選したことは、一層の痛手だ。こちらも国民の選択、判断であり、受け入れるしかないとしている。>

 <市民は期待と不安の二つの感情を抱えている。民主党政権が過去の自民党の悪い政策を改め、国民生活へのマイナスの影響を解消することへの期待がある一方、民主党は成熟した政党ではなく、政策面でも未熟な面があるため、政権党としての責任を担うことができるのかについて、有権者と市民はかなり不安を抱いている。「期待と不安が半々」というのが、有権者の考えを最もよく示す表現だ。>

 期待と不安が半々、か。うまい言葉を使うものだ。

◇日本社会・民衆への影響

 <この問題は内政について、主に日本の社会と民衆に対してだ。日本社会について少し昔から話すと、自民党政権の下で、戦後の経済復興を成し遂げ、さらに世界第2位の経済大国になり、庶民の生活が改善し、平均所得も大幅に引き上げられた。これらはみな、自民党政権中にもたらされた成果だ。>

 高度成長は池田勇人、沖縄返還は佐藤栄作、日本列島改造は田中角栄、とかね。

 <一方、1980年代、90年代以降になると、国際情勢や経済に変化が生じたが、自民党は時代に合わせて政策を改めることができず、日本社会・民衆にマイナスの影響をもたらした。したがって、民主党にできるのは、これらマイナスの影響に的を絞って、自らの政策を実施することだ。>

 1985年のプラザ合意。国際金融問題が大きくクローズアップされたね。90年代は89年のベルリンの壁崩壊、91年のソ連崩壊で冷戦終結という世界史的な出来事があったのに、東アジアでは北朝鮮が1993、94年の核疑惑から逆走を始め、いまだに気が狂ったかのような瀬戸際外交を続けている。中東、アラブで戦争は何度かあったが、それよりも日本を揺さぶったのはバブル崩壊と金融危機。北海道拓殖銀行、山一証券、日本長期信用銀行、三洋証券がつぶれだ。小渕首相らは赤字国債を大量に出して経済の底上げを図ったが、あまり効き目はなく、赤字国債だけが溜まっていった。

 <例えば、GDPを高めるにはダム・道路建設などインフラ投資を増加させるというのが自民党の政策。一方、政策を物に集中するのではなく、資金をもっと人々に回し、庶民に確かな利益をもたらして、消費能力を持たせ、外需依存・政府投資依存型の成長モデルを庶民の内需拡大モデルに転換するというのが民主党の政策だ。おそらくこれが民主党の内政面の目標で、日本社会に変化をもたらす可能性もある。実現できるか否かはまた別の問題だ。>

 なるほどね、そう見てるんだ。随分と高い評価なのだが、ちょっと理想化しすぎているんじゃないか?

自民党は政権を奪還できるか

 <この問題は二つの点に分けて話す必要がある。一方では、自民党には政権を奪還する能力がある。大量の議席を失ったとはいえ、選挙後もなお第2の政党だ。人材もあり、長年鍛えられてきたベテラン議員も多い。経験ある政党だ。この点からすると、自民党には政権を奪還する能力がある。>

 <それでも自民党の政権奪還に疑問符をつける必要があるのだろうか。実は自民党は民主党その他の政党とは異なり、地方組織が弱く、当選議員の多さに頼って党のイメージ、党の力を維持してきた。それが今ではわずか119人と、議席を大幅に減らした。多くの議員、派閥幹部が落選した。これまでは与党で多くの人が自民党を買ったため、強大な勢力があった。それが今や与党ではなくなり、既得権益者はもはや自民党を買わない。こうなると自民党の勢力は削がれることになる。では、どの程度削がれるのだろうか。政権奪還が不可能なほどにまで削がれるか否かもわからない。政権奪還の可能性もあれば、リスクもあるのだ。>

◇鳩山由紀夫が直面する試練

 <鳩山由紀夫氏は政治家の家に生れた。祖父は自民党初の首相で、父も自民党議員として重要なポストについた。自身は学者出身で、米国に留学し、東京の大学で教鞭に立った後、政治の道に進んだ。最初に入ったのが自民党だ。その後80年代に自民党に腐敗がはびこり、醜聞が増えたため、90年代に離党し、他の人々と共に民主党を結党した。つまり鳩山氏は、政治的資質も個人的資質も良いのだ。外国生活の経験も、学者としての経験もある上、一流大学を卒業しているので、個人的資質はやはり良いのである。鳩山氏が現在直面する試練は、閣僚としての経験がないこと、特に首相になるのが初めてであることだ。内閣官房副長官は務めたようだが、長い期間ではなかった。間もなく首相になる心構えや、与党トップとしての準備が必要だ。>

 <鳩山氏が直面する最大の試練は、党内各方面の利益をどう調整するかだ。民主党はさまざまな勢力の集合体で、タカ派もいればハト派もいるし、左派もいれば右派もいる。主張やイデオロギーには特にまとまりがない。この中でどう調整を図り、合意を形成するかは、注目に値する問題だ。もう1つの問題は、いかにして小沢一郎前代表の長所を活かし、短所を抑えるかだ。>

 <現在、鳩山氏と小沢氏は共に試練に直面している。政治資金の問題を追及されているのだ。今後の特別国会や臨時国会で、自民党はこの問題を逃さず攻撃するに違いない。自民党は1993年に下野した際も、この手を使った。当時の首相にも政治資金の問題があり、自民党はこれを猛攻。最後は簡単に攻め落とし、政権を崩壊させたのだ。自民党はこの再演を望んでいる。この試練に耐えられるか否かも、鳩山氏が間もなく直面する問題だ。>

◇中日関係への影響

 <一言で形容するなら「大きな変化はなく、大きなマイナスの影響もない」だろう。急務は外交ではなく内政。外交でも、まずは中日関係ではなく日米関係だ。優先順位、重要性、軽重・緩急から言って、民主党は鳩山氏が中日関係を変えたがっても、時間も余力もなく、軽重・緩急からも問題とならないので、まず安定を保ち、安定の中で発展を図ることになるだろう。これは鳩山氏のニーズだ。民主党はまず国内問題を処理しなければならない。来年には参議院選もある。それまでの一年足らずで内政に問題が生じた場合、他の全てが論外となり、次回の選挙で敗北し、政権が不安定になってしまう。従って中日関係は民主党政権の下では、安定の中発展することになるだろう。(編集NA)>

 よく見ているねぇ、本来はもっと期待するのかと思ったら、優先順位を考え、なおかつ来年の参院選のことまで考えて、中国にまで手は回らないと見切っている。鋭いと思う。

■専門家の意見

 「中国国際放送局 日本語部」2009年8月31日に<中日関係専門家「民主党政権は中日関係に有利」>というタイトルで出ていた。

 <日本の衆院選挙の結果が31日未明に発表され、最大野党である民主党が圧勝した。日本の政権交代は中日関係にいかなる影響を与えるのか、中国現代国際関係研究院・日本研究所の楊伯江研究員に伺った。>

 <楊研究員は、民主党政権はより積極的な対中政策をとり、中日関係はさらに発展すると見ている。楊研究員は「野党だった間、民主党は中日関係を発展させるために数々の努力を払ってきた。元党首の小沢一郎氏が提唱した『長城計画』は中日両国の交流において、特に2001年から2005年、両国政府の関係が靖国参拝問題で冷え込んでいた際に、大きな役割を果たした。また、ここ数年間を見ても、民主党の幹部は中国との関係に対して積極的な姿勢を示している。以上のような点から、中日関係が今後さらに発展すると見ている」と述べた。>

 そうだったのか。小沢氏の「長城計画」って何を求めているのか分からなかったが、小泉純一郎がすべてを無茶苦茶にした中で、修復の手段だったのか。

 <歴史認識問題について、楊研究員は民主党が自民党より進歩的な姿勢を示すと分析している。また、外交面でも、中国がより重視されると見ている。楊研究員は次のように述べた。「今後の中日関係を慎重ながらも楽観視している。歴史認識について、民主党は戦前の政党との関わりが少ないため、より進歩的な姿勢を示すはずだ。また、民主党は全体的な外交戦略を考慮し、より対等な立場を米国に要求するとともに、アジアとの関係を深めていくと考えられる」。>

 <しかし、中日両国の間で領土や人権など、未解決の問題も依然としてあると楊研究員は指摘する。また、自民党が野党に回ることで、右翼勢力の中国に対する批判が一層増えることも考えられる。これについて、楊研究員は、「中日関係の安定した発展を保つことが、民主党の大きな課題になる。中日関係を改善するには、両国が正しい原則に沿って、相互交流を深めることが重要だ」との見解を示した。>

 以上だ。まあ、目新しい、という内容ではないようだが。中国の駐日特派員たちもどうしてどうして、韓国の特派員たちに負けずによく取材しているものだ。

| | コメント (0)

朝鮮日報による民主党の日韓・日米外交の研究:案外進んでいるんじゃない?~09年9月1日

■親韓派議員だってさ

 面白いもんだ。こういう時に人脈が分かる。朝鮮日報09年9月1日朝刊の記事だろう、ネットの日本語版に出ていた<衆院選09/九死に一生を得た自民党の知韓派たち>という記事を見て、そう思った。
 だれが知韓派か、というような議論は日本ではあまり知られていないからだ。こういう時にようやく分かるし、そうでないと水面下での動きにとどまって、一般には知られないままになってしまう。
 権景福(クォン・ギョンボク)記者の署名記事だ。読んでみよう。
 <民主党の「風」が強烈に吹き荒れ、自民党の大物政治家たちが秋風に舞う落ち葉のように落選した日本の衆議院議員総選挙。自民党内で韓国と厚い信頼関係を築き「知韓派」と呼ばれた議員の場合、今回の総選挙では辛うじて生き残ったケースがほとんどだ。>
 という前文は別に読まなくてもいい。具体的な名前が知りたいだけだ。
 <森喜朗元首相(72)がその代表例だ。2001年から「日韓議員連盟」の会長を務めてきた森元首相は、当選13回という経歴を持つ大物だ。自民党の「顔」のような存在として、1カ月前までは楽勝するだろうと予想されていた。しかし民主党は、元議員秘書で政治の世界では新人の田中美絵子氏(33)を「刺客」として投入した。二人は接戦を繰り広げ、最後は森元首相が地元・石川2区で辛うじて当選した。>
 森喜朗ですか。なるほど、汚らしい男を繋ぎ役にしているんだね。
 <加藤紘一元幹事長(70)も同様だった。故郷の山形で社民党候補の追撃をかわし、どうにか13回目の当選を果たした。普段から「日韓関係の改善に、日本の政治家も力を尽くさなければならない」という見解を持っている加藤元幹事長は、李明博大統領とも親交がある代表的な知韓派だ。>
 加藤紘一氏はいいでしょう。もっと大切にしてあげてほしいよ。
 <「日本が(太平洋戦争のときに)過ちを犯したことは反省する。しかし日韓両国は、今や未来を語るべき」という所信のため、自民党内では韓日関係において「少壮派」に分類される大村秀章議員(49)や、韓日文化交流で主導的な役割を果たしてきた消費者行政担当大臣の野田聖子氏(49)は文字通り「一度死んだ身」となった。大村議員は愛知13区で落選したが比例代表で復活した。野田大臣も民主党の新人・柴橋正直氏(30)に追われ地元の岐阜1区では落選したものの、やはり比例代表のおかげで生き延びた。>
 大村秀章、野田聖子両氏は日韓という枠組みで初めて名前を聞いた。「へえー、そうだったのか」の驚きがある。野田氏は可愛らしい日本女性ということで、韓国の男性国会議員たちにファンが多いだけじゃないのか?
 <しかし、知韓派の代表だった山崎拓元副総裁や中山太郎元外務大臣はついに落選の苦杯を避けられなかった。>
 山崎拓、中山太郎ってどこでも顔を出すのか? 山崎など北朝鮮の手先じゃないかと疑っていたのだが……。
 そうかっ、分かった。親韓派といっても山崎氏らは韓国の北朝鮮との統一志向の強い左派と仲がいいんじゃないか? そうすれば人脈はつながるけど?

■民主党の知韓派だってさ

 権景福記者の<衆院選09/層の厚い知韓派を有する民主党>は<鳩山代表の家族は韓流ファン>のサブ見出しがついている。
 <日本で行われた衆議院議員総選挙で民主党が圧勝したことに対し、韓国政府の当局者は全く当惑しなかった。韓国をよく知り、友情あふれる関係を形成してきた知韓派は、同党内にも大勢いるからだ。>
 という前文はもういいだろう。
 <まずは、民主党を率いる鳩山由紀夫代表と小沢一郎代表代行、両氏が知韓派として知られる。鳩山代表は家族が韓流ファンで、韓国との外交を特に重視しており、今年5月に党代表に就任した後、海外初の訪問先にソウルを選んだ。民主党内で事実上「最高実力者」の座にある小沢代表代行は盧泰愚政権時代から韓国政府・国会の関係者との交流を続けてきた。韓国政府のある高官は31日「二人はいずれも“対立や衝突が少なくなかった自民党政権とは違い、民主党政権下の韓日関係は協力に向かうべき”という共通認識を持っている」と語った。ただし二人は国際社会における平和維持の努力に積極的に参加する「普通の国・日本」を志向しており自衛隊の海外派兵などが韓日関係上の問題として浮上する可能性があるとみられる。>
 鳩山と小沢か。韓国も事大主義だから、偉くなっている人物しか相手にしないってことか。本当は仙谷氏らもいるのにね。
 <過去に民主党代表を務めた岡田克也幹事長も鄭ドンヨン議員をはじめ韓国の民主党関係者らと親しい。また民主党内には「戦略的な日韓関係を築く議員の会」が結成されている。15人からなるこの集まりの会長を務めるのは同党の前原誠司元代表で、鳩山代表や小沢代表代行と共通した韓国観を持っている。同会の幹事長を務める長島昭久議員はハンナラ党の幹部と親しいという。>
 おいおい、民主党のトップばかりじゃないか。ここまでいくと微笑ましくなるが、本当の味方が誰か、も知っておいたほうがいいと思うが。
 <一方、民主党日韓議員交流委員会に所属する仙谷由人議員、脱北者や北朝鮮住民の人権問題で韓国政府や国会関係者らと交流がある中川正春議員も同党内の知韓派に挙げられる。>
 刺身のつまだね、この扱いは。でも、この二人が本当の親韓派だと思う。韓国の苦しいときにいろいろとアドバイスし、考えてくれるのは仙谷氏だよ。

■民主党の外交ブレーンだって

 辛貞録・東京特派員の<衆院選09/民主党の外交ブレーンとは>は韓国の記者から見た民主党の外交ブレーン、ということで、ワンクッション、ツークッションあって面白い。読んでみよう。
 <政権を担う民主党の外交・安全保障分野のブレーンのうち最も注目を浴びているのが日本総合研究所会長兼三井物産戦略研究所会長の寺島実郎氏だ。防衛大臣候補として挙げられている寺島会長は、鳩山由紀夫代表や小沢一郎代表代行の最高アドバイザーだ。>
 やっぱり寺島実郎氏か。
 <寺島氏は日本の外交について米国一辺倒から抜け出し米国と中国の間で適切な距離を維持する方向に進まなければならないとし「対等な日米関係への転換」を主張する。同氏は「戦後60年が過ぎても外国(米国)の軍隊が駐屯しているのは常識ではない」とまで話す。>
 鳩山文書を書いたのは寺島氏? 同じことを言っているよね?
 <小泉純一郎政権当時の2002年、外務省審議官として「日朝平壌宣言」の舞台裏の主役だった日本国際交流センターの田中均専任研究員も民主党の主要外交ブレーンだ。2005年に外務省を離れた後、民主党の対北政策について引き続きアドバイスをしてきたという。>
 知らなかったね。そういうことだったのか。
 <議員の中では岡田克也幹事長と前原誠司元代表に注目する必要がある。今年の各種世論調査で次期首相候補1位、2位を守ってきた岡田幹事長は通商産業省の官僚出身ではあるが、これまで党の対外政策全般を主管してきた。外務大臣に起用される可能性が高い。岡田氏は韓国・中国重視路線だ。前原議員は43歳だった2005年に党代表を務めた経験があり、党内の若手グループのリーダーだ。「集団的自衛権(日本の同盟国や隣接した外国が武力攻撃を受けた場合、実力行使を通じてこれを阻止することができる権利)」を認める方向で憲法解釈を変えるべきと主張するなど中道右派の性向だが、韓国との関係を非常に重視している。>
 評価が高いね。このへんは誰でも書ける話。もう少し突っ込んで書いてほしかったが、無理なのか?

■北朝鮮と直接対話のチャンネルを開く可能性

 朝鮮日報9月1日には辛貞録東京特派員の<衆院選09:日本版「冷戦解体」へ/北東アジア覇権構図に変化の嵐>という記事も出ていた。北朝鮮政策が大きく変わる可能性がある、という話だ。
 読んでみよう。

 <54年間続いた自民党の一党優位体制の没落は、日本の対外政策にも少なからぬ変化をもたらすことになりそうだ。新しい政権党になる民主党は、自民党政権では考えられなかった言葉をすでに発している。その中核は、米国一辺倒だった対外政策の根幹をアジア重視に変えるというものだ。まさに日本版「冷戦解体」といえる。>

◇北朝鮮と直接対話のチャンネルを開く可能性

 <民主党は「北朝鮮の核廃棄前に対北支援はない」という立場を明確にしている。しかし、直接対話に乗り出す可能性も排除できない。民主党元代表の前原誠司議員は、最近行われたインタビューで「今は北朝鮮と対話のチャンネルが断絶しているようだ。われわれが政権を取れば直接パイプラインを構築する考えだ」と述べた。>

 <一方、鳩山由紀夫代表は東アジア地域で米国と中国が覇権を争う可能性があると見ている。そのため東アジア主権国家による「集団安全保障体制」の構築を図る方針だ。民主党は歴史問題など葛藤を引き起こす可能性があることはなるべく避けたいという立場だ。靖国神社の代わりとなる国立追悼施設の建設を公約したのもこうした考えからだ。>

◇「米国債をIMF債権に」

 <民主党は新たに定立する対米関係を「対等」もしくは「緊密ながらも対等」な関係として規定する。次期首相を務め内閣を率いる鳩山由紀夫代表と、幹事長を務め党を率いる小沢一郎代表代行の「ツートップ」は、米国を刺激する発言をたびたび行っている。米国は東アジア地域で過去と同じ役割を果たしてはならないというわけだ。鳩山代表は27日、米紙ニューヨーク・タイムズに掲載された寄稿文で、「今回の世界的な経済危機は、冷戦終えん以降、米国が推進してきた市場原理主義・金融資本主義の破たんが招いたもの」と批判した。安保戦略の分野でも日米同盟を根幹とするが、米国が行き過ぎた影響力を行使してはならないとしている。>

 <小沢代表代行も米国との「対等な外交」が持論だ。小沢氏は今年2月に「(在日米軍のうち)第7艦隊を除いては必要ない。その空白については日本が責任を負うのが好ましい」と述べた。およそ5万人の在日米軍のうち、7000-8000人ほどの第7艦隊以外は「出て行け」と言っているのも同然だ。>

 <民主党政権の「言うことは言う」対米態度は経済分野でもすでにみられる。民主党の財務通である中川正春議員は今年7月13日、ブルームバーグ通信とのインタビューで「民主党はドル中心の外貨政策に反対する。1兆㌦(約92兆9400億円)に達する日本の外貨準備の投資先を米国債から国際通貨基金(IMF)債権に徐々に変えていくべきだ」と述べた。>

 <こうした発言が現実になれば日米間にかなりの葛藤が生じるほかない。これまで日米同盟に安全保障を任せ経済も米国の利害関係に合わせて成長してきた日本としては、全面的な路線転換となる。>

 できっこないじゃないか。

 <民主党政権はまた「国連中心主義」路線に基づいて、国連の承認なしに米国が引き起こした一方的なイラク戦争は支援しないとの立場だ。日本がイラク戦争に投入されている多国籍軍の艦艇に対しインド洋上での給油活動を中断するのもこうした延長線上にある。もちろん鳩山代表は31日の記者会見で「(27日付の)ニューヨーク・タイムズへの寄稿文は反米感情ではない」と述べた。しかし民主党の「腹心」が自民党のときとは大幅に違うことは明らかだ。>

 「腹心」って、一の子分っていう意味じゃなくて、「本当の気持ち」っていう意味なんだろうと思う。

 これはタイトルだけは勇ましかったけれども、民主党の外交政策についての論考だね。

■またまたブレーンのインタビュー

 ソンウ・ジョン東京特派員によるインタビュー。<衆院選09/「進歩勢力の発言力拡大、日米同盟揺らぐ」/民主党外交ブレーン、川上高司教授に聞く>である。

 <川上高司・拓殖大教授(安全保障論)は「民主党政権発足後、日米同盟が懸念されるほど揺らぐ可能性がある」と指摘した。川上教授は日米同盟に詳しく、民主党の外交ブレーンの一人だ。>

 という前文がある。どんな学者なんだろう?知らない人だけど。

 ―― 民主党の外交ラインの力学関係は。
 <「今回の選挙で民主党内は左から右まで、そして現実論者もリベラリストも皆勝った。このため、リベラル会や旧社会党系の声が強まれば、日米同盟が大きく揺らぐ可能性がある。リベラル勢力が入閣すれば、当初から日米地位協定を見直すとか、(米海兵隊の)グアム移転協定を破棄するとかいう論議が始まるのではないか。その瞬間、日米同盟は原点に戻るか崩壊する」>
 ―― 具体的にどういう問題が障害となるのか。
 <「ジョセフ・ナイ氏(ハーバード大ケネディスクール前学長、国際政治学者)が『日本がしてはならないこと』を挙げたことがある。沖縄問題、日米地位協定、インド洋給油問題など(に触れること)だ。民主党はすべてに触れた」>
 ―― リベラル勢力が主導する可能性はあるか。すると、日本はどんな道を歩むのか。
 <「意外に半々ではないかと思う。(リベラル主導となれば)当然中国に接近するはずだ。しかし、現在の日本が中国にとって魅力的な国なのか。経済的にも弱く、平和憲法9条のために軍事力も大したことがない国に何の価値があろうか。中国と同盟を結ばなければ、必然的に日本は軍事大国の道を歩むはずだ。北朝鮮の核といった脅威に対応するしかないからだ」>
 ―― (現実論者の)小沢一郎代表代行の力が強まったが。
 <「それでもまず左派、リベラルが登場するとみている。万一、鳩山政権が倒れれば次には岡田克也政権が生まれるはずだ。そうした中で小沢代行が政策に強い影響力を発揮し、現実路線を歩むとみられる」>
 ―― リベラル勢力が登場した際、望ましいシナリオは。
 <「『ミドルパワー』へと向かうことだ。日米同盟を維持こそするが、現在(自民党政権)とは異なり、『強化』から『弱体化』へとシフトし、外交・経済的に中国、韓国に接近する道だ。この可能性が最も大きい」>
 ―― ほかのシナリオは。
 <「小沢氏が初めから力を発揮するシナリオだ。来年初めに国防政策、核政策などで米オバマ政権の確実な政策が示されるはずだ。それを見て、民主党も政策を再検討すればよい。政権交代が現実となり、民主党の立場も来年初めまでに政策を見直す方向に、現実論の方向へとシフトしそうだ」>
 ―― 民主党内の米国通は。
 <「長島昭久、前原誠司の両氏。日米同盟支持を明確にしている人物だ。しかし、オバマ政権と太いパイプを持っている議員はまだいない」>
 ―― 民主党の公約のうち、外交政策を評価するとどうか。
 <「大平、福田政権時代のような全方位外交、包括外交、等距離外交に向かいそうだ。アジア中心、中韓中心-。ノスタルジーが感じられるほどだ」>
 ―― 民主党の対北朝鮮政策は。
 <「北朝鮮にラブコールを送るだろう。米国、韓国、中国との協議なく、単独で乗り出すのではないかと心配だ。全体を見ずに政治的利害によって接近する未成熟な議員がいる」>

 学者が心配するほど議員の質が悪いのか?

| | コメント (2)

2009年8月31日 (月)

日本の総選挙で朝鮮日報は頑張っていた:飯尾潤氏インタビュー+アジア外交展望+鳩山氏とは?+社説など~09年8月31日朝鮮日報

■産経新聞8月31日HP記事
 産経新聞は31日昼前にはソウル支局の水沼啓子特派員のまとめ記事で、<「日本の民心が大地震起こした」/韓国各紙、1面トップで報道>と大きく報道した。関西では夕刊を出しているから、そのまま使い、東日本では9月1日の紙面に反映するのだろう。読んでみよう。
 <韓国各紙は31日、投開票が30日に行われた日本の衆院選での民主党圧勝を1面トップで大きく報道した。>
 という前文だ。
 まずは東亜日報だ。
 <東亜日報は「日本の民心が大地震を起こし政治を覆した」との見出しで、当選者にバラをつけてほほえむ民主党の鳩山由紀夫代表の写真を大きく掲げた。特集面では「新しい日本、どこへ行くのか」と題した連載も始めた。1回目は日韓関係を分析し韓国が領有権を主張している日本の竹島(韓国名・独島)などに触れながら「過去の問題が一挙に解決し、日韓関係が短期間に大幅によくなるだろうという期待はとても性急だ」と過度の期待をしないよう呼びかけている。>
 次は朝鮮日報。
 <朝鮮日報は「日本、62年ぶりに選挙革命」として衆院選の結果を掲載。特集面では「怒った民心、政官癒着、政治世襲に“死亡宣告”」との見出しで、自民党敗退の原因を分析している。その中で「民主党指導部の大部分は自民党出身だ。自民党に失望した有権者らが投票したとの分析もある。保守から進歩ではなく、保守からほかの保守に移っただけということだ。代案で選択した民主党が誤れば背を向けられることになる」と指摘している。>
 お次は中央日報。
 <中央日報も鳩山代表の写真を掲載し「日本で選挙革命…54年ぶりの政権交代」と報道。特集面では鳩山代表の母親の安子さんについて「夫は3流政治家…息子は首相にする」との見出しで日本政界の「ゴッド・マザー」と紹介している。>

