■産経新聞8月31日HP記事
産経新聞は31日昼前にはソウル支局の水沼啓子特派員のまとめ記事で、<「日本の民心が大地震起こした」/韓国各紙、1面トップで報道>と大きく報道した。関西では夕刊を出しているから、そのまま使い、東日本では9月1日の紙面に反映するのだろう。読んでみよう。
<韓国各紙は31日、投開票が30日に行われた日本の衆院選での民主党圧勝を1面トップで大きく報道した。>
という前文だ。
まずは東亜日報だ。
<東亜日報は「日本の民心が大地震を起こし政治を覆した」との見出しで、当選者にバラをつけてほほえむ民主党の鳩山由紀夫代表の写真を大きく掲げた。特集面では「新しい日本、どこへ行くのか」と題した連載も始めた。1回目は日韓関係を分析し韓国が領有権を主張している日本の竹島(韓国名・独島)などに触れながら「過去の問題が一挙に解決し、日韓関係が短期間に大幅によくなるだろうという期待はとても性急だ」と過度の期待をしないよう呼びかけている。>
次は朝鮮日報。
<朝鮮日報は「日本、62年ぶりに選挙革命」として衆院選の結果を掲載。特集面では「怒った民心、政官癒着、政治世襲に“死亡宣告”」との見出しで、自民党敗退の原因を分析している。その中で「民主党指導部の大部分は自民党出身だ。自民党に失望した有権者らが投票したとの分析もある。保守から進歩ではなく、保守からほかの保守に移っただけということだ。代案で選択した民主党が誤れば背を向けられることになる」と指摘している。>
お次は中央日報。
<中央日報も鳩山代表の写真を掲載し「日本で選挙革命…54年ぶりの政権交代」と報道。特集面では鳩山代表の母親の安子さんについて「夫は3流政治家…息子は首相にする」との見出しで日本政界の「ゴッド・マザー」と紹介している。>
ついでだから、朝鮮日報の記事をコピペしておこう。
■朝鮮日報<日本国民が自民党に背を向けたワケ>
まずは<衆院選/日本国民が自民党に背を向けたワケ>だ。東京支局の辛貞録(シン・ジョンロク)特派員の記事だ。見出しは<経済の低迷と共に支持者も離れる/自民党候補者の35%が世襲>だ。
読んでみる。
<日本の世論調査機関や各メディアは、30日に投開票が行われる衆議院議員総選挙で、最大野党・民主党が自力で「驚くほどの圧勝」を遂げる見通しだ、という予測を発表した。一方、1955年以来第1党の座を守ってきた自民党は、選挙後の存続も危ぶまれるほどの惨敗を喫することが予想されている。これはまさに「革命」といってもおかしくない状況だ。>
という前文で、小項目ごとの小見出しをつけていた。小見出しはそのまま利用する。
◇「崩壊同然の政権が点滴で延命」
<4年前、2005年の総選挙で自民党は、歴史的な大勝利を収めた。480議席のうち296議席を獲得し、連立を組む公明党の議席を合わせると、衆議院の全議席の3分の2を超える圧勝を成し遂げた。当時の小泉純一郎首相は「郵政民営化」の是非を争点に掲げ、これに反発して離党した議員たちの選挙区に「刺客候補」を送り込み、連日新作映画を見せられているかのような状況を作り出し成功を収めた。だがこれを、日本メディアは「点滴」と表現した。1990年代以降の日本政界の流れを見ると、自民党は政権担当能力を失っており、負けてもおかしくない選挙で国民を引きつける争点を掲げ、これを特効薬として延命を図ってきたというわけだ。>
日本のメディアの見方をうまく一言で紹介している。
<自民党は中曽根政権下の1986年、300議席を獲得したのをピークに、下り坂を転げ落ち続けてきた。90年には議席を275、93年には223まで減らした。このとき、第1党の座は守ったものの、初めて野党による連立政権の誕生を許し、10カ月間の野党暮らしを余儀なくされた。>
1993年の総選挙は自民党は頑張ったんだよね。だから第1党だったし。ところが、小賢しい小沢一郎氏が「このまま自民党中心の政権を作られては自分が政治的に殺される」という自己保身本能だけで動き回り、野合の政権を作った。あのあたりから、もう日本の政界は「何でもあり」になっていった。そんな求心力のなさを見た野心的な政治学者たちが小沢氏とくっついてできたのが小選挙区比例代表並立制だった。
その6回目の選挙でとうとう野心的学者の狙いが実現してしまった、ということだろう。