 ついでだから、朝鮮日報の記事をコピペしておこう。

■朝鮮日報<日本国民が自民党に背を向けたワケ>

 まずは<衆院選/日本国民が自民党に背を向けたワケ>だ。東京支局の辛貞録(シン・ジョンロク)特派員の記事だ。見出しは<経済の低迷と共に支持者も離れる/自民党候補者の35%が世襲>だ。

 読んでみる。

 <日本の世論調査機関や各メディアは、30日に投開票が行われる衆議院議員総選挙で、最大野党・民主党が自力で「驚くほどの圧勝」を遂げる見通しだ、という予測を発表した。一方、1955年以来第1党の座を守ってきた自民党は、選挙後の存続も危ぶまれるほどの惨敗を喫することが予想されている。これはまさに「革命」といってもおかしくない状況だ。>

 という前文で、小項目ごとの小見出しをつけていた。小見出しはそのまま利用する。

◇「崩壊同然の政権が点滴で延命」

 <4年前、2005年の総選挙で自民党は、歴史的な大勝利を収めた。480議席のうち296議席を獲得し、連立を組む公明党の議席を合わせると、衆議院の全議席の3分の2を超える圧勝を成し遂げた。当時の小泉純一郎首相は「郵政民営化」の是非を争点に掲げ、これに反発して離党した議員たちの選挙区に「刺客候補」を送り込み、連日新作映画を見せられているかのような状況を作り出し成功を収めた。だがこれを、日本メディアは「点滴」と表現した1990年代以降の日本政界の流れを見ると、自民党は政権担当能力を失っており、負けてもおかしくない選挙で国民を引きつける争点を掲げ、これを特効薬として延命を図ってきたというわけだ。>

 日本のメディアの見方をうまく一言で紹介している。

 <自民党は中曽根政権下の1986年、300議席を獲得したのをピークに、下り坂を転げ落ち続けてきた。90年には議席を27593年には223まで減らした。このとき、第1党の座は守ったものの、初めて野党による連立政権の誕生を許し、10カ月間の野党暮らしを余儀なくされた。>

 1993年の総選挙は自民党は頑張ったんだよね。だから第1党だったし。ところが、小賢しい小沢一郎氏が「このまま自民党中心の政権を作られては自分が政治的に殺される」という自己保身本能だけで動き回り、野合の政権を作った。あのあたりから、もう日本の政界は「何でもあり」になっていった。そんな求心力のなさを見た野心的な政治学者たちが小沢氏とくっついてできたのが小選挙区比例代表並立制だった。

 その6回目の選挙でとうとう野心的学者の狙いが実現してしまった、ということだろう。

 <その後も2005年の総選挙で大勝利を収めるまで、衆議院の全議席の過半数に達したことはなかった。また、参議院(242議席)でも、1986年に143議席を獲得した後、過半数に達したことはない。この時期は、不動産や株式などの資産バブルが崩壊したことによる、いわゆる「失われた10年」と一致する。高度成長期に自民党政権を支えた人たちは、その後急速に同党に背を向けるようになり、91年に546万人だった党員の数は、07年には110万人にまで減った経済の低迷によってパイが小さくなったため、自民党の支配構造も根元から崩れているというわけだ。>

 なるほど、世界的な動きの中での日本政治を見詰めようとしている。この辺の大局的な分析は優れていると思う。若き日のジェラルド・カーチスを髣髴させる。韓国人から見た日本政治、というか、外国人から見た日本政治なのだね。

◇派閥争い、世襲などの問題が一気に噴出

 <それでも自民党は、派閥政治から脱却できなかった。06年以降、1年ごとに首相が交代した。責任を取ることもなく、国民に信を問うこともなかった。議員たちの世襲問題もまた深刻化している。今回の総選挙に政党の公認で出馬している候補者のうち、家族が一つの選挙区を独占している「世襲候補者」の比率は、自民党が35%、民主党が12%となっている。こうした問題点が一気に噴き出したことで、今回政権交代という大きな流れに直結しているというわけだ。>

◇アイデンティティーも否定

 <昨年の米国発の金融危機も、自民党にとっては決定的に不利な材料となった。>

 そうなのか? 麻生首相の経済対策は良かったのでは? と思ったが、次の文章を読んで納得した。もっと大きなトレンドを言っているのだった。

 <2000年代に入り、日本経済は再生したかのように見えたが、金融危機によって失業者が続出し、内需の極度な低迷を招いた。先月の失業率(5.7%)は過去最高記録を更新し、同月の消費者物価指数の下落率(前年同月比マイナス2.2%)も過去最大となった。このため、「失われた10年」のような状況に再び陥るのではないか、という声も上がっている。>

 不景気の時には与党が強かった。今までは、だ。それは財政出動をして、補正予算をつけ、箇所づけで地元に利益誘導できたからだったのだ。それが今回の不況ではっきりした。不況なのに与党が負けるんだから。

 <05年の総選挙で自民党に大勝利をもたらした「小泉改革」も、非正規雇用者(パートタイマー、派遣社員など)や失業者を増やし、貧富の格差を広げたとして、今となっては批判の的になっている。麻生太郎首相をはじめとする同党の執行部さえも小泉改革を批判し、同党のアイデンティティーを自ら否定している。>

 いい論文じゃないか。しっかりと見ている、という感じだ。もっと長い分析記事が読みたいものだ。日本の記者よりも客観的だし、大局を見ているし、よほど分かりやすい。

 次の記事も8月31日にHPにアップされていた。

■日韓関係についての見通し記事

 <衆院選09/韓日関係は好転するか/鳩山代表、靖国神社参拝には否定的>という朝鮮日報の権景福(クォン・ギョンボク)記者の記事だ。

 読んでみる。

 <30日に行われた日本の衆議院議員総選挙で野党・民主党が大勝し、政権交代が確実な情勢となった。民主党は韓日関係では、これまでの与党・自民党に比べ考え方が柔軟だ。>

 という前文で、

 <鳩山由紀夫代表は首相や閣僚による靖国神社参拝について「次期首相」として反対の立場を明確にしている。鳩山代表は「自分が首相になったとしても参拝する考えはない。閣僚たちにも自粛してほしい」と何度も発言している。鳩山代表は靖国神社に代わる新たな国立追悼施設を建設する方針も打ち出している。これまで靖国問題が韓日両国間の対立の要因となってきたことを考慮すると、民主党が政権を取ることで韓日間に横たわる障害が一つ克服できるのでは、という期待の声も聞かれる。>

 これは大きなことなのだ。韓国だけでなく、中国にとっても大きいことなのだから。

 <鳩山代表は「フランスとドイツのように、かつては戦争をしていた国が欧州連合(EU)という大きな組織の下で一つになっている。東アジアでもそれは決して不可能なことではない。それを実現するためには韓日両国が協力することが最も重要であり、その次が中国だ」などと発言している。>

 東アジア共同体構想なのか?

 <今年5月に鳩山氏が民主党の代表に就任してから最初に訪問した国が韓国であり、真っ先に会談した海外首脳も李明博大統領だった。鳩山代表は在日韓国人などを中心に行われている外国人参政権運動についても「前向きに検討すべきだ」との立場だ。>

 偶然だったのだろうか? この野党外交の日程は?

 <しかし、すべてが順調に進むとは考えられない。独島(日本名:竹島)問題は今後も激しい対立が続くものとみられる。鳩山代表は独島問題に関して明確な立場を表明したことはない。しかし、民主党内には自民党に劣らず「竹島は日本の領土」と主張する右翼性向の議員が多い。>

 ほめながら、期待しながらも、最後は「お約束」の竹島問題でクギを指す、と。まあ、こんなパターンだろうなぁ、今後の韓国メディアの論調も。

■朝鮮日報の本格的な分析記事だ

 これも朝鮮日報の記事。<衆院選09/怒る有権者、政官癒着と世襲に「死亡宣告」>という東京支局の辛貞録(シン・ジョンロク)特派員の記事だ。

 読んでみよう。

 <30日に行われた日本の衆議院議員総選挙で野党・民主党が圧勝し日本経済の目覚しい発展を率いてきた「自民党中心の戦後体制」が幕を下ろした。20年にわたり積み重なった自民党に対する不満が、民主党に対する無条件の支持として表れた。しかし、政権交代後の日本がどこに向かうのかは非常に不透明だ。>

 という前文で、

◇世襲と派閥政治に対する審判

 <朝日新聞などによると、民主党は全408議席のうち308議席を獲得した。これは自民党が過去54年間で記録した最多議席(1986年、300議席)を上回った。一方、自民党は119議席を確保したにとどまった。これは自民党の過去最低議席(93年、223議席)の半分をやや上回る水準にすぎない。自民党からの「大脱出」と民主党への「大結集」がドラマチックに表れた。>

 「毎日新聞などによると」でないのはなぜだ? 朝鮮日報の支局は毎日新聞のビルに入っているんじゃなかったのか?

 姉妹提携をしているのは朝日新聞=東亜日報、毎日新聞=朝鮮日報、読売新聞=韓国日報、日経新聞=中央日報、産経新聞=京郷新聞、東京新聞(駐日新)=ソウル新聞の組み合わせだったと思う。

 <こうした革命的な変化は、日本人が政官癒着、議員世襲、派閥政治が染み付いた自民党式の政治に審判を下したことを意味する。自民党は07年の参院選大敗で最初の警告を受けた。それにもかかわらず、旧態から脱することができなかった。05年の衆院選以降、1年ごとに派閥の談合によって首相が交代した。国民の意思を問わなかった。今回の総選挙の出馬候補のうち、世襲候補が民主党(13%)の3倍に達する35%を占めたことも、自民党の現状をはっきりと示している。>

 制度疲労だったのかね。

 <深刻な経済の停滞も自民党に対する忍耐に限界をもたらした。日本の経済成長率は1992年から2001年までのいわゆる「失われた10年」に年平均0.9%にとどまった。その前の10年間は4.6%だった。2000年代に入り、過去10年で国内総生産(ドル換算)は逆に減少し、所得格差は拡大した。7月の失業者は1年前よりも104万人増えた。>

 こういうように数字を並べられると納得してしまうね。竹中平蔵氏だってぐうの音もないだろう。

◇民主党、「第2の自民党」になる可能性も

 <日本の政治専門家は民主党の圧勝について、同党がよくやったからというよりは、自民党に対する失望感の表れであり、「政権交代」自体に意味がある選挙だと分析している。民主党単独の力によるものではないため、今回確保した議席数ほど政権基盤が堅固だとは言えないとの見方だ。>

 風、ということでしょ?

 <また、「米国との対等な関係」を掲げていること以外、民主党が自民党と大きく異なる部分は特にない。また、民主党指導部の大半は自民党出身だ。このため、逆説的には保守自民党に失望した有権者が「安心」して票を投じたという分析も有力視される。票の移動が「保守→進歩」ではなく「保守→もう一つの保守」だったわけだ。つまり、自民党に代わる選択としての民主党が過ちを犯せば、有権者がいつでも背を向けることがあり得る ことになる。>

 保守同士の好き嫌いか。というよりは民主党は、自民党にペナルティを与え、その間、フィールドに出しておく二軍の選手なのか。

 <民主党は来年7月に予定される参院選でも勝利すれば、安定的な政権基盤を確保する。この場合、自民党は分裂するか、小政党に転落し、民主党が「第2の自民党」となり、長期政権を担う可能性もある。しかし、参院選で敗北すれば、ねじれ政権に転落し、力を失うことになる。「民主党の日本」の前途はまだ不透明だ。>

 本番は来年の参院選という見方だね。うまいまとめ記事だった。民主党の目標は達成されたのではなく、まだ半分なのだ、という見方。来年の参院選こそ本番という見方は小沢一郎氏がよくしゃべっている話らしい。

■鳩山氏の家系紹介

 これも朝鮮日報の記事だ。東京支局のソンウ・ジョン特派員による<衆院選09/祖父が作った自民党を倒した孫/鳩山代表の父方の祖父は自民党創設の主役/母方の祖父はブリヂストン創業者>だ。

 <生きていれば、民主党・鳩山由紀夫代表(62)の勝利に最も嘆いた人物は祖父の鳩山一郎元首相(1959年死去)だったことだろう。一郎氏が1955年、自由党と民主党の保守2党を合併し結成した巨艦・自民党を孫が倒し、再び保守2党体制に戻したためだ。「自民党の守護神」である麻生太郎現首相が、過去に一郎氏と対立し自民党創設から疎外された同氏の政敵、吉田茂元首相の孫という点もアイロニーだ。>

 鳩山の孫と吉田の孫対決のことか。

 <次期首相が確実となった鳩山代表は、確固たる財力と柔軟な思考を武器に既成秩序を変えるドラマを演出した。鳩山代表は日本の国会でも屈指の資産家だ。2006年に申告した資産総額は16億5641万円。だがこれは自宅と預金だけを合わせた金額に過ぎない。日本のタイヤ大手ブリヂストンの創業者である母方の祖父から譲り受けた株式(数十億円台と推定)、母親名義の株式や鳩山会館(祖父の邸宅)の不動産価格は含まれていない。>

 <鳩山一族は日本の国会でも有数の名家に挙げられる。曽祖父は衆議院議長、祖父は首相、父は外務大臣を務めた。党は世襲政治打破を公約に打ち出したが、鳩山代表自身は「世襲4世」だ。受け継いだ金脈と人脈を政治資産として、堂々と異端の道を歩んできた。>

 曽祖父か。凄い話だね。

 <鳩山代表は東京大学工学部を経て、米スタンフォード大学で博士学位(経済工学)を取得、曽祖父が事実上創設した専修大学で教授を務めた。ほかの世襲議員とは違い、鳩山一族は全員が東京大学出身だ。祖父、父、弟の邦夫氏(自民党議員、前総務相)は東京大学法学部、長男の紀一郎氏(東京大学工学系研究科教授)もやはり東京大学工学部出身だ。>

 頭がいいんだね、一族は。

 <だが一方で、年子だが外見はあまり似ていない弟よりは勉強ができず、リーダーシップも弱かったという話もある。1986年の政界入り(北海道9区)も弟(76年)より10年遅れ、「家門の政治的跡継ぎは弟だ」という評価を受けてきた。>

 今からでは想像できないけど、鳩山邦夫氏のほうが有望株だった。

 <同代表の「柔軟さ」は経歴にも現れている。同代表は米国留学中に夫人の幸氏と出会い結婚した。43年生まれの幸氏は、日本を代表する女性劇団「宝塚歌劇団」の元団員で、4歳年上だった。鳩山代表と知り合った当時は既婚者だった幸氏だがその後離婚し、同代表と結婚した。>

 まあ、パーソナルヒストリーを短くまとめているね。

■鳩山幸・ファーストレディー候補について

 朝鮮日報日本語版09年8月31日は<民主党代表夫人・鳩山幸さんの素顔>という記事も掲載していた。<元女優の国際派/日本の主婦のアイドル>だってさ。イ・ヘウン記者の記事。最近、朝鮮日報も片仮名の名前が増えたので、男女が分かりにくくなった。李恵温なのか? そうすれば女性の名前っぽいのだが、それも分からない。朴正煕だって煕は白く輝くという意味で、男性も女性も使う字だそうだ。でも、この記事はやっぱり女性記者だろうね。

 <7月25日、北海道・室蘭市で開かれていた「むろらん港まつり」に、赤い法被を着たおかっぱの女性が菓子入りのかごを持って現れた。祭りの会場に集まっていた室蘭市民は彼女に「子供たちの未来を考える政治をお願いします」と話し、彼女は笑って菓子を配りながら「わたしの夫をお願いします」と話した。>

 <元宝塚女優のこの美しい女性は、まさに日本の次期首相の有力候補と目されている鳩山由紀夫・民主党代表夫人、鳩山幸さん(66)。幸夫人は夫の足が伸びていない地方の祭りに通い、「内助の功」を発揮している、と室蘭の地方紙は報じた。>

 <フランスのAFP通信は「次期ファーストレディーとして有力な幸夫人が、静かで保守的という伝統的な日本のファーストレディー像を壊し、外向的で賢いイメージによって有名人のイメージを駆逐している」と報じた。>

 <幸夫人は日本で「ライフスタイルの導師」として君臨している。幸夫人は自分自身を「ライフコーディネーター」だという。実際、鳩山代表は自身の公式ホームページで、料理からファッション、インテリアに至るまで、妻が書いたさまざまな書籍を紹介している。日本の「マーサ・スチュワート」になったわけだ。日本の主婦たちは、幸夫人が描くライフスタイルをまねようと一生懸命だ。>

 フォーストレディーという言い方が一般的になり、国際会議に夫婦で出るようになってからは三歩下がって夫に付き従う妻というイメージよりも、何か社会的貢献をしている女性というイメージが好ましいと思われるようになったらしい。略奪婚の年上妻だって、イメージは作れるのだ。

 <幸夫人の人生は、典型的な「コスモポリタン」だ。幸夫人は1943年に中国・上海で生まれ、日本の国際貿易都市・神戸で育った。10代だった1960年代に宝塚女優としてデビューし、20代半ばで引退、新たな道に挑戦しようと米国に渡った。>

 <日本のケネディ家と呼ばれた政界の名門一家の息子・鳩山由紀夫氏と出会ったのは、米国サンフランシスコでのことだった。当時鳩山氏はスタンフォード大学に留学中だった。既に1度結婚に失敗していた彼女は、1975年に鳩山氏と再婚した。>

 <大衆的な人気に政治的感覚まで備えていたが、幸夫人が夢見る未来は「ヒラリー・クリントン」ではなく「スティーブン・スピルバーグ」だ。幸夫人は「わたしは、やりたいことは全部やってみたい。今わたしがやりたいことは、ハリウッドで映画を撮ること」と語った。実際、幸夫人はステンドグラス作り、陶芸などさまざまな趣味を持ち、あふれんばかりの好奇心を満たしてきた。幸夫人は「かなわない夢はない。わたしが本当に願えば、その夢はかなう」と語った。既に自分が撮る映画の主演としてトム・クルーズに目を付け「トム・クルーズは前世で日本に暮らしていたという。わたしは前世で彼と会ったことを覚えている」と冗談も飛ばした。日本の次期ファーストレディーは「はじけた」女性になりそうだ。>

 弾けた女性って一昔前の飛んでる女性と同じような意味なのだろう。

■鳩山夫人と母のこと:韓流ファン

 イ・ヘウン記者による<鳩山氏、夫人と母親は韓流ファン>なんていう記事もあった。面白いね。

 <「妻は韓流ファンでイ・ビョンホン、ソン・スンホン、パク・ヨンハさんなどが特に好き。母親の家にも韓流スターのポスターが張ってあります」。今年6月5日、韓国を訪問した民主党の鳩山由紀夫代表は大統領府で李明博大統領と会談した際、このように語った。鳩山代表は、これまで公式の席で何度か幸夫人と母親が韓流ファンだという事実を語っている。>

 <今年7月25日の大阪遊説では「今年85歳になるわたしの母親は韓流スターに会いたいといって韓国語を一生懸命に勉強し始めた」と語った。これは、自民党の麻生太郎総裁が同日の演説で「高齢者の唯一の才能は、働くことしかない」と高齢者をおとしめるような発言を行ったことに対する発言だが、家族が韓流ファンだという印象を日本の有権者に刻みつけることになった。>

 <外交関係というものは私的な部分と異なるとはいえ、このように鳩山代表が韓国に親近感を持っているという点は、今後の韓日外交関係にとって潤滑油となるものと期待される。実際に鳩山代表は、韓日議員連盟の日本側顧問や民主党内の日韓交流委員会委員長を務めており、在日韓国人などの法的地位向上のための議員連盟にも名を連ねるなど、韓国に対し非常に好意的だ。>

 <鳩山代表は韓国で大統領府を訪れたときも「普段から友愛の精神を掲げてきたが、その精神で韓国と日本が協力すべきだ。究極的には東アジア共同体に拡大発展させなければならない、という考えを持っている」と語った。また、「日本は韓国と異なり、本当の意味での政権交代がなかった。今回政権交代につながれば、国民の政治に対する信頼を回復し、外交面でもアジア、特に韓国との関係を重視するつもりだ」と述べた。>

 こういう記事を見るとホッとするね。

■女性パワーについての朝鮮日報の分析

 辛貞録(シン・ジョンロク)東京特派員による<20-30代、女性の当選相次ぐ>もうまいまとめだった。

 <開票特番に出演していたゲストらが「わぁー」という驚きの声を上げた。30日夜午後10時35分、長崎2区で民主党の新人、福田衣里子氏(28)の当選が確実となった瞬間だ。相手は9選を誇る自民党の大物、久間章生元防衛相(68)だ。長崎2区の選挙結果は今回の選挙における有権者心理を複雑に物語っている。福田氏は薬害肝炎九州原告団の元代表。自身が弱者であり、弱者を代弁して政策化させた人物だ。2004年に裁判での闘争を開始し、薬害肝炎救済特別法制定まで導いた。これに対し、久間元防衛相は公共事業予算を基に後援組織を率いる「古い自民党」を象徴する人物だった。>

 <それは最大の異変、そして「新しい日本」を象徴する結果だった。テレビ朝日のニュース番組『報道ステーション』のキャスター、古館伊知郎氏は「時代が変わった。一度限りの風ではない」と評した。選挙結果は有権者心理の変化を次々と反映した。20-30代の女性新人中心の世代交代、世襲に対する反感、政権運営に対する批判。東京12区では連立与党の軸だった公明党の太田昭宏代表(63・5選)民主党の青木愛氏(44)に敗れた。>

 <最も目立ったのは「反小泉ムード」だった。小泉純一郎元首相が在任中に推進した改革政策に対する反発だ。北海道12区では小泉陣営の「突撃隊長」だった武部勤・元幹事長(68・7選)が小選挙区で敗れた東京5区では「小泉チルドレン」の象徴的存在だった自民党前議員の佐藤ゆかり氏(48)も民主党候補に敗れた。小泉氏に近かった自民党前議員の小池百合子・元防衛相(57)は、東京10区で民主党新人の江端貴子氏(49)に敗れた。小池氏は05年の郵政民営化選挙当時、小泉氏が政敵を追い落とすために戦略的に送り込んだ「刺客1号」として波乱を起こした人物だ。東京10区は今回の選挙を象徴する選挙区だった。29日夜に麻生太郎首相と民主党の鳩山由紀夫代表が同時に支援遊説を行うほど激しい選挙戦だった。

 だから、麻生首相は反小泉を徹底しなければならなかったのに、いつまでも竹中平蔵氏らに気を遣っているからこんなことになったんだ。

 <世襲に対する反感も目立った。故橋本龍太郎元首相の地元の岡山4区を引き継いだ前職の橋本岳氏(35)民主党候補に敗れた。「北海のヒグマ」と呼ばれ、厚い地域基盤を築いた故中川一郎元農相の選挙区を受け継いだ中川昭一前財務・金融相(56)北海道11区で苦杯を喫した。財務相在任中、酒に酔って記者会見に臨んで物議を醸した影響もあった。>

 <中川前財務相は落選決定直後、党員に対し、「父親の時から合計すると46年間、皆さま方に支えていただき、仕事をしてきたが、こういう結果はひとえに私の責任だ」と頭を下げた。日本で世襲議員が落選するのは異例のことだ。>

 <愛知9区では日本の国会で最多選記録を持つ海部俊樹元首相(78)の落選が確定した。海部氏は「次の選挙には出ない」と訴えたが、結局は有権者によって引退させられた。海部氏を破ったのは民主党の岡本充功氏(38)。医学博士出身で、民主党の政治家公募で政界入りした日本政界の「新人類」に数えられる。わい曲された歴史認識でたびたび失言を繰り返した中山成彬・前国土交通相(66)も、宮崎1区に無所属で出馬したが落選した。>

■飯尾潤氏への朝鮮日報インタビュー

 辛貞録東京特派員は八面六臂の大活躍だなぁ。今度はインタビューである。<「アジア政策に大きな変化ないもよう」/飯尾潤・政策研究大学院大学副学長に聞く>である。

 <日本の現代政治分野における専門家で、東京にある政策研究大学院大学の副学長を務める飯尾潤教授(47)は、今回の衆議院議員総選挙の意味について、「国際関係の変化と大きな関連はない。国内の政治状況が反映された結果」と述べた。そのため「外交政策に大きな変化はないだろう」と予想している。>

 <―― 民主党が獲得した議席数だけを見ると、まさに「革命的な状況」と言えそうだが…。>

 <「革命的な状況と言えるだろう。しかし、自民党は長期的に見て衰退の流れにあった一方で、民主党は21世紀に入ってから引き続き善戦している。とりわけ昨年からは民主党の力が高まる傾向が続いてきた」>