<その後も2005年の総選挙で大勝利を収めるまで、衆議院の全議席の過半数に達したことはなかった。また、参議院(242議席)でも、1986年に143議席を獲得した後、過半数に達したことはない。この時期は、不動産や株式などの資産バブルが崩壊したことによる、いわゆる「失われた10年」と一致する。高度成長期に自民党政権を支えた人たちは、その後急速に同党に背を向けるようになり、91年に546万人だった党員の数は、07年には110万人にまで減った。経済の低迷によってパイが小さくなったため、自民党の支配構造も根元から崩れているというわけだ。>
なるほど、世界的な動きの中での日本政治を見詰めようとしている。この辺の大局的な分析は優れていると思う。若き日のジェラルド・カーチスを髣髴させる。韓国人から見た日本政治、というか、外国人から見た日本政治なのだね。
◇派閥争い、世襲などの問題が一気に噴出
<それでも自民党は、派閥政治から脱却できなかった。06年以降、1年ごとに首相が交代した。責任を取ることもなく、国民に信を問うこともなかった。議員たちの世襲問題もまた深刻化している。今回の総選挙に政党の公認で出馬している候補者のうち、家族が一つの選挙区を独占している「世襲候補者」の比率は、自民党が35%、民主党が12%となっている。こうした問題点が一気に噴き出したことで、今回政権交代という大きな流れに直結しているというわけだ。>
◇アイデンティティーも否定
<昨年の米国発の金融危機も、自民党にとっては決定的に不利な材料となった。>
そうなのか? 麻生首相の経済対策は良かったのでは? と思ったが、次の文章を読んで納得した。もっと大きなトレンドを言っているのだった。
<2000年代に入り、日本経済は再生したかのように見えたが、金融危機によって失業者が続出し、内需の極度な低迷を招いた。先月の失業率(5.7%)は過去最高記録を更新し、同月の消費者物価指数の下落率(前年同月比マイナス2.2%)も過去最大となった。このため、「失われた10年」のような状況に再び陥るのではないか、という声も上がっている。>
不景気の時には与党が強かった。今までは、だ。それは財政出動をして、補正予算をつけ、箇所づけで地元に利益誘導できたからだったのだ。それが今回の不況ではっきりした。不況なのに与党が負けるんだから。
<05年の総選挙で自民党に大勝利をもたらした「小泉改革」も、非正規雇用者(パートタイマー、派遣社員など)や失業者を増やし、貧富の格差を広げたとして、今となっては批判の的になっている。麻生太郎首相をはじめとする同党の執行部さえも小泉改革を批判し、同党のアイデンティティーを自ら否定している。>
いい論文じゃないか。しっかりと見ている、という感じだ。もっと長い分析記事が読みたいものだ。日本の記者よりも客観的だし、大局を見ているし、よほど分かりやすい。
次の記事も8月31日にHPにアップされていた。
■日韓関係についての見通し記事
<衆院選09/韓日関係は好転するか/鳩山代表、靖国神社参拝には否定的>という朝鮮日報の権景福(クォン・ギョンボク)記者の記事だ。
読んでみる。
<30日に行われた日本の衆議院議員総選挙で野党・民主党が大勝し、政権交代が確実な情勢となった。民主党は韓日関係では、これまでの与党・自民党に比べ考え方が柔軟だ。>
という前文で、
<鳩山由紀夫代表は首相や閣僚による靖国神社参拝について「次期首相」として反対の立場を明確にしている。鳩山代表は「自分が首相になったとしても参拝する考えはない。閣僚たちにも自粛してほしい」と何度も発言している。鳩山代表は靖国神社に代わる新たな国立追悼施設を建設する方針も打ち出している。これまで靖国問題が韓日両国間の対立の要因となってきたことを考慮すると、民主党が政権を取ることで韓日間に横たわる障害が一つ克服できるのでは、という期待の声も聞かれる。>
これは大きなことなのだ。韓国だけでなく、中国にとっても大きいことなのだから。
<鳩山代表は「フランスとドイツのように、かつては戦争をしていた国が欧州連合(EU)という大きな組織の下で一つになっている。東アジアでもそれは決して不可能なことではない。それを実現するためには韓日両国が協力することが最も重要であり、その次が中国だ」などと発言している。>
東アジア共同体構想なのか?
<今年5月に鳩山氏が民主党の代表に就任してから最初に訪問した国が韓国であり、真っ先に会談した海外首脳も李明博大統領だった。鳩山代表は在日韓国人などを中心に行われている外国人参政権運動についても「前向きに検討すべきだ」との立場だ。>
偶然だったのだろうか? この野党外交の日程は?
<しかし、すべてが順調に進むとは考えられない。独島(日本名:竹島)問題は今後も激しい対立が続くものとみられる。鳩山代表は独島問題に関して明確な立場を表明したことはない。しかし、民主党内には自民党に劣らず「竹島は日本の領土」と主張する右翼性向の議員が多い。>
ほめながら、期待しながらも、最後は「お約束」の竹島問題でクギを指す、と。まあ、こんなパターンだろうなぁ、今後の韓国メディアの論調も。
■朝鮮日報の本格的な分析記事だ
これも朝鮮日報の記事。<衆院選09/怒る有権者、政官癒着と世襲に「死亡宣告」>という東京支局の辛貞録(シン・ジョンロク)特派員の記事だ。
読んでみよう。
<30日に行われた日本の衆議院議員総選挙で野党・民主党が圧勝し日本経済の目覚しい発展を率いてきた「自民党中心の戦後体制」が幕を下ろした。20年にわたり積み重なった自民党に対する不満が、民主党に対する無条件の支持として表れた。しかし、政権交代後の日本がどこに向かうのかは非常に不透明だ。>
という前文で、
◇世襲と派閥政治に対する審判
<朝日新聞などによると、民主党は全408議席のうち308議席を獲得した。これは自民党が過去54年間で記録した最多議席(1986年、300議席)を上回った。一方、自民党は119議席を確保したにとどまった。これは自民党の過去最低議席(93年、223議席)の半分をやや上回る水準にすぎない。自民党からの「大脱出」と民主党への「大結集」がドラマチックに表れた。>
「毎日新聞などによると」でないのはなぜだ? 朝鮮日報の支局は毎日新聞のビルに入っているんじゃなかったのか?
姉妹提携をしているのは朝日新聞=東亜日報、毎日新聞=朝鮮日報、読売新聞=韓国日報、日経新聞=中央日報、産経新聞=京郷新聞、東京新聞(駐日新)=ソウル新聞の組み合わせだったと思う。
<こうした革命的な変化は、日本人が政官癒着、議員世襲、派閥政治が染み付いた自民党式の政治に審判を下したことを意味する。自民党は07年の参院選大敗で最初の警告を受けた。それにもかかわらず、旧態から脱することができなかった。05年の衆院選以降、1年ごとに派閥の談合によって首相が交代した。国民の意思を問わなかった。今回の総選挙の出馬候補のうち、世襲候補が民主党(13%)の3倍に達する35%を占めたことも、自民党の現状をはっきりと示している。>
制度疲労だったのかね。
<深刻な経済の停滞も自民党に対する忍耐に限界をもたらした。日本の経済成長率は1992年から2001年までのいわゆる「失われた10年」に年平均0.9%にとどまった。その前の10年間は4.6%だった。2000年代に入り、過去10年で国内総生産(ドル換算)は逆に減少し、所得格差は拡大した。7月の失業者は1年前よりも104万人増えた。>
こういうように数字を並べられると納得してしまうね。竹中平蔵氏だってぐうの音もないだろう。
◇民主党、「第2の自民党」になる可能性も
<日本の政治専門家は民主党の圧勝について、同党がよくやったからというよりは、自民党に対する失望感の表れであり、「政権交代」自体に意味がある選挙だと分析している。民主党単独の力によるものではないため、今回確保した議席数ほど政権基盤が堅固だとは言えないとの見方だ。>
風、ということでしょ?