 <―― なぜ今、このような結果になったのか。>

 <「いつかはこうなるはずだった。もう少し早く、具体的には森政権(2000年4月から01年4月)直後に起こってもおかしくはなかった。小泉政権の誕生で自民党がやや盛り返したに過ぎない」>

 <―― 自民党政権はどれほど間違った方向に進んでいたのか。>

 <「自民党は1990年代から高まり始めた新たな政治への要求に対応できなかった。小泉政権当時も、根本的な問題には手をつけられなかった。そのため国民の不満は高まっていった。それでも小泉政権はまだましな方だったが、安倍政権からは自民党の弱みが表面化し始めた」>

 <―― 日本国民は政権交代により国がどうなることを望んでいるのか。>

 <「これまでのやり方では通用しないため、一度変えてみようということだ。今回は“自民党の生まれ変わりを望む”という意味で民主党に投票した有権者も多いということを忘れてはならない。そのため、今回の選挙結果は大きな変化の始まりに過ぎない。1回の政権交代では問題は解決しない」>

 飯尾氏の見方はいつもダイナミックだし、複線的だから安定感もある。

 <―― 来年7月には参議院選挙がある。民主党が敗れるとねじれ現象が起こるが。>

 <「政権1年目にはそれほど大きな変化は期待できない。予算にも大幅には手をつけられない。そのため民主党が来年の選挙でも勝つ可能性は高いと思う。今後4年間は選挙が行われることなく、民主党政権が続く可能性は高いだろう」>

 ということなのだろう。つまり、予想できる範囲内では、ではそうなのだ。

 細川政権の時だってわずか10カ月でお仕舞いになるとは誰も考えなかった。今回だって新聞やテレビが無視できない「政治とカネ」の話が出てきたら、民主党政権はお仕舞いになるのだ。誰も出てくるかどうか、分からないんだけどね。

 <―― 鳩山代表だけでなく、民主党指導部は新たな日米関係を望んでいるようだが。>

 <「安倍政権発足当時は日中関係に対して心配する声が多かった。誰もが心配していたため、何もできなかった。今回も誰もが心配している。そのため特に問題は起こらないだろう。政権獲得の可能性が高まったことで、かなり前から少しずつ変わり始めていた。ただ数年後に自信を持つようになると、どのように変わるかは予想できない」>

 これも大人の見方だ。

 <―― 来年1月にはインド洋での給油支援活動のための特別法が期限を迎えるが、民主党はこれを延長しないとしている。沖縄の米海兵隊の飛行場移転問題も再検討するとの立場だが。>

 <「非常に重要な問題だ。しかし、日米関係に変化をもたらすとしても、徐々にやっていくしかないだろう。今の状況では国内問題が山積みしているため、外交政策に大きな変化をもたらすことは難しいとみられる」>

 <―― 民主党政権はアジア重視を打ち出しているが。>

 <「実はそれもはっきりしていない。中味が明確でないということだ。靖国神社に参拝しないと明言した程度だ」>

 <―― 政権交代の意味をまとめるとどうなるか。>

 <「日本の政治における可能性が広がったということだ。これまでは「当然」あるいは「これしかない」と考えられてきたこと以外にも、新たな方法を見出したということが、今回の政権交代の意味だ」>

 うまくまとめていると思う。よく分かる。

■朝鮮日報の社説

 朝鮮日報の09年8月31日の社説。<自民党54年独走に幕、衆院選と韓日関係>というタイトルである。読んでみよう。

 <日本で30日に行われた衆院選で民主党が大勝した。1955年以降、一度も第1党の地位を奪われたことがなかった自民党が惨敗した。自民党以外の政党が単独で政権を獲得したのは54年ぶりで「史上初の政権交代」という評価を受けている。半世紀以上続いた日本の政治の枠組みを打破した今回の総選挙では「新しい日本」「日本の新たな出発」に対する日本国民の渇望が今まで以上に大きいという事実が浮き彫りとなった。結果として日本の政策は内外で多かれ少なかれ変化が生じる可能性が高い。>

 変化を予感しているね。どう変わるのか。

 <民主党は米国一辺倒の外交から脱皮し、アジアを重視するという「脱米入亜」構想を掲げている。次期首相就任が確実視される民主党の鳩山由紀夫代表は最近のインタビューで「今までの日本外交は米国の都合に合わせたものだったが、これからはわれわれの意思を強く主張できる対等な関係でなければならない」と述べた。日米同盟は冷戦時代から現在まで韓米同盟と同様に北東アジアの安全保障の軸だった。今後における日米同盟の変化は韓日同盟とも協力して進む公算が高い。>

 期待感が高い。

 <鳩山代表は最近、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙への寄稿「イラク戦争の失敗と金融危機により、米国主導の世界化時代は幕を下ろし、多極体制に向かって進んでいると考えている」と述べた。民主党が「アジア重視」を掲げたのはこうした多極体制の軸の一つを日本が担わなければならないという判断があるからだ。米国と並ぶ世界二大国となった中国の浮上をけん制するため、米国一辺倒の政策に代わりアジア重視を掲げたとの分析も可能だ。日中間の競争がアジアの覇権争いに発展することは、日本と中国はもちろん、アジア全体にとって好ましくない。>

 この最後の疑問はよく分からない。どうして、鳩山のアメリカ離れが中国への牽制なのか? 「アジア重視」という言葉を、そのままの形で素直に受け取れない「何か」が韓国にはあるのだろうか?

 <過去の自民党政権で韓日関係は「歴史問題の壁」を越えられなかった。民主党はこの問題に対しても自民党政権とは異なる前向きな姿勢で取り組むと公言している。民主党政権が掲げる「東アジア共同体構想」や「アジア重視」を成功させるためには、隣り合うアジア各国との不信を解消することが急務だ。民主党が歴史問題で日本がこれまで繰り返してきた過ちを断つことができるか注目される。>

 以上。日本の新聞社の、細かいところばかり見ている社説に比べ、粗削りだが魅力溢れた論になっている。特に日米中韓関係を睨んだアジア・太平洋のドラマティックな構想力を胸に秘めていると思われるコメントは浮き浮きするような文章だ。

 日本の記者も少しはこういう「大状況」を語ってほしい

| | コメント (1)

韓国紙・中央日報は日本の総選挙で7ページ特集だって~産経新聞09年8月31日ネットHP

 産経新聞09年8月31日朝刊には載っていなかったが、ネットのHPには<韓国有力紙が異例の7ページ特集「選挙革命」>という共同通信が配信した記事が載っていた。

 早速の「海外の反応」である。

 <民主党が圧勝した日本の衆院選について韓国メディアは31日、有力紙の中央日報が「選挙革命」と題した1面のトップ記事以外に7ページを割いて特集するなど、隣国日本の政権交代に高い関心をみせた。>

 <中央日報は他紙よりサイズが一回り小さいものの、海外ニュースの扱いとしては異例の紙幅。KBSなどテレビ各局も朝から1番手のニュースとして報じた。朝鮮日報は民主党圧勝が自民党への批判票によるところが大きく、支持基盤が強固だとは言えないとし「政権交代後の日本がどこに向かうかは非常に不透明だ」と指摘した。>

 韓国だけかな? と各紙の海外の反応を探してみたが、まだ目立った記事は出ていなかった。

 31日夕刊、9月1日朝刊から出てくるのだろう。

 それにしても韓国のマスメディアの日本の総選挙注目度は高かったね。いいことだ。

| | コメント (0)

2009年8月30日 (日)

安重根の伊藤博文暗殺の背後に高宗がいた、と:本当かね?+閔妃暗殺関連話~朝鮮日報、中央日報09年8月30日、朝鮮日報8月24日

◆中央日報
 中央日報09年8月30日朝刊の記事らしい。<「安重根暗殺の背後に高宗」/日本の機密文書公開>だ。これはソウル発の聯合ニュースである。
 <日本政府は独立運動家・安重根(アン・ジュングン)による伊藤博文暗殺の背後に高宗がいたと判断していたことがわかった。高宗が抗日独立運動と緊密な関係にあったことを示す機密文書が発見された。>
 <安重根・ハルピン学会共同代表を務めるソウル大学国史学科の李泰鎮(イ・テジン)名誉教授は29日、日本外務省の外交資料館所蔵資料から、伊藤博文暗殺翌年の1910年1~3月に駐ウラジオストク日本総領事と韓国統監府が当時の小村寿太郎外相に送った報告書6件が見つかったと明らかにした。>
 <報告書は、京城(ソウル)からハルピンを経て1910年1月27日にウラジオストクに到着した高宗の密使2人が、安重根を日本の法廷からロシア法廷に管轄権を移し救出しようとした状況を説明している。密使は30代のソン・ソンチュンとチョ・ビョンハンで、ソン・ソンチュンは韓国官吏出身で日本語と英語に長け、日米を訪れた経験もあると記されている。>
 <3月2日付の報告書には「排日の本元はもちろん韓国皇帝だという。(中略)昨年10月にハルピンで起きた凶変事件(安重根暗殺)も、宮廷が煙秋(ロシア沿海州・クラスキノ)の崔在亨(チェ・ジェヒョン。独立運動家)を扇動した」とあり、高宗が伊藤博文暗殺の背後にいたと指摘している。また、第二次日韓協約に反対するなど救国運動を行った政治家・李容翊(イ・ヨンイク)も「韓国皇帝の密使」だとし、当時、李容翊が持参した王の私費の残金7000円は、今も崔鳳俊(チェ・ボンジュン。独立運動家)の家に保管されていると記録されている。>
 <2月17日付には、高宗の密使がウラジオストク居留民会に出席したとある。「我太皇帝(高宗)陛下の勅命を受け、陛下の親璽が刻まれた密書を持ち、旅順の獄中にある安重根を救出しロシア領にいる同胞とともに彼をロシアの裁判に預けるために来た」と語ったという。>
 <一方、曽禰荒助統監が1910年1月8日に小村外相から受け取った報告書「機密統発第20号」には、安重根を助けるためロシア人が上海の英国人弁護士に弁護を依頼し、その費用は高宗の腹心で上海にいた閔泳翊(ミン・ヨンイク)、閔泳チョル(ミン・ヨンチョル)、玄尚健(ヒョン・サンゴン)が請け負ったと記されている。この英国人弁護士は、安重根と面会し「韓国政府顧問の米国人スティーブンスを暗殺した田明雲(チョン・ミョンウン)が懲役7年の宣告を受けており、安重根も似たような量刑になると思われるが、万一、裁判が無法に行われれば列国に訴え、万国共同裁判を受けられるようにする」と話したとの記述もある。>
 <李教授は、密使は安重根にロシア法廷で裁判を受けさせ、韓国人に安重根救出の募金運動を督励するため派遣されたもので、この2人以外にもいたとの見方を示した。日本が広めた高宗無能論の影響で、これまで学界でも抗日独立運動は高宗と無関係と考えられてきたが、実際には、直接関与していたことを示していると説明した。>
◆朝鮮日報の方が詳しかった
 朝鮮日報の8月30日朝刊は金ギチョル記者の署名記事。見出しは<高宗、 安重根救出のため密使を派遣/日本、安重根事件の背景として高宗に注目>である。
 <1909年10月26日に安重根がハルビンで伊藤博文を暗殺し逮捕された直後、高宗がロシア・ウラジオストクに密使を送り安重根救出作戦を企てていた事実が明らかになった。また、日本政府がハルビンでの事件の背後勢力として高宗に注目していたことも判明した。>
 という前文だ。
 <安重根ハルビン学会の共同代表を務める李泰鎮ソウル大名誉教授(国史学)は28日、ハルビンでの事件の翌年に当たる1910年2月と3月に駐ウラジオストク日本総領事が当時の小村外務大臣に送った機密報告書3通を公開した。この機密報告書は京城からハルビンを経て、1910年1月27日にウラジオストクに到着した高宗の密使二人が安重根の管轄権を日本の法廷からロシアの法廷に移し救い出そうとした動向を追跡している。短髪に洋服姿のこの密使の名前はソン・ソンチュンとチョ・ビョンハン。ソン・ソンチュンは37-38歳の官吏出身者で日本語と英語に熟達し、日本や米国にも出向いた経験があると記録されている。>
 <1910年2月17日付「太皇帝密使」と題する報告書はこれらの密使がウラジオストクの居留民会に出席し「わが太皇帝陛下(高宗)の勅命を受け、このように陛下の親璽が押された密書を携え、旅順の獄中にある安重根を救い出し、ロシア領にいるわれわれの同胞と共に、極力安重根をロシアの裁判に付するため当地にやって来た」と語ったと記録している。5日後の2月22日付報告書「韓皇の密使宋某に関する件」には「上の密使は到着当時、多くの韓人からやや真偽を疑われていたが、今では韓人が上の密使の密勅を信ずるに至った」と記されている。>
 <さらに3月2日付の報告書「韓国宮廷からの密使」には「密偵の言葉によると、目下ここを発ち旅順に向かっているソン、チョ両密使は決して偽物ではなく、ニコリスク市で死亡したイ・ヨンイクも韓国皇帝の密使で、当時彼が持参した所持金の残額7000円は今もチェ・ボンジュンの家に保管されているという」と記されている。>
 <この日の報告書は、特に「排日の本元はもちろん、韓国皇帝だという。一昨年、京城および平壌から多数の人々がやって来て排日を勧めたのも、宮廷から資金が支給され、このころから当地の居留民会および新聞社が漸次勢力を得ており、昨年10月のハルビンでの凶変事件も、宮廷から煙秋(クラスキノ)のチェ・ジェヒョンの家に扇動してきたものだ…」と記し、安重根の背後勢力として高宗に注目した。>
 <一方、曾禰荒助朝鮮統監が小村寿太郎外務大臣に送った10年1月8日付の別の報告書は安重根を救出するために雇われた中国・上海のイギリス人弁護士ダグラスの弁護費用を高宗の側近であるミン・ヨンイク、ミン・ヨンチョル、玄尚健(ヒョン・サンゴン)が負担したと記録している。>
 <このように、高宗が派遣した二人の密使は沿海州の韓人を相手に安重根の支援を訴えるなど救出作業に乗り出し、ダグラス弁護士も旅順の法廷に出廷したが、外国人だとの理由により弁論を拒否され、最終的に安重根は死刑の判決を受けた。>
 <李泰鎮教授は「これらの密使は、高宗が1902年に韓国国内での秘密情報活動と海外情報収集のために設立した情報機関・益聞社の要員だったと推定される。機密報告書は、高宗が沿海州に建設した抗日独立運動基地を背景にハルビン義挙が行われ、日本側がこうした事実に注目していた可能性を示唆している」と語った。>

◆閔妃暗殺8月24日にテレビ朝日で放映へ、と
 ついでに古い記事だが、同じ朝鮮日報の09年8月24日の記事<明成皇后殺害事件、日本のテレビ局が取り上げる/テレ朝の人気ニュース番組、24日に特集を放送へ>も取り上げておこう。チェ・スンヒョン記者の署名記事である。
 <1895年に起きた明成皇后(日本での呼称:びんぴ)殺害事件の全ぼうや、実行犯たちの子孫が110年ぶりに韓国を訪れ謝罪する場面を盛り込んだ特集が、24日夜10時からのテレビ朝日のニュース番組で放送される。>
 という前文で、
 <日本の地上波テレビ局のニュース番組のうち、最も高い視聴率(20%)を誇るテレビ朝日の『報道ステーション』は24日、明成皇后殺害事件に関する14分間の特集を放送する。今回の特集は、韓国を代表するドキュメンタリー演出家であり、韓中日3国放送プロデューサー・フォーラムの常任組織委員長を務めるチョン・スウン監督が、2005年に制作したドキュメンタリー『110年ぶりの追跡 明成皇后殺害事件』を基にしている。テレビ朝日の関係者は「日本人があまりよく知らない歴史的事実という観点から、特集番組を放送することを決めた」と説明している。>
 <明成皇后殺害事件は、日本ではほとんど知られていない「恥ずべき歴史」だ。チョン監督のドキュメンタリーは、朝鮮駐在の日本公使だった三浦梧楼が、48人の刺客を動員し、景福宮に乱入して明成皇后を暗殺したという歴史的事実のみならず、実行犯の一人である国友重章の孫に当たる河野龍巳さん(88)、家入嘉吉の孫の嫁に当たる家入恵子さん(76)などが初めて韓国を訪れ謝罪したことにも触れている。テレビ朝日のニュース番組は05年以降、毎年韓国を訪れ、しょく罪を続ける子孫たちの姿を取材している。>
 <チョン監督は、テレビ朝日が明成皇后殺害事件を取り上げることについて「韓流ブームなどで韓国に対する日本人の関心が高まる中、両国の歴史に埋もれた真実について知ってもらおうという趣旨によるものだ」と語った。なお、この特集番組は当初、日本の終戦記念日に当たる今月15日の前に放送される予定だったが、水害などの災害が相次いだため、放送が延期されていた。>
 <「韓日文化交流会議」の委員長を務めるタングク大の金容雲(キム・ヨンウン)碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動が行えるよう大学の指定を受けた教授)は「日本のテレビ局は最近、過去の植民地支配や帝国主義に対する反省を盛り込んだ番組を放送しているが、これほどまでに直接的な内容を扱ったことはなかった。日本の歴史上では存在しなかった出来事のような扱いを受けている明成皇后殺害事件について正面から取り上げ、当時の実行犯の子孫たちが韓国を訪れ謝罪する場面を放送することにより、相当な反響を呼ぶだろう」と話す。なお、テレビ朝日は近日中に、ドキュメンタリー番組『テレメンタリー2009』で、明成皇后殺害事件を取り上げた30分間の特集を放送することも決めている。また、チョン監督は来年春、2時間に再編集したドキュメンタリー映画を、日本全国を巡回して上映する計画も発表した。>
 というのが本文。また、お詫びしている写真が載っており、
 <2005年5月、キョンギ道ナムヤンジュ市の洪陵で、明成皇后(日本での呼称:びんぴ)=1851-95=殺害事件の実行犯の一人、国友重章の孫に当たる河野龍巳さん(右)が、朝鮮王朝第26代国王・高宗の孫に当たる李忠吉(イ・チュンギル)さんの前で謝罪した。>

 という写真説明がついていた。

| | コメント (0)

2009年8月29日 (土)

「北には北風も必要」ではなく、「北には北風が必要」だ:伊藤正北京支局長コラム~産経新聞09年8月29日

 産経新聞09年8月29日朝刊[緯度経度]は伊藤正・北京支局長の<太陽政策には北風も必要>だった。故金大中元韓国大統領への追悼文だ。読んでみよう。
 <韓国の金大中元大統領が亡くなった。波乱に富んだ不屈の人生だった。黒田勝弘ソウル支局長によると、韓国での評価は毀誉褒貶半ばするとのことだが、特に金氏の「太陽政策」をめぐる評価は分かれる。ささやかな思い出から書く。>
 ということで思い出を語るみたいだ。
 <金大中氏には1度だけお目にかかったことがある。1984年春、共同通信のワシントン支局員時代のことだった。支局長宅でのホームパーティーに行くと10人ほどの招待客の中に金大中氏と李姫鎬夫人がいた。金氏は80年の光州事件への関与容疑で国家反逆罪に問われ、死刑判決を受けたが、米政府の介入で減刑され82年には「病気療養」の名目で渡米、ワシントン近郊で流亡生活を送っていた。パーティーに出席していた米国の政府当局者や記者たちの会話の輪に、金大中氏は加わらず、夫人とともにソファで悠然としていた。金氏は「政治的言動をしない」との渡米条件にしばられていたが、こんなチャンスを逃す手はない。>
 日本では有名人だからね。
 <1973年8月、金大中氏が東京で拉致された事件のとき、日本から記者の韓国入国ができなくなり、当時香港駐在の私が身分を偽って観光ビザでソウルに入ったことがあった。入国直後に身分が発覚、厳重な監視下に置かれ、身動きができなかった苦い思い出がある。自己紹介に続き、金大中氏にその一件を披露し「韓国中央情報部(KCIA、当時)は大したもんですね」と話すと、金大中氏は笑いながらうなずくだけで、事件の話には乗ってこなかった。韓国の内政や北朝鮮についても同様で、金氏から質問された中国事情を含め、私がしゃべり、金氏は相づちを打つ程度だった。>
 随分と警戒をしたものだね。
 <20分ほどの会話の間、金大中氏は微笑を絶やさず私の目を見つめ、誠実な人柄であることをうかがわせた。しかし、数々の試練を受けてきた人物らしい迫力は感じられず、米国で余生を送る気かもしれないと思った。その3日後、金大中氏から丁重な礼状が届いた。和紙2枚に見事な毛筆で書かれた日本語の文章だ。書状は、私との会話で啓発を受けたとお世辞を書き、こう結んでいた。「いつの日か、祖国と民族に光が訪れると信じ、日々精進していく所存です」。ああ、この人は死んではいないと思い直した。実際、金大中氏は翌85年に帰国、全斗煥、盧泰愚両大統領経験者の汚職疑惑や金融危機で韓国政界が揺れる中、97年12月に大統領に当選し経済復興と民主改革に次々に手を打っていった。>
 日本語がうまいだけでなく、毛筆も達筆なんだね。
 <98年に打ち出した太陽政策は北朝鮮との融和と民族和解を図る狙いで、2000年6月に金大中氏が訪朝、金正日総書記との南北首脳会談につながった。これにより南北離散家族の再会が実現、閣僚級会談、軍事会談などが定期化し、さらに経済交流も始まった。その意味は小さくない。これに続くオルブライト米国務長官や、小泉純一郎首相の訪朝は太陽政策の延長線上にあった。しかし2002年に北朝鮮の核問題が発覚して以来、太陽政策は北に利用されたとの批判が生まれた。それは金大中氏だけの責任ではない。あえて言えば、数々の迫害や裏切りにも誠意と寛容で対処してきた金氏らしい「甘さ」だった。北に善意は通じなかったのだ。>
 善意の人、金大中氏の限界か。でもね、それって、そういう甘い政治家は国を誤るのだ、ということをきちっと書いてい置いてほしかった。
 <北朝鮮の2度の核実験で、核問題の太陽政策といえる6カ国協議が死に体になったとき金大中氏は死去した。葬儀に特使を送るなど、北の態度に変化が見え始めた。ただし、いかなる対話も北の核放棄が前提でなければならない。北には「北風」も必要というのが太陽政策の教訓だ。>
 「北には北風も必要」ではなく、「北には北風が必要」なのではないか? 核を廃棄したら太陽を10個でも20個でも持っていってやるよ、と。
 伊藤さんにしては遠慮がちなコラムだった。

| | コメント (0)

2009年8月28日 (金)

保坂祐二氏は韓国人に帰化していた。「竹島は韓国領」というのは切り離せない、と~中央日報09年

 中央日報09年8月28日朝刊に保坂祐二・世宗大教授のコラム<韓国を訪れる日本の青年>が掲載されていた。例の竹島は韓国領と主張している日本人、と思っていたのだが、ちょっと違うのかな。読んでみよう。

 <最近2泊3日の日程で日本の関西地方へ行ってきた。そこの青年団体の招請による旅行だった。以前にこの青年団体の代表者らが何度か韓国にいる私のところを訪ねてきた。その度に私は自分の信念に基づいて韓日間の知識や考え方の違いを伝えた。当初は私の主張を否定するために万全の準備をし、私に鋭い質問を投じてきた。しかし時間が過ぎるにつれて、彼らは私が話す内容を聞くほうがむしろ勉強になると考え始めたようだった。>

 持って回った書き方をするんだなぁ。

  <彼らが属している組織は首相1人を含めて現在まで数多くの政治家を輩出している。 彼らが韓国人に帰化した私を訪ねてくる理由は一つだ。韓日間の歴史と独島(日本名・竹島)問題などを私を通して学ぶことで、今後どうすれば韓日両国が良い関係を維持できるかを考るためだった。>

 とあるのだ。な~んだ、韓国人じゃないか、このおっさん。韓国人ならば、いくら以前は日本人だったと言ったって、竹島の領有権を「韓国のもの」と言うのがいわば当然。帰化したという事実を知らなかったのだ。

 <私は当初、学者でもない日本人が私を通して韓日間の問題点について学ぶということに驚いた。しかし日本の青年たちの中には意外にも歴史の真実を知ろうという人が多いことを確認でき、うれしく思った。現在までの接触を通して、彼らの中には「独島は完全に韓国の領土だ」と主張する人も出てきた。また、韓国の独島領有権を認める代わりに日本は他の面で何か得られるものがあればよいのではという意見を述べる人も出てきた。まだ始まったばかりだが、彼らの深い思考がさらに発展することを祈るばかりだ。>

 竹島の領有権問題だ。これは触ってはいけない問題なのにね。日韓関係を壊そうとする勢力が両国をいがみ合わせようと、必ず取り上げる。

  <彼らは実際に韓国に来て勉強したいと述べ、本格的な踏査のためにいくつかのグループに分けて韓国を訪問することになった。数日前、その最初のグループがソウルに到着し、私たちと話し合いの場を持った。彼らが韓国の学生の意見を聞いてみたいと言うので、私は急いで数人の学生に頼んで集まってもらった。韓国の学生が日本人の質問に答える形で進行され、その学生は日本に対して普段から感じていることを率直に語った。その学生は日本が独島や慰安婦問題などを取り上げた場合、韓国人の脳裏には日帝時代のあらゆるよくない記憶がよみがえり、無条件に日本に抗議することになるという実像を自分の体験談を交えて話した。>