<また、「米国との対等な関係」を掲げていること以外、民主党が自民党と大きく異なる部分は特にない。また、民主党指導部の大半は自民党出身だ。このため、逆説的には保守自民党に失望した有権者が「安心」して票を投じたという分析も有力視される。票の移動が「保守→進歩」ではなく「保守→もう一つの保守」だったわけだ。つまり、自民党に代わる選択としての民主党が過ちを犯せば、有権者がいつでも背を向けることがあり得る ことになる。>
保守同士の好き嫌いか。というよりは民主党は、自民党にペナルティを与え、その間、フィールドに出しておく二軍の選手なのか。
<民主党は来年7月に予定される参院選でも勝利すれば、安定的な政権基盤を確保する。この場合、自民党は分裂するか、小政党に転落し、民主党が「第2の自民党」となり、長期政権を担う可能性もある。しかし、参院選で敗北すれば、ねじれ政権に転落し、力を失うことになる。「民主党の日本」の前途はまだ不透明だ。>
本番は来年の参院選という見方だね。うまいまとめ記事だった。民主党の目標は達成されたのではなく、まだ半分なのだ、という見方。来年の参院選こそ本番という見方は小沢一郎氏がよくしゃべっている話らしい。
■鳩山氏の家系紹介
これも朝鮮日報の記事だ。東京支局のソンウ・ジョン特派員による<衆院選09/祖父が作った自民党を倒した孫/鳩山代表の父方の祖父は自民党創設の主役/母方の祖父はブリヂストン創業者>だ。
<生きていれば、民主党・鳩山由紀夫代表(62)の勝利に最も嘆いた人物は祖父の鳩山一郎元首相(1959年死去)だったことだろう。一郎氏が1955年、自由党と民主党の保守2党を合併し結成した巨艦・自民党を孫が倒し、再び保守2党体制に戻したためだ。「自民党の守護神」である麻生太郎現首相が、過去に一郎氏と対立し自民党創設から疎外された同氏の政敵、吉田茂元首相の孫という点もアイロニーだ。>
鳩山の孫と吉田の孫対決のことか。
<次期首相が確実となった鳩山代表は、確固たる財力と柔軟な思考を武器に既成秩序を変えるドラマを演出した。鳩山代表は日本の国会でも屈指の資産家だ。2006年に申告した資産総額は16億5641万円。だがこれは自宅と預金だけを合わせた金額に過ぎない。日本のタイヤ大手ブリヂストンの創業者である母方の祖父から譲り受けた株式(数十億円台と推定)、母親名義の株式や鳩山会館(祖父の邸宅)の不動産価格は含まれていない。>
<鳩山一族は日本の国会でも有数の名家に挙げられる。曽祖父は衆議院議長、祖父は首相、父は外務大臣を務めた。党は世襲政治打破を公約に打ち出したが、鳩山代表自身は「世襲4世」だ。受け継いだ金脈と人脈を政治資産として、堂々と異端の道を歩んできた。>
曽祖父か。凄い話だね。
<鳩山代表は東京大学工学部を経て、米スタンフォード大学で博士学位(経済工学)を取得、曽祖父が事実上創設した専修大学で教授を務めた。ほかの世襲議員とは違い、鳩山一族は全員が東京大学出身だ。祖父、父、弟の邦夫氏(自民党議員、前総務相)は東京大学法学部、長男の紀一郎氏(東京大学工学系研究科教授)もやはり東京大学工学部出身だ。>
頭がいいんだね、一族は。
<だが一方で、年子だが外見はあまり似ていない弟よりは勉強ができず、リーダーシップも弱かったという話もある。1986年の政界入り(北海道9区)も弟(76年)より10年遅れ、「家門の政治的跡継ぎは弟だ」という評価を受けてきた。>
今からでは想像できないけど、鳩山邦夫氏のほうが有望株だった。
<同代表の「柔軟さ」は経歴にも現れている。同代表は米国留学中に夫人の幸氏と出会い結婚した。43年生まれの幸氏は、日本を代表する女性劇団「宝塚歌劇団」の元団員で、4歳年上だった。鳩山代表と知り合った当時は既婚者だった幸氏だがその後離婚し、同代表と結婚した。>
まあ、パーソナルヒストリーを短くまとめているね。
■鳩山幸・ファーストレディー候補について
朝鮮日報日本語版09年8月31日は<民主党代表夫人・鳩山幸さんの素顔>という記事も掲載していた。<元女優の国際派/日本の主婦のアイドル>だってさ。イ・ヘウン記者の記事。最近、朝鮮日報も片仮名の名前が増えたので、男女が分かりにくくなった。李恵温なのか? そうすれば女性の名前っぽいのだが、それも分からない。朴正煕だって煕は白く輝くという意味で、男性も女性も使う字だそうだ。でも、この記事はやっぱり女性記者だろうね。
<7月25日、北海道・室蘭市で開かれていた「むろらん港まつり」に、赤い法被を着たおかっぱの女性が菓子入りのかごを持って現れた。祭りの会場に集まっていた室蘭市民は彼女に「子供たちの未来を考える政治をお願いします」と話し、彼女は笑って菓子を配りながら「わたしの夫をお願いします」と話した。>
<元宝塚女優のこの美しい女性は、まさに日本の次期首相の有力候補と目されている鳩山由紀夫・民主党代表夫人、鳩山幸さん(66)。幸夫人は夫の足が伸びていない地方の祭りに通い、「内助の功」を発揮している、と室蘭の地方紙は報じた。>
<フランスのAFP通信は「次期ファーストレディーとして有力な幸夫人が、静かで保守的という伝統的な日本のファーストレディー像を壊し、外向的で賢いイメージによって有名人のイメージを駆逐している」と報じた。>
<幸夫人は日本で「ライフスタイルの導師」として君臨している。幸夫人は自分自身を「ライフコーディネーター」だという。実際、鳩山代表は自身の公式ホームページで、料理からファッション、インテリアに至るまで、妻が書いたさまざまな書籍を紹介している。日本の「マーサ・スチュワート」になったわけだ。日本の主婦たちは、幸夫人が描くライフスタイルをまねようと一生懸命だ。>
フォーストレディーという言い方が一般的になり、国際会議に夫婦で出るようになってからは三歩下がって夫に付き従う妻というイメージよりも、何か社会的貢献をしている女性というイメージが好ましいと思われるようになったらしい。略奪婚の年上妻だって、イメージは作れるのだ。
<幸夫人の人生は、典型的な「コスモポリタン」だ。幸夫人は1943年に中国・上海で生まれ、日本の国際貿易都市・神戸で育った。10代だった1960年代に宝塚女優としてデビューし、20代半ばで引退、新たな道に挑戦しようと米国に渡った。>
<日本のケネディ家と呼ばれた政界の名門一家の息子・鳩山由紀夫氏と出会ったのは、米国サンフランシスコでのことだった。当時鳩山氏はスタンフォード大学に留学中だった。既に1度結婚に失敗していた彼女は、1975年に鳩山氏と再婚した。>
<大衆的な人気に政治的感覚まで備えていたが、幸夫人が夢見る未来は「ヒラリー・クリントン」ではなく「スティーブン・スピルバーグ」だ。幸夫人は「わたしは、やりたいことは全部やってみたい。今わたしがやりたいことは、ハリウッドで映画を撮ること」と語った。実際、幸夫人はステンドグラス作り、陶芸などさまざまな趣味を持ち、あふれんばかりの好奇心を満たしてきた。幸夫人は「かなわない夢はない。わたしが本当に願えば、その夢はかなう」と語った。既に自分が撮る映画の主演としてトム・クルーズに目を付け「トム・クルーズは前世で日本に暮らしていたという。わたしは前世で彼と会ったことを覚えている」と冗談も飛ばした。日本の次期ファーストレディーは「はじけた」女性になりそうだ。>
弾けた女性って一昔前の飛んでる女性と同じような意味なのだろう。
■鳩山夫人と母のこと:韓流ファン
イ・ヘウン記者による<鳩山氏、夫人と母親は韓流ファン>なんていう記事もあった。面白いね。
<「妻は韓流ファンでイ・ビョンホン、ソン・スンホン、パク・ヨンハさんなどが特に好き。母親の家にも韓流スターのポスターが張ってあります」。今年6月5日、韓国を訪問した民主党の鳩山由紀夫代表は大統領府で李明博大統領と会談した際、このように語った。鳩山代表は、これまで公式の席で何度か幸夫人と母親が韓流ファンだという事実を語っている。>