 
 そういうことなんだよね。事実関係というものが没歴史的に宙ぶらりんに浮いているわけではなく、私たちはみんな歴史のつながりの中で生きている。そして、祖父・祖母の時代の屈辱の経験は韓国人のDNAに焼き付いているのだろう。韓国人から略奪したり、いじめたりした日本人はケロッと忘れてしまってもね。

 だけど、それと「竹島は韓国領」という韓国側の主張を認めるかどうかは次元が違う話なのだ。

 <その日、私たちが到達した結論は、少なくとも日本が韓日間の過去について妄言をしてはならず、常に反省する心を持たなければならないという点だった。彼らが理解したのは、植民地を持った西洋国家は過去の植民地に紳士的に対応していて、日本のように妄言を繰り返したり優越感を表したりしないという点だった。最小限の紳士的な行動を日本側が見せてこそ、韓国人の感情は爆発しないということだった。>

 「植民地を持った西洋国家は過去の植民地に紳士的に対応していて、日本のように妄言を繰り返したり優越感を表したりしない」というのはどこと対比しての話だろう? 私はこの見解は違う と思うのだが。

 <翌日、彼らは独立記念館を観覧するため天安へ行った。観覧の感想を尋ねる、「衝撃的だった」と答えた。しかし、彼らはこれをきっかけにまだ理解が不足している部分をもっと勉強したいと語った。もうすぐ2番目のグループがソウルに来る。2番目のグループは安重根に関心を持つ人たちだ。日本では偉人の伊藤博文が韓国では悪の象徴であり、伊藤博文を射殺した安重根が英雄であることを知った彼らは韓国人が見る安重根について詳しく知ることを目的にしている。このように韓日の相互交流が発展し、韓日問題がうまく解決され、友好的な方向に進むことを心から希望する。>

 韓国に理解を示す物わかりのいい学生など、放っておいても悪ガキのゆな行動はしないだろう。問題は嫌中の若者なのだ。なぜ嫌中なのか、の根本も詳しく調べたらいいのだが、少なくとも保坂氏の言うような情緒的なものではなく、戦略的な動きを背景に持った発言ではないか、と思う。

| | コメント (0)

2009年8月27日 (木)

石平氏の中国論が面白い:ネット世論活発化、毛沢東礼賛ブーム、少数民族政策の失敗、経済回復の実態…と~産経新聞09年4月30日→8月27日

◆8月27日<風刺詩に見る中国の世相>
 産経新聞09年8月27日朝刊オピニオン面の連載コラム[石平のChina Watch]は<風刺詩に見る中国の世相>というタイトルの記事だった。
 石平(せき・へい)氏は1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『私はなぜ「中国」を捨てたのか』など著書多数、と著者紹介が毎回ついているらしい。
 本文を読んでみよう。
 <中国のネットでは最近、次のようなブラックジョークが流布されている。>
 として、
 <ある私営企業の社長は社員のやる気を引き出すために、ひとつのスローガンを全社員に配布して会社の合言葉にした。「やりたいならすぐ行動に移せ」というスローガンだった。その日のうち会社の財務係は公金30万元を横領して夜逃げした。2日目には会社の若手常務は社長の美人の奥さんと駆け落ちした。3日目には会社の精鋭技術者3人がよその会社の引き抜きに応じた。4日目には全社員は給料引き上げと労働時間の短縮に関する要望書を社長に提出した。5日目には例のスローガンをうわさに聞いた取引先の企業が会社の売掛金1000万元を踏み倒した。そして6日目、いよいよ社長本人は全社員のクビを切って休業すると決めた。しかしその翌日、クビになった社長秘書は社長が長年やっていた贈賄や商売上の詐欺に関するネタを週刊誌にタレ込んで検察にも密告した。このように皆は合言葉の通りやりたいことを真っ先にやってしまった。> 20年以上前に韓国でこのような自虐ジョークが流行ったことがある、と聞いたことがある。1988年のソウル五輪(パルパル)が成功し、韓国のナショナリズムが燃え上がり、先進国の仲間入りをした、という自負心が国民の中に湧き上がっていた時だった。経済発展すると、このように自分たちの姿を振り返る余裕ができるのかな? 日本の植木等の「スーダラ節」の無責任男、適当サラリーマンの姿が思い浮かんだものだった。
 その韓国の発展期の渾沌がすでに中国でも現れてきた、と?
 <中国社会が陥っている深刻な人間不信を風刺するこのブラックジョークは、この国で何らかの商売をしている人間なら、おおむね納得するのではないか。>
 と、石さんは中国社会を卑下し、中国社会に特有なものをみつけようとしているが、そうじゃないんじゃないかな。
 <次の風刺詩はまた、最近のネット上で一世を風靡した絶品のひとつである。>
 <中国で最大の殺人者訓練機関はどこか知っているか。それは自動車学校だ(訳者注、中国全土の交通事故死亡者数は2008年では7万3千人)。中国で最大の失業者量産機関はどこか知っているか。それは大学だ。中国で最大のヤクザ養成機関はどこか知っているか。それは警察学校だ。中国で最大の汚職研修センターはどこか知っているか。それは間違いなく、共産党幹部の通う党校だ。>
 なるほど、だが。
 <この風刺詩のオチは、警察学校が「ヤクザ養成機関」、党幹部を教育する党校が「汚職研修センター」だと揶揄されるところだ。要するに詩の著者からみれば、中国の警察はすなわちヤクザであり、共産党幹部はイコール汚職者なのである。そしてこの風刺詩が全国のネットで大人気を博しいることからすれば、多くの人々はそれと同じような認識を持っていることがよく分かる。>
 まあ、そうだろう。権力は腐敗する。
 <中国の警察は果たしてヤクザそのものであるかどうか、党幹部は全員が全員で汚職しているかどうかは、ここではもはや重要な問題ではない。重要なのは、多くの人々が現にそう思っていることだ。>
 それはそうだ。だからこそ、共産党政権の正統性が問題となり、少しでも疑問符がつけば、国民の目を外に逸らすために反日ブームが仕掛けれらもしたのだから。
 <政府や警察をターゲットとする暴動の多発の背景にも、このような共通認識の存在があると思うが、とにかくネットの世界では「党幹部はけしからん」、「警察はけしからん」というのが一種のコンセンサスとなっているようだ。>
 ネットの世界は恐ろしい。
 <7月16日掲載の本欄は中国における「世論」の誕生を記したが、この新しく生まれた世論の空間では、現実への強い不満と、党幹部と権力に対する強い不信が主流を占めていることは明々白々である。このような世論の形成と増殖は共産党政権にとってたいへん危険な前兆であるとは言うまでもない。旧ソ連では、体制崩壊の前から政権批判のブラックジョークが氾濫していたことがよく知られているが、それと同じような現象は今の中国で起きているのだ。次の番となるのは、やはり中国共産党政権なのか。>
 なるほどねぇ、石さんはソ連共産党政権崩壊をイメージして今までのアネクドートを紹介してきたのか。
◆8月13日<見えてきた中国の戦略的弱点>
 産経新聞のHPにある石平氏のコラムを読み続ける。今度は09年8月13日の<見えてきた中国の戦略的弱点>である。
 <去る7月8日、中国の胡錦濤国家主席はイタリア・ラクイラでの主要国首脳会議をドタキャンして急遽帰国した。その理由について私も翌日の産経新聞紙上で分析を試みたが、真相は依然謎のままである。唯一言えるのは新疆で起きた暴動事件への対応のため、国家元首の胡主席が中国の存在感の顕示に絶好の機会であるサミットへの参加を断念して、急いで家路に就かなければならなかった、ということである。そのことは逆に、新疆での出来事は北京政府にとって大変な危機であったことを示唆している。実は去年の2008年にも北京は同じような危機を経験した。チベット騒乱である。それが原因で中国政府が自国のアピールのために画策した世界規模の「聖火リレー」が至るところでボイコットの嵐に遭遇し北京五輪の開催すら一時、危うくなったのである。>
 そだったねぇ。北京五輪とチベットと。
 <2年連続で起きたこの二つの危機は、チベット人とウイグル人に対する中国の「植民地化政策」は失敗に終わったことを意味している。半世紀以上にわたってこの二つの民族を同化しようとしたが、相手がそれを不服として依然、反抗を試みるのであれば、北京の「民族政策」はすでに破綻したと言わざるを得ない。そして「民族政策」の失敗は北京政府に大きな戦略的難題をもたらしてくるであろう。つまり北京はこれから、かなりの長期間にわたってチベット人やウイグル人の集団的反抗および独立運動の広がりに直面していかなければならないのである。>
 そこまで言うかな。
 <現在の中華人民共和国地図を開いてみれば、この難題が北京にとってどれほど深刻なものなのかが一目瞭然である。天然資源の豊富さもさることながら、チベットと新疆という2つの広大な地域は、ちょうど中国の背骨を支える「戦略的大後方」としての役割を担っている。そういうところで民族の反乱と独立運動が広がることは、北京にしてみればあたかも背中に短剣を突きつけられたかのような格好である。>
 こういう地政学的な見方、日本人が最も不得意な分野ではある。
 <周知のように中国は近年、海軍の増強と活動展開に特に力を入れている。東と南の海に打って出ることは北京の世界戦略の重点であることは明らかだ。しかしこれから、西の大後方で不穏な動きが広がっていれば、この戦略は狂ってくるかもしれない。背中に不安を感じた北京政府は、安心して海に出ることができないからである。そのことはもちろん、日本には大変都合が良い。日本にとっての戦略上の最大の脅威は、まさに東シナ海や台湾海峡に向かっての中国軍の進出であるから、中国の「海に出る」戦略の展開が何らかの障害で渋っていれば、その分だけ日本の周辺の海は安全になる。>
 なるほどねぇ。これって、本当にそう言えるのか? 本当にそうならば、日本にとってチベットや新疆ウイグルの反乱はありがたいことになるのだが、そうじゃないとも言えるんじゃないか。
 <そういう意味では、本来なら日本は国家的戦略としてチベット人とウイグル人の独立運動を大いに支援しても良いと思う。「自由と繁栄の弧」を中国の背中の方へ伸ばしていくことこそ、日本の究極の安全保障戦略となるからである。>
 そこまで日本政府が反中国の動きをするか? できないと思うよ。
 <残念ながら、今のわが日本国政府にはこのような戦略を考案して実施する意思と能力があるとはとても思えない。ならば、せめて民主主義国家の政府として、人道的な立場から、チベットやウイグルで起きている人権侵害に対する非難の声を上げてもらいたい。>
 それもしない。
 <そして日本はアジアの民主主義先進国として「自由」「人権」「民主」などの世界共通の価値観を掲げて「道義的高み」に立って中国と渡り合っていけば、従来の「対中位(くらい)負け外交」からの脱出も可能となるのではないか。>
 位負けしていたのか、従来は。こういうことを望む相手はやはり米国だと思う。天安門事件のときを想い起こしてほしい。日本はアルシュ・サミットで中国制裁決議を採択しようとした際に、その実質的な意味合いを薄めに薄めて、中国を国際社会に繋ぎとめた張本人なのだから。
 日本は決定的に中国と対決する、という選択肢を失っているのではないか、と思っている。
◆7月30日<中国“経済回復”の実態>
 09年7月30日のコラムは<中国“経済回復”の実態>だった。まずは読んでみよう。
 <7月16日、中国国家統計局は2009年上半期(1~6月)の国内総生産(GDP)は前年同期比で7.1%増と発表した。それに先立って6月あたりからは株価の大幅上昇や不動産市場の回復などの「明るい兆し」も見られた。このような状況を受け「中国経済は内需拡大へのシフトにより金融危機からいち早く脱出した」との論調も出ているが、実態は果たしてそうであったのか。同じ日に国家統計局が発表したもう一つの数字を見てみよう。2009年上半期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で1.1%減となった。しかも、6月のそれは1.7%減であるから低下の幅がさらに広がっていることが分かる。つまり「消費=内需」に関していえば全体はむしろ縮小傾向であることは明らかである。>
 「7.1%成長」の中身の話だね。
 <それでは、「7.1%」の成長率は一体どうやって達成されたものなのか。国家統計局発表のもう一つの数字を見てみると、同じ2009年上半期、中国国内で行われた新規融資の総額は7.4兆元(約105兆円)にも達したという。「7.4兆元」とはどういう概念なのか。2008年度の上半期、中国国内で行われた新規融資額は2.5兆元だったから、今年上半期の新規融資総額は前年同期比では実に196%増である。つまり今年上半期の経済成長率は前年同期比で7.1%であるのに対して、経済活動に投入される資金の伸び率だけは約3倍の急増となっている。それはまさしく「集中豪雨式」の放漫融資以外の何ものでもないが「成長率7.1%達成」の実態はそれでよく分かるのではないか。要するに、それだけの貨幣が経済活動に集中的に投入された結果、(貨幣で計算される)それだけのGDPが達成された、ということなのである。>
 公的資金が莫大に投入された、中国共産党が銭をばらまいた、と。
 <さらに問題となっているのは、放漫融資で賄われた莫大な資金は一体どの経済部門に投入されたのかである。6月30日付の『南方日報』は国務院発展研究センター・マクロ経済研究部の副部長である魏加寧氏のインタビュー記事を掲載した。その中で魏氏は今年の上半期において中国の各銀行の行った新規融資のうち、その2割程度は実は株市場に、3割程度は不動産市場に流れたと語った。冒頭から記している株価上昇と不動産市場回復の謎はそれで解けたのであろう。何のことはない。莫大な新規融資が株や不動産の投機に流れてきた結果、二つの市場はあたかもカンフル剤の注射を受けたかのごとく、一時的な回復の傾向を見せたのである。そしてそれは当然、経済成長率を持ち上げる大きな要素ともなっている。>
 政府が吐き出したカネは株式市場と不動産市場に注ぎ込まれて、価格を高騰させたのか。
 <しかし、肝心の実体経済は一体どうなっているのだろうか。去る6月26日に放映された中国中央テレビ(CCTV)の経済番組「経済半小時」では、中国社会科学院中小企業研究センターの陳乃醒研究員は社会科学院の調査結果として、中国にある4200万社以上の中小企業のうち40%がすでに倒産、40%が倒産の危機に面している現状を紹介した。資金繰りに行き詰まり経営危機に陥るケースがほとんどであるという。中国の中小企業は国内総生産の60%を占め、税収の50%に貢献しているから、中小企業の危機はすなわち中国経済全体の危機であると言ってよい。>
 なるほどねぇ。中国も大変なのだな。
 <このような厳しい現状を前にして、中国経済は「金融危機から脱出した」との見方は、まだまだ早いのではないか。>
 そう言われればそうなのだが、中国共産党政府は10月1日の建国60年の前には明るい話題を振りまきたいんじゃないのかな?
◆7月16日<中国における「世論」の誕生>
 7月30日の新聞コラムで石平氏が引用していた自分の7月16日のコラムがこの<中国における「世論」の誕生>である。読んでみよう。
 <2日掲載の本欄で中国における暴動の多発を取り上げたところ、数日後に新疆で大規模な暴動が発生した。やはり筆者の予測通り中国はこれから大変不安定な「多事の秋」に突入していくのか。実は今の中国では暴動とは別の形の「反乱」も静かに進んでいる。政治権力の横暴や抑圧にたいするネット上の反抗である。>
 という前文。時事的で面白いね。
 <今年の6月、中国工業情報部は「緑壩・花季護航」という名のフィルタリングソフトを7月1日から国内で販売されるすべてのパソコンへ搭載を義務づけた。しかし、全国のネットユーザーたちはそれがネット情報の検閲につながるのではないかと危惧して自発的な批判キャンペーンをネット上で展開した。そうすると、義務化前日の6月30日、中国政府は突如、「緑壩・花季護航」導入の延期を発表した。暴動を起こした南康市民の場合と同様、中国のネットユーザーたちも政府をねじ伏せて自らの権利を守るのに成功したのである。中国ではネットユーザーのことを「網民」と呼ぶが、今回の事件はまさに「網民の勝利」として歴史に刻まれるのであろう。>
 網民の勝利、か。すっかりネット社会になっているんだな、中国は。
 <今年5月10日、湖北省巴東県野三関鎮のあるホテルで22歳の女性従業員、鄧玉嬌さんが洗濯をしていたところ、同鎮の政府幹部3人が売春婦と間違え、彼女に紙幣をたたきつけながら性接待を要求した。鄧さんが拒んでその場を去ろうとすると、幹部の1人が出口をふさぎ接待を強要したため、鄧さんが果物ナイフで彼を刺して死亡させた。鄧さんは殺人容疑で逮捕されたが、事件が新聞で報道されると、全国の「網民」たちはいっせいに鄧さんの行為が「正当防衛」であると主張。鄧さんを襲った幹部たちや鄧さんを「精神不安定な危険犯罪者」としてベッドに縛り付けた地方公安に対する批判の嵐を巻き起こした。その中で鄧さんはいつの間にか「官の横暴にただ一人で立ち向かった女英雄」に奉られ「鄧玉嬌事件」の性格は「権力に対する弱者の抵抗」という図式で解釈されることになった。一時、中国のネットは「正義の女神」を擁して権力に盾突く「造反基地」と化した様相だ。些細なことが暴動の火種となりうるのと同様、刑事事件一つで「官民対立」の構図が出来上がったところに中国という国の「国情」がある。>
 こんな事件が起きた。明るみに出たのは氷山の一角に過ぎない、ということだろう。ネット市民、いわゆるネチズンが怒るのは無理ない。
 <そして今度もまた「官」の方は折れた。6月16日に下された地元法廷の1審判決は鄧さんの行為を「過剰防衛」と判定しながらも彼女を即時に「無罪放免」にした。地方幹部の1人が彼女の手で殺害されたことはれっきとした事実なのに「官」は彼女のことをどうすることもできない。「網民」たちの声に押されて不本意な「超法規的措置」をとってしまった。>
 福田赳夫首相だけじゃあなかったのか、超法規的措置は。
 <それらの事例からも分かるように、今の中国ではネットという新しい言論空間を中心に政府の意図や官製メディアによる情報操作とは無関係に、人々の本当の意見を反映できる自律的な「世論」が既に形成されている。それは政府の決定を覆したり法廷の判決に影響を与えたりするという、現実の政治力を持ちはじめているのである。>
 驚いたね、この事実には。
 <ネットという大衆的発信手段が誕生する前、中国に「官論」があっても、「世論」が存在しなかったが、個人開設のブログ数が、すでに1億6000万を超えた今、状況は決定的に異なっている。良識と独自の判断力をもつ「ネット世論」の誕生は、今後の中国に何をもたらすのか。「楽しみ」はまさにこれからだ。>
 中国政府はやりにくくて仕方ないだろう。江沢民氏のプリミティブな愛国心発揚の教育はもうできない。まあ、いいことかな。
◆6月4日<天安門事件20年に想う>
 6月4日は<天安門事件20年に想う>だった。ここでは石氏のパーソナルヒストリーとの交錯が出てくる。
 読んでみよう。
 <今日は6月4日、私にとって終生忘れ難い日である。今から20年前のこの日、北京の天安門広場を本拠地にして民主化運動を展開した学生や市民に対し、中国共産党軍は戦車部隊まで出動して血の鎮圧を行った。中国現代史のもっとも暗黒な一幕である。私自身、まさにこの日に一度「心の死」を体験し中華人民共和国との精神的決別を告げた。それから20年の歳月が流れたが、かの国では何が起きたのだろうか。>
 振り返る。
 <1992年2月、血の鎮圧の決定者であった鄧小平は有名な南巡講話を行い、「経済の発展がすべてだ」と語って市場経済への全面的移行を呼びかけた。それ以来、中国は「経済発展一辺倒」の時代に突入して「成長と繁栄」のわが世の春を迎えた。今から考えてみれば、この時代の出発点となった南巡講話の根っこは、やはり天安門事件にあったのではないか。つまり鄧小平は人民とエリートたちを市場経済の中での富の追求に狂奔させることによって天安門事件に対する彼らの記憶を希薄にし経済の成長と繁栄をもって血の鎮圧を正当化しようとしたのである。>
 そういう見方?
 <その一方、天安門事件の直後に誕生した江沢民政権は南巡講話の発表とほぼ同じ時期から、もう一つの国策級の戦略を打ち出した。「反日教育」の推進とセットにされた愛国主義精神高揚運動の展開である。実はそれもまた「天安門」を強く意識した政権の策略であろう。国民の憎しみを日本という「外敵」に向かわせて共産党の犯した罪をもみ消し、崩壊した共産主義の神話に取って代わって「愛国主義」を政権維持の新しいイデオロギーに奉ったわけである。言ってみれば1990年代初頭から中国の二大「潮流」となった経済成長と愛国主義精神高揚運動の展開はいずれも共産党政権による「天安門善後策」の産物であると理解できよう。そしてこの十数年間における中国の政治的安定と経済の「繁栄」は政権の「善後策」が挙げた魔術的な成果であると言ってよい。>
 論理的にしっかりしている。
 <しかし、ここにきて「安定と繁栄」の時代をもたらした共産党政権の魔術はいよいよその効力を失おうとしている。2005年春、反日教育によって育てられた「愛国青年」の巻き起こした反日デモの嵐は反政府運動へと転化する一歩前となった。それ以来、共産党政権は「愛国攘夷」という両刃の剣を安易に使えなくなったのである。そして2008年からの世界同時不況の影響を受け、対外依存型の中国の高度成長もいよいよ、その終焉を告げようとしている。>
 しっかりしている。
 <その一方、政治改革を頑なに阻みながら資本主義的市場経済をひたすら広げる鄧小平路線が推進された結果、貧富の格差の拡大や腐敗の蔓延などの深刻な問題が生じてきて、政権に対する国民の不満が日増しに高まってきている。そして本欄でも記述していたように、国民的不満の高まりを背景にした「毛沢東崇拝」が今や一種の社会的風潮となっており、体制崩壊への切迫した危機感から、政権による「先軍政治」推進の兆しは見え始めたのである。>
 北朝鮮ではなく中国の話だよね、これは?
 <天安門事件から20年にして中国はふたたび混迷と激動の時代を迎えようとしている。血の鎮圧を代償にして図られた「成長と繁栄」が音を立てて崩れるのは当然の報いだが、この巨大国の今後の行方は、われわれ東アジアにとって、やはり最大の懸念であろう。20年前のこの日、若き命を失ったわが同志たちの魂はいつになったら浮かばれるのだろうか。>
 そうなのだ。中国の興亡は東アジアの運命を変えるだろうから。
◆5月21日<「毛沢東崇拝」競う政治新星>
 5月221日のコラムは<「毛沢東崇拝」競う政治新星>だった。読んでみよう。
 <4月16日掲載の本欄で、中国国民の「毛沢東崇拝」を利用する「野心家」が出てくる可能性について書いたところ、友人や読者から「もうちょっと説明してほしい」との要請があった。もちろん、私がそう書くにはそれなりの根拠がある。実は近年、中国の政界で頭角を現している次世代指導者の候補たちに競って毛沢東という「ご本尊」を奉ろうとする現象が起きているからである。>
 知らない話だ。初めて聞いた。
 <たとえば湖南省省長の周強氏は2007年3月に47歳で省長に就任した時、真っ先に飛んでいったのは同省内にある毛沢東の故郷の韶山である。彼はそこで、省長の最初の公務として毛沢東の銅像に献花し3度のお辞儀をもって礼拝したという。その翌年、彼はまた韶山に「毛沢東広場」を造り12月26日の毛沢東の生誕日を選んで落成式を催したと報じられている。>
 へえー。
 <現在の国務院副総理で温家宝総理の後を継ぐと目される李克強氏も同じようなまねをしている。今年3月、湖南省で地方視察を行ったとき、彼はわざわざ韶山へ赴き毛沢東広場で毛沢東の銅像に礼拝した。>
 李克強氏がねえ、胡錦濤国家主席の系統の人ではないか?
 <もう一人の政治新星である政治局委員・重慶市党委員会書記の薄煕来氏も、毛沢東好きな政治家として知られている。今年4月、彼は民衆からの直訴の処理について見解を述べたとき、わざと58年前に毛沢東の書いた一通の手紙を持ち出して「仕事の指針」としたことが話題を呼んだ。最近、薄氏はまた毛沢東時代にはやっていた27曲の「革命歌曲」を選び出して重慶市の青少年たちに歌わせている。そしてこの5月4日、彼は何と1300万以上の重慶市民の携帯電話に毛沢東礼賛のメールを送信し、毛沢東の言葉を褒めたたえた、と報じられている。一般市民の携帯に何の断りもなくメールを強制的に送信するとはまさに毛沢東流の独裁横暴政治をほうふつさせる強引な権力乱用であるが、とにかく今、中国共産党政権の未来を担おうとする“新星たち”は、そろいもそろって毛沢東を礼拝してその看板を継ごうとしているのである。>
 何があるのか?
 <一方、彼らが鄧小平の故郷を訪ねたり鄧小平像に礼拝したりするような報道はまったく聞かれていない。鄧小平の時代で頭角を現して昇進した彼らはむしろ、先代の毛沢東に「先祖返り」しようとしている。>
 鄧小平は忘れられていく人なのか?
 <今まで、江沢民や胡錦濤などの最高指導者は「最後のカリスマ」の鄧小平に指名されて党の総書記になったわけだが、鄧小平亡き後には、このようなカリスマはもはや存在しない。今後、最高指導者の椅子は次世代候補たちの間で競い合わされる可能性が大だから、上述の新星たちは来るべき「天下取り」の争いにおいて独自の政治路線を打ち出して自前の政治勢力を作っていく以外に勝ち目はない。その際「毛沢東」という一枚看板と毛沢東崇拝者層の存在は彼らにとって大変利用価値の高いものであろう。彼らの中の誰かがこの点に目をつけ、毛沢東の旗印を掲げて毛沢東路線への回帰を唱えることによって党内外の支持を取り付けようと考えていても、何の不思議もない。>
 なるほどねぇ。
 <その際、多くの弊害を生み出してきた鄧小平改革に対する見直しと毛沢東流の社会主義的政治・経済体制の部分的復活が現実の流れとなってくる可能性も十分にあるのである。時計の振り子のごとく左右両極端の間で揺れるのは中国現代史の常だから、混沌を深める今後の中国ではどんなことが起きても別に驚きにはならないだろう。>
 面白い。白髪三千丈の世界というが、これは水滸伝の世界か。
◆4月30日<「カンフル剤」頼りの経済回復>
 4月30日は<「カンフル剤」頼りの経済回復>だった。
 <4月16日、中国国家統計局は2009年第1四半期(1~3月)の経済状況を示す一連の統計数字を発表した。注目の成長率は、前年同期比6.1%増。前四半期(6.8%増)からやや下がったが、下げ幅が縮まったため「景気後退は底を打ったのではないか」との観測も出ている。>
 <中国当局の方はむしろ慎重である。たとえば国家統計局スポークスマンの李暁超氏は記者会見で「中国経済は底を打ったと思うか」との質問にたいし「成長を鈍化させる圧力は依然として大きい」と述べるのにとどまった。この認識はいたって正しい。今の中国はむしろ、本格的な「成長鈍化」時代を迎えたのではないかと思う。>
 成長鈍化時代だ。
 <国家統計局発表の別の数字をまず見てみよう。一つは今年の第1四半期における全国の固定資産投資が「前年同期比28.8%の伸び」となったという数字だ。同時期の経済全体の成長率より5倍近くも高いというあまりにも異常な伸び率である。しかも、第1四半期で新しく着工された建設プロジェクトの投資総額は前年同期比で何と「87%増」。この時期においてすさまじい「建設ラッシュ」が起きたことが分かる。最後にもう一つ、さらに驚きの数字を挙げる。同じ今年の第1四半期、中国の各銀行による人民元建て融資総額は「4兆5800億元」に達した。それは、中国政府が自ら定めた全年度融資限度額・5兆元の9割以上を占めている。つまり、今年の最初の3カ月だけで1年分の融資枠の9割以上がすでに使い果たされたのである。>
 <ここまでくると、中国の「経済回復」の実態はもはや明々白々である。要するに「保八」(8%以上の成長率を達成する)という中央政府の至上命令一つで国有銀行は政府部門や企業に対してなりふり構わずの資金供給を行い、政府部門や企業はそれをもってやりたい放題の固定資産投資拡大を進めた。その結果「成長率6.1%」という実績がやっと達成された、というのが今の中国経済の実態なのである。だが、今まで中国経済を苦しめてきた一つの構造上の大問題は、まさに需要の不足に対する投資の過剰化ではないのか。インフラ投資や設備投資の継続的拡大で経済成長を引っぱってきたが、伸び悩む個人消費がそれに追いつかず、「産能過剰=供給過剰」の問題が深刻化してきた。本来ならこのアンバランスの解消こそ中国経済にとっての急務だが、今の中国政府はむしろ「産能過剰」をさらに深刻化させるような方向で「投資拡大」の暴走を始めたのである。それは、「カンフル剤」の大量注射に頼っての「景気対策」というしかないが、中国経済の長期的成長性は、むしろそれによって奪われたのではないか。>
 <同じ国家統計局が発表した別の数字では2009年1~3月、中国の社会消費財小売り総額は前年同期比「15.0%増」となり、伸び率は2008年通年の「21.6%増」を大きく下回っているという。以前よりも低迷を深めた消費は、もはや経済回復の助けにはならないのであろう。そうすると中国政府は今後よりいっそうの投資拡大に頼って景気回復を図っていくしかないだろうが、そのためには、放漫融資も過剰な固定資産投資も、さらに大きな規模でやっていく以外に手はない。言ってみれば「カンフル剤」を「カンフル剤」と承知しながらそれを使っていくしかない所に今の中国政府の悲哀と中国経済の絶望がある。>
 こういう主張が繰り返される。
 石氏のコラムは面白い。いずれ、時間をみながら、産経新聞のHPにある分は読んでみよう。
 石氏も天安門世代だったんだ。

| | コメント (0)

ゴールドバーグ氏は対北朝鮮強硬派の立派な仕事師なのか?~朝鮮日報09年8月27日

 朝鮮日報は09年8月27日朝刊の日本語版HPにワシントン支局の李河遠特派員の署名記事として<米国務省、高官訪朝を明確に否定>という見出しの記事を掲載していた。米国オバマ政権が北朝鮮に強硬姿勢で当たる、韓国にも簡単に妥協しないように釘を刺したというのだ。本当かね? 本当だったらいいのだが。コピペして読んでみよう。

 <米国務省は25日、米高官による訪朝計画はないことを公式に明らかにし、北朝鮮がまず6カ国協議への復帰と非核化の履行という基本原則に同意することが必要だとの立場を改めて強調した。国務省は「ボスワース北朝鮮問題担当特別代表も、6カ国協議のソン・キム首席代表も現時点で訪朝計画はない」とした。これに先立ち北朝鮮はボスワース特別代表の訪朝を求めたほか、リチャードソン・ニューメキシコ州知事を通じても米国との対話を要求していた。オバマ政権が北朝鮮による半ば公開的な対話要求を断る背景には、ゴールドバーグ対北朝鮮制裁調整官が主導する国際社会の対北朝鮮制裁が効果を挙げているという判断があるためだ。>

 ゴールドバーグという人のスタンスは一体何なのだろう? 強硬派と見ていいのかどうか? 最近は米高官を強硬派だと思って安心していると、いつの間にか軟弱派に様変わりしてしまうことが多いから、簡単には信用しないことにしている。

 <ゴールドバーグ調整官が、今年6月からオバマ政権で国連安全保障理事会決議1874号に基づく対北朝鮮制裁を担当するに当たり、最も重点を置いているのは、北朝鮮の資金ルートを遮断することだ。アフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック特別代表と同様、ワシントンの外交筋が「目標を達成するために、手首をひねる技術に優れている」と評するゴールドバーグ調整官は、重ねて北朝鮮の疑わしい国際商取引を断つ姿勢を示してきた。>

 手首をひねる? 何のことだ? 手首をひねられたら痛い。それだけでなく、力が入らなくなる。何のたとえなのだろう?

 <ゴールドバーグ調整官はこれまで、各国政府幹部や金融業界の有力者と相次いで会い、北朝鮮との金融取引に伴う違法リスクを強調した。そのためには、米財務省が入手している北朝鮮の海外金融活動に関する情報を活用している。米国は2005年に北朝鮮の資金2500万㌦(現在のレートで約23億5580万円)を凍結したマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の事件と同時に、北朝鮮との金融取引の疑いが指摘された海外金融機関に関する情報を詳細に把握した。当時その作業に関与したウィリアム・ニューコム氏は先月、本紙の取材に対し、「BDA以外にも疑わしい銀行が複数ある」と証言している。>

 これが本当ならいいのだが。

 <ゴールドバーグ調整官は北朝鮮が対外貿易の窓口として活用している企業、金融機関を注視し、疑わしい動きを示す機関に関しては、該当国に協力を要請している。2005年にBDAが北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与していると名指しされると、全世界の金融機関はBDAとの金融取引を避けた北朝鮮との金融取引に関与した東南アジア、中国の銀行も、ゴールドバーグ調整官の協力要請を無視すれば、直ちに国際金融界での孤立につながることをよく知っており、緊張している。>

 この脅しが一番効くのだろう。

 <ゴールドバーグ調整官は特に北朝鮮の金正日総書記による贅沢品購入に関連する借名取引を発見することにも力を入れているという。このため北朝鮮が東南アジアで拠点としているマレーシア、シンガ ポール、タイでの活動は困難になるとの観測が出ている。>

 <ゴールドバーグ調整官は26日、東京を訪問し「われわれが求めているのは対話ではなく、非核化実現という目標のための協議だ」と述べ、北朝鮮が2005年9月の6カ国協議共同声明で約束した非核化に着手するまで、制裁が続くことを明確にした。>

 <米国務省はまた、ゴールドバーグ調整官の役割を強調し「ボスワース代表の訪朝計画はない」とあえて表明することで、韓国、北朝鮮双方にメッセージを送ろうとした。北朝鮮には非核化プロセスに速やかに復帰することだけが対話に向けた道だとの点を強調。韓国政府に対しても、無条件で南北対話を再開すべきとの韓国国内の流れに対するオバマ政権の否定的な立場を伝えた格好だ。>

 これがよく分からない。昨日だか一昨日だかには米国は南北共同作業の再開にゴーサインを出したのではなかったか? やはり、米国の対北朝鮮外交は揺れ続けているのだろうか?

| | コメント (0)

2009年8月26日 (水)

北朝鮮の金脈を遮断した国連決議1874号だ、と~中央日報09年8月26日

 韓国の中央日報09年8月26日に[ニュース分析]<北「金脈」遮断した国連決議1874号>が掲載されていた。
 本文は次の通り。
 まずはキーワード的な説明だ。
 <国連決議1874号 国連・安全保障理事会が北朝鮮が行った2回目の核・ミサイル発射実験を受け、今年6月25日に採択した対北決議。小型兵器を除いた北朝鮮のすべての兵器関連物資の輸出を禁止し、兵器を輸出する北朝鮮の貨物船を公海上で検査できるよう定めている。また北朝鮮の兵器開発に使用できる金融取引を全面的に遮断した。>
 そして、本文だ。
 <北朝鮮が同国の核問題に関連、速やかに米国との交渉モードに転じる雰囲気だ。最近ビル・クリントン元米大統領の訪朝を通じ拘束中の米国人女性記者ら2人を解放した後、従来の立場を180度に変え北朝鮮担当のボスワース米特別代表あてに招待状を送った。米国務省のケリー報道官は24日(現地時間)「この約1カ月間の雰囲気は北朝鮮がミサイルを発射し女性記者らを拘束した状況に比べれば間違いなく生産的」と述べた。オバマ政権の政府当局者らと米ワシントンのシンクタンクの韓半島専門家ら全員は北朝鮮を交渉の方向に転じさせた決め手に「国連安全保障理事会の対北制裁」を選ぶ。国際社会の連携を通した対北制裁の威力を新たに実感する雰囲気だ。ワシントンの韓国大使館当局者は24日「クリントン長官、スタインバーグ副長官、キャンベル次官補(東アジア太平洋担当)など北朝鮮政策を主導する国務省のラインは国連安保理の対北制裁決議1874号が確実な効果を出していると判断している」と伝えた。>
 <この当局者は続いて「北朝鮮の出方は非常に単純」とし「国連決議1874号で北朝鮮に流入する金脈が遮断されたのが、北朝鮮が変化した直接の原因」という認識を表した。国連は、すべての加盟諸国に義務付けられた強力な制裁決議1874号をもとに、北朝鮮企業8社の海外資産を凍結し、北朝鮮の寧辺の核開発総責任者ら5人の旅行を禁止させた。>
 <新しいポストを設けて任命されたゴールドバーグ対北制裁調整官とブッシュ政権当時に「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の北朝鮮口座の凍結を主導したリービー財務次官は中国・タイ、マレーシア、ミャンマーなど北朝鮮の主な取引先を次々と訪問、決議内容の徹底した履行を督励した。特にリービー次官は国際社会に対し「全世界のいかなる企業や金融機関も、北朝鮮に関連した企業との取引が、国連決議により違法になりうるとの点を念頭に置くべき」と強調した。米ワシントンの外交筋は「事実上、北朝鮮の資金源が世界的に遮断されつつある」とし「北朝鮮の立場としては、より重要な人物や企業に対し、追加の制裁措置が取られるのを非常に恐れたのだろう」と述べた。続いて「こうした措置の効果を認めた米国は、北朝鮮が具体的な非核化の措置を取らない限り、国連の制裁を中断しないだろう」という見方を表した。オバマ米政権は、こうした結果をもたらしたことには、中国の協力が最も大きな力になったと見ている。今年4月、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射に踏み切った際、国連は、中国が拒否したため北朝鮮を非難する議長声明の採択にとどまった。>
 <外交筋は「ブッシュ前政権時代も北朝鮮の核関連人物への制裁策を数回作ったが、“行き過ぎる”という中国の拒否により1回も採択されていない」と伝えた。同筋は「米国が北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の枠組みを維持しようとする理由には、中国の介入を通じ北朝鮮への圧迫を極大化する狙いも含まれている」とした上で「中国との持続的な連携づくりが核交渉の成敗を決める重要な決め手のひとつ」という認識を示した。>
 本当かね、そんなに国連決議って効き目があるのかな。どうもそうではないのではないか、と思うのだが。

| | コメント (0)

10月1日の建国60周年前に中国で緊張が高まっている、と:胡錦濤国家主席はウルムチを訪問していた~日経新聞09年8月26日朝刊

 10月1日の建国60周年祝賀大会を前に中国で緊張が高まっている、という。日経新聞が09年8月26日朝刊国際面トップでまとめていた。見出しは<10月に建国60周年式典.中国、緊張高まる/共産党がウイグル対策班/市民80万人を治安に動員>だった。北京支局の尾崎実特派員の署名記事である。
 <10月1日の建国60周年祝賀大会を前に中国共産党・政府が治安対策に全力を挙げている。10月は共産党が新疆ウイグル自治区の実効支配を果たしてから60年の節目にも当たることから、同党はウイグル独立派によるテロ撲滅に向けた専従班を新設。北京では市民ボランティア80万人を警備に動員するほか、暴動が発生すれば治安担当者の評価を取り消す新たな人事制度も導入した。>
 という前文。えげつない、というか、暴動抑止を人事評価に結びつけるなんぞ、戦中の日本の「隣組」から学んだのかな? 北京でどうやってボランティアを集めたのだろう? ボランティアとは言っても、実際にはカネを払っているのだろうとは思うのだが。
 <10年ぶりの大規模軍事パレード実施など、胡錦濤指導部が威信を賭けて開く国家行事が約1カ月後に迫り、未曽有の警戒態勢で臨んだ昨年8月の北京五輪を上回る緊張が中国各地を覆い始めた。>
 と、日経のHPにはここまでしか載っていない。あとは新聞を買って読んでね、という商売上手。日経新聞はネット利用の先鞭を付けただけあって、ネットと紙の新聞のコラボレーションがうまい。というか、切り分けがうまい感じがする。価値ある情報はネットには出しませんよ、といいながらチラリズムで見せる。そうすると読みたくなった人は新聞を買う。それが続けば、日経新聞を月極めで購読するようになる、という仕組みだろう。
 そううまくいくかどうかはさておき、その戦術自体は素晴らしいと思う。何も考えずに新聞社の命ともいえるコンテンツを二束三文でばら売りしているバカ新聞社が多い中で、その戦略性は際立っている。
 <共産党関係者によると同党は8月、ウイグル独立派の地下活動を監視する専門アチ策チームを秘密裏に設置した。7月5日に起きた新疆ウイグル自治区ウルムチ暴動の日付から名称は「705弁公室」。31の省・自治区・直轄市の国家安全・公安機関のほか、治安問題を担当する各地の党政法委員会も同弁公室の指揮系列下に入る。>
 ものすごく大規模な組織なのだ。
 <公安省がテロ組織と認定する「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」など独立派に関する情報収集とテロ対策の立案が主な任務。「北京や新疆ウイグル自治区だけでなく、国内全域の治安部門を投入し、分離活動を根絶するのが目的」(党関係者)だ。>
 なるほどね。東トルキスタン・イスラム運動なども視野に入れて、広げたのか。
 <共産党・政府は10月1日の国慶節(建国記念日)に北京で軍事パレードを目玉にすえた祝賀大会を計画しており、万全な治安態勢の構築が急務。公安当局者によると、中国当局は大会100日前の6月23日に北京で開いた治安会議で①反テロを目的にした少数民族対策②民主活動家らの徹底監視③出稼ぎ農民(農民工)ら流動人口の管理強化――に警備の重点を置く方針を確認した。>
 10月1日に暴動が起きては国家の恥だからね。
 <会議では社会安定を徹底させるため、各地の治安担当者への厳格な評価システムも打ち出した。管轄区域で暴動が1度でも起きた場合、発生地の責任者の人事評価を取り消す「1票否決」制度を導入するという。>
 何かよく分からないシステムだが、中国のエリートにとっては相当に厳しい制度なのだろう。
 <北京市政府が首都の治安維持に動員する80万人の民間警備ボランティアは居住区ごとに組織され、市公安曲の指導下で不審者の有無に目を光らせる。農民工らが多数働く娯楽施設などでは制服警官が頻繁に巡回。ウイグル族と並び独立志向の強いチベット族が集まる四川省・九秦溝の空港でも各搭乗口で武装警察官が監視を続ける。北京五輪の際に投入した警備要員(官民で約100万人)に匹敵する態勢だ。>
 すごいね。ようやくイメージが湧いてきた。あの北京五輪並みの警備体制を敷くというのだ。聖火リレーのランナーを警備の警官が囲んで、聖火が見えなかったことを思い出した。今度は何が見えなくなるのだろう?
 <各地に厳戒ムードが漂う中、今月24日、北京の市街地を走る地下鉄で爆弾が仕掛けられたとの通報があった。爆発物は見つからなかったが、地下鉄路線は軍事パレードのコースとなる大通り、長安街に近い。当局が今後、治安対策を一層強化するのは必至だ。>
 そうか。地下鉄か。「爆弾を仕掛けたよ」といういたずら電話だけで地下鉄は止まり、交通は麻痺する。10月1日にそれをやられたらたまらないだろうなぁ。
 <北京の警備関係者は「昨年の北京五輪は警備態勢を組む上で国際社会の目に配慮したが、今回は純粋な国内行事。当局内部では『五輪を超える綿密な治安維持を実施せよ』との指示がでている」と指摘した。>
 という結びだった。
 それと、関連した記事があった。
◆<中国主席が新疆視察 治安回復アピール>
 <中国主席が新彊視察/治安回復アピール>という記事も日経新聞09年8月26日国際面3段で掲載されていた。これも北京の尾崎実特派員の記事だ。
 読んでみる。
 <中国の胡錦濤国家主席は25日までの4日間、新疆ウイグル自治区を視察し、地元幹部を前に「新疆の社会安定と民族団結を堅持せねばならない」と強調した。国営新華社が同日伝えた。7月5日の大規模暴動以来、胡主席が同自治区を訪れたのは初めて。自治区内の治安回復をアピールするとともに、暴動の再発防止に向け改めて引き締めを図る狙いがあるとみられる。>
 ウルムチに入っていたのか、胡錦濤国家主席は。相当な決意で入ったのだろうなぁ。
 <25日に区都ウルムチで開かれた幹部会議に出席した胡主席は「暴力犯罪を断固阻止し、ウルムチの安定を回復させた」と治安関係者らの労をねぎらう一方、暴動の犠牲者と遺族らに哀悼の意を示した。>
 中国共産党の無謬神話を継承する国家主席としては、この騒ぎは「暴動」でしかないのだろう。国際的評価は年月によって変化するのだろうか?
◆中国全人代委員長、20年ぶり訪米 大統領らと会談へ
 <全人代委員長20年ぶり訪米/大統領らと会談へ>という2段記事も同じ面についていた。これは北京支局の佐藤賢特派員の署名記事だった。
 <25日の中国国営中央テレビによると、共産党序列2位の呉邦国・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)委員長が31日から9月12日までキューバ、バハマ、米国を訪問する。日本の国会議長に当たる全人代委員長の公式訪米は1989年6月の天安門事件直前に万里氏が訪問して以来、約20年ぶりとなる。>
 ということで、
 <呉委員長の訪米はペロシ下院議長の招待で、オバマ大統領とも会談する見通し。米議会は人権問題や貿易不均衡を巡って対中強硬派が多く、天安門事件以降に中国の国家主席や首相は訪米したものの、全人代委員長の公式訪米は実現していなかった。呉委員長の訪米は2007年秋や2008年春にも検討されたが、チベット問題などを背景に見送られていた。>
 ペロシ氏はオバマ大統領をうまく助けている。今回は議会をうまく親中国にもっていけるかどうか、だろうが、成功が約束されているようなものだ。
 <オバマ政権は最大の米国債保有国の中国に国債購入を続けてもらうため、人権や人民元問題への深入りを避ける場面が目立っている。呉委員長は訪米で、世界の景気回復に向けた協調や地球温暖化問題などでの協力を確認する見通しだ。>
 最後の文章が新聞では削られていた。
 これも国慶節を見据えた動きだろうね。
◆北朝鮮、対米協議先行訴え 中国次官に
 ついでだから、こんな記事もコピペしておこう。同じ日経新聞09年8月26日国際面ハコ記事。見出しは<対米協議先行 北朝鮮が訴え/訪朝の中国次官に/「6カ国」復帰は拒否>。つまり新しい内容はなさそうな記事だが。これも北京支局の佐藤賢特派員の署名記事だ。
 <北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の議長を務める中国の武大偉外務次官が17~21日に北朝鮮を訪問した際、北朝鮮側が6カ国協議への復帰を改めて拒否する考えを伝えていたことが25日、明らかになった。北朝鮮は一方で米国との協議を先行する必要性を訴え、2国間対話を重視する北朝鮮の戦術を鮮明にした。>
 武大偉・中国外務次官かぁ。2001年から2004年の駐日大使だた人だ。
 <武次官は訪朝で楊亨燮・最高人民会議常任副委員長、朴義春外相、金桂官・外務次官と会談した。6カ国協議筋によると同協議への復帰を促した武次官に対し、北朝鮮は拒否する立場を変えなかった。ただ「永遠に終わりを告げた」などの強い表現は使わなかったもようだ。>
 ネットではここまで。新聞を書き写す。
 <北朝鮮は同時に米国の核の脅威に対抗して核開発を進める立場から、米国との話し合いが必要との見解を説明した。武次官は北東アジアの平和と安定のため、朝鮮半島の非核化を重ねて要求。6カ国協議の枠内で米朝や日朝の2国間対話を進めるべきだと訴えた。>
 これも北朝鮮が前から言っていたことだ。逆に、このニュースで見るべきは武次官の話しぶりだろう。北朝鮮との距離がにじみ出ているから。
 <6カ国協議を巡る溝は埋まらなかったが、高官協議が再開し、5月に北朝鮮が2度目の核実験に踏み切って冷え込んだ中朝関係は一定の段階まで修復した格好だ。中国は今後の北朝鮮の動きを睨みながら、戴秉国国務委員(外交担当)らを特使として北朝鮮に派遣することを検討しているとみられる。>
 以上である。つまり、高官級んぼ行き来が復活したことがニュースだったわけだ。

| | コメント (0)

2009年8月25日 (火)

ゴールドバーグ氏の「金剛山観光OK」発言→北朝鮮が外貨で核開発の恐れ~読売新聞09年8月25日朝刊の書いている通りだよ

◆李明博大統領への「呼び捨て」報道

 本当はどうだったのか、はその後の当事者の言動である程度推察できるものなのだが、これはトリックなのか、それとも素直な反応なのだろうか? 北朝鮮の李明博大統領への呼び捨て報道である。やっぱり李明博大統領が金正日総書記の提案を蹴飛ばした、という青瓦台の発表が正しそうだね。つまり、李明博氏は日本に義理立てしてくれている。ありがたいことだ。国内的に苦しい立場にならないように、全力で支えるべきだと思う。
 読売新聞09年8月25日朝刊国際面ハコ<「李明博」呼び捨て/北メディア/「対北支援優先と決別」に不快感?>である。ソウル支局の前田泰広特派員の署名記事だ。
 <韓国の李明博大統領と北朝鮮高官らが23日に行った会談は、李政権が民族の同一性を強調しながら対北支援を優先してきた過去の左派政権路線との決別を、北朝鮮側に直接伝える機会となった。会談開催などを伝える際には、李氏を大統領の呼称付きで報じた北朝鮮メディアは24日、「李明博」と呼び捨て扱いで批判し、不快感をあらわにした。>
 ということだって。「李明博大統領」と報道していたのに、急に「李明博」に変わるって、ものすごく分かりやすいが。
 <大統領府高官は23~24日、李政権の対北朝鮮政策を説明する際、2008年まで10年間続いた左派政権からの転換を象徴するキーワードとして「パラダイム・シフト(枠組みの転換)」という言葉を頻繁に使った。高官は「同じ民族という南北関係の特殊な枠組みに閉じこめられていてはいけない」と指摘、「南北が普遍性と国際秩序に適合した関係になることによってこそ、南北関係は一段階進歩する」とこの言葉の真意を説明する。>
 パラダイム・シフトしたのだ、と言っても最初は北朝鮮の人々はきょとんとしていたのではなかろうか? そのうちに分かってから猛烈に怒ったとは思うが。
 <李大統領は就任直後の昨年3月「時代のパラダイムは変わった」と演説し、南北問題も「排他的な民族主義では解決できない」と述べている。今回、金正日総書記のメッセージがあるにもかかわらず、李大統領が実際の会談日を北朝鮮からの面会要請の翌日に先送りしたのも「外国からの弔問団の表敬訪問の一環」と位置づけ、特別扱いしない姿勢の表れだったとみられる。>
 偉い!さすがは李明博大統領だ。
 <北朝鮮メディアは李政権を批判する際「我が民族同士」との表現を使って、南北の同胞意識を高揚させようとしてきた。22日には「民族の利益は眼中にない」と李大統領を批判していた。>

◆米国の腹が分からないなぁ、なぜ南北を進めようとするのか?