<今年7月25日の大阪遊説では「今年85歳になるわたしの母親は韓流スターに会いたいといって韓国語を一生懸命に勉強し始めた」と語った。これは、自民党の麻生太郎総裁が同日の演説で「高齢者の唯一の才能は、働くことしかない」と高齢者をおとしめるような発言を行ったことに対する発言だが、家族が韓流ファンだという印象を日本の有権者に刻みつけることになった。>
<外交関係というものは私的な部分と異なるとはいえ、このように鳩山代表が韓国に親近感を持っているという点は、今後の韓日外交関係にとって潤滑油となるものと期待される。実際に鳩山代表は、韓日議員連盟の日本側顧問や民主党内の日韓交流委員会委員長を務めており、在日韓国人などの法的地位向上のための議員連盟にも名を連ねるなど、韓国に対し非常に好意的だ。>
<鳩山代表は韓国で大統領府を訪れたときも「普段から友愛の精神を掲げてきたが、その精神で韓国と日本が協力すべきだ。究極的には東アジア共同体に拡大発展させなければならない、という考えを持っている」と語った。また、「日本は韓国と異なり、本当の意味での政権交代がなかった。今回政権交代につながれば、国民の政治に対する信頼を回復し、外交面でもアジア、特に韓国との関係を重視するつもりだ」と述べた。>
こういう記事を見るとホッとするね。
■女性パワーについての朝鮮日報の分析
辛貞録(シン・ジョンロク)東京特派員による<20-30代、女性の当選相次ぐ>もうまいまとめだった。
<開票特番に出演していたゲストらが「わぁー」という驚きの声を上げた。30日夜午後10時35分、長崎2区で民主党の新人、福田衣里子氏(28)の当選が確実となった瞬間だ。相手は9選を誇る自民党の大物、久間章生元防衛相(68)だ。長崎2区の選挙結果は今回の選挙における有権者心理を複雑に物語っている。福田氏は薬害肝炎九州原告団の元代表。自身が弱者であり、弱者を代弁して政策化させた人物だ。2004年に裁判での闘争を開始し、薬害肝炎救済特別法制定まで導いた。これに対し、久間元防衛相は公共事業予算を基に後援組織を率いる「古い自民党」を象徴する人物だった。>
<それは最大の異変、そして「新しい日本」を象徴する結果だった。テレビ朝日のニュース番組『報道ステーション』のキャスター、古館伊知郎氏は「時代が変わった。一度限りの風ではない」と評した。選挙結果は有権者心理の変化を次々と反映した。20-30代の女性新人中心の世代交代、世襲に対する反感、政権運営に対する批判。東京12区では連立与党の軸だった公明党の太田昭宏代表(63・5選)が民主党の青木愛氏(44)に敗れた。>
<最も目立ったのは「反小泉ムード」だった。小泉純一郎元首相が在任中に推進した改革政策に対する反発だ。北海道12区では小泉陣営の「突撃隊長」だった武部勤・元幹事長(68・7選)が小選挙区で敗れた。東京5区では「小泉チルドレン」の象徴的存在だった自民党前議員の佐藤ゆかり氏(48)も民主党候補に敗れた。小泉氏に近かった自民党前議員の小池百合子・元防衛相(57)は、東京10区で民主党新人の江端貴子氏(49)に敗れた。小池氏は05年の郵政民営化選挙当時、小泉氏が政敵を追い落とすために戦略的に送り込んだ「刺客1号」として波乱を起こした人物だ。東京10区は今回の選挙を象徴する選挙区だった。29日夜に麻生太郎首相と民主党の鳩山由紀夫代表が同時に支援遊説を行うほど激しい選挙戦だった。
だから、麻生首相は反小泉を徹底しなければならなかったのに、いつまでも竹中平蔵氏らに気を遣っているからこんなことになったんだ。
<世襲に対する反感も目立った。故橋本龍太郎元首相の地元の岡山4区を引き継いだ前職の橋本岳氏(35)が民主党候補に敗れた。「北海のヒグマ」と呼ばれ、厚い地域基盤を築いた故中川一郎元農相の選挙区を受け継いだ中川昭一前財務・金融相(56)も北海道11区で苦杯を喫した。財務相在任中、酒に酔って記者会見に臨んで物議を醸した影響もあった。>