 これは久々にスキッとした記事だったのだが、このハコ記事の横のトップ記事<「金剛山」巡り南北協議も/「国連決議抵触せず」米見解/外貨で核開発の恐れ?>にはほとほど嫌になってしまう。
 昨日書いておいた通り、ゴールドバーグ米国務省調整官が金剛山観光事業は国連制裁決議に反しないという見解を明らかにしたことで、韓国と北朝鮮の間で観光事業再開に向けた協議が始まる可能性が出てきたのだが、再開されれば北朝鮮が事業で得た資金を核開発に使う危険性は否めない、という内容である。
 韓国外交通商省はすでに観光事業は核や大量破壊兵器の開発に直接関係がなく民間企業による商行為だということで、制裁決議の対象にならない、という考えを示していたそうだ。米国の「お墨付き」を得て、韓国政府内では仮に事業を再開しても対北朝鮮制裁の国際的な枠組みは損ねないという安堵も広がっている、という。

 きっとニューヨーク・ルートで相当に話をしているのだろうと思う。だから、間髪いれずにゴールドバーグ氏の談話が出るのだろう。米国は本当に米朝2国間をやるつもりなのか? 

◆ボズワース氏の訪朝だってさ

 ワシントン支局の本間圭一特派員の<ボズワース氏 訪朝検討 来月上旬にも>がこの記事の後ろに2段見出しでついていた。ボズワース米政府特別代表(北朝鮮担当)が9月上旬にも北朝鮮を訪問する計画が検討されているのだという。実現すれば、核問題を巡りオバマ政権下で初めて行われる米朝の公式協議となる、と書いてある。
 米政府筋によるとクリントン元大統領の訪朝を受けて8月中旬頃から具体的な検討に入っていたのだそうだ。
 <北朝鮮がニューヨークの国連代表部などを通じ、受け入れに前向きな意向を伝えてきたという。現状では9月中旬までに日中韓の3カ国を歴訪し、その間に訪朝する案が検討されている。ソン・キム米6カ国協議担当特使が同行し、金正日総書記と面会するとの情報もある。>
 というのがすべての情報みたいだ。やっぱり、今回もニューヨーク・ルートだった。キッシンジャー元国務長官は絡んでいないのかどうか?
 ただ、本間特派員は、
 <米国は朝鮮半島の非核化と北朝鮮に6カ国協議復帰を求める姿勢を堅持しており、訪朝に向けた水面下の調整で対立が埋まらず、計画が見送られる可能性もある。>
 という逃げも打っていた。
 この<外貨で核開発の恐れ>が最もきつい。今のところ、李明博大統領ががんばってくれているが、韓国の人口に半分は北朝鮮に汚染されていると見たほうがいいから、油断は禁物だ。日本の外交当局と政治家の機敏な対応待たれるのだが……。

| | コメント (0)

2009年8月24日 (月)

結局、米国=北朝鮮VS.日本が李明博・韓国大統領を自陣営に引っ張り合っている、という構図なのか? しっかりしろよ!日本のマスメディアは!~産経新聞、朝鮮日報09年8月24日

◆米政府が南北事業再開を認めた
 そらね、米国だって韓国だって勝手なんだから。日本は李明博大統領をきちんと支えていないと、どんな置いてけぼりを食らうか分かんないよ。
 産経新聞HPに09年8月24日午後8時過ぎにアップされたニュースだ。タイトルは<北制裁/金剛山観光再開は国連決議に抵触せず/米調整官>である。ソウル支局の水沼啓子特派員の記事だ。読んでみよう。
 <オバマ米政権で対北朝鮮制裁を担当するゴールドバーグ調整官は24日、訪問先のソウルで記者団に対し、韓国の現代グループが北朝鮮側との間で合意した金剛山や開城の観光事業の再開について、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議には抵触しないとの考えを示した。北朝鮮に多額の外貨をもたらす両観光事業については批判も多いが、米国の“お墨付き”を得たことから、今後南北間で再開に向けた動きが本格化する可能性も出てきた。>
 そういうことなのだ。米政府は北朝鮮に核開発のカネが流れ込むのをストップするつもりはないのだ。
 <この日、6カ国協議の韓国首席代表、魏聖洛・朝鮮半島平和交渉本部長と会談した後で語った。ゴールドバーグ調整官は米朝の直接対話について「今後ないとはいえない」と可能性は否定しなかった。その上で「ただ米朝対話があるとしても6カ国協議の枠組みの中で行われる」と述べた。調整官はまた北朝鮮が最近、柔軟路線に転じたような姿勢を示しているものの「核開発などにかかわった北朝鮮の企業や人物に対し金融制裁を含めた安保理の制裁は続ける」と、対北制裁に変化がないことを改めて強調した。>
 そう言っておかないと日本が不信の目で見るから、一応は言っておこうというのだろう。信用できないなあ。
 <金剛山観光は現代グループ企業の現代峨山が実施してきたが、昨年7月に韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺されて以来中断。同じく現代峨山が事業主体の開城観光も昨年12月に中断している。北朝鮮にとっては対北制裁の影響で外貨獲得が難しくなっており、観光事業の早期再開により外貨収入を確保したい意向とみられている。>
 北朝鮮はうまい。外交のプロだ。日本の外交官は北朝鮮に留学して外交を学ぶべきではないか。
 <一方、24日付の一部の韓国紙などは北朝鮮の弔問団が23日に李明博大統領と面会した際「南北首脳会談を希望する」という金正日総書記の口頭メッセージを伝えたと報道。これに対し韓国青瓦台(大統領府)は「南北首脳会談関連の話は一切なかった」と全面的に否定した。>
 これは朝鮮日報。8月24日付の朱庸中記者の署名記事で<弔問外交/北朝鮮、南北首脳会談を提案>の見出し。記事は以下の通りだ。
◆朝鮮日報8月24日の記事
 <金己男朝鮮労働党書記を筆頭とし北朝鮮が派遣した故金大中元大統領国葬弔問団は23日、韓国大統領府を訪問し李明博大統領と会談した。席上北朝鮮側は南北協力の必要性を強調するとともに「李明博大統領に会いたい」という意向を盛り込んだ金正日総書記のメッセージを伝えた。韓国政府筋が明らかにした。金己男書記は金正日総書記のメッセージを起立して朗読したという。>
 という前文で、
 <大統領府の李東官報道官によると北朝鮮弔問団は南北協力の進展に関する金正日総書記の口頭メッセージを伝え「南と北が協力し、あらゆる問題を解決していくことを望んでいる」と表明した。李大統領は席上、韓国政府が首脳会談も含め、いかなるレベルでも北朝鮮と対話を行う用意があるが、関係を正常化するためには、核放棄が可能だという北朝鮮側の意思表示が必要だと強調した。李大統領は「核問題を(米国とだけでなく)南北間でも話し合おう。われわれが乗り出せば、(事態は)思ったよりも容易に解決可能だ」との趣旨の発言を行ったという。>
 <これに対し、弔問団は米朝関係の特殊性など北朝鮮のこれまでの立場を説明し、核問題への言及を避けたという。それでも李大統領は、北朝鮮が核を放棄すれば北朝鮮経済と北朝鮮住民の生活を画期的に改善できる国際協力プログラムを積極的に実行したいと述べるなど「非核・開放3000構想」に基づく自身の対北朝鮮政策が本心であることを詳細に説明した。李大統領はこうした意向を金正日総書記に伝えてほしいと求め、弔問団は「そのようにする」と答えたという。>
 <大統領府関係者は「今回の会談を契機に、南北の高官級当局者による対話が必要だという共通認識が出来上がった。ただ、いつ、どんなレベルで対話が行われるかはまだ予断できない」と述べた。同関係者は「北朝鮮は首脳会談の必要性に言及したが、原則的で修辞的な表現にとどまっている。まだ現実性はない話だ」との認識を示した。>
 <北朝鮮はこれまで韓国を敵対視し、韓国の頭越しに米国と対話する路線を取ってきた。それが積極的な対話姿勢を示したことは少なからぬ変化だが、金大中、盧武鉉政権時代と同様、核問題を議題から外した南北対話再開を主張した格好だ。一方、韓国政府は非核化が南北対話の前提条件ではないが、必要条件だという原則を公式に伝え、そうした原則を北朝鮮が受け入れれば、関係正常化が可能だとの立場を明確にした。大統領府関係者は、今後南北関係に変化が表れるかどうかは、弔問団から李明博大統領の口頭メッセージに関する報告を受けた金正日総書記がどんな決定を下すかにかかっていると指摘した。>
 この報道を青瓦台は否定したのだが、真相は分からない。
◆北朝鮮「労働新聞」が韓国大統領面会を1面掲載
 だそうだ。共同通信の配信を産経新聞がHPに8月24日午前11時過ぎにアップしていた。
 <北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は24日付の紙面で韓国の金大中大統領の死去を受けて派遣された朝鮮労働党の金己男書記率いる弔問団が23日に李明博大統領を表敬、平壌に戻ったことを1面に掲載した。また、現在行われている米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」に関する論評を掲載、米国とともに「南朝鮮(韓国)の好戦狂」と韓国についてもこれまでと同様に批判した。しかし、非難は「米国は朝鮮半島の平和を決して望んでいない」などと主に米国に向けられ、李大統領への言及はなかった。>
 変なの。北朝鮮が韓国の援助を喉から手が出るほど欲しがっていることは確かだ。李明博大統領がどこまで我慢できるか、だ。核兵器を廃棄すれば日本だって幾らでもお金をあげるのに。
◆8月24日朝刊の黒田論文
 産経新聞8月24日朝刊3面トップ<窮地打開 韓国を利用/北著据えん 弔問対話攻勢>はソウル支局の黒田勝弘特派員の記事だ。
 <北朝鮮が金大中元大統領の葬儀を機に韓国との“弔問対話”に踏み出した。金正日総書記は弔問団を通じ李明博大統領に「南北関係進展に関する口頭メッセージ」を伝えたという。北朝鮮から李明博大統領へのメッセージは初めてだ。これまで非難、罵倒を繰り返してきた北朝鮮の対韓姿勢に“変化”がうかがわれる。>
 <北朝鮮は李明博政権に対しては「凶悪な民族反逆集団の李明博一味」(14日、民主朝鮮)「反統一、対決のみの逆賊集団」(11日、労働新聞)などと非難してきた。それが対話に転じたのだ。先には開城工業団地で連行され“人質”になっていた韓国企業、現代峨山の職員を解放し、南北通行規制の緩和、観光事業再開なども言い始めている。韓国との関係改善を探っているようだ。背景には金大中元大統領の業績として内外で「初の首脳会談実現など南北和解・協力」がたたえられていることがある。金大中氏が進めた積極的な対北支援・協力政策に注目し韓国や国際世論を対北支援に誘導しようという狙いだ。>
 機を見るに敏なのだ。うまいね、北朝鮮は。
 <弔問と対話のジェスチャーで韓国世論を和らげ、李明博政権の対北強硬姿勢を変えさせ、支援・協力再開という“実利”を得ようとしているのだ。実利のため対韓対決からの「一歩後退」だが、弔問を理由とした対話だから名分は立つ。北朝鮮にとって南北対話再開あるいは南北関係改善の印象は、最大の狙いである対米交渉実現や対米関係改善にプラスに働くとの計算もあるだろう。北朝鮮と韓国の対決や緊張が続いたままでは、米国としても北朝鮮とは対話しにくい。>
 <一転して「逆賊集団」「逆徒李明博」との接触、対話に乗り出そうというのだから、北朝鮮の内部事情はかなり切羽詰まっていると考えていい。それは「2012年問題」と後継者体制づくりである。金日成生誕100年・金正日満70歳の2012年を「強盛大国」の目標にしてきた北朝鮮は、核武装など軍備強化とともに、生活改善で国民に安心と安定感を与えなければならない。金総書記の健康問題も切実だ。できれば1980年以来、開かれていない労働党大会も開催し、後継体制を固めたい。韓国との関係改善でもたらされる外貨や肥料など多くの支援は経済的効果が大きい。また南北の緊張緩和は国際社会での北朝鮮のイメージ改善につながる。国内情勢安定のため韓国を利用する方向に当面、路線転換したようだ。>
 それは分かった。今まで言われていることだ。
 <北朝鮮は困れば態度を変えてくる。今回の姿勢変化は「北から泣きが入った」ともいえる。これに対し李明博大統領は対北支援の前提として「核放棄の決断」(8.15演説)という原則を強調している。韓国は北朝鮮の融和的ジェスチャーに応じ、金大中大統領など過去の政権のように見返りなしで実利を与えるのか、それとも今回は原則重視で国際社会と協調し核問題解決にこだわるのか。対応が注目される。>
 そうだ。流石に黒田氏だ。見るべきところをちゃんと見ている。こういう問題ではやっぱり黒田論文を頼りにするしかない、ということだ。

| | コメント (0)

ガス田「白樺」にまた中国船+日中首脳会談は9月下旬とか~読売新聞09年8月24日夕刊、25日朝刊

 読売新聞09年8月24日夕刊2面2段<ガス田「白樺」また中国船>は困ったものだ。
 <日中政府が共同開発で合意した東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)に中国船が横付けされ、何らかの作業を行っていることが24日、わかった。政府関係者が明らかにした。政府は中国側に船の目的などを照会している。関係者によると、船は今月中旬に確認された。現時点では白樺周辺で掘削など開発に向けた動きは見られないという。政府は掘削などが始まれば、日中両政府間の合意違反になるため外交ルートで厳重に抗議する方針だ。白樺では7月にも中国船数隻が横付けされ、資材搬入や海上施設(プラットホーム)増築などの動きが確認された。この際、中国は日本の照会に対し「維持管理のための作業を行っている」と説明した。>
 これだけの記事だが、中国はどういうつもりなのだろう?

◆日中首脳会談、9月下旬に開催へ…政府調整
 これも読売新聞である。8月25日朝刊2面2段記事<日中首脳会談 来月下旬/政府調整>だ。
 <日中両政府は24日、9月下旬に米国で開かれる金融サミットなど一連の国際会議にあわせ、日中首脳会談を開く方向で調整に入った。会議には胡錦濤・中国国家主席が出席する予定で、8月30日の衆院選の結果、民主党の鳩山代表が首相となれば初顔合わせとなる。会談では両国関係の強化を中心に意見交換を行う予定だ。中国は建国60周年を迎える10月1日の国慶節(建国記念日)までは内政に重点を置く構えで、東シナ海のガス田問題などの協議は10月以降の首脳会談に先送りされる見通しだ。>
 というもの。
 なるほそ、10月からが日中外交の時期になるのですか。中国側の対処方針を早めに知りたいものだが。

| | コメント (0)

2009年8月23日 (日)

北朝鮮の戦略は15年前から変わっていない:小うるさい日本抜きで枠組みを決め、核兵器は手放さず、日本には金だけ出させる~毎日新聞09年8月23日朝刊を読んでの感想

 毎日新聞は09年8月23日朝刊3面[クローズアップ]で北朝鮮弔問団を取り上げていた。ただ、筆者がこの間、韓国の新聞の内容を引き写したような記事でがっかりさせたソウル支局の2人らだったので、あまり期待せずに読んでみよう。見出しは<北朝鮮弔問団/譲歩狙い「協調攻勢」/「核置き去り」韓国警戒/「制裁履行」けん制か>なのだが、どこかボケでいると思うのは、韓国政府が核置き去りを本気で警戒すると思っているのか、ということ。これは日本の強い要望を受けて李明博大統領が政権に徹底させているだけなのだ。盧武鉉時代に入れ替えられた統一部などの役人は今でも反日=南北統一のためだったら日本に原爆が落ちても仕方ない、と思っている連中がいるのだ。そういうことも知らないで何を書いているんだろう。
 読んでみよう。ソウル支局の大澤文護、西脇真一特派員と、北京支局の西岡省二特派員だ。まず前文だ。
 <金大中元韓国大統領の死去を受けてソウルを訪問している北朝鮮の弔問団は22日、韓国統一相との会談後に李明博大統領との会談を受け入れさせるなど、南北関係の改善に向けて攻勢に出ている。韓国側は、北朝鮮が核問題で譲歩の姿勢を見せないまま協調ムードを演出しようとしていることに警戒感を解いていないが、強硬一辺倒ではいられない事情も抱えている。南北関係の進展は、日本をはじめ国際社会の対応にも影響を与えそうだ。>
 馬鹿な前文だ。
 <ソウル中心部にほど近い緑に囲まれた高級ホテル。韓国の玄仁沢統一相と北朝鮮の金養建(キムヤンゴン)朝鮮労働党統一戦線部長(アジア太平洋平和委員会委員長)は22日、午前と夜の2回、会談を持った。「みなさんと会う過程で、南北関係を急いで改善しなければならないという気持ちになった」。金部長は午前中の会談で韓国側に本格的な対話再開を迫った。しかし、金部長の柔らかい言葉とは裏腹に、北朝鮮側の当初の主張は強硬だった。関係者によると北朝鮮側は李明博政権が受け入れられない「金大中・盧武鉉両政権が約束した支援や経済協力の実行」などを主張、これに対し韓国側は日本海で北朝鮮に拿捕された韓国漁船員の解放の確約を求めた模様だ。午前中の会談の雰囲気について「決して友好的ではなかった」という憂慮の声も出た。しかし、午後になると状況は変化した。当初予定された平壌への出発時間が過ぎても弔問団はホテルにとどまった。22日夜、双方は夕食会の席で会談を継続、深夜になって弔問団が23日午前に青瓦台(大統領府)を訪問することで決着した。韓国政府が李大統領との会談を巡る話し合いに応じたのは、李政権になってから離散家族の再会事業が一度も実現していないという国内事情があった2年も中断している再会事業について今回も合意できなければ、国民の批判が李大統領に集中する恐れがあった。一方、金己男朝鮮労働党書記が21日、金大中氏の李姫鎬夫人と面会した際「どこの国よりも早く行って直接、哀悼の意を示さねばならない。使節団の格も高めよ」との金正日総書記の言葉を紹介し、弔問団急派には、金総書記の指示があったことを明らかにした。だが、李政権はまだ慎重姿勢は崩していない。各国の代表が集う告別式に先立って弔問し、韓国国民の同胞意識を高めて南北対話や対北支援開始の世論盛り上げにつなげようとする北朝鮮側の演出は明らかだった。朝鮮中央通信は21日、韓国で実施されている米韓合同軍事演習について「米帝と李明博逆賊一味」の言葉を使って厳しく批判もしている。このため「どこまで関係改善に本気なのか様子を見る必要がある」(韓国政府関係者)との根強い意見も消えたわけではない。>
 いつもの北朝鮮の瀬戸際外交、追い詰められてからが強い二枚腰外交じゃないか。こんなのは無視するに限るのだが、そうはいかない時期を選んでやってくる。だからこそ、李明博政権が押されないように日本は外務省だけでなく、政権中枢が李明博政権に何度もダメ押ししなければいけないのだが、それができていない。この1年間ほどの日本は悪く言えば中央権力欠如状態だったのだから。
 <北朝鮮の弔問団が李大統領との会談を求めた最大の狙いは、李大統領に対北朝鮮強硬策の転換を直接促すことだ。米朝関係改善が進めば南北関係もこれに追随するという北朝鮮側の基本認識に変わりはないとみられ、韓国側からの一方的な譲歩を引き出すことで関係改善を図るとの立場を維持しているようだ。北朝鮮は既に、玄貞恩・現代グループ会長の訪朝によって金剛山や開城の事業再開合意にこぎつけ、韓国の民間資金獲得の道筋をつけた。北朝鮮としてはこれに加え当局間対話を正常化させることで南側からの経済協力をスムーズに実現させたいとの考えもあるようだ。だが北朝鮮側から李政権に対し核問題などで譲歩する考えを示すことはないとみられる。北朝鮮はクリントン元米大統領の訪朝以後、米朝2国間協議推進の立場を鮮明に打ち出している。国連代表部の金明吉公使が米ニューメキシコ州のリチャードソン知事と会談して「6カ国協議ではなく新しい形式の米朝2国間対話を望んでいる」と伝えるなど、現時点を米朝対話推進の好機と判断している模様だ。一方で北朝鮮は6カ国協議議長を務める武大偉中国外務次官の訪朝も受け入れており、こう着状態打開に向けた中国側の提案を話し合った可能性もある。北朝鮮としては、米朝のみならず南北や中朝間での対話姿勢を前面に押し出すことで、国際社会との関係改善が進んでいることをアピールし、対北朝鮮制裁履行の動きをけん制する狙いもあるようだ。>
 結局、こうるさい日本抜きで枠組みをつくり、日本とロシアからは金だけを引き出したい、核兵器は死守するぞ、という戦略は全く変えていないということなのだ。
 それなのに、南北対話だ、と喜んだり、日本人はどこまでおめでたくできているんだろう。もう少し自国の国益を考えてモノを書かないと100年後の子孫から「100年前には売国奴ばかりがいた」と総括されるだろう。知識人と言われる人たちは心してほしい。朝日新聞の若宮啓文氏は心を入れかえ、日本人であることを証明してほしい。

| | コメント (0)

北朝鮮のペテン師どもが李明博・韓国大統領に会った:情けないことに日本の外務官僚はポカーンと空を見上げて「我関せず」か~09年8月23日産経新聞、読売新聞、中央日報、22日朝鮮日報社説

 李明博大統領を徹底して応援しよう。韓国の政局は今、難しい。金大中元大統領支持勢力と金正日総書記が手を組んで仕掛けてきた「朝鮮半島は仲良し」攻勢に李明博氏がたじたじになっているように見えるのだ。
 ちょうとう北朝鮮の代表団と会ってしまった。会うこと自体はいいのだが、すべてタイミングというものがある。韓国の望むタイミングで、会ってやるかえわりに核放棄にむけた第一歩を勝ち取る、という戦術的な会い方ならば「もっと頑張れ」と声援を送れるのだが、こんかいの流れはどうみても、世論喚起能力の高い韓国「民主化勢力」の土俵に乗せられたもので、下手をすると北朝鮮にまたまた援助する、ということになりかねない。
 北朝鮮が今最も恐怖しているのは国連制裁なのだ。ぎりぎりのところまで追い詰めたから、息が続かなくなって動き始めた、というのが真実だろう。ここで制裁を緩めたら、チャンスはなくなる。
 李明博大統領は日本の立場を十分に理解してくれているから、北朝鮮の核「廃棄」を強く訴えている。米国が北朝鮮の核保持自体は認め、核拡散だけをストップしようとしているのと比べればすぐに分かることだ。
 ところが韓国自体に北朝鮮から核兵器を廃絶するメリットなどほとんどないのだ。韓国の反日勢力が裏で言っているように「いずれ統一したら、あの核は統一韓国のものになるのだからいいじゃないか」というのが国民の半数の本音だと考えればいいのではないか、と思うのだ。
 そんな雰囲気の中、北朝鮮の核廃絶を訴え続けてくれている李明博大統領は立派だ。
 日本は李明博大統領を孤立させてはいけない。
 09年8月23日午前9時すぎには産経新聞HPに共同通信の次の記事が出ていた。見出しは<韓国大統領、北高官と面会>だ。
<韓国の故金大中元大統領弔問のため訪韓した北朝鮮の金己男・朝鮮労働党書記ら弔問団が23日午前、ソウルの大統領府で李明博大統領を表敬訪問した。弔問団は金正日総書記のメッセージを伝えるとしており、核問題などへの言及の有無が焦点。昨年2月に就任した李大統領と北朝鮮高官との面会は初めて。>
 うまくタイミングを作ったものだ。これで李明博大統領が押し込められれば、それこそ「死せる金大中が生ける李明博を走らす」になってしまう。それhじゃ避けなければならないのだが、日本の政治が麻痺しており、外務省も無能だから、何もできない。今は日本の危機なのだが。
 <弔問団の金養建・朝鮮労働党統一戦線部長は金総書記の側近。当初は22日に平壌に戻る予定だったが、李大統領との面会を求めて滞在を1日延長した。>
 金大中支持勢力と金正日の部下たちが相談した結果なのだろう。
 <韓国では23日午後に国葬として金大中氏の告別式が開催される。韓国側は各国弔問団による表敬訪問の一環として北朝鮮弔問団との面会に短時間応じることを決めた。>
 ひどいものだ。金大中の汚いやり方は死んでも治らないのか。こういう汚さは日本の安全保障を風前の灯にしてしまうものなのだが、朝日新聞の元論説主幹など、こんな陰謀家・金大中を礼賛する記事を出し続けている。日本人なのか、統一朝鮮人なのか?
 <韓国の玄仁澤統一相は22日の弔問団との夕食会後「新たな南北関係への一つの転機となることを願う」と語った。南北双方が関係改善への姿勢を示した形だが、核問題や経済協力に関する立場の隔たりは大きい。弔問団は李大統領への表敬訪問後、北朝鮮の高麗航空の特別機で平壌に戻る予定。>
 核問題が埋没してしまうことを恐れる。若宮啓文氏らは埋没しても別に何も関係ない、というのだろうが。
◆読売新聞の速報
 読売新聞は8月23日午前10時過ぎにソウル支局の前田泰広特派員の<李明博大統領、北の労働党書記らと30分会談>をアップしていた。
 <韓国の李明博大統領は23日午前、北朝鮮の金己男労働党書記ら3人の表敬訪問を受け、約30分間にわたり会談した。大統領は、新しい南北関係構築を呼びかける趣旨の金正日総書記からのメッセージを受け取った模様。李大統領が閣僚級以上の北朝鮮高官と会うのは初めて。金書記は金総書記の側近でほかに対韓国関係を統括する金養建党統一戦線部長らも同席した。韓国側からは玄仁沢統一相らが同席した。南北当局間対話の再開や北朝鮮が7月に拿捕した韓国漁船乗組員の解放など南北関係に関する懸案で幅広い意見交換があったとみられる。金書記らは死去した金大中元韓国大統領に弔意を表するため「特使弔意訪問団」の一員として21日からソウルに滞在していた。>
 まだ内容は入ってきていないが、李明博大統領が「核さえなくせば大規模援助を行う」とい大原則を踏み外さずに対応したことを期待しよう。
◆朝鮮日報の8月22日の社説
 朝鮮日報09年8月22日<北の弔問団に対し、韓国政府がすべきこと>というタイトルの社説を掲載した。
 読んでみよう。
 <金大中元大統領死去 金大中元大統領の死去を受け、北朝鮮の弔問団が21日午後、ソウル・汝矣島の国会議事堂に設けられたひん所(出棺まで棺を安置する場所)を弔問に訪れた。同日夕方、一行は林東源、丁世鉉元統一部長官、李在禎前統一部長官など、「金大中平和センター」の関係者らと夕食を共にした。だが、ソウルでのスケジュールはほとんど公開されず、韓国政府は一行の身辺の安全を守るため、メディアの取材も徹底的に制限した。弔問団には対韓政策を担当する北朝鮮側の高官が多く含まれており、24時間近くもソウルに滞在していたにもかかわらず、韓国国民は一行がどこで何をしていたのかさえ知ることができないという状況に置かれた。>
 ほらね、金大中一派の都合のいいところだけを発表しているのだ。
 <韓国政府は、北朝鮮側が南北の当局間の交渉ルートを通じ、日程などについて事前に協議することなく弔問団を派遣したため、このような対処をせざるを得なかった、と釈明した。北朝鮮側が金大中平和センターの要請を受けて弔問団を派遣し、同センターが協議の窓口となったことで、政府が状況を把握し統制することが困難だったというわけだ。このため、北朝鮮側の弔問団が意図的に韓国政府を無視する行動を取った、という指摘も出ている。>
 北朝鮮の連中は腹が据わっており、外交のプロばかりだから。
 <北朝鮮弔問団のソウルでの日程はベールに包まれ、謎だらけとなっているが、北朝鮮が対韓政策の転換をにおわせる兆候が表れていることは注目に値する。北朝鮮は弔問団をソウルに派遣する前日、軍事境界線の陸路での通行を制限する措置を解除する、と韓国側に通告した。その上で、南北当局が開城工業団地の問題について協議してきた「開城南北経済協力協議事務所」も再稼動することも提案した。こうした措置は、北朝鮮が昨年12月、「もう二度と、李明博政権は相手にしない」として打ち出した一方的な措置を、弔問団の派遣に合わせて自ら撤回したことを意味する。北朝鮮のこうしたジェスチャーは、韓国に対する「平和攻勢」の一環とも考えられる一方、北朝鮮の核実験やミサイルによる挑発に対し、国際社会が厳しい制裁措置、経済封鎖を行ったため、窮地に立たされた北朝鮮が変化を模索し始めたとの見方も可能だ。>
 ほらね、あの保守の中の保守である朝鮮日報まで騙されそうになっている。北朝鮮の騙しのテクニックは座標軸をいつの間にかずらす、というテクニックなのだ。あくまで核廃棄一本で進まないと誤魔化されてしまう、というのは、こういうことを言うのだ。
 <問題は韓国側の対応だ。一部では、李大統領が北朝鮮側の弔問団と会談するという話も出ている。だが、南北の当局間による交渉そのものよりも重要なことは、政府がいかなる戦略や目標を掲げ、北朝鮮側との交渉に臨むのかということであり、こうした南北の接触と、国際社会の対北朝鮮制裁をどうリンクさせていくかということだ。李明博政権の発足から1年半にして、ようやく始まった南北の接触を最大限に生かすことも重要だが、対応を誤れば、対北朝鮮政策をめぐる国内外での論争や対立を招きかねないという点にも留意する必要がある。韓国政府が南北関係に関するはっきりとした原則や明確なビジョンを持って対処していくことが、何よりも重要なことだ。>
 さすが朝鮮日報。こういう論文を読みながら、李明博大統領が北のペテン師と相対するわけだから、問題はないとは思うのだが。

◆中央日報によると…

 中央日報は8月23日午後1時16分<北弔問団、李大統領に金正日委員長のメッセージ伝達>の記事を日本語版HPにアップしていた。青瓦台などからのブリーフィングに基づいた記事だろう。読んでみよう。
 李明博大統領は23日午前、青瓦台で故金大中元大統領の弔問のために訪問した北朝鮮弔問団と会談し、政府の確固たる対北朝鮮原則を説明した後、これを金正日国防委員長に伝えてほしいと要求した。
  李東官青瓦台報道官はこの日のブリーフィングで「李大統領は今日午前9時から30分間、青瓦台で金基南労働党中央委員会秘書ら北朝鮮弔問団と会談した」とし「北朝鮮弔問団は南北協力の進展に関する金委員長の口頭メッセージを伝えた」と発表した。
 <李報道官は「李大統領は北朝鮮側の弔問に感謝の意を伝え、南北がいかなる問題であれ誠意を持って対話をすれば解決できないことはない、と話した」と伝えた。北朝鮮弔問団は「会談の機会が与えられたことに感謝している。南北が協力してあらゆる問題を解決していくことを希望する」と明らかにしたという。この日の会談では北朝鮮の核問題と北朝鮮に拘束されている「ヨンアン号」船員の帰還問題には言及しなかったという。>
 出なかったことにした、ということだろう。実際はどこまで話したのだろうか?
 <青瓦台の関係者は「李大統領と北弔問団の会談は米国・中国・日本など各国弔問団との会談の一環として行われた」とし「金委員長の口頭メッセージは敏感な点があり非公開にすることにした」と述べた。また「会談時間は事前に決められていたわけではなく、通常の会談より時間がもう少しかかるという判断で余裕を持たせた」と付け加えた。>
 この「敏感な」という言葉。最近では日本語でも「敏感な問題」などと使われ、違和感もなくなったと思うが、もともとは「敏感」という漢字の熟語から発生した形容詞で、微妙なとか政治的に微妙なとか、そういう意味ではなかったか? 韓国人の好む言葉だ。
 その「敏感な」話題が入っていたそうだ。
 <会談の形式については「一言で‘パラダイム・シフト’といえる」とし「南北が同族で特殊な関係にあるということを前提とするものの、今後は南北関係も国際的、普遍妥当な関係に発展してこそ一段階アップグレードできる。かといって他の国と全く同じようにするというわけではない」と明らかにした。この日の会談には韓国側から玄仁沢統一部長官、金星煥青瓦台外交安保首席、北朝鮮側から金養建統一戦線部長、元東延朝鮮アジア太平洋平委室長が同席した。>
 何だかわざと分かりにくくしている感じだが、李明博路線の中に位置づけたということだろう。金大中や盧武鉉とは違うのだ、と。
  <一方、李大統領との会談後に宿舎に戻った金己男労働党秘書は「どういう話をしたのか」という記者の質問に対し「会えてよかった」と答えるにとどまった。またこの日午前11時33分に宿舎を離れる直前、記者が訪韓の所感を尋ねると、金己男書記は「気分よく帰る」と語った。弔問団一行はこの日午後1時ごろ金浦空港から平壌へ向けて出発する。> 順天空港だったか? 平壌の。まあ、金正日総書記の電光石火の早業だったが、こういう早業が出てくること自体、韓国は織り込み済みだったはず。問題はポカーンと口をあけてよだれを垂らしながら空ばかり見上げている日本の外務官僚と政治家がそういう想像力も働かせておらず、何ら事前準備をしていなかったことだ。
 本当に情けなくなる。

| | コメント (0)

2009年8月22日 (土)

円高直撃→韓国で日本車が売れなくなった+トルコで現代が1位+韓国検事総長は「ソファは日本文化」とか~中央日報09年8月22日

 中央日報は経済に強い。サムスンの作った新聞だからか。
 09年8月22日の日本語版HPには円高で日本車が売れなくなった、という記事が出ていた。読んでみよう。
 <昨年下半期に始まった円高が続いており、日本の自動車メーカー間で明暗が分かれている。韓国で販売される日本からの輸入車はプレミアムクラスのレクサス、インフィニティと、大衆車のホンダ、日産、三菱の5ブランド。10月には世界の自動車販売でトップブランドのトヨタが韓国に上陸する。昨年上半期まで輸入車市場の35%を占めていた日本車は、円高という伏兵に出会い今年上半期には24%までシェアを下げた。相対的にフォルクスワーゲン、アウディなど欧州車が伸びた。>
 そうだったのか。
  <分岐点はトヨタの韓国進出になるとみられる。トヨタは世界最高の燃費を誇るハイブリッドカー「プリウス」で韓国市場を攻略する。価格も予想より低い3000万ウォン(約227万円)台に決まった。「プリウス」だけで月間500台を売る計画だ。ここに米中型車市場でベストセラーとなっている「カムリ」も投入される。ガソリンモデルとハイブリッドモデルの2モデルだ。中型スポーツ用多目的車(SUV)の「RAV4」はホンダの人気モデル「CR-V」と競合する様相だ。トヨタは来年から月1000台の販売に自信を持っている。これは輸入車市場1~2位に相当する。>
 今はダメだけどトヨタが出れば…ということ?
  <今年上半期に最も不振だったのはホンダコリアだ。1月と3月の2度にわたり価格を引き上げたが販売が急落すると6月にはほぼ元の価格に引き下げた。しかし、販売は回復する兆しを見せていない。業界ではホンダが価格政策の失敗で顧客の信頼を失ったと分析している。他の日本車が円高をコスト削減で耐えているのに比べると際立っている。ホンダは円高分を消費者価格に転嫁したという指摘を受けている。上半期の販売は昨年の同じ時期に比べ70%落ち込んだ。輸入車1位から中下位圏に転落したことになる。>
 なんか厳しいねぇ。
  <日産の不振は意外だ。日産は昨年10月に円高が始まった時期に韓国に進出した。当時輸入車市場でホンダの独走が続く中、対抗馬のひとつになるとみられた。日産はホンダ「アコード」と同水準の価格で「アルティマ」を販売した。今年初めに価格が上がり沈滞にはまった「アコード」の市場をそのままさらっていくかに見えた。しかし、予想外に「アルティマ」の販売不振は長引いている。今年上半期の輸入車市場のシェアで日産はホンダの半分にも満たない。日産が苦戦する理由は二つある。最大の弱点は韓国の消費者が日産車を輸入車というよりも、ルノー三星(サムスン)自動車の亜流と考えていることだ。これはルノー・日産アライアンスの限界だ。「アルティマ」は「SM7」とプラットホームがほぼ同一だ。中型SUVの「ローグ」は「QM5」とそっくりだ。むしろ価格が20%ほど安い「QM5」のインテリアがよりよいという評価もでている。こうした点から日産だけの個性は消えている。業界関係者は「輸入された日産車がルノー三星のモデルと明確なデザインの違いがなく、国内消費者にキメて乗る輸入車という差別化されたイメージを与えられなかった」と分析した。さらに「アルティマ」「ローグ」「ムラーノ」の3種類しかモデルがないことも限界だ。先月にスポーツカーの「GT-R」と「370Z」を投入したが、これはマニア向けの車だ。日産は日本で40余りの多様なモデルでトヨタと競争している。特に小型車が強い。日産コリアはこうした不振を打開するため来年初めに小型ボックスカーの元祖「キューブ」を輸入し転機を設ける計画だ。>
 この問題って案外一般化できそうだ。技術提携して、後進国に技術をあげて、その国に売りに行ったら、その国の人にして見れば、同じものを売ろうとしている、という感覚になるだろう、と思う。それと同じだ。
  <三菱はまだ月間販売50台を超えられていないが、少しずつ増えていく。下半期に地方ディーラーをオープンすれば、来年初めには月間平均100台の販売は可能になるとみている。>
 現代車が日本で売れていないのだ、と前に読んだ。それに比べれば日本車は韓国で売れているんだろう。
 円高は今後もっと進むだろうから、車などはもっともっと売れなくなるだろうなぁ。
 仕方ないのか?

◆トルコでシェア1位は現代だと

 同じ中央日報の8月21日の記事に<現代自動車がトルコで1位/11年トップのルノーに勝つ>という記事が出ていた。
< 現代自動車が上半期にトルコの自動車市場でシェア1位になった。現代自動車や起亜自動車が欧州の国で販売1位を記録したのは今回が初めてだ。現代自動車が20日に明らかにしたところによると、同社は上半期にトルコの乗用車市場で2万9855台を販売し15.7%のシェアで1位になった。昨年まで11年間にわたりトルコ市場でトップの座を維持してきたルノーは2万9602台で15.6%となり、0.1ポイントの差で現代が勝った。現代自動車は昨年、15%のシェアを持つルノーに対し9.3%で2位と大幅な格差を付けられていたが、今年1月の月間実績でルノーを上回っており、上半期全体でも1位を維持した。現代自動車は7月にも17.5%のシェアでルノーの15.1%と差を付けており、今年の年間販売台数でもトップとなる可能性が大きい。現代自動車トルコ法人は「トルコ政府の税金優遇など自動車支援政策をうまく活用した結果」と話す。>
 <トルコで最も売れた車は現地工場で生産された「ベルナ(現地名・アクセント)」で7月までに1万9336台が販売された。このほか「クリック(現地名ゲッツ)」「i30」「i10」なども人気を呼んだ。現代自動車はトルコ・イスタンブール近郊に年産10万台規模の現地工場を置いている。>
 <現代自動車は世界の自動車市場が冷え込んだ今年上半期も順調に販売を増やし、上半期の世界市場でのシェアは初めて5%を超えた。米国市場でのシェアは4.3%と昨年の3.1%より大幅に拡大し、中国では7.2%、欧州では2.3%など好調を見せている。昨年の世界シェアは4.3%だった。>

◆韓国の検事総長の日本文化への見方
 中央日報09年8月22日日本語版に<新検察総長「ソファーは日本の文化」/事務所から片づける>という小児病的な記事が出ていた。
 <金畯圭検察総長(55)が20日、李明博大統領から任命状を受けて公式就任した。2年の任期を開始した金畯圭総長に対する国民の関心は高い。従来の検察総長とは違うスタイルのためだ。格式にこだわらず「発想の転換」を要求する、と評価されている。>
 <金総長は部長検事時代、しばらく事務所にソファーを置かなかった。「ソファーはお茶を飲みながら客をもてなす日本文化から出てきたもので、仕事をする事務所には合わない」と主張したという。金総長は今後、検察幹部との会議スタイルや方式も大幅に変更する考えという。>
 へえー、である。ソファを日本文化と言うか?
  <金総長はこの日、就任のあいさつでも「必要がないものは果敢に捨てて検察本来の任務に集中すべき」と強調した。 検察の関係者は「金総長は‘nudge’(他人の選択を誘導する柔らかい介入)を理解している人。賢明に組織を引っ張っていくだろう」と語った。しかし一線での捜査経験が比較的短い点は金総長の弱点だ。独特なスタイルのため組織をまとめられなかった、という批判もある。>
 ‘nudge’なんてえ言葉も初めて目にしたなぁ。
  <金総長は「新しく変えて高いレベルへと移っていかなければならない。検事は検事らしく、検察は検察らしく仕事をしよう」と語った。「政治検察」「標的捜査」などの表現で歪んだ検察に対する国民の信頼を回復するには、検事が自ら心掛けなければならない、というのが金総長の考えだ。また金総長は「私たちに与えられた任務は犯罪に対する国家的な対応。犯罪に厳正かつ強力に対応して法秩序を確立しよう」と強調した。>
 つまり、知ったかぶりが多そうな、この検事総長は日本をほとんど知らないのだろう。そういう人が偉くなるのは時代なのだろうか。

| | コメント (0)

金大中日記だ、と。どうせ都合のいい部分だけ公開して李明博政権攻撃に使うのだろう。汚い連中だ~朝鮮日報、中央日報09年8月22日

 朝鮮日報09年8月22日朝刊なのだろう。ネット日本語版HPに22日にアップされていた<金大中元大統領死去/北朝鮮弔問団メンバーの素顔/「金総書記に頭を下げない男」が団長>は金大中元大統領の弔問のため訪韓した金己男・朝鮮労働党書記(83)と金養健・統一戦線部長(61)の紹介記事だ。コピペしておこう。
 <金大中元大統領の死去を受け、21日にソウル入りした北朝鮮側の弔問団 6人は、金正日総書記の「側近中の側近」や「対韓事業の中核」を担う人々だ。団長を務める金己男・朝鮮労働党書記(83)は「金総書記に頭を下げずに報告できる人物」(統一研究院の徐載鎮院長)として知られている。黄ジャンヨプ元労働党書記はあるインタビューで「金総書記の前で正論を言える人物」と表現した。仕事をこなす際にミスがなく「革命化」の名による粛清に1度も遭ったことがないという。宣伝や扇動、金総書記の偶像化にもすぐれた能力を発揮している。北朝鮮の代表的なスローガンである「われわれのやり方通り生きて行こう」も金己男書記の作品であるといわれている。>
 エリートらしいが、すでに83歳。でも、こういう年寄りが北朝鮮で実権を握っているのだろうか?
 <金総書記の名で発表される主要文書や祝賀文も、金己男書記の手によるものが多い。北朝鮮内での地位が高かったある脱北者は「金総書記は公の場で『金己男同志は私がやれと言う通りにする人だ』と言ったことがある」と語った。今年、金総書記は現地指導を94回行ったが、そのうち最も多い57回に随行した側近こそ、まさに金己男書記だ。彼は2005年8月にソウル入りし、北朝鮮の人物としては初めて国立墓地「顕忠院」を訪れるという「サプライズ」を演じた。>
 つまり、実際の国際情勢もすべて知っているということだろう。だからソウルにも東京にも行かせられる、ということなのだろう。
 <「対韓業務総責任者」の金養健・統一戦線部長(61)は2007年9月、南北首脳会談を前に極秘にソウルを訪問、金万福・国家情報院長(当時)に会い、南北首脳宣言の草案を提示し協議した。同年11月には首脳会談の後続措置を話し合うため極秘ではなく公に来韓した。慎重かつ冷静な言動で金総書記の信頼が厚いことで知られている。今年は金総書記に13回随行している。>
 年齢からみると、ポスト金正日政局で相当に出張ってくるか、失脚するか、表舞台で攻防が繰り広げられるかもしれない。
 <ウォン・ドンヨン朝鮮アジア太平洋委員会室長とメン・ギョンイル、リ・ヒョンの同委員会両参事らは統一戦線部所属でかつて南北交渉の際によく登場した人物たちだ。特にウォン室長は1990年代以降、複数の南北合意文作成に実務者として加わっている。2007年の南北首相級会談時もソウルに来た。メン・ギョンイル参事は対韓交流協力分野を主に担当している。南北経済協力推進委員会の交渉時によく登場していた。リ・ヒョン参事は対韓業務関係者の中では比較的若い40代で「次世代の対韓業務実務者」(北朝鮮関連消息筋)と評価されている。統一部関係者は「(6人目の)キム・ウンジュ国防委員会技術担当者(女性)は記録係とみられる」と話した。>
 これが訪韓団の紹介らしい。
◆受け入れ側、韓国の親金大中勢力の方は?
 <金大中元大統領死去/第2の統一部と化した平和センター/チョン・セヒョン―林東源ラインを通じ政府側と接触>という記事も、この記事の関連だ。任敏赫記者の署名記事である。
 <北朝鮮の弔問団が21日にソウルを訪問するに至る過程では「金大中平和センター」が主導的な役割を果たした。北朝鮮がすべての連絡や日程調整を意図的に同センター側に任せたことにより、民間団体の同センターが事実上「在野統一部」となって政府の代役を務めたわけだ。>
 <北朝鮮は今月19日、平和センター常任顧問の林東源・元国家情報院長と同副理事長のチョン・セヒョン元統一部長官あてに北京経由でファクスを送り、弔問団派遣の意志を初めて表明した。韓国政府はチョン元長官を通じこの事実を知らされた。また北朝鮮は弔問団が使うソウル―平壌間の直通電話の開設についても同センター経由で要求するなど政府の許可が必要な事項に至るまで、すべて同センターと「直取引」した。その後、洪良浩・統一部次官が同センターに出向いて実務協議を行ったが、事実上同センターが日程など大部分の事項を調整し、韓国政府は事後承認するという様相を呈した。>
 <21日に金元大統領の遺体安置先となっている国会議事堂を弔問した後も、使節団は直ちにソウル市麻浦区東橋洞の金大中図書館内にある平和センターへ移動し、同センターの関係者らと会談、その後、滞在先のグランド・ヒルトンホテル(ソウル市西大門区弘恩洞)で夕食を共にした。チョン元長官らは弔問団と常に行動を共にした。韓国政府は、弔問団の日程を尋ねる記者に対し、「あちら(平和センター)ですべてやっているので、あちらに行って聞いてみるように」と答え、不快感をあらわにした。>
 <金大中平和センターがこうした「政府ではない政府」の役割を果たしたのは、金大中元大統領時代に対北朝鮮関係の業務を直接担当したり諮問したりして、北朝鮮側と人脈を築いた主要な人物がそろっているからだ。副理事長のチョン元長官をはじめ、林東源元国家情報院長(常任顧問)、2000年の南北首脳会談に同行した文正仁・延世大教授(諮問委員)、朴智元議員(秘書室長)などが主導的役割を果たしており、朴在圭・元統一部長官(諮問委員)、辛建・元国家情報院長(理事)、白楽晴・ソウル大名誉教授(理事)、白鶴淳・世宗研究所室長(諮問委員)なども参加している。>
 こういう人脈だ。朝日新聞などに知らんぷりでこういう人物がコメントを出している時がある。この人物名をメモしておき、「ああ、あの金大中シンパね」と分かるようにしたほうがいいと思う。
 金大中氏は南北朝鮮の統一の権化だから日本との関係がどうなるとかロシアとの関係とか米国との関係とか中国との関係とかは二の次なのだ。そこを狙って金大中氏一派を取り込み、日本から沢山の保証金を取ろうとしている金正日総書記に利用される。北朝鮮が核兵器を持とうが持つまいが、金大中氏には関係ないのだ。ものすごく冷たい人間だ。すべてを南北統一に利用し尽くす人間で、それが大義だと勘違いしている。
 朝鮮半島の人間にとっては尊敬してもいい人間だろうが、日本人としたら度し難い、許せない人のはずだ。
 それをいつまでも「金大中様、尊敬します」など歯の浮くようなおべんちゃらを書き続ける朝日新聞コラムニスト、若宮啓文氏らの進歩的文化人はもう少し日本がおかれた現実を認識し、売国奴的な言論を反省すべきだと思うのだが、どうなのだろうか?
◆現実政治に利用される金大中日記
 朝鮮日報8月22日には次のような記事も出ている。<金大中元大統領死去/最後の日記公開/現実政治に強烈な関心/85年の人生の自負心を書き記す>という鄭始幸記者の署名記事だ。
 <「最後まで健康を保って今の3大危機―民主主義、中小庶民経済、南北問題の危機に向けた解決のため必要な助言と努力をする」(2009年4月27日の日記から)。21日に公開された故・金大中元大統領の最後の日記は現実政治に対する同氏の強烈な関心と使命感を再確認させた。悪化する健康状態にあっても国内外の情勢に対する批判意識、85年の生涯に対する自負心が書き記されている。金元大統領側は今年1~6月の日記のうち30日分余りを編集し『人生は美しく、歴史は発展する』というタイトルの冊子を2万6000部製作、全国の焼香所に配布した。>
 都合のいい部分だけ編集したわけだ。李明博政権打倒を目指す勢力にとって、金大中氏の影響力が残っている今のうちにインパクト強く、こういう材料を全部使い切ってしまおうという考えなのだろう、と思う。
 <金元大統領は盧武鉉前大統領に対する検察捜査から死去に至るまで、気の毒に思う気持ちや憤怒を詳細に記録した。捜査が本格化した4月18日付けの日記には「盧前大統領にとっても、野党にとっても、同じ進歩陣営の大統領だった私にとっても不幸なことだ。盧前大統領がきちんと対応することを望む」と記した。死去した5月23日には「青天の霹靂のようなニュースだ。これまで検察が余りにも過酷な捜査を行ってきた。(中略)結局、盧前大統領の自殺は強要されたのと同じことだ」と書かれている。告別式当日の同29日には「今回のように挙国的な哀悼はかつて例がなかった。今後も政府が強圧一辺倒で対応するならば、大きな不幸を免れないだろう」と記している。>
 ここまで読めば、「死せる金大中、生きる李明博を動かす」を狙ったものか、と疑ってしまうのだが、金大中支持勢力の中にはこういう謀略に詳しい連中が多いのだろう。
 <金元大統領はさらに「歴史上あらゆる独裁者は、自分だけは用意周到で過ちを犯さないものと考える。しかし結局、過去の独裁者と同じ過ちを繰り返し、歴史の過酷な審判を受けることになる」(1月16日)、「インターネットユーザーがわたしに“もう一度大統領をしてほしい”“常識が通用する世界をまた見たい”といった書き込みをしているのを見ると、国民が可哀想で涙が出る」(1月17日)、「21世紀に入って全国民が知識を持つようになり、直接国政に参加し始めている。2008年のろうそくデモがその兆しを見せている」(3月18日)とし現政権を批判するかのような記録を残した。>
 そりゃそうだろう、と思う。ただ、あとは韓国民がこんなインチキ日記に誤魔化されずに自分の頭で李明博政権を評価してくれることを望むだけだ。
 しかし、少しがっかりしているのは、約100年前に民主主義を実践し始めた日本の国民だって「長いものには巻かれろ」で民主党万歳を叫ぶ世の中だ。自分の頭で判断できづらい時代になっているのかもしれず、それを思うと、いくらしっかりしているとはいえ韓国民だってナショナルな感情をくすぐることにかけては人語に落ちない金大中のメッセージに反応してしまうのではないか、と思ってしまうのだ。
 <金元大統領は北朝鮮が2回目の核実験を断行した5月25日「嘆かわしい。絶対に認めてはならない」としながらも「(米国の)オバマ大統領の態度も物足りない。北の期待とは裏腹に(関係改善のための)対北政策の発表を先延ばししてきた。この未熟さが北朝鮮に米国の関心を引かせるための核実験を強行させたようだ」と記した。同氏はまたヒラリー・クリントン国務長官(2月20日)、ボズワース北朝鮮政策担当特別代表(3月10日)、ビル・クリントン元大統領(5月18日)など米国主要人物が来韓中に自身と面会したことや連絡を取り合ったことを記録、「韓国政府に対して私が推進した太陽政策に関心があるとのメッセージを送ったものだ」と自負心も見せた。>
 自負心ですか、このリストに日本人が見えないが、朝日新聞記者などが会いにいっているのだろう。
 <金大中元大統領は肉親の苦痛についても正直に記録した。「10時間も新年のあいさつを受けた。とても疲れた」(1月1日)、「心臓を安全に治療する方法が発明されたらよいのだが。足の力がなくなり、少し遠い場所でも歩くのが大変だ」(3月18日)、「歩くのがまたつらい。家の中でさえ、車いすに乗るときがある」(5月20日)と記した。>
 <李煕鎬夫人に対する切ない気持ち、人生に対する賛美もつづっている。「昼食の後、妻と一緒に漢江沿いをドライブした。最近、妻との仲は結婚して以来最高だ。妻を愛し、尊敬する」(1月11日)、「一日中妻と一緒に家で過ごした。二人でいることがうれしい」(2月7日)、「花をたくさん見られたらいい。庭のカラムラサキツツジも延世大学裏山のカラムラサキツツジもすでに散った。今わが家の庭にはサツキツツジとクロフネツツジがきれいに咲いている」(5月1日)、「不幸を数えようと思っても恨みはなく、幸せを数えてみても恨みがない」(5月2日)と記した。>
 何なのか?
 <最後の誕生日となった1月6日には「民主主義のために命をかけ、経済を救い、南北和解の道を開いた。わたしが歩んできた道に足らない部分はあるが、悔いはない」と記した。翌日に書いた「人生は考えるほど美しく、歴史は前に向かって発展する」という短い日記は冊子のタイトルになった。なお、金元大統領側は未公開の部分について「あまりに私的だったり、国葬を行う時期に公開するのは難しい内容だ」として「仕上げ作業中の自叙伝に含める案を検討している」と説明した。>
 ね、選んでいるでしょ。
 都合の悪いことは出さない、というのはTK生とかいう偽名の良心的文化人という触れ込みの「韓国からの通信」(岩波新書)と同じ。この岩波新書はソウルにいる進歩人士が書いたとされていたが、実際は東京に逃げてきていた韓国人がいい加減な空想を書き連ねていたことが後で判明している。
 金大中氏の評価は棺を覆ってもまだ定まらない。もう少し汚い話が出てくると思っているのだが。