<中川前財務相は落選決定直後、党員に対し、「父親の時から合計すると46年間、皆さま方に支えていただき、仕事をしてきたが、こういう結果はひとえに私の責任だ」と頭を下げた。日本で世襲議員が落選するのは異例のことだ。>
<愛知9区では日本の国会で最多選記録を持つ海部俊樹元首相(78)の落選が確定した。海部氏は「次の選挙には出ない」と訴えたが、結局は有権者によって引退させられた。海部氏を破ったのは民主党の岡本充功氏(38)。医学博士出身で、民主党の政治家公募で政界入りした日本政界の「新人類」に数えられる。わい曲された歴史認識でたびたび失言を繰り返した中山成彬・前国土交通相(66)も、宮崎1区に無所属で出馬したが落選した。>
■飯尾潤氏への朝鮮日報インタビュー
辛貞録東京特派員は八面六臂の大活躍だなぁ。今度はインタビューである。<「アジア政策に大きな変化ないもよう」/飯尾潤・政策研究大学院大学副学長に聞く>である。
<日本の現代政治分野における専門家で、東京にある政策研究大学院大学の副学長を務める飯尾潤教授(47)は、今回の衆議院議員総選挙の意味について、「国際関係の変化と大きな関連はない。国内の政治状況が反映された結果」と述べた。そのため「外交政策に大きな変化はないだろう」と予想している。>
<―― 民主党が獲得した議席数だけを見ると、まさに「革命的な状況」と言えそうだが…。>
<「革命的な状況と言えるだろう。しかし、自民党は長期的に見て衰退の流れにあった一方で、民主党は21世紀に入ってから引き続き善戦している。とりわけ昨年からは民主党の力が高まる傾向が続いてきた」>
<―― なぜ今、このような結果になったのか。>
<「いつかはこうなるはずだった。もう少し早く、具体的には森政権(2000年4月から01年4月)直後に起こってもおかしくはなかった。小泉政権の誕生で自民党がやや盛り返したに過ぎない」>
<―― 自民党政権はどれほど間違った方向に進んでいたのか。>
<「自民党は1990年代から高まり始めた新たな政治への要求に対応できなかった。小泉政権当時も、根本的な問題には手をつけられなかった。そのため国民の不満は高まっていった。それでも小泉政権はまだましな方だったが、安倍政権からは自民党の弱みが表面化し始めた」>
<―― 日本国民は政権交代により国がどうなることを望んでいるのか。>
<「これまでのやり方では通用しないため、一度変えてみようということだ。今回は“自民党の生まれ変わりを望む”という意味で民主党に投票した有権者も多いということを忘れてはならない。そのため、今回の選挙結果は大きな変化の始まりに過ぎない。1回の政権交代では問題は解決しない」>
飯尾氏の見方はいつもダイナミックだし、複線的だから安定感もある。
<―― 来年7月には参議院選挙がある。民主党が敗れるとねじれ現象が起こるが。>
<「政権1年目にはそれほど大きな変化は期待できない。予算にも大幅には手をつけられない。そのため民主党が来年の選挙でも勝つ可能性は高いと思う。今後4年間は選挙が行われることなく、民主党政権が続く可能性は高いだろう」>
ということなのだろう。つまり、予想できる範囲内では、ではそうなのだ。
細川政権の時だってわずか10カ月でお仕舞いになるとは誰も考えなかった。今回だって新聞やテレビが無視できない「政治とカネ」の話が出てきたら、民主党政権はお仕舞いになるのだ。誰も出てくるかどうか、分からないんだけどね。
<―― 鳩山代表だけでなく、民主党指導部は新たな日米関係を望んでいるようだが。>
<「安倍政権発足当時は日中関係に対して心配する声が多かった。誰もが心配していたため、何もできなかった。今回も誰もが心配している。そのため特に問題は起こらないだろう。政権獲得の可能性が高まったことで、かなり前から少しずつ変わり始めていた。ただ数年後に自信を持つようになると、どのように変わるかは予想できない」>
これも大人の見方だ。