■中央日報の報道は?

 中央日報は<金大中氏に最後のインタビューをした太刀川正樹氏>という記事がめだった。これも8月22日アップ分だ。読んでみよう。
  <2009年6月1日、日本・東京。日刊ゲンダイの太刀川正樹記者に一本の電話が入った。 韓国からの電話だった。「明日(2日)午後2時、東橋洞(トンギョドン)に来てください」。太刀川氏は2日午前、韓国行きの飛行機に乗った。金浦空港に到着した太刀川氏は直ちに金大中元大統領がいる東橋洞へ向かった。1階の接見室で5分待った。金大中氏は秘書官に支えられながら2階から下りてきた。>
 という書き出しで、
 <金大中氏は「太刀川氏、お久しぶりです。あなたに会うと昔のことを思い出す」と言いながら手を握った。太刀川氏はまず、呼吸が困難に見える金大中氏に「体の調子はどうですか」と尋ねた。金大中氏は「大丈夫。 大統領在任中は一度も会えず申し訳なかった」と話した。それから70日が過ぎた18日、金大中氏は永遠の眠りについた。太刀川氏は金大中氏に最後のインタビューした海外記者となった。>
 へー、そうなのか。
◇「神様、私は生きたい」
  <太刀川氏は「金大中元大統領がインタビューで1973年8月の拉致事件と韓国政治の過去について詳しく説明してくれた」と述べた。太刀川氏は「東京での拉致事件について話している時は、あたかも演壇で演説をするような姿だった」と伝えた。当時の拉致事件現場を取材した太刀川氏は「金元大統領に拉致事件に関する質問をしなかったが話してくれた」と語った。>
 死ぬ前にもう一度話しておこうと思い、最もセンセーショナルに書いてくれそうな人物に見当をつけて呼び出したのか。やるな、金大中。
  <金大中氏が明らかにした内容は以下の通りだ。「目隠しされて、自分の足は大きな石と一緒に縛られていた。彼らは私を岩の上に落とそうとした。それで私は神様に祈った。‘神様、私は生きたい、生きたい’と必死に祈った。その言葉が終えると、空からヘリコプターの音が聞こえた。助かったと思った。そして目隠しされたまま船に乗って釜山まで来て奇跡的に助かった。その時に私を解放した人の言葉をはっきりと覚えている。『私は釜山の者です。必ず生きて帰ってきてください』」。>
 新事実は全くないだろう。今まですべてしゃべってきたはずだから。
 <太刀川正樹は「金大中元大統領はそう話しながら目頭を熱くした」と話した。金元大統領とどういう縁があり、太刀川氏は最後のインタビューをする記者になったのか。太刀川氏が金大中氏に初めて会ったのは1972年秋。金大中氏が東京で維新宣布のニュースに接し、維新反対声明を発表した日だ。太刀川氏は当時、金大中氏にインタビューをしたが、日本ではあまり知られていなかった政治家だったため、紙面に反映されなかった。>
 金大中事件がなければ、金大中氏など日本で知られることはなかったのだろう。
◇「次にまた会おう」…金大中氏の最後の言葉
  <太刀川氏は金大中氏が大統領に就任してから一度も会えなかった。国政に忙しい大統領に私的な席で会ってインタビューをするのは失礼だと考えたからだ。代わりに李姫鎬夫人に会った。太刀川氏は韓国メディアを通して金大中氏の危篤を知り14日に韓国に来た。入院中だった新村セブランス病院へ見舞いに行き、李姫鎬夫人に会った。太刀川氏は18日午後、韓国のニュ―ス速報を聞くことになった。「1時43分、金大中元大統領逝去」。その速報に接した後、新村セブランス病院に駆けつけた。逝去の後2度弔問した太刀川氏は「他の人々には大統領だったが、私にとっては人生の永遠の先生だった」と語った。太刀川氏は「金大中氏はフライドチキンが好きで、1.2杯のウイスキーを楽しんでいた。雄弁だったが弱い面もある方だった」と振り返った。太刀川氏は「38年前に知り合ったが、1枚の写真だけが残った。聞きたいことがたくさんあったが、今はもう聞けなくなった」と語った。6月2日、金大中氏は「今度また会おう」という言葉を残して別れた。 その言葉が金大中氏から聞いた最後の言葉だった。太刀川氏は目に涙を浮かべながら「先生に会いたい」と語った。>
 何か、お涙頂戴物語みたいで嫌なのだが、こういうのは。
 それに、大統領の時には会わなかった、というのは、本当の友人じゃないね。最後の客が日本人と言うのは少しだけ面白かったが。

| | コメント (0)

金大中氏の統一論はやっぱり北朝鮮主導の理論だった~産経新聞09年8月22日コラム+毎日新聞8月19日社説

◆産経新聞8月22日の長文コラム

 産経新聞09年8月22日のコラム[朝鮮半島ウオッチ]は<北が金大中氏を評価する理由/太陽政策の遺産、その功罪は>というタイトル。久保田るり子記者の署名コラムだ。

 <北朝鮮の金正日総書記は韓国の金大中元大統領の死去に際し迅速かつ手厚い対応を取った。遺族に弔電を送り、最高位の弔問団も速やかに派遣、金大中氏の功績をたたえた。弔問翌日の22日には弔問団の金養建党統一戦線部長が韓国の玄仁沢統一相と会談した。>

 <韓国が太陽政策で投じた対北支援は10年間で69億㌦(6600億円)に上った。李明博政権が引き継いだ金剛山観光、開城工業団地などの太陽政策の“遺産”は核問題で国際孤立を深める北朝鮮にとっては貴重な収入源だ。しかし、金総書記が金大中氏を「評価」する理由はそれだけではない。>

 という前文で、

 <北朝鮮は核放棄を求める韓国の李明博政権をいまだに「逆賊一味」と呼び、その対北政策を「反統一対決シナリオ」と非難、李政権の求める対話は「無価値なでたらめ」(いずれも17日の労働新聞)と非難している。>

 ここまでやっていたんだよ、北朝鮮は。それがコロリと変わって、ごろにゃーん、とすり寄ってくる。そういう姿を見て韓国の「民主化人士」は北朝鮮に恥をかかせるな、とかメチャクチャなことを言って、援助をやれ、と李明博大統領を突っつくのだ。

 <一方で2000年に金大中氏と金正日総書記が合意した「南北共同宣言」(6.15合意)は「歴史的」と評価、現在も「民族共同の繁栄を発展させる合意」と賛辞を惜しまない。>

 <その最大の理由を康仁徳・元韓国統一相は「6.15合意」の内容にみる。「なぜなら6.15合意が北朝鮮の対南政策に沿ったものだからだ。弔問団は金大中氏の功績と6.15合意を宣伝するのが目的だ」(康元統一相)。>

 と書いている。これは鋭い指摘である。

 <6.15合意は軍縮や平和体制の構築など安全保障問題が省かれ「民族共助」で統一を成し遂げるという観念的かつ北朝鮮の主張を反映した内容となった。>

 なるほど。金大中政権はやっぱり金正日総書記の傀儡だったわけだ。

 <以来約10年間にわたって韓国の保守・革新の対立軸となってきた合意の争点は主に二つである。>

 として、

 <①合意文書で「(統一を)わが民族同士で自主的に解決」とする「わが民族同士」とは北朝鮮用語で外国勢力の排除、つまり在韓米軍撤退を意味する。北朝鮮は米韓同盟、韓国の内部分裂を意図している②(統一に関して)「南側の連合制案と北側の低い段階の連邦制が、互いに共通性があると認める」との文言は、自由民主主義による統一を規定する韓国憲法に違反する――との指摘だ。また、合意はあくまで金大中氏の野党時代からの個人的な統一政策論「3段階統一論」を元にしており、国家の統一政策としての国会論議などの民主的な手続きが無視された、という見方も強い。>

 ひどいねぇ。そういうことだったんだ。日本の新聞でそういう事実をはっきりと知らせていた新聞はあったのだろうか? 産経新聞は書いていたのだろうなぁ。産経新聞だけか? 毎日新聞はどうだったのか?

 <李明博政権は「6.15合意」をあからさまに批判はしていないが、事実上無視してきた。李政権は過去の南北合意の基礎を朝鮮半島非核化などを明記した1991年の「南北基本合意書」に置いている。>

 李明博政権の基本は91年合意だったのか。知らなかった。

 <金大中氏は冷戦まっただ中の1970年代初頭、野党(新民党)大統領候補時代から統一政策を練ってきた。冷戦終結後、統一ドイツを訪問して「わが朝鮮半島は準備さえまったくなされていない。ドイツを鏡にわが祖国の統一準備に余生を捧げたい」と著書に決意を記し、ブラント独首相(当時)の共産圏との関係改善「東方外交」を参考に対北融和の「太陽政策」を考案したと語っていた。>

 金大中氏のいい加減な南北統一政策に日本は相当に迷惑を被っているのだ。次の文章を見ればよく分かるだろう。

 <しかし、使途の検証などを行わずに続けた対北支援に近年は批判が強まり、金大中氏は晩年、責任論にさらされた。たとえば、対北支援の3~4億㌦(約280~380億円)と推測される核実験への転用の可能性が指摘されたほか、太陽政策は金正日政権の維持には貢献しても北朝鮮の改革開放、民主化や人権改善などに全く寄与できなかった――との批判だ。>

 核実験費用への転用疑惑は本当だったのだ。そういう男にノーベル平和賞をあげたのか。

 <厳しい指摘は金大中氏をいらだたせた。核実験(2006年10月)について「米国が北朝鮮を苦しめているからだ」と語ったり、今年5月の核実験後に経済制裁で国際社会と協調する李明博政権を「南北関係を意図的に冷却化させている」と非難、李大統領を「独裁者」と呼ぶなど、激しい言動が目立った。>

 結局、金大中氏と金正日氏の言っていることは同じなのだ。韓国民はとんでもない人物を大統領に選んでしまった。それでも、まだ金大中氏は恥を知っていたからいい。次の盧武鉉という男は金権・田中角栄から人の良さをそぎ落としたような欠陥人間だった。この男のおかげで金正日総書記は核ミサイルを完成させることができた、と言っても過言ではない。

 つまり、日本は金大中、盧武鉉という2代の韓国大統領のおかげで核の脅威に晒されるようになったのだ。

 この点をあまりにも軽視しているのが若宮啓文・朝日新聞コラムニストら進歩的文化人の面々だ。日本が核攻撃を受ければいいと思っているのだろうか? いくら日本人が嫌いだからと言っても自分だって日本人じゃないか。
 <太陽政策は韓国社会も変化させた。金大中時代に労働運動は活発化、教育も確実に左傾化し、歴史教科書の内容は南北融和時代に合わせて北朝鮮に好意的に改訂された。南北は軍事境界線近くで行っていた拡声器による非難合戦をやめ、情報機関であった国家安全企画部を大幅に縮小、名前も「国家情報院」に改めて諜報活動を含む対北情報収集活動を事実上、中止した。10年間で韓国の公安警察の人員は半分以下に減ったといわれている。>

 大変だよ、これは。日本でもうかうかしていたら、北朝鮮の悪口を言ったら人権侵害で捕まってしまうという法律が施行されそうだ。日本人を愛していない日本の国会議員も多くなったから。

 <太陽政策にともなう韓国社会の左傾化は、李政権下で教科書改訂や国家情報院の再編などの“修正”が始まっているが、李政権は南北交流事業を南北対話や緊張緩和政策として引き継いでいる。国際孤立から柔軟路線に転じた金正日総書記は現代グループに南北交流再開などを強く働きかけ、南北政府間交渉を無視して合意文書を発表したが、現金(ドル)が直接流入する事業再開を韓国政府がどう判断するのか。国連の経済制裁との兼ね合いで議論を呼びそうだ。>

 この「兼ね合い」、オバマ米政権が「国連決議に反していない」と早速コメントしたことは知っての通りだ。

 しかし、現代グループは出身が北だ、というだけのことなのだろうか?
なぜこんなに韓国政府に逆らってまで金正日総書記に協力するのだろうか?

 <韓国のジャーナリスト、趙甲済氏(月刊朝鮮元編集長)は南北関係における金大中氏の政治家としての“功罪”をこう語る。「野党指導者として民主化闘争を主導した役割は評価する。しかし、大統領となって行ったことの責任は大きい。北朝鮮の核開発を事実上、支援し、親北勢力の活動を助長、韓国国民の北朝鮮に対する警戒心を解いてしまった。南北共同宣言の統一案は、韓国憲法に違反している。韓国大統領にふさわしい人物ではなかった」。>

 趙甲済氏の言う通りだ。大統領になるべきではない人物が大統領になってしまった。民主化という言葉の持つ刺が韓国民に刺さったのだろう。

 <金大中、盧武鉉両大統領の死去で太陽政策の時代は終わったが、左派、親北勢力の土壌は韓国内に根付いており、太陽政策の収支決算は簡単ではない。>

 大変なのだ。李明博大統領が孤立しないように日本は心身両面で最大限のサポートをしないといけない。その主体となるべき日本政府は溶解してしまって久しいのだが。

◆毎日新聞8月19日の社説

 毎日新聞09年8月19日の社説<金大中元大統領/激動の韓国を体現した>はいい社説だ、と[finalventの日記]がほめていたので、後になってだが、読んでみた。実は[finalventの日記]は愛読しており、二日に一度は見るようにしている。昔のことだが「極東ブログ」というものをインターネットで発見して、この人は何て物知りなのだろう、と驚いたことがあった。その時期、約1年くらいは連日、このブログをチェックしていたものだ。まだブログなどというものの敷居が高かった時代で、私のような素人がブログらしきものを書くことなど到底ないだろうと思っていた時期だった。
 その[finalventの日記]が推奨した社説である。
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/?of=5
 読んでみよう。
 <韓国の金大中元大統領が苦難と栄光の交錯した一生を終えた。本人が「行動する良心」を自任する一方、日本からは見えにくい厳しい評価も韓国にはある。だが、抜群の資質を持ち、この国の激動の現代史を体現した稀有な政治家であったことは間違いない。ご冥福を祈りたい。>
 という書き出し。「日本からは見えにくい厳しい評価」という思わせぶりな言葉が前文に出てきているなぁ。
 <36年前、東京のホテルからソウルに拉致された事件によって金氏は日本で最も名高い韓国人となった。この事件が韓国情報機関の組織的犯行であり、日本への主権侵害にあたることは明白だったが、政治決着によってうやむやにされた。日韓双方の政府が不誠実であった。しかし金氏は、自らの大統領在任中はこの問題に手を付けなかった。2007年の真相調査委員会報告書の発表を受けてようやく韓国政府は日本に対する主権侵害に「遺憾の意」を表明し、外交的には決着した。だが日本の捜査当局による容疑者調べは実現していない。事件の大団円を迎えぬまま金氏がこの世を去った事実は、歴史に刻まれるべきである。>
 これは金大中事件について。
 <もっとも金氏は対日外交では目覚ましい成果を上げた。大統領として98年に来日し当時の小渕恵三首相と合意した「日韓パートナーシップ宣言」は史上最良とも評価された日韓友好の時代を築いた。金氏は細心の注意を払って韓国における反日感情を抑制し、いわゆる「日本大衆文化」の解禁も進めた。日韓文化交流の隆盛はこの延長線上にある。>
 日韓関係の修復に努力した、というのは評価すべきなのだろうなぁ。
 <金氏は一方「太陽政策」を掲げて北朝鮮との関係改善にも尽力したが、功罪相半ばするところがあり、評価は定まっていない。00年の金正日総書記との初の南北首脳会談は和解ムードを広げた。南北離散家族の再会も一部ながら実現し、金剛山観光や北朝鮮に韓国企業を進出させる構想も進んだ。しかし、この融和路線は北朝鮮の高濃縮ウラン開発疑惑の浮上を機に矛盾が露呈する。次の盧武鉉政権は対北支援を大幅に増やしたが、北朝鮮のミサイル発射や核実験の強行で韓国世論が冷え込み「太陽政策」は正しくないという声も高まった。金氏はこれを憂慮し、入院前は北朝鮮に妥協しない李明博政権の姿勢を強く批判していた。>
 これも事実関係。ここまでは誰も「違う」とは言わないだろう。本当は客観的に見せて書いている中に筆者の主観が相当に入っているのだが、その主観は正しいと思うのだ。
 <「歴史的な南北首脳会談」を主な理由として金氏が受賞したノーベル平和賞は色あせてしまった。韓国で逮捕され日本人拉致を自供した人物を北朝鮮に送還したことも、日本における金氏の声望を少なからず傷つけたのである。それでも大方の日本人の金氏への評価は高いだろう。民主化の闘士として死刑判決も受け、4度目の挑戦でついに大統領に当選した不屈のドラマ。その迫力が多くの人々の胸を打たずにはおかないからである。>
 とまあ、最後には追悼文らしく褒めているが、筆者の苦虫をつぶしたような顔が思い浮かぶようである。きっと筆者は金大中氏が嫌いなのだろうと思う。私と同じだ。

| | コメント (0)

2009年8月20日 (木)

あんまり中国の悪い面ばかり見ないで、こういう努力は素直に称賛しようじゃないか~産経新聞09年8月19、20日

 中国が「日本重視」だそうだ。本当かね?と疑いたくなるのだが、まあ、中国は大きなトレンドとすれば日本と連携していろいろなことをやっていく、という方向に進まざるを得ないのだろうと思う。ただ、その際に透明性が欠けているので、日米欧から批判されるだけなのだ、と思う。北朝鮮のような破綻気違い国家とは違うのだから、日本もきちんと相手を認めながら付き合うべきだろう。
 産経新聞09年8月20日朝刊トップの<中国初の日本青書/ギョーザ中毒事件、拉致問題も記述/扱い格上げ…重視の表れ?>である。北京支局の矢板明夫特派員の署名記事だ。読んでみよう。
 <中国における日本研究で最高権威となる年次報告書「日本青書」(中国社会科学文献出版社)が19日に初めて出版された。政府系シンクタンク、中国社会科学院日本研究所の学者が執筆し2008年の日本を経済、政治、外交、社会文化など六つの分野のでき事を振り返り、中国の視点に立って分析した。青書は日本を好意的に述べる部分も多く、毒入りギョーザ事件や日朝関係などでは中国政府のこれまでの立場より踏み込んだ表現もみられた。>
 という前文。おっ、という感じだね。
 <中国社会科学院は2000年から「日本発展報告」との題名で毎年、日本研究の成果をまとめて発表してきたが、今年はそれを「青書」に格上げした。その理由について同院研究者は「国際社会の政治、経済情勢が複雑化する中、日本研究は中国にとってますます重要になってきた」と説明した。青書は英国議会の外交委員会報告書の表紙が青色だったことが起源で、各国政府や政府系研究機関が発行する研究報告書を指す。中国では「米国青書」「欧州青書」などがすでに出版されている。>
 やっぱり反日が少しずつ薄まってきたのかもしれない。
 <日本青書は学者約30人が執筆。同院日本研究所の李薇所長は総括で2008年の日本を「国際金融危機と55年体制崩壊後の政党政治の混乱などにより、雇用構造が変化、格差拡大も生じて、日本社会は過渡期を迎えた」と結論づけている。>
 よく見ているんだなぁ。
 <経済篇では昨年1月に発生した毒入り中国産ギョーザ事件に関する報告もあり、日本と中国の食品安全管理制度の違いを分析した上で、この事件が日本で中国食品に対する不信感を拡大させた原因の一つは「中日関係の改善に不満を持つ日本国内の右翼勢力が事件を利用して大きく宣伝したからだ」との独自の見解を示した。>
 それもあったのだろうか? あまりそういう動きは目にしていないのだが、中国だって「陰謀説」くらい言いたいんだろう。
 <しかし、一方で「“毒ギョーザ”事件はわが国の食品安全面での欠陥を露呈している」と中国側にも問題があることを認めている。「中国には全く非がない」という昨年の中国当局の立場と微妙に違っている。>
 ここが重要な変化なのだ、という。その通りだろう。
 <中朝関係に関する外交篇の報告では「日本は戦争の反省や戦後補償について具体的な約束をしなければ朝鮮側の理解と協力を得られないだろう」と言及する一方「朝鮮側は拉致問題の解決に積極的な姿勢を示さなければ、行き詰まった日朝対話が新たな局面を迎えるのは難しいだろう」と記述している。>
 けっこう面白そうじゃない? このリポート。翻訳が出るといいのに。
◆中国国防省がHP開設