<―― 来年1月にはインド洋での給油支援活動のための特別法が期限を迎えるが、民主党はこれを延長しないとしている。沖縄の米海兵隊の飛行場移転問題も再検討するとの立場だが。>
<「非常に重要な問題だ。しかし、日米関係に変化をもたらすとしても、徐々にやっていくしかないだろう。今の状況では国内問題が山積みしているため、外交政策に大きな変化をもたらすことは難しいとみられる」>
<―― 民主党政権はアジア重視を打ち出しているが。>
<「実はそれもはっきりしていない。中味が明確でないということだ。靖国神社に参拝しないと明言した程度だ」>
<―― 政権交代の意味をまとめるとどうなるか。>
<「日本の政治における可能性が広がったということだ。これまでは「当然」あるいは「これしかない」と考えられてきたこと以外にも、新たな方法を見出したということが、今回の政権交代の意味だ」>
うまくまとめていると思う。よく分かる。
■朝鮮日報の社説
朝鮮日報の09年8月31日の社説。<自民党54年独走に幕、衆院選と韓日関係>というタイトルである。読んでみよう。
<日本で30日に行われた衆院選で民主党が大勝した。1955年以降、一度も第1党の地位を奪われたことがなかった自民党が惨敗した。自民党以外の政党が単独で政権を獲得したのは54年ぶりで「史上初の政権交代」という評価を受けている。半世紀以上続いた日本の政治の枠組みを打破した今回の総選挙では「新しい日本」「日本の新たな出発」に対する日本国民の渇望が今まで以上に大きいという事実が浮き彫りとなった。結果として日本の政策は内外で多かれ少なかれ変化が生じる可能性が高い。>
変化を予感しているね。どう変わるのか。
<民主党は米国一辺倒の外交から脱皮し、アジアを重視するという「脱米入亜」構想を掲げている。次期首相就任が確実視される民主党の鳩山由紀夫代表は最近のインタビューで「今までの日本外交は米国の都合に合わせたものだったが、これからはわれわれの意思を強く主張できる対等な関係でなければならない」と述べた。日米同盟は冷戦時代から現在まで韓米同盟と同様に北東アジアの安全保障の軸だった。今後における日米同盟の変化は韓日同盟とも協力して進む公算が高い。>
期待感が高い。
<鳩山代表は最近、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙への寄稿で「イラク戦争の失敗と金融危機により、米国主導の世界化時代は幕を下ろし、多極体制に向かって進んでいると考えている」と述べた。民主党が「アジア重視」を掲げたのはこうした多極体制の軸の一つを日本が担わなければならないという判断があるからだ。米国と並ぶ世界二大国となった中国の浮上をけん制するため、米国一辺倒の政策に代わりアジア重視を掲げたとの分析も可能だ。日中間の競争がアジアの覇権争いに発展することは、日本と中国はもちろん、アジア全体にとって好ましくない。>
この最後の疑問はよく分からない。どうして、鳩山のアメリカ離れが中国への牽制なのか? 「アジア重視」という言葉を、そのままの形で素直に受け取れない「何か」が韓国にはあるのだろうか?
<過去の自民党政権で韓日関係は「歴史問題の壁」を越えられなかった。民主党はこの問題に対しても自民党政権とは異なる前向きな姿勢で取り組むと公言している。民主党政権が掲げる「東アジア共同体構想」や「アジア重視」を成功させるためには、隣り合うアジア各国との不信を解消することが急務だ。民主党が歴史問題で日本がこれまで繰り返してきた過ちを断つことができるか注目される。>
以上。日本の新聞社の、細かいところばかり見ている社説に比べ、粗削りだが魅力溢れた論になっている。特に日米中韓関係を睨んだアジア・太平洋のドラマティックな構想力を胸に秘めていると思われるコメントは浮き浮きするような文章だ。
日本の記者も少しはこういう「大状況」を語ってほしい。
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